つれづれなるマンガ感想文8月前半

「つれづれなるマンガ感想文1999」もくじに戻る
「つれづれなるマンガ感想文」7月後半
「つれづれなるマンガ感想文」8月後半
一気に下まで行きたい



【同人誌】その2
【同人誌】その1
・「ショート・ピース」 大友克洋(1979、奇想天外社)
・「さよならにっぽん」 大友克洋(1981、双葉社)

・「ヤングジャンプ」36号(集英社)
・「パチンカーワールド」9月5日号(白夜書房)
・「ママレード・ボーイ」(5)吉住 渉(1994、集英社)
・「ママレード・ボーイ」(6)吉住 渉(1995、集英社)

・「巨乳家族」(1) みずきひとし(1997、実業之日本社)
・「ひみつ戦隊 ゴレンジャーごっこ」(2) 石森章太郎(1975、1999、メディアファクトリー)
・「ひみつ戦隊 ゴレンジャーごっこ」(1) 石森章太郎(1975、1999、メディアファクトリー)




【同人誌】その2

昨日に引き続き、同人誌の感想文をぼちぼちと。
ずいぶん前に読んだモノもあるし、段ボールから出てきてびっくりしたモノもありま
した(笑)。

・「APRON DRESS」(小杉あやAIMIN、
VISUALTHERAPY、GIRLISH、1999)

小杉あやさん(小杉あやAIMIN)海里さん(VISUALTHERAPY)、
Akikoさん(GIRLISH)の合同誌。タイトルどおり、「メイドさん&ウェ
イトレスさん本」。マンガ、イラスト、制服かわいい系のファミレスについての対
談など盛りだくさんの内容。とにかく絵がみんなすごくキレイ。やっぱりなー、
フリル命っスよね。あと髪の毛の一本いっぽんの描き方。勉強になる……。

・「新平面13」(新平面、1998)

創作マンガ集。昨日読んだ「11」に引き続き、自信もって無意味なマンガに取り組
んでいる。デッサン力があるのも無意味に拍車をかけている。長編
「SMOKESTACK LIGHTNING」
(最強のロボット兵士、ラビット
五郎の物語)は無意味ながらスジが通っている。しかし、フリートークまであまりにも
わけがわからなさすぎるのは、どうかと思うが……。

・「聖コスプレ学園PERFECT GuideBook」(赫い吉六会、1998)

昨日「コスプレイメクラ」のガイドブックを「すげー」とか言ってたら、「積ん読の
詰まった段ボール」から「公認同人誌」が……(笑)。二度びっくり。
これが「同人誌を寝かせる」ということなのです(?)。
さらに、この店自体が同人誌を発行しているらしい。三度びっくり。
本書では「センチメンタルグラフィティの制服問題」っていうのがなあ……笑ってし
まいましたよ。ソレの制服が導入されるかどうかが、そんなに問題なのか(笑)。

さて、後半は店の女の子の直筆(と思われる)パーソナルデータが載っている。
この同人誌が発行されて1年くらい経ってるので、データとしては陳腐化していると
思うが、退屈しのぎに読むには面白い。

まあ、いくら「マンガやアニメが好き」ってのがウリでも、最初は眉にツバをつける
じゃないですか。んで私はアニメ・ゲーム系はまったくわからないから、「最近好
きなマンガ」ってとこだけ拾い読みしたら、
古屋兎丸、グルームパーティー、西村しのぶ、チャイルドプラネット、猫目小僧、
井上三太、花くまゆうさく、ジャスティ
、などが上がっていた。
……そこらの漫研より濃い(笑)。(99.0813、滑川)



【同人誌】その1

当「つれづれマンガ紹介」では初めて、コミケも近い(っていうか明日から)ということ
で、同人誌の感想文である。
同人誌は、同人誌即売会に行く習慣がないと買いにくいこと、ちょっと時間が経つと
すぐサークル名が変わったりサークル自体が消失してしまったりするので、どこまで
紹介に意味があるのか疑問だったのだが、まあこのHP自体たいした意味がある
わけじゃない
ので、やることにします。あ、それと中には純粋に「マンガ」
とは言いがたいモノもありますが、そういうカオスこそ「マンガ」に生命力
を与えるもの
、などと聞いた風なクチを聞いて挨拶にかえさせていただきます。
カッコ内はサークル名。

