◆ 1999年11月中旬 ◆
11/11〜20
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11/20(土)……GOJI-GOJI
最近日記に誤字脱字が多いと兄に指摘される。もちろん指摘されるまでもなく、自分でもよーく分かっている。このところ、以前より日記を書くのに時間がかかるようになった、というよりも書き始めの時間が遅くなったため、作成に明け方までかかってしまいがちである。一通り書き終わるころには眠くなっているので、あんまり念入りに推敲しないでアップすることが多くなっているのだ。いちおう一回くらいは読み返すのだが、以前に比べてかなり大ざっぱなのでミスもその分増えている。そんなわけでここを読んでいる方で、誤字脱字を発見された人がいらっしゃったらガンガン指摘しちゃってください。てゆうか、ミスをしないように自分で気をつけるほうが先決。
今日読んだ分で、今年読んだ、というか日記で感想を書いた雑誌がちょうどのべ1000冊に。数字の問題でしかないんで、まあどうでもいいいことだけど。
【雑誌】花とゆめ 12/5 No.24 白泉社 B5平
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山口美由紀「ドラゴンナイト」があっさり最終回。日高万里「世界でいちばん大嫌い」は、ラブ度がかなり高まっていていい。まっすぐ一生懸命恋愛しているという感じで羨ましい。
【雑誌】まんがくらぶオリジナル 12月号 竹書房 B5中
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みずしな孝之「ササキ様に願いを」は、とある事情で次回最終回。ササキがファーしてファーな地に行く予定だからだ。かたぎりわかな「みちばたトライアングル」は、相変わらずのすっ頓狂な展開。
【雑誌】パイク Gear Change 01 ふゅーじょんぷろだくと A5
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パイクがリニューアルしたわけだが。以下、巻末の作者コメントより抜粋。
TAGRO「あめかすりも使えないようじゃダメだな」
うらまっく「個人的にはパイクの仕事は大好きなのですが、現実的には……」
相楽直哉「今号でみなさんとお別れです。今までどうもありがとう。」
……士気低いですな。ふゅーじょんぷろだくとは何かと問題ありそうなので、無理もないかな、という感じ。
TAGRO「冬が来る前に」はシャーペン描きの8ページ。鉛筆の描線の感触は好きだけど、作者コメントから感じられる通り士気は低く投げ遣り気味。でも蒔子はかわゆくラストはほのかだけど確かな温もりあり。ウチの掲示板の発言#2052も参照していただけるとより味わい深く読めるかも。加藤礼次朗「最終少女兵器ちかチャン」は、主人公のちかチャンを襲うスプラッターな仕打ちがビリビリと刺激的。クラスメイト。チェーンソー。手足。親友。
【単行本】「ARMS」10巻 皆川亮二 小学館 B6
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ARMS御一行はすんでのところでギャローズベルの町を脱出。しかし、行く先にはまたしても強敵が……。この作品、絵はいうまでもなくたいへんにうまいし、描写もいちいちかっこいい。ただ、やっとの想いで強敵を倒す→前の敵なんて足元にも寄れないような新たな強敵が登場、というパターンをずっと繰り返し続けていて、強さのインフレ状態にあるのが心配な点。
【単行本】「辰奈1905 トミコローツ戦記」 鬼頭莫宏 ビブロス 変型判
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「辰奈」は「しんな」と読む。「な」の字は、本当は「奈」ではなく「木」が上で「示」が下の一文字漢字。もともとはWebで公開されていたのだが、このたび紙媒体で一冊にまとまった。できれば付録CD-ROMでデータも付けてほしかったところだが、1239円+税という価格を考えるといたしかたないか。
1905年の仮想の日本を舞台に、トミコローツと呼ばれる突撃型戦闘用兵器を駆って戦う、モコリリ、アヌンという2勢力の少年少女兵士たちの姿を描く物語。鬼頭莫宏独特のやけに胴が細くてひょろりとしたキャラクターたちは健在。特徴を挙げるとすれば、全編フルカラーの紙面が非常に美しいというのがまず第一点。それから綿密に用意されているらしき設定群も魅力的だ。戦場の中での駆け引き、心の揺れ、少年少女らしきストイックな感情やら恋心などの描写も良い。ところどころページ欄外に注釈が入っているが、最初に読むときは読書のリズムを崩さないよう、とりあえず無視して読み進み、あとから注釈を読み返すことをオススメする。欠点としては、3D CGで描かれたメカがいまいちカッコよくないということ。メカ自体のキャラが弱く、戦闘が今どういうい状況なのかという点がいまいち頭に入ってこない。ともあれ、世界観はかなり大掛かりなようなので、ぜひ続きを描いてほしいものだ。
実のところこの作品、Webではきちんと読んでいなかった。そんなわけで、こうやって紙媒体にまとまったのはやはりうれしい。Webで発表される漫画としては、ブラウザでスクロールさせて読むことなどもきちんと考慮されており、非常に出来が良かったとは思う。でも、やっぱりWebだとどうにももどかしくて、毎回のチェックは怠っていた。もちろん回線および表示速度の問題は大きいのだが、たとえローカルのHDDに落としたとしても、紙媒体に比べてもどかしかっただろうと思う。現在のデジタルコミックは、読者が読むためのアクションを起こしてからデジタルコミック側が反応するまでのレスポンスがまだ良くない。そして、やっぱりパソコンがないと読めないというのはつらい。読む場所が限られるし、パソコンの設置場所によっては読むときの姿勢などがどうしても制約される。ボリュームの問題もある。単行本1冊が通常約200ページだとして、これをWebやCD-ROMなどの媒体で供給するのはけっこうやっかいだ。また読むほうもいちいち200ページ分アクセスするのは面倒。同じ大きさの誌面であれば、通常パソコンのモニターよりも紙のほうが解像力が高いという問題もある。そういった諸問題を乗り越えるだけのメリットが出せるかどうか、そこらへんがデジタルコミックの課題だろう。
当面考えられるメリットとしては、在庫を持たなくて良い、手軽にフルカラーができる、ときには音を駆使したりアニメーションさせることもできる、ハイパーリンクが使えるといったあたりか。モニターでそのまま見るため、データを印刷する場合の発色が作者のイメージと異なるという問題も起きない……ように思えるのだが、実際にはユーザー側で表示に使っているビデオカードによって色合いは微妙に違うし、ディスプレイの調整しだいで色合いはバラバラになるから、実は紙よりも作者のイメージからかけ離れた状態で見られてしまう可能性は高い。Macはカラーキャリブレーションがそれなりにシッカリしているからまだいいけど。ディスクスペースがあり、作者の力が続く限り何ページ描いてもOKというメリットはあるけれども(紙の媒体のように16ページなどといった枠に縛られなくて済む)、その代わりディスクスペースがなければクオリティを落とすかページ数を減らす必要もあるので、こちらは一長一短。
11/19(金)……超強力調教録
プロ野球ドラフト会議終了。指名選手一覧は日刊スポーツのWebあたりを参照。ベイスターズは重点補強ポイントであるはずの左投手を指名しなかった点はちょっと不満だが、俊足の田中一(PL)や素材の良さそうな村西(比叡山)、鈴木寛樹(掛川西)、南(報徳)、七野(PL)といった高校生を多めに指名できたんでそれなりにいいドラフトだったと思う。点数をつけるなら80点くらいか。全体的に今回は、どのチームも納得のいく指名だったと思う。1位2位ともに抽選でハズした中日も、朝倉、福沢なら合格点だと思う。素材はかなりいいらしいし。
今まで家で使っていたプリンタがほぼブッ壊れたので新しいのを購入。今まではレーザーだったのだが、レーザーは形が気に入ってなおかつ価格的に納得いくものがなかったので今回はカラーインクジェットに。日本HPのHP DeskJet 970cxi。これだと前面給紙/前面排紙なので高さをあまり食わない。そのため、パソコンラックの棚に収めやすい。あとUSB接続をサポートしている点に惹かれた。ついでにスキャナも、今まで使っていたSCSI接続の奴を売ってUSB接続のCanoscan FB636Uに買い換え。こちらもUSB接続。それにしても最近のスキャナって薄いしちっちゃくなったもんだなあと感心。スキャナは常に使う機器でもないので、普段は電源を切っておきたいのだが、SCSIの場合は起動時に接続されていないと認識されないんで今まではつけっぱなしにしていた。USBなら使うときだけ引っ張り出してきて電源を入れればいいので置き場所の問題も解消。イカスぜUSB。
【雑誌】ウルトラジャンプ 12月号 集英社 B5平
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相変わらずなんとなく乗れない雑誌。微妙にタイミングを外してくるので、僕は内野ゴロばっかりさ。
