・「爆球連発!! スーパービーダマン」(1)〜(8) 今賀俊(1996〜99、小学館)
銀玉鉄砲で撃ち合って遊んだりとか。西部劇ごっこをしたりとか。
コロコロコミック連載。「ビーダマン」という、ばねじかけでビー玉が飛び出
す人形を使ったバトルの話。ビーダマンでバトルするヤツのことを「ビー玉戦
士(ビーダー)」という。主人公の戸坂玉悟(タマゴ)が、さまざまなライバルと対戦しては友情を深めていくという王道中の王道の展開。「ビーダマン」というおもちゃ自体がきわめて競技性が高く、物語上の飛躍もいいあんばいでで
きるので一連の「ミニ四駆もの」よりはムリヤリな感じはしない。
こういうマンガってのは定番の連続で、逆に言えばいかにパターンを守りつつ個性を出すかがポイントとなると思うんだけど、本作は脇キャラがパターンどおりながら「おっ!」と思わせる。
主人公・タマゴの仲間は関西の早撃ち名人・西部丸馬(ガンマ)とアラブの石油王の息子・サラー。
ストーリー展開も、個人戦>団体戦、あるいはガンマやサラーの戦い>タマゴの戦い、という流れが盛り上げる。個人技的要素の強かったミニ四駆マンガ「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」でも、脇役VS敵役の戦いはあくまでも主人公の戦いの前哨戦であったのに対し、本作では脇VS敵がそれ自体アピールを持ちつつチームバトルにつなげる、という名人芸を見ることができる。
番外編としては、5巻収録のよみきり「恐怖! オーディーンの反乱」は、ビーダマンのテーマパークの開発中コンピュータ「オーディーン」が反乱を起こし、そのヴァー
チャル世界に入ってしまったタマゴたちがビーダマンのバトルをするというも
の。「コロコロもの」に必ずあるといっていい「シミュレーションもの」に近
い一品。
■どうも「別冊コロコロコミック」「月刊コロコロコミック増刊号」は、「ホビー
マンガの実験場」といった感が強いようだ(これはボンボンの別冊的なモノでも同
様)。87年の「春休み増刊号」と「夏休み増刊号」は、さながら「新作ホビー
お試し期間」とでもいうほどいろいろ掲載されている。
■マンガはプラモデルマンガの超絶的な名作と、私(滑川)が勝手に思っている
■前編では、ウォーターシューティングガンをバカにしていた(まあそりゃするか
もな、水鉄砲だから)タクヤが、火浦(ウォーターシューテングオタクらしい)と戦って破れる。
「実戦ならおまえはすでに死んでいる!」と言いきる火浦。この「実戦なら負け」あるいは「競技だから勝利」という「実戦問題」は、射撃や格闘技といった戦争から出てきたスポーツの非常に重要な命題だが、そんなことはアニメ「守護月天」を上から録画して忘れましょう。とにかく再戦へ向けてタクヤは特訓するのであった。
■もっとも基本的なルールは、胸につけた「ライフジャケット」の胸部に水が当たって変色したら負け。また水の予備カートリッジにも制限があるらしい。タクヤは野性的なカンによって次々と難関を突破し、ガラスに映った自分の姿をオトリに使ってみごと火浦を破るのだった。
■で、火浦に見込まれたタクヤはウォーターシューティングの大会にチームを組んで出ることを決意する。
■後編はキャンプ場へ行ってのサバイバルゲームになる。基本的には横暴な「ボンバーズ」のリーダー天堂と、それに文句ひとつ言わない子分?のイサムの話がメイン。
ひどい扱いを受けるイサムだが、「ゲームができれば平気」と怒る様子もない。
■この謎をとくために、たかや氏の忍法野球ギャグマンガ
忍者少年の童児が都会に出てきて野球で大活躍するという内容だが、童児がバッテリーを組む「丸アキ夫」がイサムにタイプが近い。番長の子分のメガネくんみたいな主人公引き立てキャラなのだが、連載初期にはほとんど毎回ヒドイ目に合って殴られたりボールが顔面を直撃したりして流血するという、謎のヴァイオレンスに満ちていた。
■後編には、「ウォーターシューティング」の基本理念が説明されていて興味深い。
