◆ 1998年10月下旬 ◆

10/21〜31
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10/31(土)……演歌応援歌

 松本大洋「花男」が新装版で出ていたので購入。中身の確認はまだ。今仕事が忙しいので、落ち着いたら松本大洋ページでレポートする予定。
 11月購入予定は今のところこんな感じ。点数自体はそこそこだけど、中にうれしいのが何点か。まず一番うれしいのは山本直樹「学校」。単行本未収録だった秀作で、ようやく一般に読める状態になってくれた。それから「森繁ダイナミック」。単行本化はもう諦めていたので、これもうれしい。偉いぞ、KKベストセラーズ! それからコアマガジンとしては初の町田ひらく単行本「Alice Brand」も注目。MEIMU「玩具修理者」はもう発売されていて、購入済み。まだ読んでないけど。岩館真理子「キララのキ」はこれで最終巻。買ったらまとめ読み予定。

98年11月
タイトル著者価格出版社
ボンデージ・フェアリーズ(1)昆童夢1143久保書店
02玩具修理者MEIMU角川書店
02ビッグコミック増刊小学館
05うらまっく作品集(仮)うらまっく857ふゅーじょんぷろだくと
05Alice Brand町田ひらくコアマガジン
05デカスロン(19)山田芳裕505小学館
05ザ・ワールド・イズ・マイン(6)新井英樹505小学館
05球魂(1)岩田やすてる505小学館
06東洋妖人伝用神坊(6)いとう杏六390秋田書店
09恋人プレイ(1)玉置勉強未定講談社
09水の中の月(1)土田世紀未定講談社
09イケてる2人(4)佐野タカシ495少年画報社
トンネル奇譚伊藤潤二552朝日ソノラマ
16ダッシュ勝平(1)六田登676小学館
16監禁凌辱桃山ジロウ857松文館
16きりきり亭のぶら雲先生(2)きくち正太667スコラ
17伝染るんです。(1)吉田戦車600小学館文庫
18俺たちのフィールド(32)村枝賢一390小学館
19Papa told me(21)榛野なな恵505集英社
19キララのキ(4)岩館真理子505集英社
20ウルトラジャンプ集英社
20我が名はネロ(上)安彦良和848文藝春秋
20ヨリが跳ぶ(15)ヒラマツ・ミノル505講談社
20学校山本直樹914文藝春秋
20えの素(3)榎本俊二533講談社
20おまかせ!ピース電器店(10)能田達規390秋田書店
24コミッククリムゾン創美社
24別冊YOUNG YOU集英社
25森繁ダイナミック桃吐マキル+福耳ノボル895KKベストセラーズ
26プチフラワー小学館
27妖魅変成夜話(1)岡野玲子900スコラ
30ムカデ戦旗(4)森秀樹505小学館
30月下の棋士(21)能條純一505小学館
30ダイヤモンド(2)青山広美505小学館
30青空(1)原秀則505小学館
30関係筋(1)中川いさみ小学館

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 11/15 No.22 小学館 B5中
 高田靖彦「演歌の達」。後述する最新単行本5巻から続いている、破門された若手女流歌手のお話。絵もストーリー運びも、ともにキッチリとしている。オーソドックスで派手さはないが、気合いの入った読者をどっしり受け止めるだけの骨太さがある。中川いさみ「関係筋」。やたらとおざなりな受け答えを学ぶ「おざなり学」のお話がいい。念の入ったおざなりさがツボを突く。岩波の国語辞典によれば、「おざなり」は「その場限りの間に合わせ。いい加減」であり、「なおざり」は「あまり注意を向けず、いい加減にするさま。おろそか」である。と考えれば「なおざなり」は「なげやりで中途半端でいい加減でおろそか」な感じであろう。「オリザニン」は理化学研究所製、かっけの薬である。

【雑誌】ビジネスジャンプ 11/15 No.23 集英社 B5中
 新連載、森本サンゴ「おしどりちどり」は寸詰まりなキャラクターがかわいい絵柄の下町人情モノ。なんかカートゥーンって感じのテイスト。可もなく不可もなしかな。中島史雄「ホゲホゲ日記」は第2回。かなり本格的にのどかなファミリー漫画である。次号から「ソムリエ」の作画担当、甲斐谷忍が新連載。タイトルは「ONE OUTS」。野球漫画だそうだ。

【単行本】「演歌の達」5巻 高田靖彦 小学館 B6
 達が昔は歌手として鳴らした大物女優・八島むつみをプロデュースする話と、大物演歌作詞家に破門された若手女流歌手に入れ込む話の、二つのパートで構成されている。後者はこの巻ではまだ決着がついていない。っていうかスペリオールで連載中のネタだ。八島むつみ編はナニワ節で泣かせる。達が空に昇っていく風船を見つめるシーンの、「パンパンにつまってるから、高く昇れるのだと…オレはそう思いたいワケで……」というモノローグが泣けた。男気のある非常にいい作品だと思う。

【単行本】「ギャラリーフェイク」14巻 細野不二彦 小学館 B6
 実に均質。いつもある一定の高水準を保っている。しかも、ある一定のラインをけして超えもしないし、下回りもしないあたりが職人芸。作家として長持ちしている秘訣でもあろう。いつ終わってもいいし、いつまでやっていてもいい。そういう作品。毎度、途中までグイッと盛り上げ、ラストは鮮やかに締めくくる。しかも、説教系のお話のわりには説教臭さが薄くイヤミがない。うまいなあ。


10/30(金)……人生は旅に似ています

 ていうか、どうも最近無性に仕事したくなくてたまらねえ〜とかそういう感じであり、かなり5月病である、とかいうほど深刻な症状ではないのだ。昔から自分の幸せばかりを祈り続けていた俺としては、人生プランの中に「30歳までにジャンボ宝くじを当ててバリッと隠居生活に入り、週3回くらい古本屋かなんかでバイトをしつつライター仕事などで小銭を稼ぎながら安楽で、なおかつ激しい漫画読書生活を送りまくる」という計画がしっかりと刻まれていたりするわけだが、それ以外の人生計画が今のところまったく立っていないのも困りモノだな一般的には、とか思う。30歳までに当てるというのは、今26歳であるわけだからあと5年×年3回=15回のチャンスがあるわけで確率はかなり高い。結果は「当たり」と「ハズレ」であるからして、つまり当選確率は2分の1である。誰がなんといおうと。2分の1×15回ということで、当然7.5回は当たるというのが俺の運命なのだが、来年はいよいよ恐怖の大王がやってきて俺の人生プランをムチャクチャにしかねないと思うとちょっぴり切ない気分だ。
 要するに眠いのだ。

 8/20の日記で、「アリスくらぶ掲載の雪待小町は馴染しんだと思うのだけど」みたいなことを書いていたのだが、雪待小町さんご本人からメールをいただき、別人であると判明した。お二方に迷惑をおかけしましたことを深くお詫びいたします。

【雑誌】快楽天 12月号 ワニマガジン B5中
 巻頭カラーは陽気婢「世界ノかけら」前編。女の子と付き合うと、相手の心にあるものがうすぼんやりとビジョンとして見えてしまい、イマイチうまくいかないということを繰り返してきた男の子・井口クンが主人公。彼の弟・吉武は霊的なものに敏感すぎて、普通の人には見えないモノまで「見えすぎて」しまう。吉武の能力で、井口は死にかけていた女の子を助けることになる。で、いつの間にか好き合うようになる井口と少女……というところで前編終了。青春のラブコメという感じで甘酸っぱく、陽気婢の持ち味がここまではよく出ていると思う。最近の陽気婢はなんか不調な感じがしていたのだが、中編および後編でどのようにまとめてくるのか楽しみなところ。
 かるま龍狼「邪天使グニャプちゃん」。いつもながらのコミカルなキャラクターとノリのいいギャグ。そして見せ所のうまいSEXシーンと安定して面白い。かるま龍狼のギャグは爆笑ってほどではないんだけど、センスの良さを随所に感じる。玉置勉強、単行本宣伝漫画「さようなら」。開き直って遊んでいる。普段の作品でもこのくらいムチャクチャやっちゃってもかまわないような気がする。鼻が低くて平ぺったい顔のキャラクターを描く松本耳子「マチガイジャナイ」。キャラクターの表情が豊かで見ていて楽しい。OKAMA「スクール」が巻中カラー新連載。第1回は、親の連れ子同士でそれまで兄妹として暮らしていた二人のお話。親が再度離婚してまた兄妹じゃなくなったことにより、お互いに好き合っていた二人が自分の気持ちを素直に表す。最近のOKAMAの中では、お話が最も分かりやすいかもしれない。そんなわけできれーな絵と物語を素直に楽しめた。YUG「NiJi」は優しくファンタジックな物語。やわらかくて清潔感のあるかわいらしい絵柄で気持ちいい。