そのなかで伊藤悠「影猫」(中編)がなかなか。力強いけれどもシャープな描線、スピーディな描写に惹かれる。ウルトラジャンプだと絵のうまい人は揃っているが、その中でも目立つ。藤原カムイ「福神町綺譚」は次号から3ヶ月お休みとのこと。よしのひろみち「寡黙の刻」は最終回。ちゃんと読んでなかったのであんまりよく分からない。
【雑誌】別冊ヤングマガジン 12/2 No.004 講談社 B5中
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三田紀房「甲子園へ行こう!」は別冊ヤングマガジンでは最終回。これ以降はヤンマガ本誌に移籍。12月20日発売号から連載スタート。馬場康士「舞華転生」。試合中にノックアウトされた実力派女子プロレスラー。試合中の事故で死亡と報道されたが、実は社長の策略によりすごい美人に整形されアイドルレスラーとして復活することに。容姿と実力を兼ね備えた彼女は一躍マスコミの寵児となるが、そのうち彼女のガチンコの勝負がしたいプロレスラーとしての血がうずき始める。ラストは爽やかにしめくくり。馬場康士は本当にプロレスが好きなのだなあということが伝わってくる作品。蓮古田二郎「しあわせ団地」。ダメ人間夫婦のうだつのあがらぬ日常を、今回も情けなく描く。このあけすけな表現が実に素晴らしい。前川かずお「闘破蛇烈伝DEI48」。今回は誰が飲んでも強くなれる特殊な液体を放出する繋ぎ女が、トライアスロンをしつつ悶えるという漫画。しょっぱなからものすごい玉が出てくるうえ、途中の展開もスッポコ。これだけ力を入れて馬鹿なことをやられるともう笑うほかない。筋肉ムキムキの頭に蛇を載せた変態軍団、毒尻七兄弟も強烈だし、繋ぎ女のゴールシーンの馬鹿馬鹿しさたるや爽快なほど。
【アンソロジー】ぷちみるく Vol.3 コアマガジン A5平
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ロリ系アンソロジー。表紙に馴染しんの名前があるが、作者急病のため代わりにみことが掲載されているので注意。
まずはわんぱく「去年の日焼け」。以前出会ってSEXした成年を探し歩く少女。家庭教師らしき先生と一緒に。だが、旅するうちに少女の目的意識は希薄になり、先生と肉体関係を結ぶことによって彼女が探していたのはその成年ではなく肉体的快楽であったことに気づいてしまう。そして探し求める対象はすり変わる。わんぱくの絵柄は実に端整で好ましい。町田ひらく「ツォークのリンゴ」。コアマガジンのロリ系アンソロ本ではおなじみの欧風テイストな外国少女モノ。ちょっぴり皮肉で、また美しい物語。こちらの方面ではすでに貫禄さえ感じさせる完成度。実に鮮やか。みかん(R)「子心」もいい。絵もどんどんうまくなっているようだ。平凡だが不和な家庭に倦み疲れた少女が、身体を売ることによりその心の穴を埋めようとして、どんどん後戻りのできない世界へと転げ落ちていく。少女の生の質感を感じさせる絵柄と、薄暗い憂鬱さをたたえた画面作り。美しいものも醜いものもしっかりと描けるだけの筆力があり素晴らしい。この本の中ではイチ押し。ほしのふうた「キノコの森へ」は、子供っぽさを感じさせる楽しげな描写がいい。無邪気な女の子たちが可愛らしいうえに、何げにけっこうH。あとタカハシマコ、ひぽぽたます、トウタあたりも絵がうまくて光るモノあり。
【単行本】「死刑執行中脱獄進行中」 荒木飛呂彦 集英社 A5
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「ゴージャス・アイリン」以来12年ぶりの短編集なんだそうだ。「そんなに久しぶりなのか:と思うと共に、「『ゴージャス・アイリン』ってもう12年前なんだ」という感慨もある。
収録作品は「死刑執行中脱獄進行中」「ドルチ」「岸辺露伴は動かない」「デッドマンズQ」。いずれも荒木飛呂彦らしくトリッキーな仕掛けが施してあって読ませる。とくに表題作はよくできている。死刑囚が閉じ込められた部屋は一見快適に見えて壁にひき肉マシンが仕込んであって指を切り落とすだとか、頬に食い込む魚の骨だとか、そこかしこに悪意のある仕掛けが施してある。得意な舞台設定、皮肉なラスト、一人芝居のように進むミステリアスな物語展開も秀逸。キレ味鋭く読ませる。あと帯によれば、荒木飛呂彦が週刊少年ジャンプ12月7日発売号から新連載を始めるとのこと。タイトルは「ジョジョの奇妙な冒険PART6 ストーンオーシャン」。結局ジョジョか、と肩透かしを喰らった人も多いかも。
【単行本】「からくりサーカス」10巻 藤田和日郎 小学館 新書判
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鳴海たち「しろがね」が、「柔らかい石」の保有者ではないかといわれるヨーロッパのとある大公国の姫の許へと赴くが、そこでも自動人形たちとの闘いが繰り広げられる。この巻の主役はなんといってもお姫さまだ。最初はマネキンみたいなぎこちない笑いしかできなかったのが、鳴海たちとの出会いを通じて魅力的な女性へと変貌していく。その過程が良い。鳴海に抱く切ない恋心も。
というわけでお話的には楽しめるのだが、10巻まできているわりには展開が遅いような印象は否めない。また「うしおととら」みたいに三十何巻もいってしまうのだろうか。「うしおととら」もいい作品ではあったが、も少しボリュームを圧縮するとより展開がキビキビして良かったと思う。この作品にも同じことを感じる。
【単行本】「子供の森・完結編」 もりしげ オークラ出版 A5
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冷酷に少女たちを踏みにじる。自分が肉体的快楽を得るためというよりも、ただ彼女たちの尊厳を傷つけ貶めるために。救いは一個も用意されず、ただただ少女たちはなすすべもなく大人たちの悪意にさらされるだけ。周囲の目には憐憫や同情さえない。もりしげの筆は、まったくもってシビアでクールだ。悲惨な目に遭っている少女を横目で見て、薄笑いと軽蔑を投げかけ、ときには足蹴にさえする。そのあまりの冷たさに慄然とせずにはおれない。で、今回の単行本収録の作品だが、もりしげの持ち味は発揮されているものの、「学校占領」などと比べると若干描写がヌルいように思える。最長の作品で全2話なので、蹂躙シーンのボリュームが足りなく感じてしまう。どうせやることは決まっているのだ。そのボリュームが多ければ多いほど、行為がひどければひどいほど毒性は高まる。というわけで一度、単行本1冊分のページをまるまる使うくらいの、悪夢のような作品を描いてもらいたいものだと思う。もちろん周囲の状況さえ許せばだが。
【単行本】「少女調教録」3 ペンネームは無い 東京三世社 A5
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オスマンのほうにもデータは追加しといたのでそっちも参照。
相変わらずたいへんにペンネームは無いはハイテンションだ。あふれる女エキス、快楽の極限にガクガクと痙攣する肉体、どんどん崩れて呂律の回らなくなっていくセリフ、容赦のない責め、ダイナミックなポーズなどなど。異様な密度で画面の隅から隅まで、肉体、それから女体エキスで埋め尽くされ、さらにふきだしの中も「ダッ……メヘェ……」「そっ……んなはぁぁ しゃ…しゃぶらな…はっ なひでェ〜〜〜〜」といった具合。女の子の乳首は握りこぶしぐらいまで膨れ上がり、エキスは10リットルくらいはドバドバ噴射される。作品を構成するアイテムが、どれ一つとっても濃厚。表紙、裏表紙のイラストもめったやたらと過激で実に天晴れ。上記のもりしげとは対照的に、どこまでもホットで湿潤。漫画ではひでえことしてるわりに、後書きを読むと実に好青年っぽいあたりも味わい深い。誰にでもオススメとは行かないが、とりあえず見ておくだけの価値は十二分にある。珍しいモノ見たさでもいいのでぜひ一度。
11/18(木)……ダッシュアガペイ
DataSlimの電池を交換する。5月下旬に買ってから電池交換は初めて。そんなにハードに使っているわけではないとはいえ、ボタン型電池二つでこれだけ持つのはかなりなもんだと思う。イカスぜ。
【雑誌】ヤングジャンプ 12/2 No.51 集英社 B5中
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釋英勝「新HAPPY PEOPLE」前編が掲載。グラビアは鈴木あみ。
【雑誌】モーニング 12/2 No.51 講談社 B5中
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作:春場洲太夢+画:松本剛のコンビが4週連続で登場。タイトルは「シャドウ&ライト」。無敗ながら引き分けで世界タイトル奪取に失敗したボクサー・戸口と、彼を取材して番組を作ろうとする女性キャスターの物語。今回はまず導入部といった感じ。井上雄彦「バガボンド」。宝蔵院胤舜を倒すべく、その師である胤栄に弟子入りした武蔵。武蔵が滝に打たれる一連のくだりが馬鹿馬鹿しくて良い。ページの使い方もうまい。山下和美「天才柳沢教授の生活」は、モンゴル編が次号で完結。どんなラストになるのかジャイアント楽しみ。
【雑誌】ヤングサンデー 12/2 No.51 小学館 B5中
