オス単:2004年7月の日記より


 このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則として行っていません

 なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でも入ってくることがあります。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、取り上げないことが多いです。


▼強くオススメ

【単行本】「子供学級」1巻 桜井のりお 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 待望の初単行本。とある小学校の5年2組にやってきた新しい担任の先生。身長130cmくらいでまるっきり生徒にしか見えないけど実は22歳。それがこの作品の主人公・小島梅子である。ナリは小さいけど馬鹿力。何かといえば生徒や同僚教師をぶん殴り、暴虐の限りを尽くす。しかしそんな梅子のおかげでクラスは妙に活気づいて……ってな感じの小学校ドタバタコメディ。これがなかなかに面白い。

 作画はまだこなれてない部分もあるけど、なんというか、ビシッバシッと思い切りのいいタッチで妙に小気味いい。ギャグのテンポも良くて、とても面白い。梅子が先生や生徒をぶんなぐり、ぴゅーぴゅー血しぶきをあげてたりするけど、それは日常茶飯事、日常の一風景としてカラッと描かれていて陰湿なところがない。梅子だけじゃなくて、同僚教師の雉原せーじとか、梅子のアパートの大家さんとか、いい感じにキャラがぶっこわれている。初連載だけど毎回コンスタントに面白くて爆発力もある。この人についてはかなり買ってます。それにしても桜井のりおって1985年7月生まれなのか……。まだ十代じゃん。ア・リトル驚き。

 ところで桜井のりおは、週刊少年ジャンプの2003年6/23 No.28に読切「そーじの時間」が掲載されている(感想は2003年6月29日の日記参照)。これを不覚にも切り抜き忘れてしまっていて、けっこう後悔していたりします。

【単行本】「闇金ウシジマくん」1巻 真鍋昌平 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 最近流行りの闇金モノの中では屈指の面白さ。闇金をやってるウシジマという男が、世の中をなめてる債務者から情け容赦ない取り立てをしていくというお話。まあそれだけだったらよくある内容なんだけど、真鍋昌平のゴツくて迫力のある絵柄のおかげで、ウシジマのシビアでドスの利いたパーソナリティがうまく表現できている。隙を見せるとトンズラここうとする相手を追い詰めるさいの頭のキレっぷりにもシビれるものが。「かってに改蔵」流にいえば「かわいそう自慢」(←だったっけかな)的な人たちを懲らしめていくさまは、ひでーなあと思いつつも妙に胸のすくものがあり。あとタイトルロゴがやけにコミカルでフレンドリーなのも、いかにも金貸しっぽくていいっすね。

【単行本】「マエストロ」1巻 さそうあきら 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 昨年、一時休刊する前のアクションで連載されていた本作がついに単行本化。スポンサー企業の倒産などにより解散の憂き目にあった交響楽団が解散し食い詰めた面々が、天道と名乗る老人に呼び寄せられて再結集。怪しげな風貌とは裏腹に天才的な指揮者ぶりを発揮する天道に導かれ、楽団のメンバーは極上の音楽を作り上げるべく一歩一歩前進していく。さそうあきらの音楽漫画といえばピアニストの少女が主人公の「神童」が有名だが、今回はオーケストラにチャレンジ。1巻の時点からさっそく音の世界を描いた物語を、面白く作り上げている。お話のテンポがいいし、「至高の音楽が少しなりともかいま見えたか?」と思わせる演奏シーンの表現もゾクッとする気持ち良さ。お話はまだ序盤で、雑誌連載では未完状態だったが、残りの部分は単行本で補完予定。名手さそうあきらがどんなものを見せてくれるか、すごく楽しみ。

【単行本】「不成仏霊童女」 花輪和一 ぶんか社 A5 [bk1][Amzn]

 表題作全6話のほか、4本の短編を収録した作品集。掲載誌はホラーMおよびその増刊。花輪和一らしい密度の高い作品ばかりで面白かった。とくに「不成仏霊童女」がいい。フグの毒にあたっていったんは死後の世界に行きながら、成仏できず、かといって自分の身体にも戻れなくなってしまった童女が、不成仏霊として世間を歩き回ってさまざまなものを見ていく。童女が見つめる人物たちは、主に悪行を犯しその報いを受ける。とくに二人の少女を殺したため、顔だけ出した状態で土に埋められ、「地獄汁」と呼ばれる汁を口に注ぎ込まれ続ける罪人の話とかすごい。彼が地獄に行った後は、鬼の糞壺にどっぷりつかって、身体中地獄ウジ虫にたかられて体液を吸われ続けるという苦痛を受けることになる。なんかもうそこまでせんでもってくらいなんだけど、花輪和一の場合「それはそういうものなのだ」とばかりに当然のごとく描いている。そのあっけらかんとした姿勢がなんか妙に気持ちいい。業は深いけどベタベタしたところがない。あと描写の緻密さもやはり素晴らしい。細部までガシガシ描き込まれた虫とか。

