つれづれなるマンガ感想文2月前半

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一気に下まで行きたい



・「電子妖精アバタモ☆エクボ」全3巻 こやま基夫(1992〜94、アスキー出版局)
・「幕張サボテンキャンパス」(1)〜(4) みずしな孝之(1996〜98、竹書房)
・「ちゃお」 2月号(2002、小学館)
・「プチちゃおコミック2002」(2002、小学館)
・「ちゃお」 3月号(2002、小学館)
【同人誌】・「鎌倉スパッツ」 俊俊(2002、サマーギフトくらぶ)
・「週刊少年チャンピオン」10号(2001、秋田書店)






いや〜、なんだかんだで前回から1週間以上経ってしまった。しかしマンガを読まず何をやってたのか、あまり覚えがない。

・「電子妖精アバタモ☆エクボ」全3巻 こやま基夫(1992〜94、アスキー出版局)

ゲーム好きの少年・ヨシオは、「クソゲー」と明記されたファミコンカセットを拾う。
その中から出てきた電子妖精・アバタモ☆エクボは「ランプの魔人」風の女の子妖精。ヨシオとエクボがいろんな騒動に巻き込まれるというギャグマンガ。

1回が6ページでオールカラー。キャラクターは3頭身でとてもカワイイ。出てくる人間が全員変人で、ノリはなんとなく(超大ざっぱに言えば)吾妻ひでお。SFおしかけ女房ではないかと思い読んだが、スラップスティックが中心なのでそうとは言えないか……。分類的には微妙な作品。まあ分類する必要もないんだが。

本作の連載開始当時、スーパーファミコンが発売されたことを考えると10年ふた昔、って感じである。
(02.0213)



・「幕張サボテンキャンパス」(1)〜(4) みずしな孝之(1996〜98、竹書房)

幕張にある大学に通う学生たちを主人公に、彼らのダラダラしつつも心地よい学生生活を描いた4コママンガ。

確か8巻くらいまで出ていて、それをまだ全部読んでいないのでナンだが。
最近、「実はずうずうしかった」とか「実はちゃっかりしていた」というオチのギャグを「チャッカリギャグ」と命名、それだけでは決して面白くないという論陣(?)を張っている私(張ってるのか?)。
それは昨今の4コママンガで、あまりにそういうのが多いからだ。植田まさしや田中しょうをどうこう言う前に、まず「いかにも面白そうでいて結局はチャッカリで済ます4コマ群を何とかしろ!」と一人でつぶやいてみた。でもわかってる。どんな作品にまつわる言説も、しょせん「好き嫌い」のレベルに落ち着いてしまうことを……。
セロリが嫌いなことに理由なんかあるか!? いや、ない。

話がそれたというかわざとそらしたんですが、まあそれはいいとして、本作も最初はチャッカリギャグが多いのと、出てくる学生があまりに楽しそうなんでそこへの嫉妬心(笑)とで平静な気持ちで読めなかったりしたが(4コママンガを!?)、さすが名前をあちこちで散見するだけあり、チャッカリで終わらず、シュールに行かないバランスのところで面白い話がいくつかある。と思いました。

それにしてもチルの姉に対する疑似恋愛感情は、何とも言えない決着の仕方をしましたな。
(02.0213)



・「ちゃお」 2月号(2002、小学館)

いろいろあって買ってみたのだが、ほとんどすべての作品が「不良っぽい、ちょっと強引なカッコいい男の子にせまられて、最初はムカッとするがしかるべき手続きを経てけっきょく付き合うようになる」という話バッカリである。
少年マンガにおけるヒロインのワンパターンは批判にさらされるが、女子においても相当なもんだと思った。イヤ、そんなことはどうでもいいんだが男のオレからすればコリャ「カッコよければ何をやってもいい」という思想への一歩手前だよ!? カッコよければ何をやっても許されるのか!? 猪木だったら何をやっても許されるのか!?(まあ男子の妄想では、それを反転してやってるわけだけどね)

