1989年〜91年 ASIA "Rebirth"

1989年8月のエイジア復活から翌90年12月までの音源です。
それぞれのツアーは「EUROPE 1989」、「HEAT OF THE MOMENT 1989」、
そして翌90年の正式な活動時には「THEN AND NOW」と、それぞれ
ツアータイトルが冠されていました。

尚、ブート音源としては「EUROPE 1989」の時の音源は残っていませんが
(※少なくともこの時期を収録したCD音源タイトルを僕は知りません)
映像タイトルとしては9月3日・ローレリーでの公演が残っています。
アナログブートLP・ブートビデオ・資料・グッズ・その他のページに載せた
『LORELEY, GERMANY 1989』というビデオテープ・タイトルがそれです。

また、この時期のエイジアは91年4月のブラジル公演まで活動していたので
91年のライヴ音源も世界のどこかに眠っていると思うのですが、
これも「EUROPE 1989」時期の音源同様に今後の発掘に期待したいところです。


1989年 "EUROPE 1989" - "HEAT OF THE MOMENT 1989" (89年8月27日〜12月4日)




Disc 5・6収録の、
11月12日のチケット
『THE CIRCLE OF TREASURES : 6CD BOX SET』 / (No Label, M1GK289D-M8G1119D)

Live Date :
DISC 1・TRACKS 1-11 / JOHN WETTON BAND : Naval Air Facility, Atugi, JAPAN / 1999. Aug. 1
DISC 2・TRACKS 1-5 / JOHN WETTON BAND : Naval Air Facility, Atugi, JAPAN / 1999. Aug. 1
DISC 2・TRACKS 6-10 / ASIA : "EAST MEETS WEST FESTIVAL", Berlin,GERMANY / 1990. June. ???
DISC 3・TRACKS 1-14 / JOHN WETTON BAND : Nakano-Sunplaza Hall, Tokyo, JAPAN / 1999. Aug. 5
DISC 4・TRACKS 1-5 / JOHN WETTON BAND : Nakano-Sunplaza Hall, Tokyo, JAPAN / 1999. Aug. 5
DISC 4・TRACK 6 / INTERVIEW : THE JANUARY 1986 GUIDE
DISC 5・TRACKS 1-13 / ASIA : Garage, Rastatt, GERMANY. / 1989.Nov.12
DISC 6・TRACKS 1-4 / ASIA : Garage, Rastatt, GERMANY. / 1989.Nov.12
DISC 6・TRACKS 5-7 STUDIO DEMOS FROM "ARKANGEL"
DISC 6・TRACKS 8-9 ASIA : STUDIO REHEARSALS IN LONDON 1981 W/TREVER RABIN
DISC 6・TRACK 10 STUDIO DEMOS 1984

エイジアの貴重な1989年音源を含む、6枚組の超強力なブート。
まずDISC 1からDISC 2の5曲目までは、去年1999年8月1日に行われた厚木空軍基地内でのライブ。
99年のエイジア・リユニオンが、結局は実現する前に空中分解し、
その代打としてジョン・ウェットンバンドが来日したのは記憶に新しいですが、
これはこの場所からもお解りの様に、マスメディアにはライブ告知をしなかったレアなライブで、
一般には4日後の8月5日・中野サンプラザ公演しか公表されませんでした。
実は1999年の4月にエイジア・リユニオンの発動が発表された当初、日本ツアーの場所として、
何故か佐世保とか沖縄などの米軍基地のある場所ばかりがリストアップされており、
こうした場所で非公開でプレイしたのは恐らくその候補地の名残りでもあると思います。
ここで聴けるオーディエンスのウェットンを迎える熱狂振りは凄まじく、
特に「After All」「The Last Thing On My Mind」「Emma」「Hold Me Now」等の、
アルバム『ARKANGEL』『VOICE MALE』からのパフォーマンスが素晴らしく、
しっとりと大人の演奏を力強くプレイしているのが印象的です。
また、演奏している場所柄でしょうが、「Only Time Will Tell」の演奏前に
軍隊の国旗掲揚時などに流れる騎兵ラッパ(?)が流れたりもします。
そしてこの日は8月5日の中野サンプラザでの演奏同様に、U.K時代の
「In The Dead Of Night」が圧倒的。しかし更に特筆すべきなのは、
ここで聴ける「Heat Of The Moment」でしょう。
なんと曲の後半でレゲエ調になるという非常に珍しい演奏を聴く事が出来ます。
収録されている音質はオーディエンスながらかなり良く、
サウンドボード並の高音質。勿論、1公演完全収録です。

続くDISC 2の6〜10曲目は、1990年6月にドイツのベルリンに於ける"EAST MEETS WEST FES"で
行われたもので、『GERMANY 1990』というブートビデオ(このEAST MEETS WEST FESは、
当時テレビ放映されており、『GERMANY 1990』はそれをビデオ収録したもの)のみで観れた(聴けた)
ものですが、ここに収録されているものは恐らくビデオ落としではなく、同マスターから取られた
別音源だと思います。ビデオと比較すると、あまりにも音質が違いすぎるし、収録時間も若干長いです。
特にビデオでは「Don't Cry」の出だしがパットのギターから始まっているのに対し、ここに
収録されているものはその前のキーボードフレーズから収録されていまして、何と言ってもビデオには
「Don't Cry」の曲中に編集がなされていて、ここに収録されている物とは明らかに違います。
ステージの様子ですが、これはエイジアのワンマン・ショーではなく、他のバンドとの競演として
出演している為、演奏時間も30分、5曲のみという特別なステージです。
この時は既にパットがギターを弾いていますが、これはエイジアに加入したばかりの頃のプレイですから、
4人の正式メンバーで始動した直後の90年エイジアに触れる事が出来る訳です。
サウンドボード音源で、音質もとても良いです。

続くDisc 3〜Disc 4の5曲目までは、1999年8月5日・中野サンプラザでの
ジョン・ウェットン・バンドのライブ。
空中分解したエイジア・リユニオンの代打として公演した時のものですが、悪夢でした。
詳しくは、こちらのページの「エイジア・リユニオンの日本公演チケット」の欄を参照して下さい。

そしてこのブートの最大の聴き処は、やはりDisc-5に収録されている1989年エイジアの
非常に貴重なライブ音源でしょう。
音源の元になっているのは、恐らく1990年頃にリリースされた同内容のブートビデオだと思われ、
僕は御茶ノ水のレコード屋でそのビデオを一度だけ手に取って内容を確認した事があるのですが、
その時はお金が足りなくて買えなかった為に、今では非常に後悔しています。
・・・という訳で、このDisc 5はその存在自体が非常にレアなブートビデオからの音源ですが、
その内容がまた凄く、この日はステージに女性コーラス隊が居て、
全編通してほぼ全ての曲に彼女達の生コーラスが加わった演奏をエイジアが繰り広げています。
これだけでも最高に刺激的な演奏ですが、ここで演奏している曲がまた素晴らしいのです。

