オス単:2002年2月の日記より


 このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。

 日記形式だと、どうしても日にちが過ぎてしまうと大量の過去ログの中に個々の作品が埋もれてしまうため、このコーナーではダイジェスト的にまとめてみました。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則としてしませんので、普段日記を読んでくださっている方にとっては読む意味がないかもしれません。手抜きといえば手抜きなんですが、まあその点はご容赦ください。

 なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でもどんどん入れていきます。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、わりと省略しがちです。


▼一般

【単行本】「黄色い本」 高野文子 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 たしか6年ぶりだったっけか、の単行本。これがまた実に素晴らしい。表現は自然体で片肘張ってないけれども、洗練された冴えを至る所から感じさせる。賢しい感じじゃなくて、本当に作家さんの身についたものがスゥッと出てきているような。今回の収録作品は「黄色い本−ジャック・チボーという名の友人−」「CLOUDY WEDNESDAY」「マヨネーズ」「二の二の六」。どれも軽やかで素晴らしいのだけど、とくに「黄色い本」には惚れ惚れしてしまう。「チボー家の人々」を読む女学生の日常を追うというお話なんだけど、「本に熱中している人」の感覚をこれだけきれいに描き出した作品ってほかにあんまりないんじゃないかな。日常は日常で普通に送っているんだけど、ふとした拍子に本の中の言葉がオーバーラップして空想に浸る。それはふとした拍子に破られて普通の生活が営まれ、そしてまた本に向かい合ってはまり込む。わざとらしいところのまったくない表現がまた実に素晴らしい。特別だけれども、同時に日常でもある「読書体験」ってものをすごくよく表せていると思う。まったく良いモノを読ませていただきました。

【単行本】「超伝脳パラタクシス」 駕籠真太郎 集英社 A5 [bk1][Amzn]

 待ちに待ってた単行本がついに出た!

 この単行本は、ヤングジャンプの増刊・漫革においてごくまれに掲載されていたシリーズをまとめた作品集である。サイバーな未来都市に住む人類が、一万年ほど昔にその星の支配的存在であった「巨人」からDNAを抽出、改造を施して機械「サードラ」として使役している世界が舞台。人々はなくてはならないモノとして「サードラ」を操っているが、サードラは元来人間であるがゆえに、ときに思わぬ出来事が起こる。

 一話ごとの掲載スパンが長いせいもあって各話はそれぞれ独立しているが、それぞれを貫く世界設定は共通している。そしてそのスケールの大きさ、アイデアの妙、世界を描く手つきのクールさ、緻密さは、改めて読んでもびっくりさせられる。巨大人類を改造して使用するというネタは「輝け!大東亜共栄圏」などでも使用されているけれども、こちらは一般誌連載であるだけに下ネタ系の遊びがなく、より本格的に映る(まあギャグのほうが本来の味とはいえるかもしれないが)。何より世界そのものを作り上げる手腕にシビれる。駕籠真太郎のテイストに慣れていない人にとってはグロと映ることもあろうけれども、SFとしてもこれだけしっかり作られている作品ってなかなかないんじゃないような気がする。読みごたえはバッチリだ。駕籠真太郎という作家の懐の深さを改めて思い知らされる。素直にスゴい。

【単行本】「ナルミさん愛してる」 山川直人 少年画報社 A5 [bk1][Amzn]

 待ってました。すごく久しぶりの山川直人の商業誌単行本。この作品は、心優しい一人暮らしの女性ナルミさんの生活を、彼女のお気に入りのぬいぐるみの「ドミノ」が見つめるというお話。ドミノはぬいぐるみなのでもちろん口はきけないのだけど、ナルミさんの様子に一喜一憂。ナルミさんは、ドミノならずとも応援したくなる健気ないい娘さん。惚れるねえ。カケアミを駆使した画風とあいまって、非常に暖かみのある美しいファンタジーとなっている。そしてラストは、切なくて優しくて、素直に感動できる締めくくり。やっぱりこの人の作品はいいです。

