◆ 1999年10月上旬 ◆

10/1〜10
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10/10(日)……ZONE B

 ウチの掲示板によく書き込んでくださるナイスガイ、メビウスさんにエロ漫画雑誌を進呈すべく池袋へ。パイク(ふゅーじょんぷろだくと)のバックナンバーを10冊ほど。その後は男二人、差し向かいでグイグイ酒を呑む。けっこいい感じに酔っ払う。

 来季から横浜ベイスターズの二軍が「湘南シーレッグス」という名称になるらしい。「シーレッグス」はギリシャ語で「海の神様」の意。うーん、なんかダサい。しかもシーレッグスはユニフォームが緑を強調したものになる予定で、ベイスターズとは別になる。ということは、入団して一度も一軍に上がれなかった選手は、入団発表時くらいしかベイスターズのユニフォームを着れないってことか。あと、一軍二軍いったりきたりの選手はしょっちゅうユニフォームを換えなくちゃいけなくてたいへんそう。でもこうやって、一軍二軍の差を大きくすると、二軍の選手にハングリー精神が出ていいかもしれない。なかなか面白い試みではあると思う。
 考えてみると横浜ベイスターズも、優勝してみたり、二軍改革をしてみたりとなんかシッカリしたチームになってしまった感がある。でもなんとなくこんなの俺の大洋ホエールズじゃない、という気もする。情けないチームのほうが愛しがいはあるんだよね〜。「今年のヤクルトはいい。これこそ俺が好きだったヤクルトだ」と、知り合いのヤクルトファンがいっていたけど、その気持ちがよく分かる。勝っても負けても楽しそうな、あの呑気なチームも好きだったんです。

【単行本】「ドラゴンヘッド」9巻 望月峯太郎 講談社 B6
 いよいよ次の巻で完結予定だそうだ。東京に着いた一行だが、そこで見たものは徹底的に破壊された首都の惨状。何が起こったのか、そして起こりつつあるのか。不吉な空気ばかりが充満し、彼らはさらに追い詰められていく。日本に何が起きたのか。すべては次巻で明かされる。というわけで完結したところで一気読みしてみたい。

【単行本】「ノイローゼ・ダンシング」 山下ゆたか 講談社 B6
 シンナーで歯はボロボロ、頭もイカれた壊れた不良中学生たちの姿を描く作品。どうしようもなくノーフューチャーな彼らの生態が生々しく描かれており、異様な迫力を持っている。「ケンボー オマエのクラスによ エレェ キャバいコいるべ」などの頭の悪そうな会話が頻発。ステキなほどに。線の細いぎこちない絵柄なんだけど、それがまた軋むような感触があって味になっている。ヤンキーものの中でもかなり終わっている一作で、珍しいものが見たい人にオススメ。

【単行本】「東京ゾンビ」 花くまゆうさく 青林工藝舎 A5
 初出は漫画の鬼AX。ゾンビだらけとなった日本で、ゾンビには入り込めないような囲いを作って住む人々。その囲いの中で行われる金持ちを満足させるための娯楽、「ゾンビファイト」の闘士、ポン・フジオの闘いを描く。花くまゆうさくの絵柄はヘタウマ系で、一見やるきなさげなのだが、通しで読んでみるとこれがかなりいい味を出している。ポン・フジオのハイレベルだけど地味な闘いっぷり、それを見つめる人々の狂気が淡々と描かれるさまはなかなか興味深い。あっけなくぽんぽんゾンビの首が飛んだり、人間が食われていくさまが妙に痛快。


10/9(土)……ジキルとHIDE

 サッカー、オリンピック出場権を賭けた最終予選、日本×カザフスタンは2-0で日本の勝利。日本の選手が相手の選手を吹っ飛ばすシーンも多く見られ、フィジカル面でも充実してきたのだなあと感心。それにしてもやっぱり中田はモノが違う。プレーの一つひとつがいちいち納得できるしうならされる。小野伸二や中村俊輔もいい選手だけど、レベルが何段か違うように思えた。あと、ボランチの遠藤は横浜F出身ということもあるがやっぱ好きだなあ。も少しフィジカルを充実させて、山口素弘を超える選手に早いとこ成長してもらいたい。
 試合全体では実力的に日本が格上で安心して見ていられたが、ピンチもいくつかあってそれなりに面白かった。面白くなった最大の要因は、中田でもなく相手チームでもなく、トリッキーなバウンドを生み出すぼこぼこのグラウンドの地面だったと思う。MVPは地面。

 藤原カムイオフィシャルホームページ「KAMUI'S NOTE」の掲示板で、恵比寿福姫さんが「以前KAMUI'S NOTEがあったhttp://www.f-2.co.jp/kamui/は、管理者退職によりいつなくなってしまうか分からないので、新アドレスのhttp://www.studio2b.co.jp/を大々的に宣伝してほしい」という発言をされていたのでここでも宣伝。リンク張り直していない人は張り直しておくとよい〜。

【雑誌】エースネクスト 11月号 角川書店 B5平
 安倍吉俊「NIEA_7」第2回め。今号も達者な絵でのんびりした雰囲気。白と黒、インクとトーンだけなのに、なんとなく油絵的雰囲気。岩原裕二「クーデルカ」。クーデルカの能力の一端が垣間見える。物語はこれからが本番といったところか。今号には岩原裕二のインタビューもある。「クーデルカ」制作に向けてサクノスの人がインターネットで人材を探していたところ、岩原裕二を見つけたのだそうだ(岩原裕二のWebページはココ)。そういうこともあるもんなんですな。でもよく考えてみたら俺のやっている雑誌でも、インターネットがきっかけとなってお仕事お願いすることになった漫画家さんがいらっしゃるわけだが……。
 あと、たしか新刊発行予定表に書いてなかったはずだが、作:大塚英志+画:森美夏「木島日記」1巻が今月下旬ごろに発売予定とのこと。あと、10月15日創刊のノベルズ誌「KADOKAWAミステリ」で小説版「木島日記」連載開始。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 10/25 No.45 小学館 B5中
 相原コージの新連載、第0回め。タイトルは「相原コージのなにがオモロイの?」。相原コージはすっかりどんなギャグがウケるのか確信が持てなくなったので、毎回自分が面白いと思うギャグを描いて、それに対しての読者の意見やアンケート結果を集計してギャグの指針とすることにした……というコンセプトの連載。スピネットにもコーナーがあるので、そちらで意見をいうことも可能。実際のギャグ漫画家も陰では似たようなことをしているのかもしれないが、それを明確にうたったというのはさすがに珍しい。でも、なんか企画の時点であんまり面白くならなそうな気がする。ギャグの才能は使えば使うほどすり減るというが、この試みはその流れに逆らい、他人の声を吸収することによって使い切った人を強引にギャグシーンに甦らせるといった意味合いも持っている。だから、実験としては面白いかもしれない。現在ウケるギャグをつかむという、当初の目的を果たすのに成功したとしてもしなかったとしても。何を今さらという連載ではあるしみっともなく映るかもしれないけど、このくらい実績のある人が新しいことに挑戦し、ジタバタあがこうとしているというのは、かなり勇気のいることなんではないかと思う。
 盛田賢司「必ずくる明日へ」。読切。学校も何もかも面白くないと思っていた女の子が偶然見つけた不発弾。彼女は、退屈な日常を破壊するため、学園祭の舞台でそれを爆発させようと思い立つ。そのために作業しているうちにしだいに一所懸命になっていき、学校に友達もできるが……といった話。途中の展開はそれなりに楽しく、皮肉なラストも決まって、うまくまとまっている。山本直樹「ビリーバーズ」。『副議長』さんと『オペレーター』さんは、二人きりになって愛欲に溺れる日々を過ごしていたが、そこに新しく人員が派遣されてくる。今まで何度も名前の出てきたあの人だ。ますます事態は混迷を増す。

