2003年6月上旬


6/10(火)……ヤミの飲み屋

▼ふむ、このCPUクーラー(Qualista DragonForce)はなかなか良さげだな。可変速でノイズが21〜43dB。静音クーラーといわれるような製品の騒音レベルが25dBくらいだから、回転数最大のときはけっこううるさいと思うけど、付け外しがレバー1本でできるので扱いやすそう。実は仕事場でテスト用に使っているPentium 4/3.06GHzに付属の純正クーラーが、うるさいうえに脱着がやりやすくないのでなんとかしたかったんだけど、現在ショップの店頭にある脱着がしやすそうなクーラーはたいてい2.8GHz程度までの対応なので購入を躊躇していたのだった。DragonForceは6月中旬〜下旬発売予定とのことなんで、出たらぜひ試してみたい。

【雑誌】エース桃組 2003 Summer 角川書店 B5平

 どうも本筋の萌え路線の作品がいまいちインパクト弱い。同じような感触の作品が揃ってるからというのもあるけど、個々の作品についてもあんまり強力じゃないような気もする。絵的にパッと目をひくのは、個人的には作:あすか正太+画:剣康之「総理大臣のえる+」あたり。あと平野耕太「平沢進め!以下略。」はもちろん目立つ。今回はいつもの人たちがオナニールーレットに挑戦。ルーレットでネタを決定し、出たモノで無理やりオナニーに挑むというゲーム。ちょっと面白いかも。誰かFlashゲームとかで作るといいんじゃないかと思う。

【雑誌】ヤングチャンピオン 6/24 No.13 秋田書店 B5中

 富沢ひとしが新連載を開始。「BR II/ブリッツ・ロワイアル」(原案:高見広春)。要するに「バトル・ロワイアル」世界を使ったアナザー・ストーリー。今回は島ではなく海上で「プログラム」が行われる模様。主人公の真恋人(マコト)は自分がやたら不運なことを嘆いている中学生の少女。富沢ひとし独特のオドオドしたキャラクター作りが、いきなりデス・ゲームに放り込まれた少年少女を描くのに功を奏しているなと感じた。

【雑誌】イブニング 6/24 No.8 講談社 B5中

 細野不二彦のシリーズ連載「ヤミの乱破」がスタート。これはなかなかかっこよくて面白かった。終戦直後の混沌とした日本で、かつて日本軍の特殊工作員として活動していた男がその能力を生かしてあらたな諜報活動に暗躍する。ハードボイルドでヘビーな読みごたえのアクション作品。最近ちとヌルめな作品の多かった細野不二彦だが、一転してシビアな作品を描いても十分読める作品を作ってくる。本当にうまいなあ。職人だなあ。

 寺沢大介「喰いタン」。今回のサブタイトルは「不味いとわかっていても喰う!!」。相変わらずスゴい男だ……。佐藤マコト「サトラレ」。今回はサトラレを敵視して、常に彼ら彼女らを亡き者にしようともくろんでいる敵役・山田一郎教授サイドの話に斬り込む。サトラレにはサトラレのドラマがあるが、山田にも山田なりの事情がある。なかなかカッコイイ悪役になってきてる。

【雑誌】ビッグコミック 6/25 No.12 小学館 B5中

 なかいま強「黄金のラフ 〜草太のスタンス〜」はアメリカ編がスタート。日本時代にもましてチームきりたんぽは貧乏だけど、適当でダイナミックな生活はきりたんぽによく合ってる。これからの展開も面白くなりそうで期待大。

【雑誌】漫画アクション 6/24 No.24 双葉社 B5中

 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫「軍鶏」は連載再開。いよいよリョウが日本に帰ってくることになる模様。トーマとの対決はしばらく後になりそうだけどなんにせよ楽しみ。さそうあきら「マエストロ」第2回。食い詰めた交響楽団の面々は、怪しいおっさんの思わぬ指揮者としての才能に驚愕する。おっさんの指揮棒が振り下ろされるたびに、身体が動き出しそうなワクワク感が押し寄せてくる。ここまでは非常にいい感じだし、さそうあきらだけに今後も間違いはないだろうと思う。

 バロン吉元「三面大黒天」(作:KAZUKI)。今回もまた強烈だなあ。扉を開けるとそこには絶対に近づきたくないような口臭爆発な親父の顔のどアップが。本当に匂ってきそうだ……。グロ画像なみの破壊力。インパクト強すぎ。わたべ淳「ライジング」。女子ソフトボール実業団リーグ開幕戦がヤマ場。ここで主人公のモモコが一部リーグ初マウンドへ。かなり熱血してて面白い。最近アクションは楽しみな連載が増えてきたなあ。

【雑誌】漫画サンデー 6/24 No.24 実業之日本社 B5中

 末松正博が新連載を開始。「ザ・ビッグマン」。名門女子大の助教授・カタギリが、友人のAV監督の誘いで温泉への撮影旅行に同行。そこで彼のチンコが異常なまでに巨根であることが判明し、急遽覆面AV男優としてデビューするハメに……という出だし。とにかく人間離れしたビッグマグナムの力を存分に発揮して、彼がどんどん女たちを骨抜きにしていくというお話になりそう。キャラクターの容姿はだいぶ違うけど、お話の骨子は「右曲がりのダンディー」的。分かりやすいし気楽に読めるんでいいのではないかと。作:鍋田吉郎+画:原恵一郎「巌流小次郎」。武蔵と蘇った小次郎が再び相まみえ、再戦のときが迫る。緊迫した雰囲気で武蔵、小次郎ともにカッコイイ。

【雑誌】メガキューブ Volume28 コアマガジン B5平

 すえひろがりの新連載が開始してちょっと楽しみ。今回の「CAGE」は、離れて暮らしていた美人姉妹が偶然同じ学校に赴任することになったが、その学校には何やら秘密が隠されているようで……というところから始まる、学園女教師調教モノという感じ。お得意の露出ネタもどんどん出てきそう。初回は導入部であまりハードなシーンはなし。じょじょにからめ手から攻めていくっていう急がない姿勢が、かえっていやらしいモノを感じさせる。女教師姉妹も片方はショートカット、片方はロングヘアーとどちらのニーズもカバー。というわけで今後の展開が楽しみ。これまで柱といえる連載があまりなかったメガキューブだけに、雑誌全体としてもよろしいのでは。道満晴明「イベントホライゾン」。地下の抜け穴を進む3人組と、ホテルの一室にいる拉致された少女と犯人たち。二つの場面がつながっているようなつながっていないようなって感じで、パラレルに進む不思議な感触の作品。なかなかトリッキーな作りで面白い。

【単行本】「春よ、来い」11巻 咲香里 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 これにて最終回。まあ落ち着くべきところに落ち着いてめでたしめでたしといったところ。端整で華やかな絵柄のわりに、主人公・高史の女遍歴は何気に無軌道。しかもいつまでも純情青年っぽく振る舞ってて呆れてしまった。そんなわけで「これは絵のきれいな『愛DON’T恋』だ」などと評したりもしたが、別にそれが嫌いなんじゃなくて、むしろとても好きだった。こういう天然でフラフラしまくるお話って好きなんす。最終巻ではまだ大学出たばかりなのに、いきなり「次つき合う人とは結婚を前提に」とか言い出すあたりも図太くていい。こういう人に私はなりたい、ような気が、するようなしないような……。あと巻末には前後編のメイドさん読切「フリル」も収録。


6/9(月)……生殺した〜

【雑誌】近代麻雀オリジナル 7月号 竹書房 B5中

 今号はあんまり面白くないなあ。特筆すべき作品が今回はなかったかな。本そういち+安藤満「麻雀無限会社39」は手堅く読ます、片山まさゆき「スーパーヅガン!アダルト」は相変わらず時事ネタがうまい、覆面作家Xはそんなに正体バレバレにせんでも……といったところ。

