『ASIA IN ASIA - DEFINITIVE SOUNDBOARD MASTERS』 / (Virtuoso 168/169)
Live at : Disc-1 : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 6 Disc-2 : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 7 ASIA IN ASIAで現存する、初日の6日と全米中継のあった7日の両日を、 最上のサウンドボード(以降SBD)原盤をマスターにしてノーカット収録した 決定版タイトル。このページにも長年に渡りこの両日のSBD音源タイトルに ついて書いてきましたが、それら全てを一蹴する驚きの収録内容でした。 まず6日のSBDですが、これはLP時代の古典タイトル『OPEN YOUR EYES』を 初めとして『STILL TOO YOUNG TO REMEMBER (Ayanami−017)』や 『YOUR EYES WILL TELL (STTP-007)』といった有名なタイトルが存在しましたが、 本作で使用されているのはそれら既発タイトルの大元となった放送用3枚組LP 『WESTWOOD ONE 3LP LIVE VINYL BOXSET - SUPERSTAR CONCERT SERIES -』の原盤 (※僕も持ってません)で、これがノーカット収録されているんですね。 この"ノーカット"というのが実はミソで、前述の各既発タイトルは全てどこかしらに 部分的なカットが施されていました。具体的にはディスク冒頭のDJアナウンス、 「Here Comes The Feeling」終了後に入るCM突入前のコメント、また「Sole Survivor」 終了後に入る企業協賛の読み上げと番組制作スタッフの読み上げ等が挙げられますが、 これらは原盤LPを持っていない限り聴けなかった部分です(※裏ジャケに記された Disc-1の(1)と(17)のクレジットに注目。またクレジットはされていないものの 「Here Comes The Feeling」の終曲後にもCM前の読み上げあり)。本作はこれら各 既発タイトルではカットされ続けてきた部分がノーカットでフル収録されている点が まずひとつ目の決定的な違いで、勿論これは6日のSBD音源史上初です。 そしてもうひとつ、各既発盤との決定的な違いが収録音の品質の高さでしょう。 原盤落としは針パチ音が気になるところですが、各既発盤もこれが意外とネックと なっていた様に思います。つまり基本的な収録音は確かに良いのだけど、その品質に 若干の難を抱えていた訳です。しかし本作には針パチを含めその他の微細なノイズが 細心の注意を払いつつ徹底的に取り除いてあり、極めて高い透明感を実現しているん ですね。本作リリース後、自分がこの製作者の方に製作のウラ話を伺ったところでは プレス工程に回すギリギリまで粘って何度も音を確かめ、徹底的にノイズ除去に努力 したそうです。これに加えて音像の的確なイコライジング補正も同時に行なったらしく、 これにより原盤が持つ特有の音響の広がりと滑らかな楽器の響きが極めて生々しい 音の余韻を伴いながら耳に飛び込んでくるのもポイントでしょう。放送原盤の良さを 最大限に引き出しながらも更にその上をゆくサウンドが誕生しており、6日の既発SBD タイトル全てをゴミに変える比類なき極上SBD音質が飛び出してきます。 しかしそれで驚いてはいけないのがDisc-2で聴ける7日のSBD音源。 こちらは更にその上をゆく驚異的な音像となっているのだからたまげます。(^_^;) このディスクではマスター原盤の音を更にスケールアップさせる事に成功しており、 ウルトラ級の究極サウンドが結実してます。細かい音色がより伸びのある音色で シャープに再現されるためにサウンドの立体感と奥行きが際立ち、曲の表情も キリリと引き締まり、それらが高い透明度と相まる事でサウンド全体が一層ダイナ ミックに飛び出してくる印象があるんですね。現代ブートレッグCDのレベルの高さ が伺えますし、正直このまま最新リマスターの正規盤として出てもおかしくない 仕上がりだと思います。レンジの広がりも素晴らしいものがあり、特にギターの 弦が放つ豊かな響きやグレッグの声は過去最高の解像度で記録されてるんじゃ ないでしょうか。またハイハットの微細な振動、タムやバスドラムといった 中音域から低音域の豊かで鋭い音が真っ直ぐにぶつかってくる様子にも驚かされ ました。7日の音源・演奏と言えばどうしても映像付きで脳裏に思い浮かべる方が 多いと思うんですが、しかしこれを聴けば、あの日の演奏と音楽が映像を伴わなく てもどれだけ人を心酔させる力を持っていたかが強く実感出来ると思います。 またプレスCDの盤面も美麗なピクチャー・ディスク仕様となっており(←サムネイル をクリックして参照のこと)、実際に手に取った時にアイテムとしての満足度が非常 に高い仕上がりとなっているのも特筆されると思います。あのイベントから30年間、 6日と7日のSBDタイトルは様々な既発盤が出てきましたが、本作はまさにその最終形態 とも言うべき究極の2枚組でしょう。ASIA IN ASIAはSBD音源だけあれば良いという人 には、本作さえあれば完璧だと思います。 音質は、 Disc-1 : 放送原盤ノーカット完全版(6日公演)・・・98点+α。 Disc-2 : 全米衛星中継(7日公演)・・・100点。 2CDプレス盤・ピクチャーディスク仕様。 2013年12月13日リリース。 | |
『ASIA IN ASIA - DEFINITIVE AUDIENCE MASTERS』 / (Virtuoso 170/171/172/173/174)
Live at : Disc-1 : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 6 Disc-6(*DVD) : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 7 Disc-2+3 : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 8 Disc-4+5 : Osaka Castle Hall, Osaka, JAPAN. / 1983. Dec. 9 2013年12月にジャスト30年を迎えた事で西新宿ではASIA IN ASIA関連のリリース・ラッシュ が続きましたが、本作はそれを締め括る究極のタイトル。何と4日間の全公演が冒頭挨拶、 楽曲、そして終演後の様子まで収録した6枚組のモンスター・タイトルとなっています。 上段↑の『ASIA IN ASIA : DEFINITIVE SOUNDBOARD MASTERS (Virtuoso 168/169)』は その表題通り、サウンドボードで残されている両日(6日と7日)の決定盤ですが、本作は 現存する各日選りすぐりのオーディエンス録音で構成されているのがポイントでしょう。 しかも全て2014年最新リマスターを施したもので構成され、既発盤で聴けた見事な音像が 更に向上しているのも大きいと思います。もちろん全ての公演をひとつに完全パッケージ したタイトルは前例が無く、恐らく今後もここまでASIA IN ASIAに特化したタイトルは 出ないでしょう。まさに本作さえあればASIA IN ASIA全公演が揃ううえ、過去の既発盤は 全てゴミ箱行きに出来るという決定的な6枚組だと思います。 Disc-1収録の初日6日公演ですが、これは名盤『DRAGON ATTACK 1983 (Ayanami-055)』 の6日収録部分(※Disc-1〜Disc2-【2】)を最新2014年リマスタリングにかけたもの。 元々非常に優れた収録音でしたが、実際に聴き比べると部分的にやや揺れていた弱音の ブレの無さが補正されて、しっかり聞こえるのが分かると思います。ただその反面、 若干だけ低音のパンチとラウド感が抑えられた気もしますが、全体的にバランスの良い サウンドという意味ではやはり本作の方が上だと感じました。またこのDisc-1の完成度 を一層高めているのがフル収録であるという点でしょう。『DRAGON ATTACK 1983』は その唯一の欠点としてショウ開始前に行われたMTVホスト、マーク・グッドマンの冒頭 挨拶が未収録でしたが、本作はこの冒頭挨拶もノーカットで収録されてるんですね。 この欠けていた挨拶部分は間違いなく『SHINES ALL AROUND (Amity−071)』から補填 していると思うのですが、違和感無く繋がっているので個人的には全くストレスを感じ ませんでした。終演後の様子も何と3分半以上テープが廻り続けており、場内放送で 今後のASIA IN ASIAの日程が実際のアナウンスで聴けるのも嬉しいところです。 Disc-2と3に収録の8日・武道館最終日は、名盤『DRAGON ATTACK 1983 (Ayanami−055)』 の8日収録部分(※Disc2-【3】〜Disc-3)に2014年リマスタリングを施したもの。今回本作 に収録されたリマスタリングの中で音質向上が一番よく分かるのがこの2枚のディスクだと 思います。やや遅かったピッチがジャストに補正され、バランスを整えるイコライジングと 丁寧なノイズ除去をされた事により既発盤以上に実り豊かな響きと、一歩前に出た至近距離 の音像が実現している印象がありました。ショウ開始前の冒頭挨拶はこの日から日本人の 男性が務めていますが、本作ではその様子も挨拶後半からフェイド・インで収録。これは 現存する8日の音源とファンテープに冒頭挨拶がフル収録されているものが今のところ存在 しない為で、2014年時点ではこれが最長版となっているからです。全米中継の直後にとなる この8日の演奏は、よくリラックスしたサウンド・イメージとして語られます。しかし原音の 響きに更に肉迫したこのリマスター・サウンドで接すれば、この日のエイジアがリラックス した中でもどれだけ音符ひとつひとつに奥行きのあるタフな演奏をしていたかが分かると思う んですね。終演後の様子も2分半以上収録され、聴き終えた後の余韻と充実感も高いです。 Disc-4と5は最終日の大阪城ホールを収録。これは音質優秀の名盤『FAREWELL (Ayanami-136)』 に2014年リマスターを施したものが採用されているんですが、これがもう素晴らしい音像なん ですね。やや過剰に出ていた既発盤の高音域のレンジが調整され、耳にキンキンと残らない音 になった事も大きいですが、より解像度の上がったサウンドが更なる至近距離で耳元に迫って くる様子は驚異的です。また本作で特筆されるのが『FAREWELL』に存在した演奏の欠落箇所が 解消されている事でしょう。具体的には「Only Time Will Tell」の冒頭で、『FAREWELL』は この部分がちょうどテープのリバース点に当たっており、冒頭で約3秒ほどの欠落が生じて いました。しかし本作はこの部分を同9日の別ソース(※メーカーのアナウンスには明記されて いませんが、ほぼ間違いなく『STILL TOO YOUNG TO REMEMBER (Ayanami−017)』のDisc-2から でしょう)から部分補填し、曲が完全に繋がった状態で本来の9日の演奏が自然な姿で甦って います。またこの部分、両音源に生じている音圧と音像の調整も丁寧にトリートメントされ、 修復痕を感じさせない完璧な仕上がりです。たぶんこれ、指摘されなければ気付かないんじゃ ないでしょうか。 Disc-6はDVDディスク。全米中継のあった7日公演をレーザーディスク日本版(SM058-0002) から起こしたプレスのカウンターフィット盤となっています。レーザー版独特の発色の良さや 鮮明な画質が素晴らしいんですが、「Here Comes The Feeling」や「Eye To Eye」等のハウの アップ映像で確認出来る、カメラのレンズ汚れもビデオ版とは比較にならないほど鮮明に見える のが特徴でしょう。