「ゆきめくん」って「くん」付けで呼ぶところがイイかも……。
週刊少年ジャンプに93年から99年まで連載された「地獄先生ぬ〜べ〜」は「学校の怪談」的な恐怖・怪奇を基本テーマとしながら、人間・妖怪含めてやたらと美少女の出るマンガだった。
1話完結のエピソードとしては16巻 「#135 濡れ女に恋した男の巻」(男にとりついてジメジメした湿気でとり殺してしまう妖怪・濡れ女が、ものすごく汚くて湿気を気にしないオタク男にとりついたため、殺すことができず逆にものすごくいやがるという話)や、第23巻「#201 蛤女房の愛情クッキングの巻」(広に命を助けてもらったために、おいしい料理をつくって恩返しをしようとする妖怪・蛤女房の話)などがあるが、セミレギュラーとして最後まで登場し続けたのが雪女のゆきめである。
子供の頃、主人公・鵺野先生に助けてもらったために結婚しようと山を降りてきた美少女。結婚した男は山へ連れていかなければならないため、ぬ〜べ〜とは本質的に一緒になれない運命を(当初は)持ち、やきもちやきで怒ると雪を降らせたり氷を出したりする。
おそらくストレートに「うる星やつら」のラムちゃんへのオマージュだと思われるが、そのキュートさは長く「SFおしかけ女房」カテゴリに名を残すに違いない。
そこでここでは、ゆきめの登場話を順を追って簡単に見ていきたい。なぜわざわざそんなことをするかというと、好きだからである。
なお当然ながら、このページはまったく非公式のものです。
・単行本1巻(1994年1月16日発行)
・単行本4巻(1994年10月9日発行)
・単行本第6巻(1995年2月8日発行)
・単行本第7巻(1995年4月9日発行)
・単行本第8巻(1995年7月9日発行)
・単行本第10巻(1995年11月7日発行)
・単行本第11巻(1996年1月15日発行)
・単行本第12巻(1996年3月9日発行)
・単行本第13巻(1996年5月15日発行)
・単行本第14巻(1996年7月9日発行)
・単行本第15巻(1996年9月9日発行)
・単行本第16巻(1996年11月6日発行)
「#139 童守町・恋の大混戦! の巻」
・単行本第17巻(1996年12月30日発行)
・単行本第18巻(1997年3月9日発行)
・単行本第19巻(1997年5月6日発行)
・単行本第20巻(1997年7月9日発行)
「#170 ぬ〜べ〜・ゆきめ愛の最終決着!? の巻」(前編)
・単行本第22巻(1997年11月9日発行)
「気持ちをひとつにするため」とかいってゆきめと北島マヤ男がツイスターゲームをするところや(しかしツイスターゲームというのは「中途半端なH」という意味ではある意味最強アイテムだ)、不自然なまでに胸の開いたゆきめのフィギュアのコスチューム。
・単行本第23巻(1998年1月14日発行)
・単行本第24巻(1998年4月8日発行)
・単行本第25巻(1998年6月9日発行)
「いけない 私どうかしてるわ 小学生の男の子に ドキドキするなんて」
……で、一緒に風呂入ったり飯食わせてやったり同じ布団に寝たりする。
「#215 逆襲のリツコ先生!!の巻」
・単行本第26巻(1998年9月9日発行)
・単行本第28巻(1999年1月13日発行)
「#240 あぎょうさん」
「#242 鬼のパンツはいいパンツ!?」
「#246 天狐・金毛玉面九尾」
「#247 ひとにぎりの魂」
・単行本第29巻(1999年4月7日発行)
「#249 ぬ〜べ〜修業時代!?」
「#252 霊符師・ヤン=カイルン」
「#253 鬼の手、狂乱!!」
「#254 激突!! 鬼の手対鬼の手!!」
「#255 鬼の手の使い方」
・単行本第30巻(1999年6月8日発行)
とくに「ごみ女」は「ごみふぶき」という攻撃技もあるらしいし、これ1回きりではもったいないキャラであった。
「#262 覇鬼、復活!!」
・単行本第31巻(1999年9月8日発行)
「#271 プロポーズ大作戦!」
「#275 ぬ〜べ〜からの卒業」
「#276 さよならぬ〜べ〜」
巻末に描き下ろし「それからの地獄先生ぬ〜べ〜」収録。九州に転任してからのぬ〜べ〜とその後の5年3組の生徒たち。ゆきめは自転車でかき氷を売るバイトをして家計を助けているらしい。
・総評(?)