【単行本】「くしゃみ3回」1巻 吉田まゆみ 集英社 B6
 コーラス連載作品。歌をこよなく愛す美人できっぷのいいおんな演歌歌手(演歌歌手の場合「女」より「おんな」のほうが似合う気がする)・三條ルルの「演歌の花道」。全然売れてないんだけど、売れる日を夢見て地味な営業を続けつつ、でも「歌えればそれでいいや」って感じも漂わせながら平凡な日常を送る物語。しっかりとした絵柄で、あくせくしない肩の力の抜けた作風が心地よい。何気なく口ずさむ歌でもついついこぶしを回しちゃったりするルルのキャラクターが、ちょっと抜けてるんだけど、粋でかっこよくもあり、読んでて楽しい。


10/29(木)……SUPPAWN

【雑誌】週刊少年チャンピオン 11/12 No.49 秋田書店 B5平
 板垣恵介「グラップラー刃牙」が非常に面白かった。ジャック・ハンマーvs.刃牙戦スタート。前半のやたらゆっくりした展開でためておいて、後半一気に爆発して怒濤の見開きラッシュ。読んでてすごく気持ちイイ。ダイナミックで力強く痛快。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」では、ゴードンvs.バロン戦が始まる。「グラップラー刃牙」同様、こちらも引っ張りまくった待望の対決であるだけに楽しみ。それから馬場民雄「大介ゴール!」はやけにあっさり連載終了。ちょいと古くさいくらいのスタンダードな少年サッカー漫画って感じで好きだったんだが。でもここまで楽しませてくれたのでまあいいや。

【雑誌】モーニング 11/12 No.48 講談社 B5中
 巻頭カラーで尾瀬あきらの「夏子の酒」第2部、「奈津の蔵」が新連載。今回は夏子の祖母と酒造りの蔵のお話らしい。井上雄彦「バガボンド」。おつうがちょいと抜けた感じでいい。又八のババもいいキャラクターである。妄執バリバリで。山下和美「天才柳沢教授の生活」。今回は経済にも詳しい天才コギャルのお話。彼女がしたたかで小生意気でしなやかで魅力的。毎度うまいなあ。ヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」は、オグリに外人が加入して万全の態勢に。これはなかなか強力になりそうだ。うえやまとち「クッキングパパ」。すっぽん食いてえーっ。はー、すっぽんすっぽん。

【雑誌】ヤングサンデー 11/12 No.48 小学館 B5中
 山本英夫「殺し屋-1-」。イチが山中で一人牙を研ぐ。バトルではないのだが、それでも十分に迫力があって、しかも変態。面白い。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。前回の柱によれば、今回は怒濤だったはずなのだが、怒濤の一歩前って感じ。でも役者はすでに一か所に集まっている。どんな展開が待っているか目が離せない。


10/28(水)……ハマの大卍

 今年はプロ野球で横浜ベイスターズが日本一となり、松坂の横浜高校が春夏甲子園に加えて国体も制してまさに「横浜の年」って感じだった。「あとはJリーグも……」とか思っていたのだが、どうやらフリューゲルスもマリノスも無理そう。ところがなんと、今になってまたヨコハマがやってくれたのだ。以下、日経新聞のホームページより抜粋。

サッカー、Jリーグの横浜フリューゲルスがクラブの経営難から横浜マリノスに吸収合併されることが28日、明らかになった。
 俺は野球はベイスターズだけど、サッカーはフリューゲルスを応援していただけにショックがデカい。たぶんこれからはマリノスを応援すると思うが、それにしてもうーん、って感じである。気になるのは選手の去就。フリューゲルスサイドをとくに心配してしまうのだが、まずサンパイオ。W杯でも活躍していただけに、海外のクラブからも引く手はあったのでそっちに行くのではなかろうか。そして、合体すると川口、楢崎と代表GKが二人になってしまう。さすがにもったいないのでどっちかは移籍すると思うが、二人とも若くて移籍係数が高いので買い手がつくかどうか。川口海外移籍もあり得るかも。マリノスに行っても三浦アツはレギュラーになれると思うけど、ちょっと年齢のいった中堅クラスが心配。山口、前田浩、薩川といったあたり。遠藤は兄弟が揃うわけだが、この二つのチームが合わさるとやたらめったらボランチの層が厚くなるため、遠藤弟に出番があるとは思えない。そのほかFWの吉田、川崎Fにレンタル移籍中の服部、便利屋原田……などなどもったいない選手がいっぱい。好きなチームだっただけに気になることが山のようにある。どうなっちまうんだー。

【雑誌】週刊少年サンデー 11/11 No.48 小学館 B5平
 現在の少年サンデーはエロこそなくて上品さを保っているかのように見えるが、人気を取るためにはなりふり構わないという点については、少年誌のなかでは実はNo.1ではなかろうか。三好雄己「デビデビ」ではやたらと女の子を出し、北崎拓「なぎさMe公認」ではお嬢さま、天然、眼鏡ッ娘と異なるタイプを3人揃える。作:坂田信弘+画:万乗大智「DAN DOH!」では容赦なく小学生男女をいじめてロリショタ需要を喚起。さらに猪熊しのぶ「SALAD DAYS」連載化などなど。三好雄己「デビデビ」は猫耳で「〜だニャ」という語尾を駆使するコウモリネコ登場までは素晴らしかったのだが、最近意味なしパンチラや乳首浮きコスチュームにかげりが見られる感じがする。今回なんかも、七海が車にひかれそうになるシーン、当然パンチラをすべきだったと思う。必然性?そんなもんどうでもいいでしょ。「デビデビ」だし。このままでは「ラブひな」に勝てないぞ。

【雑誌】週刊少年マガジン 11/11 No.48 講談社 B5平
 巻頭カラーはなんと、「ミュージシャン実録ストーリー LUNA SEA」である。LUNA SEA発祥の地、東京都町田市はしばたたかひろ生誕の地でもある。どうでもいいことだが。地元なんで「ああ、この風景はあそこから撮影した写真を元にしているのだろうなあ」などと想像がついてしまうのがちょっと面白い。漫画のほうはどうかというと、いかにも実録な感じの安っぽさがあってつまらないけど、このつまらなさがなんかうれしくなってしまう。赤松健「ラブひな」。連載2回目。いたるところでパンチラ、着がえ、入浴とあざとさ爆発。素晴らしいねえ。

【雑誌】ヤングキング 11/16 No.22 少年画報社 B5中
 吉本蜂矢「デビューマン」が休載中なので、とくに「コレ!」とオススメする作品はあんまりないのだけれど、気楽に読めて楽しい雑誌。有村しのぶ「HOPs」。軽いお色気。他愛ないオチ。好きだ。小池田マヤ「聖★高校生」は、神保と女の先輩が付き合うことになりそう。ほのぼのとしたヌルいラブコメで、読んでて和む。