至近距離のズームも引いた画も、解像度の違いが際立っていると思います。 尚、このディスクだけDVDですが、これは30年後の今も7日のオーディエンス録音全長版が何故か 存在しない為の措置でしょう。このページ内別枠の『ASIA IN ASIA / (No Label, M8EH257A)』の 文中でも書きましたが、この日は2ndアンコールとして「Daylightを単体で演奏」しており、 これは現存する正規版のビデオ、LDにも未収録なうえ、当時放送された実際の中継 『THE ROAD TO BUDOKAN』でも放送されず、あの日に武道館に居た人だけが体験できた幻の一曲と なっています。誰かが録音したテープが絶対にどこかに眠っている筈なんですが、何故か30年 経った現在もまだ発掘されていません。物凄く不思議です。 音質は、 Disc-1・・・92点+α Disc-2・・・93点〜95点(少しずつ更に良くなります) Disc-3・・・95点+α Disc-4・・・96点 Disc-5・・・96点+α Disc-6(DVD)・・・音質98点 / 画質97点 ・・・というところでしょうか。 ディスク毎にも記しましたが音質はどれも最新リマスタリングを施された優秀な オーディエンス録音で構成されており、80年代初頭のアナログ録音が持っていた 響きの質感と力強さを最高値で実感出来るものになっていると思います。つまり ASIA IN ASIAをSBD音源で至近距離から体験するのではなく、あくまでも優秀な AUD録音群によって"会場席から極める"為のタイトルとなっているのがミソでしょうか。 ウエットンが居なかったからダメだったのではなく、あの83年にウエットンが 不在だったからこそ推し進める事が出来たサウンドの可能性こそASIA IN ASIA 最大の聴き処だと思いますが、これはそれを体現出来る究極の6枚組(5CD+1DVD) だと思います。 6枚組(5CDプレス盤+1DVDプレス盤)・ピクチャーディスク仕様。 2014年1月10日リリース。 | |
『ASIA IN ASIA - JAPANESE LIVE BROADCAST EDITION』 / (※Bonus Gift item DVDR of a Bootleg CD Shop)
Live at Budokan, Tokyo, Japan 7th December 1983 (*ON AIR from 2:00PM, Japanese Time) ...And Bonus Tracks, Japanese Music TV Show "Best Hit USA 1983 - Star Of The Week" (*ON AIR from SUMMER 1983) PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 54min. 驚きの映像が鑑賞出来るギフトDVD。 周知の通り、ASIA IN ASIAが行われたのは1983年12月6日〜9日です。 ところが冒頭に映し出されるのは1983年12月5日(初日公演の前日!!)に、 当時彼らが宿泊していた東京・赤坂プリンスホテルで行われた記者会見の 様子を捉えた映像なんですね。それに続けて登場するのは何とTVK神奈川テレビ が午後14時から国内向けに同時中継した"日本独占生放送版のASIA IN ASIA"。 放送が地方局だった為にあまり知られていませんが12月7日の全米中継は 日本のごく一部でも生放送・生中継されており、これはその7日の午後14時に、 日本独自の映像として日本向けに同時放映された非常に貴重なASIA IN ASIAを 収録したタイトルです(※記者会見部分の5日映像も、放送されたのは7日・ この番組冒頭部分の約5分間です)。 この番組↓ですね 特に記者会見の模様は、これが映像として鑑賞出来るだけでも快挙でしょう。 ゴールド(プラチナ?)ディスクを掲げたメンバーの写真はブートの中ジャケとか 雑誌等で時折り見る事もあったと思いますが、実際に映像としてこれを観る機会は これまで皆無でした。当然ながら一度しか放送されなかったので、今となっては 殆どの方が初めて観る映像ではないでしょうか。画質は僅かに経年劣化があるものの 30年前とは思えない鮮明さで残っており(※↓に掲載した画像を参照)、あのイベント を明日に控えたメンバー達が、プレス関係者達を前にして日本への挨拶と意気込みを 語っています。プレスの質問もなかなか興味深く「来日して約3週間、合歓(ねむ)の里 や名古屋でどう過ごしたのか」とか「グレッグが加入したことによってエイジアはどう 変わるのか、今後もこのメンバーで継続するのか」といった質問が飛び交っており、 それに対してカールが、スティーヴが、そしてグレッグ本人がどう答えているか、その 回答内容も見どころです。特にスティーヴの回答の中には結果的に実現しなかった この布陣による幻の3rdアルバムの構想とサウンドの予想についても語るくだりがあり、 なかなか興味深い内容が語られています。 そしてこの記者会見の模様が終わると始まるのが"日本独占生放送版のASIA IN ASIA"。 ここではロック歌手・白井貴子さんと司会者が二人で番組ホストを務めているうえ、 「武道館から初の衛星中継!! ASIA IN ASIA 独占生中継」という番組テロップや、 CMに移行する際の番組協賛が出るのもこの日本独占生放送版のユニークなところです。 そして何と言っても正規版のビデオやLDではカットされた「Time Again」が 収録されているのが最大の特徴です。これが鑑賞出来るのは当時リアルタイムで 全米中継されたMTVの特別番組『ROAD TO BUDOKAN』だけですが(※ブートビデオ 『ASIA IN ASIA (CO)』他で鑑賞出来ます)、日本でも同時刻にこれが生放送 されていたのは驚きです(※厳密には約50分前に録画された映像。後述します)。 またこの日本独占版の映像は、前述した5日の記者会見の模様を番組冒頭で放送した 関係で「Here Comes The Feeling」の途中から始まっているのも特筆されます。 キーボード・ソロの途中では「BUDOKAN TOKYO → FOR MTV SMITHTOWN N.Y.」 という生放送らしいテロップが入りますが、勿論これは正規版のビデオやLD には入っていません。中継映像は「Wildest Dreams」を演奏し始めた所で神奈川 テレビ局のスタジオに戻されますが、ここで面白いのはこの日の本当の1曲目で あった「Time Again」が番組の最後に流れる事でしょう。これは1時間という 番組放送の尺を合わせる為の措置ですが、1曲目に演奏した映像をすぐに取り 出して編集を始め、その演奏タイムを放送終了時刻から逆算して計り、番組の 協賛や著作テロップをきちんと被せた1曲分として最後に流す事で、演奏が 尻切れトンボにならずに時間枠でピッタリと生放送が終わる様にしてある訳です。 デジタル時代の現在では簡単な作業かもしれませんが、しかし当時は映像テープを 切ったり貼ったり、テロップを画面に入れるという事を手作業でやっていた訳で、 これを僅か53分間の生放送中にやってのけたのだから凄い事です。そして こうした83年当時の"映像を放送する側のライブ感"も、この日本独占生放送版 独特の魅力となっている様に思います。 そしてこの「Time Again」は非常に重要な意味を持っていると思うんですよね。 というのは、これまで7日の「Time Again」は衛星中継で全米に放送された 『ROAD TO BUDOKAN』でしか鑑賞できなかったし、その"全米生中継版"しか 無いと思われていたからです。でも実はこうしてもうひとつ、生放送中の僅か 50分間にアナログ作業で製作した「日本独占生放送版のTime Again」が存在して いた訳で、これは資料的にも史実的にも非常に大きな発見ではないでしょうか。 またもうひとつ、この日本独占生放送版は正規版のレーザーディスクやビデオ版で鑑賞 出来るものとは画面のショット違いが多々あるのもポイントだと思います。例えば 「Only Time Will Tell」の冒頭ではこの日本独占放送版だとステージ正面後方からの ショットが直ぐに切れてメンバー付近にあるカメラへ切り替わりますが、各正規版では この部分暫く固定で映り続けており、せわしくカメラが動きません。また曲の後半でも 特徴的なオーディエンス2人(メガネをかけた大学生?)のアップが3回入りますが、 正規版LD・ビデオの映像はこれが1回しか入らない安定したショットになっています。 続く「Open Your Eyes」でも、歌詞2番を終えた後にスティーヴがギター・チェンジを しますが、これも正規版だとロングショットなのに対しこの日本独占放送版はステージ上 に居る移動カメラからのショットとなっていて、ギターを持ち替えるスティーヴの様子が 近接ショットで映るという違いも面白いです。他にもこうした映像違い・カット違いが 随所に散見されるので、正規版の映像と併せて観るとその差がいちいち楽しいです。(^_^;) 本作にはこれ以外にも、ウエットンが1987年に関わったプロジェクト"PHENOMENA U"から 「Did It All For Love」の保存状態の良いビデオクリップも収録されているのですが、 しかし何と言っても極め付けは、伝説的な音楽番組「ベストヒットUSA」が83年の夏に 放送した番組オリジナルのインタビュー>映像を併せて収録している事でしょう。 ここでは主に2ndアルバム『ALPHA』について語っていますが、この後直ぐバンドから 離れる事になるウエットンが『ALPHA』について語っているのは興味深いと思います。 またカールは日本に対する熱い思いも語っており、日大(日本大学)についてコメント しているシーンも含まれています。更にはこの「ベストヒットUSA」の特徴でもあった 日本語字幕歌詞付きの「ドント・クライ」と「偽りの微笑み」も併録してあり(※番組の 表記に倣い、あえて邦題で書いてます)、オマケと言うには余りにも嬉しいメニューが 目白押しの収録内容となっています。小林克也さんも若い。(^_^;) 画質は、 12月5日の記者会見の模様・・・・79点 日本独占生放送版ASIA IN ASIA・・・80点 「Did It All For Love」・・・・85点 ベストヒット・USA収録分・・・・80点 という感じでしょうか。 日本独占放送版ASIA IN ASIAの唯一の欠点として「Only Time Will Tell」の終盤で 激しく映像がヨレる箇所があり、また「Open Your Eyes」の後半でも一瞬だけヨレる 箇所がありますが、それ以外は充分に鑑賞に耐える良好な映像で記録されています。 でもビデオデッキがまだ一般家庭に殆ど無かった1983年に、ローカル局でただ一度だけ 生放送されたものがこれだけのクオリティで残っていること自体、奇跡的だと思います。 普通に鑑賞するぶんには全く問題無いレベルでしょう。 ↓はメーカー発表の映像サンプル画像です。 最後に個人的な感想をもうひとつ。 5日の記者会見のグレッグ(※チャプター【1】)を観てみると、プレス記者に「エイジアの メンバーとしてずっとやってゆくのか?」と質問をされた時、グレッグより前にまず ハウが答え、その間グレッグは「うーん、どう答えたらいいのかナ・・」という感じで 押し黙り、苦笑いしながら下を向いているんですね。バツが悪そうに片手を顔に沿え つつ喋るグレッグの答え方は、「そうなったらいいね」という理想・机上の空論を 語っているようにも見て取れます。こうしたグレッグの反応を見ると、恐らく彼本人や メンバー達は、今回のエイジアへの電撃加入は最初からASIA IN ASIAの為だけに召集 された「雇われ人・仕事引受人」だと理解していた様に思えるんですね。質問を受けて 答え辛そうなグレッグよりも先に、ハウが助け舟を出して回答をフォローしているのも そこに理由があるのでしょう。この大イベントの反応や評価がアメリカで大きく上がった 時に初めて本当の正式メンバーとなって3rdアルバムが創れたのかもしれませんが、 日本での反応はともかく、米国での反応はそれほど芳しいものではなかったのでしょう。 実際、グレッグはこのイベントから僅か一ヵ月後の84年1月中旬、舌の根も乾かない うちにエイジアから去ってしまいますし、そこにロックという商売をビジネスとして 成功させることの難しさや、バンドの裏事情が何となく透けて見える気がします。 でもだからこそ余計に、様々な荒波の中でグレッグは見事な仕事をしたと思いますし、 この4人だからこそ為しえる事が出来た素晴らしい4日間だったと思います。この5日の 記者会見映像は、そんな事まで感じさせてくれる貴重な研究素材・資料映像です。 1DVDR。西新宿某ショップで2タイトル以上買うと貰えたギフトタイトル。 | |
