◆ 2000年12月上旬 ◆

12/1〜10
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12/10(日)……アーカード鈴之助

 WestRiverさんのところで「2000年度マイナーだけど面白い漫画ベスト!」というアンケート企画が始まったようです。というわけでリンク張らせていただきますです。思えば、ウチの月極アンケートを始めるさい、昨年の同企画を参考にさせていただいたりしました。改めて感謝です。

 それはさておき、ウチのほうでも2000年ベスト的なものをやろうかなーと考えてはいるのだけど、マイナーでないものを含めたとしてもかなり2番煎じくさくなってしまうんで、切り口を変えたものをやろうとは思ってます。とりあえず2000年ベスト新人というのは計画中なれど、「新人」という言葉の定義が難しい。「初単行本を出した作家」となるとかなり実績のある人も混じってしまうし、「新人だと思ってたけど実はデビューはそれより前だった」というパターンもかなり多くなるだろうし。2000年ベスト新人、およびそのほかの2000年ベスト系アンケートでいいアイディアとかありましたら、「アンケートをとってほしいテーマ」のアンケートか掲示板あたりにご意見いただければ幸いです。

 書き出しをですます体にすると、途中でである体にシフトチェンジするのは難しいことであるなあ。

【雑誌】ガロ 1月号 青林堂 B5平
 大越孝太郎「天国に結ぶ恋」。いいですなあ。シャム双生児な兄妹は見世物小屋の人気者になるも、美しく育ちつつある妹に、守るべき者とばかりもいえなくなりつつある妹に、兄は戸惑いを隠せず。絵の美しさが、ダイレクトに作品の魅力となるような筋立て。津野裕子「トランス・トランス」。今回は分かりやすいお話で、ストレートに可愛らしい。とても良いです。女の子は可愛らしいし、彼女と幼馴染みのヒカルくんが並んでいる構図は微笑ましいし。キクチヒロノリ「産院ミドリゴ」。ズバッと最終回。またなんかヘンなことやってますなあ。これ単行本でまとめ読みしたら相当クラクラくるはず。出してくださいませー。

 パルコ木下「漂流教室」。センセーがだんだん生徒の母子家庭に深入りしてっちゃっててタイヘンな感じです。ちょいとエロいですな。逆柱いみり「岩テレビ」。無表情にヘンな踊りを踊るブランニューアマゾンがたいへんにイカす。ゆらーりゆらーり。ガロ大賞入選作品、高浜寛「あそこ、美しい2つの太陽」。なかなか読ます作品。一組の不倫カップルの物語なのだが、微妙な思惑が入り混じるやりとりとか、ちょっと意外で余韻を残すラストとか、味のあるお話だった。

【雑誌】エースネクスト 1月号 角川書店 B5平
 岩原裕二の新連載「地球美紗樹」がスタート。博士と呼ばれていた祖父から引き継いだ屋敷に、父と共に越してきた少女・美沙樹。その屋敷のすぐそばにある湖。その湖には恐竜の生き残りが棲んでいるといわれており、実際美沙樹は出会ってしまうのだ。その一頭に。そしてその恐竜、なぜか美沙樹にすごくなついてしまう。さらに実は驚くべき能力をも持っていたりして……。というわけで美沙樹と恐竜の、不思議な物語が始まるぞ〜といった感じ。岩原裕二の手触り滑らかな絵はやはりこの作品でも健在で、とても魅力的。快活なお話になりそうでこれからが楽しみ。

 安倍吉俊「NIEA_7」。どこどことギャグから入り突っ走るかと思ったら、途中でうまいこと方向転換。ちょっとセンチメンタルに気持ち良く締めるあたりは大したもんです。とか思ってたら、今回で一応の最終回だそうな。2月10日発売のAN3月号に特別編が掲載されるとのこと(うー、エースネクストのほうでやってほしかったー。絶対買い忘れそう)。まあとにかく、ここまででも十分気持ち良い締めくくりだった。宇宙人たちの相変わらずな日常っぷりがかいま見えて。ではさようなら(あ、まだか)。

 ところで「木島日記」2巻は12/25発売となった模様。じんぐるべるァ。

【単行本】「HELLSING」3巻 平野耕太 少年画報社 B6
 おなじみ吸血鬼アーカードさん、メタクソぶっ放し血みどろ大暴れシリーズ第3弾がやって来たですよ。今回もアーカードさんは、高圧的、支配的、凶悪的、冷酷的、圧倒的にかっこよし! お話的にはさほど進んではいないんだけど、アクションシーンがカッチョイイのでもう万事オッケー。あと会話のシーンとか大仰でシビれる。あははあはは。あいつらだあいつらだ。ひどくおもしろいぞ。

【単行本】「シザーズ」1巻 橋口たかし 小学館 B6
 GOTTAで連載中の熱血美容師物語。15歳の沖縄出身の床屋の息子な少年が、自分たちを捨てて美容の道を選んだ母を見返すために、東京にやってきて美容師の道を目指す。ところが最初はそういう復讐的な動機だったのに、美容の世界の奥の深さを知った彼は、しだいに美容バカとして心血を注いでいくのでありました。

 以上が大ざっぱなあらすじ。美容師モノってことで「カリスマ? カリスマ?」といいたくなるかもしれないけれど、さほどカリスマはしてなくて、少年漫画連載作品らしく熱血。意外と今までなかったジャンルだし、けっこう新鮮な感覚で読める。沖縄出身のわりには東京弁でじゃかすか喋るなーとか気になるところはあるけれども、そういう部分はたぶん物語のスピード感を弱めるだけなんでこれはこれでいいのだろう。それよりも橋口たかしの、貞本系の達者な絵が光る。似ているけれどもしっかり絵柄を自分のものとして使いこなせているしカッコイイ。ただ15歳の始めたばっかの奴がいきなりヘアショーに出場しちゃうということで、ちと急展開すぎるかな。


12/9(土)……無料招致デコイ人

 朝、飲み会から帰宅し、その後メシ以外の時間はほぼずーっと寝てしまう。今週あんまり寝てなかったので、その疲れも出てしまった感じ。本屋さんにも行けなかったが、読んでない本はいっぱいあるんで問題なし。

 ずーっとほったらかしにしておいたリンクのページを更新。というより新たにCGIスクリプトを導入。なんかちょっとしたページでも、気づいたときにぽこぽこ追加できるようにしていけると面白いかなーとか思って。これからは面白いページを見つけたらテキトーに追加して、ブックマーク的な使い方もできたらいいなあとかそんな感じ。ただ、手作業での移行だったもんで、旧ページからの移行はまだ不完全。そんなわけでトップページ→旧ページのリンクもしばらく残したままにしときます。

【雑誌】YOUNG YOU 1月号 集英社 B5平
 ぱ〜んち力のある新連載。武内直子「直子姫と義博王子のベビー▽ぱ〜んち!!」。タイトルを見れば内容は分かっていただけるだろうが、あの人たちに子ができた。今回はたった3ページだけど、まあいつものアレだ。この浮き世離れしたカップルから生まれた子は、いったいどんな代物になるのだろうか……などと書いたけどまあ実際のところは他人の子なんであんまり気になりません。ちなみに男であるらしい。山下和美「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」第2話。お話はだいぶ急展開している。パソコンのモニターの向こうから、「別の人生を送っている私」が話しかけてきて、「今の自分」「こうなるべきであった(と思われる)自分」の姿の間で奥さんは揺れる。鴨居まさね「SWEETデリバリー」。今回の主役は、プロレスに入門してしまったデコラちゃんの彼氏・平間になつきまくってしまった犬かな。

