◆ 2000年7月下旬 ◆

7/21〜31
【トップページ】  【過去日記トップ】

ご意見・ご感想はメール 掲示板でどうぞ

7/31(月)……ゴッドファンキー

 終電一本前の混んだ電車で帰ってきて、すぐビールを……呑まないで缶ごと冷凍庫にぶっこみ待つこと1時間。熱い風呂にじっくり浸かって汗をダラダラかいて、ズガンと一発。うますぎる……。犯罪的だ……。というか。ぎょへー、気持ち良すぎ〜。脳味噌しびれる〜。もう一本いきたい気持ちと、今真剣に格闘中。

 オツアン7月「2000年上半期 面白かった漫画」終了いたしました。おかげさまで総投票数は981で、今までで最多。投票結果はこっちのほうでご参照のこと。順位に関しては、思わぬものが上位に来ていたりして、なんかウチのホームページらしいなあとかいろいろ。おそらく重要なのは、順位よりもむしろ、どんな人がどんなコメントをつけてどんな作品に投票しているかってことなのでありましょう。ここで名前が挙がったことによって興味をもって読んでみて、面白い作品を発見できたという人がいてくれればそれだけでもやった価値はありってもんです。

 さて、7月のアンケートは投票形態の実験という意味合いもあった。総括ベスト投票系のアンケートで、票数制限をしないなど、制限を非常にゆるくするとどうなるかということを知りたかったのだが、まあ「こうすればこうなる」と明言はできないものの、ある程度の傾向は見えはした。来年頭には、「2000年ベスト」って感じのアンケートもたぶんやるんじゃないかと思うんだけど、作品単位でやる場合は、ちょっと時間を置いてからやったほうがよさそうだ。そうでないと単行本が出たばかりで印象の強い作品が有利になりがちなので。「これこれの期間でこういうアンケートをします」と予告しておいたうえで、多少の猶予期間をおいてから投票募集をスタートするのが良いかと思う。

 さて、8月のテーマは「泣ける漫画」にしてみた。実はほかに考えていたネタはあったのだけどあえてこっちに。当初考えていたのがちと投票しにくいかもしれないネタだったので、アクセス数が減りがちな夏休みシーズンである8月は避けようかなとか思ったしだい。それはともかく、さてウチのホームページに来てくださるような方々は、どんな漫画で泣いてきたのでありましょうか。

 8月の購入予定。雑誌も含めた詳しい奴は購入スケジュールCGIのほうを参照のこと。

タイトル作者名出版社
「DOLL」1巻三原ミツカズ祥伝社
「地獄変(新装版)」日野日出志青林堂
3「おまかせ!ピース電器店」19巻能田達規秋田書店
4「闘破蛇列伝DEI48」5巻前川かずお/島久講談社
4「超・学校法人スタア學園」20巻すぎむらしんいち講談社
4ヤングアニマル増刊GAGファイア白泉社
5「コックリさんが通る」3巻奥瀬サキ小学館
5「ブラブラバンバン」4巻柏木ハルコ小学館
5「度胸星」2巻山田芳裕小学館
7「ピアノの森」5巻一色まこと講談社
7「CQ〜シーキュー〜」朔田浩美ソニー・マガジンズ
7「西遊記」5巻藤原カムイNHK出版
8「軍鶏」9巻橋本以蔵/たなか亜希夫双葉社
8「トトの世界」4巻さそうあきら双葉社
9「からくりサーカス」14巻藤田和日郎小学館
9「霊能探偵ミコ」8巻井荻寿一ワニマガジン社
9「first album」みうらたけひろワニマガジン社
10「無頼伝 涯」2巻福本伸行講談社
10ヤングマガジンKANSAI講談社
10アフタヌーンシーズン増刊Summer講談社
11ビッグコミックオリジナル 9月増刊号小学館
「彼氏彼女(仮)」りえちゃん14歳二見書房
17「凌辱回廊」奴隷ジャッキーエンジェル出版
17モーニング新マグナム増刊 No.16講談社
18「天然コケッコー」13巻くらもちふさこ集英社
18「ディアマイン」1巻高尾滋白泉社
19快楽天星組 Vol.13ワニマガジン
23「おせん」1巻きくち正太講談社
23「スマグラー」真鍋昌平講談社
23「ぽちょむきん」1巻北道正幸講談社
25「敷居の住人(4)」志村貴子エンターブレイン
25「扉をコジあけて」ZERRY藤尾笠倉出版社
25天使の法則あうら聖児富士美出版
25エクストラビージャン集英社
28「いけない兄妹関係」2巻春籠漸ヒット出版社
28「おさなづま」5巻森高夕次/あきやまひでき双葉社
28別冊ヤングサンデー No.5小学館
29「戦え!軍人くん」吉田戦車ソニー・マガジンズ
29「いじめてくん」吉田戦車ソニー・マガジンズ
29「バーズEX Bstreet」2巻アンソロジーソニー・マガジンズ
29「愛人−AI・REN−」2巻田中ユタカ白泉社
29「マウス」2巻あかほりさとる/板場広志白泉社
30「月下の棋士」29巻能條純一小学館
30「奈緒子」27巻坂田信弘/中原裕小学館
30「昴」2巻曽田正人小学館
「Wsamarus 2001」古屋兎丸イースト・プレス
「地獄組の女」4巻SABE久保書店

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/14 No.35 集英社 B5平
 鳥山明「SAND LAND」。スーパーサイヤ人〜という感じ。いちおうお話的には小さな一区切りがついた感じだが、次どういった展開にしてくるのかな? そろそろ女性キャラが出てきても良さそうなころだが。

【雑誌】ヤングマガジン 8/14 No.35 講談社 B5中
 福本伸行「賭博破戒録カイジ」。ついに地下チンチロがスタート。カイジは一見、慎重な出だしのようだがさてどうなる。ところで地下チンチロって、「ちかちんちろ」って書くとなんだか幼児語みたいですな。ロクニシコージ「すべてに射矢ガール」。だんだんと矢ガールのあすみちゃんに女の子らしさが出てきて、具合が良くなってきた。次号あたりからラブコメ度が増したりするのだろうか。ちょっと楽しみ。蓮古田二郎「しあわせ団地」。4週連続掲載のラスト。次回登場は「冬とか」になるらしい。名残り惜しい。今回も情けない生活の底に、やっぱり愛を感じさせる。そこらへんが後味の爽やかさの源。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/14 No.35 小学館 B5中
 柳沢きみお「SHOP自分」で注目の展開が。今までさんざっぱら好き放題いってきた怪しいおじさん、大家さんの正体が……。ちなみに今回も、歩きタバコな女の子を終戦直後の子供に例えたりと、しれっといいたい放題。そして昼の生ビールを呑むわけだ。江川達也「東京大学物語」も大きなヤマだが、すんなり行くんだろうか?

【単行本】「橋無醫院」1巻 林光黙 エンターブレイン
 韓国人作家によるバイオレンスアクション。開きが日本のセリフ縦書きの漫画とは逆なので、多少読みづらさはある。で、この作品で良いところは、絵のクオリティがやたらと高く、アクションも派手で気合いが入っているところ。切れ味の鋭い鋭利な描線がスゴイ。漫画としては、開きが逆のせいもあるかもしれないけど、テンポがあんまり良くなくて物語がスムースに頭に入ってこない感じがする。スゴイとは思うのだけど、どこか上滑りしているような。なんとなく頓狂に感じてしまう。とはいえ、つまらないかといえばそうでもない。何か「とても面白くなりそう」な雰囲気は感じるので、話が頭に入ってこないなりにもつい読んでしまう。暗いものを内に秘めているようなキャラクターたちも非常にかっよくて魅力的だし。とりあえず眺めているだけでもそれなりに満足はできる。あと、国外を当たってでも新しいものを発掘してこようという編集姿勢のイキの良さも感じる。


7/30(日)……彼奴の世界

 自分の好きな作品を他人がけなしているとか、自分の嫌いな作品を他人が誉めているとか、自分の好きな作品を誰も取り上げないとか、自分が嫌いでしょうがない作品を誰もけなさないとか。そういうことは、どれもすべて当たり前のことでありムカついてもしょうがないので、ムカついてるヒマがあったらなんかそれよりも有益なことをしたほうがいいように思う。鼻毛抜きとか。