【雑誌】ヤングマガジン 10/14 No.45 講談社 B5中
 安達哲「バカ姉弟」が掲載。扉ページのアオリに「今月はマジだ」とあるが、どこがどうマジなのかよく分からない。とりあえずバカ姉弟はプチシュー(シュークリームの小さい奴)が好きな模様。なんかたいへんにどうでもいい展開を淡々と続けるこの連載だが、徐々に慣れてきて、奇妙な味わいさえ感じるようになってきた。案外面白い。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。今日もファッションヘルスで一日店長を続ける鉄郎。すでに3ヶ月めに突入。お店の女の子に鉄郎が抱いた、ほのかな報われぬ恋心。愛はお金じゃ買えないが、ガバスだったらどうですか。笠原倫「ジェンマ THE PASTAMAN」。今回は第1回めよりちょっと大人しめではあるが、濃いノリは健在。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 10/25 No.46 小学館 B5平
 桂正和「I''s」。一貴は一人暮らしを始めるが、隣の部屋に住んでいるおねーちゃんは、天然ボケ系でしかも伊織ちゃんにそっくりなかわいいコ……ということでまたも嵐の予感。一貴は伊織ちゃんのことを主に容姿から好きになったのだが、伊織ちゃんの容姿以外のどこが好きなのか、もしくは容姿さえ同じなら別の人でもいいのかというけっこう厳しい部分が問われてくるわけだ。顔が同じとなると……やっぱり身体? それはともかく、お隣さんのほうは、伊織ちゃんよりもだいぶフヌケている感じで、こっちのほうがいいかも。ポイントは目尻の泣きぼくろ。もしこの娘が伊織ちゃんより巨乳であったならば、より混迷が深まって良かったかもしれぬ。巨乳といえば、最近のこち亀の巨乳っぷりはちょっと気になっている(今週は控えめだが)。高橋和希「遊戯王」。なんかものすごい展開である。エジプトの古代遺跡の石板に遊戯が描かれているかと思えば、プレイヤーに直接打撃を与えることのできる幻の三大レアカード、世界を股にかけて暗躍するレアカード窃盗集団、さらにレアカード奪回を依頼するエジプト政府……。む〜。ところで実は、いまだに「遊戯王」でやっているカードゲームのルールがサッパリ分からない俺なのだった。


10/8(金)……左手にさわんないで!

 サクノスの「クーデルカ」というゲームが発売延期になった(10月28日が12月に)というニュースを見て、エースネクストで岩原裕二が連載している「クーデルカ」がメディアミックス作品だということを初めて知る。

 AIRnetから9月のデータ転送量の通知が届く。「AIRnetドメインからのアクセスを除いた転送量3,001,800,115bytes」ということで、初めて3GBの大台突破。1GB=1024MBと厳密に計算すれば3GBではないのだが、AIRnetの規定では3GB=3,000,000,000bytesということになっている。10月も3GBを超えれば、5000円の追加課金。でも来週くらいから俺サーバー、picnic.toが稼働し始める予定なので、なんとか逃れられるとは思う。OHPの移行はじょじょに進める予定で、まずは掲示板あたりから始めたい。

【雑誌】アフタヌーン シーズン増刊 Autumn No.1 講談社 B5中
 創刊号。表紙は藤島康介。執筆陣は遠藤浩輝、高河ゆん、小原愼司、駒井悠、真右衛門、園田健一、漆原友紀、芦奈野ひとし、沙村広明、もみじ拓、くさかしげあき、フクヤジョウジ、山本一宏、林実日子、いそやこんぶ、鳥屋さとし、ハグキ、長崎順一。前半分はすでに実績のある作家で固めて、後半で四季賞、ギャグパラの新鋭をまとめたといった形。四季賞系の人だけでまとめた本にしてほしいという意見もあろうかとは思うが、実際のところそういう雑誌は売れないだろうし、売れなかったらマイナーな人の受け皿もなくなってしまう。だから、アフタヌーン系から売れ筋を持ってきてとりあえず部数を出そうとするのは、当面としては無難な選択であろう。
 とはいえ、第1号の印象としてはちと大人しめな感は否めない。もう少し遊んでも良かったかなという気がする。あと、パワフルでハッタリの利く人が、一人くらいいたほうがバランス的には良かったと思う。本誌連載陣が手堅くまとめている分、四季賞系の人は度胆を抜くような人が欲しかった。増刊ならではのイキの良さがいまいちないように思える。雑誌はやはりトータルバランスが大事だ。作風が偏っててもダメだし、散漫だと何がなんだか分からない。刊行ペースが遅い増刊だとその雑誌ならではの色を打ち出すのはなかなか難しいとは思うが、何か一つ柱ができるとずいぶん違ってくると思う。とりあえず次号は来年2月10日発売予定。今号の結果を踏まえて、どういうモノが出てくるか楽しみにしたい。

 それでは個別の作品について。遠藤浩輝「女子高生2000」。まるで「BLAME!」に出てくる敵ロボットみたいな容貌の機械女子高生が扉ではあるが、中身は遠藤浩輝自身をモチーフにしているっぽい過去の追想と現在のうだつのあがらぬ日常を描く作品になっている。とくに志向する目的があるわけではないお話だが、過去の美しさと現在のむさくるしさのコントラストが楽しい青春作品に仕上がっている。漆原友紀「緑の座」は、以前掲載された「蟲師」のシリーズ化第一作め。左手で何かを描くと、その描いたものが実体化してしまう不思議な力を持つ少年と、彼を訪ねてきた蟲師のお話。ペンのタッチが美しく、涼やかさとほの暖かさの入り混じる品のいい絵柄がやはり気持ちいい。56ページとボリュームもあって読みごたえがあった。自然の描写が美しいのも長所。
 芦奈野ひとし「PositioN」。主人公の女子高生のおねーちゃんが見たことどもを、「ヨコハマ買い出し紀行」でおなじみな、ゆったりした美しい画面で描き出す。8Pで4色カラー。基本的には「ヨコハマ〜」と似たような味わい。手堅い。沙村広明「みどろヶ池に修羅を見た」。サブタイトルは「京都スーパー飲みある紀」。旅行エッセイもの……であるにも関わらず、表現が妙に邪悪だったりするあたりが楽しい。こういうの描かせてもうまい。そして次号、沙村広明は40ページも描くらしい。もみじ拓「哀愁のシマキマン」。ある日、自分の好きな女の子が光って見えるようになってしまった少年。光るというのは文字どおり発光するということ。その光の意味は実は……といった感じ。少しトキメキ、少し切なく、少し間抜けなところのある物語。なかなか味わい深い。フクヤジョウジ「めもり星人」は、子供のころに宇宙人を見たと言い張る男の子の、ちょっとファンタジックな物語。素直な絵柄とお話で、わりと面白かった。