■火祭弾児(ひまつりだんじ)は、田舎から出てきた野性児。街のゲーム大会でビデオガンをやってみる。そこには全米少年チャンピオンの星群(ほしむら)がいて、こいつがライバル。彼が精密な計算でシューティングするのに対し、弾は野性児の本能と一晩の特訓で対抗、みごと高得点をはじき出す。
そして5年生の乱暴者・雲形豪二郎(サバイバルゲーム経験者)と「ゴジラ チャレンジ−2」とかいうソフトに挑戦。空腹でピンチになるが、星群の投げるおむすびをジャンプして食いつきゲームに勝利する弾。
■で「チャンレジファイタースカウト大会」に弾は星群とともに出場するのだが、この展開の中でひかるがゲームのプログラムをしてたり、なんか屈折した表情をするがよくわからん。
■最終回では星群が合格するが弾は不合格。しかし実は
弾は大型冷蔵庫のピカピカの面を鏡かわりにして星群を誘い出し、メタルチップを破壊する。
たぶん風馬ひかるが「兵士計画」の仲間で、その辺の葛藤の描写が不十分なまま終わってしまったのだろう。(98.1230、99.1009、滑川)
神尾さとる、陣内あきら、徳丸よしおの3人はモデルガン仲間の小学5年生。ある日、逆次元の世界から来たブロッケン博士と出会う。
■「子供の方が目立たないから」とシンプルな理由で「モデルガンコマンド」に選ばれた3人。
彼らは時間をも超え、逆次元の開拓時代の西部や第二次大戦期、禁酒法時代へ行き、そこでその時代に合ったモデルガンを撃ちまくる。
初回にさとるがゼウスを撃ったとき、少女リージャの兄も誤射して殺してしまう。リージャは復讐鬼となり、ゼウスに入りさとるたちを殺そうとする。
・「ウォーターシューティング戦隊」 たかや健二(1987年、月刊コロコロコミック)
・「ビデオチャレンジャー弾」湯川淳月(1987年10〜88年2月号、コミックボンボン)
・「モデルガン戦隊」全3巻? 安井尚志、高橋昌也、宮田淳一(1983〜84年頃、コミックボンボン)
ちょっと古いか……。それにしても、「射撃」というのはいろいろな遊びのバリエ
ーションがある。実際の射撃はもちろん、テレビゲームにもなる。だが意外に傑作が
少ないマンガジャンルでもあるのだが。
(99.0907、滑川)
・「爆球連発!! スーパービーダマン」(1)〜(8) 今賀俊(1996〜99、小学館)
(広義のガン・シューティングマンガ。ほんとだってば。)
つまり
ガンマは当初「イヤなヤツ」的キャラで登場したんだけど、だんだん深いキャラになっていく。脳天気で直感型のタマゴと違い論理的にビーダマンについて考えているため作品の解説者的役割も果たしているし、ひんぱんに登場する「ビー魂(だましい)」という理念についても言語化して語れるヤツ。そしてワンマンだけれども勝負にはフェア、という一本スジのとおった男として描かれている。
サラーは、むかしいじめられっ子だったトラウマをひきずっている美形の少年、という設定。後の「全日本ビーダー選手権」では、かつて自分をいじめた少年との対決になってゆく。
8巻では「宇宙人に連れ去られたタマゴたちが、宇宙生物とビー玉で戦う」と
いうよみきりが載っている。「なぜビー玉で戦わなければならないのか」がム
リヤリながらもちゃんと説明されているところが、なかなかイイのである。(99.0306、滑川)
・「ウォーターシューティング戦隊」 たかや健二(1987年、月刊コロコロコミック 春休み増刊号、
夏休み増刊号掲載)
(しゃれた水鉄砲)
■さて本作。「ウォーターシューティングガン」とかいうおもちゃを売り出す
ため、月刊コロコロでもグラビア記事で銃の機能やゲームのルールを掲載した。
ファミコンの「高橋名人」、ヨーヨーの「中村名人」のような名人もいた(名前忘れた)。
内容は
「彼がああいうのにはきっと何か理由があるんだ。」「卓也……なんとかして
やるか?」
というタクヤと先生(顧問?)のやりとりがあるのだが、結局最後までイサムは善人っぷりを貫き通し事故から身を挺して天堂の命を救ってやる(しかもこの事故は天堂のルール違反が原因)。それに感動して天堂は改心……。
ちょっと待て、イサムが天堂の横暴につきあっていた理由は? ナッシング!