【雑誌】ヤングキング 7/7 No.13 少年画報社 B5中

 克・亜樹の読切「DADDY★バージン」が掲載。父親の再婚相手となるはずだったが籍を入れる直前に死んでしまった女性の連れ子・摩緒を引き取って、ずっと一緒に暮らしていた主人公。引き取ったときはまだ10歳だった摩緒も今では18歳。30歳である主人公に無邪気になついてきているが、そろそろ彼との関係を「父親」にするか「兄」にするか「彼氏」にするか決めるべきときがやってきた……ってな展開。なんだかもうすごくベタベタなラブラブH話になっている。昔は打ち切り作品も多く泡沫漫画キング的な存在だった克・亜樹だったが、近年すっかり何かをつかんだ感がある。それが泡沫でないかというとアレだが、憎めない作家さんだと思う。実はけっこう好きなのだ。

【雑誌】ヤングマガジン 6/23 No.28 講談社 B5中

 東和広「ユキポンのお仕事」で、作中作であったイボンヌ周作の漫画「玉なしゴロー」が掲載。なんかすごく下らない忍者モノ。ちょっと続きが読みたくなってしまった。あと今号ではヤンマガ特製のカップラーメン「ヤンマガラーメン」の読者プレゼントとかもあり。応募券が付いているので食べてみたい人は雑誌を買いませう。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 6/23 No.28 小学館 B5中

 コージィ城倉「ティーンズブルース」。ホストにハマって転落街道一直線な女子高生・アサミ。いやー、これいったいどこまで描くんでしょうな。ここまで50話以上やってるけど、ほぼ全編転落しかしていない。女性誌ではこういうのはけっこうあるだろうけど、女性に夢を見たいという欲求が強い男性誌ではこういう漫画は珍しいと思う。三宅乱上「ペット」。事態はますます緊迫。面白くなってます。この前キャラクターの相関図を見て、そういえば主人公ってヒロキなんだなとか思った。古屋兎丸「π」は馬鹿馬鹿しくてとても楽しい。バイクアクションもさすがうまい。本当に多才な人だ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 6/23 No.28 集英社 B5平

 漫画のストーリー部分を競う新人賞、第9回「ストーリーキング」のネーム部門準キングを受賞した池田悠一郎「喇叭王国」がちょっと気になる。お話が面白そうというのもあるんだけど、絵もスッキリしててけっこう良さげな感じがした。作画候補の募集がかけられているけど、自分で描いてみてもいいんじゃないかなあ。第59回赤塚賞佳作を受賞し読切掲載された桜井のりお「そーじの時間」は、小学校の掃除の時間にイタズラなことばっかりしている子供たちを描いたドタバタギャグ。まとまりのいい可愛げのある絵柄で楽しげな雰囲気。完成度が高く、わりとどの雑誌でも使えそうな汎用性あり。

 叶恭弘「プリティフェイス」は今回で最終回。楽しく読んではいたけど、恋愛モノ、学園モノ、どちらにも徹しにくい基本設定なので、これ以上展開を広げるのはちと難しかったかな。吉川雅之の新連載「キックスメガミックス」は、熱血テコンドー漫画の模様。わりと週刊少年マガジンテイストな作品。

【単行本】「THE大市民」2巻 柳沢きみお 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 なんだかこの作品はとても好きだ。主人公の山形先生は、とにかくなんだかんだ理屈をつけて自分のやっていることだけは正当化しようとする。こだわりとかはマニア筋から見れば中途半端な気もするし、人生論としてもさほど深いとは思えない。でもそういうところが微笑ましい。もっと若い時分だったら山形先生の主張に多少ムカついたかもしれないけど、今はこのくらいなら「何やら語ってるオヤジがおるわい」と楽しく読める。なんかすごく無邪気でいいじゃないすか。例えばタマちゃんのこと。社会の出来事を何かにつけて斜めから見て茶化すタイプの人たちにとっては、タマちゃんといえば「いい大人が何やってんだ」的現象の代表格だと思う。でも柳沢きみおは別にヒネりも何にもせずに、素直に「タマちゃんかわいー」と言い切っちゃう。これは漫画では案外珍しいスタンスだと思った。普通なんかヒネったコメントの一つもつけてやろうとするでしょ、この手の商売の人たちは。その点、これだけの実績を持っていながらヒネたところなく平凡な視点を持ち続けている柳沢きみおっていう人は貴重な存在だと思う。

【単行本】「おとぎのまちのれな」3巻 はっとりみつる 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 もののけのケガリチョタたちのおかげで、悶々とした欲情にとりつかれっぱなしのれなを中心に、田舎の町の日常は今日もドタバタ忙しく展開。すごくゴチャゴチャしてて何がどうなっておるのやらという感じは多少するんだけど、ドキドキ感たっぷりに健康的なお色気を展開する作風はけっこう好き。

【単行本】「13カラットの恋」 井荻寿一 ワニマガジン社 B6 [bk1][Amzn]

 調べてないので収録年代は知らないのだけれど、井荻寿一の初期作品集であるらしい。基本的に今とそんなに変わらない、あっさりした読み口の短編が中心。絵柄的には一見さほど変わっていないようだけど、やっぱり今のほうがずいぶん洗練されてるんだなーと感じた。ほのかに醸し出す色気というものが、現在の絵はずいぶんアップしていると思う。とはいえこのころの作品にも初々しさが感じられてけっこう良い感じではある。


6/8(日)……背部律動板

▼ビデオキャプチャー用に使っているキューブ型PC(筐体はマスタードシードCF-7589P4を使用)で週末の間中ぶっ続けてで動画のエンコードをしていたら、ケース内に尋常でないくらい熱がこもってしまう。CPUとHDDが常にフル稼働、なおかつビデオキャプチャーカードのMTV2000の発熱も大きいので仕方ないのだが、ケース全体が外側から触っただけでCPUクーラーのヒートシンクくらいアツい。俺推定ケース表面温度はたぶん50〜60℃。たぶん内部は70℃は行ってたと思う。ケースを開けてみると、HDDのあたりは直に触ると火傷しそうなくらいになっていた。これはさすがにヤバいのだが、ケースが小型なので熱を逃がす場所もないし、ケースファンも取り付けようがない。そんなわけでしょうがないから、夏の間はケースカバーをとって開けっ放しにしたまま運用することに決定。動作音はうるさくなっちゃうけどHDDが壊れるよりはマシ。いずれケースの乗り換えも考えたほうがいいかも……。

【単行本】「甘い水」下巻 松本剛 講談社 四六判 [bk1][Amzn]

 完結巻。胸を締め付けられるような青春恋愛物語だった。すこぶる甘く、すこぶる苦い。自分の好きになった女の子が、劣悪な家庭事情により売春をさせられていると知ってしまった衝撃。しかもそれを自分で目撃したとかでなく、同級生から聞かされる辛さ。主人公の夏生がそれを自分の中で消化できず、ただひたすらに悩み続けるあたりとか、描写がすごく誠実だと思う。「俺が守ってやる」だのなんだのいって、沢俣さんを受け入れちゃうというアプローチは漫画的にはありがち。でもそれができない。自分の感情をどこにも持っていけない。それがいかにも純朴でまっすぐな夏生らしい。実際自分がそういう立場に立たされたらもしかしたら口当たりのいい言葉でごまかしちゃうかもしれないけど、芯から納得はできないと思う。その気持ちそのままに行動する夏生、そしてその想いに応えようとするけど身動きのとれない沢俣さん。自分、そしてお互いに誠実であるがゆえに何もできない。それだけに二人の別れ際の情景は深く心に沁みる。いつかこの二人がまっさらな状態でまた再会できればいいなと誰しも思うだろうけれども、その後のことは描かれない。甘さと苦さの入り混じるお話は、昇華されないまま刺さったトゲのように心に残り続ける。

