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「つれづれなるマンガ感想文」6月後半
「つれづれなるマンガ感想文」7月後半
一気に下まで行きたい
成年コミック。「漫画エキサイト号」、「漫画ピラニア」など
に掲載された読み切りを収録。
収録中「今夜は抜かないで!!」が何とも言えぬ味。
「元発(「元気一発」の略で、保健の河井さゆり先生が男子生徒とヤってくれる
こと)」が「性病を蔓延させる」として、文芸部の広瀬崇が「危ないお話」を書いて警告、
学園内で推進派・反対派に分かれて論争になるというお話。
広瀬隆の顔見たことないけど、コレたぶん似顔絵なんだろうなぁ。
連作「びしょ濡れ天使」は、ヒロイン菜摘の友達・美加が「メガネにくわえたばこの
世の中をナナメに見ているような女の子」で、なんかのパロディかもしんないけど
こういうキャラクター、懐かしいスね。
最近見ないもん。なんか寂しい。(99.00715、滑川)
ジャイアント馬場風味の「マウント斗羽」とアントニオ猪木風味の「アントニオ猪狩」の対決編。
まさに「ぜったいできない」夢の対決……。
二人の「かけひき」、「格」、そして人々の熱狂。まったくウットリする。
「2人の全盛期を知らない、『直撃世代ではない』青年」がツルッと
「どっちが強いんですか」
と聞いちゃうところ、
それに対し、ムッとするでなしにきちんと答える「直撃世代の男」。
たまらんね(^_^)。
私の知るかぎり、「猪木VS馬場」は夢枕獏の小説「平成元年の空手チョップ」で、
「前田日明VS冷凍睡眠から目覚めた力道山」の前座として行われている。
夢枕ファンの板垣先生がそれを知らないハズはない。
いわば夢枕版「猪木VS馬場」への挑戦でもあると、私は受け取って読んでいる。
さらに。
何かの雑誌で「トーナメント編が終了後は、若き日の愚地独歩編だ」という不確定情報を
読んだ。今回、「斗羽VS猪狩」になったのは、もしかしたら馬場が亡くなったことと
関係あるのかもしれない。
そんなことを考えながらしみじみと読む。
・「がんばれ酢めし疑獄!!」(施川ユウキ)
ギャグ四コマ。肉のことばかり考えている「ドラえもん」風味のロボット?
にくえもん。「にくえもん主題歌」には笑った。これは「すごいよマサルさん!」に
おける「セクシーコマンドー部の歌」への直球の挑戦である。と、私は勝手に
受け取った。
(99.0713、滑川)
コロコロコミック連載の、1話完結形式推理マンガ第2弾。
いわゆる「吹雪の山荘モノ」である「『首取りの崖』殺人事件(前・後編)」が目玉か。吹雪はナイけどね。
1巻でもそうだったが、さすがに大人が読むと「推理クイズ」的なメジャーな
トリックに気づいてしまう場合がある。しかし、それはすべて
「ヒロインのマープルがカワイイ」ということをもって気にしないこと!(99.0713、滑川)
コロコロコミック連載の、1話完結形式推理マンガ。
「コナンの低学年版」という固定観念があったため今まで読んでいなかったのだが、
主人公・ホームズ(西鍵健一)が小学六年生にして「警視庁秘密捜査課の警視」
であるという設定にまず魅了される。
ちなみに友達のマープル(北原真古・女の子)は警部、コゴロー(明石小五郎)は警部補だ。
肝心の推理は、「映像として見せる」ことに気を遣ってかなりまとまりのいいものに
なっている。それほど厳密にならなくてもいい児童マンガとしての特性を
活かしているというか。推理ものはプロットにがんじがらめになると、
マンガとしての面白みが失われてしまう危険があると思うが本作は
「マンガであること」を意識している佳品であると思う。(99.0712、滑川)
悪の秘密結社「レリッシュ」に潜入した新聞記者・片桐毅(かたぎり・たけし)は、
元ナチのおかかえ科学者滝沢博士によって、スーパーマンに改造されてしまった。
しかし、その副作用で全身は影のように真っ黒になってしまう。
そして、太陽の光を長く浴びると元に戻り、超人能力も失われてしまう。
逆に闇の中に入ると、再びスーパーマンとなるのだが……。
レリッシュを逃げ出した片桐は、「シャドウマン」として正義のために戦う
決心をする。そして正義の組織「エンゼル」に入り、滝沢博士の開発する超人たちと
対決することになる……。
エンゼルVSレリッシュのスパイ戦に、シャドウマンと敵超人との戦いがからむ。
うおお、いい意味で「時代」ですなあ!
