つれづれなるマンガ感想文2月後半

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一気に下まで行きたい



・「サトラレ」(1) 佐藤マコト(2001、講談社)
・「週刊少年チャンピオン」13号(2001、秋田書店)
・「週刊漫画アクション」10号(2001、双葉社)
・「新宇宙戦艦ヤマト」(1) 松本零士(2001、小学館)
・「YOUNG キュン!」3月号(2001、コスミックインターナショナル)
・「週刊少年チャンピオン」12号(2001、秋田書店)
・「ミナミの帝王」(51) 天王寺大、郷力也(2001、日本文芸社)
・「雀鬼の群れ」 戸川洋祐、司敬(1984、グリーンアロー出版社)
・「警視総監アサミ」(1) 近藤雅之、有賀照人(2000、集英社)
・「星の旅人」 やまさき拓味(1991、橘出版)
・「霊感! 合格術」 あいざっく蕪殷(1991、橘出版)
・「花の悪霊団」 ほしのちあき(1990、橘出版)
・「青春!! 雀鬼颯爽」小島武夫、志村裕次、西塔紅一、司敬(1985、実業之日本社)
【同人誌】・「エラガバルス」(3)〜(4) かぢばあたる(2000、CAGIVA!)
【同人誌】・「読みきり短編集 ガレージ」 かぢばあたる(2000、CAGIVA!)





・「サトラレ」(1) 佐藤マコト(2001、講談社)

モーニング新マグナム増刊掲載。本作のレビューは、おれ的には極視的にならざるをえないかもしれない。
十何年か前、モノの本にこう書いてあった。「近頃の若い者にとっての唯一のリアリティは『人間関係』だ。だから大学受験でも心理学を専攻したりする。かつては早とちりして、いわゆる『人間関係』とは関係ないタイプの心理学科を受けてしまう者もいたが、最近は『臨床』心理学と断り書きを書くことも忘れない。しかしどちらにせよ、学生にとっての最大のリアルが人間関係であることには変わりはなく、ソレが学問で読み解けるという幻想もどうかと思うし、また社会的な諸要素をいっさい無視して一足飛びに『人間関係』に迫って悩みを解決できると考えるのも早計だろう」(ものすごく大雑把な要約)
確かに正論ではある。十何年か前の私は深く反省し、現在に至る。
だが現在、あらためてこう思う。
現代人の最大の悩みは人間関係だ。それに反論できる人があろうか!?

テレパシーのごとき能力で他人の考えを知覚できる人間、それは「サトリ」と呼ばれた。「サトリ」の出るマンガといえば「ブラックエンジェルズ」であるが、それはまた別の話。
本作に登場するのはその逆、自分の考えていることが広範囲にわたって知れ渡ってしまうという「病気」の保持者「サトラレ」である。しかし「サトラレ」の現象は、彼らが天才的な能力と強い精神エネルギーを持つことから起こる。すなわち、人類にたいへんな利益をもたらす可能性のある一種の超人なのだ。
しかしだ。自分の考えることが他人に全部知られてしまうことに耐えられる人間は少ない。実際に、発見第1号のサトラレは自殺してしまったらしい。そこで国はプロジェクトとしてサトラレを保護している。サトラレがサトラレであることを絶対に知られてはならない。あるいはサトラレがその才能を最大限に活かすべき職業に誘導してやる。このため、人々はサトラレにウソをつきとおし、あらゆる芝居をうつ。そうしたことが実際に行われる過程を、1話完結形式で描いていくのが本作だ。

人間関係がどんどん不透明になっているのが現代である。もちろんそれは固定化した関係を壊した結果であるのだが、人間は流動的に生きられる代わりに非情に不安定な状態に置かれている。
コレもモノの本に書かれていたのだが、サラリーマンに対するもっとも気になる批判は「きみ、最近評判悪いよ」であるそうだ。評判! 評判ほど日々気になることがあろうか。
実際、常に他人の顔色ばかりみている私は、自分の考えが他人に全部見透かされてんじゃないかと思うときがある。本作中の「サトラレ」は自分の考えが他人に筒抜けになっていることなどまったく知らないのだが、その筒抜けになる過程は「他人の顔色気になり人間」には実にリアリティのある描写ではないだろうか。しかし「もしかしておれの考えは知られているのでは?」という妄想から、悪夢的泥沼なホラー的展開などにはならず、「ではなぜ日常がおおかた滞りなく済んでいるのか?」というもう少し大きく発想を広げたところに本作の勝因があるような気がする。……って作者がそのようなアイディアの形成過程をとったかどうかはぜんぜん知らないのだが。