 また単行本には、短編「二十歳の水母」も収録。別居中である画家の父とその娘のお話で、二人は1年に1回だけ会い、毎年娘が父の絵のモデルをつとめる。その中で少しずつ変わっていく父と娘の心情を、穏やかに描いた佳作。「甘い水」もそうだけど松本剛の透明感のある表現は、青春物語の描写に抜群の威力を発揮している。読む者にとって「かけがえのない大事なモノ」となり得る良作を描ける、稀有な作家さんだと思う。

【単行本】「耳サブレ」 松本耳子 平和出版 B6 [bk1][Amzn]

 若い。そして可愛いHという感じで見てて楽しい。なんかわりと気軽にピル飲んでHしてーという感じが、いかにも今どきの女の子っつー感覚は、あまりピチピチしていないオタク男子にとっても新鮮。収録作品の中では、バイトでくまの着ぐるみの中に入って、最初はその匂いに悲鳴をあげてたけどだんだんそれが病みつきになってっちゃう女の子の話である「It's a smell world!」が好き。タイトルもいいですな。自由奔放な空気にあふれているけど、きっちり落とし所も心得てきれいにまとめられる才の持ち主。もう少しメジャーどころで活躍してもおかしくないような気はする。

【単行本】「電脳炎」ver.4 ハイブリッド版 唐沢なをき 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 3巻まではウィン版/マック版がそれぞれ出ていたのだが、今回からハイブリッド版に。正直そんなに面白い作品というわけでもないので、1バージョンで済むようになったのはありがたい。とはいえ内容のほうはなんかだんだん面白くなってきたような気がしている。パソコンのことがあまり分からないおじさん向けながら、ヒネリが利いてきた。あと山本エロ子さんをはじめ、レギュラーキャラに味が出てきたというのもある。


6/7(土)……排他異夢

▼未読物
【単行本】「甘い水」下巻 松本剛 講談社 四六判 [bk1][Amzn]
【単行本】「耳サブレ」 松本耳子 平和出版 B6

【雑誌】FEEL YOUNG 7月号 祥伝社 B5平

 有間しのぶ「モンキー・パトロール」。好調なようで、今回は「モンパトRemix」と題した過去作品再録と、いつもの本編の両方が掲載。いつもながらノリが良くて笑えます。青木光恵「スウィート・デリシャス」。最近はようやくレオ君と落ち着いた感じになってきたコトエリさんだが、またしても新たな恋の予感が……ということで波乱含み。これだけぷりんぷりんの身体をしてれば、そりゃー男は寄ってきますわなあ。こういうばいんばいんで無防備っぽい女の子を描かせると青木光恵は天下一品だと思う。こいずみまり「ガーデンオブエデン」はますます展開がミステリアスになってていい調子。暗い方向へまっしぐらってわけでなく、適度に息の抜けるシーンもあるので読みやすい。

 魚喃キリコの新連載「ハイタイム」。えーと小説家だかシナリオライターだかをやっている大人の女性が、18歳だったころの自分を振り返るといったお話になるのかな。期待は持たせるけど今回は8ページしかないので、これからどうなるかはまだよく分からない。描線がいつものようなカチッとまとまった風じゃなくて、わりとラフにペンを抜く感じになってる。新たな画風に挑戦してるのかな? 宇仁田ゆみ「トリバコハウス」も新連載。就職活動がうまく行かず、彼氏の紹介でとある専門学校の事務職員となった女性が主人公。要領が良くなく人付き合いもヘタな彼女は、彼氏への愛情もちょっと冷め気味。そんな日常を、専門学校の生徒のにーちゃんがかき乱すことになる……といったところか。こちらについても次の一手に注目。

【雑誌】YOUNG YOU 7月号 集英社 B5平

 今号は羽海野チカ「ハチミツとクローバー」の別冊付録つき。描き下ろしもちょっとだけあり。バレンタインデーネタの面白話が10ページ。で、本編のほうは、えーと前号あたりでもうすっかりネタバレ済みな感じなので書いてもOKでしょう、森田復活。やっぱりこの人がいるほうがテンションが俄然高くなって面白いなーと思う。でもそれも普通人である竹本あってこそという気も実はしている。そのほかのメインキャラ、山田・真山・はぐといったあたりは多少特別なところのある存在なので、彼ら+森田だけでお話を進行させると面白いけどお話は落ち着かなくなっちゃう可能性もある。というわけで頑張れ竹本。

 坂井久仁江は久々の本誌登場で読切「スイート・ビター・ホーム」を執筆。狭い団地で家族4人暮らしを続けていて一人暮らしに憧れていた20歳の女の子が、その手始めとして同年代のいとこの部屋に居候してとりあえずの一人暮らし的生活を開始。初めての一人暮らしに夢見る女の子が主役のコメディといったところだが、まあそんなにトントン拍子とは行かず、いろいろトラブルもあってこれはこれでタイヘンだにゃあというお話。コメディ色が強いお話ということで、絵柄もわりとコミカルにしている感じ。まあ気楽に読めます。

【雑誌】MUJIN 7月号 ティーアイネット B5平

 今号は甘詰留太とか小暮マリコとかが載ってないので個人的にはちょっと物足りないかなというところ。冬長「聖女教師は鬼監督!?」。最近この人の描くキャラは、わりと普通に可愛くなってきてるなーと思う。以前のほうがアクが強くて好きという面はあったけど、これはこれで見てて楽しい。

【単行本】「ピューと吹く!ジャガー」5巻 うすた京介 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 ハマー氏メジャーデビューする編と、レスラー仮面vs.ジャガーさんの言葉対決のあたりがとくに面白うございました。ハマー氏メジャーデビューについてだが、「ユニークな歌詞で読者を笑わせようとする」というのは個人的にわりと寒いネタだと思っていて、実生活でもカラオケに行って「ユーモアたっぷりな替え歌」とかやられるといつも対処に困る。歌っている本人は楽しいのかもしれないが、こちらとしては「ほら笑えほら笑え」といわれているようでどうにもノレない。でもハマー氏については、その寒さ自体がキャラクターに合っているので良いんじゃないかと。あとうすた京介の描く女の子はけっこう可愛いと思うので、もう少し高菜とかの出番が増えるといいなとも思った。それともっといろいろな笛が見たいです。

【単行本】「いちご100%」5巻 河下水希 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 この巻は主人公の真中くんの妹分的な女の子が登場して、男一人に女四人と、ハーレム度が加速。四人ともそれぞれに魅力があってかわいくていいですなー。別にこの作品は漫画的に「新しいこと」は何もやってなくて、ごくごくオーソドックスな学園ラブコメではあるんだけど、オーソドックスなだけに破綻がないし汎用性も高い。事件らしい事件はまったくといっていいくらい起こらないのに(せいぜい進学くらい)、これだけ毎週楽しめるんだから大したもんです。主人公の真中くんもいい具合に凡庸な少年なので、「なんにもしてないのに女の子が適当に自分のいいところを発見して好きになってくれる」幻想の担い手としてちょうどいい。そういえばイジメとか暴力沙汰とか、そういうエグいところがなくて健康的なのもよろしいのではないかと。実際の世の中にはその手のことは絶対あると思うんだけどね、作品内はドリー夢空間なわけだからその手の生々しげなことはしばし忘れさせていただけたほうがありがたいかなあと。