【雑誌】フラミンゴ漫画大賞作品集 三和出版 A5平
 とある方が古本屋で入手したのを譲っていただいた。ありがとうございます。
 この巻は、第2回フラミンゴ漫画大賞の作品を集めたもので、増刊として発行されたのはこれが最初。発行は1996年4月10日。入選作として「バージェスの乙女たち 〜ワイワクシアの章〜」に収録されている「幸福な人形」が掲載されている。この中では、はんくりほかと「フェティッシュ・ガール」がすごい。絵は技術的にはうまくないかもしれないけど、濃厚で妄執のむりむり漂ってきてとても効果的。ある意味とてもうまい。作品の内容も、うんこまみれになることで欲情する女性が、ユーモラス、かつものすごい迫力で描かれていて圧倒される。ゆでたまご5個を肛門につめこみ、2週間脱糞を我慢して、一気に放出されるものにまみれてエクスタシーを感じるという怒濤の展開。スカトロプレイなのに、一人でそれをやっているってのがスゴイなあ。たいていのスカトロは相手がいるものなのだが。泣きうさぎ「飽食」も、糞便食高級レストランという発想がなかなか面白い。ただ、前置きが長すぎなので、も少しダイレクトにレストランシーンをみっちり描いてほしかった。それにしてもやはりこの漫画賞は、フラミンゴ本誌でも載らないような特殊な新人の作品が載っていて刺激的だ。

【単行本】「青空」6巻 原秀則 小学館 B6
 幼いころの約束を叶えるため、甲子園出場へむけてひた走る高校球児・天野光一。というあたりは爽やかなのだが、恋人のレイプ事件などをきっかけにやさぐれて、今はヤクザの用心棒になっている約束の相手でもある三雲氷介の境遇が非常にドロドロ。なんでこうベタベタにしちゃうかなーと思ってしまうが。それにしても天野光一君は野球うますぎ。

【単行本】「CAT'S WORLD」1巻 OKAMA 角川書店 A5
 細菌兵器により人間がすべて猫になってしまった町。そこで唯一難を逃れた少女、カカ・ホルンが主人公。彼女は、テロ対策班であるグリーンに属し、汎用人型兵器OBを操りネコや人間に危害を加えようとする悪者どもをやっつける。キャラクターの造形はカラッとして明るい感じなのだけど、物語にはシリアスな空気も漂っていてけっこう緊迫感のある物語になりそう。あとなんといっても、猫耳が愛らしい女の子たちの造形が魅力。媚びは少ないので萌え萌え〜となるタイプではないんだけど、やっぱりカワイイのは確か。


7/29(土)……虎や、虎や!

 なんか夕方までぐーぐー寝ちゃって一日をまた無駄にしたような。すげーいっぱい寝たように思えるが、でもよく考えると10時間は寝てなかったりもする。怠けてるとやんなきゃいけないことがどんどんたまってくなあ。8月前半はチビシーことになりそうな気配。

【雑誌】MANGA F 9月号 太田出版 B5平
 2号め。派手な印象はないけど、じんわりと面白い。
 福山庸司「17」。面白くなってきた。親を虐待し無理難題を押しつけ、犯罪的行為の片棒をかつがせているひきこもり系男子をストーキングする謎の少女。登場人物たちの行動がなかなかエキセントリックで刺激的。やまだないと「エロマンガ誌のできるまで」。いやーなんかみもふたもないようなことをいいますな。「マイナー志向、クオリティ重視と言うよりわ」「甘やかしてくれるところ」へ「流れていく」「あのテのまんが家さん」から贈られた(らしい)、ナイスなプレゼントのお話。山本直樹「味方」。捕らわれの女隊長を手下二人がいじりまくり。手下二人がほとんど同じ顔で無個性なところがいい。どうでもいいキャラに主要キャラの女の子が凌辱されるってシチュエーションは好きなんだよねー。松本次郎「熱帯のシトロン」。ミステリアスにお話は展開中。退廃的で謎めいていて、これからの展開も気になる。
 南Q太「トラや」が新連載。ラブラブカップルものか。雁須磨子「ワンコインクリア」。好調ぶりを維持。天然系でぽわーんとしておめでたくて楽しい。なんか雁須磨子の描く女の子は、ユルそうですぐやらせてくれそうな、でも実際はなかなかやれなさそうな雰囲気がある。第3回EROTICSマンガ賞入選作品、小木曽幸穂「高校の先生」は、女教師がスベリ気味の恥ずかしいカッコをして生徒たちの気を惹こうとしているさまがいたいたしくて愉快。なんか対象年齢層高めの青年誌で描いていそうな枯れた絵で、あけすけでちと浅ましくもあるエロをやっていて静かなおかしみがあり。まあ物語的にはツッコミがもうちょっとほしいし、新人ならではの瑞々しさがあんまりないなあという気もするけど。駕籠真太郎「六識転想アタラクシア」。いじめられっ娘しぐれちゃん、解脱し精神世界層へダイブ。人の外部記憶とかをぐいぐいいじくるあたりの描写が楽しい。ところで駕籠真太郎は9月下旬にまた新単行本「喜劇駅前花嫁」が出るそうだ。絶好調ですなあ。
 あと、スズキトモユさんも書いてるけど、http://www.adultwith.com/の会社の広告がなんだかすごい妙ちきりんなテイストで心が和んだり寒々しかったり。

【雑誌】快楽天 9月号 ワニマガジン B5中
 米倉けんご「エヴァーグリーン」が新連載。巻頭カラーで登場。幼馴染み同士であるユタカと尚雪。ユタカは明るくて活発でモテモテで、そんなユタカと親友であることに、尚雪は誇らしげな気持ちと劣等感を同時に抱いていた。そのコンプレックスが表に出なかったのは、ユタカはまだ童貞であり、自分は(相手が自分の姉とはいえ)経験済みであるという優越感ゆえだったのだが……。といったところから始まる物語。米倉けんごは絵が達者だし、エロいし、なおかつ小僧どもの心持ちを鮮やかに描いていてうまい。メジャー誌経験もたぶん生きているように思える。けっこう面白くなりそうで期待大。繊細なタッチの作品が多い快楽天の中で、エロもちゃんとやれる濃厚なタッチの作品はいいアクセントになると思う。櫻見弘樹「個体のヴァリエーション」。男っぽい女友達とに告白した男。スレ違っているわけではないけどジャストミートでもない関係を、うまく描けている。朔ユキ蔵「酩酊文学少女」。今回はまたいいですなあ。自分が読んだ本、それから人が読んだ本の、文字やヴィジュアルなどのイメージが見えるようになってしまった処女の物語。文字の空へ立ちのぼっていくというイメージが鮮烈でファンタスティック。

【雑誌】GOTTA 9月号 小学館 B5平
 作:高橋克彦+原哲夫「阿弖流為II世」がいい。原哲夫らしいダイナミックさがあって。坂上田村麻呂をこんなふうに描くとはなあ。少年犯罪者を「この腑抜けが!!」といってぶっとばすシーンも痛快。松本零士「新宇宙戦艦ヤマト」もナイスだ。今回は古代進32世のセリフがとくに。『電影クロスゲージオープン……代々我が家の「寝言」で有名な言葉です……』ときたもんだ。古代家には愉快な習性があるのですな。笑ったぜ(ネタバレなので読みたい人は文字を選択して反転させてくりー)。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 9月号 少年画報社 B5中
 小泉真理「ジンクホワイト」がいいですなあ。画学生青春物語に、ラブコメ要素も強まってきて。佐野タカシ「ウサギちゃんでCue!」。最近ちとH系のサービス度が落ちてきちゃってるのが残念。もうそろそろ終わりが近いということなのかなあ。

