つれづれなるマンガ感想文2月前半

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「つれづれなるマンガ感想文」2月後半
一気に下まで行きたい



・「未来のゆくえ」 やまむらはじめ(1999、少年画報社)
・「ビジネスジャンプ」3月1日号(2000、集英社)
【同人誌】・「ASPHODEL」 秋乃、中森一郎、柚たかき、藍月紘一郎(2000、「Angel@ Air」)
【同人誌】・「性の暴走ドキュメント」 春咲小紅(2000、「UNIVERSAL INVADER」)
【同人誌】・「S2」 平岡也朋(1999、「Sweet!」)
【同人誌】・「KISS+LOVE2000 SPRING」 平岡也朋(2000、「Sweet!」)

【同人誌】・「迎撃」 紅茶羊羹(2000、「大深海水淵亭」)
【同人誌】・「東京バッ●マンNEXT」 滝季山影一(1999、「滝季山影一国際騒動局」)
【同人誌】・「クズの脳みそ!」 上原照人(1999、「ち」)
【同人誌】・「伝言ゲーム」 南研一(2000、「Parking?」)
【同人誌】・「コミケスター」 中森一郎(1999、?「Parking?」で頒布)
【同人誌】・「聖処女十三騎士団」 あびゅうきょ(1999、あびゅうきょ)
・「ヤングチャンピオン 5号」(2000、秋田書店)
・「由美子にラブコール」 サトウ ユウ(1986、CBS・ソニー出版)
・「週刊漫画アクション」2月15日号 (1999、双葉社)




コミティア51で買った同人誌の感想文が続くが、ううむ、知り合いの人の作品の感想を書くのはなかなかにむずかしいですぞ。「こんな書き方、気にくわん!」という方、遠慮なく申し出てください。うむ、だからといってたやすく前言を撤回するのもどうかと思うし……では話し合いなのか……イヤ、わざわざこんな断り書きをすること自体がチキンであり……わからん(むろん全部が知り合いであるわけではありません)。

・「未来のゆくえ」 やまむらはじめ(1999、少年画報社)

ヤングキングアワーズに掲載された作品を収めた、短編集。あちこちで話題になっているので、読んだ。
実はデフォルト買いしたので、タイトルからSFかと思ってました。すんません。

内容は、「青春群像」というとそれだけでダメな説明のような気がするが、味も素っ気もなく説明するとそうなる。
「青春」の描き方にもいろいろあるが、本作を読むかぎり、表面上は男女のちょっとしたすれ違い、いらだち、希望、絶望などを描いているように見える。絵も達者で女の子も可愛いし。しかし読み進むうちに、作者は「一見」のイメージよりはるかに絶壁に立っているように思えてくる。すなわちそこにあるのは「青春」などという予定調和的な言葉はそぐわない、「生」そのものだ。登場する男女が若いってだけで、そこにあるのは青春というより「生」である。

収録中の作品の水準としては「肩幅の未来」が突出していると思う。つきあい始めてある程度の年月が経っている男女の何気ない生活を描くが、どうやら「半年後」に女の子の側に大きなカタストロフが来るらしい。ネタバレになるのでどう書いていいやらわからないが、とにかくSFやファンタジー的な言い訳のまったく効かない、掛け値なしの「終わり」が来るらしいのだ。流し読みすると気づかないかもしれない。だが「あれ?」と思ってもう一度読むと、2人の営みの意味がまったく違って見えてくる。
そこには青春もヘッタクレもない、まさに「生」そのものがゴロリと横たわっている。恐く、そしてせつない。

だが個人的に「やられたー」と思って引き込まれたのは冒頭に掲載されていた「最後の夏」。練習中の事故で3年間の陸上生活をフイにした男・多島と、才能があるのに記録には興味のない下級生の女の子・小田切。多島がコーチすることで小田切も記録への意欲が出てくるが……という展開はある意味王道だが、とにかくラスト近く、小田切が走行中コケてしまったときの多島の顔がスゴイんである。「過去の自分の事故を思い出して……」とかそんなレベルじゃない。多分、自分自身の事故で多島は擬似的な死を体験した。そして小田切の事故でもう一度体験したのだ。なんて恐ろしい。
「青春」には予定調和はあるかもしれないけれど、「生」には(逆に言えば「死」には)予定調和なんかないのだ。そんなことを考えさせられた作品。
(00.0219、滑川)