『ASIA SPECIAL - BROADCAST IN JAPAN 1983』 /
(※ Special Bonus DVDR for limited stickered edition of " ASIA IN ASIA - DEFINITIVE SOUNDBOARD MASTERS") Broadcast in Japan on 7th December 1983 (*Before ASIA IN ASIA Broadcast) PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 40min. 『ASIA IN ASIA: DEFINITIVE SOUNDBOARD MASTERS (Virtuoso 168/169)』の 初回ナンバー入りステッカー付きに限り付いてくるボーナスDVDR。1983年 12月7日、全米中継のあった当日にTVK神奈川テレビが特別番組として放映 したものをフル収録した映像タイトルです。これは上↑の欄で紹介している 『ASIA IN ASIA - JAPANESE LIVE BROADCAST EDITION』に収録の"独占生中継!! ASIA IN ASIA 武道館コンサート"の前番組として放送した40分間の番組で、 自分が持っている当日の新聞番組枠を見ても14時のライブ生中継前に 「エイジア予告」という文字が確認できます。 ↓これです。 つまり実際の流れではこの『ASIA SPECIAL』が放映された後で 『ASIA IN ASIA - JAPANESE LIVE BROADCAST EDITION』に収録された5日の 記者会見の模様や日本独自の中継が始まっており、本作と併せて観る事であの 12月7日に日本が同時中継していた様子が時系列で追える様になっています。 この映像で興味深いのは、これから始まる83年のツアー(※後にASIAN INVASION '83、 通称"INVASIAN '83"と名付けられた)について、ジョン・ウエットンが喋っている事 でしょう。83年のツアー規模の予測や前年82年のライブと今回の83年のライブに どの様な差をつけてゆくかについてなど、バンド脱退前の彼が熱く語っているのが 大きな特徴となっています。またそうして83年ツアーについてウエットンが語って いる事や各メンバーが着ている服装から、このインタビュー収録はINVASIAN '83ツアー 開始前の83年5月〜7月初め頃のものと推測されるので、厳密に言えばASIA IN ASIAに ついて語っているものではありません。実際、日本公演がサイマルキャスト(複数局 同時放送)としての大規模な企画に変貌したのはこの年の夏、ちょうどこのインタビュー が収録された直後でした。つまりここで鑑賞できるメンバー達は日本公演をまだ特別な ものとして認識していないか、或いは認識はしていてもそれが具体的にどういった ものになるかは分かっていなかった筈で、そうした理由でMTVとかWestwood Oneとか 衛星中継といった特徴的な事を何も言っていない訳です。 でもだからこそこのインタビュー映像は実際の公演日から僅か半年程度しかタイム ラグがないのにASIA IN ASIAを全く語らないという視点の面白さがあり、日本公演が ASIA IN ASIAになる前の、INVASIAN '83ツアーという大きな流れの中に組まれた ごくありふれた公演予定地のひとつでしかなかった時の様子が伺える大変興味深い 資料映像になっていると思います。またそれは同時に、あの半年の間に日本公演の 企画が急激に大きくなったという、画面には映らない当時のバンドとその周囲の急変 さも垣間見せてくれると思うんですね。この他にもメンバーのコメントは発売直前の 『ALPHA』についての私的な考察や、バンドが出すサウンドと会場の規模についての 言及にまで及んでいるのも興味深いポイントでしょう。 尚、この番組については過去に別のページ『〜アナログブートレッグLP・ブートビデオ・ 資料・グッズ〜〜』の中に「1983年12月7日のテレビ欄 (朝日新聞・関東版)」としても 書いたので、興味のある方はそちらもお読み下さいませ。 『エイジアの海賊盤いろいろ 〜アナログブートレッグLP・ブートビデオ・資料・グッズ〜〜』 ↓は、メーカーのサンプル画像です。 1DVDR・ボーナスディスク。 | |
『THIRD NIGHT』 / (No-Label : Only 30 Set Release Item, For Weekend July 2008.)
Live At : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 8 最近までこのタイトルの存在を知らなかったのですが、先日ふとした事から入手 出来た1枚です。2008年7月に、西新宿の某ショップでその週末のみ30セット限定で リリースされた、マニア向けのレアなタイトルとなっています。 収録内容を耳にして驚いたのは、これまでの各既発タイトルで聴けたどれとも違うこと。 また自分が持っているブート化されていない8日音源とも違う別マスター音源でした。 不思議に思ってメーカーの方に直接伺ったところ、これはテーパー間でも一切出回って いないマスターカセットからダイレクト収録したオリジナルの8日音源で、録音された 方から直接譲り受けたものである事が分かりました。切り貼り等の編集は一切行わず、 テープに録音されていたそのものをディスク化したとの事で、確かに収録音が 非常に生々しいんですね。ただ音質的には『DRAGON ATTACK 1983 (Ayanami−055)』 の8日収録分(*Disc-2-(3)〜Disc-3)のものに劣る為、あくまでもマニア限定の タイトルと考えて僅か30セットオンリーでのリリースとなったそうです。 この音源で特徴的なのは、挨拶後半から収録の断片的なものとはいえ日本人スタッフ による冒頭のオープニング挨拶が含まれている事でしょう。これがあるのと無いのと ではやっぱり違いますよね。また録音機付近に居るオーディエンスの反応もやや 時代を感じさせる反応が時折り入っていて、あの日の武道館に居た観客の反応が 他の音源以上にダイレクトな言葉と反応で伝わってくるのも、本作のドキュメン タリー的な側面を底上げしているように思います。 演奏音は一曲目の「Time Again」まで僅かに遠めですが、終曲後に録音機の位置を 変えたらしい様子が伺え、そこからは音の明瞭感が一気に向上してハイグレードな 音で収録されているのもポイントでしょう。中音域〜低音域のパンチも充分に効いて おり、音楽がしっかり伝わってくるのも嬉しいところです。大きな開場特有の空間性 を感じさせる響きも適度に拾っていて、それがこの音源の好感度を高める要因にも なっている様に思います。ただ、ショウ自体は冒頭挨拶からラストの「Don't Cry」 までしっかり収録されているのだけど、後半に進むにつれ収録音のピッチが速くなって ゆくのが難と言えば難かなぁ。また「Time Again」の00分24秒付近で一瞬の音飛び (※2・3秒ほど演奏が飛んでいる)があり、スティーヴのギターソロ終了後にも一瞬 カットが入ります。更には「The Smile Has Left Your Eyes」の00分56秒付近でも カットがあって中間部が30秒ほど抜け落ちた状態で終曲部に飛んでいるのですが、 これはたぶん収録テープのリバース点だったのでしょう。 確かにハード・コレクター向けの一枚ではあると思うのです。しかし他の8日公演 タイトルには無いオリジナルの臨場感を伴う音像が楽しめるのもまた確かで、やや 難ありな側面は持ちながらも8日公演の個性がしっかり息衝いている好盤だと思います。 音質85点(※最初の「Time Again」のみ79点)。 2CDR。 2008年7月4日リリース・30セット限定盤タイトル。 | |
『LIVE IN JAPAN 1983』 / (WET DREAMS RECORDS, WR-352)
Live At : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 6 ウラジャケ記載のクレジットでは12月7日となっており、「Daylight」も収録されている 事から「いよいよDaylightまで収録した完全ノーカットの7日音源が登場したか!!」と 意気込んでネット購入したのですが、届いた本作を聴いてガックリ。実際に収録されて いたのは初日の6日公演でした。単に自分がクレジットを見て早合点し、7日の新発掘音源 と勘違いしただけですが、セットリストを見て直ぐに気付くべきでした。(T_T) ・・しかしこれ、音質が大変良いのです。 マスターとして使用しているのは6日の放送用音源として名高い3枚組LP 『WESTWOOD ONE 3LP LIVE VINYL BOXSET - SUPERSTAR CONCERT SERIES -』なので 当然と言えば当然のSBD音源だからなんだけど、その落とし込んだ音の鮮度が抜群に 良いんですね。これはLP時代の古典タイトル『OPEN YOUR EYES』を初めとして このページの別枠でも紹介している『STILL TOO YOUNG TO REMEMBER (Ayanami−017)』や 『YOUR EYES WILL TELL (STTP-007)』といった有名な既発盤タイトルよりも音質良好です。 しかも各既発盤ではカットされていた放送原盤のCM部分も冒頭の読み上げ以外は収録されて いるので、この部分のアドヴァンテージも大変大きいと思います。 しかしながら本作リリース後、その大元となる上記放送原盤を100%完全ノーカット収録 した『ASIA IN ASIA - DEFINITIVE SOUNDBOARD MASTERS (Virtuoso 168/169)』がリリース された事により、本作の意義も薄れてしまいました。とはいえ、エッジの効いたシャープで ダイナミックな音質は 『ASIA IN ASIA - DEFINITIVE SOUNDBOARD MASTERS』Disc-1の6日 収録部分と比べても決して負けておらず、むしろこちらの尖った音質を好まれる人も多いと 思います。でもそれ故に、原盤にある全てのシーン(※冒頭の読み上げ等)をノーカット収録 していない点が痛いです。それにしても、昔からブートって何でこういう殆ど意味の無い 妙なカットや編集をするんだろうなぁ・・。丸ごとノーカット・フル収録で聴けるからこそ 価値も上がると思うんだけど・・(-_-;) 音質97点。 1CDR。 | |
『ASIA IN ASIA - LASER DISC EDITION』 /