なんと「Kari Anne」「Too Late」「True Colors」という、エイジアのライブ史上でも恐らく
滅多に演奏される事の無かった3曲が収録されています。
特に「Too Late」と「True Colors」のライブ演奏はこの89年ならでは演奏で、大変レア。
「Kari Anne」については、90年〜91年4月までの解散までに何度か演奏されたらしい事は
判明していますが、ここで聴けるものは非常に感動的です。曲の出だしも女性コーラス隊と
ウェットンのユニゾンコーラスから始まるという面白いアレンジで、しかも最初から最後まで
かなりのアップテンポで演奏されており、素晴らしくスリリングな演奏であると共に、
圧倒的な説得力も兼ね備えた名演奏となっています。
そしてサードアルバムからの曲「Too Late」。この曲を演奏していた事自体かなりの驚きですが、
アルバムセールス不振の為に実現しなかった、幻の「85年・ASTRAツアー」の片鱗を見ている様で、
ファンには嬉しくてたまらない1曲ではないでしょうか。素晴らしく感動的な演奏で、
女性コーラスが入る曲中盤の「♪Too Late・・・Too Late, It's Too Late♪」という部分などは、
あまりの妖艶さに鳥肌が立ちます。
またこの「Too Late」ですが、プロモ盤のみですが12インチシングルが存在します。
これはサードアルバム『ASTRA』からの最後のシングルだったのですが、これは言い換えると
85年当時のエイジアは、この「Too Late」を売り出そうとしていた頃に空中分解したと言える訳で、
それから4年経ったこの89年のセットリストを見ると、この「Too Late」を筆頭に「Go」、
「Voice Of America」と、『ASTRA』からの曲が3曲もあるので、これはやはり、
実現出来なかった『85年・ASTRAツアー』を、再結成エイジアで部分的にでもセットに
組み入れようという意図があったのかもしれません。

更に、セカンドアルバムからの曲「True Colors」。
スタジオテイクと殆ど変わりませんが、女性コーラス隊が居る事もあって
曲の魅力を更に展開させた様な、非常にドラマチックな展開を愉しませてくれます。
またこの他の特筆点としては、「Open Your Eyes」の出だしや曲中で、本来ならキーボードの
シンセボイスが「♪O〜PEN YOUR EYES・・・♪」と奏でる部分がありますが、この日はこの部分を
女性コーラス隊が生で歌っている事です。これがかなり艶っぽくて良いです。
そしてこの「Open Your Eyes」と、次の「The Smile Has Left Your Eyes」が
「2曲繋がって演奏されている」という面白い展開があり、そしてこの「The Smile Has Left Your Eyes」が
これまでのどの時期のエイジアの演奏にも属さない、この時期のみのオリジナルな演奏
(静かなシンセ音にギターのアルペジオが乗り、それを女性コーラスが彩るという、
非常に神秘的な演奏)で繰り広げられていて絶品です。

それだけではありません (1)。
この時期のエイジアは、ウェットン・パーマーの2人だけしか正式メンバーが
決定しておらず、まだパットが参加していない時のライブです。
(パット・スロールの正式加入は、1990年5月初旬)
つまりここで聴けるギタープレイは、スタジオミュージシャンのセッションマンなのです。
この、パットが加入する前のエイジアには、『Dann』『Alan』『Kevin』等、数人の
セッション・ギタリストが在籍していた事が分かっています。
ここで聴けるギタープレイが、このうち誰なのかは分かりませんが、
パットやマンディの様になかなかヘヴィな音を発している事からも、当時のウェットンが求めていた
「スティーブ・ハウとは違ったエイジアのギターサウンド」が、既に方向性としては固まっており、
90年エイジアのプロトタイプとして聴けるという点で、これはかなり興味深いと思います。

もうひとつ。
以前僕は89年エイジアのローディをしていたGLENN WILLIAMS氏に
89年エイジアに係わったギタリストについて個人的に質問をする機会に恵まれました。
以下に、彼からのメールによる回答を訳し、原文と共に載せておきます。

*********************************************************************************

> Hello.
>
> In Aug/Sept 1989, the guitarist in ASIA was a guy called Alan Darby. He had
> previously worked with Mark Knofler on the 'Local Hero' soundtrack. I do
> remember there was talk of a guitarist called Danny, who was unavailable for
> the tour and therefore Alan was recruited at the last minute. Danny who, I
> cannot recall.
> Before all of this, when I was in Denmark recording the Phenomina III album,
> Scott Gorham and Mike Sturgis both told me that they were in ASIA together
> with John Wetton and Geoff Downes. However after one year of being in the
> band they had only done two rehearsals and it fell apart. They then formed
> a band called Western Front with Laurie Wiseman from Wishbone Ash. The time
> of all this escapes me but we will talk on Friday and try to work out when
> it was.
> Scott and Mike , along with Lief Johansen (who also recorded the Phenomina
> III album and was in Western Front) then went on to form 21 Guns.
>
> Glenn

               ---------以下、対訳----------


89年の8、9月、Alan Darbyと呼ばれるギタリストが在籍してました。
彼は'Local Hero' サントラでMark Knoflerと仕事をしてた過去があります。
たしかにDannyと呼ばれるギタリストもいたけど、ツアーには出れなかったので
Alanが採用されました。Alanの本名は思い出せません。

その前はPhenomina III album作成のため、僕はDenmarkにいて、そこで
Scott Gorham(ex-Thin Lizzy), Mike SturgisがJohn Wetton とGeoff Downesと一緒に
ASIAだったと本人達から聞きました。
しかしながら、1年のうち、2回しかリハをやらずそのユニットは流れてしまいました。
そして、彼らはWishbone AshのLaurie Wisemanとで、Western Frontというバンドを組みました。
この時期の詳しいことは、また金曜に来店した時、話します。
上記Scott, Mike , Lief Johanseは、その後 21Gunsを結成します。

********************************************************************************

・・・という訳ですが、どうでしょうか。
特にあのスコット・ゴーハムとマイケル・スターギスが、この当時のエイジアに
僅かながらも参加していたというのは驚愕すべき事実ですよね。
1・2回だけのリハだったとはいえ、ジャムった音は残ってないのかなぁ。
是非とも聴いてみたい・・・(^_^;)

それだけではありません (2)。
Disc 6には、色いろなデモテイクが収録されているのですが、
ここで聴ける「Here Comes The Feeling」と「Only Time Will Tell」は、
1981年のエイジア結成前夜の頃(81年5月頃との説がある)のデモテイクで、
あのトレヴァー・ラビンが演奏に加わっています。演奏も極めて興味深いものがあり、
ここでの「Only Time Will Tell」は、まだ構想が完全に固まっていないプロトタイプ的な音源で、
スタジオテイクとはかなりアレンジが違っています。「Here Comes The Feeling」にしても、
トレヴァーが加わっている事によって演奏に不思議な重厚感があり、非常に興味深いテイクです。
ところで、この音源の出処ですが、海外の有名なエイジアマニアのサイトに、
ごく僅かな期間だけ設置されていたMP3音源で、それがインターネットに乗せて
世界中に配信されてしまったという、いわくつきの音源です。
現在そのウェブ・サイトにこの音源はありませんが、一体どういう経路で
このホームページの主はこんな貴重な音源を入手したのでしょうかねぇ?(@-_-)y-~~

・・・という訳で、その他にも色いろと貴重な音源がギッシリと詰まっているブートです。
クレジットの繊細は、左の画像をクリックしてウラジャケを御覧になって下さい。
拡大画像で取り込んであるので、Disc 1〜Disc 6までの全クレジットを見る事が
出来ます。

また、このブートはこれ程凄い貴重音源を満載しているにもかかわらず、
たった150部のみの超希少プレスです。
流通経路も限られていた様で、特定のブート店でしか販売しなかったという事もあり、
発売当初から入手が難しかったアイテムでした。
勿論、リリース直後に速攻で完売してしまい、当然ですが現在は廃盤となっています。

6枚組CDR。
『PRAYIN' 4 A MIRACLE』 / (Asia Project Records Limited, APRL-891112)
Live Date :
Disc1−2(8) : Garage, Rastatt, GERMANY. / 1989.Nov.12
Disc2−(9) : Bonus Track, "Prayin' 4 A Miracle (Edit / Remix)"