【雑誌】FEEL YOUNG 1月号 祥伝社 B5平
 南Q太「夢の温度」。面白い。一話内の流れが直線的でなく、ゆらりゆらりと場面転換しながら進行。こういう「目的地に向かって一直線に向かう余裕のない話」「でない」話を、上手に構成できる人を見ると素直に感心する。やまじえびね「LOVE MY LIFE」。連載開始からここまでずっと面白い。同性愛者である主人公の視点で、ちょっと苦く、そして暖かく物語が進んでいる。三原ミツカズ「DOLL」。今回はドール廃棄場で長らく働いているじいさんと、新たに配属された男、そしてドールの物語。これでドールの誕生から使用、廃棄までが通しで語られたことになる。ドールそのものよりも、それに関わる人間の物語になっていることが多く、ときに切なくときに暖かく、ときに泣かせてググッと読ます。内田春菊「体のすき間」後編。ああ、イヤ〜な話だあ。派手めの外見・性格の妹に嫉妬の目を向ける姉。静かに病み、執念深く、真綿で首をしめるようなじわじわとした嫌さ。姉の外見がフツーであるだけによりズーンとくる。9〜10月号に掲載された「見せつけないでこれ以上」が妹視点。今回のが姉視点。そして最終章は2001年3月号に掲載予定。う〜んどうなるんだろう。

【単行本】「えっちーず」5巻 陽気婢 ワニマガジン社 B6
 「えっちーず」はこれにてい最終巻。柔らかくて細っこい男の子、しっとりしたH。スマートで甘い、軽やかな物語を描かせるとやはりこの人は素晴らしい。この人の語り口だと、都合よく幸せになってしまうお話も、とても気持ち良く感じる。大人の女の人、少女、どちらからもワクワクするような恋のトキメキを感じる。今回はラストということもあり、巻末に「えっちーず」全作品についての作者による解説も付いている。そんなわけでファンは買いだ、なーんていわれなくても買うだろうなー。

【単行本】「タラチネ」 南Q太 祥伝社 A5
 前半の「恋愛物語」シリーズがとても良い。何気なく、微妙にすれ違っていたりする、男女それぞれの思惑を、ちょっとした動きできっちり見せられる描写力が見事なキレ味を見せつけている。空白の使い方、男女の間の距離の取り方なんか抜群。後半の子育て話とかのエッセイ風のところは、読んでてちとめんどっちいなあという感じ。これは俺が男だからなのかもしらんですが。

【単行本】「なんてっ探偵アイドル」2巻 北崎拓 小学館 B6
 アイドル3人組のうちの一人アキラがいろいろ事件を解決。この作品の場合、やっぱり学校編がいいと思う。ブルマーが、メガネが……というのはとても重要なことだがまあ置いといて。何より、人を殺さない推理モノになっているのがとてもいいと思う。一つのアイドルグループの周りで、ぽこぽこ殺人事件が起こるというのは誰がなんといおうとやはりヘンだし。それと学園編だと、ラブコメ風味が一挙に濃厚になるのもうれしいところ。学園編だけでなく、要所要所であざとくサービスしまくっているのもお約束。重要です。

【単行本】「目隠しの国」3巻 筑波さくら 白泉社 新書判
 うまいですな〜。人に触れるとときどき相手の未来が見えてしまう能力を持ったヒロイン・かなでと、同じように過去を見る能力を持った男の子・あろう。この二人がカップルになり、かなでと同じに未来が見える先輩・並木がからむ。絵がきれいで物語作りも達者。なんといってもヒロイン・かなでが笑う表情がぱーっと華やかでいい。ところでかなでの能力って、なんのこともないようなつまらない未来とかも見えるんかなあ。例えば「コンビニで買った弁当に付いている醤油のパックを開けようとしているところ」とか。

 それと今回の巻には短編「雨の中」も掲載されていて、これもいいお話。どこかで読んだことあるなと思っていたら、雑誌掲載時に読んでたのねコレ(1998年8/13の日記のLaLa DXの項に感想アリ)。そのときもいい作品だと思ったけど、改めて読んでみてもいい。このころから絵も十二分にうまいし。

【単行本】「海猿」8巻 佐藤秀峰 小学館 B6
 海賊船の追跡に駆り出された大輔は、かつてないほどに厳しい現実に直面。力強い作画、多少強引なほどにぐんぐん盛り上がるドラマ。しっかりした面白い作品であります。ギリギリの局面で命とは何かを問う姿勢は真摯で、今時珍しいほどの直球派。こういうちゃんとドラマを作って力強く見せれる正統派は、今後とも大きく育っていってほしいもの。もう8巻にもなったし、一段落したらいったん終わって次のネタにチャレンジするというのも面白いと思う。こういう人にはいろんなものを描いていってほしいと思うんで。

【単行本】「ムリを承知で恋人です」 空鵺 ビブロス A5
 タイトル&ジャケ買いなんだけど、これはなかなか面白かった。ショートカットの女の子が大好きなフタナリのおねーさんが、街で見かけた可愛い子・麻紀ちゃんに強引に迫る。この麻紀ちゃんの登場の仕方がなんともすごくて、頭にぼんぼんのついた幼稚園児みたいな帽子をつけて、スパッツ姿で、さらになぜかラジコン戦車に乗って移動しているんである。そんなこんなで二人はそのうちアツアツの恋人同士に、ムリを承知でなっちゃうわけなんだけど、いろいろと障害もあってお話はドタバタとてもにぎやか〜に進む。なんかかなりにオタでダメダメ〜なことをしているんだけど、ぷにーっと可愛くてお話のノリがやたらといいからもう万事オッケー。エッチシーンも何気にけっこう充実。元気良く、ロリかわいくH。満足できる作品でござった。わりと表紙の印象そのままな読み心地の作品なんで、買うか悩んだら表紙がもたらす直感を信じるべし。


12/8(金)……雨中引っ越し

 朝方までかかってジャンキーズとTINAMIXの原稿をアップし後顧の憂いをなくしてから、コミティア代表・中村公彦さん主催のたいへん濃い飲み会に行って参りました。テーマ的には「コミックビーム奥村編集長を囲む」。奥村さん中村さんに加え、コミック・ファン編集部のお二人、ヒタカヒロフミさん、春咲小紅さん、犬上すくねさん……といった感じで10数人が参加した飲み会は、最初は民家風居酒屋でスタートした後、場所をコミティア事務所に移して朝まで続き、もうとにかくむちゃくちゃに楽しかったのでありました。こういうオモシロトークを、コミティアのトークショーのときにも展開できてたら良かったのになあとか思ったり。途中で筆谷さんもコミティア事務所に駆けつけ「トライガン」と17歳のお話など。それにしても楽しい方々と呑む酒はうまーい。かなりヘロヘロになるまでずんずん行ってみたのだった。

 というわけで今日読んだのは2冊だけ。そのほかのお買い物は以下。

【雑誌】YOUNG YOU 1月号 集英社 B5平
【雑誌】FEEL YOUNG 1月号 祥伝社 B5平
【単行本】「えっちーず」5巻 陽気婢 ワニマガジン社 B6
【単行本】「イカル」 作:メビウス+画:谷口ジロー 美術出版社 B5
【単行本】「ミルオポン」1巻 阿部潤 小学館 B6
【単行本】「タラチネ」 南Q太 祥伝社 A5
【単行本】「美弥の恋」1巻 高見まこ 集英社 B6
【単行本】「アンダーグラウンド」 大武ユキ 竹書房 B6
【単行本】「900°」1巻 カサギヒロシ 小学館 B6
【単行本】「シザーズ」1巻 橋口たかし 小学館 B6

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 1/1 No.1 小学館 B5中
 どうやら宇宙飛行士モノになるらしい太田垣康男「MOONLIGHT MILE」がスタート。なんか初っぱなは、いきなり山男二人が激烈SEX→顔射と、かなーり脂っこく濃い出だし。「度胸星」が終わってしまった今、宇宙モノの期待の星となりそうだけど、さてどうなることか。太田垣康男の実力は確かだが、最近ちゃんと完結した作品がないだけに気になるところ。作:花村萬月+画:さそうあきら「犬・犬・犬」。最近ちとヌルめだったマヒケンに暴力が蘇り、ゾクゾクする展開。やはりマヒケンはこうでなくては。

ところでスペリオールは21世紀に向け、相原コージ、松浦聡彦、高橋のぼる、柏木ハルコ、小沢真理、真木ひいな、そして村上かつら+まなべゆうといった人たちを次々投入するらしい。これはかなり強力。最近スペリオールは何気に気合い入ってますな。楽しみだ。