・「ビジネスジャンプ」3月1日号(2000、集英社)

・「ホームズ−ロンドンの竜−」 久保田眞二

58ページの巨弾読みきり。おそらく何のクレジットもないので、コナン・ドイルの原作にはないオリジナル話だと思う。
親善大使として日本からヨーロッパにやってきた少年・大五郎が、ロンドンに取り残されてしまう。そこで、連続殺人の謎をめぐってホームズとの冒険が始まる! といういたってシンプルな物語だが、そここに仕掛けがしてあって楽しめる。

何より、久保田眞二は「大人の男」が描けるマンガ家だ。もっと言えば、「大人の男」と少年の関係が描けるマンガ家。今回も、ホームズと大五郎、成長した大五郎とその息子との関係にそれは表れている。

もともと、久保田眞二は今から15年ほど前、週刊少年キングで少年モノを描いてデビューした。当時、私が彼の描くものでもっとも惹かれたのが、優しく少年を見守る大人と、そうした大人に憧れた少年たちだった(「VTRでもう一度」など)。当時から現在に至るまでグチャグチャになり続けている現実の大人/子供の関係と違い、そこには一種のファンタジーがあった。

その後少年誌を離れた作者は、青年誌でハードボイルドタッチのアクションモノを多く手がける(「暴威」「AYUKO」など)。かつて大人に憧れた少年がまた大人になり、活躍するさまを思い描いたものだと考えることもできる。だがそこには優しい大人はおらず、大人になるためにさまざまなものを捨てていったかつての少年がいた、ように読めた。
作品の連続性を読み過ぎることの愚を思いつつ、私にはそうとしか読めなかったのだ。当時の作品に、私はあえて、絵柄の改造等に苦しんでいたマンガ家・久保田眞二の姿を勝手に重ね合わせていた。

またその後、ヒロイックファンタジーモノや、コンピュータに携わる男たちを描いた「BRAINS」など、多彩な作風も見せた。原作付きのモノもあり、作者は少年やその手本となる大人、という図式に必ずしもこだわりを見せていたわけではなかったが、読者としての私の興味は、まだまだ若いうちにマンガ家デビューを果たした作者が、後の苦労の中で、本当に当初描いていたような「優しく、頼りになる大人」を描き続けることができるのか、ということにあった。

今なら、一直線に数々の作品の中に作者の描きたいテーマを探すことは、さまざまな「大人の事情」を擁するマンガを読み解くのに必ずしも得策ではないと思うが、上記の興味を持ったのは、大学1年生くらいの頃だったのだから勘弁していただきたい。
私の久保田眞二に対する興味はその1点に集中し、現在も集中し続けている。

そして、本作では頼りがいのあるホームズと、その後年月を経て成長した、ちょっとユーモラスな大五郎(登場するもう一人の少年の父)が登場している。かつての少年・大五郎と、大五郎の息子とが重なり合い、「優しい大人とそれに憧れる少年」というテーマがまた、しかも二重に再現されているではないか。
私は半ば本気で、久保田作品の中における「優しく誇りを持った、頼りになる大人の男」が果たして出続けることができるのか、に興味を抱いている。もちろんそれは彼の描く「大人」が単純に記号化されていないがゆえだ(記号化されたキャラクターも私は嫌いではないが)。

今回も、久保田眞二の描く大人は健在だったことを確認した。

・「警視総監アサミ」 近藤雅之、有賀照人

上司ににらまれ、閑職に追いやられた刑事・アサミが難事件を解決する……話らしいが、実に無意味にHシーンが入る。いや、サービスシーンが入ることに今さら驚きはしないが、ちょっとムリヤリすぎる感がある。
それも過剰にムリヤリならまだわかるんだが(同じ警官モノなら「出動! ミニスカポリス」みたいに)、そのHの入り具合も実に中途半端なのだ。しかも数回読んだがいずれも女がMのSM風味。これ、原作者、作画者、編集者、だれのシュミだ???