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山田玲司「アガペイズ」が最終回。風水&野球&純愛ということで、かなりのインチキ臭さを漂わせつつ、それでも力づくで読ませる剛腕ぶりはさすがだった。傑作とはいうほどではないが、それなりに楽しめた。山本英夫「殺し屋イチ」。垣原先生はやはり千両役者である。殴られても殴られても、平気の平左、というより実にうれしそうに起き上がってくる。慄然とするかっこよさだ。かっこいいってこういうことか。
【雑誌】週刊少年チャンピオン 12/2 秋田書店 B5平
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水島新司「ドカベンプロ野球編」は、日本シリーズ第2〜4戦を駆け足で消化。ダイエーが日本一になったので、さぞかしねっちり描き込むかと思いきや。頭を打ってノックアウトな影丸はその後まったく出てこず。水島先生はもうプロ野球はお好きではないのかしらとか思えるほどの投げ遣りな展開。それにしても山本昌似てないなあ。
【単行本】「神聖モテモテ王国」6巻 ながいけん 小学館 新書判
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いつものメンバー(ファーザーやオンナスキーやトンカツなど)が、いつものごとくナンパをせんとして不可抗力的に非常事態を招いたりする漫画。連載で読んでいると、最近パワー落ち気味かなとか思っていたが、改めて読み返すとウィットとユーモアに富んだカンバーセションに顔がゆるむというか(なお「顔」は「かんばせ」と読むとちょっとウィットとユーモア)、まあ要するに笑っちまうというわけさ。
11/17(水)……山田シリーズ
アキバで山田さんとメシを食いながら漫画のお話をした後、コミック虎のあな(パチンコ屋さんの斜め前、牛丼のどんどんの隣にある店舗)に行ったらなんか店舗が大幅改装中だった。今まで2F:同人、3F:一般コミック、4F:エロ漫画だったのだが、まず4Fを改装してそこに同人、次に3Fを改装しエロ漫画、そして2Fを改装して一般コミックという構成になるらしい。つまり1フロアずつズレるわけだ。どういう意味があるんだかはよく分からないけれども、しばらく狭苦しいかも(現在元4Fのエロ漫画は2Fの一角に移されていて、同人と同居中)。
【雑誌】ZetuMan 12月号 笠倉出版社 B5中
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ZERRY藤尾「扉をコジ開けて」シリーズ最終回「Please Please Me」。今回はいつものヒロイン・菱見さん側からの視点でなく、彼女を弄ぶ男・村松君からの視点でお話は進む。いろいろと仕掛けが施してあり、展開の妙を感じる。一筋縄では終わらさないあたりのヒネっぷりがナイス。細かいところでは図がいいですな、図が。榊原薫奈緒子が新連載。タイトルは「アストロメイド」。絵柄はトロけるような可愛らしさなのに、ギャグはエゲツなくて面白い。エロシーンも案外ムッチリとしてて、やりようによっては実用的であるあたりも良い。そろそろ単行本が出るといいと思う。目黒三吉のショート「テレビちんちん」。電波に乗ってやって来るさまざまな映像データをブラウン管に映し出す装置に、おそらく人間のものと思われる男性用生殖器官が生えてくるというお話。4ページ。
あと、OKAMAがピンナップで登場。サラリと冒涜的。名状しがたいなあ。
【雑誌】コットンコミック 12月号 東京三世社 B5中
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駕籠真太郎「駅前誤差」。今回は面白いぞ。例えばシャツのボタンの数と穴の数が違うなど、世の中の事物の「ズレ」がどんどん拡大していく世界を題材にした物語。物語後半は展開がどんどんエスカレートしていくのだが、説明するときっと面白さ半減である。というわけでここでは説明しない。読むべし。
【雑誌】ヤングマガジンUppers 12/1 No.23 講談社 B5中
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田中ユキ久々登場。タイトルは「フェティッシュ」。家庭教師に来ていたお姉さんに誘惑され、すっかりハマってしまった少年。一時はお姉さんの彼氏を闇討ちしようとするところまで恋慕がエスカレートする。導入部、お姉さんが飲み物を飲むところなど、実にエロチック。ラストもヒネリを利かせてきれいにまとめている。田中ユキの筆は実に巧みだ。やっぱりこういう漫画が一個あると、雑誌全体が引き締まった印象になる。脂っ気の多い漫画はほかに揃っているだけになおさら。桑原真也「0(ラヴ)リー打越くん!!」。巻頭カラーである。打越と見つめ合う真希シノヴがどんどん女の子っぽく、可愛らしくなってきている。やることは相変わらず容赦ないが。板垣恵介「餓狼伝」は、実に展開がスピーディで読みごたえあり。油断のならない展開が続き、緊張感あふれる。もちろん闘いのカタルシスもバッチリ。
【雑誌】週刊少年マガジン 12/1 No.51 講談社 B5平
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赤松健「ラブひな」。とりあえず入浴。裸エプロン。巨乳。モテモテ。三枝義浩「キムンカムイ」は最終回。クマに追われるパニック漫画。36回も続けたというのは少し意外。
【雑誌】週刊少年サンデー 12/1 No.51 小学館 B5平
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藤田和日郎「からくりサーカス」。しろがねナルミ誕生編はミッションコンプリート、ってことで次号から新展開。闘ってもそれが即座に他人からの敬意に結びつくわけではないってあたりの厳しさがいい。久米田康治「かってに改蔵」。今回は、改蔵&羽美の七五三風景。尋常でない羽美の姿が面白い。今号も充実。
【単行本】「Jドリーム完全燃焼編」8巻 塀内夏子 講談社 新書判
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最終巻。サッカーW杯最終予選の最終局面。長らく続いた「Jドリーム」シリーズもこれにて完結。後書きで塀内夏子が、アトランタ五輪で現実の代表がブラジルに勝利したあたりから漫画が完全に後追いになってしまったと述べているように、この完全燃焼編はもの足りないものになってしまったように思える。試合の各場面、予選全体の展開などなど、要所要所で少しずつ「もう少しみっちり粘って描いたら面白いのに」という点が見られた。展開をはしょっているような印象さえ受けた。最初の「Jドリーム」は、まずはプロの厳しさ、そしてアジア予選の厳しさを十分に感じさせ、さらにキャラクターもしっかりと立っていて良かったのだが、「飛翔編」で鷹のトモダチ探し色を強くしすぎたあたりから全体にお話がヌルくなっていったように思える。あとせっかく「Jドリーム」で立っていたキャラクター、レッズにおける鷹の前のエース・本橋、日本代表の黒崎・上條・本郷と、せっかくのおいしいキャラクターを後まで生かさなかったのもちょっと不満。とくに上條はせっかく見つけたスゴイGKだったはずなのに。
とまあけっこう不満はあるが、面白かったかというとやはりそれなりには面白かったと思う。端々でいかにもプロの技と思えるプレーが織り交ぜられていたし、リアルな範囲でスゴいプレーを演出していた。また、ラストのあたりの鷹のプレーはかっこよかったのだ。
【単行本】「MERCY'S FILE」 マーシーラビット 司書房 A5
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以前、大洋図書から出ていた単行本にこれまで未収録だったデビュー2本めの作品「Wild West Walkure」(Walkureのuはウムラウト付)を追加して復刊したもの。タイトルが大洋図書版と同じなのは、わりと親切。「Wild West Walkure」のころはまださほどうまくないので、大洋図書版を持ってる人はとくに買わなくてもよさそう。
マーシーラビットはかなりスッパリ割り切った実用系のエロ漫画を描く人。女の子はニコニコと明朗快活で、乳は大きめ、とっぱんとっぱんと元気にヤリまくる。わりとすぐ快感に呑まれていくタイプが多く、展開はおおむね男に非常に都合が良い。というか実用に手っ取り早い漫画に仕上がっている。各所にHっぽいカットが満載で、サービス満点。この乳のサイズ、形は好きだ。
11/16(火)……ミラクル・シュミラクル
「ミラクル・シュミラクル」については、綺羅光著「女子大生・恥辱の檻」(フランス書院文庫)参照! ところでフランス書院のURLがhttp://www.france.co.jp/であるというのはなんとなくうれしい事実だ。
【雑誌】漫画アクション 11/30 No.48 双葉社 B5中
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作:森高夕次+画:あきやまひでき「おさなづま」。自分が漫画の原作をやるようになって、おさなづまの才能の凄さにきづいただんなさま。もやもやしたものを抱えているとき、妻宛てのファンレターを覗いてみたところ、彼のヨガリポインツにジャストフィットなロリなファンの少女を発見。何やら悪いことを企んでいるだんなさまだが……というところで以下次号。かいともあき「白い少年」。今回は同じ学校のボクシング野郎の減量に白い少年が協力。とにかくハイテンションなリアクションがキテレツで笑ってしまう。やりすぎなところが面白い。毎回少しずつ出てくる、白い少年を見つめるレゲエ黒人もいい味。