【単行本】「こぐまレンサ」2巻 ロクニシコージ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 完結。面白かった。最初のうちは「すべてに射矢ガール」とは打って変わったダークな展開で、面食らった人も多かったんじゃないかと思うが、読み進めていくとその考え抜かれた構成にうなる。とある男に拉致され地下室で監禁された女性、ある日拾ったノートを元にした作品でベストセラー作家となった小説家、この世で不幸な人100人をリストアップしたホームページをめぐる物語……などなど、オムニバス形式のようにバラバラに展開されていったさまざまな人間のドラマが、最終的に天使のような悪魔のような不思議な少女こぐまという一点に向かって、グワーッと収束していく様子にゾクゾクする。一つの物語で何気なく描かれていた事象が、次の物語で重要なファクターとなり、時間を行きつ戻りつしながら話を積み重ねていく内に、こぐまをめぐる一つの悲しくも暖かい物語が浮かび上がってくる。人気はなかったかもしれないけど、作者としては入魂の作品だったんじゃないだろうか。ダークに展開していった物語たちが、総じてみると愛の物語であったという結末もジーンとくるものがある。これはぜひ2巻まとめて読んでいただきたい作品。

【単行本】「王様ランチ」 三宅乱丈 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 三宅乱丈としては初の短編集。収録作品は「王様ランチ」「ある日突然超能力者」「マイママ」「格闘着」「言霊師」「ヘビースモーカーの息子」「肛門売ります」「ウーさん」。どれも妙な読後感を残す作品ばかりだが、とくに表題作の「王様ランチ」がすごく好き。ごはんを残すと、食うまでそれを手づかみにして顔に押しつけてくる鬼のような祖母の行いがトラウマとなって、顔に食物をぶちまけることに快楽を見出すようになってしまった男子が主人公。その彼が、いとこにそそのかされて、最高の背徳感を得るべく彼女の手作り弁当をゲットして、ぶちまけをやらかさんと策動するというお話。どのグルメ漫画にもないような、食に対する変態的なこだわりが感じられる作品となっていて、すごく面白かった。

 このほかの作品も個性的。天才だけどまったく常識のない発明家の少年が、柔道選手のための柔道着を作ろうとして脱線しまくる「格闘着」とかすごくくだらないし、自分は超能力者であるという妄想にふける癖を持った少女が主人公の「ある日突然超能力者」は巧みな構成でうまい。「ペット」のようなシリアスな作品もいいけど、この人のベースはやっぱりギャグなのかな。ずいぶん濃くて特殊なギャグではありますが。

【単行本】「年上ノ彼女」1巻 甘詰留太 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 甘詰留太としては、非エロ系出版社からの初単行本。この作品はかなり好きです。かつて地元の村にある蔵の中で出会い、その後もたびたび夢に出来た少女。その娘とそっくりだけど実は年上な小山内さんという女性と、大学のサークルで一緒になった努はたちまち彼女に惹かれていき、なんだかよく分からないうちに同居生活をすることに。しかし彼は同じサークルで努のことを慕う同級生・森川さんといい雰囲気になったときには、勃たなかったという前歴の持ち主。そんな努と少女のような「年上ノ彼女」小山内さんの、ドキドキたっぷりなラブストーリーが描かれていく作品。

 甘詰留太は、ここ数年のエロ漫画界の中でも取り分け充実度の高かった作家だが、その勢いは非エロ系でも変わらず(といってもエッチっぽいシーンはいっぱいありのヤングアニマル嵐だけど)。エッチっぽい雰囲気を漂わせつつ、甘〜いラブストーリーをつむいでいく手際が抜群。その恋愛ムードの濃密さは特筆に値する。相手のことを想って微笑んだりはにかんだりする各キャラクターの表情作りも印象的。「ここぞ」という場面でのセリフやまなざしに、キューンと胸を射抜かれてしまうではありませんか。その恋心がみっちりつまった濃い空気、トロけるような感触に、毎度やられております。実はラブストーリーとしてもかなり直球勝負。肉欲の部分もサラリと受け流したりすることなくみっちりジューシィに描き込み、それと天秤が釣り合うくらいに濃く甘い恋愛物語もしっかり構築。これだけむんむんと熱気のある恋愛モノを描ける人はそう多くない。