【雑誌】ヤングアニマル 12/22 No.24 白泉社 B5中
 文月晃「藍より青し」。クリスマス編だけにもっとものすごくベタな展開を期待していたが、わりときれいに良いお話だった。二宮ひかる「ハネムーンサラダ」は3人生活が崩れそうになったところで一花が動揺。さて遙子はどうする。というか、なぜ遙子は今さら現れたのだろうか。ってところで以下次号。かなり物語の核心部分に迫っている感じ。


12/7(木)……アオダモステー

 えー、この時期がくると毎年思うけど、例えば今日のモーニング。12/25号がNo.1というのは納得いかんです。なんで2000年12/15号が2001年の第1号なのか。2001年1/1号が第2号なのか。第一「No.1+2」というのが納得できん。1冊じゃん。出版界のそういったわけわからんことが、21世紀には解決されてくれるとうれしいなと12月の星空に祈ってみたり。感覚としては、12月7日発売号は12/7号にするのが一番しっくりくる。それがダメなら、せめて「この日まで本屋に並びますよ」という表示にするべきだと思う。12月7日の次が12月14日発売なら、12月7日発売号は12/13号にするって感じ。

 あ、それから小田中さんがときどき日記の11/30分で「なんでNo.53があるのだろう」といったことをいわれてたけれど、これは納得できないでもない。365日を7で割ると52あまり1だから53回ある曜日もあるはずなんで。ただ、そのNo.53だったのが木曜発売週刊誌だったのだけど、今年の12月31日は日曜日……。うーむ、やっぱ分かりにくいすね。

【雑誌】ヤングサンデー 1/1 No.1 小学館 B5中
 既報のとおり、山田芳裕「度胸星」が中途半端に終了。せっかく面白かったのに。残念すぎ。ヤングサンデーは前から思っていたけどけっこう不思議な雑誌で、面白いときは全作品がいっせいにテンションが上がり、つまらないときは全作品のテンションが揃って下がるという傾向があるような気がする。今は完全に谷の時期に入ってしまった感じだなあ。新連載攻勢の奴も、北崎拓「なんてっ探偵アイドル」以外は弱かったし。

 今号で面白かったのは、やはり山本英夫「殺し屋イチ」、新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」といったおなじみな面々。遊人「PEACH!」は馬鹿っぷりが暴走していて面白いんだけど、好き嫌いはかなり分かれる(あえていうなら「すごく嫌い」という人も多かろう)と思う。

【雑誌】モーニング 12/25+1/1 No.1+2(合併号) 講談社 B5中
 井上雄彦「バガボンド」。最近載ったり載らなかったりだが、やはりとても面白い作品である。うまいしカッコイイし。武蔵の成長ぶりもとても頼もしい。あと今回は「THE REVIVAL」と題して永井豪(とダイナミックプロ)の「ススムちゃん大ショック」が掲載されている。今読んでもイケる、ショッキングな内容。このような過去の名作短編を読ませるというシリーズは、けっこう面白い試みかもしれない。「知られざる……」という感じの名作が出てくるといいですな。

【雑誌】ヤングジャンプ 1/1 No.1 集英社 B5中
 巻頭カラーで漫☆画太郎の新連載「画太郎が出会った知られざる偉人たち(1) ハデー・ヘンドリックス物語」がスタート。いきなり最初っから画太郎先生、滝のようにゲロってます。その後彼は出会うのだ。「ギブミーチョコ ギブミーガム おくれよおくれよ兵隊さん」とシャウトしてギターをぶち壊すソウルフルなシンガー、ハデー・ヘンドリックスに。恐ろしくダイナミックな表現の勢いに圧倒される。画太郎先生ありがとう いつもおもしろい漫画を描いてくれて…。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 1/4 No.2 秋田書店 B5平
 いいねいいね。まず八神健「ななか6/17」で萌え萌えであろう? そして伯林「しゅーまっは」で萌え&笑いなのだ。今回の「しゅーまっは」では、解剖マニアの藤宮さんが大活躍し、じいさんともどもしゅーまっはを華麗に分解。抜群にノリが良くてここまで大変に愉快にきている。水島新司「ドカベンプロ野球編」はますます怪しい漫画となってきた。今回は、高給取りにも関わらずいまだに長屋住まいな山田宅の屋根から不吉な男が登場。名前は「不吉霊三郎」。酒造専門大学の信濃川大学の学生だ。ちなみに山田の家は屋根の石止めにアオダモを使用。前掛けをつけたおじいちゃんは、幸子に「さあ出来たぞコーンフレーク」と皿を差し出す。

【単行本】「阿弖流為II世」 作:高橋克彦+画:原哲夫 小学館 B6
 待ってました! GOTTAで連載された豪快痛快荒唐無稽伝記SF牛乳推奨物語、「阿弖流為II世」が単行本になって帰ってきた。「龍」と呼ばれる巨大な力の宿る剣を発掘した教授が謎の男たちに殺害されるも、古代の英雄・阿弖流為の魂が乗り移り復活。そして日本を陰から操ってきた異星人・坂上田村麻呂と対決するのだ。なんといっても痛快なのが、阿弖流為先生の果てしない豪快ぶり。少年犯罪者なんぞは有無をいわさず「この腑抜けが!!」。ばこーんとあぼーん。テレビに出演して田村麻呂を挑発し、なんか作戦があるのかと思ったら「からかっただけだ」と言い放つ。その間、牛乳のおいしさをアピールすることも忘れない。岩原都知事の「これはもう人間じゃないんだな、これが!!」「アメリカの次はエイリアンにー!! NOだっ…… だぼっ……」などの名言も忘れ難い。田村麻呂の振る剣で、民衆の首がすぽすぽすぽーんと飛んだり、描写がいちいちジャイアントなんだな、これが!! それにしても高橋克彦は本当にこんな原作を書いていたんだろうか。阿弖流為のアニキの男っぷりにシビれつつ、爆笑して読むべし。

【単行本】「画太郎先生ありがとう いつもおもしろい漫画を描いてくれて…」 漫☆画太郎 集英社 A5
 ありがとう。ほんとうにありがとう。今回はいろいろな形で掲載された短編をまとめた単行本なのだが、画太郎先生のラフでソウルフルなギャグが果てしなく愉快。意表を衝く展開をしたと思ったら、その次のコマでまた回転、さらに次のコマでまた回転といった感じで、ごろんごろん転がっていく話作りとかは相当に痛快だし、同じネタの繰り返しとかもセンスが良い。押し際はちょっと過剰に、引き際も鮮やかに。画太郎先生ありがとう。ほんとうにありがとう。


12/6(水)……旧江戸

 うーん。山田芳裕「度胸星」。まだ見てないんだけど、噂どおり終わってしまったらしい。残念無念。しかし、宇宙の灯を、消してはならぬのだ。

【雑誌】コミックフラッパー 1月号 メディアファクトリー B5平
 作:木原浩勝+画:志水アキ「雲のグラデュアーレ」。2回目。今回もなかなかいい。達者な作画で、空賊団の面々を楽しくイキイキと描写している。ノリの良い宴会シーンが、ごく自然にそれぞれのキャラの実力披露も兼ねていてうまい。駕籠真太郎「パラノイアストリート」。今回は助手ちゃんの日記仕立て。探偵や行く先々の街の住人たちよりもクセモノな彼女の秘密に迫る。かなりキャラが立ってきた。こういうふうなキャラの立ち方は、駕籠真太郎作品としては珍しい。和六里ハル「魔法のエンジェル グリグリビューティ」。ビューティがかわいく、サービス感のある見えそで見えないシーンも散見される。良い感じで推移。

 SABE「串やきP」。いや〜、串P強い! カッチョイイ!! こういう動物でもちゃんとアクションになるものだなあ。しかもカッコよくなりつつ、ヘンさも維持している。SABEすげ〜。それと敵女。おいしいとこ持ってきますなあ。柳沼行「アスミ」シリーズ「ふたりの星はっぱ星」。ここまでハズレなく、いいお話を描いてきている柳沼行だけど、今回も面白かった。アスミの父がロケット事故の遺族係(つまり賠償など事後保障のみを取り扱う部署)であったことから、アスミと事故の遺族である友達の間にしこりが生まれてしまい……というお話。ほっとする味わいのある絵柄、それからホロリとさせる暖かなラスト。急ぐことなくお話をすすめる語り口など、高いレベルでバランスがとれている。もっともっと読みたいので、もうどんどん描いちゃってください。