【雑誌】ラッツ 9月号 司書房 B5中
 BENNY'S「桃色▽西遊記」が良い。女である三蔵法師が手下3妖怪によってがんがんやられるというお話。ぷりぷりとして肉付きのいい女体がとてもエロい。テンションも高くて、どんどんのぼりつめていく感じが辛抱たまらん。井ノ本リカ子「カップルの法則」もかわいくてHでいいっす。天野英美「バーニングラブ」は、主人公の彼女が敵組織だかなんだかの三下どもにやられまくりというシチュエーションが燃える。MANGA Fのところでも書いたけど、そういうパターン好きなんだよね。祭丘ヒデユキ「全然関係ない宇宙」。なんか好き放題ふざけまくってて楽しい。最近キレてていいなあ、祭丘ヒデユキ。

【単行本】「電脳なをさん」3巻 唐沢なをき エンターブレイン B5変型
 この巻もいろいろ技がこらしてあって面白いですな。とくにソーテックネタはこれでもかこれでもかと繰り返されまくり。今回とくに笑ったのが「ミナミの帝王」ネタ。イッパツネタではあるんだけど、うまいなあ。

【単行本】「聖」2巻 山本おさむ 小学館 B6
 病と闘いながら将棋に命を燃やした棋士・村山聖の、短くも激しい生き様を描く作品。ハンデを乗り越えて将棋の世界に挑む、人間の強さが熱く描かれていて感動的なお話に仕上がっている。2巻は村山がこれから切磋琢磨していくことになるライバルたちと出会い、奨励会に入会するあたりのくだりが描かれる。この巻では前巻ほどのテンパり具合はないものの、渾身の筆で描かれる物語にはつい引き込まれてしまう。汗のぽたぽた垂れる激しい展開に期待。


7/28(金)……中央線に挑戦

 CATVインターネットで常時接続になってからというもの、Webページを見に行く回数が増えた……というのはウソで、実はダイヤルアップのときより減っている。大きなファイルのダウンロード回数は増えたけど。なんというか、ダイヤルアップのときは接続のアイコンを押した瞬間から「よーしインターネットするぞよーん」というふうにインターネットモードのスイッチが入ったのだが、今はそういう儀式的なものがなく、PCが立ち上がっている間は常に接続している状態。そのせいか、焦ってWebを見に行こうとかいう意識が薄れてきちゃっている。まあいつでもいいやって感じで。会社の社内LAN経由の接続にもそんな感覚はある。おかげで見に行くWebページの数も前より減った。なんだか思わぬ効果である。こういうパターンってよくあるもんなのかねえ。

【雑誌】ヤングアニマル 8/11 No.15 白泉社 B5中
 笠原倫のスポーツヒーローものが再登場。今度はプロ野球・大阪近鉄バファローズの中村紀洋の物語。タイトルは「豪振王」(監修:永谷脩)。いい素材ではあるが、現実の中村紀洋の打撃が常軌を逸するほどに豪快でかっこよすぎるだけに、現実の快感を上回れるかどうかが気になるところ。技来静也「拳闘暗黒伝セスタス」連載再開。剣奴スパルタクスゆかりの地で、どんな展開が待っているのか楽しみ。作:あかほりさとる+画:板場広志「マウス」。今回はまた一段と馬鹿馬鹿しいお色気ファイヤー。これだけ頭悪いとすごいな。林崎文博「VF」。今回もオヤジくささバリバリ。なんなんじゃろうなあ。
 8月4日にGAGファイアという増刊が出るらしい。

【雑誌】コーラス 9月号 集英社 B5平
 シリーズ掲載、佐野未央子「君のいない楽園」。幼女〜少女あたりを描かせると、佐野未央子はうまいなーといつも思う。主人公の十萌ちゃんが、パーッと華やぐとてもいい表情をしている。反面、男のほうは美青年すぎちゃってちと食い足りない感じではあるけれども。くらもちふさこ「天然コケッコー」。いよいよ大沢くんとそよはピンチか。今回は、そよたちの行きと帰りの風景を見開きで対照的に描いた、3ページめと4ページめの見開きがズバッと印象に残った。構図を含めたビジュアルがとても美しい。そのだつくし「ワイルドワイフ」。元暴走族の初代ヘッドと、二代目の奥さん(未亡人)を中心とした、ドタバタアクション。相変わらずこの人の作品は威勢が良く、ガチャガチャと忙しくて楽しい。萩岩睦美「水玉模様のシンデレラ」は最終回。この作品は途中からしか読んでないんだけど、なかなかきれいないいハッピーエンドであったように思う。

【雑誌】Cookie 9月号 集英社 B5平
 今回良かったのは、わたなべちひろ「カミノヘヤ」。なんといっても印象的なのは、クリクリとしたぱっちりおめめ。若い二人の恋愛模様が、初々しく瑞々しく描かれている。ちょっとブラコン気味だった女の子が、同級生の男の子に惹かれていく様子がとても爽やかで甘酸っぱくて良い。それと山本マキコ「君に届けたい声」もなかなか。上品でサッパリした絵柄で、いまどきケータイも持たないような、ちょっとぶきっちょな女の子の恋とか友情とかをきれいにまとめて描いている。

【雑誌】D-ANGE 8月号 ヒット出版社 B5中
 DISTANCE「部長、大災難に遭う。」。わりと整った滑らかな絵柄だが、エロにボリューム感がある。乳首をなめるときの描写とか、ねっとりとして、充実感があっていい。みなずきぽぷり「きづいたら、なんとなく。」は、熱に浮かされたようにおにいちゃんを求める少女がかわいくてHなロリもの。絵はしっかりしていてなかなかに達者。少女が顔を赤くしているさまがロリ心をくすぐる。ミルフィーユ「結花先生の香り」。肉弾ばるんばるん。乳も棒も汁もふんだんで、頼もしき実用系の作風。熟れてとろけそうな感じがよろしい。しのざき嶺「中央線'00」中編。ちょっと太めの眼鏡娘のコスプレ姿がかわいい。こういう娘はいいなあ。

【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL,13 司書房 B5中
 BENNY'S「お兄ちゃんといっしょ」。うーん、この人の作品はどんどんHになっているなあ。もともと柔らかくむっちりした線は魅力的だったのだが、体液のトロトロさ加減とか、感じている表情とかがさらにソソるようになってきた。肉付きが良くてちょっとユルそうな感じが好みなんだよね。井ノ本リカ子「馬鹿ップル王様ゲーム」も良い。BENNY'Sと似た系統だけど、こっちのほうが若干淡い。でもどちらにもそれぞれの魅力がある。おっぱいのたぷたぷした感じがいいねえ。司書房系の漫画って、いかにも男向け実用路線なんだけど、意外とこういう女性作家陣も粒が揃っている印象を受ける。トウタ「ANNAアラモード」。クリッとした絵柄がプリチー。ロリ系もうまい人だが、こっちでは乳ぼーんの実用系もちゃんとこなしている。
 どうでもいいことだが、ほしのえみこ「私の不幸はしょうがない」によると、どうも山本夜羽と俺って誕生日が一緒らしい。7月11日。あちらのほうが6歳ほど上な模様。いや、日付にピクッと反応してしまったもので。

【単行本】「奴隷っ娘」 北原武志 東京三世社 A5
 少女イジメ系作家の中でも、かなり異彩を放っている。むしろ異臭というべきか。唾がカピカピに乾いたときのイヤ〜な臭いが漂ってくるような、ねちっこいヒロインいじめの描写がかなりツンとくる。糞便とは違った、身体的にウッとくるイヤさを感じる。巻頭作「Smelly」なんかは、女の子が悪徳ペットショップの経営者に監禁され、世界で一、二を争う種類の強烈な体臭を持つサルのおもちゃにされ、さんざんなめ回され臭いづけされていく……というお話。助けを求められても敬遠したくなるような、凶悪な臭そうさ加減である。絵は正直あんまりうまくない。ぎこちないし。ところが北原武志の場合は、それがかえって作品のインパクトにつながっている。女の子はそれなりに可憐ではあるものの大してかわいくないだけに、エロい気分にならない。その分、イジメのエゲツなさが性的興奮にかき消されることなくダイレクトに伝わってくるのだ。なんかものすごくイヤなものを見たような気分になれる。そこにビリビリとシビれてしまうのである。あんまり大勢にはオススメしないけど、スメリーでスパイシーな珍品をお求めの人はどうぞ。