【雑誌】スーパージャンプ 11/11 No.22 集英社 B5中
 宮下あきら「EDAJIMA」は、後に男塾塾長になる男、江田島平八が戦後まもなくのころマッカーサーと決闘するというお話。なんだか「EDAJIMAが日本に二人いれば」日本は太平洋戦争に勝利していたらしい。馬鹿馬鹿しいけど痛快である。っていうか、わしが江田島平八であるるるるる(この語尾に関しては大平かずお「すうぱあドッシー」参照)。高見まこ「ロマンス」。吾郎はHである。たくみに新しい女をたらそうとしているあたり、すでにジゴロの風格。

【雑誌】コーラス 12月号 集英社 B5平
 ペーペーおんな演歌歌手・ルルが奮闘する、吉田まゆみ「くしゃみ3回」。ルルが男に声で惚れそうになる。「聞いていると濡れる声」っていうのがなんかいい。絵もスッキリしていて面白い作品だと思う。単行本1巻出てたから買うかな。くらもちふさこ「天然コケッコー」は前回のように技巧的ではないが、まあいつもどおり手堅く楽しめる。佐野未央子「11月の子供」。ジャンケンで子供の養育権を決めて別れた夫婦と、その子供のお話。子供が成長して父親と酒を酌み交わしながら、母親と、彼ら父子のことを語るという形式。過去のエピソードを交えつつ、心優しく爽やかに読ませる。次号の「ともだちなんにんなくすかな」では現代洋子の結婚式生中継をやると書いてあるのだが、漫画でどうやって生でやるんだろう。結婚式しながら現代洋子が漫画を描くとでもいうのだろうか?


10/27(火)……エンドルフィン対象

 漫画家といえばMacって感じだけど、AT互換機(いわゆる「DOS/Vマシン」)使ってる人ってどのくらいいるのだろう。なんでそんなことをいきなり言い出したかというと、ゆえあってAT互換機のことが多少は分かって(できれば自作に興味があったりするとベスト)なおかつ熱血少年漫画を描けて、しかもそれほど絵がオタク臭くない人を探してたりするのですばい。情報ある人はメールで教えて下さいませ。

【雑誌】ドルフィン大将 Vol.9 司書房 B5平
 ドルフィン本誌同様、実用メインな増刊。本誌のほうが粒は揃っていると思うが、こちらはこちらで楽しめる。巻頭カラー、東海道みっちぃ「ママにおまかせ」は、デフォルメがバリバリにきいたアニメ絵なキャラクターの造形に抵抗がある人も多いかもしれない。でも、強弱をバッチリきかせたペンタッチで描く、柔らかそうで弾力感のあるむちむちぷりぷりとした女体はけっこう実用的。俺は好きだ。うさぎのたまご「雨音につつまれて」。最近わりと気になっている人。描線はラフだけど、淡くて柔らかい画面を作る。恋愛感情に任せてデレデレする男女の姿が、実に楽しそう。そしてエロシーンも液体が多めで肉体の動きもダイナミックで激しい。実用性を確保しながら、心和むヌルいラブコメ世界を作り出していてわりとイケる。東航「Intimidation」。女助教授がいやらしい写真をネタに脅され子供たちによってたかって犯されるという話。絵はなんかぎこちない感じでそんなにうまくないのだが、行為自体はけっこうハード。エロシーンが濃くて実用面では優秀。光野大地「ABNORMAL」。この人はなんか最近、かなり絵が洗練されてきている感じがする。キャラクターの目がだんだんと小さくなってきて、線も細くなった。作画的にかなり成長していると思う。

【雑誌】魔翔 12月号 三和出版 B5平
 新創刊のエロ漫画雑誌。三和出版ということで「すわ変態か?」と思った人もいるかもしれないが、わりと普通の美少女系だった。普通であるわりには、正直なところラインナップは非力と感じる。おおむね2線級って感じかなあ。ピンナップが今さらな感じのラッシャーヴェラクであることからも分かるように、なんとなく泥臭い感じの絵の人が多い。その中で表紙に名前が載っかっていない美女木ジャンクション「肉厚娘チハル」はいいと思った。この人の描くSEXシーンは、余分なくらい乳がでかくて、体液が多くて、パーツ一つ一つの造作がダイナミック。ばゆんばゆんと乳が乱舞し、体全体が波打つさまはなかなかに激しく、実用度が高い。あまの・よーき「刺激体温上昇中っ!」は絵柄的にはわりとかわいくて目をひく。ただ、この人の場合、一つ一つの絵がなんとなくイラストっぽくて、漫画の中での動きに欠ける感じがするのはちと残念。

【雑誌】ヤングチャンピオン 11/10 No.22 秋田書店 B5中
 取山忠治「ママ=サピエンス」が新連載。女子高生が、謎の像にくっついていたおちんちん部でオナニーをしたら次の日いきなり子供が生まれてしまい……という出だし。この人の下品で情けなく、罪のない作風はけっこう好き。富沢ひとし「エイリアン9」は、エイリアン係の3人が新学期で再出発。なんか新しいキャラクターも出てきて謎めいた感じ。次号でヤンジャン系列で描いていた戸田泰成が登場。ちょっと気になる。

【雑誌】マンガの鬼AX Vol.5 青林工藝舎 A5平
 鈴木翁二・少年の世界が特集。しりあがり寿、喜国雅彦と鈴木翁二の対談も掲載。鈴木翁二「少年=冬のえるされむ=」は、子供らしくなんかくだらない聖書の読み方をしてて楽しい。俺も昔聖書を読んだときは、魚とパンをちぎって分ける描写とかが妙に気になってしまってしょうがなかったことがあるが、そういったことを思い出しつつ読んだ。鳩山郁子「Passage」。5ページだけとページ数は少ないが、相変わらずの硬質な少年世界を描いている。もっとまとまったページ数読みたい。アヤ井アキコ「LIFE」は最終回。雑誌の発行ペースものろいので、これ1回だけ読むと何がなんだかわからん。単行本にまとまってくれるといいのだが。キクチヒロノリ「クルクルキーキー Vol.5 友だち讃歌」は4コマ漫画。コマが定型だといつものブチ切れぶりより大人しく感じる。静かにやる気なさげにヘンで味はあるんだけど。松井雪子「料理研究家」は、「おふくろの味」の作り手としてテレビなどで活躍していた料理研究家・竹前みや子先生の死と彼女の葬式の模様。竹前みや子先生のおふくろの味の秘密がなかなかいいお話だった。うまいなあ。根本敬「黒寿司十八番」は、ちょいと大人しめ。もっとガッツンガッツンいった奴が読みてえのよ。花輪和一「おぼっちゃま受刑者」はいつもの服役もの。実に生活感がにじみ出ている、一味違う獄中もの。執拗でミニマルな視点が味がある。

【単行本】「ステーシー」 作:大槻ケンヂ+画:長田ノオト ぶんか社 A5
 何万人もの15〜17歳の少女が不意に言葉をなくし忘我の状態に陥り死亡、半日ほどして「生ける屍」=「ステーシー」としてよみがえるという事件が世界中で勃発する。彼女たちには意思はなく、外部からの刺激に対して機械的にうめきをあげるのみである。そんなステーシーたちを165分割してバラすことを仕事とする「パズル屋」と呼ばれる男と、ステーシーなのに言葉を取り戻した少女・モモとのお話。ボールギャグ(口に入れるピンポン球みたいなくつわのことね)をはめられ、目があらぬ方向を向き、むーむーうめいているだけの少女たちの姿がかなり異様。この世界に、長田ノオト独特の耽美的で妖しい絵柄がよくマッチしている。少女たちの原型は美しくて可憐であるだけに目がロンパリになってよだれをダラダラ垂らしている姿はグロテスクでもある。ちょっと蜈蚣Melibeを思い出す。表紙のインパクトからするともの足りない部分もあるが、まあそれなりに楽しめた。表題作のほか、「電波虫」「モンブラン」「なつみさん」も併録。