滝沢博士は最後に「透明怪人」をつくり出す。シャドウマンは闇の中に透明怪人を
追い込み対決するが、いちばん盛り上がるところ、もう少し戦いに工夫が欲しかった……。
関係ないけどこのマンガ、「ちびくろサンボ」とかなんとかのからみでやはり再販
できないんだろうか? むずかしくてちとわからん。ただし、まったくと言っていい
ほど「黒人」のメタファーが使われていないことは確かで……、もう問題が微妙すぎて
なんて書いていいかわからない! よくわかりまへん。(99.0710、滑川)
ミスターマガジン連載。「愛と奉仕の乙女まりんちゃん」「明るい日本の未来を築くため」
「殿方(あなた)の御精子をいただきますわ(ハート)」……というキメ文句のまりんちゃんの
活躍を描く第2巻。
まりんちゃんを使って「日本人保存計画」(要するに精子を集めて回る)を
進める鳴滝博士にフラれた腹いせまじりに、「アメリカ人保存計画」
(要するに……以下略)を実行する美人科学者、ドクター・マリリン。
彼女はダッチワイフ・ロボット「サウスポール1号」を開発して
まりんちゃんに挑むのだった。
最終回は、「とつぜんオワリですいません、お詫びにみんなの痴態を見せます」と言って、
男の鳴滝までハダカになって完。
余談だが、単行本の表紙だけでは何のマンガだかさっぱりわからない。
あらすじくらい入れてもいいのでは?
巻末収録の「デビュー前の作品」「卒業の日」は、高校を卒業後、
かつて離婚し別れて暮らすことになった母親と再会を果たす少年のしみじみ物語。
作品のトーンがまったく違うのねん。
(99.0710、滑川)
成年コミック。主に「漫画エキサイト号」、「漫画大悦楽号」、「漫画娯楽館」など
に掲載された読み切りを収録。
エロ&ギャグ&ストーリーテリングが阿宮美亜のミリョク。
この単行本では「学校の個室トイレの壁にある秘密の小さな穴を通して、
顔も名前も知らない男女がHする」第7話「泣き上手」、
「私はわきがかもしれない」という教え子の疑惑を
「では服を脱いでみなさい」とかなんとか家庭教師の青年がやっているうちに
最後までイッてしまう第10話「毛が匂う夜」がバカバカしくも面白い。(99.00710、滑川)
エロトピアに収録された作品を中心に構成された、Hアクションマンガ。
基本的には北斗の拳〜JOJOを通過してきた肉体描写と、
それとは異なる「文脈」で描かれた美少女が活躍する。
個人的には、19世紀イギリスを舞台にイギリス紳士とアメリカ男のコンビが
妖魔と対決する(つまりあまりにジョジョ第一部ライクな)「ビーストハンター」がお気に入りである。
核戦争後の混乱した地球で、非情な用心棒「風鬼(かぜおに)」が戦う読みきり
「風(KAZEONI)鬼」は、いくらなんでもちと展開が非情すぎやしないかい?
とにかく善人も悪人もすべて死んでいくのですよ。ただし「風鬼」のデザインは
カッコよさげではあるが。(99.00708、滑川)
今、少年誌でいちばん売れているらしいから(ミーハー)、そして「MMR」は
・「MMR(マガジンミステリー調査班)」
実は1、2巻を読んだ段階で見切りをつけてしまい、「それからがいろいろな意味で
面白くなる」と聞かされてどうしようか(滑川が)困ってしまっていた作品。
伊集院光のラジオで「あれはいろいろな意味でサイコー」的なコメントがあったので、
むしょうに読みたくなったのだ。
途中から読んでよくわからんのだけど、「神の言葉」ってのが最終兵器で、
それが「ストーカー問題」と「盗聴法」が人類をロボットのように管理する
計画に関わっている、というのは……その脳髄から絞り出されたアイディアには
素直にシャッポを脱ぎますよ。
すでに「ノストラダムスでなんたらかんたら」な7月から8月にかけての対応も
済んでいるみたいで、編集部的にはメデタシメデタシ……なのかね?