(※ Special Bonus DVDR for 1st set of " ASIA IN ASIA - DEFINITIVE SOUNDBOARD MASTERS") * Taken from the original Japanese Laser Disc (SM058-0002) PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 59min. Live At : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 7 『ASIA IN ASIA: DEFINITIVE SOUNDBOARD MASTERS』の初回納品分に付いてくる ボーナスDVDRで、日本版レーザーディスク『ASIA IN ASIA (SM058-0002)』から 直落とししたカウンターフィット盤です。"ASIA IN ASIA=7日の映像"と言えばもう 定番中の定番ですが、これをLD版で鑑賞出来る点がミソで、ビデオの日本版(VHS・ ベータ共通)と比べると幾つかの点で違いがあるんですね。 まずLD版の大きな違いは、曲ごとに曲名タイトルのテロップ文字が"出ない"という 点でしょう。例えば「永遠の輝き」とか「ザ・ヒート・ゴーズ・オン」といった 日本オリジナルの邦題が、時代を感じる手書きのテロップ文字として曲の頭に表示 されるのが日本ビデオ版の特徴ですが、LDは日本版でもこの文字テロップは一切 出ません。また音質と画質にも差があり、これは実際にLDとビデオテープをリンク させて同時視聴してみると分かりますが、LD版は明らかに演奏音が一歩前に出た 感じで音像が近く、画質もビデオ版より発色の良さが際立っています。 そしてこの映像で改めて感じて戴きたいのは、武道館の中に居る観客の多さです。 時折映るロングショットでも3階席までギッシリと人が埋まっています。あの夏の 米国ツアーではチケットのセールス不振が深刻で、会場の半分しか人が集まらな かったところもしばしばあり、中には2万5000人も収容出来るのにチケットが 3000枚程度しか売れなかったという記録も残っています。結局、大赤字を覚悟で 無理してツアーを続けるよりはセカンド・レグ以降のツアーを全て中止したほうが 賢明と判断され、ツアー半ばにしてASIAN INVASION '83ツアーは打ち切られました。 でも何故この日本ではこれだけの観客が集まったのでしょうか。 つまるところASIA IN ASIAは、当時ツアーを半ばでキャンセルせざるを得ないほど 失意と混乱のさなかを彷徨っていたバンド側に、日本が真摯にエールとラブコール (=チケット・セールスの好調と期待の高さ)をしっかり送り続けたからこそ実現した イベントだったと言えるのではないでしょうか。音楽とは結局のところ人の営みで あり、それを催すイベントはその音楽を期待する人々の営みが大きくなったものだと 自分は思います。この画面に映る武道館いっぱいの観衆を通して見えてくるものは、 実は見慣れた映像であるが故に見落としていたものではないでしょうか。つまり 当時八方塞がりだった83年のエイジアを召喚させた日本の洋楽ファン達の熱い営みと、 それに最高の演奏で応えた4人です。特にグレッグは短い期間でよくやったと思うん ですね。あまり知られていませんが、ASIA IN ASIAの公演の際、グレッグの歌唱に どうしても不安を拭えなかったマネージメントがステージ裏に3人のバックアップ・ シンガー達を入れていたのを御存知でしょうか。 名前はDavid Ballantyne, Billy Nichols, Kris Stainesという3人でした。 グレッグがヨレて彼らが代打でサポートしたシーンは全日通して無かったと思い ますが、「お前が駄目だったらバックシンガーが歌うよ」と実際にバックアップ・ シンガーを同行されるほど歌唱面の信頼を置かれていなかったにも関わらず、 そうしたプレッシャーの中で見事にイベントをこなしたグレッグは本当に見事 だったと思います。そしてそれもまた、この日の為に調整してきたグレッグの ミュージシャンとしての"営み"の証でしょう。一番目立つ事が出来るフロントマン を任されながらも決して自分を目立たせる振る舞いはせず、むしろフロントマン だからこそ周りのメンバーに華を持たせ、ソロでも控えめに歌うこの日の 「The Smile Has Left Your Eyes」を観ると、なんとなくそんな事を感じるのです。 ↓はメーカーHP掲載の収録画像サンプル。 音質と画質は、音質98点 / 画質97点といったところでしょうか。ちなみに本作は後日リリース された『ASIA IN ASIA - DEFINITIVE AUDIENCE MASTERS (Virtuoso 170/171/172/173/174)』の Disc-6(DVD)収録のものと全く同じです。但しそちらはピクチャーディスク仕様のプレス盤DVDで、 本作はボーナスディスク特有のシンプルなDVDR仕様となっています(←の画像をクリックすると ディスクケース内も閲覧できます)。 1DVDR・ボーナスディスク。 | |
『DON'T CRY - SOUNDCHECK AT BUDOKAN 8TH DECEMBER 1983』 /
(※ Special Bonus CDR for limited stickered edition of " ASIA IN ASIA - DEFINITIVE AUDIENCE MASTERS") Soundcheck at : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 8 『ASIA IN ASIA : DEFINITIVE AUDIENCE MASTERS (Virtuoso 170/171/172/173/174)』の 初回限定ナンバリング入りステッカー付きに付属するボーナス2CDR。83年12月8日の武道館 最終公演前に行われた、8日当日のリハーサル風景を収録したタイトルです。同内容の既発 タイトルとして、このページの別枠で紹介している『HIDDEN TAPES (Ayanami−004)』 や 『RUN THROUGH THE DAY (Amity−089)』がありますが、本作は後者をマスターに使用して ボーナストラック用に新装したもの。音質も同じ、リマスタリングも無しで、これは自分が 後日メーカーの方に直接確認したので間違いないです。ただ一点、トラック名の表記が 若干変更を受けていますが、これは収録内容の大半が「Don't Cry」の練習風景であり、 それに沿うように製品タイトルを変更したので、トラック・タイトルもこのタイトルに 見合うように整えたとの事でした。 熱心なファンの間では昔から有名なこの録音は、当時の日本エイジア・ファンクラブの 中心人物だった女性がメンバーの許可の下で行ったものです。持参したウォークマンか ラジカセで各楽器のサウンドチェック、楽屋とステージでのコーラス練習、バンド全体の 音合わせ等を2時間近く収録したもので、中には当時のエイジアのマネージャーだった 故ブライアン・レーンとカール・パーマーによるファンクラブの会員に向けた特別な メッセージも含まれています。ファンの視点で捉えた音源としてこれほど貴重かつ至近 距離から収録した音源資料はそう無いでしょう。音質も良好で、さほどのジェネも経て いない(※恐らくマスター→1stをデジタルコピーした2ndだと思う)と思われますが、 元々が本当にプライヴェートな録音であるため、時折りガサゴソと、慌しい移動の 最中にマイクを擦った異音が入るのは御愛嬌でしょう。(^_^;)しかしそれもまたこの 録音物の生々しさを際立たせていると思います。 さてこのリハ音源ですが、タイトルにもなっている通り「Don't Cry」に関する練習風景が ソロ、コーラス、全体演奏として多く捉えられているのが大きな特徴です。これはこの 数時間後に控えた「Don't Cry」の日本初演に向けてのものなので、当然と言えば当然かも しれません。登場回数が一番多いのはダウンズのキーボード・チェックです。でもこれは 演奏面のチェックというよりも、あの巨大なキーボード要塞の"起動チェック"に近いもの があり、シンセ、ストリングス、エレピ、オルガン、リズムマシン、ボコーダー、 ピアノ・・と、様々な音がめまぐるしくチェックされてゆく様子は聴きモノです。また チェック中の旋律に釣られる様にドラムやベースが絡んでゆくのもリハ風景ならでは ですし、中には突然「Time Again」を始めるシーンもあったりするので、その突発的な ワクワク感で耳を離せないでしょう。ドラムの単体チェック・シーンはDisc1-(2)の1回 だけですが、キットの固定具合や打面の感触、響きの出方を肌感覚で確かめている様子が 印象的です。この様子は画用紙に素早い的確な筆致で物の基本形をデッサンしている 様でもあり、約6分半程度と短いながらもインパクトの高いシーンとなっています。 ベースはDisc-2の後半で聴ける全体の音合わせや、キーボードのチェック時にそこそこ 音が入っていますが、ベース単体でのチェック・シーンはほぼ皆無なのも面白いところ です。これはASIA IN ASIAでのグレッグが、時折カラフルなラインは入れるものの 基本的にどの曲もルート弾きでこなしていた為と思われ、曲の音型さえ確認出来れば 練習はさほど必要無かったという表れかもしれません。むしろ彼の場合はベースよりも コーラスや歌唱面のチェックにこそ本腰を入れている様で、実際Disc2-(11)の後半等では この後に控えた「Don't Cry」初演に向けて、最後の歌い込みとフレーズの確認を黙々と こなしている様子が捉えられています。 ギターのリハ風景は「Sketches In The Sun」等のソロ曲で響きを確認した後、「Don't Cry」 の出だし部分(※音が一気に高音まで伸び上がるところ)のチェック・シーンが10分近くも続く という特徴的な箇所が出てきます(※Disc2-(4)の3分24秒〜)。彼がここで弾いているのは フェンダー製の”Dual 6 ”というスチール・ギターで、83年のライブではこの冒頭部や 2コーラス目の後に出てくる同じ音型の箇所で手持ちギターからDual 6に一瞬チェンジして 弾いていました。なのでこれはその手慣らしなのでしょう。立ち上がりの音を伸ばす時間と タイミングを色々変え、音色の出方と響きの感触を念入りに確かめています。 因みにこれを執拗に繰り返しているのは恐らくもうひとつ別に理由があると推測され、 それはこの音型が出てくる部分で過去に演奏ミスが目立っていたからでしょう。 具体的には本作Disc2-(10)の失敗例で聴けるようなアンサンブルのズレと歪みから来る ものですが、こうした前例が夏の北米ツアーでは数多く散見されました。有名なところでは オリジナルメンバーとして80年代最後の演奏となった9月10日デトロイト公演での演奏 (※『LAST ORIGINAL (HIGHLAND, HL149/50#AS2)』等)も冒頭でこれと全く同じミスをして いますし、中には8月22日のマサチューセッツ公演(※正規盤『LIVE IN MASSACHUSETTS』や ブート『A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM (Ayanami−054)』等)での痛々しいシーン、即ち 終曲を失敗してエンディングをやり直していた様子を思い出す方も居られるでしょう。 そんな苦い経験もあってハウはここで執拗にフレーズとタイミングの再確認をしているの だと思うのですが、これは同時に「Don't Cry」がバンドにとって、そしてスティーヴに とってどけだけ演奏し辛い"鬼門の曲"であったかも伺わせていると思います。 でもそうして念入りに臨んだだけあって8日公演本番の「Don't Cry」はまずまずの演奏だと 思います。しかし実はそれ以上の極上プレイをしているのがリハーサルの最後を飾る本作 Disc2-(8)と(11)での演奏でしょう。特に(11)でのギターの入り方、音色と旋律の伸び方、 音楽のダイナミックな浮上感と立体感は本番以上というよりも、83年全公演中のこの曲の ベストと言えるものとなっているので要チェックです。各自が僅か数十分前に確認した自分の 響きを時間を置かずに全員で重ねた事により、その日その場の感覚が瑞々しい音色となって 飛び出してくる音楽の不思議が、この2つのトラックには克明に記録されていると思います。 こうしたリハーサル音源の醍醐味は、その日の音楽がどの様な人の営みによって創られたの かが良く分かる点だと思います。サウンドチェックとは即ち、ミュージシャンが個人や全体で 出す音の響きを確かめる行為ですが、それをじっと聴き、どの楽器からどの様に音が膨らんで 別の響きと重なるのかを傍で見る(もしくは、"診る")行為は、自分の中にその曲・その演奏に ついての視点がそれだけ増えてゆくという喜びに直結していると思うんですね。30年前のあの イベントの、その裏側にあった様々な音の営みと人の営みが垣間見られるこの秘蔵音源は、 まさにASIA IN ASIAの理解度をより深める逸品音源だと思います。 音質89点。 2CDR・ボーナスディスク。 | |
『DRAGON ATTACK 1983』 / (Ayanami−055)
Live at : Disc-1〜Disc2-(2) : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 6 Disc-2-(3)〜Disc-3 : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 8 Ayanamiレーベル黎明期の名盤タイトル。 両日共にオーディエンス録音ですが、極上音質で収録されています。 特に興味深いのは6日の音源で、ノーカット・未編集版がリリースされたのは、 上段で紹介した『SHINES ALL AROUND (Amity−071)』がリリースされるまでは 本作が初めてでした。アナログ時代の名盤『OPEN YOUR EYES』と比較して聴くと、 アナログ盤ではカットされていた曲間MCがバッチリ入っている点も見逃せません。 この未編集の6日音源を聴くと、例えば「Eye To Eye」の演奏前MCではこの日だけ 『コンバンワ、トーキョー』(他の日は全て"コニチワ")と言っていたり、 「Sole Survivor」演奏前のMCに至っては、アナログ盤『OPEN YOUR EYES』の同箇所で MC自体に編集されていた事が判明して、非常に興味深いです。 このMCカット部分ですが、どれもMTVとウェストウッド・ワンについてのコメントで、 これはアナログブートLP『OPEN YOUR EYES』を製作したブート業者がウラジャケ記載の "Live in Maple Leaf Garden"という記載を買い手に信じ込ませる為のフェイクです。 しかしMCを全てカットするならともかく、「Sole Survivor」演奏前ではわざわざ MCそのものを編集してあるのですから、ブートLP『OPEN YOUR EYES』は業者が 意図的に編集した音源と考える方が筋が通るんじゃないでしょうか。 もう一方、8日の演奏も素晴らしいのですが、大きな欠点として「The Heat Goes On」 の00分56秒付近〜1分27秒付近にかけて、別の箇所の音源(※MCと、Cutting It Fineの 冒頭)が多重録音されています。恐らくトラック・ダウン、ミックス・ダウンの際の 工程ミスが原因だと思いますが、これはちょっと戴けませんね。(T_T) 尚、6日の音源は「Daylight」終了後、約4分半以上も延々とテープが 廻っていて当日の場内の雰囲気が生々しく収録されています。 この中には終演後の女性アナウンスも入っており、 『この公演は当会場で明日の7日・8日も行われます。チケットは窓口の・・・』 といった内容が暫く聞けて臨場感たっぷりです。 音質92点。 3CDR。 ※ケース内にインナーカードが一枚封入されています。 | |
↑ 12月6日のチケット (アリーナ席) ↑ 12月6日のチケット (南側スタンド席) |
『SHINES ALL AROUND』 / (Amity−071)
Live Date : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 6 83年12月6日の音源と言えば、これまでは上段↑で紹介している Ayanamiレーベルの名盤『DRAGON ATTACK 1983 (Ayanami-055)』でしたが、 それを補填する音源となったのが本作。Disc1、Disc2のどちらにも同じ 12月6日公演がそれぞれ別マスターを使用して収録されています。 まずDisc1ですが、これは上記既発盤『DRAGON ATTACK 1983』と同音源。 使用しているマスターも同じですが大きな違いが2つあり、ひとつは 本作はイコライジング処理されていないマスター音源そのままの 音質であること。『DRAGON ATTACK 1983』と聴き比べると音の明瞭さが 僅かに欠けていますが、そのぶん生々しい音であるのが分かります。 もうひとつの違いは、本作は一公演が一枚のディスクで最後まで通して 聴き通せることです。つまり『DRAGON ATTACK 1983』ではカットされていた 「Sole Survivor」の終演〜「Cutting It Fine」が始まるまでの約1分30秒の 曲間がノーカットで収録されているんですね。勿論『DRAGON ATTACK 1983』と 同じく本作も終演後4分以上もテープが回っており、これもディスク一枚に 含めての完全収録となっています。 しかし、本作の本当の衝撃はもう一枚のDisc2に尽きるでしょう。 このDisc2で使用されているマスターは完全初登場の新音源。 しかも驚くことに、この音源では長い間謎とされていたこの日の冒頭のMC、 つまりマーク・グッドマン氏の挨拶から完全収録しているのです。これまでの 各既発タイトル、そしてテーパー間に数多く出回っていたどの6日音源にもこの 冒頭挨拶の様子は未収録だっただけに、この収録は快挙です。全体の音質も Disc1と比べるとほんの僅かに距離を感じる程度。しかしそれはあくまでも 優良音質の本作Disc1及び『DRAGON ATTACK 1983』と比べての話であって、 通常これ程の音質で収録されていれば優良音質と皆が思うであろうレベルです。 勿論このDisc2もDisc1同様に一枚ディスクでのノーカット完全収録版ですが、 このDisc2では更に、Disc1で一部分がカット(マスター音源録音時のテープリバース点に 起因する)されていた「The Smile Has Left Your Eyes」終演後の、ハウのMCも完全な形で ノーカット収録されており、この点も要チェックでしょう。そして勿論、 このDisc2のマスターも「Daylight」終演後に3分以上もテープが回っていて、 この日の臨場感と興奮を生々しく伝えています。 本作を新しい発見がある発掘音源と取るか、もしくは重箱の隅を突付いた音源と 取るかは聴く人それぞれだと思いますが、少なくとも本作はエイジアが日本で初めて 行ったステージの全貌を極めて正確に追体験出来る、大変優れたオーディエンス・ ドキュメンタリー音源であることは間違いないと思います。 『DRAGON ATTACK 1983』を持っている方にこそ是非聴いて戴きたい音源です。 音質は、 Disc-1 / Source#1が86点。 Disc-2 / Source#2が81点。 2CDR。 |
『ASIA from "WESTWOOD ONE" Transcription Disc』 / (CURRY CLUB, 19831206−master copy)
Live Date : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 6 放送用音源『Westwood One Superstar in Concert』を持っている人から 落として貰った音源にジャケットを付けた自作ブート。 これは元の持ち主の人が『Westwood One Superstar in Concert』を買った直後に テープに落とした音らしいので、スクラッチノイズも無く大変素晴らしい音質なのですが、 やはり一度でいいからレコード盤の生音で聴いてみたいものです。 原盤欲しいなぁ・・・。 プレス数も極少だし、マニアが絶対手放さないからもう入手不可能だろうけど。(-_-;) 内ジャケに使用している写真はなかなかレアなショットで、 特にスティーヴが持っていた”GIBSONES ARTIST”の4本 (ボディーカラー : BLOND/SUNBURST/BLACK/TOBACCO-SUNBURST) のうち、1984年に売却してしまったTOBACCO-SUNBURSTを 弾いている珍しい写真(上段中央)も入っています。 またこの6日は、翌日7日の衛星中継のリハーサルの意味合いも含めて MTVのカメラが入っていた事が判明しており、右下の写真の様に、 LDやビデオ以外の映像も残っている可能性がある様です。 もし残っているなら、この6日は映像は是非観てみたいものですよね。 1CDR。 | |
『YOUR EYES WILL TELL』 / (SHOUT TO THE TOP, STTP-007)
Live at : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 6 ウラジャケの表記では12月7日の音源になっていますが、 実際に収録されているのは初日6日の演奏。 しかもWestwood Oneの正式なトランスクリプション・ディスクから 直落としされているので音質は極上。当然ステレオ収録です。 本作は、この表記ミスのせいでかなり損をしていたブートだったと思います。 きちんと"放送ディスクの直落とし・6日の音源"と明記しておけば もっと需要があって売れた筈なのになぁ。そのせいかどうか分かりませんが、 業者の知り合いに聞いた話ではリリース初回300枚分で生産中止になったそうです。 なお、本作同様にWestwood Oneのトランスクリプション・ディスクから落としてある 6日の音源が、下段で紹介している『STILL TOO YOUNG TO REMEMBER』のDisc−1に 収録されているものですが、実は内容が少し違っています。 元が同じものなのに差が生じている理由は、 1. 本作のマスターとなっている原盤・Westwood One Superstar in Concertは 収録曲順が実際のセット通りではなく、放送用にMCが編集され、 曲順も組み変えられている盤だから。 つまり、放送音源とはいえもう既に編集作業が施されている盤な訳です。 2. 一方、『STILL TOO YOUNG TO REMEMBER』のDisc−1に収録されている元々のマスター音源は アナログLPブート『OPEN YOUR EYES』で、 『STILL TOO YOUNG TO REMEMBER』のDisc−1はこれを丸ごと落としてあります。 収録曲順は実際のセット通りですが、このレコードは『Westwood One Superstar in Concert』を元にして 業者が巧みに編集し直してリリースしたブートLP(つまり、編集結果の更なる編集作業がされている)なので、 数箇所で原盤『Westwood One Superstar in Concert』には無い再編集の痕跡が露呈しています。 ・・・という理由だからです。 6日の完全未編集の音源である『DRAGON ATTACK 1983』の項にもこれらに付随したトピックスが 詳しく書いてありますので、そちらも参照してみて下さい。 音質94点。 1CDプレス盤 / ステレオ収録。 | |