上段で紹介している『THE CIRCLE OF TREASURES : 6CD BOX SET』のDisc5〜Disc6−(4)と同内容。
使用しているマスターも全く同じものから落とされています。
本作を限定販売していた店舗のインフォメーションでは、
"『THE CIRCLE OF TREASURES : 6CD BOX SET』よりも格段に音質良好です!"
・・・と書かれていましたが、音質はハッキリ言って殆ど同じです。(-_-;)
あえて言うなら、本作の方が若干だけ録音入力レベルが高いかな、という程度。
音の抜けもキレも、どちらもほぼ同程度です。

まぁ、『THE CIRCLE OF TREASURES : 6CD BOX SET』はとうの昔に廃盤なので、
この日の音源だけを単体で買えるのは、『THE CIRCLE OF TREASURES : 6CD BOX SET』を
買い逃してしまった人には嬉しいリリースだったと思います。
セットリストも未編集で、この日プレイした通りに収録されているのも嬉しいところですが、
残念ながら本作も『THE CIRCLE OF TREASURES : 6CD BOX SET』と同様に、
セット後半の曲順表記が間違っています。
正しい曲順表記は以下の通り。
----------------------------
(Disc−2)
5.Time Again
6.The Heat Goes On
7.Heat Of The Moment
8.Gimme Some Lovin'
----------------------------

・・・ところで、
本作の曲目の表記の仕方、珍しい写真やアイテム画像、
普通ではなかなか手に入らない筈のレア音源の数々等、
本作を含めたこのレーベルのシリーズ音源を制作した人が誰なのか
僕にはほぼ分かっているのですが、まぁその人はこの他にもレア音源を
多々所持しているので、今後のリリースもちょっと愉しみではあります。
・・・が、小遣い稼ぎでこーゆー流出をするのはどうかと思います。(-_-;)

まぁそれはさておき、やっぱりこの日は「Kari-Anne」でしょうねぇ。
この演奏、本当に素晴らしいです。また、Disc-2の最後にボーナスで収録
されている「Prayin' 4 A Miracle」はエディット/リミックス・バージョン。
これかなりレアな音源で、恐らくCD番号『Geffen Pro CD 4181』という
プライヴェート配布されたディスクか、もしくはプレス用に配布した
プロモ盤に収録されているやつから収録してると思うんですが、
僕は『Geffen Pro CD 4181』ディスクを持っていないので
原盤収録音との比較も出来ず、詳細不明。残念なり・・。(T_T)

音質89点−α。
基本的に音質そのもの優秀なのですが、残念ながら最後まで
右チャンネルが僅かにオフ気味で収録されています。
(※但し、ボーナストラックの「Prayin' 4 A Miracle (Edit / Remix) 」は
良好な音質で収録されています。なので、この1曲だけは99点)
2CDR。
西新宿一店舗のみでの限定販売・限定50枚のみのリリース。
『AREASIA』 / (S.D.R. RECORDS, SDR CD 353/54)
Live Date : Garage, Rastatt, GERMANY. / 1989.Nov.12

2008年にリリースされたタイトル。
音源そのものは上段で紹介している『THE CIRCLE OF TREASURES : 6CD BOX SET』のDisc5〜Disc6−(4)、
及び『PRAYIN' 4 A MIRACLE (Asia Project Records Limited, APRL-891112)』と同内容で
使用されているマスターも同じなのですが、本作には少々問題が。

既発の上記2タイトルは演奏開始直前の、アンプの電源が入る雑音などから収録された完全版ですが、
本作は冒頭「Wildest Dreams」のしょっぱなから15秒ほど失われた状態の、
最低のカットインからCDが始まります。しかもその「Wildest Dreams」は
1分09付近で突然カットが入り、曲の途中から再び強引に繋いでゆくという最悪の編集。(+_+)
音質は中盤「Only Time Will Tell」付近から音の解像度・鮮明度が多少良くなるけれど、
ジェネレーションを重ねたマスターテープを使用している為に、既発2タイトルほどは良くはなりません。

確かに既発の上記2タイトルは2008年現在入手が困難なので、ここにきて
新タイトルでリリースしたくなるのも分かりますが、それならもっと音質が向上しているとか、
驚きのボーナストラックが付いているとか、何かサプライズなアプローチがあれば良いのに、
音質は既発2タイトルに劣るうえカットと編集までされているのではお話になりません。(+_+)
しかも、これで5800円(2008年11月現在・西新宿のショップ数店舗で確認)は酷過ぎるよ。
お金返してください。(T_T)
良い音源である事は確かなので、もっとちゃんとした形で再発されれば良いのに。(+_+)

2CDR。
という訳で、上記の様な理由でハードコア・コレクター向けのタイトルです。
コレに5800円出すと後悔するよー。(+_+)
『LONGHORN, STUTTGART, GERMANY』 / (CAN-CAN-BOTTLE, No.8)
Live Date : Longhorn, Stuttgart, GERMANY. / 1989. Nov. 15

缶屋のシーバさんと共同のプライヴェート・ブートです。

この日は最高です。(^_^)
テープトレーダーのリストでは、かなり昔からあった有名な音源ですが、
とにかく全編に渡って演奏が素晴らしく、強烈で凄まじいプレイが至るところ炸裂しています。
セットリストも固定されている様で、「Kari Anne」「Too Late」「True Colors」も
ちゃんと演奏されています。
個人的に、手持ちの89年音源中でも1、2位の音源です。(^_^)

2CDR。
『HEAT OF THE MOMENT '89』 / (Asia Project Records Limited, APRL-891126)
Live Date : Wartesaal, Koln, GERMANY. / 1989. Nov. 26

ショウのオープニング・アナウンスから収録されている秀逸な音源。
マスター音源の劣化のせいでピッチが不正確(やや速め)な箇所も散見
されるのですが、その一方で正常に聞こえるシーンも結構あるので、
この日は実際の演奏も結構速めだったんじゃないかと思います。

「Don't Cry」は"♪ Don't Cry!"というサビのコーラスでスージーとゾーイの
コーラスが音に華を添えており、スピーディにアレンジされた曲想が素晴らしく
映えています。「Voice Of America」ではキーボードの音色が終始魅惑的に鳴っており、
多くのオーディエンスが冒頭から一緒に歌っているのも感動的。セールス的には不調
だった『ASTRA』からの曲でこれだけ盛り上がっているのは非常に印象に残りますねぇ。
このシーンはこの音源の大きな聴き処じゃないかな。終曲部のキーボードも素晴らしいです。

「Only Time Will Tell」も冒頭からオーディエンスの大合唱。
「O〜nly Time Will Tell〜♪」というサビの部分でも美しいコーラスを聴く事が
出来るのですが、この日は終曲部でも大変印象的な歌声を披露しています。
「Kari−Anne」は若干ピッチ狂ってる感じがしますが、実際の演奏でもこの日は
かなりドライヴ感に溢れるスピーディな演奏だったのでしょう。ギターもホルガー
独特の音色で味付けされてはいますが、こうした速いチューンの曲では彼の様な
ヘヴィなギター音の方が良く合っていますよね。たぶんハウではこの曲の良さは
出せないんじゃないかな。そして「Too Late」もこの日はやや速めの演奏となっており、
ここでもバックで『Too Late♪』と、女性コーラスの素晴らしいテイストが輝いてます。
特に1分55秒付近から始まる「♪ Too Late Too Late, It's Too Late...」では
まずスージーとゾーイが「♪ ..Too Late, Too Late...」と歌い、それを受ける
ウエットンが「♪ It's Too Late...」と返しており、この箇所は何度聞いても秀逸。
人声の魅力とメロディの良さを実感出来る好アレンジだと思います。