【単行本】「アイシールド21」3巻 作:稲垣理一郎+画:村田雄介 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 快調。よくできてます。王城戦が終わった後、デビルバッツは再始動。新たなメンバーも加わって賑やかさが増している。新キャラのモン太は、頭は悪そうだけど一本気アツい、モミアゲの長い男。こういうエネルギッシュで一生懸命なキャラは好きなので、今後の活躍が楽しみ。


6/6(金)……亀ラッキー

ようやくカメラ付きのH”が出るのかーと思ったら11万画素かいな。ガッカリ……。最近メガピクセルデジカメ付き携帯がすごく欲しいのだけど、今使ってるのがPHSなんで電話番号変わるのはやだしーってなわけでカメラ付きに移行できないでいる。デジカメ自体は常に携帯してるけど、メモ取りたいときにわざわざデジカメ引っ張り出してくるのはうっとうしいし、デジカメと電話両方の充電をケアしなくちゃならんのが個人的には何よりかったるい。えーい、もうこうなったら自分で作るしかないか。えい! 虚しさ爆発。

▼未読物
【単行本】「ピューと吹く!ジャガー」5巻 うすた京介 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「いちご100%」5巻 河下水希 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「アイシールド21」3巻 作:稲垣理一郎+画:村田雄介 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「電脳炎」ver.4 ハイブリッド版 唐沢なをき 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 7/20 Vol.14 白泉社 B5中

 柴田ヨクサル「エアマスター」番外編の前編20ページが掲載。エアマスターがエアマスターになるまで、本編の前日譚を描くエピソード。甘詰留太「年上ノ彼女」。恋愛的空気が非常に濃厚に漂っていてよろしいです。主人公の努と、年上だけど少女のような顔・身体をした小山内さんの同棲生活が始まることになってしまってドッキドキというお話。あと努の彼女的存在である森野さんも健気で可愛らしい。この人の作品は、パッと目を引くメリハリがあって目立つ。そーゆーのは重要。萌えるのにベタが黒々として力強い。加賀美ふみを「星空の誘惑」。アツアツカップルが彼氏の車でドラーイブ。二人っきりな閉鎖空間で、ラブラブムードは高まるばかり。くー、アテられずにはおられない甘ったるさだ。初々しいにもほどがあるよ! いやそこがいいんですけどね。西川魯介「野蛮の園」は相変わらず、ユーモアたっぷりかつH。メガネでショタで、煩悩全開。コンスタントに面白いと思います。

【雑誌】コミックバンチ 6/20 No.27 新潮社 B5中

 あおいみそら&N.O.シスターズ。「萌えて咲くのが華」。カラー3ページで新連載。う、うーん。多くは語りませんがバンチには萌えセンスなさそう……。作:江戸川啓視+画:クォン・カヤ「プルンギル −青の道−」。ずいぶん事件の核心に迫ってきている。毎回面白い。ところで今回の扉には「日韓合同海外取材敢行!!」と書いてあるけど、どこに取材に行ったのだろう。日韓合同で海外ってことは、取材先は日本でも韓国でもないってことになると思うのだが。

【雑誌】ミステリーボニータ 7月号 秋田書店 A5平

 小田ひで次「ミヨリの森」。第4話にして物語はだいぶ動いてきている。ミヨリが森で出くわすさまざまなふしぎを軸にして、ダム開発で沈もうとしている村を守るために絶滅危惧動物を探す、ミヨリの親子関係という二つのテーマがそこに柱として加わってきそう。それにしても相変わらずこの人の丁寧な筆致はいい。うっそうとした森というものを描くのにうってつけの画風。初登場の手代木史織「夕照りに続く帰路」。子供のころに誰しもやったことがあるんじゃないかと思われる安全地帯ごっこ。えーと要するに「道路の白線の上は安全地帯で、そこから出ちゃダメ」とかルールを決めて歩いていくというアレ。幼かった頃、その安全地帯ごっこをやっている最中に、よく一緒に遊んでいた近所のお兄ちゃんが交通事故で亡くなったことが心に引っかかり続けていた少女のお話。スタイリッシュな絵柄でフレッシュな読感。情景描写も印象的できれいにまとまっている。

【雑誌】コミックLO Vol.2(コミック天魔7月号増刊) 茜新社 B5平

 ロリ専門雑誌2冊目(→公式サイト)。たかみちによる表紙が美しく、一見エロ漫画雑誌っぽくないオシャレな作り。「子供は世界の宝物」というキャッチといい、なかなか戦略的かつ印象的な本。

 で、中身のほうもスタイリッシュなロリ絵を描ける人が揃っていて、作画クオリティは粒ぞろい。その点は満足なのだが、読後感は若干物足りなかったかな。その要因としては、ストーリー面で目立つ作品があまりなかったのが一点。同系統の、幼女とやっておしまいーってな感じの作品が並んでいたのがもう一つ。あと、これはオシャレな路線で固めてるからしょうがないとは思うのだけど、ロリではの業を感じさせる作品が少なかったというのもある。ショートギャグとか4コマとかも、2〜3本入れておいたほうがアクセントがついて良かったかな。似たような作品が並んでいると途中で飽きてきちゃうんで。この本に限らず、最近「同系統の作品ばかり並んでいて飽きる」っていうエロ漫画雑誌は増えてきているような気がする。サプリメントみたいな感じで、必要な栄養素は効率的に吸収できるかもしれないけれど食事としては味気ないとでも申しますか。

 そんなわけで掲載作品については、どれがどうっていう強烈な印象は残らなかったんだけど、基本的にはみんなうまいと思います。絵的にとくにいいと思うのは、西安、根雪れい、らいむみんと、馴染しん、きくらげ、大原久太郎あたり。ところでこの本は、各作品について編集者のコメントが欄外に掲載されてるんだけど、これは無理に書くくらいなら別にいらないなと思った。「私が大学浪人時代に通っていたお好み焼きを氏家先生が知っていた。すごくうれしかった。今度一緒に行きたいです。」などといわれましても。

【執筆陣】西安、氏家もく、EB110SS、冴樹高雄、完顔阿骨打、RAITA、田中浩人、猫玄、馴染しん、KEPPI、大原久太郎、OKINA、根雪れい、武居糸錦、いかがわ四郎、きくらげ、ホルモン恋次郎、らいむみんと、幸せ1500、片桐火華、瀬峰正重

【雑誌】コミックPOT 7月号 メディアックス B5平

 木静謙二「eats in」は、3月号4月号に掲載された作品の完結編。ファーストフード店のバックルームで、主人公のにーちゃんが美人な人妻店員さんの作業を手伝っていたところ、ムラムラきちゃってやっちゃうというお話。奥さんがたいへん色っぽくてエロい。そして今回の注目は最終ページに「ほぼ実話」って書いてあるところ。なんですとー! EB110SS「穴が気になるお年頃」。欄外作者コメントにあるとおり、ちょっと目の描き方を、黒目部分をきっちりベタ塗りする感じに変えて来ている。まあ基本的な印象は変わらないし、これもまた良し。

 ゴージャス宝田「プロテクター <焼餅御免>」。半ズボンの似合う男の子・葵くんにぞっこんの女の子・双葉ちゃんが、葵くんとクラスメートの蜜葉ちゃんが密談してることにやきもちを焼いて、葵くんのおちんちんをいじめちゃうというお話。ラブコメ風味が強くてなかなか楽しい。高橋くるみ「ボクのセンパイ」。今回もぷりぷりで瑞々しくH。欄外の作者コメントによると「単行本を出してもらえるらしいです!」とのこと。この人はジェームスほたてと同一人物だと思うんだけど、こっちの名義でも単行本を出すのかー。ジェームスほたての日記によると8月だそうな。