わかりませ〜ん。
・「新・コータローまかりとおる!」
・「カメレオン」
どちらも実にひさしぶりに読んだが、まったく最近のストーリーを知らないのに
スンナリ物語世界に入れてエキサイトしてしまうのはなぜなんだろう。
やはりダテやスイキョウな長寿マンガではない。
とくに「コータロー」の格闘描写には惚れた。「修羅の門」か「刃牙」か、ってな
話を格闘マンガではよく聞くが、「コータロー」、ワカッテルと思う。
・「人間凶器カツオ」
・「将太の寿司」
これらもスンナリ入れる。ただし、「将太」は、料理マンガとしては
「確信犯的キリコの乳」と
「血まみれで駝鳥の生肉にかぶりつく主人公」があるぶん、
チャンピオンの「鉄鍋のジャン!」の勝ちだと個人的に思ったりする。(99.00707、滑川)
スーパージャンプ連載。勝ちまくっているときは一流ホテル「シェルトン」に住まい、負けがこめば路上生活と、まことに思いきりのいい生活を送っている「伝説のザ・ギャンブラー サガ」。「ホテルシェルトン」の新人ホテルマン・松尾純一がほとんど無一文のサガに賭けるための金を貸してやったことから、命のやりとりにまで発展するギャンブルに巻き込まれていく。
つまり、「ジョジョ第4部」初期の康一くん的役割ということだ。>純一クン
さて、ギャンブルマンガにはいろいろあるが、本作は1巻を読むかぎり、ギャンブルの超絶的なテクニックを展開しながら、サガは最後の最後には「強運」にすべてを託すところがカッコいい。麻雀や囲碁・将棋の世界では、日常的なギャンブルの「偶然性」など入り込む余地がないシビアさがあると思うが、それをサガの「ヒキの強さ」でひっくり返すところに面白みがある。そしてそこまでのお話の持って行き方もウマいのだ。
また、賭け麻雀に巻き込まれた純一が「五分の魂」を見せるところもイカす。
ちなみに、1巻では「チンチロリン」と「ヤクザの代打ち麻雀」がテーマとなっている。(99.00706、滑川)
・「玉男(たまおとこ)」(原作:尾上龍太郎、劇画:ふくしま政美)
「聖マッスル」、「女犯坊」等でカルト的人気を誇る劇画家の新作、一挙50ページ掲載でついに登場。
「カラス」の異名をとる謎の巨漢パチプロ・風見零。「鷹」と呼ばれる超大物パチンコ店経営者・銀大寺無道に深い恨みを持っているらしい。銀大寺の目的は「日本征服」。その野望への第1歩か、総理を招いて船上で銀大寺グループのパーティが開催される。そして会場の船を爆破した風見……。これから彼の復讐行がはじまるのか!?
とにかく通常のデフォルメ手法では考えられない顔の造形、精密な絵柄、部屋いっぱいにズラリと並んだパチンコ台の迫力、パチンコになぞらえたわかったようなわからないようなファック・シーンなどなど、「ふくしま節」を十二分に堪能。やはりぶっとびマンガの頭上に遠く輝く北極星、それがふくしま政美なのだろう。と、連載第1回を読むかぎりは思う。(99.00706、滑川)
ヤングメタル連載の中編。森川という恋人がいるが、浪人中のため結ばれることができない青年・山瀬拓実。彼の元に謎の老人が現れ、「中世ヨーロッパ伝来の魔法の妖精、ティンキー ベル」を売りつけてくる。まったく信じないままティンキーを買わされた拓実であったが、コレが本物の妖精。月に一度だけ、願いをかなえてくれるのだ。そしてエネルギー補給には「ご主人様」である拓実からキスをもらわなければならない。
展開はまったくオーソドックス。ティンキーは拓実と森川の仲を取り持とうとする。
よっぽど「おしかけ女房モノ」に入れようかと思ったが、とくにオクサン気取りでもない、純粋な「妖精」なのでこちらに入れることにした。
まぁ、ホントはジャンル分けなんてどうでもいいんですけどね。
本作のポイントは、「拓実と森川が肉体的に結ばれると、ティンキーは消えてしまう」という設定だ。
妖精は子供にしか見えない。だから、森川と結ばれオトコになった拓実の元からティンキーは消えて
しまうはずなのだったんだがね……、というラストであった。(99.0705、滑川)
「プチパンドラ」、「漫画スキャンティ」収録作を中心とした成年コミック。