【雑誌】ヤングアニマル 10/22 No.20 白泉社 B5中
 巻頭カラーで二宮ひかるの新連載「ハネムーンサラダ」がスタート。朝っぱらからついてない男。駅の階段から落ちてきた女性に激突され、おろしたての背広がビリビリに。しかも突き飛ばされたとあらぬ疑いまでかけられる(すぐに誤解だと判明するが)。その後、会社から帰宅すると、自分の部屋の前ではものすごく久しぶりの昔の彼女が待ちかまえていて……といった出だし。今回はまだまだ導入編ってことでこの先どうなるか分からないが、扉絵からすると三角関係かなんかになるんだろうか。ともかく楽しみ。馬場民雄の読切「トバクチ」は後編。前回、真剣勝負の麻雀の怖さを身をもって体験した少年は、じょじょに非凡なる才能を発揮し勝負師として目覚めていく。彼がその素質を見せつけ、本格的に真剣勝負の道に足を踏み入れる……というところでおしまい。なかなか面白かったが、これはむしろ連載向きの話に思える。も少し長くやってもいいような。こいずみまり「コイズミ学習ブック」。今回は毛の話。毛といえば、足の親指の毛って切っても切ってもすぐに伸びてくるような気がしませんか。

【雑誌】FEEL YOUNG 11月号 祥伝社 B5平
 安野モヨコ「ハッピー・マニア」。モテ男の華麗なるコマシテクニック。間の取り方とかの表現が、実にうまくて楽しい。そして、「よく女たらしを男はバカにするけど たらされる気持ち良さときたら」という言葉の、なんとストレートに響くことか。南Q太「恋愛物語」。今回は特別番外編。おそらく実録なのであろう。漫画家兼主婦な女性に、別れた夫が離婚から5ヶ月経って初めて電話をかけてくる。子供に会いたいという。いつもより絵柄がかなりぞんざいで(雑というわけではないが)、元夫を突き放した表現がなんとも冷めきっていて切ない。

【雑誌】YOUNG YOU 11月号 集英社 B5平
 表紙は逢坂えみこだが今回は掲載されていないナリ。
 谷地恵美子「明日の王様」。ヒロインの有が書いた脚本が人々に認められ、有の名は一気に売れるが、それゆえに嫉妬も受けるようになる。でも自分の想いを大切に、一歩一歩前に進んでいくポジティブさが爽やかで、素直に面白い漫画だなあとしみじみ。岩館真理子「アマリリス」。5月号、8月号に掲載されたシリーズの続編。旅行雑誌の編集者・赤井くんと、元同僚で今は花屋の桃田さん。くっつきそうでくっつかない二人。赤井くんの先輩の娘さんの世話を二人で見ている間にちょっといいムードになるが、でも結局は現状維持。けっこうページ数はあるんだけど、安易にくっつけないあたりの距離感がコミカルでいい感じ。あとその娘さん、眼鏡をかけた小学生の女の子なのだが、内気そうで喋りだすと非常に饒舌でちょこまかとした可愛らしさがあって良い。岩館真理子の描く少女は可憐でいいなあ。


10/7(木)……仏領インドツナ

 涼しくなってきたので、おうちビールを350ml缶から250ml缶に変更することにした。飲む本数は変わらないので、量は7分の5に。ちなみに好きな銘柄はサッポロの黒ラベル。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 10/21 No.46 秋田書店 B5平
 板垣恵介「バキ」。新たな刺客はロシアの怪物。ガーレンさえ一蹴。なんか強さのインフレが進んでいて不安ではあるが……。能田達規「おまかせ!ピース電器店」。「モモコと腕を組んでイチャイチャしたい欲」が急激に高まるも、恥ずかしさもあるので、触覚を伝達してくれる腕組みロボットを作るケンタロー。今回はたいへんにアツアツで微笑ましくて、こっぱずかしくて良かった。とくにラストシーン。瀬口たかひろ「オヤマ!菊之助」。魚屋の女の子が、ひょんなことから「カリスマネコミミ鮮魚店女子高生」として社会現象に。しかも、言葉遣いもTV局などの要望を受け、語尾を「〜ニャ」に変更する。たいへん馬鹿馬鹿しく、かつ素晴らしいのニャ〜!!

【雑誌】ヤングジャンプ 10/21 No.45 集英社 B5中
 月イチシリーズ、山本康人「打撃天使ルリ」が掲載。打撃人間として、さらに進化しようとするルリ。「証拠も法律もあたしには必要ない」と言い放つルリの姿は、毅然として力強い。登場シーンで意味もなく足を天に向かって突き上げているあたりも馬鹿馬鹿しくてステキだ。あと、次号では高橋ツトムの読切作品「ROUTE 69」の前編が掲載されるらしい。ヤンジャンへの登場は「ALIVE」だけで終わるかと思っていたけど、まだ関係は続いていたらしい。

【雑誌】ヤングサンデー 10/21 No.45 小学館 B5中
 佐藤秀峰「海猿」。海上保安学校における潜水士訓練編が終了。痛ましい事故を乗り越え、まっすぐに未来を見つめて成長していく主人公たちの姿は力強くて、まさに青春という感じですがすがしかった。太陽星太郎「今日のだいちゃん」。ダーティーTVがだいちゃんをさらってきて開催されたイベント「24H DIE-CHAN SHOW」が開幕。狂騒的な宴の中、だいちゃんは虐待され、見世物としてさらされる。いよいよだいちゃんに迫る危機。恐ろしいことが起こりそうな雰囲気が漂う。次号どうなるか、注目。阿部潤「the山田家」。山田家の結婚記念日ということで、いつにも増してテンションの高い花子とトム。やってることは突拍子がなくても、降り注ぐ愛は常人の何倍ものボルテージ。

【雑誌】モーニング 10/21 No.45 講談社 B5中
 押川雲太郎の新連載「BET」がスタート。プロのギャンブラーと、彼のクセを盗んで勝ちを拾おうとする素人。この二人が中心となるギャンブル漫画の模様。けっこう力の入ったギャンブルものになりそうで楽しみ。……でも、今週のギャンブルものといったら高橋のぼる「リーマンギャンブラーマウス」だ。リーマンギャンブラー、篁が政財界の超大物の私邸に招かれたところ、そこに待っていたのは女体椅子、女体テーブル、女体花瓶。ここらへんの脂っこくて間抜けた展開にまず唸る。そして、ブリッジをしてテーブルをしている女は、以前女体盛りとして出てきた「インドまぐろ子」。この素晴らしきネーミングセンスにも圧倒されるが、その後の展開も面白い。自分の人間価値を賭けて、篁とインドまぐろ子が勝負に挑む。そしてあまりにもバッサリとした痛快な結末。素晴らしい〜。今号のイチオシ。三宅乱丈「ぶっせん」。うっとうしい絵柄で下らないギャグを繰り出してくる、仏教学校を舞台とするギャグ漫画。たいへん馬鹿馬鹿しくてお気に入り。それから今号では読切で登場の、匙田洋平「イルミネーション」も注目株。以前モーニング新マグナム増刊で「フラスコ」という作品を描いていた人。「フラスコ」は1/14 No.6(1998年12月17日の日記に感想アリ)に掲載。光の明滅によって人を催眠誘導する装置を使って悪事を働いていた変態男。しかし、ある日さらってきた女にはその装置がきかず。逆に罪を犯しているという弱みを握られた彼は、彼女にいいようにこきつかわれるようになるが……というお話。黒田硫黄を思い出させる(恐らく影響は受けているのであろう)薄暗さのある絵柄で、気怠さと不思議さを感じさせる作品に仕上がっている。ラストがちとヌルいし、小さくまとまった作品という印象があるので、「フラスコ」みたいな作品を期待してた人にはもの足りないのでは。でもまあその分、分かりやすくなってはいるので、間口は広くなったといえるかもしれない。