【単行本】「スイカと海と太陽と」 花見沢Q太郎 大都社 B6 [bk1][Amzn]

 最初に出たのが1995年。もう8年も前になるんだけど、いい意味で変わってないなーと思った。確かに今のほうが絵もうまくなってるし、お話の完成度、手際の良さも上。でもコアとなる部分については不変。お話としては先輩の彼女であるクラスメートの女の子・ゆかりちゃんに横恋慕中の少年・玄太が、そのカップルおよびゆかりちゃんの友達や妹と一緒に海に行って、恋多き海辺の日々を過ごしてHしたりなんだりするというもの。作者自身もあとがきで書いてるんだけど、なんだか「ももいろさんご」にすごく似てる。メガネくんな玄太が毎回女の子とあれよあれよという間にやっちゃうし、濃厚なラブコメ風味も相似形。玄太くんを媒介として甘酸っぱいモテモテ感を疑似体験! 楽しいですよ。


6/5(木)……桃尻アーニ

▼踏台昇降を長らくやっているせいで足の裏がだいぶカチコチになってきた。マメもできたりしている。1年くらい前は運動不足でふにゃふにゃだったのに、ずいぶん変わったもんです。

【雑誌】コミックフラッパー 7月号 メディアファクトリー B5平

 玉置一平による新連載「源平天照絵巻 痣丸」が巻頭カラーでスタート。木曽義仲の夫人であった巴御前が、源頼朝一党への恨みを雪ぐため、一人山にこもる平家の残党・痣丸の元を訪う。そこから始まる源氏の妖魔と痣丸たちの戦いを描いていく。出だしとしてはなかなかハッタリも利いているし面白く読めた。わりと「源平討魔伝」な感じです。小原愼司「二十面相の娘」は好調をキープ。二十面相のところにひきとられてから2年。チコは可憐に成長している。この人の描く少女はやっぱりいいです。ガラス玉のように透き通った瞳に吸い寄せられる。浪漫を感じさせる作品。柳沼行「ふたつのスピカ」。じょじょに明かされていく宇喜多まりかさんがらみのもろもろ。彼女とアスミの思いもよらないつながりとは。謎が深まってきてヒキの強い展開。読ませる。

 新居さとし「地球防衛OLいちご」。今回はやけにラブコメ度が高まっててええ感じですなー。いちごが珍しく普通にかわいい。石黒正数「ススメサイキック少年団2 −泉鏡矢編−」。超能力のある少年少女たちが、学園でドタバタ劇を繰り広げるおとぼけギャグ。もう連載を持つべきでしょう。実力的に。コミックフラッパー新人漫画対象奨励賞、石井美香「こどもの庭」。山の精霊を友達にしている転校生の少女と、同じく精霊に気に入られている少年を描いた暖かみのある物語。父親が主導する開発計画のせいで、自然そして精霊たちが消えようとし、少女は深く傷つくが少年がそれを支える。まだ絵の洗練度はそんなに高くないものの、お話的にはまとまってるし読後感も良好。作画技術レベルが上がれば、それがそのまま作品のクオリティにつながっていきそうなタイプで、スジはいいと思う。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 6/20 No.12 小学館 B5中

 福本伸行「最強伝説黒沢」。前回の活躍(?)で、なぜか職場内で人望を得ることに成功してしまった黒沢。でも若い者におちょくられているだけという感じも。そしてさらに今度は黒沢に新たな敵が。内憂外患。黒沢の周りは危険がいっぱい! 若者はみんな敵だ!! これからも目が離せません。

【雑誌】モーニング 6/19 No.27 講談社 B5中

 うめ「ちゃぶだいケンタ」。巻中カラーで目立つ。こうして見ると、絵がうまくなってるなーというのが如実に分かる。今回は冒頭のサワのチャイナドレス姿がいいざんすな。うえやまとち「クッキングパパ」のそら豆料理の数々がうまそうだなと思った。とくに単純なフライビーンズが良さげだ。うーん、こういうの読むとビール飲みたくなるなー。

【雑誌】ヤングサンデー 6/19 No.27 小学館 B5中

 小田原ドラゴンの読切シリーズ「小田原ドラゴンくえすと!」が掲載。今回は小田原さんたちが、ダメな友達二人とともにAV嬢とのあまり面白くなさげなパーティに参加するというお話。いやまあ実際はカラオケやったり酒飲んだりで、そこそこ楽しいのかもしれませんが、色気はさほどないやもしれませんなー。北崎拓「なんてっ探偵アイドル」。アキラはやっぱり髪を染めたんですな。さすがにこれだと学校の友達とかにアイドルやってるって気づかれちゃうんじゃなかろうか。

【雑誌】ヤングジャンプ 6/19 No.27 集英社 B5中

 藤沢とおるの新連載が開始。……なんだけど、袋とじってのは正直勘弁してほしい。面倒くさいよ。タイトルさえ袋とじを開けないと分からないっていうのは、何の意味があるんだか。内容はかわいいねーちゃんが主役の戦隊モノって感じみたい。わりとノリの軽い作品となりそう。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 6/19 No.27 秋田書店 B5平

 能田達規「ORANGE」が引き続きアツくて面白い。昇格レースは残りあと4節。さらにギチギチにテンションの高い試合が期待できそう。楽しみ。水島新司「ドカベンプロ野球編」。今回は山田がダイエーの和田との対決で、バックスイング時に握りを見破って打つというシーンがあるんだけど、いくら山田とはいえ和田のフォームだと握りは見えないんじゃないかなあ。変則的なフォームで、球の出どころが極端に見にくい変則的なフォームが最大の持ち味な投手だと思うんで。馬場民雄「虹色ラーメン」。動物系の素材をいっさい使わないで作るラーメンだったら、安易かもしれないけどキムチラーメンにしちゃえばいいんじゃないかなあとちょっと思った。ところで味の素とかの科学調味料とかの扱いはどんな感じなんでしょうな。

【雑誌】花とゆめ 6/20 No.13 白泉社 B5平

 表紙の「学園アリス」の二人がかわいいねーとか思った。華やか。というわけで樋口橘「学園アリス」。今回は学校になんだか有名な芸能人がやって来るということで、クラスはドタバタ。そしてお話はけっこう慌ただしく動いている。そろそろ学園のひみつに迫るって感じかな。高雄滋「てるてる×少年」。美しくて胸が苦しくなるようなラブストーリーを展開中。最近はしのぶ姫がしおらしすぎて切ないねえ。

【雑誌】桃姫 7月号 富士美出版 B5平

 みこくのほまれ「べびーしったぁ」がうさまんから移籍。恋人同士の広志と美羽だったが、美羽がある日階段から落ちて幼児退行してしまい、広志のことを「パパ」と呼ぶようになる。無防備で彼に接してくる美羽に、広志は戸惑わされてばかりだが……というお話。この人のピチピチした瑞々しい絵柄はけっこう好き。ただ今回のお話についてはちと違和感あり。自分の知らなかった美羽の家庭環境を調べるため広志が彼女の友達に会うというエピソードだが、なぜかいきなりセックスシーンが始まってしまうのは仕方がないのかもしらんけど展開が急すぎるような気がした。

 モリス「二股の鉄則」。それぞれ魅力のある女の子二人に迫られて、どっちか選べないままずるずる関係を続けている男子の日常。モリス作品らしくなんだか妙にほのぼの。こういう雰囲気は嫌いじゃない。和む。THE SEIJI「姉貴」。タイトルどおりの姉弟モノ。高圧的なんだけど実は弟にベタ惚れであるおねーちゃんの心持ちが愛らしい。