「本能猛」とは帯ひろ志氏のHマンガ用のペンネーム。収録作は「ミスターはめっ子」、「性欲魔人ゴーカンダー」、「I am エスパー」(「ゴーカンダー」の発展型)、「無敵変態オゲレツロボ」などのジャンルギャグパロディ満載で、ホンバンがある以外は「ミラクルランジェリー」などの少年エロコメとそう変わらない楽しい内容になっている。
個人的には「あそこ長おじさん」が好きだ。ただ単に、「あそこ」が十数メートルもあるおじさんの話なんだけどネ。「ゴーカンダー」に出てくる「ワカンダー」には力が抜けたし、「オゲレツロボ」のデザインもすごいんだけど。
なお、Hマンガの単行本にはよくおまけページがついているが、本作には数ページにわたって広瀬隆の「危険な話」に影響を受けた、ドマジな「反原発についての文書」が掲載されている。お断りしておくが、勉強不足の滑川には原発についての知識はあまりない。
それを棚上げしておいて驚くのは、88年当時の人々の「原発の危険性を伝えなければ!」という緊迫感である。これは当時、「危険な話」を読んだものでなければわからない何かなのだろう。「情報の伝播」についてもふと思いをはせる1冊。(99.0705、滑川)
SUPER JUMP連載。T大卒の一流商社マン・藤井貴史は、仕事はできるが恋愛に少々臆病なところがあった。そんな彼の前に、謎の女RIKACOが現れる。RIKACOの情熱的な求愛にとまどったり怒ったりしながら、じょじょに大胆になってゆく貴史。RIKACO以外とも情事をすることによって、彼はだんだんと男らしくなっていくのであった。
最近ではただ「エリートが毎回美女とオイシイ目に遭う」というだけのマンガかと正直思っていたが、最初はこのようなストーリーがあったのである。
いわば男が「開発されていく」話だったのだね。
秘書とヤっちゃったり、年の近い叔母とヤっちゃったりするが、決してエリートの道を踏み外さないところが、ご都合主義ではあるが読者にはソレナリに訴えるものがあるのだろう。出てくる女の子は小谷憲一が描くんだから、かわいくて当然だ。(99.0703、滑川)
アニマルハウス連載。空想科学小説家の墨染鬼十郎、その助手の麻見幸子、東京帝大教授の阿部信輔が、八百万の神々の代理として日本の国土を守るため「祓師(はらいし)」となり超自然的存在と戦う。昭和14年、山本五十六から依頼を受けた彼らは、死んだはずの怪僧ラスプーチンの手で蘇ったバルチック艦隊と、秘術の限りをつくして戦う!
ひと言で言ってしまうと「帝都物語」、「孔雀王」のヒットから生まれた企画だと思う。妖術の表現が、巨大怪獣みたいな角にコウモリの羽の怪物が飛行機をなぎ倒したりするところは面白いんだが、八百万の神々以外の、他民族の土着神がみんな悪に描かれているのはどんなもんだろう? (この場合は大地母神マーチ=スィラ=ゼムリャー) もっとも、私は無知なので架空の神かもしれんのだが。
もともと「祓師」の基本設定では、「日本を狙うならば『光の陣営』である神や天使とも戦う」ということになっており、これが世界大戦とからめば「民族同士の戦いはそれぞれの神同士の戦い」というシビアな視点を盛り込むこともできるはずだ。だがこの巻では、あくまでも主人公側が絶対正義で、ロシアの地母神は悪役風に描かれている。この辺は伝奇アクションのむずかしいところだと思う。
なお女の子はカワイイ(こればっか)。作画の近石氏は現在成年コミックも手がけている。(99.0703、滑川)
コロコロコミック連載。動物たちが住んでいる動物共和国で、貧しいサイのサイぼんが、動物格闘技(アニマル・ファイツ)の格闘士になるために修行していくというストーリー。
ほかにはヤギじい(サイぼんの育ての親)、もぐ郎(動物格闘技のスカウトマン)、キリン太(サイぼんの友人)、ウルフ(サイぼんの師匠)などが出る。
しかし、
なぜ動物!? なぜサイ!? なぜ格闘技!?
なお、サイぼんが
最近「コロコロ商法」などと呼ばれ、マーケティング戦略に関しては一目も二目もおかれている「コロコロコミック」において、なぜ本作が始まったのか滑川には理解不能。
しかし、それゆえに滑川は本作を支持する。
「ものすごくクサいブリーフ」
をはいているなど、下ネタだけは充実している。(99.0701、滑川)
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