「近未来馬鹿」表紙 唐沢なをき(唐沢商会名義)

近未来馬鹿

 わりと古めの作品を集めた短編集。最初は青林堂から出ていたが、1999年7月に青林工藝舎から装丁を変えて再販されることとなった。青林工藝舎版は表表紙の絵柄は同じだが、カバーの紙質がツルツルした手触りの紙に変更されるなど、若干異なる。現在ではこちらのほうが手に入りやすいはずだ。なお、青林工藝舎版には青林堂版での収録作品に加えて「河童の妹」(ガロ1988年5月号初出)が収録されている。なお、ここに掲示した表紙の画像は青林堂版のもの。

 この単行本の中では「電気傾城」が出色の出来。あるマッドサイエンティストが、科学の粋を尽くして電気で動く、最高級ダッチワイフを作りあげ、それが元でさまざまな騒動が起こる、というお話。カタカナ混じりの大時代的なしゃべり方が、クレイジーな内容と相まってビシッとユーモラスにはまっている。そのほかの作品も、いくぶんギャグが空回り気味なものもあるが、レトロ風味など各所に工夫が凝らされていて非常に作り込まれている印象。

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■青林工藝舎版

■青林堂版
●収録
タイトル初出
鉄鋼人間28号平凡パンチ 1988年1月7-14合併号
原子馬鹿襲来ガロ 1988年11月号
宗田村殺人事件漫画サンデー 1989年3月28日号
段吉の怪ガロ 1988年7月号
漫才バスガビル家の犬平凡パンチ 1988年6月9日号
電気傾城ガロ 1988年8月号
2001年宇宙の正月漫画サンデー 1989年1月3日号
ミミヅク小僧のバウケンガロ 1988年6月号
新撰組始末記少年キャプテン 1988年6月18日号
ぐるっと回ってジャガーの目ガロ 1989年10月号
しのびのもの漫画サンデー 1988年11月5日号
あわびねこガロ 1990年8月号
大塚署長自身の事件ガロ 1988年9月号