10/26(月)……2本でもイチ

 横浜ベイスターズ日本一。かなり万歳系入りまくりである。それにしても、今年のベイスターズファンはすごかた。これほどまでに応援の力のすさまじさを思い知らせてくれた例は過去に阪神タイガースくらいしかない。ベイスターズは立派に市民球団になったなあ。
 そんなわけで、今日は優勝記念ビデオやら、優勝記念トレーディングカードも買ったし、明日はスポーツ新聞全部買いまくりなはずだし、関連雑誌やらなんやらでしばらくベイスターズ散財が続く予定。優勝のその瞬間、本当ならヨコハマの街に繰り出そうと思っていたのだが、会議が長引いたのと、ベイスターズの勝利が8回裏まで見えなかったため断念。くそー、っていうかかなり痛恨。俺様もあの輪の中で騒ぎまくりたかった! とりあえず、今回もやってくれたテレビ神奈川のビールかけ完全生中継でも見て気持ちを慰めることとする。セ・リーグ優勝の時もビールかけ生中継をやったのだが、そのときと比べると今回はレポーターの女の子の突撃精神が足りず、なかなか主力選手の様子が見れなかったのは残念。また来年もこういう光景が見たいもの。さあ、次は世界だ!(強さのインフレの法則による)

【雑誌】コミックバーズ 12月号 スコラ B5平
 詳細な掲載作品リストはコミックバーズのページ参照。
 玉木満「おさるの時間」は目次に載っていないので注意。山田章博「BEAST of EAST」がやけに中途半端なページ数なんで、その穴埋めかもしれない。ともち「愛をあげよう」。今回はいつにも増してヌルくて、「安心して見ていられるラブコメ」感強し。弥生の小説第2作めが、明らかに正午と弥生をモデルとしたラブストーリーになっていて……というお話。板垣恵介「餓狼伝」は、松尾象山の若いころが描かれようとしている。原作もいいらしいのだが(読んだことないけど)、漫画のほうもものすごいハッタリと、さらにそのハッタリをも上回ってしまうほどの格闘シーンの迫力がさすが。画:岡野玲子+作:夢枕獏「陰陽師」は、晴明の雨乞いが完了。降りこめる雨の中に身を漂わせる晴明の姿がなかなか気持ちイイ。次号は、メロディとかで描いていてなかなか面白いなーと思っていた雁須磨子が登場。

【雑誌】ヤングサンデー大漫王 11/30 No.23 小学館 B5中
 山口かつみ「モザイク」は今回で最終回。もっともっと思いっ切り悲惨なエンディングを期待していたのだけど、まあそれなりの結末。単行本2巻が12月5日に発売らしいので当然買う。ひさびさ登場、多加崎フリッツ。この人は昨年ヤングサンデーに掲載されたデビュー作、「Let Me Be Your TEDDY DOG,」がなかなか面白かったので印象に残っている。それからガロの今年の7月号にも作品を描いていたのだが、こちらはあんまり面白くなかった。今回の「ANARCHY in the 題目」はまあ普通の出来かな。取り立てて触れるほどでもないか。
 山田たけひこ「柔らかい肌」は次号で最終回。この漫画は絵はあんまりうまくないっていうか、キャラクターの顔とかぎこちないのに、身体の描き方、とくにデカい乳が妙にそそってしまい、なんだか悔しいような気持ちにさせられる漫画だった。終わってもあんまり痛痒は感じないけれども、またこういうヘンな味のある漫画を描いてほしいもの。カイトモアキ「裸のふたり」。今回も、ビッチビチに煮詰まっていてスゴイ。デッサン狂いまくりで、血管がビシビシ浮き、目が異常に血走るキャラクターたちの余裕のない表情はアブなすぎる。とくに今回は、倉井が先生に「好きだからです。」と告げる見開きの表情が真剣すぎるほど真剣だけに慄然とする。いやー、スゴイ。単行本出たら即買いだ。こちらも次号で最終回。阿部潤「プチ」は安定して、サイエンティストがマッドで楽しく読める。しかも今回はちょっぴりセキシー。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 11/9 No.47 小学館 B5中
 浦沢直樹「Happy!」。海野幸に負けた蝶子がマスコミの前で、今までの仮面をかなぐり捨てる。こいうふうにストレートに性格悪そうにしたほうがかっこいいキャラクターだと思う。テニスをちゃんとやっている回はけっこう好き。青山広美「ダイヤモンド」。種田がついにスタメン。そして姿をくらました童子は謎のタンカー上で、復帰を目指して特訓中。再び相まみえるときが楽しみだ。岩明均「七夕の国」は、いよいよ謎が明かされクライマックスが近づいている感じではあるが、さてここから話をどう転がしていくのか。もっと掲載ペースが早いといいのになあ。次号から、「はるの/よるの/ようだ」「天使の噛み傷」の村上かつらが新連載。ちょっと楽しみ。

【雑誌】ヤングマガジン 11/9 No.47 講談社 B5中
 ハロルド作石「ストッパー毒島」。アスレチックス、いよいよ優勝に王手。ラストの野村のセリフが気になるところだけど、熱いゲーム展開で面白い。来年はベイスターズと勝負だ!福本伸行「賭博黙示録カイジ」は、かなりびっくりした。こんなトラップを仕掛けていたとは……。スゲエ、スゲエぜカイジ。こりゃ、ネタばらすわけにはいかないなあ。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」は今週もユーモラス。マーベラス。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 11/9 No.48 集英社 B5平
 森田まさのり「Rookies」は、ついに阿仁屋が野球部復帰。というわけで前進する体制が整った。ガチンコで青春していて面白い。富樫義博「HUNTER×HUNTER」。かなり力業で窮地を脱出。見せ方とかうまくてこちらもいい。

【雑誌】COLORFUL萬福星 Vol.02 ビブロス B5平
 オールCG漫画雑誌の2冊目。コンセプト自体は面白いし、絵はうまい人が揃っているのだけれど、面白い作品はあんまり多くない。なんつってもページ数が少ないのでもの足りなさがある。その中で、飯閃澪「ハラニイチモツ」はそんなに好みってわけでもない絵柄なのだけど、短いながらエロシーンがそこそこいやらしかった。月角「TNT」はいつもながらに、ちんちん幼女たちがからみあう。業が深いなあ。漫画のストーリーを追っかけてみたくなるのは、粟岳高弘「隣星1.3パーセク」。人間の女の子・留利子がぬたーっとした粘土をこねくって作ったみたいな外見の宇宙人に飼われていて、胸をさわられたりきゅうりをつっこまれたりする、SF系のお話(といってもきゅうりだのなんだのでSFを想像することはできまいが)。宇宙人のほうには性欲なんか全然なく、なんかよく分からずに触っているだけなのだが、留利子を常に裸にしておきたがる。全体にのんびりした雰囲気で、ちょいとジブリっぽく見ていてホッとする落ち着いた感じの絵柄がいい。

【単行本】「大切な恋」 田中ユタカ 雄出版 B5
 永遠の初体験作家、田中ユタカの初イラスト&コミック集。B5版と大判で、上半身だけだが等身大の女の子ピンナップも付いている豪華本。その異常なまでに幸せでベタベタに甘酸っぱい世界はこの単行本でも健在。「サヤカの全部 ボクが愛するんだ!!」「あなたってホント…あたしのよろこばせかた知ってる(ハートマーク)」などなど、もうのたうち回りながらでないと読めないような初恋っぷりがすさまじい。田中ユタカ作品はどの作品読んでも変わらないんだけど、でも読むたびにスゲエと思う。いやー、スゲエ。なかなか気持ちのいい絵で女の子もかわいいので、エロ漫画初心者にもうってつけだ。


10/25(日)……まほこのまんぼ

 ていうか、今さらながらテレホーダイ1800に加入しまくってみて、今日(正確には26日(月)の0時)からサービススタート。会社では専用線があるのでつなぎっぱなしな俺だけど、これでおうちでも夜はつなぎっぱなしな感じだ。
 プロ野球日本シリーズ第6戦の先発投手は西武・西口、横浜・川村になるらしい。西口は風邪ひいたとかいってたので出てくるというのはちょっと意外。川村も予想しないではなかったが、失敗した選手には必ず挽回のチャンスを与える権藤監督のことだから、3戦めでボロボロだった三浦でまたいくかと思っていた。とはいえ、川村もシーズン後半は失敗続きだったし、ここで好投できれば来年が楽しみ。