【単行本】「チョコの歌」3巻 架月弥 ソニー・マガジンズ B6
「きみとぼく」連載作品。田舎の出の美少女・圭都と、その彼氏の忍くんが東京の芸能学校に編入することになって、さあどうする、って感じの第3巻。絵柄は淡くてキュートでこぎれいなのだが、キャラクターたちが揃いも揃ってボケナスであるあたりが楽しい。ほろほろとほぐれていく描線がナチュラルな手触り。お話、絵柄ともにたいへんユルく、締まりがないのが魅力。


10/6(水)……ジエタイの復讐

 清涼院流水の最新刊、「カーニバル」シリーズ三部作の最終巻「カーニバル・デイ」を読了。う〜ん、今回はどうもスカッとしない。確かにスケールは無闇にデカくて、人類史上最大の事件というのはハッタリではない。ただ、「コズミック」「ジョーカー」で感じたほどの豪快な馬鹿っぷりがいまいち弱かった。なんといっても長すぎて、途中で飽きた。ただまあ、これだけたわけたお話を、これだけのスケールで書くというのはすごくはある。馬鹿と天才は紙一重というが、この人は紙の部分から馬鹿のほうに振れている。「カーニバル」シリーズは説明不足な点は山ほどあるし、素直に納得行く人はあんまりいないだろう。ハッキリいって現時点ではオススメしない。でも、これだけのテンションを持った人だけに、まかり間違うととんでもない作品を書いてしまわないとも限らない。そんなわけでつい読んでしまうのだけれども……。
 ところでこの清涼院流水のJDCシリーズ、漫画にするとけっこう面白そうな気がする。JDCとは日本の探偵が集まった一大組織なのだが、推理方法がそれぞれイカれていて、だじゃれ推理、とんち推理、ナンパ推理、100時間くらい徹夜すると解決があっという間に閃く「不眠閃考」だの、もうムチャクチャである。妊婦探偵、胎児探偵、読者探偵、作者探偵、編集者探偵……などなど、なんでも探偵にすればいいというわけでもあるまいに、といった感じ。世界観もぶっ飛んでるし、キャラクターもアクが強くて、漫画向きだと思うのだがいかに。今まで小説で発表されたのでなく、竜宮城之介あたりを主人公に据えて、中事件程度をネタにするといいのでは。

【雑誌】週刊少年サンデー 10/20 No.45 小学館 B5平
 満田拓也「MAJOR」。特待生のナックルボーラーはアッサリノックアウト。次はガタイのいい奴登場。外見から見るにやたら球が重いとかそういうタイプだろうか。作:坂田伸弘+画:万乗大智「DAN DOH!!」。弾道たちは中学生になって新展開。優香は髪を伸ばして、スタンダードな美少女っぽく変身。それにしても弾道はもう半ズボンは履かないのだろうか。大事なことなのに。

【雑誌】週刊少年マガジン 10/20 No.45 講談社 B5平
 森川ジョージ「はじめの一歩」。たいへんに馬鹿馬鹿しい必殺技を、あくまでマジメくさって描くあたりに思わず笑ってしまう。ここらへんのリズムの付け方がうまい。キャラクターがしっかり作ってあるからこういう変化球も生きるのだ。寺沢大介「将太の寿司」。魚を持ってきたところで勝負がつくかと思ったら、ちゃんと切島傀と将太の一騎討ちに突入。まあ漁師漫画じゃないんだから、ちゃんと寿司握らないとね。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 10/20 No.20 講談社 B5中
 咲香里「春よ、来い」。主人公のにーちゃんと妹のまふゆのレズ相手だった沙恵が急接近している間に、まふゆは彼氏のほかに新しいレズパートナーまで見つけてしまった気配。しかも今度はまふゆがタチか? 女の子キャラがさらに増えて華やかさアップ。目黒三吉「びわこでチュッ!」。絵は文句なくうまいし、センス良さげな雰囲気は漂っているのだけど、最近どうもストレートにヒットしない。まあようするにあんまり面白く感じないということだ。目黒三吉ってあんまりお話作りはうまくない人なのかも……とか思いつつあるので、ここはイッパツ、ドカーンと面白いお話をまた描いてもらいたいものだ。センター2色カラーで地下沢中也の新連載「ガネコ村物語」。都会から田舎の村に引っ越してきた家族が、なんかいろいろゴチャゴチャやるお話になりそう。ぶっ飛んだ展開を期待。地下沢中也はお話があさっての方向に行けば行くほど面白いので。

【雑誌】ヤングヒップ 11月号 ワニマガジン B5中
 以前は激漫で連載されていた氷室芹夏「水の誘惑」がヤングヒップで復活。というわけで買ってみた。基本的には激漫で連載されていた話から直接続いており、描き直しとかそういうのではない。独占欲が高じて大好きだったかずやを縛りつけていた碧だが、かずやが反発してそのうちあずみという彼女ができ……といった三角関係。好きなのに素直になれない碧の意地の張り方、脆さがいじらしい。絵も申し分なくうまいし。井荻寿一「霊能探偵ミコ」。ああ、ミコさんはいいなあ。上品で色っぽくて……。今回から始まったシリーズはミコの依頼主がかなり悪者っぽい。ミコさんが卑劣な手段によってHな目に遭っていただけると、チリチリと刺激的でいやらしくっていいだろうなあと夢想する。最終ページ(および扉)で出てきた、なんか重要な意味を持ってきそうなバニー姿の眼鏡ねーちゃんもいいぞ。

【単行本】「どいつもこいつも」2巻 雁須磨子 白泉社 新書判
 メロディ連載中の「花の自衛隊グラフィティ」。外見はかわいいんだけど無能で天然ボケなWAC(婦人自衛官)の朱野を中心として、自衛官のほのぼのした生活を描く。描かれるシーンは、肝試しだったり、ソフトボール大会だったり、バレンタインデーのドタバタだったりと、完全に学園モノのノリ。実に呑気でユルい。ちょっと有川祐にも似たのほほんとした絵柄もそのユルさを助長する。もちろんこれを読んで「自衛官なんてこんなもん」と思うわけにはいかないけれども、この脳天気さがたいへんに楽しくてよろしいじゃありませんか、といった一作。

【単行本】「海猿」3巻 佐藤秀峰 小学館 B6
 海上保安官である大輔が、人が生きるか死ぬかというギリギリの海難事故を経験し、その中で強く成長していく物語。極限状況におけるギリギリの判断、そして苦悩が描かれ、実に直球的な読みごたえがある。絵もお話も、まっすぐぶつかってくる感じで、けして逃げない。その姿勢に好感が持てる。たぶん少年誌で描かせても十分にいけるであろう。現在、大上段な少年漫画を正面切って描ける人って案外少ない。貴重な才能である。


10/5(火)……宿命のライヴェル

 誰に指摘されるまでもなく自分で感じてはいるのだが、どうも最近、文章が弱い。つまらん。そして自分の勉強不足をひしひしと感じる。何から始めたらいいのか分からないけど、とりあえずいろいろ強まらねば。今まではだましだましやってきたけれども、そろそろなんとかしなければいけない時期だ。ていうか強まりはいつも意識する。ソレ、ジューヨー。

【雑誌】ヤングキング 10/18 No.20 少年画報社 B5中
 そういえば買い忘れていた……。第2第4月曜日発売。ちゃんと覚えておかないと。
 吉田聡「荒くれKnight」が100回記念。ということで連載作家陣やほかの雑誌で描いている漫画家からのお祝い色紙なんかを掲載している。今どき100回で特別企画やるのも珍しいかも。とはいえ、この雑誌は月2だから100回まで4年かかってしまうけれども。佐野タカシ「イケてる2人」。18ページ9パンチラ。パンチラ度数50。