「True Colors」はサビの箇所で部分的にスージーとゾーイがソロを取る部分もある
絶品のパフォーマンス。演奏自体も大変ドラマティックで深みがあり、スタジオ版より
数倍素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれます。突然スピーディになる2分58秒付近
からの展開も鮮烈で、楽曲の眠っていた運動性が一気に開花してゆく様子など身悶え
してしまいますねぇ。そしてこの日もメドレーで披露される、次の
「Open Your Eyes〜インストチューン〜The Smile Has Left Your Eyes」は極上の最強の・・
・・もう素晴らし過ぎて何と形容して良いのか分からないよ。(T_T)そもそもこのメドレーの
構成自体が素晴らしいのですが、それを際立たせているのがやはり女性コーラスで、
彼女達の声の支えが無ければこれほどの音のマジックは決して産まれていなかったと思います。
インスト部分でアコースティック・ギターから導かれてゆくこの時期の
「The Smile Has Left Your Eyes」は、まさに天上の響きそのものでしょう。
「The Heat Goes On」も疾走感のある見事な演奏ですが、ここでは3分09秒付近から
突入するジョン・ヤングの鍵盤ワークがもうメチャクチャかっこいい。(T_T)
その疾走感を内包したままドラムソロまで繋げている点もよく練られた構成だなぁと
つくづく思います。そしてこのドラムソロがまたパワフルで最高なんですね。
バスドラとタムの中〜重低音+スネアの軽快な音のバランスが絶妙で、その中を
ストロークの速いオカズが駆け巡る様子は絶品です。

そして最後にこの日の「Time Again」について触れなくてはならないのだけど、
これはもうエイジア史上最強のテイクと言っても過言ではない絶品パフォーマンス。
アンサンブル、表現力、力強さ、疾走感、そのどれを取っても89年に披露した
この曲の演奏では間違いなくベスト1でしょう。そして間違いなくこの日のハイライト。
続く「Heat Of The Moment」も女性コーラスの入る素晴らしい演奏ですが、
この最強の「Time Again」の前には単なるオマケでございます。

全体的な感想なんですが、この日はやっぱりちょっと特別な雰囲気があると思います。
後にウエットンは本公演を含む89年秋の短いドイツ公演の手応えと反応がキッカケと
なって再結成に前向きになったと語っていましたが、本作はそれがとても良く伝わってくる
音源だと思います。こんなにオーディエンスの反応が良ければ、そりゃあ失っていた自信も
取り戻すし前向きにもなるよね。90年の本格的な再結成に向けての兆しがひしひしと
伝わってくる素晴らしい音源です。

音質80点。
2CDR。
西新宿一店舗のみの限定販売・限定30枚のみのリリース。
『RECORDED LIVE IN KOLN GERMANY 1989.11.26』 / (CURRY CLUB, 2001-001)
Live Date : Wartesaal, Koln, GERMANY. / 1989. Nov. 26

缶屋のシーバさんから戴いた自作のプライヴェート・ブートレッグCD。
上段↑で紹介している『HEAT OF THE MOMENT '89』と同内容で、
使用しているマスターも全く同じ。但し、音質は本作の方が劣ってます。

でも、唯一良い点として挙げられるのは、ピッチはこちらの方が
正常値に近いという点です。しかしそれでも演奏音は速めに印象があるので、
この日はやはり全体的にスピーディな演奏だったのだと思います。

音質76点。
2CDR。
『MUNSTER GIG IN GERMANY』 / (ROYCD-19891127)
Live Date : Jovel Music, Munster, GERMANY. / 1989. Nov. 27

ROY肥後さんから戴いた自作のプライヴェート・ブートレッグCD。

冒頭「Wildest Dreams」からグルーヴ感溢れる絶好調のプレイをしていますが、
やはりホルガー君が極めてユニークな音を出しているのが印象的です。前任の
アラン・ダービーとも、後任の正式メンバーとなるパット・スロールとも違う
彼独特の音色がこの曲だけでなく、他の全ての曲にこの時期独特のフレーバーを
与えていると思います。「Sole Survivor」では、スージーとゾーイの女性コーラスが
音に華を添えて素晴らしいものにしていますが、カールのドラミング(特に後半)も
ドラマティックで良いです。

そして面白いのは、この日からセットを変えている点です。
これまでは本編最後に披露していた「Time Again」をこの3曲目に持ってきて
セット全体の活性化を図っており、これが功を奏したのか素晴らしいテンションを
保ったままショウが続いてゆきます。その高いテンションでプレイが続いた為か、
「Don't Cry」では曲の締めのタイミングを外してしまっていますが、一息ついて続く
「Voice Of America」は絶品で、和音表現に大変深みがある熱演を披露しています。
またここでの「Kari−Anne」もスピーディな展開で曲が進みますが、この音源では
ウエットンのベースラインが目立っていて、かなりカッコいいそのベースラインに
演奏中ずっと耳が奪われてしまいます。(^_^;)

当時新曲としてMCで告げている「Prayin' 4 A Miracle」はこの日とてもピースフル。
ソフトなタッチでありながらもこの曲が持っている内なる炎の様なものは前面に
出していて、なかなか聴き応えのあるテイクになっています。
「True Colors」はジョン・ヤングのキーボードが斬新かつ印象的なテイク。もちろん
スージーとゾーイのコーラスも非常に感動的なパフォーマンスで曲を後押ししていて、
この日も前日同様にサビの部分で彼女達がソロを取っています。
またこの日の「The Smile Has Left Your Eyes」も感動的。曲が始まる前の
ジョン・ヤングとウエットンのインストパートもかなり秀逸で、思わず聴き惚れているうちに
曲がスタート。スージーとゾーイのコーラスが更に高い次元へと曲を盛り立てていて、
凶悪なまでに純粋無垢な、天上の音楽を紡いでいます。

そしてセットを変えて「Time Again」の代わりに本編ラストを飾っているのはなんと「Go」。
かなり意外なセット位置ですが、実はコーダの音を変えて演奏を締め括るという
大変ニクイ技を使っていて、これが効果絶大。聴き終えてみるとかなり良い余韻を残して
ショウが終わることに気付かされます。そんな素晴らしい余韻を残したまま始まるアンコールは
勿論「Heat Of The Moment」ですが、途中でフェイド・アウト。
演奏内容が良いだけにこれは痛い・・・(T_T)

しかしまぁ、全体的な様子はこれで充分に分かりますし、セットを変えて挑んだ
ツアー終盤の様子が生々しく収録された好音源だと思います。

音質74点。
2CDR。
1990年 - "THEN AND NOW" TOUR
『ASIA NOW』 / (AS9006)
Live Date : Central Studios"8", Nottingham,U.K / 1990. June. 23

オフィシャルビデオ『ANDROMEDA』をそのまま落としただけのブート。
1989年夏以降の再結成間もない頃は1st、2nd、3rdだけから
選曲されていたのに対し、1990年6月初旬の『エイジア再結成・公式発表後』の
ステージからは、それらに加えて「Days Like These」等の新曲も加えた
新しいセットリストに変化しています。
このステージは、そうした公式発表後の新しいセットになって間もない頃の演奏です。

また、この90年頃のダウンズのキーボードセットですが、89年のブートビデオの映像や、
このオフィシャルビデオ『ANDROMEDA』の映像から判断して、大体次のような
セッティングになっていると思われます。

(1)Mini Moog(2)Korg M1(3)Fairlight CMIKX(4)Korg Poly-800(5)Prophet-5
(6)Roland D-50(7)Yamaha CP-70(8)Elka Synthetics(9)Korg RK-100