【雑誌】LaLa 12月号 白泉社 B5平
 津田雅美「彼氏彼女の事情」。アニメはまだ見てないんだけど、漫画のほうはとりあえず楽しい。俺はアニメっていうかテレビを観る習慣がほとんどないので、いつごろ放映されているのかもともとチェックしてないし、人に聞いてもすぐ記憶の彼方にぶっ飛んでいってしまうので、つい見忘れてしまうのだ。今回はやきもちを焼いた有馬を、宮沢がぎゅっと抱き締めて、そこからふわーっと想いが広がっていくあたりが気持ちよかった。絵柄を崩しているときのキャラクターたちもかわいらしい。やまざき貴子「っポイ!」。親友同士の女子二人が同時に一人の男子を好きという三角関係が、いちおう現状維持って感じで安定。恋心と友情のもどかしさが甘酸っぱくていい。えもとよう子「スターな男」。マブダチ男二人の間の、恋愛にも似た友情物語。相手に嫌われたと思った片方の男が、突然ある日、目から光線を出すようになって登校拒否。目から光線といういきなりな展開が楽しい。青月いちこ「ココロから。」。新人さんらしいが、絵的にもまとまっているしわりとよくできている。あとはもうちょっとこの人ならではの武器があればってところだけど。

【雑誌】きみとぼく 12月号 ソニー・マガジンズ B5平
 青インク赤インクといった、色つきインクの使用が目立つこの雑誌だけど、オシャレげな絵の作品が多いだけにわりと似合っていると思う。
 花樹いちや「Eve」が新連載。ヒロインは、興奮すると身体が液体化してしまうというなんだかスゴイ体質の持ち主。そのせいで学校にも行けなかったのだが、親の気まぐれというかなんというかで高校に入学させることに。小学生のような容姿のヒロインは一躍学校の人気者になるが、かっちょいい男の子に恋をしてしまってさあたいへんというストーリー。ヒロインの体質の設定がぶっ壊れた感じだが、第一回めはなかなか楽しかった。みなと鈴「PEARLガーデン」。女の子たちが丸顔でかわいい。藤枝とおる「レンアイアレルギー」は描線がシャープで美しい。11月7日に単行本が出るとのこと。架月弥「チョコの歌」は今回も転がるように、思いもよらぬ展開にもつれこむ。第一話の美しいお話から、どんどん崩れていってるねえ。楽しいけど。

【雑誌】花とゆめ 11/5 No.22 白泉社 B5平
 最近毎回買っている。俺的にコレッ!と強烈に推す作品はないんだけど、どの作品もそれなりのレベルにあって楽しく読める雑誌。
 羅川真理茂「しゃにむにGO」は、なんかやけにちゃんとしたスポ根テニスものをやっている。「足が速い」「動態視力がいい」はテニスもの主人公の基本だね。中条比紗也「花盛りの君たちへ」は、いつもわいわいと楽しげなラブコメ。スッキリした絵柄で読みやすい。好きな男の子に近づくため、主人公が女の子だということを隠して男子校に入っているんだけど、相手は主人公が女だってことに気付いていて(主人公は気付かれていることを知らない)なおかつ実は相思相愛状態になっている……って感じ。「つかず離れず」というよりも「つくがくっつかず」の状態が心地良し。

【雑誌】きららセーズ 11月号 秋田書店 A5平
 藤井こぴる「カメラ!カメラ!カメラ!」が毎度気になる。カッチリとした迷いのない線で、全体の画面の印象がスッキリとしてて読みやすい。お話もサバサバした気持ちのいいラブストーリー。なかなか。氷栗優「FLOWER」。ボディペインティングアーティストのかっちょいい男と、平凡に見えるけど実は素材はいい女子高生の恋愛モノ。ボディペインティングっていうのが意表を衝かれた感じだったが、絵もわりとうまいし楽しめた。

【単行本】「たかこ」 作:野田周+画:六田登 メディアファクトリー B6
 コミックアルファシリーズの第1弾。コミックアルファ自体はあんまり、っていうか全然面白くないのだが、山川直人の単行本を出すくらいまでは続いてほしいものだなあと思う。
「たかこ」の舞台は、うっそうとした森のそばにある小さな村。クマタカが住むといわれるこの森を横断する観光用道路を作るため、建設会社の社員が村へとやってくるが、その中にこの村を故郷とする女性「たかこ」がいた。たかこはクマタカが村の上空に飛来した日に生まれたのだが、そういう日に生まれた子は「鬼女」として村では忌み嫌われていた。村に災いをもたらす者がいるとして、村に道路建設反対運動が持ち上がる。また、森の中には昔、たかこのただ一人の味方だった司という男が小屋を構えて住んでいた。司とたかこを軸に、物語はうねりながら進んでいく……。
 司は一人森に住まう男で、たかこはクマタカに魅入られた鬼女。どちらも村から排斥され、森とも一体になれない「境目」の住人である。ちまたでは自然保護がどーのこーのとかまあいろいろとあるが、この物語では反対も賛成もとなえず、その境目をただ見つめて描こうとしている。六田登らしい、陰鬱な雰囲気に満ち、森という圧倒的な存在に対する恐怖を描き出している。すごく面白いかというと、それほどでもないのだが、単行本1冊分はきっちり楽しめる。

【単行本】「MAHOKO」 やまじえびね 集英社 B6
 他人と付き合うのが苦手で、一人でいることを好む女性・まほこさんと、彼女のバイト先の同僚・波古田さんのラブ・ストーリー。空白の目立つ背景、抑えの利いた絵柄。ストーリーも絵もともに「引いた視点」にあるという印象を受ける。セリフとセリフの間も、普通の漫画より1テンポズレている感じ。そのズレた感じのおかげで、一つ一つのセリフが読者の注意を換気し、印象的になっている。人とは違うリズムがなんだか妙に心地いい。読んでいて落ち着いた気持ちになる作品。


10/24(土)……風邪でバカでまんがなの

 ちょっと風邪気味。こういうときは漫画だ……ってこのネタなんべん使ったっけか。プロ野球日本シリーズ第5戦。17-5、20安打と横浜が打ちまくって王手をかける。地元胴上げの準備は完了。月曜日、ひょっとしたら横浜の街の騒ぎっぷりを見物しにいくかも。

【雑誌】アフタヌーン 12月号 講談社 B5平
 最近、この厚みを消化するのがおっくうになりつつある。面白いと思う作品が少なくなってきているってわけでもないのだが、安定しすぎてワクワク感が減っているのは確かだと思う。もすこし読切比率を高めてほしい。
 小原愼司「菫画報」。ビデオ宅配でスミレのビデオが出回っているということだが……って話。安定して楽しいねえ。弐瓶勉「BLAME!」。相変わらず話はわけわからんが、緻密で乾燥した絵柄はかっちょいい。敵のグロテスクで悲しそうな造形もいい。鬼頭莫宏「なるたる」。元気いっぱいに見えるシイナの、実はけっこう不幸な家庭環境が描かれている。ここらへんの事情はこれからのお話にどういうふうにからんでくるのだろうか。楽しみ。高橋ツトム「地雷震」。今回のパートはやけにあっさりと終了。もっと引っ張るのかと思ったのに。少しもの足りない。四季大賞、三浦名子「愛と死」。モテナイ男二人が、童貞喪失のためお互いのカマを掘り合うが……というお話。馬鹿馬鹿しくてそれなりに楽しめるが、これが四季大賞っていうのは……。うーん。これよりも四季賞受賞の2作品、森川未知留「万華狂」、機内食「泥棒猫」、それから佳作の能勢邦子「四つ角アンドロメダ」あたりのほうが読んでみたかった。あさりよしとお「WAHHAMAN」。ルミちゃんがボコボコに。クライマックスに向けかなりハードな展開になっていて緊迫感が漂う。面白い。