【単行本】「恋愛ジャンキー」1巻 葉月京 秋田書店 B6
 やっぱり買っておくべきかなとか思って遅ればせながら購入。ヤングチャンピオン連載の、メジャー系プリプリエロ作品。実際に最後までやっちゃうのは3話にいっぺん程度とあんまり多くないのだが、サービスはふんだん。イヤミのない瑞々しくつややかな絵柄で、ボリューム感のある女体を描写。女の子たちの容姿がとても華やかでキャッチー。元はエロ漫画畑で活躍していた人だけど、メジャー系エロというポジションが、実によく作風にマッチしている。たわわでぷるるんとしたおっぱいがすごく好きだ。


7/27(木)……なあ刑務をしようじゃないか

 ここ2、3日、涼しくて寝やすい日が続いていたのに、あんまり寝る時間がとれなくてすごく悔しい。くそー。

【雑誌】激漫 9月号 ワニマガジン B5平
 桐生知彦「TWIN SPARK GIRLS」がひさびさに復活。ビシッとシャープな描線でやはりうまい。お話はわりと他愛もないのだが、そういう平和さが魅力でもあり。天竺浪人「RED」。今回も50ページ。うまいなー。「いいひと」である彼氏と、その彼女である淫乱な女の物語。相手がいいひとであり、それだからこそキレるとナニをしでかすか分からないということがかえって刺激となって、浮気、男漁りを繰り返す女。駆け引きに至る心理の微妙なさじ加減の描き方が巧みだし、エロシーンも十分にねちっこくてエロい。そしてやはり50ページというボリュームには、なんといっても満足感がある。西安「霊園」。絵のうまさには定評がある人だが、キャッチーであるうえにエロも十分に密度が高くて満足できる出来。

【雑誌】ヤングサンデー 8/10 No.35 小学館 B5中
 北崎拓「なんてっ探偵アイドル」。う、ラブコメ風味を濃密にしてきたな。今回の主眼はブルマー&おしりにあり。トリコロールのあきら以外のキャラがいまいち立ってないのが気になるところ。山本英夫「殺し屋イチ」。次のターゲットはどっちかなーと思ったが、やはりあちらに。おいしいネタはやはり最後までとっとかないとね。柏木ハルコ「ブラブラバンバン」。音楽方面がかなり盛り上がってきたと思ったら。そう簡単に物語を落ち着かせたりしない呼吸が快感。

【雑誌】モーニング 8/10 No.35 講談社 B5中
 今号はなんだか充実度が高かった。
 まず、室井大資「キッス」が非常にいいお話。地方のとある高校生の放送部。部室でエロビデオ見てうだうだいっていた男5人組が、ひまつぶしを兼ねて自主制作映画を撮り始める。最初は面倒くさそうだった彼らだが、だんだんそれが楽しくなってくる。高校生、男友達同士でつるんで、なんか馬鹿やって騒いでモノを作る。後から見ればたぶんきっと役に立ちはしないんであろう。でもこういう時期に、友達同士としかできない、損得抜きな馬鹿な行動ならではの楽しさが満ちあふれていて、読んでいるほうとしてもすごく楽しくなった。ちょっとスカシ気味な絵も物語によくマッチしているし、お話を作り構図を作ってコマを割ってといった部分の地力がしっかりしていて、とても面白く読めた。
 かわぐちかいじ「ジパング」が巻頭カラーで新連載。日米新ガイドラインに基づいて、反戦主義者たちの抗議行動をよそめに自衛艦がエクアドルに派遣されるが……というところから始まる物語。扉に「これは戦争の物語である」という文字が踊っているが、どんな感じになるんだろうか。架空戦記モノっぽさもちょっとあるが。井上雄彦「バガボンド」。又八がなんだか変わりつつあるが……というところで、作者休養のため、次号以降しばらく休載の報が。そんなー。再開は41号より。山下和美「天才柳沢教授の生活」が掲載。今回もまたすごく面白いなあ。柳沢教授のいる大学に、とある王国の王子様がやってくる。ちんちくりんな外見をしているけれども、王になるべく育てられた彼には、本当の気高さがある。虚勢を張るのでなしに、そのまんまで精神的貴族(王族か?)に属している状態というのは、なんとも羨ましくかっこいい。気高くありたいなあ! 以前ちょっと掲載された杉作のネコ漫画が連載化。タイトルは「クロ號」に。ネコのクロの目から見た、人間のいる生活。筆タッチのキュートで柔らかい絵柄が特徴的。王欣太「蒼天航路」。今回は劉備がとてもカッコ良かった。局面局面でビシッと見せるから、長期連載になってもなかなかダレない。
 そして次号は幸村誠「プラネテス」と、高橋のぼる「リーマンギャンブラーマウス」が。「リーマンギャンブラーマウス」の予告。「新ギャンブル、ワイド・クワトロが行われている賭場では女体盛りができない! マウスの力になるため、次なる秘策を考えるインドまぐろ子に、ついに名案が!」とのこと。本当にピンチなのはマウスのはずだが、インドまぐろ子がピンチのように思えてしまうのはなぜか。

【雑誌】ヤングジャンプ 8/10 No.35 集英社 B5中
「マイホームみらの」の桜木雪弥が読切で登場。タイトルは「Drawing」。絵ばっかり描いていて冴えない男子と、スーパーモデルをやっているクラスメイトの女の子の、短い、恋愛のような物語。絵はうまいし、お話もまとまっているが、少しツメが甘いかなーという印象。あと山口譲司「BOiNG」。陽気なボインぶりが極まっていて、かなり良い感じだった。わりとやりたい放題でノッってるなーという印象。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 8/10 No.36 秋田書店 B5平
 今回は、水島新司「ドカベンプロ野球編」がちゃんとした意味で面白かった。殿馬の千両役者ぶりが痛快。で、次回からまたしてもオールスター編に入ってしまうらしい。水島先生の、オールスター戦に対する異常な力入れっぷり(日本シリーズよりもはるかにウエイトが重いようだ)がまた発揮されるのだろうか。能田達規「おまかせ!ピース電器店」。ピースママかっこいー、というわけで。おおひなたごう「おやつ」。モンブランが……。さてパワホラの決着はいかに。舞台は最終決戦の地へ。

【雑誌】プチフラワー 9月号 小学館 B5平
 木原敏江「杖と翼」。18世紀末、フランス革命ちょい前を舞台とする青年たちの物語。今どき珍しいほどの芝居がかって浮き世離れしたロマンティックな舞台設定が実にこの雑誌らしい。で、読んでみるとこれがまたけっこう面白かったりするあたりも。こういった作品が生産される土壌がまだ存在するというのは、とても素晴らしいことだなあとか思ったりもする。奈知未佐子「送り独楽」。コンスタントに暖かく美しいメルヘン世界を創り出している。この人の動物がらみの作品はほろりとするものがけっこう多いが、今回もしみじみといいお話だった。吉野朔実「誰もいない野原で」。ぶらぶらあてもなさそうに歩いていた少女と、ふらりと自殺しようとしていた少年が出会い、しばし行動をともにする。大きな目的とかはないけれども、さりげなく美しい描写を積み重ねていって読ませる手腕は鮮やか。

【雑誌】少年エース 9月号 角川書店 B5平
 小手川ゆあ「アンネ・フリークス」が巻頭カラーで新連載。母親を殺した少年の前に現れた不思議な美少女。彼女は、死体の始末など何くれとなく彼の世話を焼き、その代償として彼を仲間に引き込もうとするが……。この少女の、何を狙ってるんだか分からないミステリアスさが物語への興味をかきたてる。というわけで第1回めとしてはなかなかの出だしだったんじゃないだろうか。吉崎観音「ケロロ軍曹」。日向家のおねーさん、夏美がケロロたちの力で大人に変身……。乳ボーン、乳ボーン、乳ボーン。ぷしゅぷしゅ萌え萌え〜。といった感じだろうか。作:奥瀬サキ+画:目黒三吉「低俗霊DAYDREAM」。第2回め。今回も4色カラーありで、目黒三吉の作画テクがうなる。大和田秀樹「たのしい甲子園」は、くだらないギャグをパワフルにビシバシと決めてて今回なかなか面白かった。ラストのあたりの盛り上がりぶりもナイス。木村ひかげ「ジェット★レンチ★デイズ プールサイドスター」。マッドサイエンティストな少年・レンチの、ちょっと迷惑でファンタスティックな発明。すっきりとして暖かみのある素直そうな絵柄と、ちょっぴり不思議なお話が心地よい作品だった。