一番よく使用しているのが、(8)のElka Synthetics。
殆ど全ての曲で使用している90年エイジアのメイン・シンセでした。
面白いのは、82年〜83年までずっとツインで使用していた(1)のMini Moogを、
シングルの単体で使用している事です。
全体を見ても、初期のアナログ機が殆ど無くなり、特に初期エイジアでは
多様されていた、一連のハモンド・シリーズが全く無くなっているのが分かりますよね。
しかし、そんな中でも(5)のProphet-5を根強く置いているところは、
どこかこだわりがあるのかも知れません。
『ASIA IN WEST J』 / (Platinum & Gold, PG-980726, PG-90924)
Live Date : Alkaick Hall, Amagasaki, JAPAN. / 1990. Sep. 24

1990年再結成エイジアの日本ツアー初日の音源。
ジョン・ウェットンがエイジアとして日本で姿を見せた初のステージです。
90年エイジアの特徴とも言うべき、まるでスラッシュ・メタルの様に重たく、
疾走感のある演奏がCD全編に繰り広げられています。
その為か、冒頭の「Wildest Dreams」が始まると、会場は異様なまでの
熱狂の渦に巻き込まれるのがビリビリと伝わってきます。
やはり1983年12月の事がある為に、ウェットンの居るエイジアというのは
日本のファンにとって本当に特別な意味を持っているんですよね。
そしてその音の熱狂は続く「Sole Survivor」「Don't Cry」「Time Again」にも
伝播し、パンチのある迫力満点の演奏が続いてゆきます。
また「The Smile Has Left Your Eyes」が、1982年のヨーロッパツアー以来、
8年振りに2部構成で演奏されているのも特徴ですよね。
勿論、日本のファンはこの構成でこの曲に接するのも初めてだった訳で、
改めて初期エイジアの曲構成の巧みさに舌を巻いたものでした。

そして「Go」が始まると、そこにはセールス不調で出来なかった85年の
ASTRAツアーが黄泉の世界から蘇り、マンディと音質の似たパットのプレイが
それを一層と盛り上げます。また、同じく蘇ったASTRAツアーと言えば、
やはり「Voice Of America」でしょう。牧歌的な、そして素朴なメロディーの
この歌は、ここでは非常に神秘的な輝きを放って演奏されており、
一聴の価値大アリです。絶品。
そして「Heat Of The Moment」では、やはりこの曲をウェットンの居る
エイジアで聴けたという感動が、会場全体を熱く包み込んでいるのが
如実に伝わってくると思います。

一公演完全収録で、音質もオーディエンスながら非常に良好です。
ファンなら必携の一枚である事は間違い無いでしょう。
非常に愉しめる音源です。
2枚組CDR。
『DREAMS FOREVER』 / (Ayanami−211)
Live Date : Alkaick Hall, Amagasaki, JAPAN. / 1990. Sep. 24

上段で紹介している『ASIA IN WEST J』と同内容。
使用しているマスターも全く同一のものですが、
本作は若干のピッチ補正とイコライジング調整が施されており、
確かに聴き易い音ではある反面、低音のパンチが若干弱くも感じます。
なので、音質にマスターテープ通りの生々しいワイルドさを求めるなら『ASIA IN WEST J』、
きちんと加工された耳に優しい音質で聴きたいなら本作、という事になるかと思います。
まぁこのへんは個人で好みの分かれるところでしょう。(^_^;)

尚、オマケで付いてる音源は他のブートでも聴けるものですが、
音質はここに収められているものが実は一番良好です。
『REAL DRAGON LANDED IN TOKYO 1990』 / (ROYCD-19900925)
Live Date : GOTANDA, Kan-i Hoken Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Sep. 25

ROY肥後さんに御提供戴いた音源。
五反田・簡易保険ホールでのライブが完全収録されているのですが、
これがもう最高!の一言です。素晴らしい!!
90年の来日公演では、まだ神奈川県民ホールの音源を聴いた事がないものの、
恐らくこの9月25日の演奏が90年の来日公演ではベストパフォーマンスと言っても
過言ではないと思います。

オープニングはいつも通りにジャン・シベリウス作曲の交響詩「フィンランディア」で
おごそかに始まりますが、「Wildest Dreams」が始まるといきなり興奮の坩堝で、
もう観客は熱狂の渦・渦・渦。
オーディエンスとアーティストがこれほどまでに一体となったステージも
珍しいと思うのですが、これが最後の「Open Your Eyes」まで加熱する一方なのですから、
聴いていて鳥肌が立ちっぱなしになります。

音源の特筆点としては、全編を通してウェットンのベースラインが非常に良く録れていて、
他の日と比べてかなり躍動感を感じさせてくれる音で収録されています。
また、ダウンズのソロパートでは他の公演日とはちょっと違ったアレンジで
基本メロディを弾いているのも印象的でした。
更に、ここで聴ける「Time Again」はまさにベストテイクで、
強烈にカッコイイ演奏をしています。パットの重たいギターが鋭利な剃刀の様に
曲の要所でズバズバと切り込んでくるのですが、これを聴くと何故彼が
90年エイジアに迎えられたのかという理由が分かる様な気がします。
また、この曲はそんなパットのギター以上にウェットンが熱唱をしていて、
そのアンサンブルは聴いていて震えが止まらないほどの抑揚感を感じさせてくれます。
オーディエンスが盛り上げると、アーティストはそれを敏感に感じて
より素晴らしい演奏をするという良い見本かもしれません。

絶品の演奏はまだ続きます。
次の「Only Time Will Tell」も実に素晴らしい演奏で、
これも間違いなく来日公演中のこの曲のベストパフォーマンスでしょう。
他の公演日と違い、ダウンズの低音が利いたストリングス音がこの曲に付加されているのも
一風変わった印象を与えているのですが、これが非常に良いアクセントとなっていて、
何故他の日でもこうしなかったのかと不思議に感じました。
また、ここでの「The Smile Has Left Your Eyes」ですが、
どうした訳か第一部と第二部の繋ぎに10秒ほどの間を取っていて、
ちょっと意外な印象がありました。そのちょっとした間を置いて演奏される
第二部のパフォーマンスは、個人的に『ライブ・モスクワ/09-XI-90』で聴ける
第二部の演奏に酷似しているなぁと感じました。
また「Go」の開始直前に、機材トラブルなのか、ちょっとした間がここでも開くのですが、
オーディエンスとカールがそこをちゃんと盛り上げて、
トラブルをユーモアに変えてしまう微笑ましい場面も聴く事が出来ます。
あははは。(^_^;)

実に素晴らしい音源なので、書こうと思えば幾らでも書けるのですが、
適当にしておかないとまた容量が重くなるのでこの辺りで止めにしておきます。(^_^;)
ただひとつだけ確実に断言出来る事は、これこそ90年ドラゴンの真の破壊力だという点です。
音質も大変良く、一公演完全収録の実に秀逸な音源です。

音質91点。
演奏100点+α・α・α...Excellent×Amazing!!!
2CDR。
『MAJESTIC NIGHT』 / (Windmill−003)
Live Date : Kenmin Hall, Kanagawa, JAPAN. / 1990. Sep. 26

ようやく登場した90年エイジアの新音源。
この9月26日の音源は、25日公演と同様にトレーダーリストでも
なかなかお目に掛からなかったレア音源のひとつだったので、
これは個人的に嬉しい一枚でした。