【雑誌】月刊少年マガジン 1月号 講談社 B5平
 珍しく入手。巻頭カラーで、増刊GREAT連載の加藤元浩「Q.E.D.」が登場。前後編127ページで、今号と次号に掲載されるらしい。となると次号も読まなきゃならんかな。ハロルド作石「BECK」。安定して面白い。キナ臭い空気も漂っているけど、さてどうなるか。コユキは着実に成長しております。

【雑誌】週刊少年サンデー 1/1 No.1 小学館 B5平
 作:坂田信弘+画:万乗大智「DAN DOH!! Xi」。うーん、坂田信弘はどうあってもキャラクターをボロボロにしたいのだなあ。濡れたことで、ラミアの女の子っぽさがアップ。「デビデビ」の三好雄己「ブリット」が新連載。第1回めの感想としては、パンチラが足りないことが気になった。椎名高志「MISTERジパング」。最終ページの信長妻・お濃のポッと顔を赤らめた表情が良い。トキメキ。

【雑誌】週刊少年マガジン 12/20 No.1 講談社 B5平
 12/20号なのにNo.1というのはどうにも納得がいかーん。
 作:天樹征丸+画:さとうふみや「金田一少年の事件簿」。次号で最終回であるらしい。最終回はバリツがものをいうのか。注目。福本伸行「無頼伝 涯」。いい! 澤井がいい! 涯を見つけられなくて、追い詰められて、いい感じで壊れている。元から壊れているだけにテンパりっぷりもハンパじゃない。ないものは作る。その精神がジューヨーなんだ! さあキミも、人間学園で澤井に学べ!!

【雑誌】ヤングヒップ 1月号 ワニマガジン B5中
 ポン貴花田「めいどいんじゃぱん!」。キャッチーな絵柄でメイドさん押しかけ女房モノ。わりとHさが適度で華がある作風なので、メジャー系の雑誌のちょっとHポジションにも向いているかも。もっちー「魔界のプリンセスプリティー美沙」。今回は巻中カラーでノッている。いちいち美沙の恥ずかしい下着、股間を強調するようなアングルを多用。馬鹿馬鹿しさ爆発。別にプリティー美沙にならずともなんとかなりそうなシーンでも、いちいち変身させるところがステキ。天原孝「はっぴーえっぐ」は、元気のよいロリっちい絵が楽しげ。それからくどうひさし「こんぷれっくす」がなかなか良い作品。スッキリのびやかな絵と、他愛もないラブコメ風味が爽やかで良い。キャラクターもイキイキとしてるし。甘ヌルい漫画が好きな人にオススメ。
 次号はみうらたけひろ、草津てるにょ、西川魯介、セキケン、武林武士が登場と、なかなか楽しみな布陣。マーシーラビットも載るようだし。

【単行本】「エリートヤンキー三郎」3巻 阿部秀司 講談社 B6
 今回は夏休みサバイバル編と麻雀編がメイン。河井の隠れた才能がまたしてもいろいろと発揮されていてパワーアップが進む。一時期から比べると落ち着いてきちゃっている感はあるんだけど、なんだかんだで平和で楽しい世界です。


12/5(火)……麗しのアテルイシア様

 サッカー、横浜FCのJ2昇格が事実上当確となったようでまずはめでたい。天皇杯負けちゃったのは残念だけど。J2昇格効果でスポンサー確保して、もっと大胆な補強ができれば。今年は外国人選手もいなかったし。その前にリトバルスキーの後任監督探しが先決だろうけれど。

 購入済み未読分は以下。あてるいさんが単行本になってくれたのがあかるい話題。

【単行本】「なんてっ探偵アイドル」2巻 北崎拓 小学館 B6
【単行本】「目隠しの国」3巻 筑波さくら 白泉社 新書判
【単行本】「海猿」8巻 佐藤秀峰 小学館 B6
【単行本】「阿弖流為II世」 作:高橋克彦+画:原哲夫 小学館 B6
【単行本】「画太郎先生ありがとう いつもおもしろい漫画を描いてくれて…」 漫☆画太郎 集英社 A5

【雑誌】ヤングマガジンUppers 12/19 No.24 講談社 B5中
 はっとりみつる「イヌっネコっジャンプ!」が巻頭カラアアア!! まあ実際のところカラーはまだあんまりうまくないんで、モノクロページのほうが楽しかったりはするんだけど、やっぱりなんかうれしい。そうか、この漫画ってうちゅうもテーマだったんだ。今回はユウキがヘッドホンを失ってオロオロ。今までとは違った姿が見れて、非常に新鮮。萌えポイント通常の3倍。これは良いものだ。押川雲太朗「不死身のフジナミ」。フジナミの突然の変身に意表を衝かれる。桑原真也「0(ラヴ)リー打越くん!!」は最終回……なんだけど、単行本で大幅加筆&後日談の追加があるらしい。ぬがー。生殺しである! 2月まで待てと。待とうじゃありませんか。

【雑誌】花とゆめ 1/1 No.1 白泉社 B5平
 日渡早紀「宇宙なボクら!」。魔女探しのエピソードがクライマックスにきていて、盛り上がりを見せている。今回は語り中心。しだいに千翔の気持ちが解きほぐされていく過程が興味深い。

【雑誌】桃姫 1月号 富士美出版 B5平
 しろみかずひさの新連載「嬲 − なぶりっこ −」が始まると知って、勇んで購入。作者ホームページ「電脳MILK TANK」の「日記風のWhat's New」のコーナーを見ても相当気合いが入っているらしいことが伝わってくるが、なるほど第1回めは納得の出来。かつて肉契約を結んでいた元性奴が開いたSMクラブにやってきた男が、そこで競売にかけられていた肉奴隷・麻理果と運命的な出会いを果たすというのがまず今回のストーリー。ザー汁の噴出ぶりも盛大で、さあ麻理果を責め抜いてやるぞという意気込みが感じられる。麻理果の兄もお話の中で大きな役割を担ってきそうで、これからの展開が楽しみ。というわけでしばらくこの雑誌は買い続けることになるだろう。

 それからこの雑誌にはぐんぱん(白井薫範)先生も。「TATTOO WIFE」。フラミンゴのときほどハードではないが、やはり体毛の濃い太い女をいたぶっている。この人がリミッターを外して描けるような雑誌ができるといいんだけど。琴義弓介「淫 insult!! − 巨乳浣護婦 一ノ瀬しずか −」。この人はやっぱりうまいなあ。乳、尻の肉の張り具合が盛大でペンタッチも美しい。

【雑誌】夢雅 1月号 桜桃書房 B5平
 こちらは海明寺裕目当て。今回の「レオタードの舞姫」は、タイトルどおりレオタードに身を包んで踊る少女たちのお話。このレオタードが、身体が透け透けな恥ずかしいしろもので、ヒロインは最初は戸惑うがだんだんそれに順応していって……という感じのお話。やはり通常とは違う法則が支配する世界を構築しようとしている点に関しては、海明寺裕の他の作品と共通するものがあり。みさくらなんこつ「正義風魔法天使少女 はみんぐハミル」。ブタッキー様がアイドルとして君臨し、美少女アイドルが彼に折檻を受ける。その場にやってきたハミルちゃん、ブタッキー様にサインをしてもらえなくて逆上〜というお話。さりげなく馬鹿げたことをやっていてなかなかの切れ味。面白く読めた。小林少年丸「妹小屋」。現実と非現実の境界線があいまいになるような、ゆらゆらしたお話作りがとてもうまい。ワザ師だなあこの人。