【単行本】「魅惑のビーム」 こがわみさき エニックス B6
 シンプルかつとても形のいい線を引く人だ。上品でサッパリしていてほの暖かくてかわいくて。今回の単行本は、ステンシルに掲載された青春爽やかラヴもの5編を収録した短編集。いずれのお話も、それなりにトラブルはありつつも、基本的にとても健全。絵柄だけでなくお話も気持ちがいい。全体に、とてもかわいくきれいな一冊。

【単行本】「刑務所の中」 花輪和一 青林工藝舎 A5
 待望の単行本化。ものすごくうれしい。
 拳銃不法所持により3年間の懲役をくらった花輪和一が、獄中の生活を描写するという作品である。まあ要するに獄中モノなのだが、こんな獄中モノは初めてだ。ムショに入れられたという悲壮感やら悔恨などはいっさいない。というかそんな次元から、花輪和一はモノを見ていない。ショバとはまったく違った、一定のリズムで繰り返されるムショ生活のこまごまとしたディティールをただ興味深げに観察し、生活と観察のをエンジョイしているのみなのである。とくに食事に関する描写の念の入りようはすさまじく、ふだんの食事や正月食などの献立を、リアルなペンタッチで執念深く記録し続ける。例えば「プクプク拘置所」という話では、食い物の絵と「朝 ミソ汁、ネギトロロコンブ、塩漬きゅうり、こうなご佃煮」といった説明書きのコマが延々続くなんてシーンもあったりして、淡々と観察を続ける細かさが妙なおかしみを醸し出している。甘納豆、パン、ジャムなどなど、甘みのある食品を口に入れるときの陶酔の表情、脳がとろけるがごとき悦楽の描写などは、あまりにもステキすぎて言葉を失う。嬉々としてムショ生活を続ける花輪先生の幸せそうな姿を見ていると、こりゃ全然罰になってませんなあとか思う。現状の受け入れ方しだいで、人間は一人で幸せになっていけるものであるということを痛感する。実にすんばらしい漫画であります。


7/26(水)……すこやかな山頂

 今日は本屋に行けなかったので、買おうと思っていた本が買えていない。というわけで3冊だけ。
 最近PHSをよく使うようになりました。目覚まし時計機能が便利です。

【雑誌】週刊少年サンデー 8/9 No.35 小学館 B5平
 田中モトユキ「リベロ革命!!」。ママさんバレー編が続いているが、ここらへんも案外面白い。そろそろ本筋に戻ってもいいころかもしれないけど、やっぱり人妻はいいよね。とまあそういう視点で見る必要はないんだが、それにしても熟れた奥さんたちが相手といえど、205cmというのはちょっと大きすぎで、ヒイヒイいわされている模様だ。村枝賢一「かもしか!」は最終回。いまいち方向性が定まらないままいってしまった感じ。

【雑誌】週刊少年マガジン 8/9 No.35 講談社 B5平
 新連載、作:横山秀夫+画:ながてゆか「PEAK」は登山モノ。バスケでもやりそうな今風のにーちゃんが激しく山に挑むといった趣。わりと力はグッと入っている感じなので、うまくハマれば面白くなるかな〜といった雰囲気。登山モノは面白い作品多いし。連載3回めにしてもう疲れているらしい野中英次「魁!!クロマティ高校」は、フツーの彼が高校デビューを目指して勉強中。教科書の妙に落ち着いた口調と内容のギャップが良い味わい。福本伸行「無頼伝 涯」。ベイスターズドラフト2位の木塚投手(明治大学出身。投手。右横手投げ)が涯をハメるのに利用されておりますな。

【雑誌】コミックピンキィ 9月号 オークラ出版 B5中
 舞登志郎「メジャーデビューへの道」。まいと氏、月刊少年チャンピオン編集長に会う。そしてテレビ「ガチンコ!」(TBS)にも出演と、メジャーデビュー道に大きな動きが。月刊少年チャンピオンといえば「花右京メイド隊」だが、今回はもりしげが巻頭カラー4Pで登場。タイトルは「み〜んみ〜ん」。ちょっと短すぎなので、やっぱりある程度のボリュームをどかっと読みたいという思いが募ってしまう。それは百済内創「ブルマ同盟」も同様。星峰ひろ「少女の穴」は、丸みのある柔らかい、かわいい系の絵柄だけどわりとエロはガッチリやっている。お乳の丸さ、身体の線のしなやかさがわりとソソる。


7/25(火)……くりきゃらもんもん

 なんとなく会社にお泊まり中。そんなすごく忙しいわけでもないので、漫画読んだり飯食ったり、ついでに本業方面のテストおよび原稿書きをしたり、のんびりペース。朝はひさびさに調子の良かった喉が、泊まっている間にまた荒れてきちゃって咳ゲホゲホ状態に逆戻りなのは困ったもんだが、まあこの程度が俺にはお似合いだ。

【雑誌】アフタヌーン 9月号 講談社 B5平
 小田ひで次「クーの世界」第2部スタート。第一部の終わり方がすばらしかっただけにどのような入り方をするかと思ったけど、これまたすばらしい。最初の4色カラーの、第一部の印象的だったシーンを美しく配置したあらすじ部分の優しげな雰囲気もいいし、そこからページをめくったときのギャップも見事。今回は、麗寧が中学生になって一年が過ぎようとしているころのお話。もう「つづき夢」を見なくなっていた麗寧だが、鬱々としたことが重なり、とある出来事がきっかけでまた夢の世界へと迷い込む。実に丁寧な作画、語り口にゾクゾクする。今回この作品を読んでいて、氷室冴子の「シンデレラ迷宮」シリーズをちょっと思い出した。
 四季賞2000年夏のコンテスト大賞受賞作、銀峰瑞穂「孤陋」。うーん、とてもうまい。草むらで拳銃を拾った少女がヒロイン。彼女は武器を持っていながら、それを使わないという快感に酔う。そんな彼女の前に現れた一人の青年。彼は彼女に、拳銃を返してくれといい、つきまとう。そんな二人を通して、人間の心の強さと弱さを浮き彫りにしていく。高い完成度でまとまっていながら、けして閉じた作風にはなっていない。情景描写などはこまやかだが、説明過剰にならずに読者を物語に引き込む。ラストもビシッと決まっているし、読みごたえバッチリだった。相当な力量の持ち主である。今度は超長編を構想中とのことだが、それもぜひ読んでみたいと思わせる。
 シーズン増刊のほうでやっていた小原愼司の「ああっ女神さまっ」劇場版レポート探偵漫画、「女神調書」がこちらにも出張。女神はわりとどうでも良さげな感じで進む力の抜けっぷりが気持ちいい漫画。なんかひまつぶししているみたいな感じがいいのだ。作:真刈真二+画:赤名修「勇午」。個人的には、この作品の肝は交渉の駆け引きとかよりもむしろ拷問シーンのエゲツなさ痛そうさ加減だったりするのだが、今回はわりと痛そうな物件が出てきてよかった。できればもう少し時間をかけて責め上げてほしかったところだが。鬼頭莫宏「なるたる」。うーん、今回もエロい。線の細い少女がヒドい目に遭っているというのはやはりソソるシチュエーションだ。
 富沢ひとし「ミルククローゼット」は、かなりたいへんなことになっている。ミルク隊のみんなが揃いも揃って大ピンチ。敵なのか敵でないのかよく分からない(もちろん味方ではないんだが)得体のしれない生き物たちの存在が、強力な違和感をもって感覚を逆撫でしてくるような。でもそれが不快ではないのは富沢ひとしならではって感じがする。植芝理一「ディスコミュニケーション精霊編」。このところの、やたら開き直った見開き表紙シリーズはなんともすごい破壊力。お話のほうでは、ついに今回のエピソードの種明かしが。踏むべき手順を踏んで、一気に開示していくやり方は、推理小説の解決編的な気持ち良さがある。木尾士目「五年生」。今回はこりゃまた底意地の悪い展開。後味わりー。これだけ苦いお話にしてくれるとは。こういう展開はもちろん好きだ。

