◆ 1999年8月上旬 ◆

8/1〜10
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8/9(月)+8/10(火)……S田氏大暴れ

 9日は森山和道さんからお誘いを受け、池袋に飲みに行った。その顛末は森山さんの日記の8/10の項に詳しいのだが、どうやらずいぶん激しくやらかしてしまったらしい。初対面の人たちと楽しく呑めて、恐ろしい勢いで舞い上がってしまったようで、もうバリバリに絶好調だった模様。おかげで10日は絶不調。ここ1年くらい欠かしたことのなかったWebの更新さえできないほどヘロヘロであった。自分としては朝4時くらいまでは断片的に記憶があるのだが、それ以降はなにをしていたものやらさっぱりわけが分からない。
 森山さんの日記によれば朝5時くらいに別れたらしいのだけど、そのあたりはもうスッカリ覚えてない。意識が戻ってきたのは、朝9時半くらい。丸の内線の車内。でも、その後も電車の中で寝続け、なぜか会社に着いたのが12時半ごろ。森山さんの日記では「9時頃まで丸ノ内線をグルグル回っていたそうである」とあったが、実際はさらに3時間くらいグルグルしていた計算になる。断片的な記憶によると、丸の内線のどっかの駅の改札の自動改札機に、銀行のキャッシュカードを突っ込んで駅員さんに怒られたりしてたような気がする。ただ、たぶん世界地図を作ったりはしていない自信はある。服が全然汚れてなかったので。
 それにしても初対面の人たちの前で、いきなりぶちかましてしまってまことに申しわけない。これからは気をつけようね、S田くん。

【雑誌】モーニング新マグナム増刊 9/1 No.10 講談社 B5中
 今号の「ネオ・デビルマン」は神崎正臣。それよりも次号で風忍が「ネオ・デビルマン」をやるってのがビックリである。鶴田謙二「Forget-me-not」。今回もなんとも美しい絵で惚れ惚れ。そういえば鶴田謙二は、今出ているSFマガジンの表紙も描いてたなあ。加藤伸吉「バカとゴッホ」。久しぶりに堺が登場。ゴッホにふられて放浪の旅に出た彼が、吹っ切れるまでの心境を正二への手紙に書き綴る。ラストシーン、花火に向かって叫ぶシーンは、なんともシビれる。そこに至るまでの独白。迸る言葉。ああ、青春はスゴイ。そして加藤伸吉は素晴らしい! 小田扉「話田家」。くにゃりと肩の力の抜けた描写で飄々としている。今回はちょっとシリアス。押しつけがましくはないけど、胸に染みるいいお話である。うまいなあこの人。荒巻圭子「王国物語Sphinks」は今回で最終回。シャープで黒々とした画面がとてもかっこよかった。最後まで謎めいた雰囲気のまま、きれいに終わったと思う。

【雑誌】ヤングチャンピオン 8/24 No.17 秋田書店 B5中
 松田優作特集。表紙からして松田優作だ。というわけで巻頭カラーは作:宮崎克+画:高岩ヨシヒロ「ふりかえればアイツがいた! 松田優作物語」である。今回は「探偵物語」第1話までのエピソード。かっこよく描けてて面白い。思わず「探偵物語」を観たくなっちゃうくらい。丸尾末広「笑う吸血鬼」。猟奇的で耽美的で面白くなってきたと思ったら、次々号で最終回らしい。もうちょっと長くしても良かったように思うが。とりあえず単行本にまとまってほしいところではある。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/23・30 No.36・37 小学館 B5中
 飽きに向けて誌面改革が行われるようで、これから一條裕子、石川賢、沖さやか、榎本ナリコ、相原コージ、伊藤潤二、吉田まゆみ、ほりのぶゆき、佐々木倫子、浦沢直樹、窪之内栄策といった面々が次々登場するらしい。今号でその予告をドドーンとやっている。この面子の中では吉田まゆみがどんな作品を描くのかが気になるところ。ところで「山崎さやか」って講談社用のペンネームなのかなあ。
 今号ではさらに、「スティリップス」という新人ギャグ漫画家ユニットを結成させ、大畑朋魅、どり★あすか、がまくんwithかえるくん、カタギリ優、神原則夫、石原まこちんの6人にそれぞれ2ページ漫画を描かすという試みも。スティリップスの漫画自体は、正直いってそんなに面白くなかったのだけど、何か仕掛けようという意欲は買える。
 さてそのほかの作品。柳沢きみお「SHOP自分」。最後のページの安げなグルメ的展開がすばらしいなあと思うのだ。きっと柳沢きみおは、最近稲庭うどんを食べておいしかったに違いない。その前はしゃぶしゃぶをごまだれで食うのに凝っていたのであろう。柴田亜美「TKman」。TKバンドの一次選考通過者の名前が発表される。なんかスゴイ業界人もいろいろといるのだが……。漫画の中で触れられた人以外にも江口寿史とか。若狭たけし「合同ナイン」は最終回。中途半端でありました。