しかしいくら何でもあんまりだ、と、みんなカッコつけて言わないからオレがあえて言わせてもらうことにした(笑)。

「ブリリアントな魔法」 宮脇ゆきの
ふだんは目立たないが、メイクの天才・淳希(あつき)の手にかかると美少女に変身する美月がモデルになったりアイドルにホレられたりする。
この淳希(あつき)って青年が、クールな感じでなんか冷たいっぽいヤツ。
個人的に「コスメマンガ」のひとつとして、記憶にとどめておきたい。

「ミニモニ。やるのだぴょん!」 もりちかこ
4コママンガ。アニメやグッズのミニモニ。は、極度に図案化されて独特のカワイさを持っているが、こちらも負けてはいない。少女マンガ的なタッチで、とにかく過剰にカワイイ。
内容は、ファンの同人4コマ的なノリなんだが、アニメ同様、4人がメルヘンなおうちで謎の共同生活をしているという浮世離れした設定がミソ。しかもイメージキャラクターの「ミニモちゃん」まで一緒に住んでいるらしい。

「ユウキらぶエール」 五十嵐かおる
男の子みたいな元気な女の子・優希が、男子の応援団と対立し、チアリーディングで応援対決をする。応援団の海斗ってのが「勝負に負けたらおれの彼女になれ」とか言う強引なヤツ。

「Dr.リンにきいてみて!」 あらいきよこ
アニメもやってる。主人公・明鈴が実は天才風水師、という「占いラブコメ」みたいな話かと思ってたら、前世は戦士だったみたいな話になって、次々とカッコいいクール系な男の子がナイトとしてかしずいてくれるというマンガ。

「ぱにょぱにょデ・ジ・キャラット劇場」 ひな。
アニメ版やコゲとんぼ版に比べると、うってかわって「かわいい、ただひたすらにかわいい感じ」を誌面全体から発するひな。のでじことぷちこ。ラブリー。

「バーガータイムはいつも熱々(アツアツ)▼(←ハートマークの代用)」 あらいきよこ
以前、気まぐれに「なかよし」を読んだときも思ったのだが、近頃はカワイイカフェなどでバイトをするのが女の子の憧れらしい。……ということで、アットホームなバーガーショップでバイトする女の子・琴葉がどーたらこーたらという話。
バイト仲間の九条くんが一見冷たいやつ。琴葉のファーストキスまで奪っておいて、奪い得な村崎百郎的倫理観の持ち主(チョット嘘)。
何より、70年代でも通用しそうなタイトルがイイ。
昔は、立体的なポージングは苦手な人が多かったような気がする少女マンガ界。本作では両手を前に突き出すポーズにも奥行きが感じられ、キャラクターが立体的である。
頭に「触覚」もついていて、いわゆる「萌え系」なんじゃなかろうか。……などと思っているとそうでもなかったりするから人間の嗜好ってのはムズカシイ。

「恋するプラスチックベイビー」 溝口涼子
ロボットの女の子・相田キリコが人間の男の子に恋をしてしまう。連載第2回だというが、1回目を見てないが今回を読むかぎり、キリコの「ロボットらしくなさ」は特筆に値する。だいたい「人間に恋するロボット」って、そこら辺どうなのか? ちゃんと説明とかしたのか?
キリコが押して押して押しまくる性格のため、彼女の一目惚れの相手・忠信はなかなかいいヤツキャラになっていた。

「バレンタインなんて大嫌い!!」 北村亜紀
前後編読みきりの後編。小六のとき、崇という小悪魔的な男の子にチョコを渡そうとして拒絶されてからバレンタインが大嫌いになったさくら。彼女は校内でも、風紀委員長としてバレンタインにチョコを渡すことを禁じている。
しかし、崇が「あのとき自分に渡そうとした手紙をバラされたくなかったら、オレの奴隷になれ」と要求。もともと崇のことが好きだったさくらは、言いなりにはなりたくないが拒絶もしきれない複雑な心境で、ファーストキスも奪われる