【雑誌】エクストラビージャン 8/30 集英社 B5中
 平松伸二「どす恋ジゴロ(津軽青春編)」。いや〜もう、ホントに相撲やらないなあ。若き日の恋吹雪(藤十郎)入院先の淫乱看護婦さんとSEXバトルを繰り広げているだけですよ。堂に入った開き直りっぷりが痛快。「センチメンタル」は、コミックフラッパーで「アスミ」「2015年の打ち上げ花火」が掲載された柳沼行の最新作だ。何年かぶりにバッタリでくわしたかつての恋人同士が、しばし昔の思い出にひたる。埋み火のようにお互いに対する気持ちは残っているものの、彼は昔の彼ならず、彼女も昔の彼女ならず。戻せない時の流れを、暖かく、そしてタイトル通りセンチメンタルに描いた佳作。まだ垢抜けない、温かみのある描線がお話によくマッチしている気持ちの良い物語。これまでの3作については、いずれも自分の持ち味をしっかり発揮できている。今度は全5〜10話程度の中編も読んでみたい。

【雑誌】ヤングチャンピオン 8/8 No.16 秋田書店 B5中
 葉月京「恋愛ジャンキー」。ある程度までやっといて、適度なところで生殺しにするのがこういったメジャー誌系エロの肝。そこらへんの呼吸はしっかり押さえている。そしてトレンドである(?)女体盛りもしっかり。生殺しなぶん、途中までの展開はサービス満点。頼もしい。村生ミオ「BLOOD RAIN」。毎度のことなんだけど、愛憎+肉欲のベタでものすごく濃い口の世界をこれでもかこれでもかと続けていて、ゲップが出そう。人間はここまでベタベタにやれるのだというすごい一例。

【雑誌】漫画アクション 8/8 No.32 双葉社 B5中
 江口寿史「キャラ者」、相原コージ「漫歌」、いとう耐「風前の灯火」が突然揃って連載終了。「キャラ者」はぴあ、「漫歌」はスペリオール(秋ごろ再開予定)に移籍するという。「キャラ者」の江口寿史の作者コメントはなんだか吐き捨てたって感じだし、「漫歌」に至っては「読者の漫歌的体験談募集」の告知が打たれたままで、ずいぶん急に連載終了が決まったみたいな感じだが……。キナ臭いけれども、邪推しても得るものはなにもなさそうなので、カーズは体を石に変え考えるのをやめた。


7/24(月)……おお、マキバはめどり

 会社の帰りにライターさんに誘われて、神奈川県の大和にある天狗家という焼肉屋さんへゴー(地図はコレ)。安くてむちゃくちゃ量が多いことで有名なところで、行列もできたりする店なんだそうだ。今日も4人でこれ以上食えないってとこまで食って、お値段は一人約2000円といったところ。たしかにすごく安い。今回は大和駅に近いあすろーど店のほうに行ったのだが、店内は汚いけど七輪でじゅうじゅうな感じの本店のほうがうまいらしい。そのうちまたチャレンジしてみよう。今度は気合い入れてギュウギュウに腹減らしてから。

【雑誌】ヤングキング 8/21 No.16 少年画報社 B5中
 中西やすひろ「愛DON'T恋」。ここのところずーっとではあるが、何気にむちゃくちゃ脂っこくオヤジくさい作品になっている。主人公の幼馴染みの美喜はガングロでヤリマンなコギャル化し、その父親はリストラ。母親は浮気中で、ヤクザにダマさハメ撮りエロビデオを撮られそうになってるし。展開のベタベタさが妙なテイストを作り出している。国友やすゆき「幸せの時間」とかと通じるところあり。これで主人公の守くんが美喜の母親と関係しちゃうなんて展開が……ありそうだなあいかにも。花見沢Q太郎「ももいろさんご」。ああラブコメだラブコメだ。激ヌルだ激ヌルだ。甘くてトロトロらりるれろ〜んというわけで、今回もまた生殺し的世界が展開。ウルトラジャンプ連載の「BWH」といい、お見事ですな。

【雑誌】CUTiE comic 9月号 宝島社 B5平
 小野塚カホリ「そどむ」。理香子がパワーアップして頼もしくなり、物語も健全な方向に進みつつある。このペースでどこまで行くかは分からないけれども。いつも同じようでいて、ちゃんと物語は前進してて読ませる。三原ミツカズ「雪白姫」。とある色男が、ゴミ捨て場の近辺で倒れていた女性を拾う。彼女は自分のことを雪女だと名乗るが……。彼女のキャラがなかなか魅力的で、美しく儚く読ませるいいお話。惜しむらくは、最終ページの対向ページ。「雪白姫」のまっ白なイメージのラストに比べて、同じ見開きにある海埜ゆうこの作品の1ページめにおける血の赤のインパクトが強すぎたこと。別に海埜ゆうこが悪いわけじゃないんだけどね。羽海野チカ「ハチミツとクローバー」。今回は肉に餓えた大学生男子たちと、彼らに肉を与えるナイスガイのお話。男子たちの頭悪そげなさまが楽しい。

【雑誌】LaLa 9月号 白泉社 B5平
 森生まさみ「おまけの小林くん」。今回は、最後のほうのうれしはずかしラブまり路線がとても甘ったるくてこっぱずかしくて良かった。甘くて爽やかで良し。逝ってよし。筑波さくら「目隠しの国」。清潔感のある絵柄で、優しく爽やかにお話をまとめてくる。というわけで今回も面白かった。あと今号では、緑川ゆき「夏にはため息をつく」が良かった。炭酸飲料を飲むと身体能力が異常にアップするという特異体質の持ち主である少年が、幼馴染みの女の子に告白しようとするが、彼女には好きな人がいてその想いは届きそうもなく。切ない想いが美しく描けているきれいな作品。ただ、特異体質という設定についてはインパクトがちと弱め。物語の中で生かされてはいるけど、この設定がなくても同様の読み口は演出できたように思う。ここらへんはせっかくだからも少し生かしても良かったかなーという印象。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/7 No.34 集英社 B5平
 キユ「ロケットでつきぬけろ!」。新連載。まずはカートから始まりレーシングバトルもの漫画になりそう。岸本斉史とか尾田栄一郎とかにも通ずるところのある、最近のジャンプっぽい元気系の絵柄。わりと絵もうまいし、イキはいいので、うまくハマれば面白くなるかも。鳥山明「SAND LAND」。ベルゼブブ本領発揮か。さすがにアクションとかはお見事で、読んでてワクワクする楽しさがある。まあ「ドラゴンボール」とかと比べると地味ではあるけれども、手堅く面白い。

【雑誌】ヤングマガジン 8/7 No.34 講談社 B5中
 ロクニシコージ「すべてに射矢ガール」。矢ギャルであるあすみちゃんと山田くんがいい雰囲気になってきた。じょじょにキャラの魅力が出てきて、それなりに良くなっている。ヌルもの好きな方によろしいかと。福本伸行「賭博破戒録カイジ」では、暗黒ペリカ王国におけるチンチロルールが説明され、だいぶ肝の部分の呈示が進む。なかなか闇部分がありそうな雰囲気。でもやはり賭けるのはペリカ。原田重光の4週連続集中連載「報復絶倒少女K」がスタート。背がちっちゃくてそそっかしい女の子清美が、自分がイジメられてると勝手に思い込んで、なんだかリベンジを始めてしまうのだが、それがまた思わぬ方向に……というドタバタギャグ。4色カラーの扉あたりで、絵のタッチが変わったかなーと一瞬思ったが、モノクロではいつもの調子。毒にならないカラッとしたくだらなさで微笑ましい。阿部秀司「エリートヤンキー三郎」は夏休み編に突入。束の間の安息を得たかと思った三郎だったが……。いつも変わらぬ不幸ぶり、収束度の高い鼻血ぶりが素敵であります。酒びたりだった河井も復活したかな。蓮古田二郎「しあわせ団地」。今日も夫のダメっぷりは留まるところを知らず。たまらなく愉快な情けなさで、もうすっかり安定した面白さを発揮している。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/7 No.34 小学館 B5中
 曽田正人「昴」。ひょんなことから昴がストリートでヒップホップ系のダンスにチャレンジ。楽しそうに踊っている姿が魅力的。昴になんだか存在するらしい欠点の克服につながるのであろうと思われる。たまにはこういう別系統の踊りをしている姿も新鮮でよろし。能條純一「月下の棋士」。そろそろ佐伯対氷室の対局も趨勢が見えてきたようだが。長く続いた佐伯との対決にきれいに決着をつけて、心置きなく名人戦に臨んでもらいたいもの。


