つれづれなるマンガ感想文12月後半

「つれづれなるマンガ感想文2000」もくじに戻る
「つれづれなるマンガ感想文」12月前半
一気に下まで行きたい



・「アワーズライト」2月号(2000、少年画報社)
・「週刊漫画アクション」2・3号(2000、双葉社)
・「リイドコミック」2月号(2000、リイド社)
・「濃爆おたく先生」(1) 徳光康之(2000、講談社)
・「伊賀淫花忍法帳」 石川賢(2000、双葉社)
・「宇宙長屋」 石川賢(2000、双葉社)
・「コミックまぁるまん」2月号
・「おんな警察」全2巻 沢田一矢、好奇真(1986、芳文社)
・「週刊少年チャンピオン」3号(2000、秋田書店)







・「アワーズライト」2月号(2000、少年画報社)

おれこの雑誌、かなり好きかもしれない。当の昔に捨て去ったあこがれみたいなものがこの雑誌にはある。方向性としては、少女マンガ通過後の少年マンガというか、男側から見て少女マンガを「再発見」した体験がそのまま反映されているというか。

・「純粋!デート倶楽部」 石田敦子

新連載第2回。
「失われつつある『トキメキ』」を提供するビジネス「純粋デート倶楽部」。駆け引きでもゲームでもない、契約としての恋愛を演出する。

今回は、女装している美少年・真白が女装するようになったワケを描く。

初回からがぜん注目なんですけど、今回もよかったなぁ。なんつーか、かなり生々しい自我とか自己実現とか、そういうのをクサくなく、それでいてきっちりと描ける作者だよなあと思う。

・「ハニー・クレイ・マイハニー」 おがきちか

短期連載第2回。SFおしかけ女房モノカテゴリ。
男やもめ・楯宮のもとに現れたメイド風お手伝いさん・ハニーは発掘された埴輪。楯宮のもとで働くことに。
のほほんとしたかわいらしい味。

・「えりちゃんの恋」 オオシマヒロユキ、猪原大介

読みきり。先輩に失恋したえりちゃんが、宇宙人から自分のことを無条件に愛してくれる人造人間をもらう。

ものすごく単純なプロットながら、コレには感動してしまった。いわば「おしかけ女房モノ」の基本パターンをひねったというか、まあ基本パターンをひねるという創作過程はたぶん経てないんじゃないかと思うんだけど、あえて言うとそうなる。ちょっとコレは言葉では説明しにくい。優しさと残酷さが同居しているような結末。コレいいなあ。

・「窓より愛をこめて」 宮下未紀

読みきり。パソコンの3Dゲームから抜け出してきた美少女メイド。つまりストレートなSFおしかけ女房モノ。しかしコレがけっこう読める。才能のタマモノであろう。

ある意味「えりちゃんの恋」とものすごく対照的な展開であると言えるのだけれど、本作も「えりちゃん……」も、70年代後半からの「男の子が少女マンガを読む」という現象がなければおよそ成立しえないことを考えると、実にいろいろなことを考えさせられる。
(00.1231、滑川)



・「週刊漫画アクション」2・3号(2000、双葉社)

「ぷるるんゼミナール」 ながしま超介

毎度まいどのバカバカしさにはいい意味で実にうならされる。ウーマン・リブを皮肉っぽく扱った作品として私が思い出されるのはドラマ「おれは男だ!」くらいのものなんだが、「おれは……」では現象のみとらえ、また男女の予定調和に対するオプティミズムがあった。それがフェミニズム的にイイか悪いか無視すべきなのかはまったくわからない(たぶん無視)。しかし、簡単に言って単純素朴だったわけだ。

その他、エロコメマンガなどには「レズビアンに男の良さを教える」とか、「女権論者が実は男を知らなかった」とか、……まあ私から見てもちょっとマズいんじゃないかというお話もけっこうあり、ソレが男向けマンガでギャグっぽくフェミニズムを扱う限界だったんだが、本作「ぷるるんゼミナール」の設定はその限界を軽く越えている。

今回は主人公・深瀬菜々美が「女性解放運動家のビデオをレンタルしようとしたら、ビデオ屋で別の男の借りたエロビデオと入れ違ってしまい、返してもらおうとその男の家に行ってそのままHしてしまう(あらすじを書くのもいい意味でアホらしい……)。

しかも菜々美の借りようとしていたビデオは「立て女たちよ 主演メギ・ライアン」であり、男の借りようとしていたのは「巨乳妻は町内会長さん」であった。
パロディとしておせじにもうまいとは言えない。というより何も考えていないっぽいが、その無意味っぽさが本作の魅力なのである。とにかくココまで無意味なストーリーはなかなか組み立てられないよ。「無意味をつくる」という意志さえ感じられない。