前編読んでないが、ある意味この「崇」ってのは「一見冷たくて、イヤなやつで、実はイイやつ」の究極だろう。だって「おれの彼女になれ」じゃなくて「奴隷」だよ?
前編にどんなことがあったのか、やっぱり全裸に縄で上にコートはおって公園を散歩させられたりしてたのかなー? とか思ったけど、そんなわけないです。たぶん。
で、けっきょくさくらのアンビバレンツな気持ちは、見事に少女マンガ的な解決がなされてました。読者対象がやや年齢が上の少女マンガと少し違うのは、それが「生活レベルで、どちらがイニシアチブをとるか」という権利意識の萌芽というカタチはとらず、あくまでも夢見系恋愛ゲームへと着地するということだろう。って何解説してんだおれ。
むなしい……。

「原宿バンビーナ」 今井康絵
最終回。ファッションデザイナーを目指す女の子・バンビがデザインコンテストに被服科の存続を賭けて出品。しかしデザインを盗まれていたことがコンテスト直前に発覚して……。わずか6時間で新しい服をつくることをせまられたバンビ。どうなる!?
定番中の定番ながら、バンビの急場しのぎでつくった服はなかなか面白かった。まあここら辺は少年マンガ的なおもしろさだけど……。
(02.0204)



・「プチちゃおコミック2002」(2002、小学館)

ちゃお2月号の別冊ふろく。オール読みきり。特集:どきどきバレンタイン。

「スパイシーバレンタイン」 清水真澄
香乃と健太郎は幼なじみ。香乃はいつも自分のそばにいる健太郎を、異性として意識したことはなかった。しかし、健太郎がサチエ先輩に恋したときから、香乃には健太郎が離れていくような感じがして……!?

百億万回繰り返されてきたエピソードだが、健太郎の思いつめた様子がよく描けていると思うし、香乃のふんぎりの付け方が「バレンタイン」というテーマときちんとつながっている。さわやかな作品。

「スイートCATぱにっく」 中原杏
未羽は、あこがれの勇栄先輩となかなかお近づきになれない。飼い猫のジンさんに悩みをいつもうち明けていたら、ある日ジンさんが突如しゃべりだす。そして「勇栄先輩に気持ちを伝えないとネコになってしまう」という魔法を未羽にかける。果たして未羽は、先輩に気持ちを伝えられるのか……。

ネコのキャラクターがものすごくカワイイ。内容もカワイくてハッピーエンド。

「まじかる▼(ハートマークの代用)ココア」 山田さくら
あこがれの葉崎先輩にあげるための手づくりチョコをつくろうとするあかねの元に、「ココア」というチョコレートの妖精がやってきた。生来の料理ベタであるあかねは、手づくりチョコをつくることができるのか。

最後の最後に出てきた手づくりチョコレートケーキ、むかーし「ザ・ベストテン」で黒柳徹子がつくって見せていたやつだった。それを田原俊彦に食わせていたという、昔むかしの話。
(02.0204)



・「ちゃお」 3月号(2002、小学館)

「エンジェル・ハント」 おおばやしみゆき
新連載。エクソシストを父に持つ天音は、霊が見える体質だがそのことは学校で隠している。しかし、オカルトマニアの同級生・真由が除霊に首を突っ込んだため、二人の合体技(?)で思わぬ力を発揮することに……。
おそらく、「Dr.リン」と同系統の前世だとか魔界だとかがなんじゃかんじゃのファンタジーアクション。

「ブリリアントな魔法」 宮脇ゆきの
メイクで「変身」した状態でアイドル・響にホレられた美月は、「彼が見ているのは本当の私じゃない……」と絶望する。しかし、いろいろあってうまくいってしまう。
それを聞いたクールな青年・淳希(あつき)は、美月の唇を強引に奪うのであった。

「こっちむいて! みい子」 おのえりこ

こっちむいて! みい子

確か「みファぷー」としてアニメ化されたことがあるはず。みい子は、クラス中で話題になっている小説「魔法少年ホリリ」を読み始めるが、どうしてもその面白さが理解できず読み進むことができない。
……あまりにありそうな話なんで、身につまされた(笑)。