【雑誌】漫画アクション 12/19 No.51 双葉社 B5中
 ちょっとびっくりしたのは、表紙を開くとカラーページで「こいずみまり新連載〜」とかやっていると思ったら、次のページをめくると倉上淳士「ぎゃるかん」のねこみみちゃん裸な見開き扉がぼぼーんと出現したことだ。よく見ると(いやよく見なくても気づくけど)最初のこいずみまりカラーページに「25ページへジャンプ!!」という文字が。というわけでこいずみまり「お姉さまとお呼びっ!!」が本格連載化。相変わらずノリのいい4コマ漫画で楽しい。国友やすゆき「幸せの時間」。扉ページのアオリ文句「運命の大きな波が……家族を襲う!!」。まだ襲ってなかったんかい。まあそれはともかくとして、毎回想像を超えるベタな展開が待っていて、濃いいなあ。ながしま超助「ぷるるんゼミナール」。ゼミの先生も、わりとヒロインさんと同系列の人だったのね。整髪ジェルか……。高橋のぶる「キラリが捕るッ」。激闘の後、身体がバッキバキなキラリに、憧れの人の「秘技ハズカシガバメ」炸裂。すごいネーミングセンスだが、技のほうもなかなかダイナミックですごい。

【単行本】「ピンクのカビ」 成田山武頼庵 久保書店 A5
 これ以下はジャンキーズ用。
 この人はなかなかいい。抑えめな体つき、まあ要するに貧乳系の女の子を描くのだが、あっさりした絵柄ながらも線がやわらかくしっとりとした質感があって、けっこうエッチくさい。ラブコメっぽい展開にも甘みがあってセンスを感じる。お子様系の作品も、いかにもお子様な感じの会話が再現できててよい雰囲気に仕上がっているし。

【単行本】「生贄黒帯少女」 伊駒一平 桜桃書房 A5
 絶妙に力が抜けていていいですなあ。変態的なシチュエーションでお話を進めたかと思えば、最後の1ページとかで身もフタもないことやってカクンと落としたり。飄々とした呼吸がたいへんに愉快。投げ遣りっぽい書き文字も味があって好き。

【アンソロジー】「ラブキャラ大全」No.9 オークラ出版 A5
 エロパロもの。「カードキャプターさくら」とか「ONE PIECE」とか「ラブひな」とか。にしもの「ONE PIECE」ものは、悪魔の実でおっぱいをおーきくして母乳で砂漠の渇きをしのぐ〜というお話。健康的にたぷんたぷんでなかなか良い味わい。あとは星逢ひろ「女クラピカ地獄」が、線が柔らかくてほにゃーとしつつ、エロもわりと充実感があって良いかなあと。ただ、全体的にパンチが弱いのでもういっちょなんかこうという感じ。原作に思い入れがもっとある人が読むと違うのかもしらんけど。執筆陣はにしも、藤瀬あきら、羊子、神風誠、星逢ひろ、素崎あきら、にゃんこMIC、鈴野吉人、小金井武蔵、樫葉歳三。


12/4(月)……ウサミミストリート

 来年の年賀状はコレに決まりか!? 壁紙もいいね。

 平熱なんだけど、なんか仕事してたら風邪のせいか頭がクラクラしてきてたいへん気持ち良い感じに。そのうち気持ち悪い感じに。そしてまた気持ち良い感じに。今はフツーです。

【雑誌】キングダム 1月号 少年画報社 B5中
 佐野タカシ「イケてる刑事」。トバしてるぅ。ノリもそうだし体液も珍しく。新米婦警ちゃんが入ってきて、今回もサービスもりもりー。さっすがパンチラキング。佐藤裕介「はけぐち」。隔月連載。コスプレマニアなチビっこオタク女子にハマっちゃった男の子の話だにょ。ヒロインさんはメイド服でしっぽつけててねこみみで首に鈴付きだにょ。というわけでかわいくて魂くされてる感じで楽しい作品でした。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 1/1 No.1 集英社 B5平
 作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。勝負の帰趨は思った以上にアッサリしていたけれども、その後、決別してしまった囲碁部のみんなを寂しそうに見つめるヒカルの描写は切なくて良い。河下水希「りりむキッス」。読み返してみると案外パンチラの少ない漫画だったりするのだが、今回はパンモロあり。そして「Fの衝撃」。サービスは重要だ。尾玉なみえ「純情パイン」。息切れすることなく順調に推移。みちるのけっこうひでえ性格がかなりスパイシーで飽きさせない味わいになっている。

【雑誌】ヤングマガジン 1/1 No.1 講談社 B5中
 福本伸行「賭博破戒録カイジ」復活。班長の仕掛けを見抜いたカイジがどう出るか、楽しみ。そして復讐して勝って得たペリカを何に使うのか。ビールか柿ピーか焼き鳥か……。松本光司「クーデタークラブ」。美衣のキャラもかなり刺激が強いけど、物語展開もそれを生かしつつ強力にぐんぐんきている。ヒキが強くて面白いなあ。あとはソレに見合った仕掛けさえあればバッチリでしょう。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/1 No.1 小学館 B5中
 浦沢直樹「20世紀少年」。かなり息詰まる展開になってきていて面白い。一つひとつ詰め将棋みたいに詰めてきていてうまい。これからどうなるのかワクワクする。江川達也「東京大学物語」。開き直った村上は凄いなー。移り気なのをまったく恥じることなし。それにしても死んじゃうんすか? 作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」。うおー、また怪我さすんかー。一人くらいまともに走らせましょうや。

【雑誌】MUJIN 12月号 ティーアイネット B5平
 スズキトモユさんが感動していたという北原武志の作品を読みたいので買わなきゃとか思いつつ、今日まで買い忘れていた物件。

 その北原武志「ACTRESS」は、売れっ子女優と、彼女に拾われた笑顔だけが取り柄な感じのC級グラビアタレントのお話。ページをめくるたびに二人の関係性は、先輩→後輩、恩人→拾われた者、主人→奴隷、といった具合に目まぐるしく入れ替わり、さまざまなことがあったのち、思いもよらぬ、でもほろりとさせるラストへと行き着いていく。平坦ならず、紆余曲折ある道程であり、次々と意外な展開を見せてくれる。ドラマがぎっちりと詰まってて中身が濃い。北原武志といえば、生理的嫌悪感が先に立つような陰湿なイジメ→とってつけたようなハッピーエンドとくるのがお決まりのパターンというイメージがあった。このお話でもイジメ→ハッピーエンドというのは変わらないんだけど、その流れが自然で、かつドラマチックなものとなっている。絵的にはさほど魅力的じゃないけど、すごく地道で丹念な作風(そのおかげでイジメシーンもまた執拗になってしまうのだが)。そういうふうにきっちり作品を作っているだけに、着々と伸びているのだなあと実感。

 古事記王子「うさこ120%」。これはかなりイカれててナイス。絵は華やかですごくうまいんだけれども、内容はかなり刺激的。小学生並の身長で、うさみみをつけた女教師がクラスにやってきて、生っ粋のロリコン野郎男子が暴走。一度暴れ出すと身長150cm以下の女子をレイプするまで止まらない彼は、女教師を即レイプ。オーレ! そういう状況をなんの抵抗もなくクラスメイトがお膳立てしたりと、ぶっ飛んだ展開がステキです。エロでかつうさみみな「1ねん3くみ桃ちゃん先生。」的作品といえましょう。華麗な描線だけどちんこはゴツいぞ。楓牙「Junior Sweet」。垢抜けない絵ながらラブコメムードがわりと濃厚で楽しい作品。

【雑誌】ホットミルク 1月号 コアマガジン B5平
 漫画ではやはり瓦敬助「菜々子さん的な日常」。菜々子さんの見せるエッチっぽい(でも実際はエッチな意味合いはない)表情にドキドキです。もちろん菜々子さん萌え〜というのがこの作品の一番の魅力なんだけど、モノローグによって進められていく語り口が青春時代のんびり回顧という感じのいい味を出しているというのも重要な点だと思う。それからみかん(R)「STAIRS」。絵がますます達者になって、陰りのある画面作りが冴えている。早く単行本出してけろ〜。ほしのふうたは東京三世社に先行されてしまったので、みかん(R)くらいはコアマガジンが先んじましょうや。タカハシマコ「やさしくしてね。」。8ページと短いけれど、美しい少女のやさしくなさに傷つくナイーブなストーカー男の切なさをうまく描けている。絵は相変わらず繊細で美しいし。

 コミックジャンキーズは特集「2000年の…」ということで、ジャンキーズライター陣が2000年の漫画をそれぞれの立場から振り返る。俺も4分の1ページほど書いてますが、なんか妙に悲観的な内容になってて良くないなあ。あとインタビューは高尾右京。レビューはいつもどおり。俺担当は25冊くらい。


12/3(日)……小ジョッキッ!