【雑誌】花とゆめ 10/20 No.21 白泉社 B5平
 高尾滋「トゥモロウランド」。短期集中新連載。勝ち気な顔の女の子が、家に書き置きを残しただけで突如旅行に。たどり着いた先は、不思議な雰囲気の森の中にある「迷路館」という宿。そこで彼女は、ちょこまかとつきまとまってくるが妙にほっとする雰囲気を持った不思議な少年に出会う。彼と話しているうちに、だんだん優しい気持ちになっていく彼女。実はこの館は心に迷いを持つ者だけがたどり着ける場所であるらしいのだが……といった感じ。高尾滋の絵柄は上品で淡くて、そしてサッパリと気持ちがいい。崩した絵も可愛らしいし。いい絵だなあ。日渡早紀「宇宙なボクら!」。ヒロインの女の子がいつもモジモジメソメソしているのがカワイイ。自分で自分のことを魔女といっているような人だけど。それから樋口橘「手紙」。見た目はいいんだけどオタクで暗い性格の女の子、京野都はクラスでも浮いている。同じクラスに好きな男子がいるんだけど、不器用で控えめな彼女はもちろん告ることもできない。で、ある日、花とゆめの文通欄を見て、文通を始めるのだがその相手は実は彼女が片想いしている男子であった。相手は都のことを知っているのだが、彼女は相手が彼であることを知らない。いつも学校でそばにいる相手との、内緒の文通が続くうちに男も都に惹かれていくが……というお話。ちょっと望月花梨にも似た感じの絵柄。ちょっと切なくてちょっと間が抜けていて、かつトキメキもあってとなかなかうまい。初単行本「スワンレイク」が12月発売決定。買ってみようかな〜。

【単行本】「MAXI」 TAGRO 白夜書房 A5
 エロ漫画読みならずとも必買、であろう。この単行本に収録された「LIVEWELL」にはそれだけの価値がある。幸い表紙はエロ漫画っぽくないので買いやすいはずだ。
「LIVEWELL」は同人誌「PARKING!5」が初出の作品である。主人公の青年は、自殺願望があって躁と鬱の間を行き来している女性と一緒に暮らしている。自分を置いて死を選ぼうとする彼女の言葉は、男の心に鋭く突き刺さり、ギリギリとねじり上げる。彼は結局は何もできず、定期的に彼女を襲う鬱により傷つき続ける。今回の単行本収録作品では、いかにも美少女漫画的な線の細い絵柄と、TAGRO本来の絵柄であるカチッとしてクッキリした少し寸詰まった絵柄が使い分けられている。「LIVEWELL」で使われている絵柄は後者だ。一見単純でコミカル印象。しかし、画面全体には静寂と緊張感が充満している。そして発せられる心を抉るようなワードの数々。丁寧に丁寧に、一つひとつの言葉、表現を紙に載せていき、不純物を排したギリギリのところから絞り出されたような痛切なメッセージは読者の心を打つ。まぎれもなく傑作である。今までは「PARKING!5」を買った、おそらく500人にも満たないような人間しかこの作品を読むことができなかったわけだが、こうしてたくさんの人が読めるような状況になったことはたいへんに喜ばしい。でも、他人に読ませず大事に大事にしまっておきたいような、そんな作品でもある。
 さて、そのほかの作品はわりとお気楽なものが多い。基本的にTAGRO本来の絵柄に分類されるもののほうがイキイキとしているような気はするが、美少女漫画絵のほうもけっこうイケル。単乳、多乳ものなど、ぶっ飛んだ作品もある。でもやはり、この作品集は「LIVEWELL」だ。これ一作読むためでも1050円はけして高くない。

【単行本】「殺し屋イチ」5巻 山本英夫 小学館 B6
 垣原組を本格的につぶしにかかるジジイたちとイチ。まずはイチが垣原組組員たちを殺害するシーンのアクション。イチの刃がスパリスパリと肉体を切り刻んでいく感覚自体は気持ち良いが、その結果はとても血なまぐさい。そしてその殺害現場を見て、男根を勃起させ興奮させる垣原の異常さ。さらには新キャラクターの暴虐ジゴロ兄弟。隅から隅まで濃厚でギチギチに内容が詰まっている。山本英夫の描く暴力シーンは、読む者に、ヌルヌルした血の肌触り、生臭さをダイレクトに身体感覚として呼び起こさせる。六田登の「ICHIGO」のセリフのように、殺されるのがタダの端役に過ぎなくても、それが死体になった途端、圧倒的なリアルさと存在感を持つに至る。それでも、生きている主要キャラクターたちは、死体を上回るほどに強烈な個性を持っている。「殺し屋イチ」には、血液のドス黒さがよく似合う。

【単行本】「デカスロン」23巻 山田芳裕 小学館 B6
 単行本データは山田芳裕のページに。  想像以上に長期連載となったがこれにて最終巻。最後の最後まで万吉は馬鹿を貫いてくれて、非常にかっこよかった。とくに最後の1500m走のゴール寸前の瞬間の見開きの連続。ダン・オブライエンが呆気にとられる目の前に、万吉の馬鹿丸出しの笑顔。最後の最後で、エネルギーをドバッと解放させ、非常に痛快だった。途中ダレた展開もあったが、総じてキャラクターも強力だったし面白かった。満足満足。次回作はそろそろ短編が読みたい。


10/4(月)……パスタバスター

 知り合いの方にお願いしてMODチップをオフにするためのスイッチを俺プレステに装着していただく。これでプロテクトかかっているソフトやるときも安心だねー。持つべきものは濃い知り合いですな!

