オス単:2005年7月の日記より


 このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則として行っていません

 なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でも入ってくることがあります。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、取り上げないことが多いです。


▼強くオススメ

【単行本】「口笛小曲集」 山川直人 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「コーヒーもう一杯」1巻 山川直人 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 山川直人単行本2冊同時発売。しみじみうれしいです。「口笛小曲集」は同人誌を中心に発表された短編を集めた作品、「コーヒーもう一杯」は現在コミックビームで連載中のオムニバスストーリー。どちらのほうも、もう隅から隅まで山川直人という感じで満喫した。絵柄にしろ話にしろ、すべての部分に自分ならではの味があるというのが素晴らしい。造形はシンプルながら、作画はかなり離れたところから見ても、一発で「あっ山川直人!」と識別できるほど特徴的。ペンタッチはもちろんのこと、とにかく丁寧なカケアミ、味のある書き文字などなど、すべての要素が山川風としかいいようがない。「商業向きか」「売れる作風か」「派手か」「流行に乗っているか」などと聞かれたら、そのすべての質問に対して否定的な返答をしなくてはならないかもしれないけれども、「好きか」と問われたら間髪入れずにイエスと答えられる。

 「コーヒーもう一杯」のほうは連載だけれども、すべて一話完結形式なんで、基本的にはすべての作品が読切と考えて差し支えない。ここで描かれるのは、皆ごく平凡な人々の、小さな小さな物語。いつ見ても懐かしく暖かい、甘さ苦さ優しさ切なさがぎゅっと詰まった作品が揃っていて、一つ一つのコマ、セリフがしみじみと心に響く。なんというかこの人の作品は、「変われない自分と変わっていく他人、変わってしまった自分と変わらない他人がすれ違う哀しみ」、それから「自分と他人が同じぺースで歩いていく喜ばしさ」を描いたものが多いような気がする。変わること変わらないこと、進むこと止まること、守ること手離すこと、その両方に対する執着、憧憬、後悔などなどの入り混じった、物語が懐かしさと寂しさを同時に呼び起こしてくれる。たとえCGを使っていようとも、「アナログの極み」とでもいいたくなるような、人の温もりと気持ちを感じさせる作風は他には代え難い。取り換えのきかない、希有な作家であると思います。

【単行本】「長い道」 こうの史代 双葉社 A5  [bk1][Amzn]

 こちらもしみじみいいですなあ。このお話は、ろくでなしの男・荘介と、男の父にいわれるがままに、なんとなく彼と結婚してしまった女性・道の生活を、楽しく優しく描いていく作品。1話は3〜4ページ程度の短い回が多いんだけど、これがまた、とても面白いのです。おっとりしてて天然ボケっぽいけど、実は芯の部分は強そうな道にはなんとも奥床しい可愛らしさがあるし、いつまで経ってもフラフラしてばかりの荘介との掛け合いもコミカルで楽しい。キャラクターでは道&荘介のほか、兄にやたらなついていて道を敵視する壮介の妹さんなんかもちょっと萌えたりしますね。道とのからみも楽しいし。

 そんなこんなで基本的には平和に楽しくお話は展開するのだけど、ときどきハッとさせるような、切なかったり素敵だったりするシーンがふと挟み込まれるのも見逃せない、というか目を引き付けられてしまう。こうの史代ならではの柔らかく暖かい、丁寧な画面作りは、一枚絵であっても思わず目が吸い寄せられるものがある。だからたった1コマだけでも、サッと場面転換したり、印象深いシーンを作れたりする。基本的にはのんびり夫婦生活漫画だが、ときにギャグだったり、ドキッとするような恋人同士の物語であったり。表現を変幻自在に使い分けて読者を引き込み、全体としては柔らかな語り口でふんわりとつつみこむ。とても気持ち良く読める、いいお話です。

【単行本】「クマとインテリ」 basso 茜新社 B6 [bk1][Amzn]