・「なのにあなたは会社へ行くの」 ザビエル山田

サラリーマンの悲哀をテーマにした4コママンガ集……なのだが、悲哀を通り越して抑圧まで感じてしまう私はどっか悪いんでしょうか!? コレとヤンマガの「おやすみなさい。」は悲惨すぎて笑えないときがある。
(00.0219、滑川)



【同人誌】

・「ASPHODEL」 秋乃、中森一郎、柚たかき、藍月紘一郎(2000、「Angel@ Air」)

いろいろな人が描いている、文字どおりの同人誌。さまざまな可愛らしいマンガが載っているけれど、個人的には冒頭の「ちいさなおへや」(秋乃)が衝撃的だった。
幼児虐待をテーマにした短編なんだけれど。
少女マンガを読み慣れていないと、このような手法に手もなくひねられてしまうのですよ。ううむ参った。考えさせられた。もっと少女マンガ読もう。
(00.0217、滑川)



【同人誌】

・「性の暴走ドキュメント」 春咲小紅(2000、「UNIVERSAL INVADER」)

「話のプレイ情報局」という風俗雑誌? に連載された2ページマンガを本にまとめたもの。内容は、「手術デビュー(包茎の)」、「処女にAV撮影現場を見せてみよう!」、など実録の体裁を取った赤裸々なモノが多いが、絵がカワイイので不思議空間に誘われるカンジ。
っていうか、春咲小紅さん、絵上手いよねえ。なんというか、……うーんやっぱり達者ということなんだろうと思うけど(なんつー表現の仕方だ私は)。
(00.0217、滑川)



【同人誌】

・「S2」 平岡也朋(1999、「Sweet!」)
・「KISS+LOVE2000 SPRING」 平岡也朋(2000、「Sweet!」)

「S2」は、スノボマンガとフリートークの組み合わせ。「KISS+LOVE2000 SPRING」は、2ページの短編ラブストーリーとフリートークの組み合わせ。両方とも薄い本だけど、とても可愛らしい。ずうっと前からイラスト入りで大判の(B4くらい?)のフリーペーパーを発行していた方でしたが、短い中にスコーンと自分のエッセンスを詰め込むのが上手なヒトと見ました。つまりスタイルを確立させることができる。どっかのだれかが「フリーペーパーなんてムダ。もらったらすぐにメモ用紙にする」なんて銃殺刑並みのバカ発言をしていましたが、そういうヒトはSweet!のツメのアカでも煎じて飲むべきである。
もうひとつの魅力はフリートークの独特の元気な文体、だろうと思う。とてもパワフルで、ハツラツとしていて勢いがある。そして独特の「味」がある。創作過程ではさまざまな試行錯誤があるかもしれないけれど、アウトプットされてくるものにすごいすがすがしさがあるんですよね。うらやましいス。(00.0217、滑川)



【同人誌】

・「迎撃」 紅茶羊羹(2000、「大深海水淵亭」)

最近ではスラップスティックな作品を多く手がけていた、紅茶羊羹さんのSF短編。
もっとも、これはかなりシリアスな展開。
遠い未来、かつての大戦争の被害を被りながら、再び訪れる「戦」のために力を蓄える巨大な「芽」を守る「守」たちの生を描く。
なぜ守らなければならないのか、意味も失われ果て、それでも「芽」を守り続けなければならない。日々の人間の生とは無関係にシステムは超世代的に動き続け、そしてそれもまた人類がつくったものだけに「運命」だと割り切ることもできかねる立場。
そういう「生きた亡霊」のような人間の立ち姿は、「北斗の拳」のようなマッチョ万能主義な楽天的終末とも、「薔薇色の二十一世紀」が裏切られたダダモレ的ブレードランナー的終末観とも異質な、かなりダークな世界観に基づいているように思える。だけれども、不思議ととことん暗い感じはしない。それが本作全体の「迎撃システム」のダイナミズムにあるのか、作風、構成にあるのかはちょっとわからないんだけれども。
これはオススメ。(00.0217、滑川)



【同人誌】

・「東京バッ●マンNEXT」 滝季山影一(1999、「滝季山影一国際騒動局」)

東京都極多摩市(ごったまし)に出没する一風変わった人々(要するに怪人)と戦う東京バッ●マンとその息子、ロビンの活躍。
「オッペパーイ」なる一発ギャグを広めようとするバカダーをはじめ、「バットマン」のパロディキャラクターと、滝季山氏独壇場の政治家キャラとが入り乱れハチャメチャな戦いを繰り広げる。独特な、キッチリした絵柄で58ページもあるのでその味は特濃。氏の最高傑作のひとつではないかと思う。
(00.0215、滑川)