・「MINDY POWER」#13(WARMACHINE、1998)

眠田直氏の、冬コミで発行されたコピー誌。わりと活動状況とか近況的な内容だが、
読むとけっこう面白い。「オタクアミーゴス」の公演情報なんて、たんたんとプロ
グラムが書かれているだけでも笑ってしまう。それと、ウスウスの私には「はれぶた」
の監督が「ゴルドラン」もやっていたと知って、何かすご〜く納得するモノがあった。

・「すべての愛すべきものへ 準備号」(生命の輝きは永遠に、1998)

アニメ「ナースエンジェルりりかSOS」全話を解説した資料本。
「95年は『エヴァ』と『りりか』だけを見ればよかったのだ!」
という惹句には非常に熱いものが感じられる。中身も非常に熱い熱い文章で溢れ返っ
ている。

この同人誌の制作者は、「りりか」の最終回を最大限に評価している。
実は私は「りりか」がけっこう好きでありながら、あの最終回は評価しない派、なの
だが、「りりか」そのものが取り上げられることが少ない上にこの熱さは素晴らしいと
感じる。
「夏コミに完全版が出る」と書いてあったのだが、このサークルのHPを調べたら出ない
ようだ。残念。

・「花中島マチャ彦、勝利の方程式 VERSION1.1」(赫い吉六会、1998)

一時期話題になってた「コスプレイメクラ」のガイドブック。
いやーこれすげーわ。店のガイドとか載ってるんだけど、「オタクな会話が通じるか
どうか」が評価ポイントになってたりして、なんつーかすごいオタク的情熱を感じる。

「綾波レイ」のコスプレを始めた店が「綾波はじめました」と貼り紙し、「冷やし中
華みたい」と言われたってのが都市伝説だかなんだかでありますが、「コスチュー
ムの中についにプラグスーツが加わった」「いつ実戦投入されるのか」って……
「実戦投入」ってのに笑ってしまいました。
また「寝顔指名」ってのもね、そのテのことをよく知らない私は驚きましたよ。う〜
んパパラギ。

「AFによってイメクラでありながら『入れる』ことが可能となった 『あやつり人
形』オプションと併用すればイメージプレイの幅は無限!」
……ってセリフ、ま〜さ〜にグルメマンガ「プラモ狂四郎」かと思っちゃいました。
それにしても書いてあるコスチュームの3分の1くらいは知らねー。
どうでもいいか。焼酎飲んで寝るだけサ……病人だし俺様。

・「COSTUME−PLAY」(天然同盟、1997)

こちらはコスプレ初体験した女の子の実録マンガ。「エヴァ」のミサトの衣装をつ
くって、着て、他のコスプレイヤーと交流するまでを描いたモノ。絵がわりと達者
(「スジがいい」という感じ)、和裁・洋裁検定一級を持っているという作者、
かなり手先の器用なヒトと見た。実にうらやましい。

コスプレをしたときの感動とか楽しさが伝わってきてナゴむ。
「エヴァ関係のコスプレイヤー大勢で記念写真」をしたときに、最後にシンジ役のコ
を囲んで
「おめでとう〜〜〜〜〜!!」パチパチパチ
をやったというところは笑ってしまった。そりゃやりたくなるよネ! 絶対。

・「霊感商事 FOR BIGINNERS」(霊感商事、1998)

自称「霊能者」のやるサークル、「霊感商事」が昨年の冬コミに出した本。
「と学会」の山本弘氏も言ってたけど、オカルト批判うんぬんは別にして、同人誌と
してもちょっと手ヌキ……。
ここの本、数冊読んだかぎりではイカニモな霊感モノの本とは違い、従来のオカルト
的用語がほとんど出てこず、あまりにも一般的なコトバで、形容詞なんかはほとんど
ゲームかアニメからの引用だったりするところが新鮮だったのだが、今回チラリ
とオカルト用語も覗く。
ひさしぶりにHP覗いたらご結婚されたそーで。
私、ヒトが結婚すると言いようのない無力感にとらわれるビョーキでして……(オレ
は独身)。
あ、同人誌の感想とまったく関係ない話でしたね……。
とにかくおめでとうございまちゅ……。
あーあ。