【雑誌】ヤングマガジン 8/23・30 No.36・37 講談社 B5中
 平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」は、今回もまたヒドい展開。ゲンさん、タコ殴りにされまくり。ケンヂの彼女のちーちゃんの非道ぶりも際だつ。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。鉄郎はまだファッションヘルスの一日店長を続けているのだが、そこに父来訪。あわててオドオドしつつも、つい接客をしてしまったりするところが鉄郎らしくて微笑ましい。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/23・30 No.37・38 集英社 B5平
 尾田栄一郎「ONE PIECE」が連載100回め。そしてアニメ化決定。もう少しお話が進んでからでもいいような、という気はするけれども、旬のうちにやっちゃうほうがいいという考え方もあり。お話自体は、今回も面白かった。セリフもうまいし、演出もかっこいい。富樫義博「HUNTER×HUNTER」。ヒソカがたいへんにかっこいい。狂気と強さを存分に見せつけ、グイグイ引き込んでくる。鳥山アキラ「ネコマジンがいる2」が掲載。のどかで楽しいムードでよくできているが、こぢんまりとまとまりすぎな感も。あずまけいしん「CHILD DRAGON」。給食当番と牛乳早飲み勝負をするだけの話でバシバシ引っ張る。けっこう馬鹿馬鹿しくて楽しくなってきている。


8/8(日)……日記の台割り

 最近ときどき、日記を書くときのような文体でモノを考えてしまっているときがある。考えていることはそんなに大したことではないのだけど。漫画をいっぱい買ったときでも「これは今日書く分、こちらは明日の」というふうに、読む時間があっても次の日回しにしたりと、ネタを配分していることもあるし。なんかもう、ますます日記を書くために生きているみたいな感じ?

【雑誌】花とゆめ 8/20 No.17 白泉社 B5平
 巻頭カラーで日渡早紀の新連載「宇宙なボクら!」がスタート。自分が魔女であると信じている中学1年生の女の子、森宮天湖の視点で第1話は語られる。ここでいう魔女の魔法とは外界に直接物理的な変化をもたらすようなものではなく、使った人の心の中に奇跡を起こすものらしい。「声が大きくなる魔法」「大好きな子と仲良くなれる魔法」などなど。天湖は学校で開かれた、知力・体力・時の運を競う大会の、時の運部門に出場する。種目はジャンケン。彼女は見事に優勝するが、その商品のトロフィーに仕込まれていた紙に「学校の中から魔女を探し出せ」という指令が書かれていた。大会後も何度も届くその紙に、彼女は恐怖し追い詰められていくのだが……。といった感じの出だし。主人公の女の子が素直そうでなかなかかわいい。面白くなりそうな雰囲気ではある。

【雑誌】零式 Vol.11 リイド社 B5中
 まず注目は、新貝田鉄也郎の新作「未来巨神ミライオー」であろう。ロボットとSEXをからませた、お気楽なお話であるが、線の一本一本に対してまったく妥協せず、緻密な造形を作り出す徹底ぶりはさすが。そのぶん遅筆なことで有名なので、載っていたというのがちとびっくり。天竺浪人「AFTER S」。4色カラー4ページで女教師モノ。カラーで描かれるリアルチンポが禍々しくてよろしい。天竺浪人にしてはかなり軽め。できればもう少しページ数をかけてほしかったところだが。電波P子「COLOR」。均質に同じ太さの描線で描かれる絵柄が特徴的。キャラクターの造形とかは、天竺浪人の影響を受けてるのかなあとか思うが。そして舞登志郎「俺をきらうな!」。お得意の妹モノ。妄執兄がいい味を出しているが、もう少し業が深いとより良かった。それにしてもピンキィの「メジャーデビューへの道」の続きはどうしたのだろうか。

【単行本】「王道の狗」4巻 安彦良和 講談社 A5
 文明開化時期の日本を舞台にした大河歴史ロマン。主人公は北海道で強制労働させられていた政治犯の青年。彼がもう一人の男と共に脱走し、紆余曲折の後、アイヌ人と身分を偽り、その後朝鮮から亡命してきた金玉均のボディガードとして雇われる。チンケな政治犯でしかなかった彼が覗き見、巻き込まれていく明治日本の裏舞台。
 最近の安彦良和は、おそらくしっかり取材しているのであろうが、かなり骨太な歴史モノを描くようになってきた。もともと描画技術は高かったが、漫画としての演出力も進歩している印象を受ける。絵だけでなく、ストーリー面でも貫禄ある作風になってきた。まだまだ物語としては序の口といった感じだが、着地点を誤らないで充実した作品にしてもらいたい。


8/7(土)……ファ、ファイヤー!!

