私の目的はこうしたソフトウェアなりデータなりをダウンロードして、著作権法の有効性がすでに無くなってしまったことを訴えようというものではない。自らの作品に無頓着なソフトハウスの姿勢を批判しようというのでもない。この手の言説はあちこちでみることができ、MP3のデータに関してもよく言われる。曰く、もはや旧来の著作権の考えは有効性を持たない、であるとか、昔のゲームは文化遺産であるのに、メーカーすらその記録を取っていない、エミュレータは文化遺産の保護なのである、云々。が、これらの言説は、単なる自己正当化にしか過ぎないものが多い。どっちにせよ、グレイゾーンに足を踏み入れているのには変わらないのだ。いまさら言い訳したところで何になろう?それで違法性が消えるわけではないのに。
私はそこを理解した上で、改めてエミュレータの世界に足を踏み入れようと思う。私は私のノスタルジーと好奇心に忠実でいたい。そしてこのインターネットならではの文化を徹底的に楽しみたいと思っている。次に目的を次のところにおきたい。
その範囲でエミュレータを使いたいと考えている。もちろんこうした目的の提示により、違法性が消えるわけではないので、そのことへの責任はきちんと負いたいと思っている。
また、この特集での記述はすべてノン・プロフィットで行う、ということを明記しておこう。これはエミュレータの作者たちに対する仁義であるし、著作物であるデータを商業的に二次利用していないということの宣言でもある。ノン・プロフィットであるからこそこれだけ盛んになった新しい文化に敬意を表する、という意味もある。無論このWebサイトにある文章を無断で二次利用することを許可する訳ではないのでご注意あれ。客観的に見て引用であると判断できる場合はよいが、無断で商業誌の記事にすることなどは絶対に許さないので御理解頂きたい。→このサイトのポリシーもご参照あれ。商業誌などにおけるエミュレータの記事などは、私はかなり苦々しく思っている。本来ノン・プロフィットのプロジェクトをメシのタネにすること自体仁義に反しているのに、さらにエミュレータの未来さえつぶそうとしているのであるから。これまでエミュレータと、それを取り巻くネットワーク上のコミュニティは、小規模なものであったからこそ「目こぼし」を受けてきたのだ。なのに雑誌ではそれに反し、目先の面白さや「タダで昔のゲームができる」といった理由でエミュレータを取りあげている。このことは結局エミュレータの作者の立場を悪くし、ユーザにも不利益を与え、自らの首を絞める結果になるというのに。だからここではそうした近視眼的な見方に真っ向から反対していきたいと思う。
Last Update:Thursday, 13-Nov-2014 09:20:50 JST