「それからの地獄先生ぬ〜べ〜」において、2人は結婚後も「鵺野先生」、「ゆきめくん」と呼び合っているのだ。コレはあまりにヨソヨソしくないか?
ちょっとこっぱずかしい恋愛描写や寸止め的H描写のパターンはいくつも錯綜し、さながら少年マンガにおける女の子の登場させ方の博覧会的内容となっているので、当然その中には「SFおしかけ女房」的シチュエーションが入ることになる。
単行本はすべて集英社ジャンプ・コミックスです。
(00.1219、滑川)。
・単行本2巻(1994年4月9日発行)
・単行本3巻(1994年7月9日発行)
小学校教師鵺野鳴介、通称ぬ〜べ〜が、民間除霊の能力と左手に封じ込めた「鬼の手」を使って、子供たちを妖怪や霊から守るというマンガ……ということは周知のとおり。
だが3巻までではゆきめはまったく出てこなーい。
「#30 なごり雪−季節はずれの雪女の巻」
はじめてゆきめ登場。5年前、冬の雪山で猟師から自分を助けてくれたぬ〜べ〜を永遠に愛し続けると誓った雪女・ゆきめが童守町にやってきてぬ〜べ〜に求婚する。しかしそれは氷づけにして山へ連れていくためだった。最初はもう少し大人っぽく妖艶で、後期よりずっと妖怪っぽかった。
「#49 真夏の雪女の巻」
ゆきめ再登場。クール宅急便の中から水着で飛び出てくる。山神から「雪女は16歳になると人間の男を氷づけにして傍らに置かねばならない」と言われ、再び町にやってきたのだ。しかしぬ〜べ〜を氷づけにするわけにもいかず、かといって何でもかんでも凍らせてしまうため同棲もむずかしいし……という話。
「#56 ぬ〜べ〜・ゆきめの最強タッグ!の巻」
ぬ〜べ〜を慕って山を降りてきたゆきめは、アイススケート場でアルバイトしながらぬ〜べ〜のもとへ通う。コーフンすると東北弁になるのがかわいい。
なお、キャラクター人気投票ではみごと第6位に。
「#65 雪女の季節の巻」
ゆきめのありあまった妖力から雪童(ゆきわらし)「ゆきべ〜」が登場、暴れ回る。
「#79 対決! 雪女VS座敷童子の巻」
座敷童子に誤解されて恨みを買ったゆきめが、ぬ〜べ〜とリツコ先生をくっつけようとする座敷童子を妨害しようとする。ゆきめのウェイトレス姿が見られる。
「#94 小麦色の雪女の巻」
海に行ったぬ〜べ〜に、けなげについてくゆきめの話。
「真夏の海に雪女」ってのは、確かアニメ「はれときどきぶた」でもあったように思うが、内容はぜんぜん違う(「はれぶた」のこの回はおもしろいです。っていうか、「はれぶた」全体が面白いんだけどね)。
「#97 最強の敵!?の巻」
ゲストキャラクターは「貧乏神」だが、一瞬だけゆきめが出てくるのでチェック。貧乏神に取り憑かれたぬ〜べ〜を助けに来る。
「#110 木枯らしに消えた雪女の巻」
消えてしまうゆきめ。ぬ〜べ〜がゆきめへ、初めて愛を告白する。
「#119 女郎蜘蛛の巻」
ゆきめ、回想シーンで1カットだけ登場。
「#126 ゆきめ再会の巻」
ゆきめと再会(まんまな説明だな)。
「#138 ゆきめ・童守町へ帰るの巻」
ゆきめは死に、雪の結晶を山の神が再構成してまったく別人(別妖怪?)に生まれ変わったが、雪の結晶一つひとつに以前のゆきめの魂が残っていて、ぬ〜べ〜を忘れられずにいた。
「記憶のつながり」がなかったらカンペキ綾波レイだよな。これってエヴァンゲリオンより前だよね? じゃ偶然。
リツコ先生や魔女志願の黒井まみ先生とぬ〜べ〜の争奪戦を繰り広げるゆきめ。
かわいさと妖艶さを両方出している。ゆきめのミリョク大爆発、って感じ。オススメエピソード。
「#144 船幽霊の巻」
ぬ〜べ〜たちが海水浴、ゆきめも登場。
「船幽霊が、人々が捨てた空き缶でボートに水を入れる」というアイディアは面白い。
「#152 妖怪つらら女・氷の国から来た刺客! の巻」