・「新平面11」(新平面、1997)

創作マンガ集。ほぼ無意味な話の積み重ねによる無意味な空間の創出を狙っているよ
うだ。こういう作品に「どれそれに似ている」という言い方は非常に失礼だとは思
うが、絵や展開を紹介できない以上あえて言わせてもらうと、「むかしのしりあ
がり寿をさらに意味なくした感じ」
である。あまりにも意味がなさすぎるような
気もするが……。当惑。(99.0812、滑川)



・「ショート・ピース」 大友克洋(1979、奇想天外社)
・「さよならにっぽん」 大友克洋(1981、双葉社)

熱狂的なファンではない私としては、「大友克洋」というと「SF」というイメージ
が強く、それ以外の印象がなかったりします。スイマセン。ですので彼の作品の
変遷も知らないし、彼の作品がマンガ界に与えた影響というのもイマイチ知らない。
「AKIRA」も途中までしか読んでないくらいですから、私が大友作品につい
て何かを言うのがそもそもオコガマシイってもんです。
が、「つれづれなるマンガで云々」は私の日記みたいなものでもあるし、「すべてを
知らなければ何も語ってはいけないのか」と言われるとそこにも大いに疑問があり
ますので、現在から、70年代終わり〜80年初頭の作品群を読むことによって
考えたことなどを書いてみたいと思います。

短編集「ショート・ピース」では、新年会で「自分の秘密を語り合おう」という提案
のもとに、大学生たちが次々に自分を宇宙人だと明かしていく「宇宙パトロール・
シゲマ」
がちょっと異質。それ以外は、ブルー・フィルムを撮ろうとする映研高校生
の青春ダメ状態「任侠シネマクラブ」や、貧乏でどうしようもなくなった大学生
三人組が大麻を求めて旅をする「大魔境」、家出受験生がホームレスに弟子入り
する「WHISKY−GO−GO」、きわめつけ? は何をやってもダメな工員が
女子高生を犯そうとしても満足にできず、毒づかれて殺そうとしても満足に殺せない
「犯す」などが収録されている。

もう少し後に「気分はもう戦争」が出た当時は、やはり60年〜70年前半にかけて
のモロモロが終わり、有り体に言って「シラケ世代の心情が云々」的な評され方を
したと記憶しているが(ものすごく大雑把に言ってね)、最後まで冗談とも本気とも
つかない「シゲマ」はまさにそんな感じ。
他の短編も、すべて「ダメ人間のダメな生活を独特のリアルなタッチで、ユーモアを
交えて描く」というような印象だ。

「大友克洋がマンガ界に与えた影響を知らない」と書いたが、大友克洋の単行本が
ズラッと書店で平積みになっていたり、「大友風」なタッチが他の作家たちに蔓延
していったり、ということは知っている。ただし、この当時のこの作風でこの絵
柄が、そんな影響を及ぼしたのかどうかはわからん。たぶん違うと思う。

にもかかわらず、現在、「ショート・ピース」を読んで感じるのは「絵が洗練されて
いる」
ということ。だから、「ダメダメ」な印象の作品(あ、これはもちろん
「作品がダメ」という意味ではなく、ダメ人間たちを描いた作品、という意味)
でも、どこかにカッコよさ、スタイルのよさがある。「犯す」なんて、ドロ
ドロしたエロ劇画にもありそうな感じだが、筆致がスマートなので古さが感じら
れないのである。

だが、「ダメ人間をダメなふうに描く」という手法そのものは、大友克洋以前にも以後
にもあることだし、それだけで突出した作家、とはどうも思えない。
ちょっと当惑。

そこで、積ん読してあった
「さよならにっぽん」を読んでみた。
こちらの方がなじめた。
主要は、連作読みきりの「さよならにっぽん」。「空手と柔道教えます」の看板を掲
げてニューヨークに道場を出した日本人の男が、びんぼーにあえぎながらも、
いろんなヤツらと知り合いになりながらなんとかかんとか生きていく、という話。
しかしどこかとぼけていて、悲壮感はない。むしろユーモラスな感じである。
深読み? すれば「空手バカ一代」の裏返し、と言えるかもしれないが、主人公の男
への作者の愛情がなんとなくワカルので、大友克洋の「新しさ」を考える以前に、
人情モノとして面白い作品になっている。
なぜ「アメリカ在住の日本人」を主人公にしたのか、時代背景と関係あるのか、その
辺はワカリマセン。

