つれづれなるマンガ感想文8月後半

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一気に下まで行きたい



【同人誌】・「タイムパトロール ユカちゃん」 木持隆司(1999、木持アート出版)
【同人誌】・「しろいゆきのぬくもりに」 松本息吹(Medchen Arcadia)
【同人誌】・「水槽」 粟岳高弘(1999、あわたけ)
【同人誌】・「CG混迷紀」 JHD1RDI(1999、舶来屋)
・「週刊少年チャンピオン」40号(秋田書店)
・「週刊少年サンデー」39号(小学館)
・「それはエノキダ!」(2) 須賀原洋行(1999、講談社)
・「ランブルアイズ」 石山東吉(1999、綜合図書)
・「パチンカーワールド」9月19日号(白夜書房)
・「スーパージャンプ」17号
・「ザ・島本」島本和彦(1995、アスキー)
・「Hブリーダー」(1997、茜新社)
【同人誌】・「水月拳」(よっしー、sei、田中正樹、サークル:「勝手にsei」(?)、1996)




【同人誌】

・「タイムパトロール ユカちゃん」 木持隆司(1999、木持アート出版)

マッスル超宇宙マッスル超絶マッスル世界参照。

つまり「ぶっとび」ってコトだぜ。熱いぜ!!(99.0830、滑川)



【同人誌】

・「しろいゆきのぬくもりに」 松本息吹(Medchen Arcadia)

よくアイドルのグラビアなどで(最近では「BLT」とかが多いかな?)、女の子が
雪とたわむれているところがあるが、これは「お人形」を使ってそうしたたぐいの
写真集的なモノをイメージした(と思われる)同人誌。だからマンガではナイ。

私はお人形関係にまったく疎いので、この中に出てくるのが既存のリカちゃんなどの
人形なのか、改造を施したものなのか、あるいは着ている服も既製品か自分でつくっ
たものなのかとんとわからないんだけれど、少なくとも「写真集のデキ」として
はよくできていると思います。門外漢の私には「人形の写真集をつくろう」という
発想にまず驚くのだが。人形への愛情が伝わってきますね。(99.0830、滑川)



【同人誌】

【同人誌】・「水槽」 粟岳高弘(1999、あわたけ)

高校2年の菜江子は、伯父の家で「人魚」を見る。
以前から伯父の家にひきつけられていることを感じていた菜江子は、それが人魚への
興味、しかも「自分が人魚になって全裸で泳いでいるところを見られたい」
いう欲望が原因だったと知る。
素質? を見抜いた伯父は、菜江子を人魚にすることに決め、菜江子は水の中に入っ
ても息ができるように訓練され、水族館へ出荷される。

あわたけさんの作品は数年前からけっこう好きでした。スタティックな雰囲気、CG
を使っているのだけれどCG独特のペカペカした感じがなくむしろ下描きを活かした
ような画面、ハードSFな設定、SFなんだけど都会ではなく農道があるような
田舎の情景、かわいい女の子(いつもほとんど100パーセント10代の女の子)
などがポイントでしょうか。最近では「萬福星」という商業誌にも連載をして
いました。

さらに、「女の子が裸でそこらへんをウロウロする」という展開が多く、なんという
かまあ、その、いいですな(笑)。(99.0830、滑川)



【同人誌】

【同人誌】・「CG混迷紀」 JHD1RDI(1999、舶来屋)

jh1rdi 's Home Page のJHD1RDIさんの作品。いただきました。すいません〜。
ちょっと前の、CG事情を体験から描いた実録? マンガ。
商業誌の作品でもCGが多用されている昨今、やはり「絵の中でのCG使用」や
「CGの中の効果の問題」はいろいろな意見が出ておりますですね。
個人的には、「右脳と左脳」の説明のときにパックの「合わせみそ」が「たとえ」と
して使われていたのが楽しかった。(99.0830、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」40号(秋田書店)

・「マカロニほうれん荘」原作:鴨川つばめ、ストーリーアート:山口貴由

創刊30周年記念企画。
「悟空道」山口貴由が、往年のギャグ名作「マカロニほうれん荘」をカバー。
私としてはまず鴨川つばめと山口貴由のマッチメイクにワクワク。これで読む前に想
像するだけで楽しめた。
さて本編としては、冒頭「『リング』のマネをするきんどーさん」と「ヒクソンの話
題をするトシちゃん」だけで感涙してしまった。当時のノリで現在のネタを取り入れ
たら、「マカロニ」ってきっとこうなるだろうな、という切り取り方だったと思うので。