 なおこの単行本には読切作品の「Hなまんがができるまで」も収録。ちょっといいなと想っていた同級生の女の子の家に遊びに行った少年が、エロ漫画家である姉の追い込みを手伝わされているも、その間に二人がいい雰囲気に……という内容。こちらも幸せでラブラブ。恋愛気分を盛り上げる演出がうまいなーと感心させられる。脂が乗った旬の作家だと思います。オススメ。


▼一般

【単行本】「かりんと。」1巻 作:氷幻嵩人+画:THE SEIJI 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 エロ漫画で精力的に活動していたTHE SEIJIが少年誌で初連載。主人公の大沢淳平には、幼なじみの女の子・花梨ちゃんにぞっこんだったが、優しく控えめな性格のためその気持ちを口に出せずにいた。ところが実は花梨ちゃんも大沢に惚れていたのだが、花梨の兄である城戸修平のさしがねで、大沢と修平の人格が入れ替わり。大沢になりすました兄の修平は、その姿で花梨ちゃんに迫ろうとするが……という人格入れ替わりラブコメとしてお話はスタート。

 THE SEIJIの描く女の子は、エロ漫画のときからかなり好きだった。なんかお人好しっぽくて気が置けないところがあり、とてもかわいいと思う。連載開始当初はまだ少年誌に慣れてなかったこともあってかゴチャゴチャした感じがあるんだけど、とくに最近の掲載分はすごくいいと思う。すごく微笑ましくラブコメしてるし、それぞれのキャラが一生懸命動いているなっていうのが伝わってくるのがいい。1巻だけだと魅力が出てない部分もあるけど、回を重ねるごとに良くなってる。THE SEIJIは漫画うまい人だと思うしサービス精神もしっかりしている。こういうコンスタントかつ量もこなせる人は貴重な存在だと思う。毎回楽しみにしてます。

【単行本】「鬼頭莫宏短編集 残暑」 鬼頭莫宏 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 1987年に少年サンデーに掲載されたデビュー作「残暑」、1994年の少年チャンピオンに掲載された「三丁目交差点電信柱の上の彼女」など、短編7本を収録した作品集。これはなかなか良かった。「残暑」のころからすでに今につながる作風は確立してて、甘さと切なさを含んだお話を丁寧に作り上げている。単純なハッピーエンドではなく、どこかほろ苦いところも鬼頭莫宏らしい。完成度の高い短編が楽しめるいい本です。

【収録作品】「残暑」「三丁目交差点電信柱の上の彼女」「華精荘に花を持って」「よごれたきれいな」「AとR」「パパの歌」「ポチの場所」

【単行本】「ぼくらの」1巻 鬼頭莫宏 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 臨海学校的な教室に集まった15人の少年少女が、海辺の洞窟で出会った不思議な青年に誘われて、とあるゲームをすることになる。それは巨大ロボットを操って、迫り来る的から地球を守るというもの。最初は遊び半分だった子供たちだが、事態はだんだん遊びではすまないことに……。IKKIで読んでたときはそんなでもなかったんだけど、まとめて読むとけっこう面白い。明朗快活なロボットアクションって感じではなく、少年少女たちを残酷な運命が待っていそう。ともあれ物語はまだ序の口なんで、これからの展開を待ちたいところ。

【単行本】「純粋!デート倶楽部」上下巻 石田敦子 エンターブレイン B6 [bk1:上巻/下巻]][Amzn:上巻/下巻

 アワーズライト、カラフルコミックピュアガール、マジキューと掲載誌を転々とした連載を完全収録。マジキュー掲載分は読んでいなかったのでうれしい単行本化。ナンパでも合コンでもない、純粋なトキメキを追求するデートを提供するという「純粋デート倶楽部」。そこに集まった女の子たち、プラス男の子1人の物語。他人を想うこと、ときめくこと、恋すること、愛し合うことに対して複雑な想いを抱えている人々の心のうちを、非常に丁寧に描写していった佳作。主役はつき合っていた男子にふられたばかりのフツーの女の子・朱音だが、それ以外のメンツのエピソードもきっちり。作画は華やかながら、雰囲気で流したりすることなく、ツラい恋、報われぬ想い、すれ違う心などを真っ正面からとらえて描き出していくお話作りは、ときにシビアで胸を締めつけてくるようではあるけれども、その厳しい姿勢からは作者の誠実さが感じられる。しっかりした読みごたえがある、興味深い作品に仕上がっている。とても純粋に、恋愛というものを追求した力作だと思う。