【単行本】「ウルトラヘヴン」1巻 小池桂一 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 よくぞ出してくれました! むちゃくちゃカッコイイよ、この作品。舞台は退廃的な近未来。ドラッグに溺れた男の、ドラッグ漬けの生活をドラッギーに描いていくという作品。ドラッグドラッグいってるけど、この作品読んでると本当に目がぐるぐる回ってくる。小池桂一のものすごく精密でリアルな描線で描かれるトリップ体験は、めくるめくイメージの連続。お話のほうもどこからが正気でどこからがヤクによる脳内体験なのか、どんどん境界線が曖昧に、どうにもぐっちゃぐちゃになってくる。でもそういう世界を描くときにありがちな、もやもやと霧がかかったようなわけのわからんイメージにするでなく、夢とも現ともつかない光景を、これまたリアルに描き出している。ものすごく説得力ある。酒を呑みながら読んだらさぞかし酔っ払えることだろう、と思えるすごい漫画。

【単行本】「トニーの背骨はよく曲がる」1巻 鮪オーケストラ エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 これもよく出たなあ。恐ろしく柔らかい身体を生かして、数々の殺し屋を撃退し続ける世界最強の古本屋店員・トニーの壮絶なる人生を描く物語。漫画に登場するヒーローは数あれど、ここまで身体が柔らかい男はそういない。そして展開のあまりの破天荒さ、力強さには毎回びっくりさせられる。シンクロナイズドスイミングにより作られる、「驚天動地」の「凄まじき芸術性」の圧倒的な迫力、迫り来る殺人的なボウリングの球、奇矯なキャラの数々など、まさに奇想天外。スペクタクルの極み。アクはかなり強いと思うけれども、2巻もちゃんと出てくれることを切に願うものであります。

【単行本】「イエロー・バックス」 高浜寛 青林堂 B6 [bk1][Amzn]

 いやー、うまいわ。高浜寛は現在ガロを中心に活躍してるんだけど、作風は別にアヴァンギャルドだったりするわけでなくて、非常に落ち着いている。昔モーニングのMANGA OPENで賞をもらったことがあるらしく、その作品も収録されているのだが、それも十分納得できる。人間の造形がしっかりして大人的な渋さ、深みをきちんと描けるだけの実力を持っている。今回の単行本には短編が8本収録されているが、中でも巻頭の「最後の女たち」が好み。引退を間近に控えた画商の女性の生活を、すごく味わい深く描いている。こういうしたたかで人情味もある婆さんってホントかっこいい。老人でも大人でも子供でも、ちゃんとそれぞれ魅力的に描けるというのはすごく強い。まるで腕のいいカメラマンの写真みたいに、登場人物の「いい表情」をとらえていると思う。なんだか上質のコーヒーでも読んでいるような愉悦を味わえる作品集でありました。

【単行本】「コペルニクスの呼吸」1巻 中村明日美子 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 ああ、これは美しい。サーカスに生まれ育ち、弟を失ったことを悔やみ続けて生きている道化師の美青年・トリノス。団長に肉体関係を強要され、虚無な日常を生きていた彼を、サーカスの客であるニッポンの外交官が身受けする……というところから始まる、美青年の懊悩を描いた物語。均質に引かれた線は艶めかしく、とても魅惑的でかっこ良い。甘美で妖艶。カッコイイだけじゃなく、物語としてもミステリアスでしっかりとした読みごたえがあるし面白い。この作品が連載されているマンガ・エロティクスFは、最近かなり有望な新鋭を輩出しているけれども、中村明日美子はその代表格。すでに世界ができているし完成度は高い。エロティクスFが隔月になっちゃうので進行が遅くなっちゃうのは残念だけど、今後の展開にも期待が高まる。