ゆきめの幼なじみ・つらら(ナイスバディの色っぽいおねーさん系)が、山の神に言われてゆきめを連れ戻しに来る。「見たものをすべて氷でコピーでき、しかも本物と同様の機能が得られる」というつららの能力は、ゆきめとの差別化という意味においてもよく考えられている。
「#162 サンタクロースっているんでしょうか? の巻」
クリスマスプレゼントを買い出しに行くぬ〜べ〜に付き合うかたちで、ゆきめ登場。
表紙がCGのぬ〜べ〜とゆきめなのだが、わずか3年前なのにものすごく古くさい感じがする。今のCGがずっと発達しているからか? よくわからないんだが。
「#171 ぬ〜べ〜・ゆきめ愛の最終決着!? の巻」(後編)
ぬ〜べ〜と結婚し山を降りることの許しを請うため、山神・オオミズツに会いにいくぬ〜べ〜とゆきめ。自然の神であり人間の神ではない山の神の説得は通用するのか!? という話。
「#191 ゆきめが浮気!? ぬ〜べ〜大ショックの巻」
スケートに才能があるからと、国際フィギュアスケート選手権に出ることになったゆきめ。なんとペアを組む北島マヤ男と同居しているという。訓練のためだと言うゆきめだが、ぬ〜べ〜は大ショックを受けケンカしてしまう。
「#203 童守町最大の決戦! その1 鬼が来た!の巻」
童守町にやってきたすさまじい妖気を感じ、妖狐・玉藻、イタコギャル・いずな、雪女・ゆきめ、人魚・速魚(はやめ)がぬ〜べ〜のもとに集結。この妖気は、ぬ〜べ〜が左手に封印している鬼の弟・絶鬼のものであった……という連続モノの第1回。
「#204 童守町最大の決戦! その2 いずなの戦いの巻」
「#205 童守町最大の決戦! その3 絶鬼、急襲!!の巻」
「#206 童守町最大の決戦! その4 大逆転!の巻」
「#207 童守町最大の決戦! その5 滅気怒(メギド)の火の巻」
「#208 童守町最大の決戦! その6 決着の巻」
ゆきめが、ぬ〜べ〜や他のメンバーとともに絶鬼と戦う。
「#213 ゆきめ、禁断の恋!?の巻」
最強に恥ずかしい回(笑)。「陽神の術(体内の気を練ることによって自分そっくりの分身をつくり出す術)」で小学生になったぬ〜べ〜を、カン違いして自分の部屋に連れていくゆきめ。
彼女はぬ〜べ〜の面影がある(当たり前だが)陽神に、正体がわからないままドキドキしてしまう。
「こういうのって たしかショタコン…… っていうのよね…… 今までこんなことなかったのに……」
いつも妖怪や超常現象の解説をする「ぬ〜べ〜先生の補足説明」も、「コンプレックス」について簡単に説明している。何なんだろう……。
「#216 ぬ〜べ〜ドキドキ! 誕生律奈子先生!?の巻」
「#217 白銀の大恋戦!! の巻」
童守小・冬のスキー学校に行くぬ〜べ〜、追いかけて来てしまうゆきめ。そしてぬ〜べ〜とゆきめがくっついた後にぬ〜べ〜に惚れてしまった律子先生が三角関係を繰り広げ、そこにぬ〜べ〜の左手の「鬼の手」を内部から封印している霊・美奈子先生(ぬ〜べ〜の小学校時代の担任の先生・霊能力者)が復活したりしていろいろ事件が起こる話。
美奈子先生が律子先生と合体してぬ〜べ〜にせまるとか、これもなんかすごい展開。
「#221 妖怪絵師・鳥山石燕の巻」
本作のかなりのネタ本になっているらしい妖怪画集を江戸時代に出した絵師・鳥山石燕を、ぬ〜べ〜ソックリになぞらえて描いた作品。彼の愛称は「せきべ〜」、当然、彼が寺子屋で教えている子供たちはぬ〜べ〜クラスの生徒たちソックリ。実は「せきべ〜」の絵は彼が除霊した妖怪たちだった、というお話。
この中で、何と河童としてゆきめが登場(しかし妖怪を違う妖怪として出すというのは何とも……)、同じくたぬきとして玉藻も登場している。
「#239 死神」
眼鏡っ娘の死神に死の宣告をされるぬ〜べ〜。死ぬ前にひと目会いたいと、湯上がりゆきめくんのもとへ。
前回の続き。本当に死んでしまうぬ〜べ〜。