【雑誌】ヤングキングダム 11/4 No.11 少年画報社 B5中
 佐野タカシ「イケてる刑事」。今回も元気にパンチラ。試みに数えてみた。今回のページ数18。パンチラ数19。ほぼ1ページ1パンチラ。というわけでパンチラ数÷ページ数に100をかけた数値を漫画におけるパンチラ度数(単位:PC)とするならば、今回の場合は105.6PC。大石まさる「みずいろ」。昼寝する清美が色っぽくてよろしい。今回は単行本の影響か、若干絵が荒れ気味かな。なめぞう「東京BIGCITY」。とくに目標もなんもない男が「本当の自分探し」という言葉を妙に気に入ってしまい、ふらふらとあてどない生活を続ける。今回はいつにも増してキャラクターの顔がひんまがっていてたいへんにアクが強い。なめぞうはどの雑誌に行ってもなんだか浮いてしまう人だ。空回りのエネルギーがかなりのレベルに達していて、過剰で好きだ。クセがありすぎるくらいある人だが、こういう人がちゃんと作品を発表し続けていってくれているというのはうれしいことである。島崎康行「雪子は甲子園」。甲子園を目指すモテモテの野球部キャプテン。その幼馴染みの女の子も彼のことが好きなのだが、引っ込み思案な彼女はなかなか言い出せない。そしてある日、意を決して告白したらうまくいった……というお話。ではあるのだが、表現がやたらに濃厚。キャプテンの目つきはあらぬ方向を向いていて、血管がぶち切れそう。そのほかのキャラクターの表情も浅ましくて邪悪。絵柄などの感じは、駕籠真太郎に似たものがある。さすがに駕籠真太郎ほどのすごさではにないが、なんだかイヤな味わいがあって楽しい。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 10/18 No.44 小学館 B5中
 浦沢直樹の新連載「20世紀少年」がスタート。腕白少年たちが昔交わした本当の友達の約束と、その印となるマークが鍵となって、なんだか怪しい展開になっていきそうな感じだが。今回の段階ではどういうお話になるのかまだあまり見えてこない。でもとりあえずうたい文句は「本格科学冒険漫画」だそうだ。最近、少年サンデーで石渡治「パスポート・ブルー」、ヤングアニマルであさりよしとお「なつのロケット」が出てきて宇宙モノが復活気味だが、スピリッツでも科学冒険となるといよいよ時代はSF……となるのかなあ? 山本康人「僕」。僕、こと鈴木ひろしは強くなるためにボクシングジムに入門しようかどうか迷い中。今回のラストページのアオリ文句は、「”ズン”ときた… 今の”僕”には ”ズン”ときた……」「次号も”ズンズン”くる!?」。前にも「”僕”爆誕!!」などといった言葉があったが、この漫画はアオリ文句もなかなかイカしている。山本直樹「ビリーバーズ」。『議長』さんと追い出して二人っきりになった『副議長』さんと『オペレーター』さん。日がな一日セックスに明け暮れ、食物の採取も積極的に行い、どんどん教えに背いていく。潮だまりに迷い込んだイルカを見て、実に爽やかに澄んだ表情で「おいしそう……」と呟く『副議長』さんの開き直りっぷりにゾクリとする。ただ、その一見穏やかな生活も次号で激変してしまうらしいのだが……。さてどうなるどうなる。江川達也「東京大学物語」。ことあるごとに村上にタテついてきた谷口さん。村上と徹底的に本音をさらけだし合う。結局、「自分は遥が好きだがほかの女の子もみんなみんな好きな気の多い男」であるという結論に達した村上の姿が、身もフタもなくて笑ってしまった。この作品、ある一定の周期で面白くなったり読むのがつらくなったりを繰り返しているような気がする。

【雑誌】ヤングマガジン 10/18 No.44 講談社 B5中
 小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。おしゃれさんは女にモテることを知り、鉄郎が無駄な努力を開始。クロワッサンをかじりながらカプチーノを飲む鉄郎。その横には巨大冷蔵庫シグマが2基。ファッションリーダーの「僕らの間で流行ってる遊びといったらクワタガにおちんちんを挟ませる事」という言葉を真に受け、クワガタを飼い始める。なんかブツブツとうんちくを呟きながらクワガタにエサをやる鉄郎の姿がとても下らなくていい感じだ。それから3週連続86P読切で、怪作「唇にパンク」で世界的に有名な(若干誇張)笠原倫が登場。タイトルは「THE PASTAMAN ジェンマ」。最初のツカミからヘンテコである。鳥取砂丘でコンビニメシを食っている若者のスパゲティを奪い取り、フライパンに入れてワインで炒め直し、見違えるほどに(食い違えるほどに?)うまいものに変身させる。砂丘だというのにコート、帽子を目深にかぶるその男の名はジェンマ。彼はマフィアに拳銃で舌を潰され、嗅覚を頼りに料理を続けるパスタマンであった。キテレツなお話を強引な展開と力強さでねじふせてしまう作風は健在。残り2週分にも期待。華倫変「デッド・トリック!」。事件は犯人と思しき生徒の自殺でいちおう幕を閉じるが、納得のできない一森は謎の警部、畠山の強力を仰ごうとする。徳子さんの話では屍姦が趣味でスカトロ好き、少女の局部写真蒐集家だったりするナイスガイらしいのだが。どんなクズ野郎なのかぜひ拝見したい。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 10/18 No.45 集英社 B5平
 作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。ヒカルが塔矢アキラとの差を実感し、碁の修行に励む。佐為というこれ以上ないくらいの師のおかげで上達は早い。まっすぐ健全に少年漫画的展開をしていていいですなあ。読切、原淳「秘密会議みどりの会」。戦隊モノでとかく無視されがちな緑色の隊員(ミドレンジャーみたいな人たち)が集まって、みどりの無視されっぷりを報告し合う。技術的にはまだまだではあるが、目のつけどころがなかなか下らなくてよろしい。こういう新人さんの読切を載せるのはジャンプの偉いところ。樋口大輔「ホイッスル!」。今週は一転、女子サッカー部のお話。風祭くんにトキメく女の子も出てきて、華やかな感じになってきた。あずまけいしん「CHILDRAGON」は今週で最終回。ところどころで光るものはあったのだけど、まあ仕方ないかな。


10/3(日)……気まずーいうずまき

 本日メールで「『ぷりぷり県』2巻で出てくる『地方ふぁん』の版元、周辺社のURL、http://www.shuhensha.no.jp/は実在するのでしょうか」という質問があったのだが、記載されていたその人のメールアドレスが間違っていて返事が送れなかったので、こちらで回答させていただきます(見てないかもしれないけど)。
 回答:現在jpドメインには「no.jp」というのは存在しないはずなので、架空のものと思われます。

 このメールに限らないのだけど、最近メールアドレスが未記入および誤記されたメールをいくつか受け取った。中にはあやふやなアドレスが三つばかし書いてあって、その中のいずれかが正しいアドレス(ほかの二つはハズレ)……という困ったものも。しかも質問メールで。こちらとしてはいただいたメールにはなるべく返事を書きたいと思っておりますので(まああまりにトンチキな奴は無視しますが)、メールをお送りいただくときはご注意のほどよろしくお願いします。基本的に俺はしゃべりたがりなタイプなので、メールをもらいっぱなしでこっちが何もいえない状況というのはたいへんにフラストレーションがたまる。メールアドレスをお持ちでない方は掲示板にでも書き込んでいただけたほうが、こちらとしても返事できるのでありがたく思うのであります。

【雑誌】きみとぼく 11月号 ソニー・マガジンズ B5平
 発売日は24日のはずだが、すっかり買い忘れていた。
 植木家朗「南北高校番長部」。今回で最終回。この人のノリの良い作風はけっこう好き。少年サンデー系のギャグ漫画にありそうな作風。ただ、この作品自体はも少し暴れても良かったような気はする。ラヴコメ風味は薄くても良かったかも。藤原薫「おまえが世界をこわしたいなら」。外見は人間と一緒なのに、血を呑まずには生きられず、普通の世界に留まることのできない吸血鬼たちの哀しみがあふれる。閉塞しきって、精神の危ういバランスを保ちながら生きる彼らの姿が、痛々しく描かれていて良い。神経質な絵柄も効果的に作用している。藤枝とおる「レンアイアレルギー」。こちらはクッキリした線で、堂々としている。絵はうまいし、画面もスッキリしておりスラスラ読める。花樹いちや「Eve」。肉体が液状化する少女・大虹と、同じ体質を持つ少年・宇頭木がさらわれピンチに陥る。そして大虹の恋人である宮沢は気が気じゃない。肉体液状化という奇抜な設定でキャラクターは立っているし、技術もけっこう上達してきており読ませる。
 なお、今月は架月弥「チョコの歌」は休載。