今回出てくる男が大晦日に「世紀越えオナニー」を考えていたというのも実にくだらなくてイイ。

「天の鷹」 谷口ジロー

今週号から新連載。月イチ。維新後、日本からアメリカにやってきた二人の元会津藩士が、インディアンのために戦う話らしい。

「むっ尻娘」 さつき優

「湯けむりに消えた美尻(後編)」。「尻研究家」の猿田が、ひなびた温泉旅館で「幻の美尻」の持ち主を見つけるという話の後編。「流浪の旅をしながらイイ女とヤりまくる」という伝統的なパターンだが、このヒトの描く女の子は好みなんでもうカワイイ女の子描いてくれればイイって感じで。
(00.1231、滑川)



・「リイドコミック」2月号(2000、リイド社)

「コットンプレイ」 矢野健太郎が、休刊したボナンザから移ってきたというので購入。しかし今月号1回きりで最終回。

霊体化して記憶を失った琴美が、松田という男の家に住み着くことになるというドタバタエロコメ。突然の最終回にどうなるかと思ったが、作者お得意(?)の、登場人物たちが物語から出てきてしまってその展開にあれこれ口を挟むというパターン。
せっかく雑誌連載ベースで楽しんでいたので終わってしまうのはとても残念だけど、打ち切り(人気がなかったわけじゃないが雑誌休刊の都合上仕方なくらしい)としてはまとまっている方ではないかと思う。
あとね、矢野健太郎のマンガって、登場人物自身が物語のパターンというか王道をわきまえていてツッコミを入れたり、それ自身をギャグにしたり展開上のフェイントにしたりという場合が多いんだけど、今回のいちおうの結末でもあるように、王道は王道としてきっちり始末を付けられるのがね、個人的にイイと思いました。

今回1回こっきりの掲載ながら、まるまる1ページ使って今までのあらすじが説明されているのが圧巻。

・「萬山十番勝負」 岡村賢二

賭相撲を押し進めている暴力団とその子飼いの力士との、萬山の戦い。この間新しく決まった決まり手が取り入れていたりして。けっこうイイ。

・「セックスパトロール こずえちゃん」 立沢直也

「21世紀の変態」SEXメンと戦う婦警・こずえちゃんを描いたギャグ読みきり。「ボナンザ」のときにけっこう面白いと思っていたので、リイドコミックで連載などしてほしい。

・「ビンビンおやじ」 さとうしんまる

私が中学時代(すごく前)、少年サンデーで「ダメっ子ユキちゃん」という4コママンガを描いていた人の4コマ。再会してすごく驚いた。

・「千客万来あほんだら劇場」 村尾利明

ギャグマンガ。「映画の結末を予想する賭け」というアイディアが面白かった。

・「OH! 順子ママ」 みたに・ひつじ

スナックの順子ママを主人公にした4コマ。みたに・ひつじのマンガってけっこう好きなんだけど、「順子ママの頭がデカい」というギャグはひかえた方がいいと思う。

他に「借王(シャッキング)II」 土山しげる、平井りゅうじ「新 柔侠伝」 バロン吉元「SPEEDSTAR」 西風など。
(00.1229、滑川)



・「濃爆おたく先生」(1) 徳光康之(2000、講談社)

独断と偏見による、当HPの「1999マンガベストテン」でも選んだ作品。今年になって単行本が出た。
主人公・暴尾亜空(あばお・あくう)先生は、授業中にジオンが勝つ嘘歴史を生徒たちに叩き込み、全員を受験失敗させたほどのMS(モビルスーツ)おたく。
しかもドムが大好きで、バリバリのジオン派である。転任先でも自分のMSに対する情熱やそれに伴う妄想を生徒にぶつけ、感動を巻き起こす。

「重箱の隅的なネタを繰り出してくる」のがおたくだとするならば、「おたくネタ」はマンガでは当たり前のことになってしまった。マンガやアニメの好きな人同士の会話でも「コレは知らねえだろ」的な話で盛り上がることは少なくないだろう。
ところがやはり、体系を知っていてのサマツネタと、そうでないネタとではネタの料理のされ方、解釈などが相当に違ってくる。知識の全体量が少ない者のネタは昨今では「薄い」と言われ、そうでない場合でも実に微妙な位置に置かれることになる。
むろん、知識が多いだけで総体を把握していない場合は問題外であることは言うまでもないだろう。