巻頭カラーで米沢りかの集中新連載「ミラクル」がスタート。とくになんにも取り柄のないらしい女の子が、親の制止を振り切ってボロっちい一軒屋を借り、なぜか実家からついてきたばあちゃんと二人暮らしスタート。そして始まる、宝石会社勤務の日々。んでもって入っていきなり、コンペ用の指輪のデザインを任せられるが、自分の作った指輪にほれ込んでしまいコンペに出すのをためらってしまう。でコンペ当日、会社の同僚に説得され、車を飛ばし途中同僚が元総長だった暴走族の助けを借りたり敵を倒しつつ会場到着。指輪はなかなかの高評価を得る。そして現れた超大手宝石店の社長で、ダイヤモンド史上主義者なかっこよさげな青年。あらすじをまとめただけでもかなり無理があるのだが、米沢りからしいテンションの高さで一気に読ます。なんか圧倒されるノリである。面白いので、多少のムリは全然OK、というかムリがあるあたりも面白さの一因。波津彬子が読切で初登場。タイトルは「薔薇色のゆううつ」。とあるホテルの一室で薔薇の香とともに目覚めた一人の婦人。だが、彼女はホテルの階段から転落した拍子に記憶を失ってきた。彼女の部屋に毎日薔薇を届けにくる不思議な青年。彼女の正体は何者なのか、また青年は……という感じでミステリアスに、かつロマンチックにお話は進む。物語にはきっちり仕掛けがほどこされてまとまっていて、上品に読ます。雁須磨子「どいつもこいつも」。みんなで金沢旅行編の後編。ますます自衛隊がらみのことは描かれなくなっていて、ゆるゆるな楽しさ。酒井美羽「¥十億少女」は、ヒロインのおさげで眼鏡な女の子・鹿の子がかわいくて良い。
11/15(月)……大幼女はん物語
京極夏彦の新刊、「百器徒然袋 雨」(講談社ノベルズ)を購入。今回は榎木津が主人公の中編3本という構成のようだ。明日あたりから読もう。
【雑誌】週刊少年ジャンプ 11/29 No.51 集英社 B5平
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つの丸「サバイビー」は、巻末でひっそりと最終回。そろそろかと思っていたがやはり。高橋和希「遊戯王」。前号華々しく現れた邪悪っぽい敵。最後は結局殴ってレアカード強奪。最初から殴ればよかったんじゃ……というのはいいっこなしだ。
【雑誌】別冊マーガレット 12月号 集英社 B5平
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中原アヤ「りんご日記」。オンナノコの可愛らしい恋愛といった感じでいいですなあ。ヤキモチ焼いたりするあたりも含めて微笑ましい。中原アヤの絵柄は端整で瑞々しい。それから今月号は、いくえみ綾「バラ色の明日」が登場。前回の続きで、転校してきた不思議ちゃん系少女と、彼女の彼氏が駆け落ちする。小銭しか持たず無計画に。ゆったりした話運びの中に、繊細な心の揺れ折り込み、ちょっとヒネって綺麗に落とす。ああ、やっぱりいくえみ綾はうまいや。なお、ウマイヤ朝は7世紀半ば(661〜750)にシリア総督ムアーウィヤが開いたイスラム系の王朝。
【雑誌】ビジネスジャンプ 12/1 No.24 集英社 B5中
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冬目景「イエスタデイをうたって」では、リクオがハルに対して誠意を見せて仲直り。シナコに対しても点数を稼いでいるので、しばらく三角関係は続きそう。ラブコメですな。最初のころより、ハルが普通の女の子らしくなってきたというのもラブコメ度アップの一因。甲斐谷忍「ワンナウツ」は3試合連続先発の渡久地がついに失点し、さあ面白くなってくるか……というところでしばらく中断。連載再開は来年の4月になるらしい。なんか事情があるのだろうけど、休載期間がちと長すぎ。
例によって、こうの史代「こっこさん」のために購入。今回はこっこさんに小屋を作ってあげるというお話。ちょっとおっちょこちょいのやよいがカワイイ。あと、こっこさんがだんだんなついてきているのも微笑ましい。顔は憎たらしいが。
【雑誌】ビッグコミックスペリオール 12/1 No.23 小学館 B5中
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作:久部緑郎+画:河合単「ラーメン発見伝」が新連載。ラーメンもの。高田靖彦「演歌の達」。問題になっていたゼンジが、ようやく達の前で歌う。男としてのスジの通し方が気持ち良い作品である。テリー山本「平成イヌ物語バウ」は今回で最終回。あと3回連続掲載のシリーズ、間瀬元朗「キョウイチ」も今号でラスト。親子の絆を感じさせる〆はなかなか。
【雑誌】ヤングマガジン 11/29 No.50 講談社 B5中
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月イチ連載、安達哲「バカ姉弟」。今号もやる気なさげなノリだが、慣れるに従ってほのかに面白くなってきた。今回は姉弟の面倒を見る、お母さんの友達が意味なく艶っぽくていい感じ。同じく月イチでは安野モヨコ「花とみつばち」が巻中カラーで登場。中堅クラスの女子がかわいいぞ。次号ではようやく平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」が復活予定だが、4ページだけらしい。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 11/29 No.50 小学館 B5中
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榎本ナリコ「センチメントの季節」。なんだかそれぞれのキャラクターたちが、だんだん救われてきているので、今回のシリーズ最終話も近そう。柳沢きみお「SHOP自分」。今号のこだわりは常温黒ビールと、ワインレッドのギルドのギター。あと今号では、「頑張ル〜ツ!」というコーナーでインタビューを受けていた、プロ野球・元ロッテマリーンズの小宮山が非常に味のある顔つきで写真が出ていたのが印象的だった。本日「国内移籍なら横浜」(海外移籍の可能性がわずかながらあり)という発表もしたことだし。
【アンソロジー】ミルクコミックさくら Vol.7 松文館 A5
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とある法律の影響か「ミルクコミック」なんぞというよく分からぬ名称になっている。昔は「ロリータコミック」だったのだが。
この本は、数少ない大山田満月掲載誌である。だけど、表紙には名前しか書いてないのでイラストだけなのか、漫画描いているのかよく分からない。たいていはイラストだけなので油断していたら、今回は漫画も描いているらしい。そんなわけで急ぎ買ってきたわけだ。大山田満月の漫画のタイトルは「なつやすみ」。うだる暑さの中、日がな一日、父親とエロいことばかりしている二人の幼い姉妹。そしてその輪の中に、近所の男の子も加わってくる。やはり大山田満月は絵がすばらしくうまい。幼女を描かせたら漫画界でも屈指の業の深さだ。肉が適度に余った、ぷくぷくした娘たちを描くのが抜群である。お腹のぽてっとした感じが実にリアル。絵だけでなく、構図取り、お話作り、演出力など、漫画の実力も相当に飛び抜けた人なのだが、寡作なのが玉に瑕。もちろん単行本も出ていない。A・浪漫・我慢もかなり達者な人。今回の「廃屋」は、兄に背負われて毎日のように連れていかれた廃屋で、村の若者たちに延々凌辱され続けた少女のお話。少女が大人になってからそのころを振り返るナレーションと共に進む物語にしんしんとした味わいがある。わりとホンモノっぽいロリ系。月角「BRIDGE」。真性ロリ系では定番。
あと、巻末のイラスト&エッセイコーナーで江戸川春泥が行っている「ドジソニアン宣言」が興味深い。この「ドジソニアン」とは、ルイス・キャロルの本名である「チャールズ・ラトウィッジ・ドッジソン」からとられたもので、「ちっちゃい子をこよなく愛する皆様」への「ロリ」に変わる新しい呼称なんだそうな。ドジソニアンの定義は「(1)『ちびっ子』『お子様』と呼べる範囲であることが大前提。『性の未分化』にこそドキドキする」「(2)ちびっ子の嫌がること、怖がること、不幸になることをしない者」。もちろん、これは江戸川春泥が勝手に提唱しているだけだが、たしかに現在「ロリ」として語られているものを、もう少し細分化してもいいかとは思う。ロリータという言葉でくくられている人でも、少女が好きな人と幼女が好きな人はハッキリ別れるし、性行為を意識するかしないかという点でかなり隔たりがある。江戸川春泥の定義は曖昧だが、(1)を身長、頭身という要素を加えてより厳密なものにするとけっこう面白そうな感じがする。ああ、でも新しいレッテルを増やすというのは、差別等、けっこう面倒なことを呼ぶ可能性もあるか。
11/14(日)……GIジョー物語
ようやくコミティアで買った同人誌が読めたので、その感想をば。といってもこれが意味を持つのはごく少数の人なんだろうけど。兄購入分はまた後日。なお、文中< >で囲んであるのはサークル名。個人名については改めてお断りしておくが敬称略。
あと商業誌単行本も5冊ばかし。
【同人誌】「ILLEGAL STYLE」Version1-2 山本昌幸
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「フェリーの街」「スクール」2冊ワンセット。「フェリーの街」は、恋人にバンドを再び始めさせるべくキーボードをプレゼントしようとして、変態的な医師に身体を売る女性のお話。それから「スクール」はかなりラフなタッチが印象的。美大を目指す男子と女子のラブコメ的お話。親によって勝手に婚約者とさせられた二人だが、顔をつつき合わせて絵の特訓をしているうちにお互い惹かれあっていく。黒っぽく密度の高い画面は相変わらずだが、なんだか見るたびに洗練されてきているように思える。女の子もかわいくなっているし、ヌルいラブを描くのも上達している。自分の作品をキッチリ見つめて、作風を自ら広げようとしているのが伝わってきて頼もしい。とってもいい。
【同人誌】「純情可憐乙女模様」「春にして君を想う」 <GRAIL>
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刊行ペースは早いし、いずれも内容が高いレベルでまとまっている。とくにきづきあきらは発表ペースが早くて大したもんだなあと思う。どっか商業誌でもやっていけるんではなかろうか。
「春にして君を想う」はきづきあきら個人誌。勤務先の本屋で万引きした少年を誘惑し、肉体関係を持ってしまった女性。弄んでいるように思いながら、結局一番傷ついたのは自分。やりきれぬ思いを鮮やかに描き切る。「純情可憐乙女模様」は、女子中学生をテーマとした、藤川毅/きづきあきらの合同本。漫画のページ数はもの足りないけど、両方ともその中できちんとモノを語っている。藤川毅のシャープな描線はすごく好きだ。あと、きづきあきらもこの本の表紙は珍しく、女の子が明朗快活な表情をしており、明るい話を描いてもいけるかも……とちょっと思った。
【同人誌】「サカナのあたま」 <WARHEADS>
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こーわとMDGの二人誌。どちらもなかなか絵がうまい。MDG「ウタヒメサマ」は電車の中でCDを聞いていたら、電車のリズムがちょうど音楽にシンクロしていて、気持ち良くなり歌い出してしまう少女のお話。電車の中でくるくる回りながら歌う少女の姿がかわいらしい。「ウタヒメサマ」は、Webページの「趣味のらくがき」コーナーにも掲示されている。こーわ「アキラメて楽しく」は、親友の朱実に憧れてマネしている内気な女の子・香代のお話。ちょいと仕上げはラフだけれども、細かくて均整のとれた描線がいい感じ。
【同人誌】「Night-Marchenの幻想雑誌5」 村川慶
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ロリ系の絵柄。カラープリンタで印刷された表紙が印象的。収録作品では8Pの「温め屋さん」が良い。衣類がろくに出回らなくなった世の中で、祖父の残してくれたコートを着て体温を保持し、街角で人々の凍えた身体を温めるのを生業としている少女のお話。温めるといっても身体を売るってわけではなく、一定時間相手の背中にぴったりとくっついて、コートでくるんであげるといったお仕事である。まっすぐな目の光を持った少女が可憐。
今はダムの底に沈んでしまった故郷。母を亡くした少女が、その上流の祖母たちの住む村に遊びにくる。その夜起きた、不思議な物語。清涼感のある表現が印象的な本。絵は今でもそれなりだが、さらに伸びそうな雰囲気を持っているので、これからに期待できそう。
大学入学したてのとある女性の周りのものが、実はすべて嘘だった。彼女が入学したのも嘘、親だと信じていた人も嘘、恋人も嘘、そして親友も。一瞬にして、今まで信じていた自分についてのすべての事実関係が、「嘘」という一言で否定されてしまう、たいへんにブラックでシニカルな物語。絵もよくできているし、着想も良い。実にクールだ。
そこかしこの本に描いたお話をまとめた作品集。意外と読んでいないお話も多くてうれしかった。この中ではとくに表題作「この星の空の下」がいい。子供もなく友達もとくにない夫婦が、家や家財道具をすべてうっぱらって二人で放浪の旅に出る。やがて路銀が尽き、夫婦はひっそりと町の片隅で朽ち果てていく。彼らを包む月光の優しい光が、哀しく美しい。山川直人の深みのあるカケアミ表現が、じーんと心に染みる逸品。この作品は未発表作だったそうで、二重にトクした気分。この人のしみじみとした哀感のある絵柄はやっぱり実にいいし、お話作りも素晴らしい。商業的には恵まれない人だけれども、漫画を描いて生きていく人間としての強さ、苦しさをともに感じさせる。スゴイ人だ、と思う。
TAGROと巨匠市川大先生(というペンネーム)の二人誌。やはりTAGRO「R.P.E」がページ数も多めで、読みごたえあり。過去の単行本収録作品と比べるなら「LIVEWELL」系統の雰囲気。編プロ勤務だった男が、イラストレーターとして独立しようとするが、ままならぬ世の中と自分にイラだって女にすがるというお話。抑えめのトーンで、身を切るような読感。ラストはハッピー・エンドで救われる。たぶんバッド・エンドでもけっこうイケたのではないかと思う。やはりあまり制約がなく自由に描ける場所のほうがいいタイプって感じはする。制約がない場面でも自分を律している感じはするし。逆に商業誌だと、商業誌の制約の上にさらに自分の縛りもかけてしまって窮屈になっているような。
「COLORFUL萬福星」に掲載された作品の総集編。CGでありながら土臭さを感じる粟岳高弘の描線は、なかなか惹かれるものあり。この作品、ストーリー的にはかなり分かりにくい。のったりとした画風と話の展開で雰囲気はいいのだが、物語の全貌をつかむのはけっこう厄介。やはりも少しとっつきやすいほうが良かろうかと思う。
【同人誌】「カナシイヨカン」 <DARUMAYA FACTORY> サクラノリタカ
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久しぶりの漫画。といっても実はサクラノリタカの漫画はこれを含めてまだ2作しか読んでいない。この作品は32ページのストーリーものということで、なかなか読みごたえがあった。人妻のさっちゃんと、飲み屋のバイトの青年が恋仲になり、いずれ別れるという予感をはらみつつも一緒の時間を過ごす。鉛筆描きのコピー誌ということで、ラフな印象はあるのだけど、きっちりペン入れされているよりもかえって勢いがあっていいんじゃないかというふうにも思える。そんな感じの青臭さがプラス方向に出ている作風。束の間のものなのかもしれないが、キャラクターたちの幸せそうな表情がイキイキしていてなかなかいい雰囲気を出している。というわけでまたいっぱい作品を描いてほしいものです。
【同人誌】「すこやかな食卓」 大西 |
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【同人誌】「押忍!船長」 <すこやかな船長!> 淵
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この2冊は一緒のサークルで売られていたモノ。最近、この大西一党には注目している。どうもたぶん高校生かなんかと思われる若さなのだが、センスが非常に独特。おどろおどろしい絵で、めちゃくちゃに下らない作品を描く。スペースには、可愛いような不気味なような、奇妙なグッズが展示/販売されていて、なんとも楽しそうだった。このセンスは、今までの作家にはない、若者ならではのもの。少しジェラシーさえ感じてしまうほど。
とくに大西の絵柄はすごい。実に不吉なおどろおどろしさを湛えた画風から、なんともわけの分からないギャグだかなんだかを繰り出してくる。今回の「すこやかな食卓」では、最初に出てくるのが「注目の食材 コカバ」。掌にのっかるくらいのサイズの、ジャングルの石の下などに生息するコカバ。だらしなくもったりむっちりした身体つきと、まったくかわいくない目つき。ぶるぶるとした触感を感じさせる作画。なんでこんな悪夢的物体を考えつくのだろう、この人は。漫画もかなり不可思議で、おどろおどろしい絵なのに、奇妙に力が抜けている。ごく自然にへんてこな世界を生み出してくる、奇想の数々にノックアウトされてしまう。読んでいると脳味噌がトロけそうで気持ちいい。淵「押忍!船長」もなんだかものすごい。黒長靴にマリン棒、黒ぱんつだけ着用の中年男船長が、くだらない活躍をして回る。スペースではグッズが販売されていたが、実に奇妙なシロモノだった。こういうヘンな人が出てくるところを見ると、日本の将来は俺がどうこういう問題でもないな、といった感じ。大西先生にはぜひネムキあたりで一本書いてもらいたいところ。
なかなかに線が美しい。冬目景的なシャープなペンタッチ。画面に清涼感と凜とした緊張感がある。このお話は、とある男の家の隣りに画家とその娘が越してくるところから始まる。娘は「梢子」という名前であるという触れ込みだったが、話してみるとそれはその娘の母の名だった。彼女は死んだ母の代わりに梢子となって、父の精神が崩壊することを食い止めていた。絵はうまいし、間の取り方、空間の使い方もなかなか。