 志賀彰さん、小田中さん、立ち読み屋さんと、わりと住んでいるところが近めなお三方をウチにお招きして七輪で炭火焼く。肉! 魚! 野菜! キノコ! そして酒。実際炭火はうますぎる。準備したメニューがことごとくうまく、炭の威力に俺は心酔した。次は秋。さんま焼くなりー。イカとかハンバーグもゴーゴーな感じであるナリヨ。

【雑誌】YOUNG YOU 9月号 集英社 B5平
 巻頭カラーは山下和美「天使みたい」。双子の姉妹の片方が交通事故で死亡し、両親は残ったほうの「はるか」に似せて、ロボットの「かなた」を作成する。はるかが成長するのに合わせてかなたのボディは作り替えられ、はるかは成長するにつれ自分がかなたとセットでしか存在できないことを強く意識することになる。はるかとかなたの、顔はまったく同じだけど異なる魅力を持つ二人の描き方など、実に堂々とした魅力がある。今回は前編で次号に後編掲載。次号がすごく楽しみ。鴨居まさね「雲の上のキスケさん」。日常的な恋人たちの生活が微笑ましい。50ページもあって読みごたえもバッチリ。それから谷地恵美子「明日の王様」。女性向け漫画としてはかなりにど根性な展開で、ストレートに気持ち良く読める。行儀良さげな作風ながら、燃える部分もしっかり。それでいながら描写はあくまでスマート。

【雑誌】FEEL YOUNG 9月号 祥伝社 B5平
 安野モヨコ「ハッピー・マニア」。誰にでも恋人に対するように語りかける、女たらしの田嶋が今回の目玉。恋人モード的しゃべりなど、何気ない端々に神経を行き届かせつつコミカルにドタバタと読ます。南Q太「恋愛物語」。クールである。男に対しても女に対しても。つきも離れもしない、微妙な距離がある空間の描き方はこの人ならでは。南Q太としては出色の作品ってほどではない。でもうまい。

【単行本】「からくりサーカス」9巻 藤田和日郎 小学館 新書判
「しろがね」たちがどのような過程で成立したのかという歴史が語られる。これまで、ある意味受動的に進んできた話も、これでしっかりとした目鼻ができ、厚みを増した。きちんとした意図のもと、一つ一つ世界観が作られている感じで、波乱万丈な展開の中でも安心して読める。

【単行本】「ARMS」9巻 皆川亮二 小学館 B6
 順調に強さのインフレが進みつつある印象。強さの増大に、も少し変化球が欲しいところではあるが、そのほかの面、作画力、ドラマ作りはきっちりしており、エンターテインメント作品として十分に楽しめる。皆川亮二作品としては「スプリガン」よりも高級感があってかっこいい。


8/6(金)……ハッパスイスイ

 アキバを歩き回って汗だくに。物欲を抑えずラックマウントのSCSIケース、イカしたキーボードを2枚、ゲームボーイの吸い出し機やプレステでVideoCDを見られるようにするためのアダプタ(PS MOVIE CARD)、その他アヤシイものどもを次々と買っていたら、あっという間に10万円近く散財していて我ながら呆れる。仕事でも使うものが金額の多くを占めていたとはいえ。ゲームボーイの吸い出し機は、ゲームボーイのカセット用スロットとFDDが付いていて、単体でも吸い出しができる製品。マルチROMを作るのには向いていないけど、便利であることは確か。「GBstation」という製品。ゲームボーイのカセットを2本しか持ってない俺に、本当にこんなものが必要だったのだろうか。でも買った瞬間の喜びのほうが、そんな下らない疑問よりはるかに重要であるような気がしてならなかった。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 8/20 No.16 小学館 B5中
 井浦秀夫の新連載「魔法使いの弟子」がスタート。今回はAVモノではなく、文明開化の時代を舞台とするお話。文明開化に躍起になる明治日本の混乱を取り締まるため奔走する参議・鬼窪の細君が、怪しげな異人によりたぶらかされているようなのだが……といった感じの出だし。渋めでありつつ、少々ミステリアスな雰囲気も漂わせている。次号以降の展開に期待。水島新司「あぶさん」。あぶさんの息子、景虎が高校生最後の甲子園。あぶさんと親子プロ野球選手誕生が早いか、それともダイエー優勝が早いか。今年も西武な雰囲気が出始めてきたがさて。