後半、ギャグが少なかったのがちょい不満だったんだけど、私自身がリアルタイムで
「マカロニ」にのめり込んでいたわけではないので、イマイチ評価がしづらい。
……で、同人サークル「WAIWAIスタジオ」のメンバーに読んでもらった(2人
とも、マンガマニアではないがマカロニは私よりタイムリーに読んでいる)。

……2人には好評。つまり、リアルタイムに楽しんでいた人々を少なくとも2人、懐か
しがらせ、楽しませたという点において、成功かなー、と思いました。

他にもチャンピオンは、「MMR」に対抗してか、「トンデモ本の世界」の著者である
山本弘にノストラダムスの実像を描くマンガ原作を依頼したり、なんというか個人的に
企画に「ワクワク」を感じる。

さて、来週、このノストラダムスマンガの続編ともいえる
「直撃! UFO&宇宙人超真相」(画:寺嶋としお)が掲載される。

私は個人的にかなり緊張して見守ります。
……というのは、前作では「何でも信じ込む少年」と「知識人の美少女」のコンビで
ノストラダムスの実像にせまる、という内容だった。これはこれで面白かったのだ
が、今後「何でも知っている人」に「無知な人」が一方的に教え込まれる、とい
うパターンにしていくと、2人のキャラクターの掘り下げがマンガとしての面白
さのネックになっていくと思うからだ。
単に「教え教えられる関係」だけではイマイチ、だし、このようなカタチで疑似科学
やオカルトを斬るマンガのシリーズというのは娯楽誌では初めてだと思うので(だ
からチャンピオン、カッコいいと思った)
、その料理の仕方に今後も興味津々なん
です。

さらに関係ないがチャンピオンのグラビアは「酒井彩名」というロリ系女の子だった
り、来週はどっちかっつーと大人っぽい「釈由美子」だったりと、すごいバラつき。

むろんいい意味である。(99.0828、滑川)



「週刊少年サンデー」39号(小学館)

・「炎の転校生 同窓会を叩け!!」(前編) 島本和彦

創刊40周年記念読みきり。
私立鳥砂羽高校(ううう、懐かしい……)の同窓会に出ることになった滝沢昇
実は、かつての同級生が汚職政治家と悪徳官僚、不良銀行の2代目跡継ぎになってい
るという。3人を同窓会にて叩け!! それが技北の指令だった!!
あまりにも懐かしすぎる。30過ぎた滝沢ってのにも涙。後編に期待。(99.0826、滑川)



・「それはエノキダ!」(2) 須賀原洋行(1999、講談社)

モーニング連載。「こだわり」の権化、なんでもデティールまできっちりこなさないとキモチワルイと感じるサラリーマン・榎田(エノキダ)保と、彼に振り回されたり我関せずだったりする人々の日常を描いたギャグマンガ。
エノキダのこだわりは多岐にわたり、社内の配線、免許の書き換え、環境問題、花粉症、夢の一戸建て建設、なんでもかんでもこだわりを発揮してはみずからジレンマにおちいったり周囲を呆れさせたりする。
他の登場人物たちも、エノキダのストッパーとなる妻・エミちゃん、エノキダとは対極のテキトー夫婦の高木剛・マルミ、パソコン社員の常磐陽介、バブル入社組の落合弘一郎など多彩。個人的には、エノキダと同じデータ人間のようでいて、情報の整理・活用の仕方がまるで違う常磐陽介は深いと思いました。
バブル入社ゆえか、少々トロい落合くんも同世代として読んでてイタイ。

ギャグマンガの王道パターンとして、「あるある、日々そんなこと!」という共感や、「こんなものがあったらいいのになー」という想像がある。それにどこまでこだわれるかが、昨今のギャグのレベルを物語っていると言えなくもない。そしてその観点で言えば、日常のデティールをギャグにつなげる作業において、本作の右に出るものは現在ないのではないかと思われる(「こだわり」という点においては、まったく別の視点で唐沢なをき氏がいると思うが、それはまた別の話)。