演奏は「Prayin' 4 A Miracle」や「Days Like These」など、当時の新曲として
演奏されたものについては音の表現に煌くような色彩感がありますが、
全体的に少しテンポが遅いというか、間延びしているというか、
曲のドライヴ感が若干損なわれた演奏をしているのが印象的です。
また、少し疑問を感じたのはこの日の「The Smile Has 〜」で、
ここではパート1とパート2の繋ぎという肝心な点を失敗しているのですが、
聴かせ処として何度もリハーサルを繰り返した筈のこのパートで
この様な大ポカをするのはちょっと不自然に感じますし、
その他の曲も他の公演日と比べて明らかにぎこちないパフォーマンスをしているので、
もしかしたらこの日はリハ不足に加えて何らかの機材トラブルを抱えて
いたのかもしれません。

とはいえ、この日のカールのドラミングは曲を実にドラマティックに盛り立てているし、
ウェットンの声もよく通っている(特にここでの「Time Again」は絶品!)ので、
何らかのトラブルを抱えながらもパフォーマンスとしての基本的な抑揚感を
きちんと感じさせる辺りは、さすがにベテラン揃いと言えるんじゃないでしょうか。

なお、本作はDisc1-(12)の2分23秒辺りでマスターテープのリバースによると思われる
カットがあり、Disc2-(1)1分56秒付近でも約1秒程度の音飛びがあります。
音質もそこそこ良いオーディエンス録音で収録されているので、
ブート慣れしている僕の耳には特に不満を感じませんでした。

2CDR。
『WILDEST DREAMS 1990』 / (Soundstyle Records Limited, SRL-900926)
Live Date :
Disc1−2(10) : Kenmin Hall, Kanagawa, JAPAN. / 1990. Sep. 26
Disc2−(11) : Bonus Track "Rock And Roll Dream (DEMO Version)"

上段で紹介している『MAJESTIC NIGHT』と同内容。
使用しているマスターも全く同じですが、音のキレと抜けが少しだけ良いぶん、
音質は本作の方が若干優れていると思います。

本作の目玉は、何といってもDisc2−(11)に収録されている、
「Rock And Roll Dream」のデモ・バージョンでしょう。
冒頭がほんの数秒切れてのカット・イン収録ですが、基本的にはヴォーカルが入っていない
カラオケの様な状態で収録されていて、バックのオーケストラのブラス音の重ね方が
アルバムテイクとは少しだけ違っています。
デモテイクらしい音質ではありますが、しかしながらこの曲の製作途中の様子を
窺い知る事が出来る大変興味深い音源だと思います。

2CDR。
西新宿一店舗限定販売・50枚のみの限定リリース。廃盤。
『28-IX-90』 / (HIGHLAND, HL375)
Live Date : NAKANO-Sun Plaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Sep. 28

これも1990年日本ツアー時の音源です。
他の1990年音源と比較すると分かりますが、この時の日本ツアーのセットリストは
固定されている様です。どの日も全く同じですが、逆に言うとそれだけ
このセットが90年エイジアを一番よくアピール出来るという自信の表れかも
しれませんよね。緩急のバランスの取れた、素晴らしいセットだと思います。

演奏を聴くと、まず気になるのが不完全収録であるという点でしょう。
冒頭からいきなり「Wildest Dreams」がカットされていて、2曲目の「Sole Survivor」
から収録されていますが、これもかなり曲の後半からの収録です。
しかしその後半部からの収録とはいえ、とても力強い演奏であるのが
ビリビリと伝わってきます。
「Voice Of America」は、上で紹介しているブート『ASIA IN WEST J』で聴ける尼崎のライブの
アレンジに似ていますが、日本公演で少しずつ表現を変えている様子が伺えます。
で、本来ならここから「Video Killed The Radio Star」に繋がるソロと
「Time Again」が収録されているのですが、まるまるカット。残念ですね・・・(^^;
で、続く「Prayin' 4 A Miracle」の後半部から再び収録されていて、この後からは
カット無く続きます。

「Only Time Will Tell」「Days Like These」では非常に素晴らしい演奏が
繰り広げられており、「The Heat Goes On」に関しては、激しいカールのドラミングが
会場を煽っている感じがして実にフレキシブルです。
そして「The Smile Has Left Your Eyes」は、他の90年日本ツアー音源と
比較しても、1部の"静"と2部の"動"が実にドラマティックに表現されている事にも注目したい処です。
そしてこのツアーお決まりのラストナンバー『Open Your Eyes』は涙モノ。
8分を越える演奏という事からも、それがどれだけ力強く、説得力を持った
演奏であるかがお分かり戴けると思います。
そしてそれだけに、冒頭のカットの嵐が実に残念な一枚です。

1CDプレス盤。
『イカ天の日』 / (CURRY CLUB# bonus item, CC-ikaten19900929)
Live Date : NAKANO-Sun Plaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Sep. 29

自作のプライヴェート・ブートです。
ジャケに凝ってみました。(^_^;)
音源のコピーはしませんので、ごめんなさい。
セットリストは他の日と同じですが、切れ味の良いド迫力のステージが
繰り広げられています。

この日は、このステージ終了後に、当時の人気番組だった
『イカすバンド天国(通称・イカ天)』に、エイジアはゲストで生出演しています。
また、次の日の30日はオフで、ライブはありませんでしたが、
東京・池袋のTOWER RECORDS池袋店で、エイジアのサイン会が行われました。
・・・行きたかったなぁ・・・。
(当時は電車賃すらままならなかったし、翌日(10月1日)のライブに行く為に
この日に散財する事も出来ず、結局僕は行きたくても行けませんでした。・・・泣)

2CDR・自家製盤。
『NAKANO-SUN PLAZA HALL, TOKYO, JAPAN. 09-29-1990』 / (CAN-CAN-BOTTLE, CCB-19900929)
Live Date : NAKANO-Sun Plaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Sep. 29

上の『イカ天の日』と同日別音源の、自作プライヴェート・ブートです。
別マスターから収録されているのですが、ベースラインが良い音で録れていて
なかなかの内容です。ただ、何故か1曲終わる毎に歓声がフェイド・アウトするのが
不思議なんですが・・・。(^_^;)
ただやはり、90年の日本公演はどれも素晴らしい演奏をしていますよね。

2CDR・自家製盤。
『NAKANO-SUN PLAZA HALL, TOKYO, JAPAN. 1990.9.28&29』 / (CURRY CLUB, CC-19900928-29)
Live Date : NAKANO-Sun Plaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Sep. 28
: NAKANO-Sun Plaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Sep. 29

自作のプライヴェート・ブートです。

28日と29日の中野サンプラザ両日をカップリングしてあります。
特筆点は28日の音源で、これは上記のブート『28-IX-90 (HIGHLAND, HL375)』の様に不完全ではなく、
カット無しの1公演完全収録である事です。
また29日も完全収録音源で、何と最後の場内アナウンスまで収録されています。
録音した人によると、どちらもマスターはDATで録音したらしいので、
音質は両公演とも非常に良く、素晴らしい興奮が詰まっています。
『DRAGON ATTACK』 / (Ayanami−001)
Live Date : Nakano-Sunplaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Sep. 29