【単行本】「流れ星はるか」 夢ノ二 JIGEN A5
 ヤングキング系列で活躍中の大石まさるが、エロ漫画雑誌に描いていたころの作品を収録した作品集。
 現在、ヤングキング系列で描いている作品群でも、柔らかな線の効果もあって爽やかな中に艶っぽい色気がある。今回の単行本はエロ漫画雑誌掲載ということで、エロシーンの描写はも少しストレート。ただ、発表時期が少し古いので、現在ほどに絵も話もうまくはない。比較的最近の作品で、大石まさる名義でボンバーコミックに掲載された、「海と宅配便と風鈴と…」あたりはだいぶ現在の絵に近い。こうして昔の作品と比べてみると、大石まさるの進歩の大きさが伺える。人物の描写もそうだし、背景も含めた画面全体の雰囲気作りが格段に上達している。全体的にお話自体は他愛ないものが多く、あんまりすごくない。夢ノ二、および大石まさるファンは押さえておくとよいのでは。大石まさるが今の技量で、本気でエロ描いたらかなりいい感じであろうなあ。

【単行本】「イッパツ危機娘」4巻 原田重光 講談社 B6
 この巻はすっかりクーニャンが主役。クーニャンにナジャ、リンダを加えたトリオが、懲りずに情けない危機に陥り下品な解決法でなんとかそれを抜け出す。ナジャとリンダの二人のキャラクターが強烈に立っているので、社長秘書編よりもクーニャン編のほうが面白く読める。とはいえ、1巻のころほどの新鮮味は薄れているので、もう一つプラスアルファが何かあるといいのだが。

【単行本】「SATELLITEぢゅにゃ」3巻 サガノヘルマー 講談社 B6
 最終巻。犯罪者として辺境の惑星に流された男・聖シュウジが、その星に住む中学生たちに担任教師としてまつり上げられる。その惑星は、生徒が先生を飼育し、学校同士が戦争する異様な世界だった……といった感じのお話。「BLACK BRAIN」「わんぱくTRIPPER」のサガノヘルマーの作品だが、今回は不完全燃焼気味。座り心地は悪いが、濃厚でねちっこいエロチックさがある奇妙な作風は健在だが、「BLACK BRAIN」等ほどに異様さが突き抜けていなかったように思える。ドラッグ的なイメージの噴出が、いまいち効果的に作用していなかった。もっともっとギチギチにテンションを高めて、読者を置いてけぼりにするくらいのハイスピードさでぶん回してほしかった。

【単行本】「スクール」 OKAMA ワニマガジン B6
 OKAMA作品の中でもトップクラスに明快で分かりやすいお話。お話がスルスルと頭に入ってくる分、キュートでセンシティブでハイセンスな絵柄もストレートに楽しめた。連れ子同士だった兄の孝幸と妹の楓が、親が離婚して離れ離れになるが、そのさいにお互いに抱いていた相手への愛情を確認する。その後、二人は別々の地でそれぞれの生活を始めることになるが、一人になって制約がなくなった孝幸は、転校先の学校でさまざまな女の子たちと出会い、それぞれと恋をして肉体関係をも持つ。孝幸はまあとんだプレイボーイであるわけだが、その行為には曇りがなく、ごく自然に描かれる。愛憎のドロドロしたイメージはない。それぞれの女の子たちは、恋したくなるのも無理がないくらいに魅力的に描かれている。OKAMAの描く、中性的な男の子たちや女の子たちは、すごくキレイで可愛いなあと改めて実感する一作。


8/5(木)……身一つ世一つ

 会社の帰りに映画鑑賞。渋谷シネライズにて単館ロードショーの「π」という作品。レイトショーのみであるにも関わらず、人はけっこういっぱい。おかげで最前列のまんまん中という、首に対してヘビーデューティな環境で鑑賞するハメに。あまりにも画面が大きく見えすぎるため、最初は焦点の合わせ方に苦労して目が痛くなった。スクリーンがデカすぎるので、一つの場所を見るとほかのところが見えず、人物の動きなどと字幕を目線が行ったり来たり。上映前に呑んだビールのせいで、観賞中に尿意がこみあげ、一度中座してしまった自分はちとファッキン。

「π」の主人公は天才的な数学者で、「この世の事象はすべて数字で表せる。ゆえにすべての事象は法則性を持つ」という信念の持ち主である男。コンピュータで株式市場の予測をしていたところ、バグのせいか導き出された大きな桁のよく分からない数字、そしてユダヤ教の聖書から導き出されるこの世のすべてを表す数字。数字、数字、数字。本当に存在するのか分からないそれらの数字の法則性を求めるうち、彼は数字とその意味の暗闇に呑み込まれていく、といったお話。