7/23(日)……帰らぬ板

 二日酔い気味だったため、ゴロゴロ寝たり起きたりしながら一日を過ごす。それにしても、このところ酒の抜けがあんまりよろしくなくなってきたような気がする。ダメじゃのう。

【雑誌】ドルフィン 9月号 司書房 B5中
 LAZYCLUB「イコール・ゼロ」。電車の中で出会った痴女が、実は新しい家庭教師さんで、その後まあいろいろあってHに突入〜という相変わらずの都合の良い実用的展開が頼もしい作品。下記で単行本の感想も書いているけど、体液ぶっかけ系でやりまくりんぐなのがエロい。みやびつづる「母親の狂態」。まさにタイトルどおり。人妻さんが少年たちの嬲りものに。ヨガリっぷりが派手でパワフルな肉弾系エロス。今回も激しい。

【雑誌】フラミンゴ 9月号 三和出版 A5平
 いよいよ来月が最終号。お名残惜しいことではありますが、10月10日ごろB5サイズでフラミンゴ路線を継承する後継誌が創刊される運びになったようでそれに対する期待も高まる。海明寺裕、白井薫範、蜈蚣Melibeなどなど、基幹となる人たちはこれからも描き続けていただければと思う。
 海明寺裕「奴隷立國」。今回はわんこ的世界の描写がやんごとないゾーンにまで突入。いや〜刺激的だ。「権利としての人権は永久にこれを放棄する」。素晴らしい響きのある言葉ですなあ。さすが。白井薫範「水仙のつぶやき」。白井薫範にしては小さくまとめてきている感じではあるけど、ブタ女がピースサインしながらちんちんにまたがっているさまの「痛さ」は相当なもの。こういうのを描けちゃうっていうのがやっぱりスゴイなあ。鋭利菊「遙かなる修学旅行」。今回も妄想爆発ぶりが素晴らしい。「熱狂興奮スジ割ランキング」には圧倒されましたぜ。どうしてこう都合よく、と思えるラストへ至る展開もステキです。鋭利菊先生の都合のいい妄想ワールドは膨らむばかり。業が深い。天竺浪人「便器」。そろそろお話をたたみにかかってきたかな。

【単行本】「地獄組の女」3巻 SABE 久保書店 A5
 3冊め。今回のメインはさしずめブタ女の逆襲。自壊しつつある天国組と、ブタ女のパワーアップで逆襲気味の地獄組。そんな構図なんぞおかまいなく、ただただ自分の快楽のために人間ブチ殺しを続ける元バニー女もえみ。驚くほどにヤケッパチで、ハイテンションでもありローテンションでもある。次に何をしでかすか分かったもんじゃないアブなかっしさを持ちつつも、奇妙にバランスがとれているところがカッコイイ。お話はずんずん進み、端々で脱力感のある描写もあり。脱線しそうで脱線しないというか、脱線こそが本道というか。キャラクターたちは抜群に性格が悪くて無軌道でどうしようもないんだけど、そのどうしようもなさが奇妙なことにビッと一本スジが通っているのが実に特殊。語り口のキレの良さなんざ素晴らしいじゃありませんか。愉快痛快。というわけで残りはあと1巻。それが出たらSABEコーナーにまとめてページ作ります。

【単行本】「神戸在住」2巻 木村紺 講談社
 神戸在住の平凡な大学生の女の子の日常を、ちいまりとした筆で描くエッセイ漫画。大事件なんかはまったく起こらず、ゆっくりしたペースでお話は進む。石ころを蹴りながらそぞろ歩きをしているようなのんびりした速度であるからこそ、日常の細かい部分に目が届くといった風情。情緒細やか。極端なアップのコマとか、押しつけがましいところがなく、あくまで表現は上品で奥床しい。なにかいろいろ楽しそうで、大学生活が羨ましくなってみたり。図書委員的雰囲気の漂う作品。

【単行本】「EDEN」5巻 遠藤浩輝 講談社
 やはり単行本でまとめ読みするほうが、雑誌で読むよりだいぶ面白い。しっかり作られた未来的世界観、ハイスピードなアクションなど、ある程度のボリュームがあったほうが食いごたえがある。今回はソフィアの過去に遡る話から始まる。謎めいた感じのキャラにさらに厚みが出て、興味深さが増した。ところでソフィアの少女時代に存在した目の下のほくろ、なくしちゃったのはもったいないかな。あったほうが萌え度が高そうな気がするのだがいかに。

【単行本】「First Kiss」 田中ユタカ 蒼竜社
 1994〜1996年に発表された作品を集めた傑作選。というわけで絵は今よりもだいぶ古め。逆にいえば、この数年ですごくうまくなったのだなあということを実感させられたりもする。テイスト的には今に通ずる、初恋初Hモノが中心。甘いけれどもスカッと抜ける炭酸飲料的読み口は変わっていないけれども、やはりこういったお話は絵がうまいほうがだいぶ映えるなあとは思う。

【単行本】「仔悪魔ざかり恋ざかり」 LAZYCLUB 司書房 A5
 おっぱい大きい実用ドンドン系作品。LAZYCLUBの作品に出てくる女の子は、概して感じやすくて好きモノで、ノセると乱交もなんでもオッケーといった感じで、たいへんに男サイドにとって都合がいい。それだけに手っ取り早い。とりあえずSuckモノが好きなようで、かなりのシーンで顔に液体がぶっかかったまま。ヨガリぶりもわりと派手で、やりまくりな実用系、夜の即戦力をお求めの方にオススメできる作品。

【単行本】「三丁目の回覧板」 ひな。 蒼竜社 B6
 一つのお話で一つの恋模様が描かれ、次のお話では前のお話にちょっと出てきたキャラクターなどが主役になってまた一つの恋模様が描かれる……という連作である表題作がメインな単行本。清潔感のあるよくまとまった可愛らしい絵柄で、甘く爽やかにお話が進展。優しくて清々しくて口当たりが良い。甘くて可愛くて良いではありませんか。ちなみに今日のしきり線(↓)はひな。のホームページであるひな。小屋の素材集からいただいてきたものを使用してみました。

しきりねこ。


7/22(土)……ミス都銀

 サイトウマサトクさん/LZDさんが池袋でムネカタさんのお誕生日会呑みを開催するというので池袋へ。「ムネカタさん、28歳オメデトー」「オマエモナー」。そう、実はムネカタさんと俺は同い年で誕生日が4日違い。というわけで俺も7月11日に28歳になったばかりだったので、それも兼ねたダブルお誕生日会だったのでありました。10人くらい人が集まってて賑やかな中でキューキュー呑んだあと、サイトウマサトク亭になだれ込んで朝までマターリとしながら呑んだりしたのでした。最近、いつも呑みに行く人たちとはけっこう違うメンツだったので新鮮でした(メンツの詳細はほかの方が書くでしょうきっと)。そういえばサイトウさんやLZDさんと呑むのもすごく久しぶりのような。祝ってくださった皆様、どうもありがとうございましたー。