『STILL TOO YOUNG TO REMEMBER』 / (Ayanami−017)
Live Date : Disc 1 / Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 6 Disc 2・3 / Osaka Castle Hall, Osaka, JAPAN. / 1983. Dec. 9 1983年12月の大イベント『ASIA IN ASIA』の初日と最終日をカップリングした、 ファン待望の一枚。特に9日の大阪城ホールでの公演はテープトレーダーの テープリストでもなかなかお目に掛かれない音源でした。 初日の12月6日の音源は、アナログ時代の超名盤『OPEN YOUR EYES』を そのまままるごと落としてあります。アナログ落としにありがちな スクラッチノイズも全く無く、しかもA面→B面等のレコードをひっくり返す 盤と盤の継ぎ目も全く感じさせず、非常にクリアに収録されていて 一気に最後まで聴き通せる様に巧みに編集されています。 演奏内容は素晴らしいの一言。どれも絶品です。 個人的にはイベント『ASIA IN ASIA』の4日間の中で、一番出来の良い ステージではないかと思います。特にそれが顕著なのが「Eye To Eye」や 「The Heat Goes On」等のドライヴ感のある曲で、素晴らしくドラマティックです。 しかし、何と言ってもこの日は「Cutting It Fine〜Daylight」の演奏でしょう。 この演奏はエイジア史上屈指の名演奏だと思います。 よく、この時期のエイジアについて言われるのは、ウェットン→グレッグに ついての交代劇ですが、逆に言うとグレッグが居たからこそ出来た 素晴らしいプレイも多々ある訳で、この「Cutting It Fine〜Daylight」は、 それが最もよく現れている素晴らしい結晶だと思います。 「ブタ「肉まん」「ふざけんな」という意見は、当時チケットを買って 会場に行った人達が、ウェットン→グレッグの突如の交代劇を裏切られたと 恨んでいるだけで、この日の演奏を聴いてもまだ「ふざけんな」と 言えるのか、非常に疑問です。 ( ゚ 3゚) ←グレッグ それはさておき、6日の全セットリストを下記すると、 (1) Mark Goodman氏、『ロックノヨウイ、イデスカ』 (2) Time Again (3) The Heat Goes On (4) Here Comes The Feeling (5) Eye To Eye (6) STEVE HOWE Guiter Solo (7) Only Time Will Tell (8) Open Your Eyes (9) GEOFFLY DOWNES Keyboard Solo (10) The Smile Has Left Your Eyes (11) Wildest Dreams (12) CARL PALMER Drum Solo (13) Heat Of The Moment アンコール (14) Sole Survivor セカンド・アンコール (15) Cutting It Fine (16) Daylight ・・・となっています。 特筆点としては、まず7日同様に「Don't Cry」を演奏していない事と、 「Cutting It Fine〜Daylight」が最後のセカンド・アンコールになっている事です。 この2曲は、8日と9日ではセットリスト中間辺りで演奏されていますが、 7日の衛星中継時は演奏されず(しかし、最後にDaylightのみプレイした)、 6日もアンコールの最後で演奏されています。 で、その9日の大阪城ホールの演奏ですが、非常に素晴らしいステージが繰り広がって います。「Time Again」の冒頭が少し切れていますが、セカンド・アンコールの 「Don't Cry」までほぼ完全収録されていて興奮の連続です。イベント『ASIA IN ASIA』 を締めくくる最終日だけあって、伸び伸びと力強く演奏しているのが伝わってきます。 演奏でも随所に素晴らしい煌きが垣間見られ、ダウンズのソロではバグルス時代の 「Video Killed The Radio Star」が聴けるのも嬉しい変更点ですし、スティーヴの ギター・ソロがしっかり設けられている点も大きいと思います。音質もAUD録音としては なかなか良く、愉しめる内容です。また、前日の8日に続いて冒頭の挨拶が日本人の スタッフが務めている点も特筆されるでしょう。 ・・・という訳で9日の全セットリストを下記すると、 (1) 日本人スタッフによる冒頭挨拶 (当時のUDO音楽事務所の人?) (2) Time Again (3) The Heat Goes On (4) Here Comes The Feeling (5) Eye To Eye (6) STEVE HOWE Guiter Solo (7) Cutting It Fine (8) Daylight (9) Only Time Will Tell (10) Open Your Eyes (11) GEOFFLY DOWNES Keyboard Solo (incl. Video Killed The Radio Star) (12) The Smile Has Left Your Eyes (13) Wildest Dreams (14) CARL PALMER Drum Solo (15) Heat Of The Moment アンコール (16) Sole Survivor セカンド・アンコール (17) Don't Cry ・・・となっています。 6日・7日とは全く違う反面、8日の武道館最終日と全く同じセットだという事が分かります。 最後にもうひとつ。 ジャケにバックステージパスの写真が使われていますが、これはこの 『ASIA IN ASIA 日本ツアー』で実際に関係者&ローディが使用した物です。 ただ、何故か『ASIA IN ASIA』ではなく『ASIA FROM ASIA』とプリントされていますが、 これは当初のプロジェクト名がASIA FROM ASIAだったのか、 アメリカのバックステージパスの専門業者OTTOがミスったのか、 はたまた当時、関係者からのオーダーミスがあったのか、理由が不明です。 しかし、この『ASIA FROM ASIA』とプリントされたパスが、実際に使用されていたのは事実です。 3枚組CDR。 | |
『ASIA IN ASIA』 / (No Label, M8EH257A)
Live Date : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 7 恐らくオフィシャルビデオ『ASIA IN ASIA』をそのまんま落としているブートです。 それ以上でもそれ以下でもありません。ペーパージャケですが、いかにも"とりあえず 創りました"という感じです。 ・・しかし見た目に騙されちゃいけません。 抜群に音質が良いんですよこれ。 恐らく7日公演の収録音だけで限定すると、過去最高の極上音質ではないでしょうか。 サウンドボードという事もあると思いますが、音の立ち上がり、粒立ちの細かさ、 どれを取っても後発のブートを遥かに凌駕しています。たぶんトラックダウンする際の 機材の組み合わせや相性が非常に良かったのでしょう。 またこのブートはエイジア初のブートCDRでした。現在はCDRも多いですが、 今思うとR時代の幕開けでもありましたよね。最初は「何で盤が金色・緑色なんだろ」 と思いましたが、今となってはそれも懐かしい思い出です。自分がこれを買ったのは 今は無き西新宿の名店IKO-IKOかゼファーだったと思いますが、平積みされた当時の 見本ディスクに添えてあった商品説明文には「200枚限定の入荷です」と書かれて いた様に記憶しています。 尚、この7日の全セットリストは以下の通り。 (1) Mark Goodman氏、『ロックノヨウイ、イデスカ』 (←元気が出るので重要) (2) Time Again (3) The Heat Goes On (4) Here Comes The Feeling (5) Eye To Eye (6) STEVE HOWE Guiter Solo (7) Only Time Will Tell (8) Open Your Eyes (9) GEOFFLY DOWNES Keyboard Solo (10) The Smile Has Left Your Eyes (11) Wildest Dreams (12) CARL PALMER Drum Solo (13) Heat Of The Moment アンコール (14) Sole Survivor (15) Daylight ・・・という訳で、この日は「Don't Cry」を演奏しておらず、 代わりに「Daylight」を、最後の最後に演奏しています。(※ 本作には未収録) 意外と知られていない事ですが、実はこの7日も「Daylight」をプレイしています。 これは当日観に行った複数人の方から伺った話でも「あの日は確かに最後にDaylightを演奏した」と 全員が証言しているのでまず間違いないでしょう。しかしながら何故か 7日のAUD録音完全収録盤(つまり「Daylight」まで収録されたもの) というのは、未だに日の目を見ていません。 音質99点。 1CDR。 | |
↑ 12月7日のチケット (南側スタンド席) ↑ 12月7日のチケット (アリーナ席) |
『EYE TO EYE - COMPLETE LIVE IN BUDOKAN 1983』 / (ASJP−12683)
Live Date : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 7 これも恐らくビデオ落としだと思われます。 大イベント『ASIA IN ASIA』の、全米に衛星中継された時の音源ですが、 オフィシャルからではなく、多分、ブートビデオ『ASIA - SPECIAL』か 『ASIA IN ASIA(co)』から落とされていると思います。 嬉しいのは、オフィシャルビデオではカットされていた冒頭の『Time Again』 も収録されている事でしょうか。これは嬉しいですよね。 音質はオフィシャル並に良いのですが、その代わり、 この日は最後に『Daylight』を演奏しているので、完全収録盤ではありません。 この7日の『Daylight』を収録したブートはまだリリースされていませんが、 いつか本当の完全版として『COMPLETE LIVE IN BUDOKAN 1983. 12. 7』を リリースして欲しいものですよね。 また、この『ASIA IN ASIA』の時の、要塞の様に積み上げられたキーボードの 内訳は、おおよそ次の通りです。 (1)Korg Poly-6 (2)Hammond B-3 (3)Prophet-10 (4)Solina Strings (5)Horner Clavinet D-6 (6)Fender Rose Stage 73 (7)Mini Moog(Twin) (8)Fairlight CMIKX (9)PPG Wave 2.2 (10)Novatron (11)Prophet-5 (12)Hammond J 122 (13)Yamaha CP-70 (14)Moog Taurus (15)Oberhim DSX Poly Sequencer (16)Korg Mono-Poly (17)Memory Moog (18)Yamaha CS-80 (19)Remote-Prophet (20)Moog Libelation (21)Yamaha Grand Piano メインで使用していたのはプロフェット・シリーズとハモンドで、コルグ・シリーズとムーグは そんなに使用されていなかったと思います。 (3)と(11)のプロフィットは同じ音色で、(2)と(12)のハモンドも、恐らく同一の音がインプットされています。 また、(11)のProphet-5は(19)のRemote-ProphetにMIDIコードで繋がっています。 どちらにしても、実際には使用していない物の方が多く、その代わりに同種の音源を ステージ左右のキーボードに振り分ける事で壇上をドタバタ駆け回るという、 視覚的要素を強調したセットでした。 |