 登場人物も少なく、お金はかかっていなさそうだが(実際低予算だったそうだ)、全編モノクロであり、さらにテクノな音楽の効果もあってチープさを感じさせずよくできていたと思う。カルトな魅力で時間いっぱいキッチリ楽しんだ。数字の世界というのはやたらに奥が深いようで、かなり憧れるところがある。そこにカバラがからんで、怪しく狂的で緊迫感のある雰囲気を作り上げていた。できれば数字の世界やカバラなど、もっともっと衒学的な要素をちりばめつつ深いところまで踏み込んでくれるとさらに重厚感が出たと思う。でも俺好みで面白かったことは確か。ウンベルト・エーコの作品が好きな人なんかに良さそう。「観てみたい」という人はこちらあたりを参照するといいかな? あらすじとかは全然書いてないけど上映館情報とかは分かるかと。

 普段はあんまり映画を観ない俺だが、最近どうも漫画と会社ばかりで文化的強まりが弱まっていた。これは甚だ遺憾。小説ももっと読んで、新しき言葉に触れるべき時期が来ている。音楽も聴きたい。そんなモチベーションもあり、「よし映画観に行くぞ」となったわけだ。この夏、いや、これからの目標はもっと文化的に強まること。……とかいっているうちに8月下旬あたりはまたクソ忙しくなっていくのだけど。
 こういういろいろなことを詰め込むのって、大学時代あたりにもっとやっとけば良かったなあと今になると思う。あと濃いサークルにでも入って、濃い人脈を作っておくべきだった。意外に思われるかもしれないけど、大学時代は軟式野球サークルなんぞに入ってたんだよねー。というわけで大学時代はずいぶん時間を豪勢に、かつ無駄に使っていたものだ。社会人になってからは時間が限られているため、その分メインな趣味に自覚的になったものの、視野は狭くなっていたように感じる。仕方ない部分はあるとはいえ弱すぎだぜ。そして弱すぎだったぜ! 今の俺&昔の俺。

【雑誌】モーニング 8/19・26 No.36・37 講談社 B5中
 ヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」。ヨリとヒロコの対決がかっこいい。もっと高く! もっと強く! ガンガンテンションを上げて、鳴海ユリとの対決を超えるような名勝負になってもらいたいもの。作:吉川英治+漫画:井上雄彦「バガボンド」。今回は祇園藤次(ぎおんの「ぎ」は本当は「示」に「氏」)もかっこよかったが、突如現れた宝蔵院二代目胤舜がさらに鮮烈だった。キャラクターの魅力もそうだが、登場のさせ方などの演出、スピード感も含めて、総合力が抜群に高い。高橋のぼる「リーマンギャンブラーマウス」。ギャンブルの暗闇にズブズブと沈んでいくサラリーマン。濃いキャラクターと濃い描写でなかなか迫力があって良かった。クドいくらいの脂っこさ。山下和美「天才柳沢教授の生活」。山下和美の最近の高品質さは華麗でさえある。かっこいい。森田信吾「駅前の歩き方」第3話め。今回はやたら甘い、秋田地方のババヘラアイスがネタ。俺としてはあまり食欲をそそらない。なんかもうちょっと熱くてギトギトした脂っこいモノのほうが、この漫画的スタンスとしてはおいしそうだなあ。やまあき道屯「空室あります」。シリーズ連載開始。松本大洋チックな絵柄ながら、けっこうストーリー構成力はある人という印象。

【雑誌】ヤングジャンプ 8/19 No.36 集英社 B5中
 作:夢枕獏+画:くつぎけんいち+脚本:生田正「怪男児」は今回で最終回だが、ちょっと中途半端な感じ。山本康人「打撃天使」。白昼の電車で突如発砲する男に対して、ルリ、突如全裸。そして怪しい舞。ああ、なんかもうマヌケててすごいや。武富智「3ペイジ」後編。中学生、男2人女1人の3人が、それぞれの区切りを経験して爽やかに終了。この人の端整でサッパリと、ときに艶めかしい絵柄はいい。注目の新鋭である。もっとたくさん作品読んでみたい。あと、そろそろ単行本も出ないかな。