ところがこれ、たぶん「ドラえもん」の、「さようならドラえもん」の続編、ドラえもんが帰ってくる回へのオマージュなんだな。イイね。
ここでもゆきめ登場。ぬ〜べ〜の死に悲しんだり、玉藻とともに妖怪と戦ったり。
前回登場した美少女鬼・眠鬼(ミンキ)の妖力によって童守小の人物全員パンツ一枚にされる。ただならぬ妖気を感じてかけつけた玉藻とゆきめもパンツ一枚に。ゆきめは着物姿のときはどうやらパンツはいてないが、洋服のときははいているらしい。
玉藻のピンチを救うことに協力するゆきめ。
ぬ〜べ〜の幻覚の中の登場人物として、ゆきめ少しだけ登場。
ゆきめの誕生日は11月7日で、蠍座らしい。
冒頭に突然、「ついに今夜結ばれる! ぬ〜べ〜・ゆきめのドキドキ新婚初夜実況生中継」をお送りするとゆきめが言い出し、半脱ぎになって登場(雑誌掲載時、巻頭カラーだったためと思われる)。当然そんなことは行われない。
デートに待ちきれなくなって空を飛んで教室の窓の外にゆきめ出現。う〜んヨシコ先生の授業を覗いていた梅さんやラムちゃんを思い出しますな。
妖怪を憎み続ける男・ヤン=カイルンとの戦いに助っ人で登場するゆきめ。攻撃されて着物が溶けちゃったりして色っぽい。
前回に同じ。
前回に同じ。改心したヤン=カイルンを助けてやるときの不満そうなゆきめの顔がカワイイ。
「#257 妖怪女子高」
自分も同い年の人間の女の子のように高校に行きたい、と思ったゆきめ(16歳)が妖怪女子高に入学。前回同様の読者募集企画で、「女の子の妖怪特集」。コレが「鶴姫」(丹頂鶴の妖怪。アネゴ肌で「うる星」の弁天風)、「マリナ」(マリモの妖怪)、「ごみ女」(ごみの妖怪。ごみ袋をビキニ状にまとっている)などなかなか美少女ぞろい。
「マッサー神(ジン)」というのもおもしろいし。
「#263 覇鬼、大暴れ!!」
「#264 覇鬼打倒作戦!」
「#265 お兄ちゃんはどっち!?」
「#266 戦いの果てに……」
ぬ〜べ〜が左手に封じていた「鬼の手」の鬼、覇鬼(バキ)が復活。ゆきめも戦いに臨む。
ついに最終巻。さまざまな伏線が始末され、クライマックスはぬ〜べ〜とゆきめの結婚式。
「#272 ぬ〜べ〜結婚前夜」
「#273 君が流した涙のために!」
「#274 見よ! これが愛の最終形態!!」
以上、全部ぬ〜べ〜&ゆきめの結婚にまつわるエピソード。#274で結婚式。
ぬ〜べ〜九州に転任決定。どうやら前回までに二人は初夜を済ませているらしいことが、「鬼の手」から語られる(一部始終を見ていたらしい)。かなりはっきり明示されてて少年誌としてはめずらしいというか大団円が近いことを感じさせる。しかし、こういうときはゆきめは東北弁になってなきゃおかしいんだよねホントは(コーフンすると東北弁になるという設定だった)。
最終話。5年3組の生徒と、涙、涙のお別れ。ゆきめと眠鬼(ミンキ)はぬ〜べ〜に付いていく。
妖怪とはいえゆきめが16歳でありながら20代半ばでしかも教師のぬ〜べ〜と恋愛関係になるのはいかにも不自然に思える(単行本でも指摘されている)が、これはおそらく少年誌掲載だったため読者の年齢に近づける配慮と、小学生の郷子や美樹、中学生のいずな、同僚の律子先生などの中でキャラクターの年齢に幅をもたせるためだったと思われる。
しかし友達以上恋人未満(笑)のゆきめに対し、鵺野先生は「ゆきめちゃん」とも「ゆきめさん」とも呼べず、教師口調の「ゆきめくん」で通している(精神的な距離が近づいたときは呼び捨てのときもある)。
オタク的セルフツッコミの多い本作ではあるが、ひとつだけ言及されていないことをここに書いておこう(同人誌等ではすでに書かれているかもしれないが)。
……ということで、「二人はなんかあやしいプレイをしているのだ!」と勘ぐって、締めの言葉にかえさせていただきます。
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