私はディティール恐怖症で、日本のマンガ・アニメはディティールの強化を「進化」と呼んできた、という偏見を持っているものだ。そのデンで行けば、本作は見事にその「細密化」をギャグにしていると思う。
「こだわり」は、昔はずいぶん負の意味で「オタク」と呼ばれた。「木を見て森を見ない」という批判である。だが「森を見て、さらに木を見た」ものが現れたらどうなるか。それは成功したのである。「森を見た上で木を見る」ことは、現在のところ無敵なのだ(アニメ「となりの山田くん」は、未見なので作品については何も言えないにしろ、少なくとも行きつくところまで行った「細密化」からの脱却がコンセプトのひとつになっていることは間違いない。そして結局、できあがりの印象はどうあれ、技術的には依然として細密化せざるを得ないのだ)。

……そんなわけで、本作はクリエイターが血道を上げて「細密化」に奮闘していることを笑い飛ばす意味もあるのかなー、などと考えている。
少なくとも、エノキダの「こだわり」を見ていると、逆に「日常の妥協というのはどの辺で決定しているのか」なんてなことに思いをはせるのは……私だけかな?

本書の巻末には「榎田主義的こだわり辛口漫画論」なる作者あとがきが載っている。
これは要約すると、以下のようになる。
・現在、漫画とアニメしか見てこなかった世代が描いたマンガが多い。
・それらは、作品の中に情報が少なすぎる。取材をしていない。そして現実と向き合っていない。
・絵柄も緻密ながら似たりよったりである。
・それらがウケているのは、送り手ばかりでなく、読者が大人になりきらないからである。
・現実世界に積極的に参加している人間が、豊かな夢を見られる漫画が望ましい。

以下の私の文章は、本作とは関係ない「あとがき」に対してだけのものである。
上記の「あとがき」の文章は、私は正論だと思っている。
しかし、これらはすでに十数年来言われ続けてきた、「定説」であるとも言える。

だから、私が思うのは、今後は具体的にどのように「大人になりきれず」、どのように「現実と向き合っていない」のか、の検証が必要ではないかということである。
でなければ、こうした批判は抽象論で終わってしまう。

それとはまた別に。
「絵柄の問題」も常に言われ続けてきた。ことにいわゆる「アニメ絵」なんかはそうだろうと思う。
だがこれらも、けっきょく「オレンジも夏みかんもいよかんもネープルも、すべて『みかん』の仲間とするか」それとも「個別の果物として考えるか」という水掛け論に終始してしまう。
個人的には「絵柄」について、単純に「個性」の問題に帰着させるのはどうかと思っている。「個性」より前に「複製」が先に来ると、私は思っているので。

……というわけで、なぜここにとても数ページでは語りきれない重要な漫画論が展開されているのかはわからないが、真っ正直に私の感想を書くと、このようなことになる。
本編は面白いので、超オススメです。(99.0826、滑川)



・「ランブルアイズ」 石山東吉(1999、綜合図書)

「パチスロ7」連載。チャンピオンで「チキン・クラブ」などのヤンキーマンガ、
またパチンコマンガや麻雀マンガも描いてきた石山東吉の、パチスロマンガ。

パチスロで「目押し」っていうのがあるが、それよりワンランク上の
「闘眼(ランブルアイズ)」を持つ男・七瀬瞬が主人公。
瞬は左目だけが11.0という、現在でも野生動物と共存している民族と同等の
視力を持つ。

瞬が子供の頃、とあるクイズ番組に出演した際、アフリカの青年がそのことに気づき
彼に「幸運の飾り石(束ねたビーズの紐のような外観を持つ)」を与える。
お人好しの瞬は、この「幸運の飾り石」で右目を隠したとき豹変し、ランブルアイの
真価を発揮、パチスロで無敵の強さを発揮する。
ただし、3時間以上左目に負担をかけると失明するとも言われている。

物欲の希薄な瞬は、いいかげんで女たらしの親友・鮫島にいいように使われてパチス
ロをやるだけだったが、新宿のパチスロプロ集団「ピラニア・ブロス」に入ってか
ら、池袋のグループ「インフィニティグルーヴ」との抗争に巻き込まれていく……
で、途中で終わっているんだけど、続きは出るのだろうか……!?