「あずみ! 花吹雪」うえだ美貴
読みきり。現代で、忍者のタマゴ・花村あずみが忍者学校卒業の最終試験のために、日暮草馬から巻物を奪うことを命ぜられる。
「巻物をなかなかとらせてもらえない」という設定からして、「ヒロインをおちょくるイヤなやつだが、実はいいやつ系」の本領を発揮する草馬。あずみは服が破けてイヤ〜ンになったり、草馬から巻物を奪うために一緒に風呂にまで入るがうまくいかない……って、コレなんか少年マンガみたいな。
街で不良にからまれてもまったく無力なあずみ、見事なまでに「忍者」について調べてないっぽい展開、「ちょっと強引でデリカシーがないけどカッコいい男の子に振り回されてみたい(もちろん最終的には大事にされて)」という女の子妄想が横溢した作品。

「桜色にほほえんで」 いわおかめめ
読みきり。引っ込み思案ですぐ顔が赤くなってしまう少女・つぼみが、あこがれの佐夜先輩と卒業アルバムを製作するうち、先輩と仲良くなれる喜びを感じるとともにイラストの才能を発揮して、だんだんと周囲に自分を主張していくことを覚えていく。

ああ、これは好き。これも「ダサい女の子が、人を好きになることによって輝いていく」という少女マンガの定番なんだけど、最近の少女マンガ雑誌を5、6冊読んだかぎりではこのテのパターン、少なくなってる気がする(そうでもないならゴメン)。
単に不良っぽい男にゴロゴロされたいってだけじゃなくてさー、恋愛とヒロインの人間的成長がシンクロしているってのがイイのよ。先輩が一見善人で本当に善人、ってのもイイ。絵柄自体のどことなくモッタリした感じも、「男の中の少女マンガ魂」を刺激することうけあいだ。これはたぶん確実に萌え系。

「恋するプラスチックベイビー」 溝口涼子
ロボットの女の子・相田キリコが人間の男の子に恋をしてしまう話の最終回。ロボットであることのメリット、デメリットが見事なまでにアイマイなことに驚かざるをえん。そもそも、絵柄も少しギャル系で、そのテのファンタジーには合ってないような気がするし……。
(02.0204)



【同人誌】

・「鎌倉スパッツ」 俊俊(2002、サマーギフトくらぶ)

コメットさん☆オンリーイベント、コメット☆ぱーてぃで買った本。何人かの原稿で構成された、コメットさん☆の健全パロディ本。

これ、本誌の主催者の描いたパロディマンガ(ギャグ)が異常に私のツボに入ってしまって、ゲラゲラ笑ってしまったよ。「ローリング・バトンガール」は、コメットさん☆にまったく登場しないオリキャラがみんなにバトンを教える話。「花嫁修業とピンクおやじ」は、コメットさん☆のママが、王子様に気に入られるためにとコメットさん☆に料理を教える話。教える料理が「ハモニカ星国原産のトリュフ、略してハットリュ君」を使った料理。

他の方々の作品もたいへんすばらしい。メテオさん☆受けの話が見られて、それもよかった。おれにとってはメテオさん☆は「受け」だから(笑)。

巻末に載ってたアドレスでHPを見たら、基本的にはギャルゲーのパロディをやってきた人らしい。
(02.0203)



何かが心の中でポキンと折れ、マンガも読まず部屋で体育座りをしてときどき「うわーっ!!」とか「『のび太のくせに』とか言うな!!」とか叫ぶ毎日。気力をふり絞って、少年チャンピオンだけは読んだ。

・「週刊少年チャンピオン」10号(2001、秋田書店)

「ハングリーハート」高橋陽一は新連載第2回。……と思ったら、次回載るのは4月頃らしい。シリーズ連載というか。ちょっとずつまとめてっていう意味? 「サッカーの天才である兄へのコンプレックスからサッカーをやめた少年」が、女子サッカー部のコーチをするうちにそのリーダー的存在の女の子の一生懸命さに触発されて……と、なかなかいい話じゃないですか。
「虹色ラーメン」馬場民雄は、読んだ人みんなそう思ってるだろうが、原田さんが公園かなんかで水を飲んでいるシーンがエロい。
ホントはそのシーンだけスキャンして張り付けて感想書くのオワリ、ってことにしようと思ったが、雑誌を電車の網棚に置いてきたので今こうして文字で書いている。文字万歳。
(02.0203)

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