 今日もジャンキーズ読み。「鎖縛」以下がそちら系物件。エンジェル倶楽部もエロ漫画雑誌なので、今日はエロ漫画のお話しかないよん。というわけでそっち方面に興味ない人は無視プリーズ。

【雑誌】エンジェル倶楽部 1月号 エンジェル出版 B5平
 今号もやはりガツーンガツーン。成年マーク付けたら何やってもオッケーってな感じで突っ走りまくり。

 まずは巻頭カラーで吉良広義「思い出すまで待てない」が新連載。女王様的存在として君臨していたヒロインのハルカが、暴漢に襲われて頭を殴られたショックで記憶喪失に。そこに下僕だった男が現れセックスしたところ、そいつに関する記憶が蘇る。なるほど、つまりはセックスすればそいつに関する記憶が蘇るのか、それなら次々とセックスしていって犯人を捜そうじゃないか、ってな感じの筋立て。厚ぼったい唇、ごつごつちんちんなど力強いエロ描写に持ち味あり。個性的な絵柄なんでけっこう好き。荒木京也「忍びよる魔女」。今回はなかなか面白かった。欲求不満でやたらと義弟にまとわりついてくる兄嫁さまのお話。女学生の服を着て、「後輩でーす」とバレバレなこといってくっついてくるなど、なんかノリが楽しい。エロもガッチリやりつつドタバタものとしても面白く読めた。

 早川守「HOME R」。この人って昔のクセのある絵の印象が強かったんだけど、今はけっこうフツーに売れ線な絵になってるんですな。ちとびっくり。この雑誌ではイチ押しな奴隷ジャッキー「HOTダブルス」。女の子のほっぺや体つきがもちもちしていて良い。絵柄的にはかなり滑らか。ブチ切れたときのグルグル目など、やたらテンションの高いキャラとかも見ていてかなりエキセントリック。今回はわりとラブムード多めなコメディものだけど、エロはやっぱり十分なのだった。汁気が多くてじゅぶじゅぶしててよろしい。

【雑誌】鎖縛 VOL.13 松文館 A5平
 今までアンソロジー扱いにしてたんだけど、なんか月イチペースくらいで発行されてるみたいなんで、これからは雑誌扱いにしときます。別にSMオンリーっぽくもなくなってるし。で、今回の執筆陣はLINDA、近石まさし、小林少年丸、春輝、カマキリ、緋龍高弘、むらさき朱、臓器林、吉野小雪、GRIFON、桃山ジロウ。SM方面的にはかなり手堅いメンツ。近石まさし、桃山ジロウ、小林少年丸といったレギュラー陣が手堅くいい仕事をしている。

 この中ではなんといっても小林少年丸「縄巻き少女」がいい。身体を縄で縛られそのほかは何も着ていないという状態の少女を、男が拾う。彼女はこの縄をほどいたら自分がバラバラになってしまうという強迫観念に駆られていて、もともと彼女を縄で縛ったパパ、そして縄をほどこうとしたママのことに話が及ぶととたんに精神のバランスを崩し出す。それにともなって顔の表情もひきつるのだが、美しいものも描けると同時にそうしたアンバランスなものもきちんと描ける小林少年丸の描写力は大したもの。以下に単行本「遊界ノ書」のところでも書くけど、この人ホントにうまいんだよなー。それからカマキリ「インガク」がちょっといい。優等生の女の子が同級生に脅されてウリをさせられてるんだけど、今回のラストで実はそのイジメられっ娘のほうがイジメっ娘に恋してるっぽい描写がでてきて、そこんとこがけっこう切ない。ちょっと続きが楽しみになってきた。

 近石まさし「ゴージャスプレイ2」は、ゴージャス「華王姉妹」が男どもにギッチギチに凌辱されるという作品。もちろんこれは叶姉妹のパロディなのだが、2とあることからも分かるとおり前号からの続きである。まさか続きモノにするとは思わなかった。それにしてもこの人のオリジナル淫具は毎度ユーモラス。今回はおまんこ部分にホースを固定し、水の対流によって毛の生えたゴム状のワームが陰部の中をうごきまわって刺激するというヘンテコなものが登場。なんか楽しそうだ。淫具に関しては桃山ジロウ「羊達の悶絶」も頑張っている。こちらは女の子の肉体も改造されているのだが、背中のちょうど腰上の部分に穴が空けてあり、陰部から腸を通ってそこまで穴が貫通する仕組みを作りまして、そこになんかうねうねする縄だかなんだかを通して滑車でぐーるぐる回す。内臓を押し分けて入ってくる感覚がすごいんだそうだ。

【単行本】「人妻近親相姦」 三沢伸 松文館 A5
 人妻・冴子さんシリーズを集めたエロ劇画系単行本。快楽に溺れやすい人妻、卑怯で助平な男ども、両方とも現実にゴロゴロ転がっていそう。実際にこういうことやってる層がどんだけいるのかは知らないが、生臭さは抜群でエロい。なんか覗き見感覚とでもいいましょうか。それにしても近親相姦は全然やってないんだけど。

【単行本】「貴婦人狩り」 笠間しろう ソフトマジック A5
 キーワードは「エクボ尻」。むっちりと色っぽい女体のくびれを武器とする、エロ劇画界の大御所的な存在・笠間しろう作品集の第5集にして「新・官能劇画大全」シリーズの第4弾でもある。今これを読んで、俺が興奮するかっつたらとくにしないんだけど、作品に込められたエロ魂は感じられる。現在の美少女エロ漫画にはない、「そのへんにいそうな」「女盛り熟女」が描かれている。なんとなく存在としてエロいという感じがする。

【単行本】「有罪者」 松原香織 東京三世社 A5
 線の細い、白っぽい絵柄だけど、けっこう艶やかで色っぽいエロ描写をする。シンプルな線でありつつ女の子は可憐。陰のある表情の描写とかもでき、けっこう幅広く面白い話を作れるタイプ。ときどきすっとぼけたギャグもさりげなくかましてくれたりして、なかなかのワザ師であります。

【単行本】「凌辱鬼ッ!」 YASKA 松文館 A5
 ガツガツ責めまくる、鬼畜系でハードな作品が多い。そんなにしつこくない絵柄だけど、やってることはかなりテンション高くて徹底している。とくに風俗嬢に性病をうつされたことを逆恨みして、無差別に女に報復しまくるキチガイ男が登場する「悪夢の訪問者」あたりは後味も悪くて容赦ナシ。

【単行本】「みなしこハッチ」 目白次美 司書房 A5
 この人はなかなかイキが良い。肉付きのいい、体育会系な女の子が、実に楽しそうにヤリまくる姿を描く。デブではないんだけど、ぽっちゃりぷっくり。すごく健康そうなのだ。それだけにエロも元気が良くてピッチピチ。こういう肉感ぷりっぷりな絵柄というのも案外珍しいので貴重な存在。

【単行本】「遊界ノ書」 小林少年丸 桜桃書房 A5
 この人はホンットうまい。今回の単行本はギャグ系。先っぽに玉のついたヘンなツノつきのヘアバンドを付け妙に未来チックでイカれた衣装を着たジェーン(偽名)とシャワーキャップと水中眼鏡を付けたサブローの息子二人、殺人鬼コスプレをしながらレズる双子の姉妹、踊りながら浮気する変態パパ、バアさんの思い出に浸りつつ若い娘をコマす爺、そして植木鉢の着ぐるみを着たママというイカれた一家の物語である「脳天BIZZAREチョップ▽」全7話がこの単行本のメイン。家族だけでなく、なぜかいつも家の壁にはジャージ&マスク着用の怪人がへばりついてるし、かなり細かい部分まで気が利いている。この人は、ファンタジーっぽい話もOKだし、こういったギャグもイケる。サイコホラーっぽいのとか、血や内臓ぐちゃぐちゃのスプラッタものもOK。実用エロもラブコメもできたりする。本当に芸風が広い。しかも多作で、そのどれもが一定以上のレベルをキープしている。絵柄も個性的。これだけいろいろなものが描けて、クオリティも安定している人というのは、エロ漫画界ではかなり稀じゃなかろうか。ただ、そのわりになぜかあんまり目立たない。意外と単行本も売れてないんだそうだ。いい仕事してるんだけどねえ。といいつつ俺も買ってないです。すんまそん。