【同人誌】

・「クズの脳みそ!」 上原照人(1999、「ち」)

コミティアガイドその他で話題になっていたので読んでみたりする。 落書きみたいな絵と、情念で描き飛ばしたようなコマ運び・展開。実は読む前は印象でもっともっと感覚的だと思っていたが、意外に計算されている。よくマン研の会誌に、落書きみたいな、「会誌の締切に間に合わないからこうなりました」という言い訳を用意しつつ、まったく計算も何もなし、本当にただ描き殴っていただけの作品が載っていて、そういうのが嫌いな私は読む前にヒソカに恐れていたのだ。まさかそのような作品なのでは、と。しかし、そうではなかった。話題になるだけあって確かに話題作だ(←ヘンな日本語……)。「全部計算」ということはまずないだろうし、全部自動書記的な描き殴り、であることもまずない。またコマ運びや展開も、まったくワケがわからない感じではなく、ギリギリ意味が通っている。「ねじ式」と比べたらねじ式の方がよっぽど支離滅裂だ。そのような意味において、平均台でバランスをとっているような微妙な印象のマンガではある。こういうのは本当に微妙なんだよな。古い形容で恐縮だが、呪文で言えばパルプンテみたいなもんである。同じ方法論で裏目に出てしまった他人の凡百の作品を思うとき、私はそっと涙する。
(00.0215、滑川)



【同人誌】

・「伝言ゲーム」 南研一(2000、「Parking?」)

なんというか説明がむずかしいが、詩的なマンガ。こういう言い方は作者ご本人はどう思われるかわからないけれど、これからマンガを描き続け、年をとり続けていくことをどう描いていくのかが、とても興味がある。
30歳越えてからもマンガを描き続けていくことや、年をとり続けることを、避けないで描いていく人だと思うんで。
……っていう書き方は言葉足らずだな。要するに、私個人が、そのようなことに興味があるというだけのことなのだけれど。「一生青春」と言いきるか、隠居ぶるかの二者択一ではなく、年をとっていく日々の変化を見つめていくことは、女性作家にはあるかもしれないが男にはあまりないような気がしているから。そのようなことをことさらに思い出させるのは、この作者の作品の叙情的だけれどもどこか確実に突き放したような感じ(いい意味で)にあると思う。
……ということで私の個人的興味をレビューにひきつけた悪い例になってしまった。 すんません。 (00.0215、滑川)



【同人誌】

・「コミケスター」 中森一郎(1999、?「Parking?」で頒布)

断続的にコミティアで頒布が続いている「コミケスター」の続編。
同人誌即売会を舞台に大騒ぎするような感じのギャグマンガ。私は大好きなんだけど、「前回までのあらすじ」も奥付もないのはいかがなものか……。確か無料配布だったから贅沢は言えないかもしれんけど。
(00.0215、滑川)



【同人誌】

・「聖処女十三騎士団」 あびゅうきょ(1999、あびゅうきょ)

アーリア民族純潔の象徴としてヒムラーが結成した、聖処女騎士団。それは全ドイツ少女の中から選抜された、13人からなる。彼女たちは、前ゲルマン時代の文字であるルーン文字を与えられ、その文字の意味する神聖なる力(フォース)を授かっていた……という設定のもとに、13人の少女をイラストとテキストにより描いたもの。
あびゅうきょのナチものというかナチスを題材にしたイラスト&テキストは、(作者本人がそうだという意味ではなく)疎外されていると感じている者にビンビンに通じる哀しみに満ち満ちている。そうなんだよなー……マッチョばかりではやっていけないもん。
(00.0215、滑川)



・「ヤングチャンピオン 5号」(2000、秋田書店)

グラビアは「中島礼香」
カワイイ+おねえ系って感じ。「BOYS BE...」の舞台に出演するそうだが、舞台化ってのは驚いたよ。でもこの人、「BOYS BE...」の世界観にはあってると思う。