 オノ・ナツメのホモ漫画系での名義。イタリア男、政治家、スーツ、そして老眼鏡と、作者の趣味がストレートに出まくった内容で面白かった。この人ならではのオシャレで素敵な絵柄と、人情の機微をつぶさに描き出す表現力の高さにうならされる。スーツ男たちは素直にカッコイイと思うし、作者が老眼鏡の初老の男とか政治家とかのどこに萌えているのかが、作品からごく自然に伝わって来るのがいい。そうやって愛情を持って描かれた男たちがよろめく様子には、なんともいえない色気あり。作者ならではの美学に貫かれた本という感じで、たいへん良いと思います。

【単行本】「最後の制服」1巻 袴田めら 芳文社 A5 [bk1][Amzn]

 むふー。かなり濃厚に百合百合してますなあ。この物語の舞台はとある学校の女子寄宿舎。ここでは一人部屋は認められておらず、とにかくパートナーを組んで2〜3人で同居するのが鉄則。そんな環境の中、女生徒たちに芽生えていく甘い感情を描いていくというお話。ストレートに恋心を表すコもいれば、本当の気持ちを心に秘めてグッとしのぶコもあり。その乙女チックな心持ちが、丁寧に描かれていてなんとも華やか甘やか。絵柄はライトで一つ一つの描写自体もがっつり濃いわけではないんだけど、それが何重にも積み重なって、トキメキたっぷりな作品に仕上がってます。

【単行本】「サナギさん」1巻 施川ユウキ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 「がんばれ酢めし疑獄!!」の施川ユウキの最新作がいよいよ単行本化だぁっ! などとまあはしゃいでみましたが、実際面白いです。4コマのギャグものの中で、現在これだけプッと噴き出させることのできる作品というのはあんまりないんじゃないだろうか。

 今回の主人公は女学生のサナギさん。そしてその友達のフユちゃんとかその他もろもろ。施川ユウキのギャグで素晴らしいなあと思うのは、日常で何気なく使われる言葉のちょっとヘンな部分にとても敏感な点。例えば『「晴れがましい」の「がましい」の部分はあんまり晴れがましくない』とか。なじみのある言葉を思わぬ方向に活用してくるので、つい笑ってしまう。似たようなことをやっている人としては吉田戦車が挙げられるが、吉田戦車は大人らしくまったりマイルドな視点であるのに対し、施川ユウキはもう少しだけ攻撃的。言葉にこだわるというのは、小技のように見えて、やっぱギャグの基本だと思う。誰もが使う言葉というツールの、誰もが目を向けない部分に目を向ける。その着眼点は並々ならぬセンスの賜物だと思う。あと絵も簡潔ながらかわいい。サナギさんのキャラ自体は、4コマ漫画的に見るとちと弱い感じはしないでもないが、それで笑わせられるというのは、それだけネタが優秀ってことなんでしょう。こういう人だけに、ときどき挟まれるショートコラムも面白い。漫画と同じくらい笑ってしまう。


▼一般

【単行本】「ヴィンランド・サガ」1巻 幸村誠 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 「プラネテス」の作者である幸村誠の最新作。前作は宇宙が舞台だったが、今度は一転して歴史ロマンといった感じで、11世紀の欧州の海で暴れたバイキングたちの物語を描いていく。主人公はかつて最強といわれたアイスランド出身の戦士の息子トルフィン。彼の苛烈な生き様を描いていくといった具合。

 トルフィンは父の仇である男が船長を務める海賊船に乗り込み、そこでいいように使われている。まず第一話ではトルフィンとバイキングの面々が、砦攻めで狡智と武力を発揮して活躍するさまを描き、続いてトルフィンがなぜこのようなことをしているのかといった来歴が語られていく。お話については1巻の時点ではまだ序盤も序盤だが、世界史系の話の中でもかなりシブめなところに目をつけ、お話は骨太に展開中。週刊少年マガジン連載にしてはちょっとシブすぎだろうというくらいシブいのだが、それだけに読みごたえは十分。アクションシーンもスペクタクルで迫力あるし、堂々とした面白さを発揮している。ただ過去エピソードがあんまり長くなりすぎるとなんなので、そこらへんのバランスは適度に保っていっていただきたいところか。何にせよ大河ロマンなので、マガジンも根気よく展開していってもらいたい。

