◆ 1999年2月下旬 ◆

2/21〜28
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2/28(日)……ヨーロンの瀧

 土日はずっと会社にいたので、おうちにたまっている漫画が読めず。そんなわけで会社に備蓄しておいた単行本を心の支えにしながらダラダラと仕事をやったりサボったり、ドラクエモンスターズをしたりする俺だ。そんなんだから仕事が終わらないし家にも帰れないんだよな。

【単行本】「東洋妖人伝 用神坊」8巻 いとう杏六 秋田書店 新書判
 これが最終巻。うさん臭くてがめつく、でも腕前は抜群(?)の占師のYOさんが、護符やら何やら怪しい道具を持ち出してきて、客の依頼に応えたり、自分の私利私欲を満たしたりするというドタバタもの。画風は脂っこくてクセがあるのだけど、ペンタッチが鋭く仕上げがきれいなので、意外とサッパリしている。表現は濃厚でありながら、テンポ良く鮮やか軽やかにお話を進め、毎回手堅く読ませてくれた。こういう異能者がその能力を生かして活躍する物語のわりに説教臭くないところも好感が持てる。

【単行本】「龍」21巻 村上もとか 小学館 B6
 記憶を失い、中国の片田舎の姉弟に拾われた龍が、彼らと生活しながらじょじょに記憶を取り戻していく。そして、日本ではていが天才映画監督の山名のもと、女優としてさらなる成長を遂げていくが、戦争の暗い影は映画業界にも迫りつつあった……といった感じの展開。さすがに21巻ともなるとこれまでの巻の感想に付け加えるべきことはとくにないが、格調高く骨太なストーリー展開で、やはり読まされてしまう。完結までにあとどれくらいかかるかよく分からないが、ここまで来たら焦らずじっくりと完成させてもらいたい。

【単行本】「まちこSHINING」2巻 藤野美奈子 小学館 B6
 輝くスターを目指して上京した天然少女、花田まちこがすっとぼけた活躍をするコメディ。主人公たちのちょっと行き過ぎた思い込みによってゴロゴロと話が転がっていき、気がつくととんでもない地点に到達してしまうのが藤野美奈子の味だったりするのだが、この作品はいまいち乗れないままだった。のどかですっとぼけていて、ときおりクスリと笑わされるシーンはあるのだが、逸脱ぶりがなんだか生やさしい感じがする。


2/27(土)……ロミオとクレジット

 NIFTY SERVEにアクセスしようとしたら、クレジットカードの有効期限が切れているということで蹴られてしまう。登録情報の変更手続きはしたが、サービスの提供の再開は2〜3日後になるとのこと。要するに2〜3日はアクセスできないってことだ。まあ最近はNIFTY SERVEではあんまり発言してないし、回るフォーラムも減ってきたので実害はそれほどないからいいんだけど。どっちにしろ今は休日出勤中だし。
 今使っているインターネットサービスプロバイダのAIRnetのほうは「クレジットカードの有効期限が来ているので登録し直してくれ」というお知らせを送ってきてくれていたのだが、NIFTY SERVEのほうはそういうのがまったくなかったのですっかり忘れていた。うかつ。でもNIFTY SERVEも警告メッセージくらい送ってくれてもよかろうもんだと思うのだが。

【雑誌】コーラス 4月号 集英社 B5平
 よしまさこ「1丁目の楽園」。ほのぼのとしたエッセイ漫画。ぽかぽかした雰囲気が楽しい。力を抜いた作風なので肩が凝らずに楽しめる。くらもちふさこ「天然コケッコー」は右田家に赤ちゃんが預けられて、そよがいろいろ世話を焼いたりするお話。線の数は必要最低限なんだけど、一本一本に意味があって見事なり。もんでんあきこ「竜の結晶」は最終回。ラストは案外アッサリ。女ヴァーリトゥード闘士による恋愛漫画というなんともぶっ飛んだ設定でなんだか楽しみだった。いたって真剣なのだが、けっこうすごい異世界でもある。そのだつくし「女の花道」。ノリノリでパワフルで馬鹿で、かつ適度に力が抜けている。カラリと楽しめる作品。吉田まゆみ「くしゃみ3回」。ルルの演歌仕事も恋もうまく行き始めてしまう。ガッチリした読みごたえがあって好き。コーラスでは一番楽しみな作品。やまじえびね「お天気といっしょ」は、静止したテンポというか、紙芝居のような展開が独特でやはり目につく。雑誌の中にあっても、この作品はスピードがまったく違う。

【雑誌】漫画サンデーフォアマン 3/12 No.5 実業之日本社 B5中
 カサギヒロシ「クマロボ」。暴れまくるクマロボの前に、ついに対抗兵器が投入される。その正体は……。常に情けないギャグを入れていく、混沌とした展開が楽しい。泥臭いながらも力が抜けて、ときに艶っぽい画風も好き。あんまり大向こう受けする作風ではないんだけど、俺はかなり好きな漫画家さんだ。東陽片岡「東陽片岡人生劇場」。浮浪者化したおっちゃんたちが、寒さを逃れるため下水道の中に住もうとする。どんな環境でも住めば都としてしまう、根っからの現状肯定的幸福感が素晴らしい。開き直ってしまった彼らのポジティブさは、細かいことでグダグダ悩んでいる人間にとってはなんだかとてもうらやましい。

【単行本】「頼りにしてます。」 作:神尾龍+画:中原裕 小学館 B6
 高校時代、天才投手として母校を県大会優勝に導いたが、暴力事件を起こして出場停止に追いやった男、花村大吉。実力は抜群だが、破天荒な性格の彼は付き合っていたバーのホステスと一緒にトンズラする。その10年後、父の血を受け継いだ天才少年、悟郎を連れて大吉が帰ってくる。悟郎は父と違って性格もいいし素直で品行方正。「頼りにしてます。」は、この二人(というか大吉)が、各方面に騒動を巻き起こすドタバタコメディである。
 中原裕の絵は、少年サンデーで連載されていた「ぶっちぎり!」のころから好きだった。描線が素直で、かつ見せ場では迫力のある描写もできる。あっさりとしているが、どんなキャラクターもしっかりと描きこなす実力には確かなモノがある。さほど派手ではないのだが、いい仕事をしているのだ。「頼りにしてます。」では、ハチャメチャでちゃらんぽらんだけどカラッと明るく憎めない大吉のキャラクターがいい。見ていてなんとも楽しくなってくる。あと、投手が投げているところのフォームもしなやかでかっこよくて好き。たしかな画力と、嫌味がなく楽しいネーム。最近の中原裕は「奈緒子」のイメージが強いが、コメディを描かせてもうまいってことが分かる。

【単行本】「バロン・ゴング・バトル」6巻 田口雅之 秋田書店 新書判
 バロンとゴードンの闘いがスタート。無駄なくらい力強かったり色っぽかったりする、豪快・痛快な作風が実にスカッとする。抜群に男臭い。バロン・ゴングの「くそ」スピーキングも健在。それからこの巻の見どころはシンディ危機一髪のシーン。ヒロインがああいう目に遭って、なおかつ助かってしまうというダイナミックさはなんとも味わい深い。太い漫画である。


2/26(金)……黒猫やまとのFuck You便

 今月は28日までしかなく、28日が日曜であるため、月末発売の本のほとんどが今日出ていた。買うモノが多すぎて困る。ここのところ、仕事の都合で会社に2泊ほどしていたのだが、その間に買った本が会社に山ほどたまってしまった。正直いって3日くらいに分けないと持って帰れる分量でなかったため、ついに会社から宅急便を利用。もちろん会社の経費を使っている。正確な数は勘定していないが、この3日で買った本の量は、40cm角くらいの立方体の段ボール1杯+デイパック1杯分くらいになってしまった。雑誌がおそらく20〜30冊くらい、単行本も同じ程度だと思う。まとまって出すぎ。ちなみに黒猫やまとは蜃気郎の妹。

 あと、20日の日記の逆柱いみり「夢之香港旅行」の項で書いた付録CDの件だが、予約者のみの特典だったらしい。

【雑誌】コミックバーズ 4月号 スコラ B5平
 収録作品かい? コミックバーズのページを見てくんな!
 きくち正太「きりきり亭のぶら雲先生」。今回は魚屋の娘、はまちが主役。前からお話にはちょいちょい登場していて、元気できっぷのいいキャラクターがわりと気に入っていたので、今回は登場シーンが多く満足。作:夢枕獏+画:板垣恵介「餓狼伝」は猪木的レスラー、巽の若いころの武勇伝を描く。圧倒的に強くて激しくてかっこよかった。吉田戦車「スカートさん」は、力の抜けたほどほどのギャグがしみじみくすぐってきていい案配。安心して読める。ともち「愛をあげよう」は、正午と弥生がデートする。甘っちょろいお話で幸せでヌルくて楽しいなあ。ともちの作品のいやみのなさは大したものだ。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 4月号 少年画報社 B5中
 犬上すくね「3丁目の夏'99」は、彗星の衝突により滅亡することがもう分かっている地球で、恋人たちが静かに送る男の誕生日。8ページでフルカラー。静かに終わりを待つ、そのはかなさをバックグラウンドに漂わせつつ恋人たちの日常が暖かく描写される。爽やかに読めるいい作品。平野耕太「ヘルシング」は久々の登場。ノリの良いセリフ、大仰なアングル、黒々とした画面が今回も絶好調。文句なし。かっこいい。

【雑誌】ヤングアニマル 3/12 No.5 白泉社 B5中
 克・亜樹「ふたりエッチ」は、ゆらさんが真に焼き餅を焼いたりと、なんとも罪も他愛もない展開。読んでいると頭が軽くなっていく感じがたいへんよろしいと思う。山口よしのぶ「名物!たびてつ友の会」は、またしても食い物がうまそう。食いてえ〜。宇仁田ゆみ「ノドノビリビリ」。レコード店の店員が、ある日店にやってきた女の子の声とルックスに、電撃的に一目ぼれ。しかし、その女の子「イルカ」は20年前から今のまんまだという噂があって……という感じのお話。単純だけどスタイリッシュで、かつ温かな雰囲気を持った絵柄、それからちょっと青臭く絶妙にヌルいお話で面白かった。今号のアニマルでは一番の注目。こいずみまり「コイズミ学習ブック」は、掲示板のご本人の書き込み(#1214)にあるとおり、「コイズミ学習ブック」に改題して再スタート。でもやってることはいつもどおりなのだった。

【雑誌】快楽天 4月号 ワニマガジン B5中
 OKAMA「スクール」が巻頭カラー。メイドと、主人公のまとわりついてくる女の子がカラッと明るくてかわいかった。いつになく分かりやすいお話なんで、今までのOKAMAが好きな人にはちともの足りないところがあるやもしれないけど、これはこれでかわいい絵の魅力が十分発揮されていていい感じだと思う。陽気婢「自滅するわたし」は、冴えない漫画家と宗教の勧誘員のかわいい女の子のお話。最近の陽気婢はいまいちガツンとくるような作品がないが、これもまた陽気婢としてはかなりフツーの出来。も少し新しい境地にチャレンジしてくれるといいのだが。絵は文句なく好きなので。かるま龍狼「ゴローダイナマイ!」。エロとギャグの配合比率、バランスの取り方が絶妙。いいセンスしてるなあ。伊藤真美「LAD:UNA」が再登場。細いけど芯の強さを感じさせる描線で描き込まれた絵がとてもうまい。商売女の哀愁と切ない想いが伝わってきて面白かった。月野定規「はっぴ〜はいつ」。隣の部屋に聞こえちゃうかもしれないという状況なのに、男のテクニックの前に思わず大きな声を出してしまう女の子の表情がダイナミックでかわいらしかった。うらまっく「いたってノーマル」。毎回コンスタントにうまい。画面の静寂な雰囲気とか、なんとなく南Q太のゾーンに近づきつつあるようにも思える。CUTiE comicで描いても案外ハマるかもしれない。

