バラード久々の翻訳。「夢幻会社」以来の本じゃないか?ともかく恒例の「バラード・ランド」が展開されていてファンにとってはドキドキもの。このおっさんにとってはセックスでさえもリアルを喚起するものではないのだ。そして色濃く現れる「死」の影。ほとんど離人症すれすれの表現&描写に読者の心もアルタード・ステーツに旅立つ。「戦争経験のためにすべてのことにリアルを感じることができなくなっていたけれど、まわりの女たちの優しさによって何とか死なないで正気を保ち続けることができましたよ」てな内容。逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ。