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・「オマージュ」(1) 矢野健太郎(1993、ラポート)
・「オマージュ」(2) 矢野健太郎(1993、ラポート)




・「オマージュ」(1) 矢野健太郎(1993、ラポート)

オマージュ1

特定のジャンルや作品へのオマージュをテーマとした作品集。NHK少年ドラマシリーズライクな「夕暮れの向こうに」、F1マンガ「終わりなき挑戦」、「ジェニーの肖像」へのオマージュ「ポートレート」、宇宙論をテーマにした実験SF「創生10-44」(←10のマイナス44乗、という意味)で構成されている。

とくに「ポートレート」について、ひとこと言わせてください……。

SFってイイなァ〜……(しみじみ)

ある街に訪れたカメラマンがかわいらしい少女に出会うが、彼女は会うたびに少しずつ大人になっていく。それほどの日にちは経っていないのに。そしてカメラマンはその成長していく少女を好きになっていく……という叙情SFって感じの流れ。

「むかしの同人誌にはよく見られた題材」ということでしたが、実は私は「ジェニーの肖像」っていう作品自体知らなかったのですな。やはり私は「なんちゃってSFファン」だからでしょうか(後に読んだけど。面白かったです)。
それにしても、ラストシーンには感動してしまった。

もうひとつ、「創生10-44」も実験作ということでいえば創作同人誌的な印象があるが、宇宙論という骨子がはっきりしているので読者を突き放すような印象はない(こういうタイプの作品で、まったく自分のイメージだけで描いてしまうヒトって創作同人誌で今でもけっこういるんだよね……まあそれでも面白ければいいんだけど)。(00.0816、0905、02.0825)



・「オマージュ」(2) 矢野健太郎(1996、ラポート)

オマージュ2

短編集。単行本「プレハブラプソディ」とカブる作品が多いので、それ以外について。

「ベッドタウンストーリー」は、Hする場所がなくて困ってるカップルの物語。「全開! フォーミュラー▼らぶ」(▼はハートマークの代用)はF1のことでケンカばっかりしている少年少女のラブコメ。両方とも、男の子と女の子双方の気の遣い方というか機微が心地いい。
「フライング暁姫」は作者のデビュー作「強化戦士アームピット」の続編。導入部で「コレが同じ作者のマンガか!?」と思うほど絵柄が違ってビックリするが、展開もいろんな意味で実験作。
ドタバタSFコメディだが、「アーム……」よりいちおうSF的設定が付いている(SFの定義があまりにメンドウでイヤになってきますが、とにかくメンドクサイので私はコレをSFと見なします。……いや、作品を読んでいないヒトには何のことだかわからないだろうが)。

最近は似たようなプロットでもSF的設定のほとんどないマンガやアニメが目立つよネ。当時もそうだったのか忘れちゃったけど、昔だったらSFと言われたのに「SF」ってうたわれてない小説や映画が増えた現在とは、作品の生成過程のニュアンスのちょっと違った作品、だと思う。(00.0816、0905、02.0825)

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