プレイのしやすさについては…今更述べる迄もないだろう。はっきり言って全体を連結すると事実上プレイ不可能である。
それでは商品として成立しない。そこで、それぞれのパーツは単体でも遊べるように工夫されている。たとえば"First to Fight"などは、地図も1枚でいいし、駒も両軍合わせて600個位(残りの600個は全体を連結した時に使う)なので、実に気軽に遊べる。だが、単体ですら事実上プレイ不可能なパーツがあるところがこのシリーズの恐ろしいところなのだ。
"Fire in the East"は、地図は4畳分程度必要だし、駒が約3000個もある。まず第一に地図を広げる場所がない。駒に関しても、3000個すべてが最初から地図の上にある訳ではないが、駒の初期配置をするだけでも1日や2日平気でかかってしまうのだ。恐ろしいことにこのゲームは1対1でやることが推奨されていない。多人数でないと、とてもやってられないゲームなのだ。
もっとすごいのは"Second Front"で、地図の広さは西ヨーロッパなのでさほど広くはないが、駒が4800個もついているのだ。もちろんそれぞれが個別の意味を持った駒が。NiftyのFGAME(本当にコアなシミュレーションゲームファンが集まる)を覗いてみても、さすがにこの二つをやり遂げた、という人は見たことがなかった。
アメリカの雑誌に、こういう記事が載っていた。ある二人の熱心なヨーロッパシリーズのファンが、
"Fire in the East"と"Scorched Earth"をやり遂げようと合宿生活に入った。二つをつなげると、ほぼ独ソ戦の全てを再現することができるのである。彼らの計画は最初から躓いた。駒の初期配置だけで2日もかかってしまったのである。彼らは2週間で4年間の戦いを再現できると踏んでいた。しかしそれは甘い見通しだった。結局、2週間後、彼らは最初の1年を終わらせることもできなかった、と。この記事に全てが集約されているといえよう。