【同人誌】「CHRISTMAS GREETINGS」 <KENNEDY U.S.M.> 小野夏芽
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とある家庭のクリスマスの一風景。やはりこの人の、欧風なタッチの絵柄は完成度の高い。シンプルなのに、実に雰囲気がある。オシャレでかつ暖かい。そしてお話もまた良い。短いページに家族のドラマを盛り込みながら、最後は実に温かくしめくくる。今すぐにでも商業誌でやっていけるだけの実力はあると思う。本人はそういう欲はなさそうだが。
余談だが、コミックエデン(兎菊書房)でこの人の「MATE」という同人誌について原稿を書かせていただいたので、ぜひそちらも参照していただけると幸い。というより「MATE」シリーズを読んでいただけると一番うれしい。実になんとも素晴らしい作品なのだ。
【同人誌】「ヒロリンといっしょ 第2号」 <ぼそけち商会> ぼそけち2号
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昔のアニメ的な、収まりのいいタッチの絵柄がたいへん良い。藤子アニメっぽいのだ。声優を目指すアニメファンの女の子ヒロリンと、東京に引っ越してきたばかりの内気な少年光太郎、そのほかもろもろが演劇部に入部し、何かを始めるとかそんな感じ。まだ導入部なんだけど、和む絵のタッチに惹かれてやまぬ一作。早く続きが読みたい。
【同人誌】「太陽特使ガガ」 <エレキ天国> 佐藤直大
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簡潔ながら雰囲気のある絵にそそられて購入。異常気象のときに太陽の神様に直接話をつけにいく「太陽特使」という役目に指名された女の子・ガガと、彼女のボーイフレンドであるアコヤの物語。といっても太陽に行く過程が描かれるわけでなく、少年と少女の何気ない触れ合いの物語だったりする。女の子の黒目、ふとした表情に惹かれるのでゲス。トーン不使用な画面の質感もわりと好き。
南研一/コーノコーイチ/しまもとかずひこ(プロ漫画家の島本和彦ではない)/高一裕(らんげつこういちろう)/中森一郎の5人サークル、expoがコミティア50回記念ということで突如復活。PARKING!の前身的なサークルわけなのだが、いかにも男所帯学漫的な気のおけない楽しみ方が見ていて楽しく大好きだったサークルだ。ムサ苦しさと適度なスカシが同居していて、読んでいてとても居心地が良い。コミティアを最も楽しみ、遊び倒していたサークルの一つといっていいかもしれない。expo時代からのファンだった人間にとっては、なんだか故郷に帰ってきたような懐かしさのある本だ。
しまもとかずひこ「父のカメラ」。娘の成長をずっと記録し続けた、父とそのカメラについての思い出を嫁入りした娘が語るというお話。しまもとかずひこの絵は、ホームページを見ても分かるとおり、たいへんにファンシーで心優しい。お話も絵のイメージそのまま。ちょっと泣けてくるいいお話だった。南研一「南くんの恋人」。恋人ナナコに去られてしまったが未練が捨てきれず、周りの人にナナコの噂を聞いて歩く男の独白に乗って物語は進む。しんしんと静かな筆致で、訥々と語られるお話は、ページを繰るごとに深みをもって迫ってくる。南研一は、コトバの使い方がセンシティブで(ときに大ざっぱではあるけれども)心に染みる。コーノコーイチ「Parking'99」。得意のダジャレネタ。いやなんかexpoにはやはりコレがないと。この人のダジャレセンスには、感心すること多し。中森一郎「コミケスター」。これもexpoの醍醐味の一つ。暑苦しい絵柄で、自己陶酔的な破壊的ギャグを次々と繰り出してくる身体の張りっぷりにはひれ伏すほかない。一緒にいただいた「コミケ日記のようなもの」(コピー4ページの小冊子)もエナジーが強烈で素晴らしい。らんげつこういちろう「ダイス」。短いけれども、この人のまとまりのいい絵柄はけっこう好き。
【同人誌】「としごろとしこ」 <みりめとる> 小田智
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モーニング新マグナム増刊で「話田家」を描いていた小田扉=小田智の本。もうすぐ16歳になる、おとしごろなとしこちゃんの、トキめいたり悶々としたりする生活。飄々としてはいるけれども、冷めてはいない。サッパリしてはいるけれども、もっさりとした暖かさもある。あるかないかスレスレラインの微妙な表情の描写など、実に心地良い風情がある。としこちゃんが転ぶところの構図なんかはかなりダイナミックなのに、押しつけがましくない。引いた視点なのに斜に構えてはいない、微妙な距離感・角度がとってもステキ。
【単行本】「BABYいびつ」 山口綾子 河出書房新社 A5
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コミックエデン初出の表題作が単行本全体の半分くらいを占め、あとは短編2本を収録。表題作の「BABYいびつ」は、奇妙な学園で生まれた子供をめぐる少女たちの不可解な行動を描く。子供は掌よりも小さく、先生によりビニール袋に包まれてゴミ箱に捨てられていたかと思えば、いきなり膨張したり縮んだり。その生みの親であるはずの少女は、主人公を奇妙な場所へと導き、突如なじり始める。病的な、というよりも死体的な目つきをしたキャラクターたちによって描かれる、悪夢というほどではないけれども息苦しい夢にうなされ、ぐらぐらと揺さぶられるような感覚。物語は不吉さをはらみ不安定にゆらいでいるが、描写自体は確信的でもある。タイトルといい絵柄といい、非常に狙った感じが鼻につく部分がないでもないけれど、眩暈のするような読み口はやはり注目すべきレベルにある。
【単行本】「月影の御母」 近藤ようこ 朝日ソノラマ A5
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日本の、むかしむかしの物語。旅の途中で母と別れ別れになり記憶を失った少年が、母をたずねてさまよい歩く。途中、母であると偽る者どもに幾度も出会うが、そのたびにすんでのところで難を逃れる。少年をだまそうとする偽の母たちは、正体はおおむね妖怪なのだが、いずれも子というものに執着する悪くて哀しい母でもある。脂っけのない作風で淡々と進む物語に、しみじみとした慕情があって心地よい。包容力のある漫画という感じ。
【単行本】「祝・学校法人スタア學園」17巻 すぎむらしんいち B6
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もう17巻にもなってしまったのだが、相変わらずコキジたちは抗い難き流れのままにあらぬ方向へあらぬ方向へと進んでいく。朝練部としてコキジ、仲本、太田川は命懸けの演技で人気を博すが、なんだかいつの間にやら解散し、仲本、太田川でブリーフブラザーズが復活。これだけ長くやっていながら、予定調和に陥らず、得も言われぬ笑いを呼び起こす。すぎむらしんいちはやはりカッコイイのだ。
【単行本】「ブラブラバンバン」1巻 柏木ハルコ 小学館 B6
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とある高校のブラスバンド部の物語。音楽に引き込まれやすい体質で、楽器を演奏していると我を忘れてノリまくりときにとんでもない行動をしでかしてしまう、美人で頭がいいけど変人な芹生さんが主役を張る。先が読めない、芹生さんのへんてこな行動がなんとも面白く、興味をそそる。柏木ハルコの絵はクセがあるんだけど、実に個性的でやはり読ませる。
【単行本】「哀錠物語」 北原武志 オークラ出版 A5
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エロ漫画家の中でも、北原武志はかなり特殊な部類に入る。永山薫が解説しているとおり、北原武志の表現は臭う。といっても普通のエロ漫画家のような、スカトロ臭、乳臭、愛液臭、精液臭ではない。かわいた唾のような、遠くから臭い立つわけではないけれども、近くで嗅ぐとたいへんに不快なタイプの臭さだ。
この単行本はけっこう変わった作りになっていて、単行本内で観念絵夢、相田順史、ウェス・ペンスコーター、永山薫の作品批評が行われる。中でも相田順史、ウェス・ペンスコーターの評はクソミソだ。作品集内でその作品がこれだけけなされている例は、ほかにあまり知らない。実際、とくに相田順史の批判は当っている。北原武志の作品はちっともエロチックじゃないし、ハードエロをやる必然性もない。絵もヘタな部類に入ると思う。物語は実に予定調和的で、ラストシーンはときにとってつけたように強引に弱者の勝利へと持っていってしまう。御都合主義的でもある。それでも、北原武志の作品には無視できない魅力がある。
北原武志の描くお話のパターンはだいたい決まっている。マジメな女の子が、えんえんと理不尽な性的なイジメを受けそれが極限に達したあたりで救出され、悪い奴は懲らしめられマジメな子たちは幸せになる。実に決まりきったパターンで、非常に予定調和的だ。だけど、北原武志の描くイジメは非常に身体感覚的にクる。見ていて本当に気が滅入るのだ。実のところ、北原武志の代表作というべき、フラミンゴ掲載の「FRIENDS」は単行本には未収録である。既刊単行本収録分は、読切が多くてこのイジメの部分が短い。それゆえ、ここまで述べた弱点ばかりが目立ってしまう。圧倒的に業の深いイジメ描写が、大したボリュームを持ち得ていないのだ。北原武志の作品は、どうせ結論は決まっているので、途中のイジメの部分が多ければ多いほど力を持つ。