【アンソロジー】「桃尻淫辱」 コアマガジン A5平 [Amzn]

 おしりファック系のアンソロジー本。個人的にここ数年のエロ漫画の傾向として、おしりを軽々しく扱う人が増えたという印象を持っている。まあ実際におしりでヤルという描写が大好きという人はそれなりにいるんだろうけれども、「これはアナルファックの現実を踏まえずに、軽々しく描きすぎなんじゃないの?」と思っちゃうような作品も少なくない。要するに「エロシーンを過激にする」という理由だけのために、実地はよく知らんけど「前が空いてないから後ろへゴー」ってな感じでやってるように思えてしまう。んでもって女の子のほうも、初めてのおしりなのにデッカいのをやすやすと受け入れちゃって、あまつさえ気持ちよがっちゃう。さすがにそんな耐性のある丈夫な人はそうそうおらんじゃろ……と思うのだが。

 あと疑問なのは、そんなにおしりでしたいと思っている人が多いのだろうかという点。「おしりの形が好きで興奮する」というのと、「おしりに挿入したい」と感じるのって、けっこう違ったニーズだと思うんだよね。まあ後者の欲求が強い人が前者を兼ねる場合は多いだろうけど、おしりの形が好き→挿入したいというところの壁ってけっこう高いのではないかと。そんな背景もありおしり漫画の場合、「この人は本当におしりが好きでアナルファックが描きたくてしょうがない人なのだなあ」と思うような、ホンモノを感じさせてくれる人は案外少ない。そこらへんのこだわりがない人が描いたアナルファックは、性器を使ったセックスと置換しても大して変わらないように思えることが多い。個人的にはおしりでないとダメ、置換不可という業を感じさせる作品をこそ読みたいんだが……。とまあ、そんなわけでおしりモノのエロ漫画を読む場合、「この人本当に好きで描いてるのかなあ」などと疑問に思うことは多いです。で、余談が多くなったけど掲載作品の感想のほうへ。掲載作品についてはオール新作、描き下ろしとのこと。

 今回の一番のお目当ては瓦敬助「菜々子さん的な日常」の新作。学校の資材小屋に行ってみた瓦君は、なぜか窓から突き出していた尻を目撃する。菜々子さんでした。というわけで菜々子さんはいつもながら健康的で可愛いなあ。おしりも大きくいい子を生めそうだ。田沼雄一郎「早乙女先輩がんばる!」は、大柄なバレー部の女先輩ミチルと、後輩のめがね少年・瞳君というこれまでの田沼作品に何回か登場したカップルのシリーズ。いつもながら瞳君のヨガリ顔の描き方に愛を感じます。お話のほうもなんだかほのぼの微笑ましい。

 ヤマラス「サイコ外科へようこそ」。なかなか面白い絵で気になる存在。キューピーちゃんみたいな体型で、ぷちぷちしたお人形さんみたいな看護婦・ナナちゃんがかわいい。みかん(R)「簡潔なこと」。ランドセルを背負う年代の幼い男子女子が、好奇心およびもっとひっつきたいという欲求の元おしりチャレンジ。いつもながらの繊細で艶やかなタッチが美しい。

【漫画執筆陣】葛城ゆう、まなみ18歳、田沼雄一郎、小林少年丸、季川良寧、瓦敬助、宇内鉄朗、ヤマラス、REY'S.、梅本泰君、道満晴明、シャーク闇鍋、みかん(R)、マイノリティ、G=ヒコロウ
【イラスト】三浦靖冬、兼処敬士、麻生純、KAME、宇宙帝王、まりぴょん
【ピンナップ】大越孝太郎


6/4(水)……締金産地

▼もう1か月経ってしまったけど、5月5日に開催されたコミティアで購入した本のリストを入力。読むのは次のコミティアまでには……。

【雑誌】キングダム 7月号 少年画報社 B5中

 米餅昭彦「けい×どろ」。これまでも時折掲載されていたが、ついに連載になる模様。町の交番に勤務するおまわりさん・U作警部補32歳が、軽犯罪の犯人を捕らえるべくドタバタ劇を展開し町を騒がせるというコメディ。まあ描かれている内容はフツーのドタバタコメディといえなくもないんだけど、米餅昭彦のやたら濃くてしつこい絵柄のせいで一種独特の異様な雰囲気になっている。脂っこい〜。こういうアクの強い作風は、すごく好きだ。アキヨシカズタカ「Monkey Magic」。好調、だと思う。今までにも増してバイクのメカについての解説が増えて、よりマニアックになってきた。個人的にはよく分からない領域ではあるが、楽しんで描いてる雰囲気が伝わってくる作品は、読んでてもなんとなく楽しい。

 私屋カヲル「青春ビンタ!」。今回はいつものメインキャラでなく、脇役男女が主役。風紀委員長のねーちゃんがなかなか可愛くていいなと思った。磯本つよし「POST」。打ち捨てられて誰も顧みなくなったポストから郵便物を回収して届けたりする、特殊郵便局勤務の女性・スズコの活躍を描く爽やかな作品。作画自体は好きだし爽快感のある風景描写とかも好み。……なんだけど、画面構成とかがいまいちでお話が頭に入ってきにくい。例えば唯一見開きぶち抜きを使っている風景描写が物語上全然重要なシーンでなかったり、主人公のスズコがセリフをしゃべっているのに画面手前に配置されている一番目立つキャラが何の意味もないモブキャラだったり。絵と雰囲気作りは十分なレベルにあるので、もっと読みやすい、メリハリの利いた画面作りを心がけてほしいところ。

【雑誌】週刊少年サンデー 6/18 No.27 小学館 B5平

 今号には雷句誠「金色のガッシュ!!」に登場する人気ロボ、バルカン300のフィギュアが付属。といってもバルカンがもともとお菓子の箱に割り箸を差しただけの物件ということもあり、このおまけも紙を切ってノリでくっつけて作るペーパークラフトなんだけど。でもこういうチープかつユニークなおまけというのはいいですな。ペラペラのマウスパッドなんかよりよっぽど楽しい。井上和郎「美鳥の日々」。今回はフィギュアオタの高見沢くんの尽力で、美鳥がメイドのコスプレをしたり。これはかわいいので本当のフィギュアにするとええかもしらんですな。

【雑誌】週刊少年マガジン 6/18 No.27 講談社 B5平

 兼山臣「シチサンメガネ」は最終回。やっぱりお笑いを漫画でやるっていうのはちと苦しかったか。でもラストは後味良くて悪くないと思った。お笑いのネタで勝負するんでなく青春モノ的なアプローチにしたのはよろしいのではないかと。久保ミツロウ「3・3・7ビョーシ!!」も次号で最終回。そろそろ連載陣も入れ替えの時期かな。


6/3(火)……魔とエロス

【雑誌】ヤングマガジンUppers 6/17 No.12 講談社 B5中

 うおー、新井英樹「シュガー」がおもしれーなあ。こんな口の回転の速いやかましい主人公は滅多にいないが、ボクシングのほうも激速。リズミカルにリンが動き回り、時間が止まって見える。もちろん周囲の人間にとっては目にも止まらぬ早技。視点の主体をあわただしく変えながら、各人の持つ絶対速度の違いを鮮やかに表現する描写に感嘆。セリフもインパクトあるし、実にかっこいい。したっけシュガー!! 小林賢太郎「鼻兎」。鼻兎はなんかすごいなあ。いったい何者なのだ。というわけでまた一つ、鼻兎の得体の知れない側面が見られた今回。