実際、サトラレが自分の性質を知ってしまったときのエピソードも織り込まれているし、サトラレの親、上司、恋人たちの心情が実にうまく表現されている。つまり「おれの考え筒抜け妄想」の人間が妄想地獄におちいらず、外側から世界を見てシミュレートしたらどうなるか? というような奇妙な冷静さとリアリズム、そして人間に対するやさしさを表現している連作である。社会システムとして考えた場合、どう考えてもありえないと思いつつもひきこまれて読んでしまうのは、現象やシステムとして不合理ではあっても、その立場立場の人間の立ち姿に真にせまったものがあるからだろう。

もちろん「サトラレ」なんてものは現実には存在しないのだが、サトラレに対する人々の「ハレものに触り感」には個人的に非常にグッとくるものがあった。本作ではあくまでプロジェクトのためということにもなっているが、それだけではなく、人間は優しさから、あるいは自分が傷つきたくないから、人に「ハレものに触るように」接する。それは私が(個人的見解だが)「すべてに射矢(いや)ガール」(1) ロクニシコージ(2001、講談社)と共通して感じる感覚だ。
だって現代人の最大の悩みは人間関係なのだから。そのこと自体に現代人の悲哀があるとしたら、それも含めて問題なのだから。

ところで、サトラレは一種の超人であることが本作を成り立たせている部分は大きい。では超人の描き方として、本作は単に「サトリ」を逆転させただけのものなのだろうか。意図したものにしろ結果的にしろ、私は違うと思う。
人間社会に多大な影響を及ぼす人物は、マンガの場合たいていおそろしく個性の強い神か悪魔かという人物で、不屈の闘志を持ち、子供のような一面を持っている。本宮ひろ志作品や往年の雁屋哲のバイオレンスもの、梶原一騎や小池一夫、小林よしのりなどもそうした超人(というか天才、大物)を描いている。
最も典型的なのはバイオレンス・ジャック(永井豪)に登場する凄ノ王ではないだろうか。なにしろ意志力によって物体を実体化させるのである。

しかしサトラレはそのまったく逆だ。自分の意志は筒抜け。しかし筒抜けでも彼らの人間像や行動は不可解な場合がある。そして彼らのために人間が動く。
もちろんそうした描写がそのまま現実の天才とか大物の人物像を直接表しているとは思わないが、前述の広義の立身出世モノが超個性的な人物を打ち出してくる人物中心史観の一種なのに対し、実に柔らかく面白みのあるアンチテーゼではあると思う(作者はアンチテーゼなどと思ってない可能性は高いが)。
(01.0227、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」13号(2001、秋田書店)

「ぷろぶれむちゃいるど」 高柳ヒデツは新連載。美少女アクションマンガになるのだろうか? わたし的にはまだ様子見の段階。どっかで見たことのある絵柄なんだが思い出せない……。「バキ」 板垣恵介は、対加藤戦でドリアンが見せた中国拳法が、今後の伏線で活かされるかどうか、ってカンジか。やはり烈海王との戦いになるのか?「浦安鉄筋家族」 浜岡賢次は、ジャッキー・チェンそっくりのアクションおばさん、大福星子が登場。ライバル主婦の佐茂飯禁子とコロッケの取り合いからエスカレートするジャッキー風アクション……なのだが、「サモハンがモデルなんだろうけど似てないなー」と思ったらサブタイトルが「似ないサモ顔」。コレだけで本編なみに笑った。「フジケン」 小沢としおは、パンヤオに憧れて沖縄目指してヒッチハイク。旅先でも不良とのケンカになるか。「ななか6/17」 八神健は、6歳児に後退したななかがかわいそうなリストラおじさんに善意の施しをしたことがアダになる、という話だが、それぞれの違った立場から全体的なお話を紡いでいくのが実にうまい作家とみた。それと、ななかが慌てるときに使う「はわわー」は流行らせようよ。流行るよ。「満天の星」 楠本哲は、いいなあ。ファイタータイプを否定するボクサータイプとの戦い。じわりじわりと盛り上がっていく感じ。
(01.0223、滑川)