「FRIENDS」は親友同士だった女の子二人が、意地悪な同級生によって陰惨なイジメを受けるさまを、何話にもわたってつぶさに描き続けた作品である。この作品の中でいちばん印象的だったのは、この二人の女の子が、イジメっ子たちによってお互いのお弁当にたっぷり唾液を吐きかけるよう強制され、それを食わされるシーン。これほどにイヤな臭さを漫画から味わったのは、俺にとってはおそらくこれが初めてだ。まだある。この女の子二人は、夜のうちにオナニーして軟膏の瓶に愛液をいっぱいためてくるようイジメっ子にいいつけられ、それを交換してお互いの鼻の下に塗らされるなど、ウエーって感じの描写がこれでもかこれでもかと続く。SMとはいえ、北原武志作品のイジメられる側の女の子たちは、最後まで素朴な顔つきであり、どう見ても行為をイヤがっているようにしか見えない。いちおう物語上は快感を得ているような位置づけであっても、全然気持ちよさそうでない。絵がうまくないせいもあろうが、ただただイヤなことを強要されつづける描写はかなりウッとくる。既刊では「情熱の奴隷」と「哀錠物語」が出ているが、できれば真っ先に「FRIENDS」を収録した単行本を出して欲しかった。そうすれば世間の評価もかなり変わるだろう。悪い方向に、かもしれないが。
ともあれ「哀錠物語」収録作品は、全般にイジメや結末がヌルくてもの足りないところあり。実は北原武志は、ひどいことを描きつつも、鬼になりきれない優しくてマジメな精神性の持ち主なのではないかと愚考するしだい。
11/13(土)……キンダンドンス
ホットミルク(ジャンキーズ)原稿いちおう今回の担当分は全部書き上げる。
ジャンキーズ仕事は、ライター仕事の中ではかなり好きなものの一つ。名前が売れる、お金がもらえるというのももちろんないわけじゃないが、それ以上に「自分で金を出して買うことはまずないだろう」と思える漫画をいろいろ読めるのがなんといっても大きい。もちろん十何冊も新たに読んで書くわけだから手間はかかるし、箸にも棒にもかからないような作品について原稿書くのはツライんだけど、それでも未知のモノに出会えるというのはいい。思わぬ発見もあるし。時間さえ許せばもっとたくさん書きたいところだけど……。それよりももっとたくさん書いてくれといわれるような、いい文章書けるようにならなければ。
コミックビームの収録作品リストを作っていたら、安井誠太郎が「安井誠太朗」に改名していたことに気づく。昨日の日記も修正。
【雑誌】コミックバーズ 12月号 ソニー・マガジンズ B5平
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コーナーまで作っておきながら、実はあんまり評価していない雑誌。なんかいまいち煮えきらぬものを感じ続けてはや幾年。
秋原龍彦が今回から夢野龍之介と改名。読切「蘭々博士研究所」。中華な地方の奥地に住まう、百歳で三つ目で外見は少女なマッドサイエンティスト、蘭々博士を巡る物語。ガチャガチャとした機械の造形やら、蘭々博士のキャラクターがなかなか魅力的。なんとなく新谷明弘の絵を少し垢抜けさせたような雰囲気。冬目景「羊のうた」はいつもの通り達者。今回はラストで一砂に異変が起きるが果たして。雨宮智子「Lady Noel」。クリスマスを一人寂しく過ごすことになりそうな男のところに突然やってきた家政婦の女性。実は彼女は……。欧風なテイストの絵柄と、美しくまとまった物語でなかなか良かった。
【単行本】「純愛 ロマンス」 田中ユタカ 雄出版 B6
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自選傑作集ってことで、3分の2くらいは他の単行本からの再録。でもまあ「永遠の初体験作家」といわれるごとく、今回の単行本も実に甘ったるく爽やかにメロメロなお話を展開してくれていて、楽しめるのは確か。それにしてもこの人の作品って、あんまり二度読みすることがないせいか、既読のものでもそれなりに読めてしまう気がする。この、現実には恐らくいないであろう都合がよくてステキな美少女たちに、悔しいけれども毎度トキメいてしまう。ああ、くそう。カワイイじゃねえか。俺も恋してえ〜。ゴロゴロ。
【単行本】「人妻奴隷志願」 三条友美 シュベール出版 文庫
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さすが大御所。貫禄さえ感じさせる充実の変態ぶり。劇画劇画した絵柄は今風ではないが、内容の濃厚さはスペシャル級。人妻が自宅でヤクザ二人に調教され、その夫は事故で入院し看護婦に糞便しか食えない奴隷に改造される。ヤクザの人妻調教は、ビール瓶を尻に突き刺しアルコールを直接摂取させてメロメロにしての凌辱や、陰部での煙草吸い、バナナ切りなど多岐にわたる。そしてこの夫婦はつがいで、肉奴隷のセリ市に出され、そこで感動(?)の再会を遂げるという素晴らしさ。ラスト、二人で同じエサだらいから汚物を食しながら「愛してる」と囁き合う二人の姿には、思わず拍手さえしたくなる。ところどころに陰部やらスカトロシーンやピアッシングの写真が挿入されたりするのも生々しい。やけに黒々とした背景やら、ヤクザのパンチパーマの気合い入りっぷりなど、邪悪なことこの上なし。この夫婦がなぜこんな目に遭うのかまったく説明がないあたりも、実にクールで堂々としたもの。いやはや参りました。
【単行本】「ヴァージンアイドル」 くぬぎ俊一 竹書房 A5
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エロ漫画ファン的には、快楽天創刊のころに掲載されていた「ちむちむチェリー」が収録されているあたりが収穫。ただ、全般的にお話はライトで、エロをやっているお話もお仕事的なものに留まっている。安心して読めるけれども、意外性はない。
【単行本】「禁断の扉」 深田拓士 笠倉出版社 A5
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深田拓士ほど泥臭く、ステロタイプなエロをやる人は美少女漫画界でも稀だが、それは本人も意識しているようで、後書きには「ベタすぎて他の作家さんがやってくれない」ところを狙っているとある。暗がりで女性がねっとりとした責めを受けて、そのうちセックスの虜になっていくさまはストレートにいやらしい。できればも少し線が柔らかくなって、トロトロに熟れた感じになると俺としてはよりヨガリポインツに近いのだが。
【単行本】「ラブダメージ」 紫川弓夜 東京三世社 A5
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女性作家らしく「人を好きになる瞬間のトキメキ」が細やかに表現されていてまとまっている。出てくる女の子たちも肉感的で、実用度もそこそこ。女の子たちがふとした拍子に見せる表情の描き方なんかも、ドキッとするものがあっていいなあ。なかなかうまいし、いい仕事してると思う。嶋尾和のおともだち漫画も悪ノリしてて楽しい。
【単行本】「家畜の性書」 ブランシェア 東京三世社 A5
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それなりにかわいらしくて乳の大きい女の子たち。まあまあ実用的。でも、絵にしろ話にしろ凡庸。けなすほどでもなし誉めるほどでもなし。
【単行本】「女肉の放課後」 渡辺泉水 東京三世社 A5
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絵は稚拙なんだけれど、「女の子に俺のエキスをぶっけかてえっ」という妄念がそのまま原稿にぶつけられているようなパワーを感じる。便所の落書き的というか(そこまで汚くはないけど)。うまくないところがかえって業の深さを感じさせ、味になっている。強引で舌足らずな展開、クセのあるセリフもまた味。
11/12(金)……ひょんなときも
週刊ベースボールを購入。今号はプロ野球・ドラフト候補選手の特集で、主だった選手の一覧が写真付きで掲載されている。ドラフトは、プロ野球のイベントの中では一番好きなものの一つ。正直いってオールスターも日本シリーズもそんなに興味はないが、ドラフトは大好きだ。あと色々な選手のフォーム(とくにピッチャー)を見るのも好きなので、今号みたいに写真付きというのはありがたい。
で、この号だが、漫画関係の話題もある。コミックビンゴに連載されていた作:桧垣公平+画:やまだ浩一「隠し玉ガンさん」が場所を変えて復活しているのだ。あっと驚く隠れた逸材を掘り起こしてくることで有名な、伝説的な老スカウト・岩間(通称ガンさん)が主役の野球ドラマである。今まで4コマ漫画はあっても、こういうストーリー漫画が掲載されることはなかった週刊ベースボールだけに、これは意外な展開。だけど当たり前だがハマってはいる。
ホットミルク用漫画評原稿7冊分書く。あと6冊。
【雑誌】コミックビーム 12月号 アスペクト B5平