【雑誌】ヤングサンデー 8/19・26 No.36・37 小学館 B5中
 創刊700号。
 山田芳裕「デカスロン」はついに完結。なんかこちらがポカーンとしてしまうような展開。参りました。最後まで馬鹿やってくれてうれしかった。原秀則の新連載「シーソーゲーム」がスタート。なんかすごく軟派な感じのラブコメになる模様。ああ、もう仕事してますなあ。原秀則は、きっちり仕事で漫画描いてるってところが好き、というか立派。柏木ハルコ「ブラブラバンバン」。すごく面白い。音楽を演奏しているとノリすぎちゃて、その曲に合わせて身体が動き出してしまう芹生さんをおとしめるために選ばれた曲は……。なんかかなり楽しいノリでブイブイいわせている。山本英夫「殺し屋イチ」。垣原に召集されたジゴロ兄弟は、SEXも暴力もかなり狂的な強者。彼らとイチの対決が楽しみになってきた。今回のラストシーンの見せ方なんかすごい、ホントに。陰惨で戦慄するユーモラスさ。間抜けていて、そして怖い。山田玲司「アガペイズ」。甲子園までアウト一つだが、最大の難関にぶち当たる。そしてユリは迷わず愛する虎輝のために最も大切なものを失うことを決断する。強引に泣かせる展開。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 8/19・26 No.37・38 秋田書店 B5平
 水島新司「ドカベンプロ野球編」。ようやく1回の表終了。それにしてもいくら苦しめたとはいえ、オールスターで四球を選ぶってのはなんかあんまし。板垣恵介「グラップラー刃牙外伝」。プロレスの哲学がなんともかっこよい。己の身体は傷つこうとも、相手の繰り出す技は全部受ける。長年プロレス界を背負って立っていた二人の意地のぶつかり合いはますますヒートアップ。

【単行本】「美姫」 おおしまひろゆき コアマガジン B5
 COLORFUL萬福星の表紙イラストなどでおなじみ、おおしまひろゆきの画集+漫画ちょろっと+インタビューな単行本。くりくりした目のもう素直にかわいいというほかない女の子たちのイラストは見事。帯にある谷口ジローのコメント「シンプルで明快な美少女たち」というのは非常に言い得て妙。更科修一郎によるインタビューも嘘なんだかどうなんだかって感じで人を食ってて楽しい。つや消しでありつつ華やかで、かつ淡い塗りがとても魅力的。質感と重量感のある乳もよろしい。センスのいい絵が描ける人はうらやましいなあと嘆息する一冊。

【単行本】「おまかせ!ピース電器店」14巻 能田達規 秋田書店 新書判
 データ等はオスマンのほう参照。この巻では能田達規の内輪系の漫画家さんをモデルにしたお話にニヤニヤ。安田セイタロ、難儀な人だなあ。CUSTOMで描いてもらっている新谷明弘さんにお聞きしたところ、ほかにもいろいろと身内系漫画家な人がモデルなキャラクターがいるとか。もちろん新谷さんがモデルのキャラクターもいるよん。


8/4(水)……男どアホウ コーヒー園

 挽くで豆タン! それは別の漫画か。

 女を食い物にする人はファ、ファイヤー(ヤバい)だけど、女を食べ物にする人はもっとファイヤー(激ヤバ)だよねー。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 8/18 No.16 講談社 B5中
 集中連載、吉田聡「江戸川キング」がスタート。得意のヤンキーもの。暴力的ではあるが、適度にギャグをまじえ、義理と人情もきっちり押さえる。ヤンキーものはそれほど好きではないが、吉田聡の作品は気持ち良く読めるので好きだ。単行本を買うほどまでは行かないけれども、いい仕事していると思う。咲香里「春よ、来い」。前半は幸せなラブコメで、後半は重苦しく。妹さんにフラれた女の子のほうに同情の余地ありだが、やはり眼鏡娘のほうが圧倒的にいい。華やぎますな。榎本俊二「映画でにぎりっ屁」。今号は2ページ。今回のネタは「マトリックス」だが、悔しいけど映画観たくなっちゃうじゃないか。くそう。

【雑誌】ヤングキングダム 9/4 No.9 少年画報社 B5中
 佐野タカシ「イケてる刑事」。デカチン的カタルシスとプリプリの女刑事たち。それだけの漫画なのだが、「それだけ」であるがゆえに単純で突き抜けている。これでもかとばかりに乳を強調し、ハイテンションに煩悩。爽快でさえある。大石まさる「みずいろ」。今回は前半8ページが2色。健康的でありながら色っぽい。滑らかな絵柄で、女性陣がなんとも魅力的。かなりトロトロに煮詰められた作風。ええのう。堀田あきお「チンピラ行進曲」。こちらは乾いた絵柄だが、組長の娘さんが素直になれないけれども健気。地味だけれども読み口は爽やかでなかなかよくできている。

【雑誌】週刊少年マガジン 8/18 No.36 講談社 B5平
 石垣ゆうき「MMR」。8月11日がXデーなのだけれども、きちんと「8月11日から始まる1ヶ月」として猶予期間を持たせているところがエラい。寺沢大介「将太の寿司」。ズバリ、将太が今回利用するのはイカスミだと見た。でもイカスミ使えばたいていの素材は黒くできちゃうから反則っぽくもあり。

