毛野楊太郎

一気に下まで行きたい


アウェイクン

●毛野楊太郎(けの・やんたろう)が、成年コミック作家としてデビューしたとき、そのあまりの矢野健太郎との絵のソックリぶりに驚いたものだ。狙ったペンネームはもちろん、お話の展開やテイストにも非常に近いものが感じられる。しかし、なにぶん作品の多くがいわゆる「鬼畜系」の作品で占められていること、あとがきや似顔絵では「まったくの別人」となっている(長く矢野氏のアシスタントをつとめていたという)ことからはっきり同じ人物だとも言いづらいため、以下では別人として話を進めていく。

毛野楊太郎作品の特徴は、「Hマンガ」というジャンルのパターン・お約束を意識した「ジャンルパロディ」性、物語をどのようにも改変可能なものと見ている突き放した感じ、そしてそれと矛盾するかもしれないが、その中で生きる人間たちのドラマ性、といったことがあげられると思う。また、「Hマンガではどのような描写が『エロい』と認識されるのか」をテーマにした作品も少なくない。
このように書くと実験作、あるいは人間人形感覚な、非常にクールな作風を連想されるかもしれないが、むしろドラマ性という点でいえば若い世代の作家(毛野氏が何歳か知らないのだが)よりは濃厚。鬼畜ゆえの激情、激情ゆえのストーリー分岐の面白さ、とひとまずは言えると思う。

また、師匠ゆずりのファンタジックな設定もお手のものだし、そもそも多用される視点の変化は、おそらくSFやファンタジー的な思考から来るものだろう。基本的には鬼畜路線を守っているが、ギャグものやラブコメ、まったくガチンコの心底ダークになる陵辱モノまで、幅広い作風を持つ作家である。



その1〜 2001年9月6日更新

・「プレイヤーS」 1995年10月20日発行(富士見出版)
・「磨衣スレイヴ」 1996年6月1日発行(富士見出版)
・「アウェイクン」 1998年4月20日発行(富士見出版)
・「亜弓ちゃんといろいろ」 1998年12月20日発行(富士見出版)
・「トイレはきれいに」 1999年2月21日発行(コスミックインターナショナル)



その2〜 2001年9月6日更新

・「いっぱい出したネ▼(▼はハートマークの代用)」 1999年9月15日発行(富士見出版)
・「正しい課外授業」 1999年9月23日発行(コスミックインターナショナル)
・「プレイヤーS」(B6) 2000年3月25日発行(蒼竜社)
・「楽しい課外授業」 2000年2月21日発行(コスミックインターナショナル)
・「磨衣スレイヴ」(B6) 2000年3月30日発行(蒼竜社)
・「恥しい課外授業」 2000年9月1日発行(コスミックインターナショナル)



その3〜
  2005年7月28日更新

・「イケないコとして▼(▼はハートマークの代用)」 2000年9月15日発行(富士見出版)
・「アナザー・レッスン」 2001年5月5日発行(コスミックインターナショナル)
・「激しい課外授業」 2001年12月1日発行(コスミックインターナショナル)
・「アブナイ課外授業」2002年9月1日発行(コスミックインターナショナル)
・「淫らな課外授業」2003年7月1日発行(コスミックインターナショナル)



その4〜
  2005年11月5日更新

・「イケないコとして▼(▼はハートマークの代用)」 2000年9月15日発行(富士見出版)

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