【単行本】「すずめすずなり」1巻 秋山はる 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 「入居者全員が、大家さんの供する朝食の席を共にすること」。それが入居条件という、ちょっと変わったアパートで繰り広げられるほのぼのコメディ。住人たちはみんな変人揃い……というわけでは全然なくて、なんかみんな普通。ごく平凡な一般人たちが、ごく平凡な日常生活を繰り広げるというだけのお話で、大きな事件が起こるわけじゃないんだけど、読んでいるとこれがけっこう面白い。主人公のサラリーマン・橋本と、なんだか彼のことを意識している大家さんの娘さんである多恵子ちゃんを軸にお話は展開。日常生活の中での感情の浮き沈みを、丁寧に描いていて、まったりとした楽しさがある。秋山はるはこれが初単行本だが、スッキリとしていながら暖かみのある絵柄は口当たりが良くて好感度も高い。これからお話をどういう方向に進めていくかはよく分かんないけど、このままぼちぼちとやっていけばそれでいいかなーという気もします。

【単行本】「麦わらドリル」 原一雄 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 原一雄が「のらみみ」の前に連載していた、読切形式のショートショート連載。こちらは一話完結で、ちょっと不思議でちょっとおかしいファンタジーワールドを構築。いかにも飄々とした語り口で、毎回風変わりなストーリーを展開。例えば、性欲が食欲と直結していてエロ本をもしゃもしゃたべる親子とか、謎のオリジナルスポーツの話とか、ユニークな着想の作品が揃っている。藤子・F・不二雄や西岸良平のSF短編にも通じるところのある雰囲気。全15本の短編が収録されているが、作者後書きによればこれらは全部、連載開始前の短い期間でネームが全部完成していたのだそうな。こういうアイデアがホイホイ(かどうかは知らないけど)出てくるあたり、けっこう引き出しも多そうな人だなという気がする。気が利いてるけどオシャレ過ぎない、良い案配のお話が多く、幅広い層が楽しめると思う。

【単行本】「EVIL HEART」1〜2巻 武富智 集英社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻

 兄の家庭内暴力が家族に及ぶのを防ぐために、強くなろうと決意し、ガムシャラに喧嘩を繰り返していた少年・正木梅夫が、中学校に入って合気道と出会い、それをきっかけに少しずつ変わっていくという青春ストーリー。武富智のスッキリ爽快感のある作画は、本作でも健在。お話のほうはまだ序盤。2巻までの段階では兄の暴力など、不幸な家庭環境の影響で無駄に攻撃的になっていた梅が、周囲とぶつかった末なんとか踏みとどまるまでを描いている。最初は人間関係のゴタゴタ部分が多く描かれていたためストーリーは重めだったが、少しずつ合気道の魅力、自分から攻撃を仕掛けないということの素晴らしさが見えてきて、面白くなってきつつあると思う。今後は合気道がさらに前面に押し出されてくると、よりスカッとした感覚で読めるんじゃないでしょうか。

【単行本】「ブリザードアクセル」1巻 鈴木央 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 親御さんからの期待をまったく受けず、見向きもされないまま育ったことがトラウマとなり、喧嘩に明け暮れて人の注目を集めようと空回りしていたい少年・北里吹雪が主人公。彼がフィギュアスケートという競技に出会い、他人の注目を一心に浴びる、フィギュアの魅力に目覚めていく……という熱血スケート漫画。吹雪は出だしっから派手なジャンプを決めているが、ジャンプシーンの描写がダイナミックで爽快。まずは順調な滑り出し。作画などはうまい人なんで、あとはキャラたちの魅力がもっと出てくれば、軌道に乗っていけるんじゃないでしょうか。

【単行本】「ゆくゆく」 宇仁田ゆみ 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 「トリバコハウス」の番外編ストーリー。本編に出てきたサブキャラのエピソードを膨らまして、オムニバス形式の短編として展開。この中では、別居中だった鎌谷くん父母のエピソードが、大人の色気があって良かった。実際著者あとがきを読んでも、作者自身が楽しんで描いていたのだなあという雰囲気が伺える。あと恋愛ストーリーとして良かったのが、キンポくんと、彼が一目惚れした歯に矯正をした背のデカい女子・ユメちゃんのエピソード。普段はチャキチャキした感じながら、キンポくんの前では常に顔を赤らめっぱなしのユメちゃんがかわいいです。