オープニングS.Eが終わると、怒涛の如く押し寄せる「Wildest Dreams」の迫力に
冒頭からいきなり強烈なパンチを喰らいます。(^_^;)
「Sole Survivor」では、4人が渾然一体となって見事なまでのアンサンブルを披露し、
まさにドラゴンの、激しくうねる様な躍動感に満ち溢れています。またこの曲は、ダウンズの
キーボードがよく聞こえ、その切ないメロディーに酔い痴れることでしょう。
そして「Don't Cry」は、相変わらずこの時期独特のアップテンポな演奏(特に日本公演では他国
での演奏と比べてもそれが顕著に表れていた様に思います)が繰り広げられていて、
非常にドラマティックです。この、冒頭からグルーヴ感たっぷりの曲を3曲続けて
選曲する辺りや、緩急を意識したショウ全体の曲配置は、1982年のアメリカツアー中期頃の
セットリストに配分が似ていて面白いですよね。
荘大な「Voice of America」が始まると、会場は完全にエイジアの世界に飲み込まれます。
この曲はバラードながらも、不思議とパットの重たいギター音がよく似合って(オリジナルが
マンディという事もあるのだろうけど)いる様に思います。
また、曲途中の日本公演のみで聴けたキーボードフレーズにも注目したい処ですよね。
それを引き継ぐのがダウンズのデジタル・ジェンター漂うソロパートですが、
ここでCDクレジットに目をやると、8曲目に「Majesty」なる聞き慣れない曲名が
クレジットされている事に気が付きます。これは、ダウンズのソロアルバム
『THE NEW DANCE ORCHESTRA / THE LIGHT PROGRAM』に於ける、
1stパート「Symphonie Electronique」内の、6つの楽章に冠されたタイトルの中のひとつで、
日本公演ではよく聴けた展開のソロパートですが、部分的に似ている曲想はあるものの、
これはもう「殆ど原曲の面影の無い変奏曲」と言った方がいいかもしれないでしょうね。(^^;
ただ、チャーリー・オリンズなどと一緒にやった1988年のシンセサイザー・プロジェクト
「THE COLLECTOR」では、これと似たような展開の曲想を当時既にやっています。
アンコールは勿論、90年エイジアの特徴である『Open Your Eyes』ですが、
この激しい情熱溢れる演奏はどうでしょうか。
全編通してそうですが、この2曲はその中でも特に「90年エイジアだけが持ち得た力強さ」が
ある様に感じます。

一公演完全収録で、音質もオーディエンスながら非常に良好で、サウンドボート音源と
言ってもおかしく無い程の高音質です。そしてやはり、何と言っても演奏内容が良過ぎます。
また「The Heat Goes On」の2:53付近で音飛びがありますが、
これはAyanamiレーベルによると録音者が120分テープで録音していて、60分目で
リバースがかかった為の様です。よくある事ですよね。(^^;

何はともあれ、本作はエイジアファンなら必携の、そして今では数多くリリースされている
全てのエイジアのブートの中でも屈指の一枚です。
最近はブート氷河期というか、タイトル負けしたブートや安易なリリースが多いですが、
そんな中でもこの「Dragon Attack 1990」は、まさにタイトル通り
「痛烈なドラゴンの一撃」を喰らうこと間違い無し。素晴らしい音源です。

2CDR。

『DRAGON ATTACK 1990 : TAPE MASTER』 / (No Label / bonus item 2CDR)
Live Date : Nakano-Sunplaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990.Sep.29

上段で紹介している名盤『DRAGON ATTACK (Ayanami−001)』のアップデート盤。
本作は『DRAGON ATTACK (Ayanami−001)』に使用されたマスターテープからダイレクトに直落としされた盤で、
イコライジング処理を全くされていない為によりナチュラルで温もりのある音で聴けるのが
最大の特徴です。会場で実際に聴ける音により近い収録音といった方が分かり易いでしょうか。
どちらの音が好みかは聴く人によって違うと思いますが、元々の収録音が大変優れて
いるので個人的にはどちらのタイトルもそれぞれ別の魅力ある音として楽しめる
"双子タイトル"という感じでしょうか。(^^)

実は本盤は単体で販売されたものではなく、西新宿の某ブートレグCDショップで
他のCDタイトルを数点買うと無料ギフトアイテムとして付いてくるという
期間限定のボーナスディスク扱いでした。
(※だからレーベル表記無しでCD番号も無い)
配布されたのは確か2010年の秋頃で、用意された枚数は約30枚程度だったと
記憶していますが、後日ショップ関係者の方にお話を伺ったところ配布開始した
その週末の二日間であっという間に無くなったそうです。
無料ギフトアイテムではありましたがジャケのデザインもよく見ると
オリジナルのAyanami−001盤で使用したものとは若干変えてあり、
ディスク盤のレーベル面もこのディスクの為のオリジナルデザインになっていたりと、
なかなか好感の持てる仕上がりになっています。

また本作は音質以外にもうひとつ『DRAGON ATTACK (Ayanami−001)』と違って
いる点がありまして、それは全体の収録時間の長さなんですね。
とは言ってもそれは最初と最後のみでして、厳密に言うと収録テープが
廻り始めた瞬間と終演後に録音スイッチを切るまでの長さが違っているわけです。
つまり既発盤と比べて本作はDisc1-(1)のオープニング収録時間が
約3秒間長く、Disc2-(6)の収録時間が秒20秒ほど長く収録されています。
更に細かいところを言えばそれぞれのトラックごとに新しくチャプターマークが
付け直されており(つまりトラックタイムが両タイトルで微妙に異なっている)、
Disc1からDisc2へ移る流れ(Disc1-(13)がフェイドアウトされるまでの時間)も
本作の方が若干長めで自然な仕上がりです。

まぁそれだけの差と言ってしまえばそれだけですし、かなりマニアックな一枚で
ある事も確かなのですが、ファンとしては1秒でも長くその会場の雰囲気が音で追体験
出来るのは嬉しいものです。優れた収録音と優れた演奏はどう音をいじられても
タフで素晴らしい音楽を奏でてくれるという良いディスクだと思います。

尚、本作にはもともとウラジャケが存在していません。
クレジット等は通常の表ジャケの裏側に記載されています。
詳細は←のサムネイルをクリックしてディスク全体の画像を参照のこと。

2CDR・期間限定ボーナスギフトディスク
『THANK YOU, JOHN KALODNER.』 / (CAN-CAN-BOTTLE, CCB-19901002)
Live Date : Nakano-Sunplaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Oct. 2

自作のプライヴェート・ブートです。
表ジャケは、1999年4月のエイジア・リユニオン結成発表時のショット。
アルバム『THEN & NOW』がゴールドディスクを獲得したというものですが、
この満面の笑みの奥には、やはりあの当時のJohn Kalodnerへの感謝の気持ちが
現れている様に思えたので使ってみました。

演奏内容は、かなり素晴らしいです。
特にこの10月2日は日本公演最終日でもあり、
1990年日本公演全ステージの中で一番演奏時間が長いのが特徴です。
基本セットリストは同じですが、それだけ日本のファンとの最後の時間を
堪能している様にも感じられますよね。(^_^)
『FLY AWAY』 / (Sirene−130)
Live Date :
Disc−1〜2 : GOTANDA, Kan-i Hoken Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Sep. 25
Disc−3 : NAKANO-Sun Plaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Sep. 29
Disc−4〜5 : NAKANO-Sun Plaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Oct. 02

90年来日時の9月25日、29日、10月2日の3公演分が収録された、
ボリュームたっぷりの5枚組CD。2006年4月15日現在、
3公演全てがブート初登場の音源です。

Disc1〜2に収録されている9月25日の音源は、
上記のプライヴェート・ブート『REAL DRAGON LANDED IN TOKYO 1990』と同内容ですが、
マスターが違っています。音質は『REAL DRAGON LANDED IN TOKYO 1990』の方が良いですが、
本作もなかなか良いマスター音源を使用しており、音質は良好の部類に入ると思います。
また、録音者の録音位置が違うので2つの音源を聴き比べると
中野サンプラザのあの空間がリアルに判って楽しいです。(^_^;)