・「週刊漫画アクション」10号(2001、双葉社)

「日本人」 柳沢きみおは新連載。あやまって愛人を殺してしまった男と、会社から300人のリストラを命じられあと2人にせまった男が登場。今回この2人はまったく交錯していないので、今後を見るしかないわけだが。「ぷるるんゼミナール」 ながしま超助は「プルァイド.4」。男女がくんずほぐれつしてレスリングをやるうちにHな方向へ……というのは、本作にしてはちょっとベタか。コミックス発売決定とは……。どうなるオッパイファンド!? 「むっ尻(ちり)娘」 さつき優は、巨乳およびオッパイ星人的作品の多い本誌にあって、積極的に尻派の牙城を守ってきたワケだが、どうやらシリーズ連載としても最終回。「究極の美尻はこの世に存在しない」とあきらめてしまった主人公・猿田が廃人のようになってしまい、かつて彼に助けられた美少女が恩返ししようとする。「僕はもう……尻研究家をやめたんです」、「これこそ尻がつくるコミニュケーションなのだ!!」、「我が『尻魂』永遠なりっ」というすばらしいセリフを残して猿田はアメリカへ旅立つ!! このあたりの意識的ベタさ加減も好きだったなぁ。あと出てくる女の子がすごくかわいかった。っていうか好み。
(01.0223、滑川)



・「新宇宙戦艦ヤマト」(1) 松本零士(2001、小学館)

コミックGOTTA連載。宇宙戦艦ヤマトの活躍から1000年間、異星人同士の大きな争いごともなく平和だった宇宙に、新たな恐怖が襲いかかりつつあった。古代進の子孫、古代32世を初め、沖田艦長の子孫佐渡の子孫森雪の子孫たちが北極の底にねむる新宇宙戦艦ヤマトに集結し、新たなる旅立ちがはじまる。

もともと、こまごまとしたSF考証の取り入れよりファンタジー的、神話的要素の強かった松本零士作品だが、「ドカベンプロ野球編」じゃないけれど、大御所と言われるようになってその傾向がますますハイパー化したように思われる。

まずかつてのヤマトの乗組員は全員名前を世襲で名乗っている。顔もソックリ。
そして代々腕時計を受け継ぎ、何かコトがあればそれが知らせる仕掛けになっていたらしい。しかも1000年間動き続ける時計。
しかしその仕掛けがすごい。腕時計から警報が鳴るとか、立体映像が出てくるとか、そういうんではなく
「ヤマトへきたれ」と文字が浮き出てくるのだ。とてもスター・ウォーズ(しかも20数年前の方のやつ)が公開されてからの演出とは思えん。

他にもヤマト初公開時に使用されていた3次元空間方位測定器(しかし1940年代の機材を改造したもの)を、さらに2199年から1000年後にもまた使用しようとしたり、
「ここがヤマトだ!! 宇宙戦艦ヤマトだ!!」「父がよくCGで描いてみせてくれていたヤマトの戦闘艦橋だっ!!」と古代が叫んだり(「父が描いた」どころか、このシーン自体がCGなのでは? いやよくわからんけど)、さらに古代が「『電影クロスゲージオープン』……代々我が家の『寝言』で有名な言葉です……」と言ったりと、実にイイ塩梅な要素が満載となっているのである。

肝心の新ヤマトに関しては、CGをやたら使い回しにしているらしい点も見受けられるが、「何度もコケ落ちることで有名だった下部第三艦橋が恐ろしく強化されて」いたり、それほどヤマトに詳しくない私のような読者でも納得できる描写もある。