「天堂が自分のひどさにいつか気づくと思って見守っていた」みたいなイサムのセリフがひとつでもあればまだ納得できるのだが、なし。イサムはいったいどういう性格?
多少童児にナマイキなことを言ったりするので、完全に従順なイサムとはちと違うが、どんなにヒドい目にあっても童児を許す姿勢は似ている。作者のたかや氏は、どこまでも主人公の無理を引き受けてくれる存在が好きなのか。1分間考えたが、やはり謎だった。
「だからってルールをやぶったらこのゲームはなりたたないんだ!」
「だれも見てないからこそルールを守る。これこそスポーツマンシップだ。」
サイバイバルゲーム一般がこのあたりを口を酸っぱくして言っているのかな? で
なければ、子供ってのはすぐズルをするからだろう。
個人的には、審判のいないゲ
ームってのは子供にはむずかしいのでは、と思いました。
(98.1230、99.1009、滑川)
・「ビデオチャレンジャー弾」湯川淳月(ゆかわ・あつき)(1987年10月号〜88年2月号、講談社コミックボンボン連載)
(ガンシューティングのビデオゲーム)
■弾はヒロインの風馬ひかるのところに居候するも、ひかるのパンツを手洗いしたので、嫌われてしまう。
・「モデルガン戦隊」全3巻? 原作:安井尚志、高橋昌也、まんが:宮田淳一(1983年〜84年頃、講談社コミックボンボン連載)
(モデルガン戦隊)
逆次元は秘密組織「ゼウス」に狙われていた。逆次元では火薬による爆発音が人を傷つける力を持っている。だから、タマが出ないモデルガンが「SWG(サウンドウェーブガン)」(音波銃)という武器になるのだ。
彼らは博士の「DTM次元転位装置」により、8時間だけ逆次元の世界へ行ける。
それを過ぎると原子分解されて死んでしまう。
このときに、きちんとその時代時代の(西部ならウェスタンスタイル、禁酒法時代なら当時の刑事みたいなかっこう)にいちいち着替えるのが、読者である子供の「モデルガンを撃つときの臨場感」を盛り上げる演出で楽しい。
「モデルガンはプラスチックなので火に弱い」
などの基本設定を利用した面白さがあるのは、「プラモ狂四郎」などと同様。
お話の展開はちょっと強引なんだけど……。
■しかし途中で突然UFOが現れる。それとともにゼウス総裁も現れ「リージャの兄を撃った」と告白するんだけど、そうしなければならない理由はどこにもないし、さとるが撃った音波がリージャの兄を直撃するシーンも初回にバッチリ描かれているんだけど……(汗)。
リージャはゼウスに殺されるが、ゼウス星のサークトによって生き返ることを約束された。
だったら兄も生き返らせたれよ! と思ったがゼウス星人の気が変わったらメンドウだし、マンガの宮田淳一氏は近年、「極道おとこ塾」などの任侠マンガを描いているので、黙っていることにしましょう。(98.1230、99.1009、滑川)
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