【単行本】「Jewel Master リイナ」 安世夢 心交社 A5
 1997年にビブロスから発行された単行本の復刻らしい。異世界の国から盗まれた宝玉を取り戻すために人間界にやってきた眼鏡っ娘な巫女が、精霊の力を借りつつも犯されたりしながら悪戦苦闘〜というお話。ファンタジー系のお話だけど、このころの安世夢は絵的にもまだうまくないし正直なところあんまり面白くない。下手にやると安くなってしまいがちなジャンルのお話ということもあり、ちとキツかったかなという印象。


12/2(土)……固え巨牛

 今日はジャンキーズ用読書。外出しなかったので本も買ってない。

【単行本】「お手あてしましょ」 NYAN 蒼竜社 B6
 表題作は、天然ボケ系の看護婦さんが、なぜかいっつも入院しているにーちゃんにダマされてHな看護しちゃいまーすといった感じの連作。エロとして濃くはないんだけど、柔らかい絵柄で楽しいムードでなかなか面白く読める。最初は看護のつもりでHなことしていた看護婦さんが、ほかの看護婦さんとHしているにーちゃんを見てヤキモチを焼き始めるあたりなんかはラブコメ的にも気持ち良い。ほっとする絵柄とか全体にいい感じだし、うまくいくとけっこうソフトエロ漫画方面で伸びそう。甘夏真琴的になっていってくれるといいなあと思う。エロ方面では1995年が初単行本(「巫女様HELP!」富士美出版)なんでそれなりのキャリアはあるけれど、まだのびしろは十分ありそう。エニックス系など、非エロ方面では祥寺はるかと名乗っているのだそうだ。

【単行本】「チェリオ!」全2巻 有村しのぶ 少年画報社 B6
 有村しのぶって昔からけっこう好きだ。わりと上品な絵で、かつエロい。女の子が色白に見えるタイプの絵柄で、エロごころを刺激してくれる。でもこの人の作品って、どれもギッチギチのエロにはならない。抜く一歩手前段階な、食い足りなさは常にある。そうやって焦らすところがいいのかもしれない。
 今回の「チェリオ!」は、未来からやってきた少年がとある目的のため現代の一少女と接触。任務との間で板挟みになりつつ、ラブコメ的展開(もちろんHなシーンもあり)に突入といった感じの作品。全2巻で手堅く幸せなラブ話にまとまっていてまあまあ面白い。この人の作品の場合、男キャラがいまいち軽薄な感じがしてしまうのが惜しまれるところ。女の子はいたずらっぽく可愛くていいんだけど。

【単行本】「天上天下」1〜3、5巻 大暮維人 集英社 B6
 なんで4巻が抜けているかというと、過去のジャンキーズ用で読んで感想も書いているのでカウントしていないだけ。今回は1〜5巻通しで読み。
 尋常でなく強い奴らがビシバシ登場する学園格闘モノ。通しで読んでみて改めて思うけど、大暮維人は漫画がうまい。もちろんそれは画力がすごいということに支えられているところが大きいんだけど、話としてもどうしてどうしてけっこう読ませる。我の強い男たち、セクシーでかつ強力な女たち、それからダイナミックなアクション。キャラの造形がいちいちキャッチーで展開がダイナミックでテンポがいいので、かなりスルスル読める。アクションのたびに、乳が露出したり、プルんッと揺れたり、パンチラがあったり、生アシがどどーんだったりするあたりもザッツエンターテインメントといった感じ。あとはも少しストーリー展開が早いといいんだけど。雑誌で読んでるとなかなか進まなくて、そのうち話が分からなくなってきがちなので(最近、過去ふりかえり編に入ってからとくにそうなんだけど)、やはり単行本まとめ読み向きかなーと思う。

【単行本】「家庭教師Miki」1巻 梅谷ケンヂ 双葉社 B6
 アクションピザッツ連載作品。グラマーな家庭教師のねーちゃんと、教え子男子がやりまくるというお話で、いかにもコンビニ売り系エロ雑誌〜っていう感じの設定および絵なのだけれど、エロ度がなかなか高くていい感じ。なんつっても液体量が多くて、やたら家庭教師ねーちゃんにぶっかかっているところがエロポイント高し。あと途中でこの教え子くんが、相当にスグレモノなちんちん所有者であり、そしてかなり絶倫であることが判明。これにより、SMとかに頼らずヒイヒイ責め抜く激しさがアップし、よりエロくなっている。全体にエロアクションがダイナミックなのも良い。というわけで実用系漫画としてけっこうイケる作品である。

【単行本】「SWEET DAYS」 紺条夏生 司書房 A5
 女性作家で絵柄は線細めで華やかなんだけど、司書房系らしくエロ活動もちゃーんと強力に推進。とくに新しめの作品のほうが、乳ボリュームのアップに伴い、エロパワーも増進していて良くなっている。身体のラインが柔らかく描けているのも女性作家ならではって感じかな。

【単行本】「ReYUI」2巻 唯登詩樹 宙出版 A5
 唯登詩樹作品集第2弾。今回は全6話構成の「ただいまハート▽混線中」がメインで、短編が3本。発表時期はいずれも1988年。もう12年前だけど、絵的にはやっぱりこのころからうまい。空や雲の描き方なんかすごくいいねえ。ちなみに「ただいまハート▽混線中」では、パワードスーツの扱い方を間違って内蔵バイブでぐちょぐちょになっている女の子と、魔力で男から女になってしまった主人公、ちんこが2本ある男が、空中でからむというなかなかダイナミックなシーンがあったりして、発想的にも面白い。何を今さら唯登詩樹、などといわずにちと読んでみるのもよろしいかと。

【単行本】「少女狩り」 中島史雄 久保書店 B6
 おや、あとがきにすわてさんの名前が……。
 というわけでH漫画界ではすでに大ベテランな中島史雄の作品集。今回は、1978年発表の劇画タッチだったころの作品から新しい作品まで収録。劇画っぽい作品のほうが、今の作品しか知らない読者には新鮮。ずっと芸風が変わらない人というイメージがあったけど、実はけっこう変わってるのね。それにしてもこの人って、昔っからホントに一貫して少女エロばかり描いているよなあ。これだけ息が長いというのは立派だと思う。

【単行本】「限界LOVE」 刹奈 富士美出版 A5
 お話に関しては、見せ方とかがわりと田中ユタカライクな印象。絵柄は全然違うんだけど、Hに入る前の告白っぽいシーンとか、しめくくりのセリフとか。瑞々しい絵柄でHシーンもそれなりだけど、持ち味はやっぱり爽やかな恋愛風味にあり。基本的にラストはハッピーエンドな作品ばかりなので、そういった方向性が好きな方はどぞ。

【単行本】「MIU 〜イカせてあげる〜」 車海老 桃園書房 A5
 多少硬さはあるものの、華やかなタッチでエロをやろうとしているな〜ということは伝わってくる。飛び抜けたモノはとくに見られないけれども、エロをやる、という方向を外れずに技術を伸ばしていけば、それなりの仕事をしていけそうなタイプという気がする。

【アンソロジー】「美少女症候群2000 まんが・アニメ編2」 ふゅーじょんぷろだくと A5
 ふゅーじょんぷろだくとお得意の、同人誌エロパロ作品を集めてきたアンソロジー。今回はわりと絵のうまい人が多くてレベル高いですな。漫画執筆陣は、うげっぱ、いづるみ、池上竜矢、里見ひろゆき、深谷俊一、TAM、兼高双一、ホルモン恋次郎、我千代音(たぶん清水清)、鷹勢優、時坂夢戯、RT.、海星&海月。ネタとしてはヒカ碁、ラブひな、CCさくらといったあたりがメインだけど、時坂夢戯は今さらながらに「うる星やつら」をやっててイカしている。しかも内容はまんま快楽天星組の「乳漫」みたいで、デカ乳ラムちゃんをあたるがいじめるっつーもの。楽しい。それからうげっぱのヒカ碁モノは鉛筆描きのタッチがいいし、池上竜矢のラブひなモノも線にオリジナリティがあっていい感じ。パロディものは元ネタわからんものが多いし、正直あんまり得意じゃないんだけど、この本はけっこう面白く読めた。