【単行本】「アカイチゴシロイチゴ」 宇仁田ゆに 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 「アンチカガミコント」「ナナクセ」「エバグリン」「プラッチックディナー」「ハナサキキス」を収録した短編集。このころはまだ女性誌に移りかけくらいだったということもあってか、多少不慣れかなと感じさせるところもあるけど、だいたい面白く読める。個人的には片やゴツくて体育会系、片や派手派手な双子姉妹ランとカンナの、ケンカしつつも仲の良い生活を描いた「アンチカガミコント」が好き。この二人は、本を閉じた後でも印象に残るキャラだった。それ以外の作品についても、女の子の気持ちという奴をキュートに描いてて楽しく読める。

【単行本】「マインド・ゲーム」 ロビン西 Beyond.C/スタイル+飛鳥新社 B6 [bk1][Amzn]

 すごく面白かった。かつてマガジンハウスから3分冊で出ていた作品の復刻だが、えーとそのときは読んでたっけ……。忘れた。でも今読んでもすごく良かった。お話は幼なじみで好きだった女の子・ミョンちゃんに再会した主人公の西が、今度結婚するという彼女の家に遊びに行ったところ、その父親が起こしたヤクザとのゴタゴタに巻き込まれて死亡。しかしそこから強力な意志をもって蘇生した西は逆にヤクザを殺害。自分の思ったように面白いことをどんどんやると決意した西は、ミョンちゃんとその姉を連れて逃亡。しかしヤクザに追い詰められて飛び込んだ海でクジラに飲まれ、そこで30年間クジラの腹の中にいる老人と出会い……とお話はスペクタクルに展開。

 絵柄はラフ。でもすごく味があってパワフル。お話も怒涛のごとく突っ走る。とくに西がいったん死んでから蘇生するまでの過程や、クジラの腹の中ですべてから解放されるシーンの、脳内麻薬がドパドパ出ている感じの描写なんか素晴らしい。混沌としたイメージの洪水状態に圧倒される。ラストも感動的。前向きに人生を楽しんでいこうという、ポジティブさがいい。一気呵成の勢いでガツンと楽しませてもらった。なお本作はアニメ映画化が決定しており、今夏に渋谷シネクイント、心斎橋パラダイススクエア他でロードショー予定。公式ホームページはhttp://www.mindgame.jp/。制作はSTUDIO 4℃。これはちょっと観てみたいな。

【単行本】「GET DOWN」 橋本みつる 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 うわー、なんで今ごろこの人の単行本が。「きみとぼく」の休刊以来、自分は見かけてなかったんだけど。出してくれて、もちろんうれしうございます。スラリとした、省略の具合が気持ちいいちょっと不思議な感触の絵を描く人で、恋愛模様の描き方にもどこか清涼感があって気になる作家さんだった。今回の作品集はわりと古めな作品が多いので、ストーリー的にはちょっとまとまりを欠く部分もあるけれど、スッと気持ち良くぬける感じの画面は、やっぱりアンテナに引っかかってくる。既刊単行本はほかに「夢を見る人」[Amzn]、「パーフェクト・ストレンジャー」[Amzn]、「幼い恋」[Amzn]の3冊。いずれも漫画からは撤退してしまったソニー・マガジンズの本なんで、現在では入手しにくいと思うけれども、今回の本で興味を持った人は探してみては。その3冊のほうが確か新しめの作品が入っていたと思う。

【収録作品】「GET DOWN」(1992年 花とゆめPLANET増刊9/1号)、「世界を止めて」(1993年 花とゆめPLANET増刊11/25号」、「背中をどうにかしてくれ」(1997年 セリエミステリー2月号)、「恋のゼスチャー」(1993年 花とゆめ PLANET増刊6/9号)、「ごめんね好きだよ」(別冊花とゆめ 春の号)、「誘惑について(別物)」(描き下ろし)

【単行本】「サムライチャンプルー」1巻 作:manglobe+画:ゴツボ★マサル 角川書店 B6 [bk1][bk1][Amzn]

 ヒマワリの香り、放課後の実験室、深町君……というわけで、ヒマワリの匂いのお侍さんを探しているフウという少女が、ムゲン、ジンという型破りな剣の使い手二人を強引に仲間にしてふらふら旅道中を続けるというトンデモ時代劇系アクション。アニメ版のほうも漠然とした大筋だけ定めて、その途中は本当に好き勝手やるという状態で進んでいるけれども、それは漫画版も同様。力を抜いて奔放にやってて、だらだら楽しく読んでいける。ゴツボ★マサルの軽妙でシャレた絵柄も、力加減的にちょうどいい案配。