物語は、瞬といいかげん男・鮫島との友情や、瞬の精神的成長、パチスロのプロ集団
の戦いなど、多数の伏線があるのだが……。滑川的には、「動体視力がいい」
というだけのことを「目の中に数々の惑星が見える」描写とともに、「瞬の目は
人の10倍の広大な視野で森羅万象を映し出す」という「宇宙感覚」まで飛躍し
かかっているだけで充分クリヤー
「何を?」って言われると困るんだが、とにかくクリヤー!(99.0824、滑川)



・「パチンカーワールド」9月19日号(白夜書房)

・「玉男(たまおとこ)」(原作:尾上龍太郎、劇画:ふくしま政美)

第4回「100万発バトル」。
超大物パチンコ店経営者・銀大寺無道のブレーンにして無道の息子の婚約者、野川海
岐子
。彼女の担当するホールを「3日で玉すべて出しきる」と宣言する主人公「カ
ラス」。
とにかく絵がスゴイ。今回話の進展はそれほどないんだけど、絵がすげーんですよ。

・「パーラー童子」(犬木加奈子)

シリーズ第2弾らしいホラーもの。パチンコ店に憑いている「パーラー童子」はパチ
ンコを楽しんで打つ人にはツキをくれる。だがギスギスしている人にはくれない。
子供もほったらかしてパチンコに夢中になっている、でも打っていてもちっとも
楽しくない。そんなオバチャンが、パチンコをやればやるほど、かえって人生が
ものすご〜くつまらなく思えてくる……ってな話です。このオバチャンの心境に
はリアリティがありますな。いちおう「鬼太郎」的な決着が付くんだけど、心が
貧しいからパーラー童子に見放され、それによって追いつめられ、結果的にパー
ラー童子に救われる、という流れは「人生」って感じです……。

・「私的パチンコ実践生中継」(杉原たくみ)

わたし、パチンコやんないんで内容はまったくわからないんですが、出てくる女の子
がカワイイです。ちょい劇画系で。 (99.0822、滑川)



・「スーパージャンプ」17号

・「マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルズ」(後編) 平松伸二

前後編の後編。思ったよりもちっちゃくまとまったなー、という印象。しかし、今後
このシリーズは続く含みがあるので、まずは前哨戦というところか。
風俗嬢のもとでヒモ生活をしていた雪藤だったが、まったく肉体関係を持っていな
かったのが彼のポリシーですかね。青年誌だからその辺気兼ねする必要もないはず
だしね。
それにしても、最近の平松伸二の絵では、口がすごくヘンなふうにヒン曲がるのだ
が、なんででしょうか。郷力也の「ミナミの帝王」でもそうなんだけど。ブーム?(違う)

「たそかれの夢」 巻来巧士

今号で最終回。なんだかわからないが弥勒菩薩が出てきて、完。このヒトの絵、もと
もと人物が人形じみていてブキミなんだけど、ますます磨きがかかって歪んだ時空
に行ったみたい。なんつーか独特の気味の悪さがあります。いい意味で。

「人事課長鬼塚」 渡辺獏人

長寿商品であった「太陽ラガー」がペイしなくなっているという理由で生産中止にな
る。尊敬する上司が同製品の育ての親であったことを知っている係長は、なんとか
ペイギリギリの生産数だけは保ってほしいと思うが、どうしていいかわからない
……。ということで鬼塚登場。
以前も書いたけど、ものすごウソッパチだと思いつつ読んでしまうマンガ。もともと
「ウソッパチ」を楽しむのがマンガだと思うんスけどね、サラリーマンを主人公に
するとどうしても「こんなわけない」っていう思考がチラついてしまう。その反
面、「こういうこともないといけない」とも思う。サラリーマンをマンガにする
は実にむずかしいと思う。(99.0822、滑川)



・「ザ・島本」島本和彦(1995、アスキー)

「島本和彦初期短編集」。収録作:「炎の転校生・怪獣戦闘!」(86年)、
「太陽の戦士ウインドブレーカーX」(86年)、「ほとんどヒーロー」(83年)、
「恋の資格がナッシング」(87年)