また、ネタ出しをするときでもそれを全面に持ってくるか、さりげなく背景にとどめるかでもまた印象は違ってくる。どちらにしろネタを出したもののセンスが関わってくることは当然である。

本作は、ネタ出しの鋭さという点において群を抜いており、またそのネタ自体を全面に出し、ストーリーの柱としているところに面白さがある。
第2話「めぐりあいCV(こえ)」では、校長先生の声が「ゼーレのキール・ローレンツ議長の声にそっくりだからおっかない」と言う声優おたくの同僚教師に対し、暴尾亜空(あばお・あくう)先生は「オレにとっては避難民キャンプでベッドの中のアムロに撃ち殺されるジオン兵ロスの声」、「だからこわくない」と切り返す。そしてそれが大オチ。
しかも「ロス」という名前は映画版で付けられたもので、この映画版でのみ、ローレンツ議長の声・麦人が寺田誠という本名でアテているという。う〜んそんなこと知らないですよ。でも面白い。

また2人の友人と「叫ぶジオンの会」を結成している暴尾亜空先生は、「叫ぶ詩人の会」風の路上パフォーマンスを行うのだが、ここで「諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだッ なぜだッ」というコールに対し、道行くサラリーマンの中で数人がポツリポツリと「坊やだからさ」「坊やだからさ」と思いながら通り過ぎていくとか(第7話「吐く激!! トリプル・デブ」)、ジャフコン完売を夢見る番長が完売ボードを「もう作っちまったもんね さも 急につくったようにダンボールの切れ端にマジックで書いて」(第9話「光速で走り、衝撃に唸る」)など、単なるネタ出しではなくあるおたく的事象に対するキャラクターの反応が実に面白い。暴尾亜空先生を含め、激しい思い込みやかけあいによってネタがどんどんヒートアップしていく感じか。

「MSネタ」という本流でとくに面白かったのは、格闘技マンガ風に妄想を激しく語り合って勝負する第9話「光速で走り、衝撃に唸る」
連邦軍妄想「GM開発史」、公国軍妄想「ジオニック社の特許がなければッ 黒い三連星はガンダムに勝っていたのに!!」話などの、「正史」に抵触しない程度に醸成された熱き妄想合戦が行われる。また「ドムを創った男たち」(よく少年マガジンとかに載ってる開発秘話のパロディ)は、巻末にも小説風の文章が載っていて実にシブイ。
個人的には「ロボットアニメがSFを語るな」とすごむ頑迷な(?)SF者(もの)との対決がよかった。いやあ本当にイイですね。泣けるよ。

……といいつつ、実は本書のネタの半分くらいはわからなかったりするのだ。それを踏まえた上で書くんだけれど、やはり驚くのは「ガンダム」、「MS」という世界の豊穣さである。「プラモ狂四郎」も、ガンダム、およびガンダム「プラモ」という世界の深さを了解した上でのワンダーを構築した物語だったが、本作はプラモだけでなく、映画版、「ジオンの系譜」などのゲーム、ガンダムセンチュリーというムック、フィギュア、そしてオタク文化一般を総体的に理解した上でそこに熱中する者の「熱さ」が描かれている。「プラモ狂四郎」から20年弱、ガンダム世界はやはりすごい勢いで膨張していったのだ。

こうしたオタクネタ披瀝を全面展開する作品の場合、おのれの立場を非常に客観的な「覚めた」状態に置くか、自分が何に感動するかにポイントを絞り「熱さ」を基準に置くかでテイストも違ってくるが(私はどちらも好き)、本作ではあくまでも「熱さ」が基準になっている。
だからどんなに細かいことを拾っていっても、設定資料を読み込んでも、決して考証地獄に陥らない強さがある。う〜んコレだな、と思う。「オタクネタ」を描くときのポイントというのは、細かい資料あさりより前にこの「気持ちのありよう」みたいなことがある。というか、「オタク文化」そのものがその指針を求めて現在まで来たと言っていい。その意味で本作の面白さっていうのは考えさせる何かがあると思いますね。

それと、本作ではロリコン、美少女フィギュアなどのオタクのセクシュアリティについても触れられているけど、たぶん(あくまで予想)作者はそんなにオタクの代名詞的二次元美少女には興味ないんじゃないかな〜と思わせるフシもある。「サクラ大戦」オタクでもあり、マリアの大ファンということではあるが、なんというかそれほどダメダメな感じはしない。その辺についても考察しようと思ったけど、長くなったのでまたの機会に。
(00.1227、滑川)