【雑誌】週刊少年サンデー 8/18・25 No.36・37 小学館 B5平
 水島新司の読切「男どアホウ甲子園」。藤村甲子園が阪神に投手コーチとして帰ってきて、チームが甦るといった感じのお話。現実の阪神がもう少し強かったらもっと良かったのにねえ(8月4日現在借金12)。ながいけん「神聖モテモテ王国」。今回の「ドハハ、食べ物っておいしいよのう…」「見ろよ、ほれぼれするぜ」というセリフには久しぶりにズガッと来た。食べ物っていいよねー。


8/3(火)……愛・子宮

 PC系のニュースサイトを見ていたらICQが2.24にバージョンアップされたとの報あり。なんとなく導入。45515333。シークミー! シークユー! バッバッ。

【雑誌】漫画アクション 8/17 No.33 双葉社 B5中
 この雑誌を読むのは久しぶりなので連載にはついていけてない。単行本で読んでいる、作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫「軍鶏」、六田登「歌麿」あたりはやっぱり面白そうだ。あとさそうあきら「トトの世界」もよさそうな感じ。ここらへんは単行本になったときにまとめ読みかな。

【単行本】「一緒に産もうよ」 作:菊池浩子+画:松本充代 主婦と生活社 A5
 そういえば買ったきり読んでなかったなーとか思い読んでみることに。若い夫婦が初めての出産、育児を体験するというお話。1994年から1995年にかけてCOMICプレママという雑誌に掲載された作品なのだそうだ。読んだ感想としては、ありきたりだが、育児ってたいへんそうだなあという感じ。気楽な独身27歳男子な俺としては、ただひたすらに面倒くさそう。いずれはこういうことを意識しなくてはならないのかもしれないが、そういうことはそのときに考えようと決意。とりあえずしばらくはそういう機会はありそうにないし。
 育児漫画はほとんど読んだことないし育児もしたことがないのでよく分からないけど、育児の苦労とかは伝わってくる。この作品での松本充代はアッサリとした明るい作風なので、妊婦さんのお腹にもさわりがなさそうでよろしいのでは。当たり前だが、妊婦さんと育児中のお母さんと、その配偶者の方にオススメ。


8/2(月)……議長! やめてください

 ぎゃくふんしゃでギャフン!

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/16 No.36 集英社 B5平
 鈴木央「ライジングインパクト」。好調なようで巻頭カラー&表紙。作:ほっとゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。インターネットが発端になって、碁の世界にビッグウェーブが起こらんとしている気配。なんていうかIt's Cool!

【雑誌】ヤングマガジン 8/16 No.35 講談社 B5中
 平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。こりゃまたひどいお話である。ゲンさんと、腰をクネクネしてシャウトしながらシェイカーを振るバーテンダーの、世にも醜い闘い。ページ数が12ページに増えているうえに、濃度も高い。うえー。山崎さやか「フローズン」。喫茶店でイチャつく迷惑カップルを、いつもの人々でシバく。ワイルドで単純に笑えた。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。前半はどうでも良いお話だったが、最後の2コマのセリフがいいセンスしているなあと思ったしだい。
 別冊ヤングマガジン創刊号のお知らせが掲載。執筆陣は前川かずお、夏元雅人、恋緒みなと、三田紀房、水野トビオ、相沢トモコ、蓮古田二郎、小崎祐輔、阿部秀司、原泰久、藤寿男、福満しげゆき。相沢トモコと福満しげゆきがとくにうれしい。なお、発売はあえていうなら8月19日(木)。それ以降は毎月第3木曜日発行になるそうだが、そういう忘れやすそうな発売日にはしないで欲しかった……。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/16 No.35 小学館 B5中
 山本直樹「ビリーバーズ」。『オペレーター』さんと『副議長』さんの淫行に気づいた『議長』さん。二人を問い質すものの『副議長』さんがしらばっくれたことにより、妄念が膨れ上がり追い詰められていく。早く次が読みたいなあ。山本康人「僕」。普通コンプレックスな主人公が、無闇に暑苦しくジタバタしていて、なかなかここまでは面白くきている。順調。作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」。もしかして雄介ボクサー転向!? 「とどろけ! 一番」