12/1(金)……わんわんわんこ

 コミック・ファンの仕事で漫画家さんのインタビューに。名前を出してもいいのかよく知らないので、いちおう今のところ先方の名前は伏せておくけれども、今回の方は講談社漫画賞を受賞したこともある人。でも、実際にお会いしてみると思ったよりもはるかに若くて非常に気さくな方で楽しくお話できた。なお、掲載号であるコミック・ファン11号は1月中旬発売予定とのこと。

 本日は昨日に引き続き風邪ひきだったのだが、インタビュー直前に風邪薬を飲むかどうかでちょっと迷う。その3時間前くらいに一回飲んで効果が切れかかっていたのでどうしようかと思ったのだが、やはり眠くなっちゃうとヤバいのでやめておく。この判断は正解だったようで、インタビューの間くらいは効果がもってくれた模様。

 ところで今回のインタビューから、録音用にソニーのICD-MS2というICレコーダーを導入してみた。メモリースティックに録音ができるボイスレコーダーである。テレコのほうがはるかに安いんだけど、録音データをPCで扱えるというのはやっぱり魅力。あとサイズが小さくて、書き換えが簡単なので、ちょっとした用件でもバンバン録音しちゃってボイスメモとして使用するのも面白そう。32MBのメディアで最大267分つーことなので、テープと違ってA面/B面のリバースを考えずに済むのも楽でいい。記録方式は独自形式だけど、付属ソフトでWAV形式にもできるから、そこからMP3にしたりすることも可能なわけですな。なかなか便利だしいろいろ使えそうで面白いのでオススメ。

【雑誌】ビジネスジャンプ 1/1 No.1 集英社 B5中
 作:夢枕獏+画:谷口ジロー「神々の山嶺」。羽生丈二の手記編は今回でとりあえず終わりになり、また現在に話が戻る。ここまでずっと力の入る展開できていてとても素晴らしいので、新展開にも期待。
 あと、次号から冬目景「イエスタデイをうたって」が再開予定。

【雑誌】GOTTA 1月号 小学館 B5平
 松本零士「新宇宙戦艦ヤマト」。古代と島の会話がなんかすごい。島「古代!! ひさしぶりだなあ!! 先祖たちがここにいたら皆泣くぞ」「元気そうで良かった先祖とウリふたつだ」。古代「君もだ、島…話に聞いたり、1000年前の写真で見た君とそっくりだ!!」。うーむすごいスケール。しかも彼らはこういう会話を当たり前のことのようにするのだ。それはともかく、宇宙シーンとかはハッタリが効いててやはりワクワク。

【単行本】「SS」2巻 東本昌平 小学館 B6
 車の疾走シーンがかっこ良い。今のところ公道レースものになっているけれども、主人公たちが若者でなく、ええ感じのおっさんたちであるところに渋みを感じる。

【単行本】「犬・犬・犬」2巻 作:花村萬月+画:さそうあきら 小学館 B6
 ダルそうに生きる、他人の痛みをまったく理解できない少年・マヒケンの肝が冷えるような冷酷ぶりが語られるとともに、絵との出会いによって徐々に人間らしさもほの見えつつある。しかしまだ、マヒケンの底は見えない。俺としては、絵を描いているときのマヒケンよりも、他人の鼻をおろしがねで削っているときのマヒケンのほうがゾクゾクするものがあって惹かれるけれども、これからどっちの方向にもってくのかな。絵との出会いから人間らしくなるか、それともそれをも超越してさらに恐ろしい人間となるか。非常に興味深い。

【単行本】「昴」3巻 曽田正人 小学館 B6
 バレエで生きていくことを決意した昴は、いっとき自分の踊りの方向性を見失い苦悩するも、町中でストリートダンサーたちと知り合ったことがきっかけで自分を取り戻していく。今回の巻はゾクゾクするほどの高みって感じのシーンはないけれども、熱気がビシビシと伝わってくる画面作りとかはさすが。あとは昴に常人では考えられないような特訓を施すフェーズが欲しいかな。素質がある者が、さらに上のステップに行くということに対する説得力を強めるための、そりゃもう常人を超えたような特訓が。今のままでもすごく面白いのだけど、昴がなぜすごいのか、どういった資質があるから常人と違うのかということ(例えば「シャカリキ!」でいうテルの坂に対する狂的な執着みたいなもの)をもっともっと明確にしていくと、より面白くなっていくはず。

【単行本】「段ボール低国の天使たち」 東陽片岡 実業之日本社 A5
 いやあうれしいなあ。表紙のタイトルロゴからして、いつものなんかボロキレだかなんだかにうんちみたいな書体の東陽片岡調で。東陽片岡フォントとかあったら絶対買うね。お話も例によって、しみったれた町の片隅で、シケたオヤジたちが気楽そうに暮らしててなんだかすごくいい。なんかもう、出てくる人出てくる人、みんないい人なんだよね。しみったれてるかもしれないけど裏がなくてあっけらかんとしてて。読んでると、すぅっと力が抜けて、身体がいい具合にほぐれてくる感じ。東陽片岡最高。

【単行本】「11.1」 町田ひらく 一水社 A5
 今回もまたかっこいい単行本であります。クールで苦みがあって、突き放してて。甘味の少ない絵柄にて、キャラクターたちの微妙な表情、気怠い雰囲気などなど、いずれもビシッと決まっている。わりと結論なさげな話でも、絵と語り口でちゃんと町田ひらくならではの作品にしちゃっているのはやっぱり強い。近日中に町田ひらくページでも少し詳細に書くつもりではあるけれど、町田ひらく作品ってレビュー書くのがけっこう難しいんだよなー。

【単行本】「坂口尚短編集1 午后の風」 坂口尚 チクマ秀版社 A5
 坂口尚短編集刊行開始。やれめでたや。今回の巻にはこれまで未収録だった「はばたき」「無題(蝶)」も収録されている(余談だが、単行本の表紙に「単行本未収録」と書くのはヘンじゃなかろうか。その本に収録されてるんだから。「初収録」が正しいと思う)。
 さて、今回の収録作品だが、わりとメルヘンチックなお話が多い。それにしても改めて惚れ惚れするのが、坂口尚のペンタッチの美しさ。こなれていて洗練されていて、ときに強く、ときに繊細で。こんなのを30年くらい前からやっていたと考えると、なんてすごいんだろうと今さらながら思ってしまう。構図の取り方もこれまたかっこいいし、人の表情もイキイキしてるし。今回の収録作品の場合、物語的に大きな流れを持ったものは少なく、散文詩的な感じを受ける。ここはやはり、その高い描写力に酔いしれて浸るのが良さそうだ。 

【単行本】「おさなづま」6巻 作:森高夕次+画:あきやまひでき 双葉社 B6
 作者近況のところの森高夕次のコメントに「『アクション』の誌面刷新は事件と言っていいことだった。だが、自然の流れは尊重せねばならんのだ。」とあるが、エロ化したアクションでもペースを守って続いている数少ない連載の一つ。おさなづま作の漫画「めぐみのピアノ」が社会現象になっていく中で、それを巡るさまざまな人たちのドラマが語られる。正直なところ、最近の「おさなづま」は一時期の面白さがだいぶ弱まっちゃっている気はするのだが、単行本でまとめて読むとやっぱり読みやすいし、きっちりと面白くはある。「めぐみのピアノ」の最強ぶりが実証されたところで、あとはそこからどうもってくかだなあ。

【単行本】「CURA」3巻 六田登 双葉社 B6
 これにて最終巻。人間を愛してしまい家庭を築いてしまったがゆえの吸血鬼キュラの苦悩を描く。主人公が吸血鬼でありながら、中年男の愛と意地を感じさせるヒューマン(といっていいのか知らないが)ホームドラマに仕上がっている。六田登のぐいぐいお話を進める力も存分に発揮されていて最後まで面白く読めた。ちゃんとまとまったいいお話だったと思う。


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