【雑誌】CUTiE comic 12月号 宝島社 B5平
 安野モヨコ「ラブ・マスターX」は、先輩とナオがうまいこといきはじめるが、ユリナがまたしても先輩と接近し始めて……という展開。体全体を使って力いっぱい恋愛している感じが楽しい。橋本ライカ「自転車で猛スピード」はなかなか爽やか。この人の作品はこの雑誌の中ではスイスイ読みやすくてけっこう好き。南Q太「夢の温度」は、ちょっとブラコン気味の女の子が同級生に告白されて……という感じの出だし。今回は長期連載になる模様。

【雑誌】アリスくらぶ Vol.8 コアマガジン A5平
 古井戸圭市「Daughter」の町田ひらくめいた、少々写実的で生っぽさのある画風が目をひく。大人の女がダメで幼女にしか性的欲求を感じない男が、結婚して自分のペットにするための娘を作る。で、その娘としようという段になると一線を越えられない。倫理感の問題などではなく、彼はその遊びに飽きてきていたのだ。自分にとって不可欠であると信じていた幼女趣味を失ったことへの喪失感で彼は焦る、というお話。レベルの高い作画で業深い世界を描いていて、なかなか良かった。鎌やん「人ハ互イニ狼デアル」。うーん、理屈っぽい。言い訳がましくもあるが、語らずにはいられないのだろうなあ。ナヲコ「きみみたいにきれいな女の子」。SEXシーンは一回もないけど、高校生のお姉さんの制服に憧れる女の子たちがかわいい。第1回コア漫画大賞アリスくらぶ部門奨励賞の、ほしのふうた「いえないキモチ」。小学生の女の子がなかなか素直になれず同じクラスの好きな男の子をイジメてしまう。で彼女が、女の子に興味のない彼を振り返らせようと奮闘するという話。幼年漫画系にありそうなちょいと古めだけどかわいい絵柄で、実に楽しそうな作風。なかなかいい。タカハシマコ「I was born」。少女漫画系の繊細な線でうまい。

【雑誌】フラミンゴ 12月号 三和出版 A5平
 海明寺裕「girl Hunt」は、サエ号がついにK9の品評会に出される、というところで最終回。どんな大会なのかの描写がないのがちょっと残念。単行本は12月とのこと。天竺浪人「便器」。女教師の誘いによって謎の一軒屋に着いた本山は、そこで床に根を生やし完全に便器として生きている人々を目にする。まるで石膏で固められたかのように、床にへばりついている人々の描写はちょっとすごい。白井薫範「笑ってぶたぱん」。扉にあるうんちのようなゴツゴツした塊を見た瞬間からかなりうえ〜っって感じである。ハードコアな変態。白井先生はやっぱり強烈だ。蜈蚣Melibe「バージェスの乙女たち」。本当に楽しんでこういう極北世界を描いている感じが実に立派。駕籠真太郎の戦史シリーズ、「陸軍中野学校」。女性が水を入れたガラス製鎧を着込み、その中に蛭を入れられアメリカ精神を吸い出され、さらに日本精神の染みついた便を注入されるあたりがスゲエ。北原武志「FRIENDS」。イジメっ子の側がなぜイジメてくるのかが今回は語られ、さらにイジメはエスカレート。友情や肉親の情につけ込んでくるあたりが実に意地が悪い。調教される側が着せられている服が妙にダサかったりするあたりもステキ。

【単行本】「金平劇場」 金平守人 アスペクト B6
 初単行本。毎回毎回、手を変え品を変え非常に小器用な作家だと思う。アニメ絵女の子の骨格・構造分析をしたり、似非「かがくまんが」をやってみたり、AVの音声とラブコメの映像をシンクロさせるといったヘンなことをしてみたり。実験的ってほどでもないんだけど、ひねくれた仕掛けをいちいち施してあって楽しい。
 あと、巻末に掲載されているような心の狭い非難の葉書を送るような皆さん、とりあえずムカつくのなら無視して適当に見逃してやってください。一人の漫画家をつぶすのは簡単なことかもしれないけど、育てるのはとってもたいへんなことなんだから。それに、漫画家にとって一番ツライのは非難より無視だと思うし(たぶん)、俺のように楽しみにしている読者もいるのだ。

【単行本】「BAMBi」2巻 カネコアツシ アスペクト A5
 最初3分の1が白い紙に青インク、真ん中は白い紙に赤インク、最後のほうは上半分に赤のグラデーションの入った紙に青インクと、なかなか手の込んだ印刷。5億の賞金がかけられたクソガキと、異常なまでの戦闘力を持つ少女・バンビの旅が続く。カネコアツシは最初からうまかったけど、ここらへんに来てさらにどんどん完成度を高めている感じがする。絵の洗練度が上がり、暴力シーンの見せ方もうまい。バンビが眉一つ動かさずに冷酷に人を殺しまくるあたりは、カタルシスばりばり。

【単行本】「元気でバカでまじめなの」 なめぞう 蒼竜社 B6
 とっくに感想は書いていたのだが、日記に入れ忘れていた。
 現在では、「変體累ヶ淵NAKED」の米餅昭彦といったほうが通りがいいかもしれない、なめぞうの久々の作品集。これは「けだものだもの」(単行本タイトルは「あの娘はライバル」。フランス書院コミック文庫)「土木の神」と、「大人だね山チー」「変體累ヶ淵NAKED」の間の、なめぞうがエロ漫画を描いていた時期に描かれた作品を集めたものだ。現在の筋骨隆々とした異常に濃厚な絵になる前のもので、女の子の身体の質感も今よりだいぶ柔らかそう。
 この単行本収録作品は、無意味に肩に力の入ったキャラクターたちの姿がおかしく、美少女漫画の標準的なノリからすると明らかに浮いている。米餅昭彦名義(本名らしい)の「変體累ヶ淵NAKED」や、なめぞう名義の「大人だね山チー」(ともにモーニング掲載)も、一般青年誌からは浮いた作風だったが、なんだかどこに行っても浮くタイプの人らしい。
 キャラクターたちは、単行本タイトルどおり、元気でバカでまじめ。というよりも基本的にまじめなのだが、元気でバカであるために暴走してしまうという感じ。例えば「スキンヘッド」の主人公は、包茎であるのを隠していたため、付き合っている女の子とのSEXを回避していたのだが、次の日のデートを記念日にしようと迫られてしまう。で、何を思ったか、自分の皮をピーンと伸ばしてまな板の上にさらし、包丁でぶった切る。次の日のSEXのときは当然のごとく血まみれ。自意識過剰で極端な行動に突っ走るというのは、なめぞう作品のキャラクターに共通していえることだ。「好き」の主人公もすごい。自分の部屋にとじこもり、部屋の片隅に自分の糞尿をぶちまけ「おれは今ものすごく自分が生き物だってことを実感している」などとほざく。強引でノリのいい作風はなめぞう独特のものがある。俺はかなり好きだ。


10/23(金)……ナイーヴ告発

 日本シリーズ、横浜連敗でヤバ気なムード。まあこれで地元胴上げができるかもしれないと、プラス方向に考えてほしいもの。たぶん5戦めとったほうが、そのまま優勝しちゃうんじゃないかなあ。横浜はたぶん先発斎藤隆だから、ここで落としたらもうはねかえすのはキツイ感じがする。西武は残り3戦、西口、豊田、潮崎でくると思うが、ひょっとしたら豊田を飛ばして潮崎にして、最後に石井貴を持ってくるかも。そうなるとちょっと横浜としては苦しい展開。横浜は5戦めをとったとしても、6戦めに三浦をローテーションどおり持ってくるか、それとも川村あたりを使うかがキーになりそう。
 SABE「初体験白書」(久保書店)が再版されていたのでSABEページに情報を追加しておく。従来は上下巻に分かれていたのが1冊になり、判型がA5からB6に変わったって感じ。旧版の「初体験白書」16作品に、「あばよMY BABYぶっちぎり」収録作品が3作ほど再録されている。