【単行本】「オトナの漫画」1巻 作:ダークマスター+画:泉晴紀 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 現代の悩む大人の不思議な物語を綴った短編漫画集。プロローグ編である「ダークマスター」も収録しており、こちらのほうは原作者が狩撫麻礼で初出は1995年のヤングチャンピオン(残りはすべてコミックビーム)。全体に地味ではある。でもなんか得体の知れない不吉な感じは全編に漂ってて、不思議な読後感が残る。分かりやすいカタルシスが得られるわけでなく、何か漠然とした大人的欲求不満が、いつまでももやもやとわだかまり続ける感じ。エモーショナル。

【単行本】「怪傑蜃気樓」 谷弘兒 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 本田健の植民地にて紹介されている同名単行本の桜井文庫版には「怪傑蜃気樓」「女戦士セアラ」の2本のみの収録だが、こちらには「怪傑蜃気楼」「Nyogtha(ニョーグサ)」「それは、六月の夕べ…」「花屋の灯」「思い出の庭」「小さな風景画」「雨の宵の出来事」「イップ君の思い出」「夜の窓」「妖花アルラウネ」「探偵ハニー・サテン−2001−」が収録と、だいぶ増強されている。お話のトーンとしては、1980年に描かれ単行本の前半3分の1ほどを占める「怪傑蜃気樓」大時代的で荒唐無稽な痛快冒険活劇であるのに対し、1990年代以降に描かれたそのほかの短編はノスタルジックな雰囲気の幻想的な作品となっており、一冊で二つの味が楽しめるといった具合。トーンを使わず均質な描線で構成された画面の暖かみはいずれの作品にも共通。能天気なヒーロー譚を楽しむも良し、不思議なファンタジーを楽しむもよし。いずれにせよ味わい深い1冊。

【単行本】「大合作」 トニーたけざきほか 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 いやーこんなに「混沌」という言葉が似つかわしい本も珍しい。アフタヌーンの作家がどさどさ参加。総勢74名。ストーリーは当然のことながらぐちゃぐちゃ。だけどまさにお祭り騒ぎ。ええじゃないかええじゃないかと爆発している感じ。1997年2月号と2001年2月号に掲載ということで、その二つの執筆陣を比べてみるのもけっこう興味深い。そういえば「オメガマン」って「湯けむりスナイパー」の松森正だったんだなあ、とか。平田弘史おいしいな、などなど。お祭りを後から眺めるとけっこうしみじみするもんですな。2話だけで1冊というのはページ数的には足らないんだけど、その分はアフタヌーン作家陣がほかの人の作品のイラストを描くという「大合作ギャラリー」で埋められている。こっちもけっこう興味深い。

【単行本】「犬のジュース屋さん」1巻 おおひなたごう 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 おおひなたごうってなかなかギャグが枯れないなあ。というか年々洗練されて良くなってきているような気がする。このお話の主人公は犬をミキサーにかけてジュースにして売っている変態……ではなくて、野球場の一二塁間でジュース屋さんを営んでいる犬さん(しまった、主「人」公じゃないじゃん)。ライバルのクマさんと勝負したり、相棒の立体君にツッコミを入れられたりしながら、犬さんの日常がまったり展開。スゴく面白いネタをやってたりするのに、それを目立たせようとしないでさりげなく埋め込んでいるのが心憎い。

【単行本】「ヒドく澄んだ瞳」 秋重学 河出書房新社 A5 [bk1][Amzn]

 近代麻雀ゴールド 2001年3〜5月号に掲載された「ヒドく澄んだ瞳」と、GOTTA 2000年4月号に掲載された「タンデム」を収録した作品集。「ヒドく澄んだ瞳」は、渋谷で名前を売ってるカリスマ雀士の凜、それから彼と一緒に澄んでいる弟子的存在なジョー、二人の男を中心とした麻雀青春漫画。ジョーのキャラがいまいち生きてなくて消化不良な感じはあるものの、凜は透明感のある人物としてカッコよく描けている。「タンデム」は、学校では冴えないけど外ではバイク少年として走り回っている男子と、同じ学校の女の子が、町で出会って二人乗りして海まで飛ばす。女の子のイキイキした様子が輝いている爽やかな佳作。というわけで掲載作品についてはそれぞれ満足できるんだけど、4本、漫画は120ページ程度で952円というのはちと高いのでは。