それにしても公開当時からプロデューサーが逮捕された最近まで、作品以外の面であまりにいろいろな話題をまいたシリーズであることにある種の感慨をいだく。おそらく本作もそうした「モロモロ」の話題の中のひとつに数え上げられるだろう。そういうのは、楽しまなきゃソンだ。

なお、雑誌ではやや冗漫に思えた展開だが単行本にまとまるとあまり気にならなかった。
(01.0222、滑川)



・「YOUNG キュン!」3月号(2001、コスミックインターナショナル)

成年コミック雑誌。執筆者:はりけんはんな、あろひろし、島本晴海、青霧幻+都夢たみお、すこやかはじめ、あらきあきら、GRIFON、ま☆くわ、毛野楊太郎、神無月ひろ。

隔月掲載の連載作品や、おそらく断続的に掲載されるシリーズ連作などが多い。いずれもかなり面白そうなので、どういうスケジュールでやっているのか知らないができれば連載作品は毎月載せてほしい。

・「アナザー・レッスン」第7話 毛野楊太郎

監禁調教マンガ。とうとう墜ちてしまったように見えるみずき。だが調教者の「教授」との間に、支配被支配とは違った関係が成り立ちつつあった。そしてそれを操っているかに見える男登場!!(第3話くらいから読みはじめていたがこいつが出てくるとは驚いた)。
モニターで「会長」が教授の調教シーンを「フフフ」とか言いながら眺めているところはヒーローモノの悪の組織風で、この作者の師匠の作風を連想させるなァ。
(01.0222、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」12号(2001、秋田書店)

「BM」 藤澤勇希は、そうか先々週のリポーターのおねえさんの言動は、今週の伏線だったのか……哀しい展開だなぁ。「フジケン」 小沢としおは、一筋縄ではいかないブス・トモトモ登場でなかなかイイ話。「バキ」 板垣恵介は、あのー、「チタン合金製の糸」ってのもういいかげんやめません? ほとんど万能の道具と化してるし。「満天の星」 楠本哲はシミジミと盛り上がってきている。「しゅーまっは」 伯林は、妹しゅーまっはの「まは」が今回も登場。レギュラー化するのかな。「オヤマ! 菊之助」 瀬口たかひろは、読んだり読まなかったりしているうちにお話がまったく見えなくなってしまった。いったい今、何をやっているのか?「おやつ」 おおひなたごうは「ミナ帝」のパロディなどが入っていてとても面白い。「シンクマネー」 佐藤貴広は読みきり。「金が欲しい」という理由から思いつきで路上ライブをはじめる二人。パワフルでホロリとさせて、なかなかいい。「ベリースペシャル」 森田森魚はゴルフマンガ。いきなり50年後の世界になって、今週が最終回。
(01.0219、滑川)



・「ミナミの帝王」(51) 天王寺大、郷力也(2001、日本文芸社)

安定した人気を誇る、トイチの金貸し・萬田銀次郎を主人公にしたマンガ・第51弾。エピソード「小さな恋の物語」の途中からと、「ツイてない女」の全話(だろうな、たぶん)収録。

「小さな恋の……」は途中からなんでよくわからなかったが、ヤクザに殺されかかった男二人を銀次郎が救う話。金融関係の法律知識でも使うのかと思ったら、ほとんど「顔」のすさまじい迫力一休さんみたいなとんちというかヘリクツで乗り切ってしまっていた。まあそこがイイんだけど。
「ツイてない女」は結婚式直前にホテルでレイプされ、墜ちるところまで墜ちた女がどうやってカネを返すか? という話。私は郷力也ってかなり好きなマンガ家なんですが、この「ミナミ……」はノレそうでノレないときがある。それは、萬田銀次郎が「ブラックジャック」よりもむしろ「ゴルゴ13」などに近い存在だからだろうと思われる。非情にキリトられる善人系の人々を見ていると、やっぱりカワイソウになるわけですよ。
顔の迫力で押し切る、ってのは大好きなんですけどね。
(01.0219、滑川)