【雑誌】ヤングアニマル 11/13 No.21 白泉社 B5中
 なぜか掲載されているプロ野球実録モノ、川上憲伸物語「全力投球!」(作:中村仁+画:みさわ哲也)が、この雑誌ではどうにも浮いているような気がする。三浦建太郎「ベルセルク」は、キャスカを再び取り戻すためガッツがまた旅立つか、って感じ。といっても旅立たなければ何も始まらないんだけど。二宮ひかる「ナイーヴ」。いつもの調子でかわりばえはしないのだけど、いつもの調子で面白い。麻衣子の身体はペターッと平らな感じだが、内から匂い立つような色っぽさがある。ペタペタ触ると気持ちよさそう。

【雑誌】ドルフィン 12月号 司書房 B5中
 裏表紙の「テレマ○コプレイ」の広告がいつも下品。ドルフィン掲載作品は全体にヒロインの乳が大きく、年齢層もちょっと高めな感じがする。
 天崎かんな「卒論のススメ」。男日照りの女助教授が、生徒にいたずらされてメロメロにされるという話。成熟した女の色気がムンムンでいやらしい。草津てるにょ「バイバイゲーム」。実用系のエロ漫画家としては最近注目。今回のお話は、元はデパートのオーナーだった親の借金のかたとして、デパートのエレベーターガール兼、現オーナーの性奴隷をさせられているヒロインの話。デパートの取引先のエロオヤジの接待のために、肉体奉仕させられるあたりがいやらしい。この人の描く乳はテラテラとした光沢感がいい。みやびつづる「艶母」。今回は時間が足りなかったせいかペン入れまでしか終わっていなくて、やけに白い。それだけでもべっとりとしたいやらしさはあるのだが。鉛筆描きのままよりはマシだが、単行本収録時はちゃんと仕上げもしてもらいたい。
 KASHIみちのく「610 MUTO」は家庭教師のセンセイが、バイト先の母娘で親子どんぶり。この人の作品はいつもバツグンに楽しそう。ちょっとゆるめの体つきとか、丸っこい舌とかの描き方も特徴的。

【雑誌】Natural Hi VOL.40 富士美出版 B5中
 小林少年「脳天BIZARREチョップ」。メイドさんの乳がデカくて、責めも液体が多くていやらしい。ひぢりれい「I.T.O」。絵のうまさは相変わらず。赤らんだ頬の感じがいい。矢凪まさしの新連載「カワイイ女と呼ばれたい」。たぶん女装少年じゃないかなーと思われる、かわいい女の子のかっこうをした子が、生徒会長のおねーさんをよがらせまくるというお話。ちょっとアニメっぽく親しみやすい画風が持ち味。ゆいし「CUE」。乳のデッカイ、アンミラ系のウエイトレスさんが陰部におもちゃを突っ込まれて店に立たされるという羞恥プレイはそそるのだが、ずっと服を着たままなのは残念。できれば生乳も見たい。

【単行本】「岸和田博士の科学的愛情」12巻 トニーたけざき 講談社 A5
 これにて似非科学的マッドサイエンティスト大暴れ、一大痛快娯楽作品も完結。ギャグもお色気も非常に強引だが、正面から常軌を逸したことを断定し、白いものでも強引に黒にしてしまうような作風は、妙な説得力があって楽しかった。緻密でむっちゃくちゃうまい絵も、読者が有無をいうのを圧殺するのに一役買っていた。思った以上に長い作品になったが、幕の引き方はなかなかうまかったと思う。あー、楽しかった。

【単行本】「スカタン天国」2巻 北道正幸 講談社 B6
 ペンのタッチが美しいスッキリした気持ちのいい絵で、パワフルなギャグをテンポよく展開しているのはいつもどおり。この巻もリカが大活躍。リカの親父や定吉の活躍シーンが減っているのはちと残念ではあるが。爆笑するかっていうとそうでもないんだけど、いちいちオタクごころをくすぐってくる巧みさは見事。毎度毎度手を変え品を変え、細部も手が込んでいる。

【単行本】「EDEN」2巻 遠藤浩輝 講談社 B6
 連載で読んでいるときはもの足りなく思えていた「EDEN」だけど、単行本でまとめて読むともともとがっちり描かれている作品だけに読みごたえがある。連載が終わるころ、また読み返してみるとさらに面白く感じられるかも。


10/22(木)……こどもちゃんでCue!

 ぱふ別冊「コミック・ファン」編集部から、「12月に出る号で98年まんがベスト10をやるので投票してくれないか」とのメールが来る。このホームページを見てメールをくれたようなのだが、ほかの漫画系Webページの作者さんにもお声がかかっているのだろうか? 漫画にランクづけすること自体に意味は大してないが、お祭りみたいなもんだし、面白い作品の名前が出る機会が増えるというのは悪いことじゃないとは思うので協力することにした。6作品を選んで投票するとのことなのだが、何を選ぼうかな〜。3作品くらいは決まったけれどあとをどうするか悩む。面白かった作品をリストアップしていくと、とてもじゃないが六つじゃ収まりきんないし。投票期限ギリギリまで悩んでみるつもり。

【雑誌】COMIC CUE Vol.5 イースト・プレス B5平
 出た。漫画好きは必読っていうか、デフォルトで読むでしょって感じである。今回は子供特集。つまりロリータだ!……というのはウソで、要するに「子供の出てくる漫画」特集である。童心を描く的作品が多くなっているが、そこはクセモノ揃いのこの雑誌。単純にノスタルジックな作品にするのではなく、一筋縄ではいかない仕掛けを施している。
 掲載作で最もスゴイと思ったのが、古屋兎丸の約50ページの力作「月の書」。この人は小技も非常にうまいのだが、センスオブワンダーあふれる奥行きのある作品も十分描ける人だということを思い知らされる。脱帽。高い城のある町から週に一度、「悪魔の島」と呼ばれる島に少女を乗せた船が着く。その島には錬金術師である「先生」と、その弟子である14歳の少年、アデルが住んでいる。島に着いた少女はアデルの手により少女の「原質」を抽出され、その後、先生の手で「大調理」を施される。大調理が行われると、そこには「賢者の石」が生成され、賢者の石を胸に宿した少女は「月の部屋」に運び込まれそこで眠りにつく。少女はぴくりともしないが死んだわけではなく、賢者の石を胸に宿したまま永遠に眠り続ける。この島ではこういった作業が500年あまりもの間繰り返されてきた。この秘儀の意味を縦糸、アデルと島に流れ着いた少女・リタとの触れ合いを横糸に物語は描かれる。錬金術の秘儀の不思議、賢者の石を胸に抱いて眠る少女の清浄な姿、アデルとリタの初恋に似た触れ合いと悲しい別れ、そしてラストの壮大さ。単行本何冊分かにしても惜しくないほどの材料を、贅沢に詰め込んだ重厚感。こりゃすげえわ。非常に大粒な面白さである。読み逃すべからず。これを読むためだけでも本体897円+消費税は高くない。
 すぎむらしんいち「小林君」。仲よし三人組に、今まで一度も口をきいたことのないよわっちそうな小林君が話しかけてくる。自分は転校するのだがそれに当たって、宝の地図を三人に授けるとの由。ガキどもの馬鹿さ加減が楽しい作品。ただ、自分でも「短編は難しい」といってるだけあって、いつもほどのキレではない。南Q太「ひみつの日記帳」。イジメられっこの女の子・ゆかりちゃんと、ただ一人の親友であるいとこのひろこちゃんのお話。ゆかりちゃんは感情をほとんど出さない女の子で、お話も淡々と進む。しかし、微妙にしか変わらない表情でもきっちりその裏に潜む感情を、実に手際よく描き出している。久々に見た園山二美。「夜の時間」。主人公の女の子が抱く、時間というものに対する疑問がSFチックでいいところをついている。寺田克也「6時のサイレンでぼくらは走って家に帰るのだ」は、青と黄色の2色カラー。この色使いが、何やら色褪せた「いつでもないけど懐かしいあの頃」という時間を感じさせる。絵もいつもながらに非常にうまい。誌面をパッと眺めたときの雰囲気がすごくかっこいい作品。
 江口寿史「岡本綾」。江口寿史はCOMIC P!でもそうだったけど、無理にギャグをやろうとしていないときはかなりいいと思う。この作品も良かった。ある日を境に、祖母が日に日に若返っていく。その現象は世界中で起きていた。日を追うごとにどんどん若くなっていき、老婆が最後には幼女になってしまう。動物の場合は若化(というべきか)の進行が早く、最後には胎児となり消えていく。その消滅によって予感させられる若返りによる世界の終わり。それはゆるやかに、そして静かに近づいてくる。若返りによって、冬に再び咲いたキンモクセイの香りに包まれながら。8ページとページ数こそ少ないが、美しくまとまっている。静寂さをたたえたラストシーンが印象的。黒田硫黄「THE WORLD CUP 1962」。相変わらずの筆描きの描線で黒々とした画面が、独特の雰囲気を醸し出している。1960年代の下町を舞台に、ヤクザっぽい寺主に「野良犬」と呼び捨てられこきつかわれている少年・小林が、イジメられっこの少女・亀子を守ろうとはた迷惑な努力をする。寺主と小林の会話など、ネームのテンポが実に軽妙。ラストは寺主からたくされた巨大ロボットに乗り込んだ小林と亀子が、人類滅亡後の地球をのし歩くという調子っぱずれな展開。読んでて非常に楽しい。よしもとよしとも「エリーゼのために」はなんか読んだことあるような作品だなーと思っていたら、「よしもとよしとも珠玉短編集」に収録された作品の再録。巻末は「PURE TRANCE」で名を上げた、水野純子「こどもルーム」。描線自体は一見かわいらしげだが、どうにも不健康な毒々しい極彩色、そして残酷な描写。かわいらしさとグロテスクさの共存する特異な作風で、この個性的な雑誌を見事に締めくくっている。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 11/5 No.48 秋田書店 B5平
 西条真二「鉄鍋のジャン!」は、セレーヌ楊vs.黄蘭青戦がスタート。楊がいつになく気合い入りまくりである。馬場民雄「大介ゴール!」。大介に海外留学の話が持ち上がる。もうちょっと運動量がないと、世界のサッカーではツライと思うんだが……。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」は、ゴードンとバロンがいよいよあいまみえる。決闘の舞台はエジプトはピラミッドの前。スフィンクスとかぶっこわしちゃうんだろうなあ。