『ASIA IN ASIA - Collector's Edition』 / (※ This is a Bonus Gift item DVDR of a Bootleg CD Shop at December 2012)
Live at : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 7 PRO-SHOT【※2 VERSIONS】COLOUR NTSC Approx.135min. アメリカのFoxberryレーベルからリリースされていた公式盤DVDタイトルを 恐らく丸ごと直落とししたDVD。前半に収録されているチャプター(1)〜(13) までの映像は公式盤LDとして出ていたものと同一で、これは日本版の ビデオ・LD・VHD同様に冒頭の「Time Again」がカットされている通常仕様の内容です。 チャプター(14)から始まる映像はMTVグローバルサテライトがあの日実際に放映していた 生中継の模様が収録されています。これは過去にブートビデオとしても数種出回っていましたが、 本作が面白いのはチャプター(28)の各社CMがノーカットで入っている事と、衛星中継終了後に MTVスタジオに画面が戻されてゆく様子が収録されたチャプター(30)が鑑賞出来る事でしょう。 この(30)ですが、マイケル・ジャクソンの「スリラー」が編集短縮版で流された後にカメラが MTVスタジオに戻され、番組ホストが「日本からエイジアの生中継をお届けしました」的な コメント(※←僕は英語分からないけど、恐らく大意としては間違っていないと思う)を発している 様子が暫く映っています。まぁ確かに演奏そのものとは無関係なんですけれども、しかし当日の アメリカでは生中継終了後にこういう流れが放映されていたというリアル・ドキュメントとしての 楽しみがここにはある訳です。 尚、チャプター(31)に収録されている映像は1990年6月23日にイギリス・ノッティンガムの スタジオ"8"で行われた定番映像を何曲かメドレーで収録しているだけのもの。まぁつまり ビデオ作品『ANDOROMEDA』のメドレー映像です。恐らく本作のマスターになっているDVDに オマケで収録されていた『ANDOROMEDA』のサンプル映像ではないかと思います。 1DVDR。 西新宿の某ブートレッグ・ショップで週末限定配布されたギフトタイトル。 | |
↑ Fender Dual 6 |
『HIDDEN TAPES』 / (Ayanami−004)
Rehearsal & Live Date : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 8 これは凄い一枚です。 1983年12月8日のリハーサルと、その夜に行われた同日の武道館の ライブが完全収録されています。 まずリハーサルの様子ですが、これは当時のエイジア・ファンクラブの 会長さんと思われる人と、その友人らしき人がラジカセで録音した物で、 非常に生々しいリハーサルの様子が延々と録音されています。 また、エイジアのプロデューサーであったブライアン・レーン氏のメッセージや、 カール・パーマーがファンクラブの人に宛てたメッセージも収録されていて、 こうした事から察するに、この音源は当時のファンクラブの会員のみに プライヴェートでダビングされた物が流出したのではないかと思われます。 リハの様子を見てゆくと、イヤでも耳につくのがスティーブのギターで、 『Don't Cry』冒頭部の、しつこい程繰り返されるギターチェックでしょう。 これは恐らくフェンダー製の”Dual 6”という機種(左の画像参照)で 弾いていると思われます。高音が非常に伸びるスチールギターですが、 スティーブのギタープレイに詳しい人によると、この写真等も含めて ステージで使用しているスチール・ギターは、ダブルの”Fender Dual 6”だけの様です。 ハウは、ダブルの物では他にGibsonも所有していますし、シングルを数台と フォース(4)・ネックのものを所有しているそうです。 有名な『And You and I』『Siberian khatru』等は、Gibsonのシングル・ネック ”BR9”でレコーディングしています。 しかし・・・こう何度も何度も繰り返し聴かされると、耳が痛くなりますね。(^^; また、同じ位にしつこく繰り返されるのが、ダウンズのキーボードチェックです。 ストリングス・ブラス系の音やオルガン・ピアノタイプの音をチョコチョコと 変えつつ、適当なフレーズをつま弾いてチェックしているのですが、 時々『Open Your Eyes』『Time Again』『Don't Cry』等の曲のフレーズを 弾いたり、バッハの平均率を軽く弾いたり、バグルス時代の 『Video Killed The Radio Star』を延々と弾いている箇所もあります。 その他、控え室と思われる場所でメンバーが集まり、『Don't Cry』の コーラス部分をカセットテープから流れる『Don't Cry』に合わせて 繰り返し練習している部分や、バンドで『Don't Cry』の音合わせを している箇所もあり、とにかく延々とサウンドチェックが続きます。 さて、ここまで書くと、或る疑問に辿り着きます。それは、 『これだけ延々とDon't Cryを練習しているのに、何故ライブでは それを拒否したのか』という事です。 御存知の通り、この『ASIA IN ASIA』では、当時あれだけ大ヒットした この『Don't Cry』を、4日間で2回(8日と9日)しか演奏していません。 また、この『ASIA IN ASIA』で『Don't Cry』を演奏した時、 後方の大きなプロジェクターに歌詞が投影されていましたが、 ここまでしつこく延々と練習しているのに、何故そんな事をしなくては ならなかったかを考えると、 (1)歌詞が覚えられなかった (2)機材が不安定だった (3)演奏は出来るが、何らかの不安な要因があった ・・・という3つの要因が考えられると思います。 このうち、(1)についてはプロジェクターに歌詞を投影すれば良いだけの話なので、 そんなに危惧する必要も無いでしょう。(実際にそうしていたし) (2)についても、不安定だったと思われるのはダウンズの20台の シンセ・キーボード(正確には、ヤマハのグランドピアノを加えた21台)だけで、 これは単にMIDI端子がまだ出始めたばかりで一般化していない頃に 無理矢理繋いでいた為ですが、これとて、メインで使っていたのは Prophet-10やハモンド等で、不安定の代名詞であるムーグ等は 殆ど使用しておらず、その他は『そこに置いてあるだけ』のハリボテ・キーボードが 多かった訳で、機材の不具合による問題は余り考えられないと思います。 ・・・という訳で、残った要因として(3)が考えられる訳ですが、 グレッグがエイジアに加入したのが1983年10月5日、その約一ヵ月後の 11月15日には、既にこのイベント『ASIA IN ASIA』の為に日本に来日し、 来日して直ぐに『合歓の里』や『つま恋』にこもり、連日入念に2週間近い合宿で セッションやリハーサルを行い、しかもこの8日だけで無く、6日も7日も念入りに リハをやっている筈で、それなのに彼らが『Don't Cry』の演奏を何故避けたかと言うと、 考えられるのはこのBの『演奏は出来るが、何らかの不安な要因があった』 という事しか無いと思います。 では、それは何かと言うと、僕はやはり 『ウェットンの声域と、グレッグの声域が合わなかった為』だと思うのです。 御存知の通り、エイジアの曲はウェットンとダウンズのコンビで作られていますが、 それは当然『ウェットンの声域に合わせて』作曲されている筈です。 楽器を演奏するだけなら、加入後2ヶ月もあればグレッグ程のキャリアを持つ スーパー・プレイヤーならば可能な筈です。 しかし、たったの2ヶ月で『声域を合わせろ』というのは、 人間の声帯の個体差もあるでしょうし、かなり難しい注文だったと思うのです。 この『ASIA IN ASIA』時のセットリストを思い出してみて下さい。 ウェットンが在籍していた、同年83年7月24日〜9月10日のアメリカツアー のセットと比較すると、曲順こそかなり変わっているものの、アメリカツアー では中盤の盛り上がりとして挿入されていた『Don't Cry』だけが 『ASIA IN ASIA』では最後に演奏されていますし、日によっては 演奏されなかったりしています。 当時のヒット曲に対してこの様な変更を加えるのは、明らかにその曲をプレイ する事に何らかの問題があった訳で、しかもこのブートの様に 『しつこい程にDon't Cryを練習している』訳ですから、やはりグレッグの声域では 巧く歌いきれなかったのでしょう。 その証拠に、この8日のステージで演奏される『Don't Cry』や、 翌9日の大阪城ホールで演奏された『Don't Cry』を聴くと、中盤のサビの辺りで かなり歌いづらそうな箇所があって、それをグレッグが適当に誤魔化しているのが 如実に分かると思います。 だから、僕はやはり『演奏は出来るが、声域が合わなかった』為に、 この『Don't Cry』の演奏を避けていた様に思うのです。 そしてそんな必死な各メンバーの舞台裏の姿を、このブートは生々しく 伝えてくれていると思いませんか? 最後に、このブートのDisc 1とDisc 2のリハーサル部分は、 実はかなりの編集がされています。 と言うのも、僕はこれと同音源のテープ(未編集の物)を持っているのですが、 それと聴き比べると時間的な流れはメチャクチャなので、 最後にこのリハーサルの正確な時間の流れを下記しておきます。 (数字は、CDに表記されているクレジット数です) Disc 1 (21)〜(28)、(14)〜(16)、(1)、(17)〜(20)、(2)〜(13) Disc 2 (1)〜(19)、(21)〜(25)、(20) です。 また、Disc 3とDisc 4には、このリハーサル後に行われた、同日8日の ステージが完全収録されています。音質も良く、愉しめる演奏が続き、 伸び伸びと東京公演最終日を締めくくっているのが分かる音源です。 この日の音源はアナログブート『JAPAN TOUR 1983』と同音源ですが、 昨日の世界初の衛星中継を無事に終えた為か、リラックスして 演奏している感じもします。 特にここで聴ける「Eye To Eye」はドライヴ感があって最高です。 また「The Heat Goes On」も素晴らしく、「Only Time Will Tell」も、 ウェットンとはまた別の味わいがある演奏を披露してくれますし、 定番となった「Cutting It Fine〜Daylight」の流れも、6日の演奏程では ないにしろ、この日も実に素晴らしい演奏を繰り広げています。 面白いのは「Sole Survivor」で、グレッグのボーカルにエコー処理が されていて、これもなかなか興味深い演奏です。 4CDR。 |
『RUN THROUGH THE DAY』 / (Amity−089)