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前号の感想で、バタバタと連載が終わっていくことについて「改変期なのかなあ」みたいなことを書いたが、定期購読の封筒に同封されていた奥村編集長のメッセージによるとどうも偶然だったらしい。なるほどー。
志村貴子「敷居の住人」が表紙&巻頭カラー。小生意気なガキどもがうだうだと生活しているだけなのに、なんでこんなに面白いですかのう。3巻が11月25日発売。モリモリ面白いぜ。有川祐「彼女とデート」。「反町くん〜」よりもさらに描写がシビア。描写が硬質で一見トガっていそうなんだけど、ときに飄々とスッとぼけたりする間合いが実になんとも気持ちがよい。ノー予告読切、桃吐マキル+福実未ノアル「蟲酸」。直径1メートルはありそうなフンを転がしつつ、不吉な液体をまき散らしながら登校する蟲の転校生。セーラー服を着て言葉も喋るがやはり蟲。たいへんイヤなヒロインで何やら恐ろしい。さすがこのコンビ。第1回と書いてあるあたりも何やら不穏。桜玉吉「幽玄漫玉日記」。例の3人大げんか。ヤケクソなエネルギーが爆発していて無闇にパワフル。いやあもうタイヘンだ! ユウジロー「ユウジローのブライダルキック」は今回で最終回。あんまりウチのページでは取り上げることはなかったけれども、時折キラリと光るギャグはあって、それなりに楽しんではいたのだ。なんとなく、なくなると寂しいような気も。
それから今号の注目として、安井誠太朗「ミズトカゲのいる沼」がある。ますます線が神経質そうになっているが、この不思議な雰囲気はなんとも魅力的。また描いてほしいけれども、それがいつになることやら。でも好きだから待ちます。ええきっと。ヒロモト森一もゲストで登場。タイトルは「禁漁区」。ヒロモト森一の、荒々しくてデフォルメの利きまくった絵はやっぱりカッコイイ。このまま定着してくんないかなあ。いましろたかし「釣れんボーイ」。今度はヒマシロ先生はイイダコ釣りに挑戦。ショールームで車の運転席に座り、あちこち釣行するのを夢想している(だけ)あたりがどうにもダメ人間っぽくてスバらしい。ああ、もうこの人はなんてダメなんだ。たまらん。
【雑誌】ヤングジャンプ 11/25 No.50 集英社 B5中
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山口譲司「BOiNG」。教育テレビのおねーさんがぼいん。いいですな。
【雑誌】別冊ヤングジャンプ 12/15増刊 集英社 B5平
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ブ厚い。622ページ。でもテイスト的にはヤングジャンプ本誌と同じ。本誌ともどもあんまり面白くないってのはツライところ。武富智とか描いているとだいぶ印象が違うんだけど。622ページのうち、ほぼ4分の1、129ページを使っているのが小手川ゆあ「おっとり捜査」。ページ数が多いだけあって、さすがに読みごたえあり。うーん、あとは山中義彦「BIRD」が絵的にカケアミ系で気になるかなといったところ。
【雑誌】ヤングアニマル 11/26 No.22 白泉社 B5中
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巻頭カラーで作:真刈信二+画:山本貴嗣「夢の掟」がスタート。運転手兼スゴ腕のボディガードが主人公なアクションものといった趣。原作も作画も力のある人なんで期待できそう。二宮ひかる「ハネムーンサラダ」。男は例の背広を直してくれた女性と、ひょんなことから関係を結ぶことに……といった感じ。「ひょんなこと」で女と関係できちゃうヤツはいいなあ。今の俺に欠けているのは、たぶんひょんなことだ。三浦建太郎「ベルセルク」。おおうおおう。拷問編突入な予感。くー燃える。あさりよしとお「なつのロケット」最終回。後味爽やかにスパッと終了。少年的科学ゴコロを刺激するいいお話でありました。こいずみまり「コイズミ学習ブック」はロフトプラスワンでのイベントレポート。楽しそうですな。行けなかった人はコレ読んでおこぼれにあずかるといい!(……というと偉そうだが俺も行ってない)
【雑誌】週刊少年チャンピオン 11/25 No.51 秋田書店 B5平
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浜岡賢次「浦安鉄筋家族」は、いきなり開いたとたんビックリ。今回は全編巻き戻し再生漫画なのだ。疑問まで「ドタドタ」が「タドタド」。セリフも「来た来た」が「た来た来」とくる。凝ったことやっているわりに描かれている内容が馬鹿っぽいのも趣深い。水島新司「ドカベンプロ野球編」。本塁でのクロスプレーで岩鬼にバックドロップをかました影丸が、自分で頭を打ってノックアウト。しかも、岩鬼はセーフ。そして退場でピッチャー交代。ひょっとしてこやつ……馬鹿?
【単行本】「ケキャール社顛末記」 逆柱いみり 青林堂 A5
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久しぶりの逆柱いみり。「夢之香港旅行」に収録された分にさらに加筆が施されている模様。限られたスペースに、がちゃがちゃとしたものをサラリと詰め込み、一幅の絵として完成させる逆柱いみりの絵のパワーはスバらしい。媚びるでなく気取るでなく、実にさりげなく。ぐるぐると回る世界に呑み込まれ、読んでいるだけでトリップできそう。読んでいて、実に気持ちがいいんである。まったくたまらんよ、これは。
11/11(木)……殺し屋111111
起きたら夜の7時半。昨日の日記で有給をとると書いたとおり休んだのだが、やっぱりずいぶん疲れていた模様。最近、固い床で寝ることが多かったせいか、なんだか腰が痛い。
ホットミルク用の漫画評原稿7冊分をアップ。あと13冊。
【雑誌】エースネクスト 12月号 角川書店 B5平
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介錯「鋼鉄天使くるみ」。ウルトラジャンプの奴といい、脳味噌の腐ったようなオタクライクな展開がスゴイなあと思う。これだけ割り切ると立派。安倍吉俊「NIEA_7」。相変わらず達者な絵。今回は新キャラ、しっかり者の風呂屋のお姉さんがなかなか魅力的。岩原裕二「クーデルカ」。クーデルカの内的世界と外的世界が交互に展開して交錯する。ポーズや表情、それからアングルの取り方がダイナミック。ゲームのほうは12月発売らしいけどたぶん買わない。12月1日発売予定の単行本は買う。
次号から石田敦子「からくり変化あかりミックス!」が連載再開予定。
【雑誌】モーニング 11/25 No.50 講談社 B5中
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山下和美「天才柳沢教授の生活」は5話連続の第3話。モンゴルで自分と生き写しな遊牧民と出会った柳沢教授。教授は、そしてその周りの人々はモンゴルの草原に何を見るのか。残り2回も楽しみだ。太田垣康男「一生!」。一生がたくましく育って復活。ちばてつや賞入選の会田ユウジ「モールス・コード」は、恋人が目の前で事故死したのをきっかけに、他人の危機を予知できるようになった男の物語。これ以上人が死ぬのに耐えられぬ彼は、人死にを防止するために奮闘する。一瞬わたべ淳みたいなタッチだなーとか思ったが、カクカクとした描線はちょっと違った雰囲気。人が生きるか死ぬかのギリギリのアクションシーンをテンポよく展開し、一気に読ませる構成はなかなかのもの。面白かった。連載を持ってもすぐやってけそうなタイプ。
【雑誌】ヤングサンデー 11/25 No.50 小学館 B5中
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竹下堅次朗「カケル」。祈&唱姉妹シリーズ完結。なんかわりとあっさり。山本英夫「殺し屋イチ」。金子が腰砕けで消えたと思ったら、真打ち・垣原先生大登場。かっこいい〜。そしてこえ〜。ページの使い方、演出が実に効果的。阿部潤「the山田家」は今回で最終回。山田一家のラヴパワーあふれる、爽やかないいラストだったと思う。阿部潤の新連載は新年6号からスタート予定。お楽しみに!!っていうかお楽しみだ!!
【単行本】「エイリアン9」3巻 富沢ひとし 秋田書店 B6
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最終巻。たいへんだった一年間を通じて、女の子たち3人は、異生物をも関係の中に取り込んだ上での強い絆を作る。かわいい絵柄でありながら、登場人物たちを容赦のない展開に追い込み、試す。次の展開をまったく予想させず、次々と意外な方向へといい意味で裏切っていく作風は、読んでいる間中ずっとスリリングだった。ロリい絵柄からは想像がつかないほどにハードなSF物語。連載で最終回を読んだときは、「あれ、これで終わり?」って感じだったが、単行本で読むとそれなりにまとまっている印象。ただ、この作品の場合は、まとめ読みするよりもやはりリアルタイムで、「次はどうなっちゃうんだろう」とワクワクしながら読むのがいいように思う。たいへんおもしろうございました。
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