・「雀鬼の群れ」 戸川洋祐、司敬(1984、グリーンアロー出版社)

酒とケンカとバクチで明け暮れるイヤな街、「陽かげりの街」と呼ばれるところに巣くう麻雀うちたちの悲哀を、天田健坊という二人の雀ゴロの目を通して描く1話完結形式の人情麻雀劇画。
司敬の麻雀劇画は何冊か読んだが、ほとんどがシミジミ系人情話である。
(01.0219、滑川)



・「警視総監アサミ」(1) 近藤雅之、有賀照人(2000、集英社)

ビジネスジャンプ連載。制服刑事のアサミは、下山警部の陰湿なイジメにあいながらも、憧れの美人警察官・萬田警部補のようになるべく日々精進、もちまえの度胸と行動力で事件を解決していくのであった。

遅ればせながら購入。常々「Hシーンが無意味すぎる」というふうに聞いていた本作、雑誌では断片的に読んでいたが、まとめて読むのは今回が初めてだ。
しかし一読した印象は、失礼ながら「意外にもプロットがしっかりしている!」であった。確かに不必要と思われるHシーンにページを多く割いているため、雑誌で読んでいるときにともすれば本来のプロットを見失いがちであるが、推理モノというほどではないにしろトリックや捜査による事件解決はわりと納得の行くものであった。

本作が奇矯に見えるとすれば、それは何といっても萬田警部補の存在であろう。上司である下山警部に弱みを握られ、表向きは有能な警察官、裏ではセックス奴隷同然の扱いを受けているという設定だが、そうした設定自体に必然性が認められないのである。率直に言うなら作品内における「エッチ要員」である。
しかも、第1巻を読んで初めて知ったのだが、萬田警部補の握られている「弱み」とは、「下山警部に世話になったおかげで昇進試験の時間をたくさんもらえた」というだけの話らしい。ここらあたりで「萬田警部補は真性のマゾなのでは……?」と思わせるフシも出てくるし、今ドキ「萬田久子」からとったであろうネーミングとも合わせて、単なるエッチ要員に見せかけてなかなかに業の深いキャラクターであるなあと考えさせられるのだった。
(01.0217、滑川)



・「星の旅人」 やまさき拓味(1991、橘出版)

B5判。深見青山(現在は東州?)とかいう人がやっている「コスモメイト」という宗教団体のPRマンガ。同内容のアニメビデオも発売されたらしい。

子供がグレてしまって悩む女医と、スランプに陥ったトランペッターが、コスモメイトのなんちゃらいうイベントに参加して幸福になる話。
なんか問題解決がものすごく唐突だった。作画のやまさき拓味って、今チャンピオンで競馬もの描いている人ですよね。

カンケイないが、このシリーズ(コスモコミックス)は巻末にすべて「キミは今、幸せですか?」という団体への勧誘の文章みたいのが付いている。内容は全部同じだがレイアウトとイラストが、3冊読んだかぎりですべて違っていた。金があったのか。バブル時代だったからか。謎。
ちなみに私は今、幸せなのでほっといてくださいね。
(01.0217、滑川)



・「霊感! 合格術」 あいざっく蕪殷(バーン)(1991、橘出版)

B5判。深見青山(現在は東州?)とかいう人がやっている「コスモメイト」という宗教団体のPRマンガ。同内容のアニメビデオも発売されたらしい。

美大に行くことを反対された主人公が、父を説得し美大に合格して恋人と再会するまでを描く。彼の人生の節目節目に深見青山が出てくる。

レディース調の絵で、無意味なパンチラが出てくる。不思議なペンネームのマンガ家だ。
(01.0217、滑川)



・「花の悪霊団」 ほしのちあき(1990、橘出版)

B5判。深見青山(現在は東州?)とかいう人がやっている「コスモメイト」という宗教団体のPRマンガ。同内容のアニメビデオも発売されたらしい。

結婚を間近に控えた幸せいっぱいの女性とその婚約者がそれぞれ悪霊に取り憑かれ、深見青山に除霊されるという話。
悪霊が取り憑いた理由がこの女性の先祖に殺されたという恨みから、ということが判明するが、この悪霊が生きていた当時殺された理由が、この霊の先祖がこれまた悪いことをしていたからというややこしい内容。