【雑誌】漫画アクション 6/17 No.23 双葉社 B5中

 さそうあきらの音楽モノの新連載「マエストロ」が巻頭カラーでスタート。なんか面白くなりそう。不況のため解散した日本屈指の交響楽団のメンバーが、ヘンな爺さんによって鉄工所のボロ倉庫に集められる。最初はなんかジジイのことなど眼中になく、自分勝手に演奏を始めようとしていたメンバーだったが、ジジイの指揮によって思いもよらぬ音を引き出され驚愕する……というのが第一話。さそうあきらとしては、天才的ピアニストの少女の物語を描いた「神童」に続く音楽モノだが、今回は「指揮者」を大きくクローズアップする模様。実力のある人だけにきっと今回も面白くなるでしょう。期待大。作:KAZUKI+画:バロン吉元「三面大黒天」は今回も濃い味でマイペース。この独特のノリにはいつもながら驚き呆れる。作:川上健一+画:倉田よしみ「翼はいつまでも」。純朴でまっすぐな少年たちの青春をストレートに描いていてなかなか読める。いいですな、友情。けっこう感動する。山崎さやか「東京家族」は終わっちゃったものの、最近アクションはちょっと面白くなってきてるような気がします。

【雑誌】漫画サンデー 6/17 No.23 実業之日本社 B5中

 作:倉科遼+画:勘崎順次「愛と復讐の挽歌」。忽然と現れた恭平の正体を探るため、ヤクザたちが暗躍。そんなわけで裏社会にどんどんハマっていく恭平。彼は昔の彼ならずというわけで、昔の恋人も素直に愛せない。たいへんベタなれど、それだけにすごく分かりやすい。面白いと思います。


6/2(月)……魔、取り憑く巣

▼ずっと愛用しているキーボードであるところのIBM SpaceSaverKeyboardII日本語版(PS/2)が生産完了になった模様。PS/PLAZA WAKAMATSUでは「最終入荷中」となっていたので、2枚ほど注文しておいた。ちなみに現在このキーボードは会社用×2、家用×2の合計4枚持っているので、2枚追加して計6枚ということになる。まあ別にほかのキーボードに移行できないってこともないとは思うけど、予備を用意しておくに越したことはない。トラックボール版Let's noteみたいな、トラックボールがスペースキーの下に付いてるミニキーボードがあったら何枚か買うんだけどなあ。ミニサイズだとないんだよね、そういうの。そういえばテンキーの付いたキーボードなんて、もう8年くらい自分用としては使ってないな。根っからのミニキーボード派なんす。

【雑誌】近代麻雀 7/1 vol.441 竹書房 B5中

 木村シュウジ「覇王」。前号で登場して皆の度肝を抜いたあの男(仮にN・Rさんとでもしておきますか)は、やはりどうしようもなく強かった……。この人がこのまま優勝でもしようもんならこまっちゃいますな。でもそう簡単に負けるはずもなし。ところで今回は、二階堂亜樹の意味なしパンチラにもちょっと笑った。

【雑誌】ヤングマガジン 6/16 No.27 講談社 B5中

 新田たつおの読切「的リックス疲労デッド」が掲載。もうタイトルだけで脱力。素晴らしい。お話は、親分の女を寝取ったことにより組の人間に追いかけ回されているヤクザ者が、天才的な弾避けの才能を駆使してなんとかピンチを切り抜けていくというもの。下らなすぎるけどそこがいい。こういう開き直りっぷりはベテラン作家ならではだなあと思います。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 6/16 No.27 小学館 B5中

 コージィ城倉「ティーンズブルース」。いやーもう、まさしく急坂を転げ落ちるようにホストクラブにハマっててますなこの姉ちゃんは。たいへんスリリングでいいよいいよ〜という感じ。でも考えてみると、こういうふうになっちゃう人って、別に珍しいわけじゃないんだよな……。三宅乱丈「ペット」。この前3巻を読んだこともあり、今回はたいへん分かりやすかった。ヒロキが林の記憶に入ったことを聞かされた司は、いよいよ自分の考えていた計画をヒロキに打ち明ける。ペットたちの思惑はいよいよ入り乱れますますドロドロした展開になってきた。終始緊張感に満ちていてたいへん面白い。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 6/16 No.27 集英社 B5平

 「ツリッキーズ ビン太郎」などで有名な岡野剛の読切「未確認少年ゲドー」が掲載。地球には約1億種類の生物が住んでいて、そのうち人間が確認できているのはわずか2%……という前振りから始まって、結城讃良という女の子と不思議な目をした男の子が彼女の家に居候することになって、さらに学校でも同じクラスになっちゃって……というドタバタコメディがスタート。要するにこの少年が、人間に気づかれないでひっそりと生きている未確認生物を守るために奮闘するというお話で、この人お得意の妖怪モノに近いかもしれない。連載も意識してるのかな。とくに破綻もないしキャラもちゃんと作ってあって、個人的にはまあまあ楽しめた。

【単行本】「ヴァイスの空」 作:あさりよしとお+画:カサハラテツロー 学研 A5 [bk1][Amzn]

 カサハラテツローとあさりよしとおという実力者コンビが組んだ未来SFアクションもの。「4年の科学」で連載された作品なのだそうだが、なかなか気合いの入った、元気のいい作品に仕上がってて面白かった。お話は閉ざされた未来の町に住む元気者の少年・ヴァイスが主人公。ヴァイスは「一度でいいから空を見てみたい」という望みに衝き動かされ、友達のネロとともにシャカリキになって空を目指すが、不思議な少女・ノワールとの出会いをきっかけに彼らの住む世界の現実を突きつけられることになる。カサハラテツローの伸びやかで健全な絵が生きて、スピード感のある作品となった。まあ掲載誌が掲載誌だけに、大人の読者が読むと毒とか刺激とかが足りないと思うところもあるかもしれないけど、個人的にはこういうまっすぐな夢見る少年の物語は好きです。

【単行本】「ぴちょとやちゅう〜」 町野変丸 一水社 A5 [Amzn]

 いつもながらの町野変丸漫画。最終兵器彼女なゆみこちゃんが、奇想天外なプレイを繰り広げるアレです。今回の収録作品の中では、股から超巨大なちんこを生やしたゆみこちゃんが自分フェラチオした末にものすごいことになる「ディープスロートゆみこちゃん」が良かった。あとあそこやお尻のびらびらが超のびのびになっちゃう「のびのびゆみこちゃん」も強烈なネタ。凄いびっくり人間的なお話なのに、ゆみこちゃんだとこれが普通だからなあ。ところで最近の町野変丸の、とくにカラーイラストはとてもポップでキュートになってると思う。今回の裏表紙の女の子なんかとてもかわいいなあ。

【同人誌】「ツヨキ」創刊号 京都精華大学ストーリーマンガ分野作品集

【同人誌】「らっぱずぼん」参 京都精華大学マンガ学科ストーリーマンガコース

【同人誌】「happy end」 なかざわなつこ・なかそらともみ・たかはしれいか

 マンガ学科があることで知られる京都精華大学の学生さんたちで作った本。とある方からいただいた。まあ要するに学漫的なモノと考えていいんだろうと思います。製本はオフセットでしっかりしててわりと立派な作り。内容のほうも個人的にはけっこういいと思った。学漫同人誌は収録作品ごとの実力差が大きいのが常だが、さすがにマンガ専門の学科で作った本だけあって、極端に実力の劣る人とかはいない。なるほど、学生さんたちも頑張っているのだなと頼もしく思った。