同時収録の「聖者が街にやって来る」は、ダメ貧乏バンドマン三人組、金にあかして
レコードデビューさせてもらえる少女、アメリカからやってくる老ジャズマンた
ち、彼らと昔からつきあいがあったが、「彼らのレコードを出す」という約束がとう
てい守れない立場にいるレコード会社の部長とその下のプロデューサーなどの
人間模様がからんで、ホロリとさせる作品になっている。つまり「さよなら……」
と同系統と考えてイイと思う。

この頃の大友克洋は、どう考えても「絵の異常にウマイ、ドライな人情モノを描く
人」というイメージで、私には定着しそうです。

……どこかつかみどころがナイ人です私には。(99.0811、滑川)



「ヤングジャンプ」36号(集英社)

巻頭グラビアは

安西ひろこ。小悪魔だ!!

・「CUFFS カフス−傷だらけの地図」(東條仁)

実は初めて読むのだが、単行本がすでに10巻でている長編連載。なんだかツッパリ
モノらしいが、「アルティメット」を目指す「ドラゴン会」というのと戦うらしい。
(「らしい」ばっかりだな)

格闘ゲームの「ラスト・ブロンクス」みたいになるのだろうか。絵がそんなめちゃ
くちゃウマイって感じじゃないんだけど、近来にないイキオイを感じます。

・「高校鉄拳伝 タフ」(猿渡哲也)

これもひさしぶりに読んだ格闘マンガ。実在の格闘家をモデルとしたキャラクターが
出てくる本作、主人公キー坊の対戦相手、「笹川エンゾウ」がまんま「エンセン井上」
なんだけど、すっげー悪人ヅラに描かれているのがすげかった。まぁエンセンって、
確かにヒールも似合いますけどね。

・「怪男児」(原作:夢枕獏、脚本:生田正、漫画:くつぎけんいち)

今回で最終回。「自転車に乗った山下(柔道の)」というイメージからつくりあげら
れた巨漢・出雲あやめを主人公とした、夢枕獏の小説のコミカライズ。
実はちゃんと読むのは初めて。
原作の出雲あやめは「高村光太郎」の詩が大好きなのだが、本作では「城太郎」という人の
詩になってますね。架空の詩人でしょうか。
絵はキレイでいいんですが、ただひとつ、
「コンドームをしなさい」
という出雲あやめの名ゼリフ(そう叫びながら敵をぶん殴る)、もっとぶっとい字で
書いてほしかった(^_^)。

・「ハロー! 和田ラヂオ」(和田ラヂオ)

久しぶりに読んだがやっぱり面白い。3本に2本は面白い。(99.0810、滑川)



・「パチンカーワールド」9月5日号(白夜書房)

・「玉男(たまおとこ)」(原作:尾上龍太郎、劇画:ふくしま政美)

第3回「一造の砦」。
超大物パチンコ店経営者・銀大寺無道の息子、一造ついに登場。「経営を手伝っても
らいたかったがパチンコの研究に没頭している」というセリフのみで存在が知らさ
れていた一造、「パチンコ玉型の研究室」に、ホモの男たちを従え、全裸で
「パチンコ玉の風呂に入っている」状態
で登場。
「いきなりハダカで登場するカマっぽい男」ということでは、「北斗の拳」
「ユダ」を連想しますな。

「自分の研究で日本が変わる、いや世界が、宇宙が、
歴史が変わる」

と言いきる一造にファンタジーを見た。

「ひどくどうでもイイことで、世界が変わる」という、ホビーマンガの神秘宇宙への
飛翔にまったくためらいがない。
宇宙でも何でも変えてほしい!!