【単行本】「FLAT」 村田蓮爾編 ワニマガジン A4
「快楽天」の表紙などで名高いやたら絵のうまい人、村田蓮爾が責任編集した豪華な本。装丁から中身の人選まで凝りまくっている。オールカラーで、ハードカバーに入った2分冊の中身は、表紙にパンチ穴が開けられデザインもシンプルでクールでかっちょいい。執筆陣は浅田寅ヲ、浅田弘幸、安倍吉俊、OKAMA、草ナギ琢人(ナギは弓へんに剪)、沓澤龍一郎、こと、小林治、佐藤肇、たかたよしあき、田島昭宇、多田由美、田中達之、寺田克也、トク、トレヴァー・ブラウン、西坂潤、韮沢靖、中井幸生、HIMEKO、睦、前田真宏、籬讒贓、松本嵩春、むらかわみちお、森本晃司、山崎貴一、YUG、羊子、村田蓮爾。
 執筆陣をざーっと見ただけで分かる人は分かると思うが、いずれ劣らぬ当代を代表する達者な漫画絵描きの人が集まっている。類は友を呼ぶというか、よくこれだけ集めたもの。そしてやはり中身のクオリティもたいへんに高い。快楽天での予告を見たとき、なんか画集という色合いが強そうだったので、一枚絵ではあんまり感動できないタイプの俺としては買わないでおこうかと思ったのだが、案外と漫画の割合も多くてうれしい誤算。現代漫画絵の最新モードがここに集結って感じでスゴイですな。
 ……というわけでスゴイ本だとは思う。3600円するけど、買わないで後悔するよりは買って唸れといいたい。ただ、これが面白いかというと全面的にイエスとはいいにくい。絵は確かに達者である。クオリティには不満がない。でも、一つひとつの作品を読み込もうという気にいまいちなれず「ふーんスゴイなー」という具合に、パラパラーッとめくる感じになってしまう。まあこれは俺が絵画寄りの人ではないというのもあるのだろうけど、漫画のヴォリュームがないのでやっぱ引き込まれないというのはある。あと、基本的に村田蓮爾責任編集ということで、彼の趣味で人選が統一されている。遊びがないといってもいいくらいに。雑誌的な読み方をするならば、統一感がありすぎるというのは息がつまる。どんなにおいしい食パンでも、ほかの副食物なしに一斤を一度に食えといわれたら食っているうちに飽きる。そういう感覚に近い。だからそうならないためにも、少しずつ大事にチビチビと読んでいくのが得策かもしれない。

【単行本】「うずまき」3巻 伊藤潤二 小学館 A5
 これにて完結。うずまきというモチーフを中心として、数々の奇想を紬ぎ出す。最初はちょっとした奇妙な現象でしかなかったうずまきが、どんどん町を覆い尽くし、ついにはすべてがうずまきへと収斂していく過程はたいへんに読みごたえがあった。とくに最終話の、うずまきあふれ静寂が支配する大空洞の描写は、美しく禍々しく、そして神々しくさえあった。内から始まって外へと拡散していくうずまき、外から始まって限りなく内へと潜り込んでいくうずまき。うずまきというもの記号にはなんとはなしに神秘的な感じが漂っているが、それを拡大し純化し煮詰めて圧倒的な世界観ができ上がっている。見事であった。

【単行本】「ギャラリーフェイク」17巻 細野不二彦 小学館 B6
 すでに熟練の味。元メトロポリタン美術館キュレーターで、現在は贋作専門の「ギャラリーフェイク」を経営する藤田玲二を主人公としたこの連載もすでに17巻め。数々の美術品を中心として、駆け引きやら人情をうまいバランスで取り混ぜ、きっちり読ませる腕はさすが細野不二彦。

【単行本】「ベルセルク」18巻 三浦建太郎 白泉社 B6
「断罪篇 生誕祭の章」へ突入。ガッツはキャスカの後を追い「断罪の塔」へと向かう。「蝕」が再び再現されようかという禍々しい予感、非常で暴虐でかつ篤い信仰心をも持つ異端審問官・モズグス、心の中に炎による嗜虐への性的嗜好を秘める聖鉄鎖騎士団・ファルネーゼ……と、舞台、そして役者が続々と集結しつつある。そういった部分の描写が多いため、この巻ではガッツの出番は少なめだが、拷問やサバトの描写なども濃厚でだいぶ力の入ったシリーズとなっている。これからの展開はかなり大掛かりなものになりそうで、否が応でも期待は高まろうというもの。


10/2(土)……ゴクド計画

 青林堂のWebページによると、ガロの復刊が正式に決定したらしい。復刊第1号の発売は12月10日の予定。まずはめでたい。なお、単行本発行予定表に9月発売と出ていた逆柱いみり「ケキャール社顛末記」は11月に延期されている模様。

【雑誌】漫画ホットミルク 11月号 コアマガジン B5平
 山文京伝の新連載「砂の鎖」がスタート。平凡な家庭に預けられた少年。彼によって家庭は蝕まれていき、奥さんは肉奴隷として調教されていく……といった感じのお話になりそうな気配。ハードで徹底したエロ描写では定評のある山文京伝だけに、この作品もかなりエロエロになりそう。期待大。ほしのふうた「春のあらしの保健係」。増刊のぷちみるくなどで活躍している人。つまりはロリ系。この人の絵柄は、幼年向け雑誌にでも載っていそうな、無邪気な雰囲気がある。作風も弾むようにあっけらかんとしていて、なんだか見ていて微笑ましい。やることはやってるんだけど、後ろめたさがなくあくまで楽しげなのだ。瓦敬助「菜々子さん的な日常」。今回も菜々子さんは開けっぴろげでぷりぷりした魅力。この作品、かなり好き。単行本にまとまるにはページ数は少ないんだけど、いつかぜひ。G=ヒコロウ「みんなはどぅ?」は久しぶりの登場。なんでも5連発で原稿落としてたらしい。豪快ですな。

【単行本】「弥次喜多 in DEEP」3巻 しりあがり寿 アスペクト A5
 弥次さん喜多さんの、夢とも現ともつかない旅はさらに続く。ラフでゆらゆらとした描線が、現実感を狂わせる。2巻から続く、廃棄物の山の中、死の世界で生まれた新しい生命の姿を描く「幸」シリーズがまず冒頭で完結し、3話ほど挟んで「晩餐会」シリーズへとお話は移っていく。この「晩餐会」シリーズでは、喜多さんは薄暗い密室で5人の老若男女と犬に囲まれお伊勢さまの話をせきたてられ、弥次さんは花園で美女たちに次々と食物を口に詰め込まれる。状況説明がまったくない不条理な世界で、わけもわからず進展していく事態。やたらと焦燥感をあおる周りの人々。薄暗くたいへんに不気味で、生と死の境目のゾクリとする不可解な領域まで踏み込む力作シリーズである。何かと何かの境界線を、ふらふらしながら弥次喜多の旅を続く。しりあがり寿はこの作品で、高みも深遠もともに見せつけてくる。

【単行本】「運び屋ケン」4巻 深谷陽 集英社 B6
 アジアを中心として「運び屋」稼業をしている日本人・ケンの奮闘を描く物語。これで最終巻。ケンとその相棒タカシの幼馴染みの女性を巡って二人が争うエピソードが中心となっている。深谷陽は人物もうまいけど風景の描写もいい。東南アジア系の風土の空気、温度、湿度、匂いを感じさせる。ラストのエピソードは短くて若干もの足りなさを感じないでもないが、アクションを織り交ぜきっちりお話を作ってくる腕は見事。ぜひまたなんか面白い作品を期待したい。