【単行本】「間抜けには向かない職業」 雁須磨子 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 あー、そういえばコレって単行本化されてなかったんだっけ。2000〜2002年にかけてBstreetに掲載された作品。探偵事務所に就職した人の良い青年・八目田が、いろいろ事件を任されるも、人の良さが災いして失敗を繰り返していくという探偵コメディ。八目田は見た目はけっこうカッコイイんだけど、見るからに隙がありまくり。それを依頼者たちにいいように利用されていく様子が見ていて面白い。事件自体はわりとどうでも良くて、八目田の間抜けぶりを描くのが主眼。いかにも雁須磨子らしい探偵像だなあと思います。

【単行本】「駕籠真太郎SF短編集 ハンニャハラミタ」 駕籠真太郎 集英社 A5 [bk1][Amzn]

 駕籠真太郎が、ヤングジャンプ系の雑誌で描いた読切作品を集めた短編集。収録作品は以下のとおりだが、1994年と2005年の作品、および雑誌未掲載作品が集めてある。1994年あたりの作品は、まだ駕籠真太郎が騒がれるようになる前(話題になり始めたのは、1999年に出た3冊目の単行本「輝け!大東亜共栄圏」あたりから)で、制約の多いメジャー誌だったこともあって、いくぶんよそ行き感も感じられる。最初の単行本である「人間以上」が1990年だが、さすがにメジャー誌では内臓やうんこだのといった下品描写はできなかった模様。ただ、「六識転想アタラクシア」のプロトタイプとなった「ataraxia」が収録されているなど、SF的奇想部分にも見るべきところはあり。駕籠真太郎の単行本としてはあまり面白い部類ではないが、レアな作品が多いので、ファンとしてはやはり押さえておきたいところ。

▼収録作品
「仰ゲバ尊し」(ヤングジャンプ増刊 漫革 2005年6/15号)
「DEMON SEED−悪魔の種子)(ヤングジャンプ増刊 漫革 1994年2/1号)
「動物の王国」(ヤングジャンプ 1994年 No.26)
「ataraxia」(ヤングジャンプ増刊 漫革 1994年9/5号) 「飛んで目に入る夏の蟲」(ヤングジャンプ増刊 漫革 2005年2/20号)
「ハンニャハラミタ」(雑誌未掲載)
「尻尾考」(描き下ろし)

【単行本】「まめおやじ」 友沢ミミヨ パロル舎 変型判 [bk1][Amzn]

 TV Bros.で連載中の作品だそうで。友沢ミミヨによる育児漫画。例のクセがあるけど妙にキュートだったりもする、友沢ミミヨの絵が、ほのぼの赤ん坊漫画にけっこうハマっている。普通に育児してるって感じじゃなくて、赤ん坊、通称・まめおやじという面白い生命体の生態を興味深く観察していくっていうスタンスが面白い。虚を衝くような対話も笑える。赤ちゃんもお母さんも全身ぷくぷくしてて、なんか無性にツンツンしてみたくなりますなあ。


▼エロ漫画

【単行本】「0 PULL TOWN学園へようこそ」 奴隷ジャッキー エンジェル出版 A5 [Amzn]

 ぶっ飛んでる! 素晴らしい!! 奴隷ジャッキーは前からヘンなノリのエロ漫画を描く人だったが、この作品のハジケっぷりはいつにも増して凄い。お話のほうは、「0 PULL TOWN学園」という、孤島に建てられたエリート養成のための学校内で展開される。「0 PULL」というのは「0から引き出す(PULL)」なのかと思いきや、「レイプル=rapeる」学園であり、エリート候補の男子生徒たちは将来エロ系のことで身を持ち崩すことがないよう、学校によって選ばれた女生徒を凌辱することで男を磨けと奨励される。……とまあここまで語られる第1話の時点では普通の学園凌辱モノになるのかと思ったが、そこからの展開はどんどんムチャクチャに。