【雑誌】Dokiッ!SPECIAL 田中ユタカ特集!! 竹書房 B5中
 Dokiッ!およびヤングアニマル楽園増刊に掲載された田中ユタカの読切作品を4本集め、それにグラビアと、山本夜羽、ふじかつぴこ、ぐれいす、倉上淳士、にしまきとおるの短編を併録した特集本。田中ユタカ作品もほかの人の作品もすべて再録であるため、すでにそこらへんの作品を読んでいた人にとっては買う意味はないかも。水着ねーちゃんが目当てである場合は別として。
 田中ユタカは初体験作家である。いつまで経っても。何回かSEXしているカップルであっても、心理的には何かしら初体験な部分がある。今どきのカップルは絶対こんなこといわねー、という死ぬほど甘ったるくこっぱずかしいセリフの数々。爽やかな味付けではあるがベタベタでもある。読んでいる途中はこっぱずかさにゴロゴロしてしまうのだが、読んだ後はなんにも残らない。一瞬読者の心をとらえてスーッと抜けていく、炭酸飲料みたいな漫画である。そして恐ろしいほどコンスタント。毎度おんなじといえばそうなのだが、読後に残るもの少なき作品であるだけに飽きもなかなかこない。そんなわけで今回もその初体験ぶりをスパッと楽しませてもらったのであった。


8/1(日)……8月1日はハイチの日!

 1999年7の月ネタは、あまりにも安易なのでここでは絶対に使うまいぞと心に決めていたわけだが、終末ネタの大メジャーどころ、新約聖書のヨハネの黙示録はけっこう面白いので読んでおくといいと思う。少年時代、ちょっとだけキリスト教系が入った学校に通ってたもんで、新約聖書は時間つぶしに読んだりしていた。信仰心はまったくなかったけど、アレは読んでみると案外面白かったりする。現在信仰している人には失礼な言い草で申し訳ないが、いいヒマつぶしになる。場所によってはタダでもらえるし、小説や漫画や映画などの創作物を鑑賞するさいの基礎教養として押さえておくと便利でもある。まあ頭っから通しで読むのはツライとは思うけど(俺も全部は読んでないし)、ヒマなときに面白そうなところから少しずつパラパラめくるといいんでは。
 それと昨日の日記で触れた竹本健治のことについて、このページを読んでくださっている方からメールをいただいた。やっぱり小説家の竹本健治のことだったらしい。ただ「入神」の発売日は延期されたとの噂もある模様。

【雑誌】漫画ホットミルク 9月号 コアマガジン B5平
 早売りで買っちゃった奴。発売日が3日発売なのに申しわけない。
 りえちゃん14歳「夏と水着のピンク色」。まあいつものりえちゃん14歳なんだけど、改めて見ても、丸顔で手足のスラリと長くてお尻のちいちゃい女の子が、なんともまあかわいらしいではありませぬか。こんな女の子たちと初恋したい1999年の夏だ。あとタイトルがかなりいい感じだと思う。瓦敬助「菜々子さん的な日常」。毎度いいので、ついつい「菜々子」という固有名詞をパソコンのIME(イメ)の辞書に登録してしまったほどだ。むっちりとしてて奔放な色気のある菜々子さんの、開けっぴろげさがとても好き。SEXシーン自体はないのだけど、それがかえって良い。みかん(R)「ヲトモダチ」。少女系で鬼畜モノ。内気そうな眼鏡娘が背伸びしようとしているところを、ヤバげな男につかまり散々な目に。りえちゃん14歳に通ずる、ほっそらとした身体の少女たち。表情は暗め。いかにも業の深そうな絵柄で注目株。
 次号では砂が登場。ヒャッホーオーイエーマイケツッ!

【単行本】「喜劇空想特撮温泉」 ほりのぶゆき ソニー・マガジンズ A5
 コミックバーズがスコラから刊行されていたころの最終号で、実にグッドタイミングに最終回を迎えた作品。温泉を心から愛する青年が宇宙人の経営する温泉宿で、正義の戦士「湯ファイター」としての力を授かるが、別にその力を発揮するわけでなくのんべんだらりと温泉を題材にしたギャグが展開されるという作品。連載時はあまりパッとした印象はなかったんだけど、単行本で読むとけっこういい味を出している。「ちょんまげどん」に顕著だが、この人は同じ題材を繰り返し繰り返し、角度を変えながら延々やり続けることによってえもいわれぬ味を出してくる。そのナンセンスさをちょっとずつ増幅させていく作風は、一話一話よりもまとめて読んだほうが迫力が出る。全体として、ぬるい温泉の湯のような、ぬったりとした感触。効能は肩凝りとリュウマチ?

【単行本】「龍」22巻 村上もとか 小学館 B6
 記憶をなくした龍が、拾ってもらった田舎の姉弟の家を出て上海を目指す。弟の文龍は一緒に連れていく。波乱万丈な大河ロマン。まあ1巻1巻を取り上げてどうのこうのいう漫画でもないが、堂々としたお話運びは貫禄あり。やはり村上もとかは凄玉だなあと思ったりするわけだ。


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