逆に渡世の糞リアリズムを追求しているのが、同誌に連載している
・「銀の履歴書」(押川雲太郎、監修:大崎一万発)

だろう。
実在のパチプロをモデルにしているというこの作品、今回のサブタイトルが「日本最
大のパチンコ街で自由に泳ぐ男」
。個人営業の開店プロ・松島信二(モデルになっ
たヒトは違う名前みたいだけど)についての話なんだけど、作品の最後のページ
にある文章と合わせて読むと、人生の真実の一部がちょとわかるような気がしますな。

「パチプロとしての条件は」「スポ根マンガみたいだが」「粘りと根性だ」って書い
てあるんだけど、「スポ根マンガ」というより「何かもっと別のもの」だと思う。
とにかく自分の台を取るためには順番抜かしは当たり前、それが外人でもこわいお兄
さんでもひるまない。
「仁義なき戦い」ってのともちょっと違う。あまりに単純に言ってそれは腹の座った
「ズーズーしさ」としか言いようのないものなんだけど、ルールが整備されている
ところで生きていると隠蔽されてるがここから始まらないと、努力も友情も勝利
もないんだろうな。もちろん「自由」にも泳げないんだろう。(99.0808、滑川)



・「ママレード・ボーイ」(5)吉住 渉(1994、集英社)
・「ママレード・ボーイ」(6)吉住 渉(1995、集英社)

りぼん連載。両親が交換結婚をしたために、お互いの両親プラス連れ子同士として
同居しなければならなくなった光希(みき)遊(ゆう)。最初はケンカばかり
していたが、いつしかお互いにひかれあっていく。それに学校ともだちの茗子、
銀太、亜梨美(ありみ)
などがからんで恋模様が描かれる。

……まだ少女マンガをちゃんと読もうと思っていた頃に買い、積ん読してあった。

絵がスゴク可愛く、とくに髪の毛先一本一本にタマシイ込めているような感じが
「少女マンガだなあ」と思うし、光希がいろいろ変える髪型もスッゴク可愛い。
それに、単にくっついたの離れたのってだけじゃなく、遊の光希へのセリフ
「須王ん時みたいに気をもたせるような態度とったんだろう!」
のようなのはですね、少年ラブコメにはなかなか見られない「機微」じゃないです
かね。

その一方で、こういうラブコメマンガを読んでいて根本的に疑問に思うのが
「なぜ他人のイチャイチャを見せつけられねばならないのか」
ということでして(笑)、しかも可愛くてみんなから愛されるヒロインをはじめ、
建築家の息子だの社長令息だの、お嬢様で文学賞受賞作家だの、なぜ私にはまったく
関係ない
ような人々の人間模様を読まなければならないのであろうか。
……かといって、
「びんぼーであくどいことばかり考えている人々のいがみあい」
を吉住渉の絵で読みたいかといったら「ぜんぜん読みたくない」わけで、世の中
うまくいかないものだなと思うわけですよ。
でもスペオペとか描いてもらいたいスね。あと株のマンガ。(99.0806、滑川)



・「巨乳家族」(1) みずきひとし(1997、実業之日本社)

コミックテキーラ連載。主人公の少年・宗氏(むねうじ)はるかは男の子なのに巨乳
という特異体質の持ち主。おかげで、女のきょうだい3人(みんな巨乳)
とともにモデルの仕事をさせられたり、女の子「はるな」として振る舞わなければ
ならなかったりと受難の日々。

……要するに「カラダは女なんだけど下半身にナニがついてるパターン」のHマンガ。
まさか「巨乳家族」ったって主人公まで巨乳だとは思わなかった。
いわゆる「おねーさんにセクハラされる」展開が多く、そーいうのが好きな人には
イイんじゃないでしょうか。
ボクはいいや……。(99.0806、滑川)
女のきょうだいは2人、あとかーちゃん、でした。
間違えた〜。



・「ひみつ戦隊 ゴレンジャーごっこ」(2) 石森章太郎(1975、1999、
メディアファクトリー)

1巻後半に登場してきた「スケ兵衛」(女性)が、イジワリさんばあをさしおいて
最強の敵になってしまう。だが最初のうちはスケバン的悪事をやっていたスケ兵衛も、
後半はアカレンジャーを好きになって追いかけ回したりと、とくに悪人と
いうわけでもなくなってくる。