【単行本】「水と銀」1巻 吉田基已 講談社 A5
 月極アンケート2000年3月「単行本化してほしい未収録作品」で第4位だった「水と銀」が待望の単行本化。待ってました。
 マイペースで女にだらしなめな三枚目タイプ・亜藤森と、ちっちゃくて頼りなさげでかわいらしい高校生の女の子・桐生星。彼らとその周りの人たちを中心として、いくつかの恋模様が語られる。実は案外、登場人物たちは嫉妬したり自分勝手だったりイヤなところもあるのだが、柔らかく暖かい作風がそれを包み込んでいる。その優しい筆致に思わずホロリとくるシーンも。若く瑞々しい恋愛を描く新たなる才能。要注目。

【単行本】「クーの世界」1巻 小田ひで次 講談社 B6
 中学校に入学したばかりの少女・林 麗寧(はやし・れねい)は、最近不思議な夢を見る。死んだはずの兄そっくりな「クー」という名前の青年、幼馴染みの亮太そっくりの「キョム」という少年が住まう、イギリスの牧草地帯のような、別世界の夢だ。そしてこの夢は、眠るたびに前の続きが目の前にあらわれる「つづき夢」だった。昼間は学校で普通の生活を送りつつ、夜は夢の中でクーたちの世界を歩き回る、麗寧の奇妙な生活が始まった……。
 といった感じで始まる物語。「拡散」の小田ひで次の最新作。細部を実に丹念に描き込み、ディティールを積み重ねて空想世界を描き出す筆致の厚みにまず圧倒される。その絵が、現実にはあり得ないような不思議な世界に抜群の存在感を与えているし、また読者をスムースにその世界に引き込んでくる。人を話に引き込む語り口の細やかさも見事。素晴らしく完成された、上等のファンタジー。いやあまったくすごいなあホントに。

【単行本】「バガボンド」7巻 井上雄彦/吉川英治 講談社 B6
 宝蔵院胤舜編、最後のクライマックスに突入。派手な打ち合いをしなくても、チリチリとひりつくような先の奪い合い、せめぎ合いだけで抜群の緊張感を生み出している。力強さと緻密さを兼ね備えた作画、効果的な演出、存在感のあるキャラクターなどなど、どれをとっても一級品。実に堂々たる面白さで読者を引き込む。あー、面白い。

【単行本】「鉄腕ガール」2巻 高橋ツトム 講談社 B6
 戦後に誕生した女子プロ野球チームの物語。ヒロイン加納トメが、強くてしなやかでしたたかな、そして美しいのが魅力。読み返してみてあらためて思うけど、凜とした物腰、強気な表情、スラリとした手足、立ち姿などが、いちいちキマっている。ほとんどすべてのシーン、トメはカッコよく隙がない。今回はあんまり出てこないけど、投球フォームがカッコいいのもステキだ。


7/21(金)……うるすい奴ら

 7月21日はウイルスの日。なんか出社したら会社中をウイルスメールがぽんぽこ飛び交っていて愉快なことになっていた。問題の物件は、一世を風靡した「I LOVE YOU」ウイルスと似たような奴で、Outlookメールで添付ファイルをクリックすると、アドレス帳に登録されている宛先に自動的に同じウイルスメールを送りつけてくれる。そのため、ウイルスに引っかかった人からメールが届くので、誰が感染したのかが一目瞭然。なんだか相当大規模にやられたようで、今日一日だけで100件近くのウイルスに引っかかった証であるメールが到着。「あ、今度は東北支社の人が」「次は関連会社の人だ」などと、感染状況がリアルタイムで分かってちょっと楽しかった。

【雑誌】OURs LITE 9月号 少年画報社 B5
 新雑誌である。LITEは「Literature」からとったとのこと。最近どうもパワー弱まり気味なアワーズだが、こちらは2000/2001あたりでも登用してきた若手陣などを積極的に登用し、ネームバリューこそあんまりないものの粒の揃った誌面となっている。執筆陣は犬上すくね、石田敦子、鬼魔あづさ、やまむらはじめ、おがきちか、宮尾岳、ひぐちきみこ、TAGRO、伊藤伸平、樹るう、どざむら、小野寺浩二、磯本つよし、小田すま、西村竜。アワーズ系列らしく文系的な生っちろさは確かにあるし、創刊からしばらく経って落ち着いてしまうと俺としてはもの足りなく思っちゃいそうな予感はなきにしもあらずなんだけど、コンセプトをしっかり持って誌面作りがされているところは好感が持てるし、面白い作品もけっこう載りそうな雰囲気だ。剛直さや爆発的な面白さを期待するというよりも、じんわりじんわり、癒しありトキメキありといった感じ。犬上すくね描くところの表紙からしてもう軟弱の極み。いいじゃないですか。
 そんなわけで巻頭カラーは犬上すくね「恋愛ディストーション」。今回はナマなお話ながら、いつものごとく恋愛ごころをくすぐる甘さは健在。ときに見開き扉に「乙女回路」という言葉あり。松明先生の出番か。大の男を一時なりとも一人の乙女にする作風なり。石田敦子「いばら姫のおやつ」。読切連作スタートとのこと。「からくり変化あかりミックス!」で見せた、可憐な絵柄でこちらも乙女的物語を描写。素直になれない女の子の心情を、厳しい現実も見せつけながら、それをひっくるめて優しく描き出す。やまむらはじめ「うたかたの彼女」。この人は青春モノのほうが、安っぽくならず読める作品に仕上がる。記憶をなくした彼女と、それを見守る彼氏の短いけれども印象的なエピソードを描いている。西村竜「STAIR」。線が細かくなりつつあり、うまくなっている。シンプルだけど気持ちのいい画風。そして今号ではなんといってもTAGRO「トラベリングムード」が出色の出来。筆ペン的タッチで、山奥の温泉へそれぞれ行く途中の男女の一風景を描写する。ものすごいスペクタクルなことがあるわけではないんだけど、周りのものを、いつもと違った視点で見ることのできる「旅」ならではの情緒がひしひし伝わってくる。なんだかふらりと無計画に旅に出てしまいたくなる気持ちをかきたてる良品。この一本のおかげで雑誌全体がだいぶ引き締まった印象。目次には載ってないけど、ムネカタさんの音楽評ページがあるのもうれしい事実。

【雑誌】オースーパージャンプ 8/25 集英社 B5中
 高見まこ「美弥の恋」。「ロマンス」の主人公であった吾郎と、今回のヒロインである美弥が出会うべくして出会う。女性の目つきがエロティック。「ロマンス」の終わり方が不完全燃焼気味だったので、この作品でうまいことリベンジしてもらいたい。作:浅田次郎+画:幸野武至「天切り末闇がたり」。天切り松が、大正の世の残侠を語る。目ツキの鋭さ、仁義を切るさいの口上など、歯切れが良くてカッコイイ。シブい描写でしっかり読ませる。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 8/4 No.16 小学館 B5中
 間瀬元朗「スパイラルマスター −キョウイチ2−」。以前集中連載された「キョウイチ」の続編。死なない少年キョウイチを中心とした狂信的な若者たちが、人々を追い詰めていくサスペンスホラー系のお話。不吉な雰囲気を漂わせたテンパり気味の絵柄が特徴。もりやまつる「親父」。親父が妻と出会ったころのお話。ヤクザをギッタンバッタンにする親父のパワフルさが痛快。

【雑誌】漫画ばんがいち 8月号 コアマガジン B5中
 町田ひらく「ネネによる福音書」目当て。ヨーロッパっぽい外人さんの少女を描く筆致はさすがに堂に入っている。不健康そうな雰囲気がズンとくる。才谷ウメタロウ「霊に始まり…」。相変わらず描線がシャープでうまい。ツリ目なヒロインがかわいいのが良いところ。全般的にライトでうまい人が多いけど、記憶に残るようなインパクトのある作品はあまりないな〜という誌面。

【雑誌】コミックオルカ 8月号 司書房 B5中
 KASHIみちのく「変人達の晩餐会」。参加者が各自連れてきた美乳娘たちのランクを競う晩餐会。陽気でお馬鹿さんな雰囲気。舌足らずな巨乳娘のしゃべりがだらしなくて楽しい。「そんないじわるいわないでにゃ▽なのですぅー」といった具合。乳がぷるーんぷるーんいうて揺れるさまも愉快。


【一番上へ】