【単行本】「アフター0 Neo」1巻 岡崎二郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 岡崎二郎の代表作ともいえるSFショートショート漫画「アフターゼロ」が復活。「大いなる眠り子」シリーズはないものの、科学的知識を取り入れつつ丁寧に作られた気の利いた短編作品を集められており、コンスタントに面白く読める。この巻では「アトム誕生の日」の記念作品である「鉄腕アトム2003」も収録。きっちりとした作りで安定感抜群。


▼エロ漫画

【単行本】「シスパラ」 くどうひさし 司書房 A5 [Amzn]

 ドルフィンで活躍中のくどうひさしの最新刊。胴がほっそらして手足が伸びやかなスタイリッシュな絵柄が持ち味。シンプルながら心地よく整ってて好きな絵です。この単行本に収録されている作品群は、大ざっぱに分けてギャグ系とラブ系に分かれるが、個人的にはスイートなラブ系のお話のほうが好き。甘やかでちょっと切ないところもあってとても良いです。ギャグのほうは芸風的には道満晴明風かな。そこまでぶっとんでるわけではないけれども。口当たりのいいシャレた絵なんで、エロ漫画初心者にもオススメ。

【単行本】「夜伽ばなし」 玉置勉強 コアマガジン A5 [Amzn]

 今回はいつもの一水社ではなくコアマガジンからの単行本。メガストア掲載作品がメインということもあって、エロはハードに、実用度は高めで攻めてきているのだがこれがなかなかいい。ストレートにヌケる作品に仕上げてきてて、エロを描こうという作者の気合いを感じさせるものがあった。それでありながら、都会で男に裏切られたことでひきこもりになった姉と、彼女を慕う弟の愛の物語である「ひきこもりお姉さん」全3話で寄り添う兄弟の切ない心情を描いたりもしてて物語面でも読ます。充実感のある1冊でありました。

 ところで今回は安野モヨコが帯に推薦コメントを書いているけど、最近他の出版社も含めて、漫画家を起用した帯って増えてるような気がする。流行ってんのかな。

【単行本】「姉と眼鏡とミルク」 RaTe 富士美出版 A5 [Amzn]

 読んで字のごとし。タイトルそのまんまの内容。めがねの姉にぶっかけるというお話がてんこ盛り。RaTeの描く女の子は、ほっぺたとか肉付きがもっちり。今菓子パンとかでもちもち感を売りにしたものがけっこう流行ってるようだが(←というのはどうでもいい前振りではあるが)、この質感は好き。なんか見てて妙に気持ち良い絵柄だと思う。あとときどき上連雀三平ライクな、姉と弟がごく当たり前にやってる世界観とかを展開してるのも楽しい。基本的にキャラクターたちがみんな楽しんでやってる感があるので、気軽に読んでいける。ただときおりエッチシーンではめがねを外してしまう作品があるのは、めがね好きな人には減点ポイントかもしれず。

【単行本】「モモ色クリニック」1巻 ジェームスほたて 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 さまざまな性に関するお悩みを、ちゃらんぽらんな感じのドクターと、美人ナースの桃子が解決〜というお気楽エッチコメディ。明るく軽く、ストーリー的にはどうってこともないが、ジェームスほたてならではのむっちりむちむちした女体描写がエッチ。画面の密度が高く全体としてはゴチャゴチャしてるんだけど、色っぽく見せたい部分を大胆にアップにする構図のおかげでインパクトあり。サービス満点できっちり使える作品。

【単行本】「ラブ♥ハニ」 ジェームスほたて 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 ジェームスほたてがヤングキングで短期集中連載した表題作全6話+読切「いただき☆ティーチャー」を収録。「ラブ♥ハニ」は、バイト先の女の子・瞳に恋している林ハルノブ少年の家に、瞳を含む美人3姉妹が突然やってきて同居生活が始まってしまう……というエッチラブコメ。瞳の姉のルイが起きたらいきなりちんちんをしゃぶってきたり、ラストの展開なども唐突な感はあって、いまいちまとまりは悪いかも。ただ最近のジェームスほたてならではの、ジューシィでばいんばいんな女体描写は健在。明るい雰囲気の絵柄ながらむっちりエロく、キュートだけど押しは強い。ラブコメ部分も甘い味わいなので、完成度というよりは、局面局面の瞬間最大風速という点で評価するのが吉かなあという感じ。柔巨乳好きな人向けか。


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