 入学初日に生徒会長に任命された主人公の袴田桐子は、男子生徒に痴漢されていた女生徒を救うため、強烈な放屁で相手を撃退する「うんこー仮面」に変身。ファッションも白パンツをマスク状にかぶり、髪にはルーズソックスをツインテール状に装着、さらに尻は丸出しと強烈。さらにこの学園では、男子に凌辱された女の子にはちんこが生えてくるという謎の性質があり、桐子は女子寮内で彼女たちの肉便器として活躍していくこととなる。

 学校行事のほうは凌辱体育祭とか、学園の二大アイドルがツインテール対決をするとか(テールを使ったバンジージャンプとかやる)、うんこー仮面の巨大なアトラクションのあるうんこーLANDでの修学旅行とか、ヘンなのばっかり。生徒たちはみんなアッパーでテンション激高。それがどんどん加速していって、ラストで大爆発、壮大でスペクタクルなお祭り状態に突入。あまりのおめでたさ、むちゃくちゃさに開いた口がふさがらなくなってしまう。……えーと、いちおうネタバレはあんまりしないように書いているので、この文章読んだだけではいかにこの作品がヘン、かつハジケてるかってことは、たぶん伝わらないと思います。まあそんなわけでハイテンションでヘンなエロ漫画を見たいという人は、百聞は一見に如かず、ぜひ一読してみることをオススメします。いやー、奴隷ジャッキーは本当に凄い。

【単行本】「コケティッチュ」 RIKI コアマガジン A5 [Amzn]

 萌え絵で描くエロ漫画のバカっぽさにかけては業界屈指。脳味噌トロけるハイテンションなノリで注目のRIKIの2冊め。今回はデビュー当時の作品から近作まで収録されているけど、最近の作品のほうが脳味噌トロトロ度が高まってていいと思います。セリフについても昔の作品はいくぶん大人しめ。最近の作品は「しゅけべしゅけべ♥エロエロえろーん♥」「うれしっこぉお♥うれしいにょお♥」「チーでるぅ♥きむちぃーんっ♥にょわぁーんっ♥」といった具合で、頭悪さが爆発してて素晴らしいです。そのほかの要素もすべてがアッパー。作画は基本的にプリプリの萌え絵。でもちんこはゴツゴツ。リアルというわけではなく、かなり装飾過剰。ちんこがピッカピカに光り輝いてて、精液もピューピュー、物凄く派手に吹き出しまくり。乳首はセーラー服の上からでも透け透けで、その存在を激しく自己主張。あらゆる点がバカッぽいので、エロの内容が充実しているわりに、実用に使うにはどうかという感じになっちゃってますが、とても楽しいので好きです。

 なお初回版はドラマCD付。なんか合計で52分43秒もある……。ちょっとだけ聴いてみたけど、わりと一本調子なんで途中で飽きるかも?という気も。でもあの頭の悪いセリフの数々を、音声で聴けるというのはやっぱりうれしい。

【単行本】「はれ☆ゆき」 島本晴海。 ワニマガジン A5 [bk1][Amzn]

 男一人+双子姉妹の三角関係エロラブコメ。主人公の岡島が、姉の春野晴と間違って、その双子の妹である春野雪に告白してしまうというところからお話はスタート。Hまでしてしまった後で、岡島はそれが勘違いだったと気づくが、結局のところもともと岡島のことが大好きだった雪とつきあい始めることに。姉の晴はそれを最初は面白がってみていたが、そのうち岡島のことが好きだという自分の気持ちに彼女も気づいてしまう。

 というわけで見た目はそっくりだけど、姉=男まさり+超強運、妹=引っ込み思案+超不運と、対照的な二人と主人公の三角関係模様が繰り広げられていくことになる。島本晴海。は続きモノでヒキの強いエロ漫画を描くのがうまい人だけど、この作品もなかなか面白くできている。姉妹ともにそれぞれ魅力的に描けているし、ラブストーリーとしても爽やか。とくに最初はイタズラっぽい気持ちで二人のことを冷やかしていた晴が、だんだん自分の気持ちに気づいていって、切ない気持ちを募らせていく様子は見ていてグッと引き込まれるものがある。あと岡島と妹・雪の幸せいっぱいなラブラブ模様も、甘ったるくてラブコメ脳に気持ち良く響く。巻数はついてないけど、連載のほうはまだ快楽天で続いており、続きも気になるところ。