・「バトルロワイアル」 作:高見広春、画:田口雅之

「大東亜共和国」という日本を思わせる架空の国で、中学の1クラス全員に殺し合いをさせるという「プログラム」がある。それに参加せざるを得なくなった少年の物語。

実は原作読んでませーん……すいません。あれですね、なんかの賞に漏れちゃったんだけど、別の出版社から単行本として発行され話題となった作品。小説を落選させた選考委員の評は、人づてには聞いたけれど原作と含めて一度読んでみたい。選評ってのは選考委員の小説に対する考えを表すものだから。

さてマンガのみ読んで感想を書くと、キャラが立ちすぎているくらい立っている主要登場人物はもちろん、その他も含めクラス42人全員の顔を初回に出したり、細かいところではバリバリの軍事国家である大東亜共和国のテレビに「覚悟のススメ」が映っていたりと(この国で「覚悟」がどのような評価&誤解を受けているかは興味深い)、田口雅之節全開って感じ。もちろん「くそナントカ」というフレーズも健在。

「バロン……」がうち切りになったときはガッカリしたが、早くも再登場でとてもうれしい。(00.0210、滑川)



・「由美子にラブコール」 サトウ ユウ(1986、CBS・ソニー出版)

84年、月刊少年マガジン連載。バイク好きの高校生・工藤修司は、ひょんなことから憧れのアイドル、綾瀬由美子の「運び屋」をすることに。ドジだが男らしく、スポーツもできる修司と彼に惹かれていく由美子とのラブコメ話。

ほとんど表紙買いだったが勘どおりの内容ではあった。昔の月刊マガジン掲載のラブコメにはきちんとしたフォーマットのようなものがあり、本作もその範疇外の作品ではない。
イメージどおりのかわいらしいアイドルと、そんな少女にとうてい近づくことさえできない少年がふとしたきっかけで友達になり、やがて愛し合うようになっていく。
84年という年は、早見優や小泉今日子といった聖子フォロワーのアイドルがテレビを席巻していた時代であるし、間抜けだが確固たる騎士道精神を持っている少年と美少女とのラブ話は、現在のラブコメマンガとも当然感触が違う。また絵柄も今から見ると古い。
だがそれだけに、ノスタルジーな感覚にひたるにはうってつけと言える。

SPEEDがオトコがらみで解散、などと言われる中、おとぎ話としてすら今では成立しにくい話だが、むかしはこういうのがあったのだ。

何もかもめんどくさくなったときに、「ひたる」マンガ。ある意味癒し系と言える。
(00.0206、滑川)



・「週刊漫画アクション」2月15日号 (1999、双葉社)

・「夜の紳士」 柳沢きみお

「年をとるほど不良になれ!」「伸るか反るかの恋愛遊戯!」と書いてある月イチ連載らしいが、途中から読んだので内容があまりよくわからない。
50代の勤め人・中条が、自問自答しながらコギャルをかみさんに秘密の隠れ家に連れ込んだり、年上の知り合い・津川が若い奥さんをもらうのをひたすらに羨んだりするマンガ。月イチ連載なので1話完結だと思うが、事件らしい事件はほとんど起こらず、ただひたすらに中条の自問自答が続く。
ネームもなんだかヘン(まあ昔からだが……)。

援助交際を申し出にきた家出少女ユカを、気まぐれにひっぱりこんだ中条。
彼はユカが「好みではない厚底女」だったからHはしないと決めていたが、偶然ハダカを見てしまい、あまりにもイイ身体をしているので興奮し、突如Hしてくれと頼む。
「このハチきれんばかりの若さはなんだ!!」
「ダブダブの服で分からなかったが」
「なんと見事な体だ」
「まさに我を忘れむさぼるようにユカを食べた」
「凄い!!」
「凄すぎる体だ」

……と心で叫ぶのだった。

柳沢きみおは個人的にあまり読んでいないので他の作品と比べてみることができないが、なんともいえない奇妙な味だ。少しずつ老境に入っていく男の悲哀と「ドラえもん」的な都合のいい妄想を取り混ぜて描いているところに味がある。美女が美女に見えない絵だな〜と思っていたが、その代わりと言っては何だが「ブスだがスタイル抜群」で決して性格までは悪くない少女・ユカはソレナリにキャラ立ちしていると思いますがどうでしょうか。

それにしても多作な人だよなァ。などと柳沢きみお風につぶやいてみたりする。
(00.0203、滑川)

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