その代わり、再びイジワリさんばあが登場したり、社会に恨みを抱いた一般市民が
仮面で顔を隠して悪事を働くのだ。

「小学5年生」版も収録、こちらはいちおうゴレンジャー・スーツは強化服という
設定で、飛行艇の「バリブルーン」も登場している。でもモモ
レンジャーはあいかわらずハダカに。

ふと、「ぶっとびマンガ」カテゴリーの中に「セルフパロディ」というジャンルを
つくって入れることを考えたが、私自身まだ「ゴレンジャー本編」を読んでいない
ので話はその後だ。

それにしてもこのメディアファクトリーの「SHOTARO WORLD」はライン
ナップがシブい。揃えたい……。(99.0802、滑川)



・「ひみつ戦隊 ゴレンジャーごっこ」(1) 石森章太郎(1975、1999、
メディアファクトリー)

少年サンデー連載。当初はテレビ版に近いシリアス路線だったのが、突如「テレビの
ゴレンジャーを見て憧れ、ごっこ遊びをしている子供たち」を主人公にしたギャグ
路線に変わってしまう。リアルタイムで読んだときもかなり驚いた。それにモモ
レンジャーが毎週ハダカになるのもかなり驚いた記憶がある。2巻の解説による
と、石森氏が「仮面では表情を出すことができないため、路線変更を行った」と
いうことであった。

とにかくやたらめったらモモレンジャーがハダカになるのと、ロボコンまで登場して
きてムチャクチャ、というイメージのある本作だが、あらためて読み返してみると
いろいろ面白いところに気づく。

まずゴレンジャーの当初の敵である「イジワリさんばあ(胃痔割産婆という
産婆さん)」
がさまざまな仮面を付けて悪事を働くのだが、彼女は
「政治が悪いからレジスタンスしているのだ」と公言しているし、別に
何の主張もなくタダハダカになるスケバン「渡スケ兵衛(わたり・すけべえ)」
は別としても、その後散発的に登場する敵の「仮面」たちも、みなそれぞれ社会に
不満があって悪事を働いている、という理由がギャグながらも出てくるのである。
この辺「石森ヒーローワールド」として一貫してるなー、と感心したことがひとつ。

それともうひとつは、ゴレンジャーごっこの面々はただ「ゴレンジャー」の扮装を
しているだけで、何か科学的な理由で強くなっているわけではないのだが、「毒ガ
スを仮面を被っていたおかげで防げた」とか「仮面にカメラを仕掛ける」とか
「仮面がすっとんでいって相手に当たって結果的にやっつけた」とか、「仮面」に
コダワリがある
ことがひとつ。

敵仮面もたいていが市井の一般市民で、匿名のために仮面を被る。つまり、それ
なりに意味があるのだ。
この辺り、マンガ版「仮面ライダー」において、本郷猛が「仮面を被る」
ことに「顔を隠す」以上の意味が込められていたことを思い起こさせるエピ
ソードだ。

それと、何の恋愛描写もなくアカレンジャーとモモレンジャーがくっついている
のは「サイボーグ009」の009と003と同じ。それも少年誌だから
その過程を描く余裕がない、とかそういうんではない感じ。「デビルマン」の明と
美紀ちゃんなんかその辺描いていたし。「石森氏はもともとナニゲにモテる人で
あり、なおかつフェチ的な要素を持ち合わせていなかったのでは?」というのが
私の仮説(?)である。

女の子が何かとハダカになるわりには羞恥心にこだわり続ける永井豪ちゃんと、その
辺は違うのではないかと。モモちゃんも自分のことを「アタイ」とか言って、わり
かしおきゃん。スケ兵衛はもちろんそのうえを行く、どんなにハダカになっても
まったく恥ずかしくないというキャラクターだからね。(99.0802、滑川)



「つれづれなるマンガ感想文1999」もくじに戻る
「つれづれなるマンガ感想文」7月後半
「つれづれなるマンガ感想文」8月後半
ここがいちばん下です
トップに戻る