 3冊読んでみて、個人的に最も印象に残ったのは「happy end」「らっぱずぼん」に参加している中澤なつ子という人。キュートな、自分ならではのスタイルをしっかり持っている。あとお話のほうも民話調の「地球の廻るおと」、お互いを想う兄と妹の物語「キッチン」と、タイプの異なる2作品をどちらもうまいこと描きこなしている。あと「ツヨキ」の巻頭に収録の榎朗兆「EDGE!」は、セリフに勢いがあって良かった。技術指導に来ていた五輪代表候補のプロ選手に怪我をさせてしまった事件以来、絶不調に陥っていたスケート選手の青年が、彼女への愛によって復活するというお話。怪我させてしまった相手選手のエピソードを盛り込むと、もっとお話に深みが出たかなと思うけれども、まっすぐな作風で気持ち良く読める作品だった。

 総じて見るに、当然のことながら作風はまだ未完成な人が多いけれども、けっこうしっかりやっているんだなーという雰囲気は伝わってきた。これが今後につながってくるかは各人しだい。京都精華大学マンガ学科の今後と合わせて期待させていただきたいと思います。


6/1(日)……ジョーケー牧場

▼しばたマンスリーダイエットレポーゥト。というほどのものではないんだけど、5月1日の日記で書いた踏台昇降ダイエットはその後も引き続き順調に進行中。1日の明け方に踏台昇降した後に計測したら65.0kg。いちおう夕食の直後に測った数値(たぶん1日で一番体重が重くなってる時間帯のもの)を自分内公式記録としているのだが、その状態で測ったらたぶん65.5kgってとこじゃないかと思われる。

 今年になってからの推移を見ると、1月:84.0→80.0(-4.0)、2月:80.0→76.0(-4.0)、3月:76.0→72.5(-3.5)、4月:72.5→69.0(3.5)、5月:69.0→65.5(-3.5)と、ここ3か月は-3.5kg/月というのが標準ぺースとなっている模様。身長が168cmだから、標準体重はBMI法とかいう奴によると1.68×1.68×22で62kg(標準体重を計算するにはBMI Calculateとかが便利)。順調に行けばちょうど6月終了時点で達成できる計算。いよいよ仕上げ段階に入ってきたって感じかなー。マージンを見て7月いっぱいまではこのぺースで続け、8月からは現状維持モードに入る予定。といってもせっかく始めた運動をやめるのも惜しいので、アニメ観賞しながらの踏台昇降はやめず食う量を増やす方向でいきたいと思ってます。

 と、このようなことを書いたり話したりすると「そげん急に痩せて大丈夫?」とか聞かれることもあるんですが、心配はまったく無用であろうかと思われます。実際に会った人なら分かると思うけど、年来の運動不足が解消されたこともあって最近の自分はここ数年でもまれに見るくらいの健康ぶり。風邪も全然ひかないし(ていうか風邪はここ2年くらいひいてないけど)、血色も良好。内臓もすこぶる調子がいい。今だったら10kmマラソンくらいならそこそこ余裕を持って走れるんじゃないすかね。健康最高。

【単行本】「月のあくび 星のうたたね」 奈知未佐子 小学館 B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「雲のおしゃべり 風のうた」 奈知未佐子 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 童話の心を今に伝える語り手・奈知未佐子の最新作品集。2冊が同時発売。いつもながらに気持ちのいい、ときにほろりとさせられるいいお話を描いている。とくに動物と人間がからむお話は泣けるものが多く、この人の優しく美しい語り口が生きている。各743円+税という価格のわりにページ数はちょっと少なめながら、紙の質は良く丁寧な本作り。ただちょっと気になるのは、本の判型が小さいことかな。別に判型が小さくなったからといって見にくくなるタイプの絵柄じゃないんだけど、文字のサイズはちと小さすぎると思う。老若男女しみじみ楽しめる作品集であると思うので、もう少し文字は大きくしてほしかった。A5くらいの判型でちょうどいいと思います。

【単行本】「子供の情景」 さそうあきら 双葉社 A5  [bk1][Amzn]

 いつもながらすごくうまいなあ。この単行本では、子供の視点から見た作品8本と、大人のお話3本が収録されているんだけど、どれもしっかり読める。子供ならではの元気さ、無邪気さを柱としたほのぼの漫画も面白いし、馬鹿な大人のしょーもない生活を描いたギャグタッチのお話も楽しい。この単行本に限らず、さそうあきらの作風の幅は恐ろしく広いしそのいずれも一定レベル以上の作品はきっちり仕上げてくる。そしてときには驚くような爆発力も見せる。職人だなあ……と感心します。

【単行本】「林光默作品集 斬華抄」 林光默 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 「橋無醫院」の林光默による作品集。「夜山別曲」「BECK」「Taro's Adventure」を収録。いずれの作品も、林光默ならではのゴツゴツと力強く、かつ触るとスパッと手が裂けそうなくらいのキレがある作画が生きていてカッコイイ。薄暗い雰囲気作りも良好で、日本人作家の作品ではなかなか見ることができないくらいの緊張感のある画面を作り出している。ただいずれの作品も未完なのは惜しまれる。作品をなかなか終わらせられない作家なのかもしれない。あとちょっと気になったのは、読んでて物語がいまいち頭に入ってこないように思える点。これはセリフが横書きなため、通常の日本の漫画とは開きが逆なのも影響してるのかなあ。読み進める方向が左→右なのに、アクションの方向が左→右になっているシーンがけっこう多いのは気になった。

【単行本】「GOTH」 作:乙一+画:大岩ケンヂ 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 乙一の小説をマンガ化。といっても原作のほうは読みたいと思いつつ読んでないです、すみません。まあそういう人間の感想だと思ってください。

 本作は、なぜか偏執的犯罪者を引きつけてしまう雰囲気を身にまとった少女・森野夜と、自身そのような犯罪者的傾向を持ち森野さんを見つめ続ける「僕」が、毎回奇妙な事件に巻き込まれるというお話。それは被害者の手首から先だけを持ち帰る猟奇犯罪者による「リストカット事件」であったり、少女を狙ったバラバラ殺人事件であったり。というとものすごくおどろおどろしい印象を受けるかもしれないけれど、スタイリッシュな作画のおかげもあって、陰惨でありながらも鋭利で背徳的な美しさに満ちた作品に仕上がっている。キレが良くてたいへんカッコイイです。大岩ケンヂに関しては、ハッとする達者な作画の持ち主。とくにヒロイン・森野夜の冴え冴えとした美しさは印象に残る。初単行本ながら作画面での不満はすでに全然ない。この前少年エースで始まった新連載「99ハッピーソウル」では、画面構成が若干良くなくていまいちテンポが悪いなとか思ったけど、そこらへんクリアすればもっといい感じになるんではないかと。魅力的な描き手であることは間違いないので期待します。

【単行本】「MOONLIGHT MILE」6巻 太田垣康男 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 月面開発に従事している吾郎のもとに母親急死の報が届けられる。この巻はその死を悼むエピソードが中心。正直泣けました。母親が大阪万博を見て描いた夢の未来、そこには至らぬ現実、夢を背負う息子……と涙腺を刺激するエピソードが詰まっている。とくに吾郎の父が妻を想いながら「世界の国からこんにちは」を口ずさむシーンはぐっとくる。宇宙開発、戦争といった華々しいテーマもいいけど、こういう湿っぽい人間ドラマもうまい。太田垣康男の骨太な描写は説得力があります。

【単行本】「Dr.リアンが診てあげる 純情派」 竹内元紀 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 「純情派」とかいいつつも、いつもながらに下ネタいっぱい夢いっぱい。テンポ良くポンポン下らないネタを繰り出してくるリズミカルな作風が持ち味。でもなんとなくなんだけど、最近若干ネタ的には弱まってきてるかなあという気はしないでもない。まあさすがにこんなに毎回ぎっちりネタを詰め込むと、多少の息切れは仕方がないところでございましょうな、とか思う。


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