・「伊賀淫花忍法帳」 石川賢(2000、双葉社)

78年頃の作品。表題の「伊賀淫花忍法帳」は、伊賀忍軍とくの一軍団がセックスがらみの忍法で壮絶な戦いを繰り広げるという山田風太郎チックな話だが、その忍法は石川賢流のさらにバカバカしいギャグっぽいものとなっている。「忍法清水港」は、清水一家が忍法を覚えて幕府転覆を狙っているとのことで、「伊賀淫花……」に登場した忍者・美女丸が仲間とともに清水港へ向かう。「清水一家が忍者」という時点でやはり山田風太郎チックではあるが、そこはそれでまた石川賢節のさえる奇想天外な忍法合戦が繰り広げられる。
「次元忍風帳」は、忍法モノとSFをミックスさせた作品。「サイボーグ忍法 無重力地獄!!」というのがイカス。
(00.1225、滑川)



・「宇宙長屋」 石川賢(2000、双葉社)

初出表記なし。29世紀、人口が過密化した地球から人々は宇宙船で宇宙へ飛び出した。「長屋式宇宙船 7MQG(ナメクジ)」に集まっている熊さん八つぁん大家さんなどが登場して大騒ぎのSFギャグマンガ。

個人的には2つのゲタ型の宇宙船でシャナリシャナリと花魁道中、ってのが好き。
もったいぶってゆっくりと、2つの宇宙船が交互に飛んでいくんだよね。

実にイイ意味でバカバカしい話が1話完結形式で続く。「第四幕 驚異のタイムマシン」では、吉原(なか)で遊びたいが金のない熊さんたちが、マッドサイエンティストのつくった「時空と時空を結んで夜這いできる装置」で時空を越えて夜這いに向かう。
「第六幕 鉄マンロボット」は鼻の先がチンポ型をしている巨大ロボ「鉄マン28号」が人間の女を犯しまくるため、かつて科学者だった大家さんが女性型のセックス可能なロボットを引っぱり出してきて戦わせる。

まあ落語的世界観をそのままSFに使う、ってのは当時でも珍しい手法ではなかったと思われるが、石川賢ちゃんの暴走ぶりというかメチャクチャな感じが楽しい1冊。

また、現在似たようなプロットで描いてももはやSFかどうかは問題にされないのではないかと思うけれど、本作では一般SFファンに対する作者の言い訳が少し見られ、そこら辺も何かしみじみする。
スター・ウォーズの影響が実に濃厚なので、おそらく70年代後期の作品。
(00.1225、滑川)



・「コミックまぁるまん」2月号

ひさしぶりに購入。巻頭グラビアは小池祥絵。「まぁるまん」の巻頭は、必ずモデルに白い水着を着せる。それが表紙。こういう趣向は楽しい。

・「聖魔(せま)ってミーア」 宮本たつや

聖魔(せま)ってミーア

新連載。彼女いない歴25年の大黒寺俊平は、メル友のサオリにアッサリふられてしまう。かけなおそうと素早く携帯をプッシュしたとき、それが偶然魔法陣を描いたために悪魔ミーア・デ・プッチーアモが出現。サオリにそっくりなミーアに思わず抱きついてしまう俊平、そんな彼に同情してしまうミーア。

ギャルゲー的要素がマンガに取り入れられた「ラブひな」全盛の昨今、もう出てこないと思ったら新年から新連載のSFおしかけ女房モノ

最近はどのような意味においても「劇画」が減ってしまい寂しく思っているのだが、宮本たつやは劇画系のエッチコメディをよく描く人。

・「晴れたらKoi▼(←▼はハートマークの代用)」 水上桜、田中雅人

連載第3回目だそう。陰陽師・阿倍晴明の子孫の少年・阿倍晴太と、同級生の女の子たちとのラブコメ話らしい。

・「極楽貧乏カンパニー 大貧民!!」 川尻よしひろ

連載3回目らしい。モテない貧乏青年3人組が、今回いろんなやり方でオナニーする。誌面で読者のオナニーや貧乏に関する体験を募集し、採用された人には作者による、読者の注文どおりのズリネタを絵にしてくれるという(これはけっこういい企画かも。他のマンガ家もぜひやってほしい)。

川尻よしひろって出自を浅学にしてしらないんだけど、金井たつおとかのだしげるとかその辺のラインの絵柄でなおかつすごく絵がキチャナイイメージ。登場人物の頭のカタチとか、ヘンなデッサンの狂い方してるし……。だから貧乏ネタとかオナニーネタも、何か一種独特の汚さを感じる。なんというかガロ系のモロモロとか小林よしのりとかとは違ったオリジナルなキタナイ感じ。まあそれが一種の魅力なのかもしれん。