「炎の転校生・怪獣戦闘!」は、滝沢昇と地球侵略をたくらむ宇宙人との
戦いを描く。

「太陽の戦士ウインドブレーカーX」は、服装自由なはずの学園で、「ブレザー
派」「ジャージ派」「和服派」などの派閥抗争が展開される中、制服を愛する
美少女・風也美を守るために「ウインドブレーカーX」に変身(着替えるだけだ
けど)する湖樹(みずき)の戦い。掲載当時から「大傑作」と思っていたが、今
もその気持ちは変わらず。日に当たると色がつくメガネで顔を隠しているため、
太陽の出ている日にしか出現できないとか、後半「ヨットパーカーZ」なるライバル
が現れたりとか、本当に素晴らしい内容になっている。32ページのまとめ方と
してもウットリするほどウマい。人気作家の読みきりってやっつけ的なのも少なく
ないんだけど、これはカンペキ。

「ほとんどヒーロー」は、「いねむりの達人」、「いねむりしていると無意識の力で
すごい能力が発揮できる」眠勇士(ねむり・ゆうし)が主人公。5週で完結の短期
集中連載だったが、「劇場版」を銘打った「怪獣戦闘!!」より、こちらの方が
1時間半の映画になりそうなまとまりのよさ。

「恋の資格がナッシング」は、「ちゃお」掲載。美少女・青空みさとの好意を
ものすごく冷たくはねのける森口に怒りを燃やす池沼。しかしみさとの言い分を
よくよく聞いてみると……というどんでん返しに本気で驚く。これはもう日常ネタの
ミステリにすら使えそう、そしてこんな「メタ」なラブコメを掲載した「ちゃお」
に乾杯。(99.0821、滑川)



・「Hブリーダー」(1997、茜新社)

Hマンガのアンソロジー。中では個人的に「メイドの達人」(誇林)

カッコいいご主人様の夜のお勤めをする「夜のメイド」の座をかけて、椿セッ
クス勝負
をするという夕闇をカラスが飛んでいきそうな展開に加えて、その勝負が
「公正に選んだ男を先にイカせること」。
そして選ばれた男はアメコミヒーローかキン肉マンの超人のようなかっこうをしており
(意味はまったくナシ)、ギャラリーも「たくさんいる」描写がなされているが
あまりにテキトーなため数人しかいないようにしか見えない。なんだか
「タモリ倶楽部」「世界のたけし、足立区の……」のようなフンイキで
あった。 (99.0805、0820、滑川)



【同人誌】

コミケも終わり、いろいろ同人誌を買った。
むろん、とてもじゃないが現段階で全部は読んでいないのだが、ぜひ紹介しておきたい
モノがあったのでココに。

【同人誌】・「水月拳」(よっしー、sei、田中正樹、サークル:「勝手にsei」(?)、1996)

「とどろけ! 一番」の「ボクシング編」パロディ本。
一番常仁勝とのボクシング対決を、「リングにかけろ」竜児剣崎の最終対決に
なぞらえ、「ボクシング編」の「本当の最終回」は「かくあろう」と思われる展開
を描いた作品。

確かに、「一番」のボクシング編があまりにもムリヤリな路線変更だったことは否め
ないが、「一番」本編の最終回は再び受験対決に戻っている。これもまたいたしかた
のないことである。
だがしかし(「だが」が続いてスイマセン)。「ボクシング編」を突っ込んで最終回
を描いたとしたら、確かに本作のように「リンかけ」的な終わり方にならざるを得
なかったと思われる。
だって「ボクシング編」そのものが「リンかけ」の影響下にあるのだから。
その意味において、本作は批評性が出てきている、って感じだ。

ギャグとしてもかなり面白い。「リンかけ」によくあった「過去のシーンを原稿の縮
小コピーをたくさん敷き詰めることで表現」
を使い、「明日香……」ってガールフ
レンドの明日香を思い出すんだがそれが本当の明日香ではなくおのとしひろ
「バーコードファイター」のヒロインだったり、「ライバルたち」の中に「アミバ
様」
が混じっていたりと……言葉で説明するのもヤボだがまあそういうことである。

何より驚いたのは、コミケで通りすがりに見つけて購入したのだが、企画&責任者が
以前にも紹介し、リンク集にも入っている「霊感商事」の代表だということ。

何なのだろうか。自覚しているのか、無意識か、世の中複雑にできてるもんですなあ。
あとがきと解説をかねた巻末の文章も実にイイ味を出している。
この「イイ味」は、もはや「イイ味」としか形容のしようのないものだ。口幅ったい
がそういうこと。 (99.0816、滑川)



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