『REAL DRAGON LANDED IN TOKYO 1990』の項でも書いた通り、
この日は正直なところどの曲を取ってもベストテイク。
ロンドン、モスクワ、日本、そしてドイツを含め、
90年に行われたエイジアのライブではこの日が間違いなく
最高のパフォーマンスだと思います。

Disc−3は、上記の手持ちプライヴェート・ブート音源『19900929b』と
同一のマスターが使用されていますが、何故か2曲(ダウンズのソロと、
Heat Of The Moment)が削除されており、しかもセット中間部曲順が
ゴッソリと入れ替えられており、さらには音質も『19900929b』より悪いです。
僕が『19900929b』をとある方からダビングして戴いたのは
6〜7年ぐらい前でしたが、この間にもこの音源が世界中のテーパー間で出回っている間に
この2曲が誰かに意図的にカットされ、曲順を編集されてしまい、
それをメーカーがマスター音源として使用した為にこの様な形で
リリースされてしまったのだと思います。

という訳で、音源としては、これまた手持ちで別マスターの『19900928-29』の
29日公演の方が遥かにクリアな音質で良いのですし、未収録の箇所や
曲順の入れ替え編集もそのまま収録されてしまっている点が残念ではありますが、
それでもこの日の大体の様子はこれでよく掴めますし、
ツアー後半の元気なエイジアの演奏が楽しめる音源だと思います。

Disc4〜5に収録されている、日本公演最終日10月2日もブート初登場。
僕の手持ちの同日音源『THANK YOU, JOHN KALODNER.』とは別マスターの音源で、
これもなかなか音質が良いマスターを使用しています。
来日最終公演だけあってかなり腰の据わった演奏をしているのですが、
個人的に一番情感があって素晴らしく感じるのは、Disc1−6のダウンズのソロパート。
この最終日は90年日本公演で唯一、ダウンズのキーボード・シンセが
一風変わったアプローチで音を出しており(「The Heat Goes On」や「Days Like These」でそれが顕著)、
自分のソロタイムでも他日とは違った表現でアピールしているのが興味深いところです。

Disc5−2「The Heat Goes On」の1分36秒付近で別のマスター音源(同一の録音者が
テープチェンジして録音した物なのか、全く別のマスターを使用しているのか、詳細は不明)に
切り替わっていて、音質はその部分から多少クリアになる印象がありますが、
それほどスムーズに繋いだ編集ではないので多少違和感は感じるかもしれないです。

5CDR。
50セットのみの限定発売盤でした。
ちなみに、←に画像を載せた僕のはbeatleg編集部から回送されてきたサンプル盤なので
ナンバリングは入っていません。(^_^;)
『ULTIMATE FLYING』 / (Windmill−026)
Live Date :
Disc−1〜2 : GOTANDA, Kan-i Hoken Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Sep. 25
Disc−3 : NAKANO-Sun Plaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Sep. 29
Disc−4〜5 : NAKANO-Sun Plaza Hall, Tokyo, JAPAN. / 1990. Oct. 02

上段で載せた『FLY AWAY (Sirene-130)』の完全版。
曲順がめちゃくちゃに入れ替えられていた9月29日公演は、音質に優れた別マスターを使用しており、
まさに完全版と呼ぶに相応しい内容になっているのが特徴です。
完全な形で復元された29日の音源は、日本のファンとバンドがひとつになった
実に温かみのある内容だった事がよく伝わってくる公演で、どの曲もオーディエンスとの
キャッチボールがとてもレスポンス良く、場の空気が熱気帯びていて、演奏もそれに大きく
比例する様に見事なものになっているのが分かります。
特に終盤を飾るDisc4−(2)と(7)では、パットのギターの伸びがとても気持ち良く、
この編成でのエイジア・サウンドをより魅力的にしていると思います。

25日、29日、02日とも、全て音質極上のオーディエンス録音で一公演完全収録ですが、
ピッチも細かく再補正されており、マスタリング効果もそれぞれ一ランク上がっている感じがします。
ちなみに、この復元された29日の音源は、やはり上段で紹介している僕のプライヴェート・ブートの
『19900928-29』と同一マスターを使用している様です。
ただ、音源を流出させたのは僕ではない事を強く明言しておきます。

尚、ちょっと見逃され易い事ですが、メーカーの人に聞いたところによると、
ここに収められた各公演の録音は全て同一の方が当時の会場に出向いて録音しているそうです。
つまり、シューティングする側の収録機材が同じであることと、
同一人物の判断で録音状態を最良にする為の配慮がなされていた為に、どの公演もこれだけ音が安定していて
聴き易い音源になっている訳で、こうした細かい配慮もブートレッグとしては嬉しいところですよね。
29日の公演が完全収録された事で、6枚組というボリューム満点の収録枚数も圧巻です。(^_^;)

6CDR。
こちらも上段で紹介した『FLY AWAY (Sirene−130)』同様、50セットのみリリースされた限定生産盤。
『ESSLINGEN, GERMANY. DEC.10th.90』 / (CAN-CAN-BOTTLE, CCB-19901210)
Live Date : Zentrum Zell, Esslingen, GERMANY. / 1990. Dec. 10

缶屋のシーバさんに創って戴いた自作のプライヴェートCD。

モスクワ・ライブ以降の、ショート・サーキットで廻ったドイツツアー時の音源ですが、
日本公演とよく似たセット構成で演奏されています。
非常に伸び伸びと演奏しているのが印象的です。
『DANKE SCHON !』 / (Ayanami−024)
Live Date : Frankfurt Music Hall, Frankfurt, GERMANY. / 1990. Dec. 13

モスクワ・ライブ以降の、約3週間行ったドイツ・ショートサーキット・ツアー音源です。
こうして少しずつこの時期のドイツツアー音源に接すると、どうやらセットリストは
或る程度固定されている様です。日本公演やモスクワライブと殆ど変わりませんが、
そんな中でも、この日はちょっと変わったセットだったのは確かの様です。
セットリストや収録内容をチェックすると、曲間でのカットがあるので
完全収録で無いのは確かですが、(カットされていると思われる曲は、
「Don't Cry」「Voice Of America」「Time Again」「Prayin' 4 A Miracle」
「Days Like These」「Open Your Eyes」の6曲)、
それに加えてどうやらこの日は「Book Of Saturday」と「Go」の2曲については
本当に演奏していない様です。これはなかなか珍しいセットですよね。

収録内容で注目したいのはダウンズのソロパートです。モスクワ・ライブ時と比較すると
内容に若干のアレンジが施されています。また、右手で奏でるメロディの取り方も
この日は実に魅力的なフレーズを聴かせてくれます。
「The Smile Has Left Your Eyes」は、このドイツ・ツアーでも勿論2部構成です。
ドラマティックな間の取り方が非常に心地良く、この曲の味わい深さを一層と
引き立てています。また、この日特に出来が良いと思うのは、後半の
「The Heat Goes On」と「Heat Of The Moment」で、パットの重たいギターサウンドが
程良く絡んだ、実に力強い演奏が収録されています。

1CDR。
『OBERHAUSEN, GERMANY. 12/14/1990』 / (CURRY CLUB, CC-19901214)
Live Date : Music Circus, Oberhausen, GERMANY / 1990. Dec. 14

自作のプライヴェート・ブートです。

臨場感溢れる音源で、なかなかの好盤です。
前日は演奏されなかった「Go」「Book Of Saturday」も演奏しており、
序盤から全開のポテンシャルで駆け抜けてゆく様な素晴らしい音源です。
もちろん、一公演完全収録。
また、全体としても大変よく纏まったプレイをしていて、
ドイツツアーの雰囲気がよく分かる秀逸な音源だと思います。