原ちえこ青年版みたいな絵(どういう絵?)なのに突然エクソシストみたいなスゴイ顔が出てくるのが恐かった。
(01.0217、滑川)



・「青春!! 雀鬼颯爽」 小島武夫、志村裕次、西塔紅一、司敬(1985、実業之日本社)

司敬作画の麻雀劇画短編集。「青春!! 雀鬼颯爽」「明日に向かって走れ」「青春別れ打ち」(原作/小島武夫)、「酒樽雀豪」(原作/志村裕次)、「鬼面の雀打ち」(原作/志村裕次)、「オレの真珠牌」(原作/西塔紅一)収録。

最初の三編は、ほろ苦い青春麻雀劇画とでもいうべき展開。次の二編は連作。語り手の雀ゴロが出会った変わった雀士の姿を描く。
ファンのひいき目もあるのだろうが、個人的に「イイなあ」と思うのは最後の「オレの真珠牌」。原作者の西塔紅一は、「野獣警察」などのバイオレンスアクションで知られた人。ページの都合上かもしれないが、ほとんど決めつけと言っていいほどの強引さで権力者=悪と断じる展開が小気味いいのだが、本作に登場する主人公以外の人間も過剰なまでに「悪」である。

あらすじは、強姦された恋人が自殺してしまったため、強姦したヤツを殺してしまう主人公。しかし強姦者にも妻と娘がいた。母一人子一人で残された親子に、主人公はささやかな仕送りを続ける。しかしその娘が女子高生になり、エライさんの麻雀大会の商品になるという……。それを阻止するべくその大会に出る主人公。……という話なのだが、まずこの強姦者のセリフがすごい。
「一面焼野原だった日本をここまでにしたのはオ、オレたち大人なんだぞ!! 助平ったらしい小娘の一人や二人強姦して何が悪い ええそうだろが!!」
開き直りとか逆キレとかを越えた物言いだ。

麻雀大会のエライさんのセリフもすごい。
「なんのかんのいっても自民党はよくやってますよ」「そういうことですな こうやって麻雀やって女子高生抱けるのも世の中平和だからですよ」
最後に主人公は優勝するが、それに「金をやるから女子高生を抱かせてくれ」と懇願するヤツまでいる。もうこの世界では権力者は徹底的に腐っているのだ。だが、……まあコレは繰り返すがページの短さもあるのかもしれないが、あまりにも典型的に腐っているので、ソレをやっつける主人公が光ってバシッとキマリが付くワケである。個人的に好きな展開。
(01.0216、滑川)



【同人誌】

・「エラガバルス」(3)〜(4) かぢばあたる(2000、CAGIVA!)

A5判。一見普通の高校生である鷹梨猛新堂麗は、かたや古武術の使い手、かたや魔術士であった。ヨーロッパの魔術結社からエラガバルス(賢者の石)を守るように言われ続けてきた彼らを、刺客が襲う。

1巻、2巻の続編。まだまだ続く。面白い。買いだ。

↓作者のホームページ
・駄目々々梁山泊

(01.0216、滑川)



【同人誌】

・「読みきり短編集 ガレージ」 かぢばあたる(2000、CAGIVA!)

作者が商業誌に発表した作品を収めた短編集。「ブレイクエージェント」、「月光のテウルギア」、「エラガバルス」(読みきり版)収録。 どれもファンタジックなモノを題材としている。作者のHP(の中の「爆裂卓袱台返し」)に個々の作品についての解説が載っている。

あらすじ的には、それがそのままネタバレにつながってしまうようなカンジなので書かないが、読みきりから連載への布石にするような理由からか、連載作品の導入部的な印象の作品が多い。実際「エラガバルス」は連載化されたようだし。
といっても自己満足に終わらない設定の緻密さがあるし「続きが読みたくなる」作品が多い。本作を読んで興味を持ったヒトは、同じ作者の長編作品を読むといいのではないかと思った。
(01.0216、滑川)

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