【単行本】「生きなさいキキ」1巻 ジョージ秋山 実業之日本社 A5 [bk1][Amzn]

 物語はいきなりセンセーショナルに始まる。ヤクザ風の男が民家に押し入り、その家の主人の腕を長ドスで切り落とす。そして逃げようとするその女房(妊婦)を追うが、彼女は危機一髪、窓から飛び降りて近くの豚小屋に難を逃れる。しかしその場で彼女は産気づいてしまい、とりあげる者もなく赤子が生まれる。この子が本編の主人公・キキ。その後、キキの父は刑務所送りになり、残された母親は薬漬けになり体を売って生きていた。んでもってキキは豚小屋に押し込まれ、親からは虐待され学校ではイジメられるという最悪の生活を送る。内に激しいモノを抱えつつ鬱屈とした暮らしをしていたキキに転機が訪れるのが、刑務所から出てきた父の帰還。徹底的なリアリストである父のもと、キキの持って生まれた悪の素質が芽生えていく……というのが本編のストーリー。

 まああらすじを見てもらっただけでも分かると思うけど、非常に濃いお話。情念ドロドロ、恨みつらみを前面に押し出し、人間への呪いを込めて語られる物語は迫力満点。表現的にはかなりムチャクチャなところも多い。現実と回想のIN/OUTがまったく区別ないし、部屋の中で枯れ葉が舞いこがらしが吹くし、お母ちゃんはパンツはいてないし。でもなんかすごい迫力なんだよー、これ。業が深いよ。コピーの切り貼りはやたら多いし、ジョージ先生的にどのくらいの位置づけの作品なんだかよく分からないんだけど、独特の節回しにはとにかく圧倒されてしまう。キキ逝ってよし!


▼女性向け

【単行本】「カラオケバカ一代」 ジョージ朝倉 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 講談社の別フレから一度単行本化されたものの速攻で絶版になったらしい単行本がいい感じに復活。まずはモテモテなんだけど超オンチなにーちゃんが、カラオケ修行と称して的外れな修行に引っ張りだされスペクタクルな展開を見せるバカ漫画「カラオケバカ一代」が愉快。投げ遣りでどうでもいいエネルギーに満ちている。そしてそれを単行本の半分ほどやった後、ふとんにくるまって町へ出たにーちゃんが世間をゆるがすという、アリトルバカ漫画「フトンの詩」がのほほんとした味を発揮。そこで唐突にきちんとした少女漫画「猫日和」「星の名前」が登場。ところがこっちはちゃんとスタンダードに面白いから侮れない。最後はこれまたバカ漫画「ろくでなしマンガ野郎ジョージ朝倉」で爽やかに〆。ハイテンションで始まってじょじょにゆるやかになっていき、最後にまたスピードを上げてスタコラサッサと去っていくという感じで、全体の構成としてもなんかよくできている天晴れな一冊。

【単行本】「セックスのあと男の子の汗はハチミツのにおいがする」 おかざき真里 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 新コミックスシリーズ「Zipper comics」創刊の第一弾として、下記の「カラオケバカ一代」と同時発売。収録作品は「セックスのあと男の子の汗はハチミツのにおいがする」「草子のこと」「おねえちゃん」「雨の降る国」「アイスティー」。ビージャンでやってた「彼女が死んじゃった」は正直なところピンと来なかったのだけど、この単行本の収録作品はみんな面白い。おかざき真里はやっぱりこっちだなあと思う。とくに女として本格的に稼働する前の、二人の少女に、二人が意識する共通の異性であるその一方のほうの兄をからめて描いた「雨の降る国」全3話が印象的。瑞々しくて完成度の高い描線はかっこいいし、登場人物たちがふと見せる表情にもなんともいえない色気がある。そういえば男の子の汗からハチミツのにおいを感じとる感性も男からすると(ひょっとして女からしても?)新鮮。


