マルチゲームエミュレータとは
What is Multi-Game Emulator?


 一つのソフトウェアで、多数の種類のアーケードゲームを再現するもの。有名なものには次のものがある。

  プラットフォーム 説明
MAME

MAME32

DOS
Windows
MacOS
OS/2
PC9801
Amiga
X Window
Kodakのデジカメ
WindowsCE
Be
など
The Multi Arcade Machine Emulatorの略。バージョン3.3では600種類、バージョン3.4では1000種類にものぼるアーケードゲームをエミュレートする。バージョン3.6で2000種類を突破した。古くはブロック崩しから、ごく最近までのゲームまでサポートする(ネオジオゲームは最近のものがある)。さすがに最近の3Dゲームはサポートしないが、名作と呼ばれるゲームの多くを遊ぶことができる。特に8ビットゲームのサポートは圧倒的。バージョン3.4からはネオジオのゲームもサポートしている。欠点はあまりに多くのゲームをサポートしているせいか、特に16ビットゲームで速度が全体的に遅めなことと、ソフトの肥大化が著しいこと。そのため最近ではネオジオのみサポートしたバージョン、ネオジオのサポートを抜いたバージョンといったライトバージョンが出現している。
プラットフォームの数は圧倒的。ソースコードが公開されているオープンソースのソフトウェアなので、さまざまなチューンナップバージョンが日々作り出されている。
Callus DOS
Windows
カプコンの16ビット基板、システム1のエミュレータ。対応しているゲームは当然カプコンのゲームのみで、数はそう多くないのだが、ストリートファイターU、ストライダー飛竜、キング・オブ・ドラゴンズ、ファイナルファイトなどの名作ゲームを遊ぶことができる。かなり高度にアーケードの味が再現されている。ゲーム画像をセーブできるのはDOSのみ。対してWindows版は動作は遅いが、汎用性が高い。
Raine DOS もともとはレインボーアイランドのエミュレータだったが、現在はタイトーとジャレコのゲームを中心にしたマルチゲームエミュレータとなっている。バージョン0.28になり、ついにサポートゲームが200種類を越えた。かつてはスプライトの抜けがあるなど完成度の低い点も見られたが、現在ではほぼ解消され、サウンドの再現性もきわめて高まっている。ダライアスやニンジャウォリアーズのような3画面ゲームも問題なく遊べるところが驚異的。本来の開発者による開発は終了したが、ボランティアによる新しいバージョンの作成が継続中である。
System16 DOS
Windows
セガのシステム基板、System16のエミュレータ。スペースハリアー、ゴールデンアックス、アウトランなどのセガゲームの名作を遊ぶことができる。白眉は「マイケルジャクソンズ・ムーンウォーカー」。最近のリリースで音がサポートされたゲームが増えたが、これ以上のアップデートはなくなる様子。最近ソースが公開された。
RAGE DOS (R)eal (A)rcade (G)ame (E)mulatorの略。R-Typeやイメージファイトなどのアイレムゲームを中心にサポートする。再現性が高いせいか、アップデートがほぼ止まっている。
NeoRAGE DOS 名前の通りネオジオのエミュレータ。再現性は非常に高く、かなりのフレームレートでゲームを遊ぶことができる。驚異的な出来。難をいうと音がないこと、実行するのに大量のメモリが必要なことと、ROMデータが巨大なためダウンロードが大変というところ。
NeoRAGE-X Windows 上記NeoRAGEのウィンドウズ版。DirectXを使っているため動作は重い(またはフレームのスキップが激しい)。しかしDOS版と異なりサウンドを完全にサポートし、GUI画面でゲームの選択をすることができる。また仮想記憶のシステムがしっかりしているようで、MAMEではメモリ不足でプレイできなかった巨大なゲームも遊ぶことができる。
M72 DOS System16と同じ作者によるエミュレータ。アイレムの基板、M72をほぼ完全にエミュレートする。対応ゲームはR-Type、R-Type2、Xマルチプライ、ドラゴンブリード、Mr.ヘリ、大工の源さん、イメージファイトなどと少ないが、再現性は非常に高い。当然音も鳴る。CPUがV30だったとは驚き。サポートゲームがRAGEと大きくかぶるのが残念。
Retrocade DOS 8ビットゲーム/ベクタースキャンゲームのサポートを中心にした後発のマルチゲームエミュレータ。いきなり100種類のゲームをサポートするバージョン1をリリースして周囲を驚愕させた。プレイ可能なゲームの多くがMAMEとかぶるのがやや残念だが、自前のGUIランチャなど、MAMEにはない機能も実装している。現在はDOS版しかないが、他のプラットフォームへの移植が進行中とのこと。最近はMAMEのサポートゲームが増え、これのみで遊べたゲームが軒並みサポートされてしまったため、影が薄くなった感がある。
HiVE Windows High Velocity emulatorの略。グロブダをサポートするなど、ナムコゲームのサポートが多いのが特徴。かつてはCAGEと称していたプロジェクト。
Sparcade DOS 小規模なマルチゲームエミュレータ。ライフフォース/沙羅曼陀をサポートしていたのが特徴だったが、MAMEでもサポートしてしまったので優位性が薄れてしまった。アップデートが止まっているのが心配なところ。
JAS

JAS-System1

DOS JROK's Arcade Simulatorの略。8ビットのナムコゲームを専門にサポートする。
JAS-System1は、ナムコの基盤システム1をサポートする。現在はパックマニアとギャラガ88のサポートのみだが、将来的にはドラゴンスピリッツなどもサポートできるはずなので期待が高い。だがこれもすでにMAMEでサポートされてしまったので、影の薄さは否めない。
Shark Windows 飛翔鮫のエミュレートから始まったエミュレータ。東亜プランのゲームのサポートを中心にする。Windowsプラットフォームでありながらかなり軽く、東亜プラン特有の激しい攻撃のシューティングも快適に遊べる。


 このほか、一つのゲームだけをエミュレートするシングルゲームエミュレータや、コンシューマーゲームのエミュレータも存在する。コンシューマーは別にわざわざPCで遊ぶ必要はないので、ここでは取り上げない。

 特筆すべきは、「エミュレータで動く昔のアーケードは移植ではない」こと。それは昔のアーケードそのままで、ゲーム基板を買ってきてゲームをするのと全く変わらないのだ。もちろんソフトウェア的に再現されきっていない部分もあるが、基本的には昔のアーケード、それ自体を遊ぶことができるのだ。

 これらのエミュレータをダウンロードしてきただけでは、カセットのないファミコンのようなもので、ゲームをすることはできない。遊ぶためには「カセット」、すなわちゲーム基板から吸い出したゲームのROMデータが必要となる。ROMデータの取り扱いは著作権の考えに触れる可能性を持っているのでここでは触れない。エミュレータ自体はフリーで、エミュレータを使うこと自体には何の問題もないのだが、その上で動くソフトはソフトメーカーの著作物だからだ。そのためここではROMデータの在処や入手方法を明かすことはできない。インターネットのどこかにはある、とはいえるが、その利用には常にリスクが伴う。であるから、ROMの使用には責任のある態度が求められることになる。

*エミュレータに対する私の見解はこちら*
 

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