・「ミッション ハイテンション」 キッチュとよきち

少女マンガ系の絵柄で下ネタをかますという、最近定型化している4コマ。でもコレはわりと飛躍してて面白いかも。

・「新出動! ミニスカポリス」 岡田正尚

第9回目。新メンバーとなりリニューアルして、いまだに続いているなんて知らなかった。今回はライバルポリスとエッチなすごろくをやる新メンバーの3人。

・「GO AHEAD 昇龍伝」 英福真美、押山雄一

第7回。特技を持った5人の若者が、海外でのし上がっていくような話らしい。途中から読んだので詳細わからず。

・「戦うメイドさん!」 西野つぐみ

第44回。美少女メイドロボットと同居する青年・ハルチカの話。
メイドロイドの一人・如月が人を救おうとして大型電気炉に落下、電子頭脳以外は焼けてなくなってしまう。しかし代わりのボディがないため、冷たい「いかにもロボット」な感じのボディに電脳を組み込んで復活する。しかし姿が変わってしまった如月に、ハルチカはいまいちなじめない……。

「アンドロイドにおける美醜のモンダイ」というある意味タブーを描いたマンガ。

・「山田家の場合」 ともだ秀和

オーソドックスな、実録風人妻浮気もの。
(00.1222、滑川)



・「おんな警察」全2巻 沢田一矢、好奇真(1986、芳文社)

クラブ・スコーピオンのママ、村崎美麗とそのもとで働く4人のホステスたちは、実はのさばる悪を闇から闇へ葬り去る仕置人みたいなことをしていた……という1話完結ものの劇画。

この作品、プロットが単純なわりには妙に読み進むのに時間がかかったが、それは「驚くほど意外性がない」という理由に尽きる。
とにかく出てくる悪人の悪事に独創性というモノがない。それに加えて、村崎美麗と4人のホステスにもオリジナリティ溢れる殺し技があるわけでもない。さらに、キメ文句「美しい花の命より醜い花の方が命永らえるなんて/私には耐えられない」も、ゴロ悪すぎ。しかも律儀に毎回出てくる。

作中もっとも意外性のない回としては、第2巻・第2話「小悪党に死のダイビングを」があげられる。
冬美(ホステスの一人)の遠い親戚にあたる少年・安夫の父は、会社の金を横領した嫌疑をかけられ自殺してしまう。父の親友である阿久津は、安夫を慰めるが大金を持っていたり、裏で父を真犯人だと言いふらす。安夫は彼こそが真犯人だと思い、刺してしまい、少年院へ入れられる。
出所した後も阿久津を犯人だと信じ込む安夫。冬美をはじめ、クラブ・スコーピオンのメンバーは阿久津の身辺調査をはじめる……。

で、どうなるかというと、本当に阿久津が犯人だったのである。

巻末掲載の読みきり作品、「肉欲の落とし穴」「偽りの性愛」の2編はひと昔前の推理小説の短編集に載っていそうな作品で、むしろ意外な結末を持ってくることをテーマとした話だけに、本作の静的プロットが不可解なのだが、それもまた事実なのである。

あまりに生気のないパンチラにも注目。
(00.1216、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」3号(2000、秋田書店)

・「ななか6/17」 八神健

何らかの事故(忘れた)で、17歳から6歳に精神も記憶も退行してしまったななかが、学校でイロイロ騒動を起こす。
もちろんクラスメートには秘密で、幼なじみの少年・稔二だけがそのことを知っている。今まで冷たい感じだったななかが、かわいいキャラ(まあ6歳だから当たり前と言えば当たり前なのだが)に変わってしまったことに対し、「稔二の興味をひきたいがための媚態」だと断じて「今までと違った意味で感じ悪い」と反感を持つ女子連、というのがかなりリアル。

・「バキ」 板垣恵介

加藤が瀕死の重傷を負わされたため、神心会が人海戦術で死刑囚・ドリアンを追いつめる。しかし追いつめるも何も、あんな変装してもバレバレではないかと思うがドリアン。「そうとうデカい外人」ってだけで目立ってしまうと思うが。

作者巻末コメントの「年末スケジュールがファンタジーの領域に入りつつある」というコメントがすごすぎ。
(00.1216、滑川)

「つれづれなるマンガ感想文2000」もくじに戻る
「つれづれなるマンガ感想文」12月前半
ここがいちばん下です
トップに戻る