▼エロ漫画

【単行本】「ポケットに好奇心」 ほしのふうた コアマガジン A5 [Amzn]

 見かけるたびに書いているような気がするけれども、この人の作品はすごく好きだ。ロリ系の中では今最も好きな作家さんの一人。この人の描くお子様たちは、本当に邪気がない。「ぴょんぴょん」という擬音がよく似合う元気さで、とても楽しげに飛び回っている。年齢はともかくとして、「小学生っぽさ」がよく出ている。そして何よりかわいい。この単行本収録作品にしても、例えばタイトルからして「フレッシュぴーちももちゃん」「ぷりてぃちょうちょしじみちゃん」とくる。こういう可愛らしいタイトルがすごく似合ってる。そして陽気でありながらも、内容が案外Hだったりするのもいいところ。ここらへんは身体の線の柔らかさが、ぐぐっと訴えかけてきているような気がする。とにかく自然な感じがすごくいい。

【単行本】「PERFECT」 電光石火轟 シュベール出版 A5 [Amzn]

 面白い! 面白いよ、電光石火轟は。この作品は、とにかく豪快無比な男、石関宏司の爆発的な人生を痛快無比に描くなりゆき漫画である。その行動原理はあくまで俺ルール。気に入らぬ奴ばらは殴り倒し、やれそうな女を見ると、言葉巧みというか俺論理の俎上に引っ張りあげてパーンパーンとひとくさり犯し抜く。そして俺ルールが遂行されると「Perfect」とか言い残して、風のように去っていく。ラストはモー娘。的な奴らまで虜にしてしまう石関。「ペペロンチーノに精液かけたっていだろ〜!」「まあいい 好きにしろっ!!」。最高だっ。まさに嵐。まさに男。文句なんぞは受け付けない。だって彼はパーフェクトなんだから。

 あとよく知らないけど、登場人物はたいていモデルがいるみたいで、漫画家の人とかアニメーターの人とかがビシバシ登場している模様。そのあたりに詳しい人は、そういう面からもニヤニヤできるんじゃないかと。ちなみに下記のまぐろ帝國の単行本のおともだちコーナーに登場したときのコメントを見ると、電光石火轟は昔「アリオン」のころ、安彦御大の後ろの席で原画マンをやっていたとのこと。あのガンダム的な絵はやっぱりそういうことなんすね。

【単行本】「ANGEL WITCH」 天竺浪人 ワニマガジン社 A5 [Amzn]

 天竺浪人にしては異色の、軽めの作品を中心とした単行本。激漫でやってた日常漫画「笹暮草」も収録。この中では、行く先々で幼なじみ、学校の先生、後輩、委員長ってな具合にやりまくってる適当な男の一日を描いた「SHINE」が、ノリが良くて好き。エロ描写もいいし。この人はフェラチオ描写が近年飛躍的にうまくなったなあと思う。あと、家庭教師の女性によってマジメだった女の子が性のエキスパートとなっていく「たからもの」全3話もボリュームがあって読みごたえのある作品。「眠り姫」は意外や意外、あっま〜いラストでかなり意表を衝かれた作品。天竺浪人もこういうの描くんだなあ。まあそんなわけで、これまでの天竺浪人ファンにとってはまた新しい一面が見れたということで興味深いし、これから天竺浪人作品を読み始めようって人にも軽くて明るくてとっつきやすい作品集といえると思う。ちゃんと「たからもの」でディープめなお話も載っけていて、これから開拓していくさいの呼び水的役割も果たしているし。


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