【雑誌】モーニング 11/5 No.47 講談社 B5中
 かわぐちかいじ「沈黙の艦隊〜海江田四郎青春譜〜瑠璃の波風」が毎号連載に。う〜ん、雑誌全体がどんどん保守的になってきているなあ。井上雄彦「バガボンド」。おつう登場。あと、武蔵を憎む、又八のおばばも。王欣太「蒼天航路」は、孫策死す。なんか非常に派手に血を噴きまくりの壮絶な死にっぷりだ。木葉功一「キリコ」。遊佐に貫禄がだいぶついてきた感じ。ヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」では、オグリに元アメリカ代表の新メンバー加入?ってところ。大きな戦力になりそうな外人さんである。

【雑誌】ヤングジャンプ 11/5 No.47 集英社 B5中
 どうにも面白い作品が見当たらない。次号に江口寿史「うなじ」が掲載されるという予告が一番の注目。作:夢枕獏+画:くつぎけんいち「怪男児」がプレ新連載読切前編。巨体で筋骨隆々、朴訥とした物腰なのだが、もんもんとした欲情をその身体に秘めた超ヘビー級高校生のお話。これはわりと読める。

【雑誌】ヤングサンデー 11/5 No.47 小学館 B5中
 いわしげ孝「新・花マル伝」は、木元vs.花田の対戦実現に向け、両方ともあと一人倒せばという状況に。高校生になって体格が良くなったので、今までのスピード感に重量感も加わってさらに力強さが増した。竹下堅次朗「カケル」は、京都編終了。わりとあっさり。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。最終ページの柱の文句が、「次号、怒濤!!!」とのことで、いやがおうにも期待が高まる。楽しみ〜。


10/21(水)……ブルー・スリー

「創作関連の話とか、なんだかいろいろと青臭い話をしよう!」という趣旨で、月下工房#書評系のサイトウマサトクさん、ガソリンのSAI2COさん、そして俺の3人で飲む。場所は読書人の聖地、神保町。もともと、なんだか意見の合いがちな3人であるだけに、いろいろと青臭い部分で意見の一致を見る。話題の中心は、読書やら創作の基本スタンスについてが主。結局いつの間にやら0時近くまで4時間以上も場所を変えもせず飲みつつ語りまくっていたが、あっという間に時が過ぎた。コアな話ってやっぱ楽しいや。というわけで、楽しかったんでまたそのうち飲みましょう!

【雑誌】週刊少年サンデー 11/4 No.47 小学館 B5平
 細野不二彦「どっきりドクター」が、TVアニメ化ということで特別読切が掲載されている。なんで今ごろ「どっきりドクター」なのかって気もするが。そういえば細野不二彦って、昔は少年サンデーがメインフィールドたったんだよなあ。満田拓也「MAJOR」。吾郎は無事高校合格。早いとこ、野球をバリバリやってほしいところ。

【雑誌】週刊少年マガジン 11/4 No.47 講談社 B5平
「A・Iがとまらない」の赤松健が新連載。タイトルは「ラブひな」。サブタイトルに「美少女わんさかコメディ」とあるが、まさにそのとおり。祖母の経営している旅館を訪れた東大志望の少年だが、そこが実は女子高の寮になっていると知る。で、祖母により寮の管理人になるよう命令されるが……という話。絵といい、話といいバツグンにヌルいラブコメ。「BOYS BE...」ほどにはあざとくもなく、良くも悪くもあっさり味(ラブコメ臭は濃厚)。かなり都合良く女の子がバシバシ出てくるようなので、まあ好きな人は読んどけーって感じ。森川ジョージ「はじめの一歩」。鴨川vs.外人さんの試合が決着。それにしてもムチャするなあ。激しく根性が入ってて面白かった。というわけでそろそろ現代編に戻ってくれると思う。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 11/4 No.14 講談社 B5中
 最近のUppersは、イマイチパワーが足りない感じがする。このままだとあんまり面白くないなあ。今回のおっぱいイラスト、「E-Oppers」は村枝賢一。「俺たちのフィールド」が終わったと思ったら、今度はUppersの次号から西部劇モノの新連載を始めるとのこと。あと次号では町野変丸も登場するらしい。「0リー打越くん!!」第2回。滑りだしはまずまず。女の子がなまめかしい色気があっていい。玉置勉強「恋人プレイ」は、単行本1巻が11月9日発売とのこと。毎回読んでいるけど楽しみ。

【単行本】「蒼天航路」14巻 王欣太(原案:李學仁) 講談社 B6
 曹操vs.袁紹の決戦序盤。自信満々で攻め立ててくる袁紹だが、曹操だけでなく袁紹もきっちりかっこよく描かれているのは好感が持てる。曹操に負けたとはいっても、ひとかどの人物ではあったと思うので。でも、やっぱり最初のころの水晶とかの話と比べると、おおまかな部分で展開の予想がある程度ついてしまうのでインパクトはちと弱くなってきている感じはする。

【単行本】「17」 町野変丸 太田出版 A5
 町野変丸17冊めの単行本とのこと。今回は短めの作品が主に収録されている。いつものノリではあるのだが、あんまりこちらの予想を上回るほどの作品はなかった。一話一話が短めなのも原因かもしれない。町野変丸ページには明日あたりにでも追加する予定。今は酔っ払ってるので手の込んだことはできないのだ。


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