Live and Rehearsal Date : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 8 上段で紹介している『HIDDEN TAPES (Ayanami - 004)』のアップグレード版。 『HIDDEN TAPES』との最大の違いはリハーサル風景を収録したDisc1〜2が、 当時のファンテープに収録されたオリジナルの状態で収録されている点にあります。 御存知の通り、このリハーサル音源の元になっているものは1983年当時に 活動していた日本の初代エイジア・ファンクラブの創設者(或いは、その ファンクラブの中枢に居た人)が2人か3人集って8日の昼間に武道館に入り、 当日の楽屋の情景やステージのリハを生収録した120分のプライヴェート・テープです。 その内容は本作で聴ける通り、楽屋や舞台裏の通路をせわしく歩き回ったり、 その都度で録音をボタンを押し直したり、そうかと思えば歩いて移動中も カセットが録音されたまま回っていたりと、かなり慌しく音の表情と風景が 移り変わってゆくもの。 しかし『HIDDEN TAPES』は故ブライアン・レーンとカール・パーマーが この日本のエイジア・ファンクラブに宛てたクリスマスメッセージを Disc1の冒頭に持ってきていたり、実際には本作で聴ける通り最初からステージでの リハが行われていたにも関わらず、まず各メンバーの練習パートだけを集め、 それに次々とメンバーがステージに集ってくる様な時間軸を無視した編集が 意図的に施されていました。 余談ですが、このリハ部分のファンテープは僕も『HIDDEN TAPES』のリリース以前に あるツテからダビングして戴いたものを未編集(つまりオリジナル収録のまま)の テープ音源として持っており、個人的によく聞いて愉しんでいました。しかし それだけに『HIDDEN TAPES』が発売された時、何故ああいう編集を施してリリース したのか大変不思議に感じたんですね。数年後、あの当時のAyanamiレーベルを 創っていた方とお会いする機会が訪れたのですが、その時僕はイの一番に "何故『HIDDEN TAPES』ではリハーサルの収録部分にああいう編集を施したのですか?"と、 素朴な疑問を直接尋ねたことがあります。 返って来た答えは 「録音テープそのままだと所々で音がツギハギされている箇所もあるし 時間軸も散漫な感じがしたので、聞いていてドラマっぽくなるように 収録内容を組み直したら面白いと思ったんだ」 ・・・との事でした。 そのコメント通り、確かに『HIDDEN TAPES』はそれ独自で面白い仕上がりに なっています。しかしやはり、本作で聴けるオリジナルテープの収録順で 聴ける独特の生々しさとは比べ物になりません。前述した通り、 この未編集(=オリジナル収録)のリハ音源は途中で何度もブツ切りになり、 音質が急に変わったり、ガサガサと移動中のノイズも入っていたりします。 更にブライアン・レーンとカールのメッセージ収録部分に至っては、 恐らく突然コメントが貰える事になって驚いたのだと思いますが録音したテープを 一度巻き戻したらしく「Don't Cry」のコーラスリハーサル部分が一部上書き された状態で収録されている事が分かります。しかしそうした慌しさが、 あの当時まだまだ未成熟で発展途中でもあった日本のファンの、洋楽アーティストに 対する憧れと緊張とロマンスが感じられて非常に生々しいのです。 『HIDDEN TAPES』がドラマ仕立てなら、本作『RUN THROUGH THE DAY』は 本物のリアル・ドキュメンタリーと言える音源でしょう。 Disc3〜4に収録された同8日夜のライブ音源は、こちらもこのページの上の方で 紹介している既発の超名盤タイトル『DRAGON ATTACK 1983 (Ayanami - 055)』の Disc2〜3に収録されたものと同一音源です。しかしこの本作アップグレード版の リリースにあたって音質が全面的に見直されていて、『DRAGON ATTACK 1983』と 聴き比べると全体的に音の角が取れて丸みを帯びた、 マスターテープ(メーカーアナウンスによると、SONYのAHF90x2本だそう)に忠実な 温かみのある自然な音像として生まれ変わっているのが分かります。 反面、音の解像度が若干欠けた面も少しあるのですが。(^_^;) 勿論ライブは終演後の場内アナウンスまで完全収録されており、このライブ音源と リハ音源を含め、まさに本作こそがもうひとつのASIA IN ASIAであり、 オフィシャルでは知り得ない1983年12月8日の究極のドキュメント音源ではないかと思います。 また本作は、ディスクケース内部(ディスク1側)に大変珍しい当時の4人の写真が使用されています。 ライブ風景(ASIA IN ASIA公演のどれかですが、グレッグが着ている服が7日のものではないので 7日以外のショットでしょう)と、どこかの公園か庭園を4人で歩いているショット(これも恐らく 日本滞在中のもの。武道館傍にある靖国神社の敷地内か北の丸公園内、或いは大阪城公園にある 西の丸庭園近辺?)なのですが、これは初めて目にする方も多いのではないでしょうか。 これらの写真も、1983年12月のあの日に時間旅行出来る嬉しいオマケとして愉しめると思います。(^_^) 4CDR。 | |
↑ 12月8日のチケット (アリーナ席) ↑ 12月7日のチケット (日付訂正版・南側スタンド席) |
『BURNING CASTLE』
Live Date : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 8 ジャケ裏に記載されている"12月9日・大阪城ホール"という記載はデタラメです。 正確には1983年12月8日の日本武道館での音源で、『ASIA IN ASIA』に於ける 東京公演最終日の音源です。 既発ブートの同一音源として、上に紹介した『HIDDEN TAPES』のDisc 3〜4と、 『JAPAN TOUR 1983』というアナログ盤ブートLPがありますが、この『BURNING CASTLE』は 『JAPAN TOUR 1983』から落とされたアナログ落としCDです。 尚、『HIDDEN TAPES』のDisc 3〜4と、『JAPAN TOUR 1983』及び『BURNING CASTLE』は 別マスターです。音質はそんなに大差ありませんが、個人的には 『HIDDEN TAPES』のDisc 3〜4の方が若干良い音で収録されている様に感じます。 しかしながら、『HIDDEN TAPES』のDisc 3〜4には、冒頭のMTVのマーク・グッドマン氏 (Mark Goodman)の「ロックノヨウイ、イデスカ」の前口上が収録されていないのに対し、 この『BURNING CASTLE』及び『JAPAN TOUR 1983』には、それが収録されています。 しかもこの8日からはグッドマンではなく、日本人の方が挨拶を務めているのが特徴です。 演奏内容は昨日の世界的イベントを無事に終えた為か伸び伸びと演奏しており、 どれも素晴らしいです。しかし、特筆点は何と言っても「Don't Cry」でしょう。 当時のヒット曲だったにもかかわらず、日本公演ASIA IN ASIAでは、この 12月8日・武道館最終日と、12月9日・大阪城ホールでしか演奏されていません。 つまりこの日はASIA IN ASIAに於いてのこの曲の初披露だった訳で、 緊張の度合いが伺えます。 ・・・という訳で、8日の全セットリストを下記すると、 (1) 日本人スタッフによる冒頭挨拶 (当時のUDO音楽事務所の人?) (2) Time Again (3) The Heat Goes On (4) Here Comes The Feeling (5) Eye To Eye (6) STEVE HOWE Guiter Solo (7) Cutting It Fine (8) Daylight (9) Only Time Will Tell (10) Open Your Eyes (11) GEOFFLY DOWNES Keyboard Solo (incl. Video Killed The Radio Star) (12) The Smile Has Left Your Eyes (13) Wildest Dreams (14) CARL PALMER Drum Solo (15) Heat Of The Moment アンコール (16) Sole Survivor セカンド・アンコール (17) Don't Cry ・・・となっています。 翌日9日の大阪城ホールと全く同じで、セカンド・アンコールでも『Don't Cry』を演奏しています。 また、面白いのはダウンズのソロで『Video Killed The Radio Star』がこの8日から 組み込まれている事です。これはファンにとって嬉しい事ですよね。 いいなぁ・・・。 僕も行きたかったです。 |
『Another Ticket From ASIA』 / (CURRY CLUB, CC19831208−best, paper sleeve)
Live Date : Budokan, Tokyo, JAPAN. / 1983. Dec. 8 自作のプライヴェート・ブートです。 缶屋のシーバ様に作って戴いたジャケは、帯まで付いた豪華版に 仕立てられて、素晴らしい出来映えです。 自作でもここまで凝っている人はそうそう居ないんじゃないでしょうか? いや、ホント良く出来てるんですよこの装丁。シーバさん凄い!!(^_^) これは海外のテーパーとトレードした武道館最終日の別音源ですが、 非常に音質が良い一枚です。勿論、「Don't Cry」まで収録された完全版。 ドラムのタムの音(だと思う)が若干ペコペコと薄い音で鳴るのが難と言えば難ですが、 個人的には8日の決定版音源だと思っています。 音質84点。 2CDR。 | |
『FAREWELL』 / (Ayanami−136)
Live Date : Osaka Castle Hall, Osaka, JAPAN. / 1983. Dec. 9 Ayanami製のブートです。 下段に紹介している僕のプライヴェート・ブートに酷似したデザインですが、 音源流出をしたのもデザイン協力をしたのも僕ではない事を強く呈しておきます。 内容は9日・大阪公演の決定版です。 ここに収録されている音源はトレーダー間でも全く出回っておらず、 僕自身も初めて耳にする音源でしたが、発売元であるAyanamiの発表では オリジナル・マスターからのダイレクト収録が施されているそうで、 よくまぁこんな極上音源がコレクターに流出されずに 20年近くも眠っていたものだと思います。 ハイクォリティの極上音質のカット無し一公演完全版で、 今までファンの間では謎とされていた冒頭のオープニングMCが 収録されているのが特徴です。 しかも驚くべき事に、このオープニングMCは6日〜8日の武道館で MCを務めたMTVのMark Goodman氏ではなく、 謎の日本人(恐らく、召喚元であるウドー音楽事務所のスタッフでしょう)が 司会を務めていた事が分かります。これは新発見ですね。 演奏内容は素晴らしいの一言ですが、やはりここでも6日、8日の武道館同様に 『Cutting It Fine〜Daylight』の演奏が輝いています。 間違い無くこの2曲の演奏はウェットン在籍時以上の輝きを放っていて、 グレッグが居なければ出来なかった至高のパフォーマンスだと思います。 グレッグが参加したエイジアはこのたった4回のショウで幕を閉じましたが、 しかしたったの4回だったからこそ、そこにはあの瞬間の彼らにしか出来なかった 珠玉のHeat Of The Momentがあった様に思います。 | |
『ASIA in ASIA - LAST PERFORMANCE』 / (CURRY CLUB, CC-19831209)
Live Date : / Osaka Castle Hall, Osaka, JAPAN. / 1983. Dec. 9 自作のプライヴェート・ブートです。 カッコいいピクチャーディスク仕様です。(^_^) 音の良い別マスターの音源ですが、残念ながらセカンド・アンコールの 『Don't Cry』が未収録です。 |