【単行本】「悟空道」9巻 山口貴由 秋田書店 新書判
 悟空が滅法国の王殿の城に乗り込んでー、三蔵は王殿の子供をみごもらされてーといった展開。一つひとつの表現はやはりテンションが高いのだが、この作品においてはいまいち滑っている感が否めない。この巻で一番目をひいたシーンは、王殿の刀によって如意棒が半分ほど縦に切れ目を入れられるシーン。先っぽに縦割れのできた如意棒はまるで巨大な男根のごとし。たぶん狙ってやっているんだとは思う。


10/1(金)……うさぎでクー!!

 picnic.toサーバーオープンに向け、今日は初期費用の払い込み。けっこうエクスペンシヴだったが、その痛みがいつか快感に変わる日まで、僕は一歩一歩、大地を踏み締めて歩んでいくのだろう。

【雑誌】コミックエデン Vol.1 兎菊書房 A5平
 9/29の日記の冒頭で触れたコミックエデン発売である。発行部数は少ないはずだけど、兎菊書房(うさぎくしょぼう)のWebサイトから通販もできるので一つよろしく。
 作家陣(詳しくは前述の9/29の日記参照)はガロ系の流れを汲む。まず巻頭カラーはあびゅうきょの4色カラー4ページ「絶望廃墟要塞'99」。美しい絵に、あびゅうきょならではの煮詰まったワードが乗る。「邪悪なものに犯された乙女達を浄化するために 邪教徒どもに復讐の閃光を解き放とう」。同人誌ほどにメッセージは強烈ではないが、やはりあびゅうきょ先生はホンモノだと思う。ただ、文字が白抜きで4色カラーだと読みにくいのはちょっと惜しい。そのぶん絵は生きているので痛しかゆしというところか。山口綾子「Babyいびつ」は75ページもある力作。普通の学校とそこに通う女子高生たち、のように見えるが世界は歪んでいる。主人公の少女の友達が妊娠するが、生まれた赤ん坊は先生に預けられ、ビニール袋に入れられて赤ん坊はゴミ箱に捨てられている。しかも異様に小さい。袋から出すと赤ん坊は膨張し、また縮む。確固とした立脚点が読者に与えられないまま、世界は不安定に、物語はふらふらと進む。読んでいるとグラグラと酔っ払ったような気分になれる一作。
 細川貂々「オノマトペ」。抑えめなトーンで描かれた、ちょっと不思議で少年ゴコロのある物語。キラキラと輝く水晶の光がファンタジック。新谷明弘「つかれゼリー」は、彼らしい呑気でかつ不思議でどことなくSF的な香り漂うお話。少年が道でみつけたスライム状のぶよぶよした物質。それがつかれゼリー。人間の首筋から抽出される、疲れを具現化したエキスである。それに砂糖を混ぜるとなんとヤクルトのでき上がり。ラストはちと中途半端な感じはするが、描き込みは細部まで丹念でいい雰囲気。福満しげゆき「不完全少年」。イヤな街でベンチに腰かけている疲れ果てた少年の前に、袋を頭にかぶった男登場。いきなりギターを弾きはじめる。さらには袋男にうしろから抱え込まれ、袋をかぶったイヌがその前でハーモニカを吹き始める。福満しげゆきの絵柄は、不安定でなんとも頼りない。たいへんおぼつかない感じではあるのだが見ていると何やら心が安らぎ、それがなんとも味になっている。
 有川祐「星になっちゃった」は、夢と現実の境めがなくなってしまったかのような、ファンタジックな物語。中盤からラストにかけては、きれいだけど孤独な、切ない雰囲気をたたえている。あえて絵を簡略なものにしているのもスカスカな感じが出ていて効果的に作用している。津野裕子「エリクシル」。これはまたなんとも夢のように、イメージが幻惑的につなぎ合わされ、不可思議な作品となっている。ふわふわと現実感を持たぬ物語が、なまめかしく読者に迫ってくるのは津野裕子ならでは。この人はまさに異能者である。

 ……そんなわけで、曲者揃いで濃い雑誌に仕上がっている。読むのにけっこう時間がかかったし、たっぷり楽しませていただいた。ぜひ次の号が早期に出ることを祈りたい。あと自分が書いた原稿についてちょっとだけ言い訳。「異色作家初単行本評」というコーナー、基本的に98年初単行本の人から選んでいるので、新顔というには若干古くなっている。でもこれは雑誌の発行スケジュールが遅延したためで、あえてフレッシュでないものを選んでいるわけではないのである。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 10/15 No.20 小学館 B5中
 後述するように単行本7巻が発売された、高田靖彦「演歌の達」は今回も良い。絵もお話の組み立ても実にしっかりとしていて力強く読ます。作:北沢未也+画:おおつぼマキ「嫁入り前なの!」は今回で最終回。思い込み激しき小学4年生の少女・ももよの初恋……というよりも、貧乏な少年に対する献身による自己陶酔はあっけなく終了。なんかわりとアッサリ。ももよは自己中心的で図々しかったけど、キュートな感じでかわいかった。

【雑誌】ビジネスジャンプ 10/15 No.21 集英社 B5中
 冬目景「イエスタデイをうたって」。やはり予想どおり、リクオと晴は単純にデートってわけには行かなそうな気配。最近、晴の弱い面が見えてきて、より入れ込んでしまいそうな感じ。といいつつキャラ萌えは全然しない俺なのだが。塩崎雄二「日刊タチバナ」。少し季節外れだが海。塩崎雄二の描く女の子は健康的だけど色っぽさもあって好き。甲斐谷忍「ワンナウツ」。ストレートと抜群の駆け引きだけで打者を牛耳り続ける主人公・渡久地と、天才打者との対決。一球一球の読み合い、ダマシ合いの駆け引きが虚虚実実でなかなか面白い。作:近藤雅之+画:有賀照人「警視総監アサミ」が新連載。セクシー女制服刑事モノ。

【単行本】「演歌の達」7巻 高田靖彦 小学館 B6
 あらずじ等、オスマンもどぞ。
 今回の巻でも達はやはりまっすぐで不器用で、土性骨が据わっていて実に気持ちの良い男である。収録されたお話の中では、達の斬新な試みによって再び返り咲いた演歌界の実力者・天野の、かつての師匠とのわだかまりを払拭するべく達が奮闘するエピソードがたいへんに感動的。どんな事態になっても、悩み迷うことから逃げずに真っ正面からぶつかっていく達の熱意が人を動かす。一歩間違えばタダの人情モノになってしまいがちなストーリーではあるのだが、高田靖彦の地に足の着いた表現により読みごたえのあるお話に仕上がっている。人生に迷ってへこんだ気持ちになりそうなときに読むと元気が出てくる、男はど根性な一品。

【単行本】「MOMONE」4巻 友永和 一水社 A5
 大河女教師凌辱モノ連載もついに完結である。思えば第1巻が出たのが1995年。5年もの時間をかけて、あまたの男どもに桃音先生は凌辱され続けてきたわけだ。もう年がら年中のべつまくなし、普通に生活している時間よりもやられている時間のほうが多いのではないかといった感じ。友永和の漫画のいいところは、とにかく実用的なところ。物語はステロタイプであるが、はちきれんばかりのプロポーション、やたらに立ちまくる乳首、豊富な体液、過激な露出と、どの場面においても現実離れして冷めてしまうラインを踏み越えないギリギリのところまでいやらしさが強調して描写される。揉みつぶされる乳などの描写も見事で、かなりのおっぱい星人である。残念なところとしては、男のキャラクターがいまいちうまくないというか邪悪さが足りないところだ。それでも実用度は群を抜く。ちなみにこの「MOMONE」シリーズ、いずれも表紙は下品なので買いにくいこと請け合い。


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