【単行本】「だって好きだもの」 ベンジャミン 茜新社 A5 [Amzn]

 わりと貧乳系なつるんとした体つきの少女たちがエッチ。この人の描く女の子は吊り目気味な顔つきが良いです。なんかナチュラルでツンデレ感を醸し出しているというか、誘い入れるような表情が印象的。あと淡くてスッキリしたペンタッチもきれいで、顔から胸やお尻……と全体につるんとした、むいたゆでたまごみたいなツルツル感がある。触感がなめらかというか、眺める快楽のある絵柄だと思う。お話的には、双子姉妹と彼女たち二人が同時に好きになった先輩男子のラブストーリーである「シルシをください」が面白かった。二人で一人を共有するために、あえて区別されることを望まないというくだりが興味深い。基本的にヒドい話はなくて、爽やかに甘ずっぱい感じのお話が多いので、安心して読めると思います。

【単行本】「幼術師」 國津武士 茜新社 A5 [Amzn]

 いつも楽しいロリ漫画を描く、國津武士の新刊。今回はシリーズモノの「幼術師」全4話+αに、短編7本を収録。「幼術師」は、自分が作った薬によって幼女形態に変身してしまった女マッドサイエンティストが、その格好で助手の青年に迫っていろいろエッチするという内容。ぷにぷにした幼女絵がかわいいだけでなく、茶目っ気がきいててお話としても楽しんで読める。ちっちゃい女の子たちのコミカルでイタズラっぽい表情がとてもイキイキしてて良いです。それから飛び級して大学を卒業したちびっ娘教授とロリコンの助教授あんちゃんのラブラブH話である「Proffesor」もグッド。楽しんで描いてる感じが伝わってきて面白いです(まあ作業的にはたいへんかもしれないけど……)。

【単行本】「やわらかいの」 きのした順市 コアマガジン A5 [Amzn]

 最近この人の描く、太めのおんなのこがかわいいなあとか思って買ってみた。きのした順市のエロ漫画の特徴は、タイトルにもあるとおり、おんなのこがすごくやわらかそうなこと。ぷにぷにむちむちしていて、ぶっちゃけた話、太い。もっちりしたお肉が全身に装備されていて、ウエストのくびれとかもあんまりなく、ぽちゃぽちゃ感抜群。ロリを描いても大人を描いても、みーんなぽちゃぽちゃしていて、「触ってみたい」「つっついてみたい」という気持ちを著しく刺激する。しかもそれがデブキャラとして描かれているわけではなく、あくまでむちむちの延長線上にある。太いといえば太いけど、かわいらしい太さ。お話も基本的にはのんびりしたラブラブエッチ系が多く、ほんわか癒されるテイストがあって良いです。

【単行本】「本当はエロいおとぎ話」 昆童虫 久保書店 A5 [Amzn]

 今となっては知る人ぞ知るといった感じのエロ漫画家、昆童虫の新刊。この人の代表作である「ボンデージフェアリーズ」シリーズは、森の妖精の少女と、昆虫たちがエロエロな行為を繰り広げるという内容の作品。擬人化のほとんどされていない昆虫に、人間と同様の性器がくっついてて、それが人間型の妖精とからむ姿がなんともユニークかつエロチックだった。新刊は何年ぶりだろうと思ったら、昨年の12月に「フェアリー・クリニック」[Amzn]という本が出てますな。持ってなかったので買っておこう。

 で、この単行本は1989年にレモンピープルに掲載されたおとぎ話をモチーフにしたエロ漫画と、同人誌掲載作品を中心とした単行本。サルカニが種から出てきた人間の女の子とまぐわったり、金太郎少女や赤頭巾ちゃんがけだものとやったりします。けだものを擬人化して口当たり良くするといったことを、あえてしないのは昆童虫らしいところ。この逆に「HB」や「鍵穴」といった作品では、電動エンピツ削りやドアノブを女の子に見立てるなんてこともやっていたりする。あと巻末には「ボンデージ・フェアリーズ」シリーズの描き下ろし作品「みなごろしハッチ」も収録。お相手はスズメバチです。


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