【雑誌】COLORFUL萬福星 Vol.4 ビブロス B5平
 高橋しんと平田弘史のインタビュー収録。平田弘史は、普通の人みたいに「Windowsも悪くないけど僕はMacのほうが……」などとヌルいこといわずに、「Macでなきゃダメだ」と言い放つ気概が頼もしい。巌のごとき一念が力強い。Mac×Windows論争って正直いって俺にはどうでもいいんだけど、今のような状況にいたっては正直なところ最初にどっちを使うかって問題のような気もするなあ。俺なんか文章入力とパソコン通信、インターネットくらいしか普段はやらないわけだから、極端な話DOS環境でも全然困らないし。BeOSなんかもまた一興。
 飯閃澪「YURA〜YURA〜Sis.」。親の再婚で兄妹になった二人が家族旅行で海に行ったときに、乗っていたボートが流されてしまう。そのボートの上で妹が兄に迫るというお話。肌の質感が出ていたのと、読みやすくて甘めのストーリーが良かった。森林林檎「禁忌【タブー】」。この人の漫画読んだのすごく久しぶり。6ページと短く、さほど面白くはなかったけど。ちなみに巻頭のカラーイラストにはWoody-RINNも登場。月角「SYS」。いつもの幼女体型の女の子が出てくるのだが、年齢を見てびっくり。そうか、月角も育った女の子を描くように……(描いてないって)。快楽天に載っていた月野定規がこちらにも出現。タイトルは「おいしいお仕事」。高給につられて家政婦に申し込んだおねーちゃんが、その家の子供たちにさんざんいたずらをされるというお話。コンピュータを使っているせいか、快楽天掲載作とは若干タッチが違う。描いた時期が異なるのかもしれない。こちらは洗練された涼しげな絵柄と、子供にイカされまくるおねーちゃんがかわいくて良かった。粟岳高弘「隣星1.3パーセク」はのんびりとした雰囲気と、CGのわりに光沢感のない土っぽさのある画面が気持ちいい。あと、おかのはじめ「予定調和のAccident」は風景描写等のCGが美しい感じなので、できればカラーで読みたかったところ。ちなみに最後のオチはタイトルと関係あるのかな?
 コンピュータはあくまで画材なんだからそんなに強調しなくてもいいとは思うのだけど、せっかくフルCGを売りにしているんだから、いっそのことすべての作品について欄外かなんかに制作環境を書いておくと、CGを学びたい人にとっていい資料となるかもしれない。

【雑誌】ラッツ 4月号 司書房 B5中
 まずは巻頭カラー、MGジョー「〜とりこ〜」がいやらしい。豪家の奥様に拾われた少年が、座敷の便所で奥様の排泄後の処理をするために飼われている。身も心も奥様に捧げていた少年の想いがある日爆発して……というお話。和服姿の奥様、その侍女に和風のねっちりしたいやらしさがあってとても良かった。少年の召し使い的な口調も雰囲気があっていい。ただ、オチでコミカルにしちゃっているのは雰囲気が崩れる感じでちょっと惜しい意。かかし朝浩「全裸の王女」は描線が骨太で直線的なのがエロ漫画系では珍しい。少年漫画的文法でダイナミックな構図で描かれる作風はけっこう好き。ちゃんとラブコメ風味もちりばめながらやることはやってるし。桂よしひろ「MY LITTLE LOVER」は、童顔の女教師と生徒のラブストーリーなのだが、彼らが付き合っていることが校長たちにバレる。生徒をかばうため、女教師は校長たちの凌辱に身を任せるが……というお話。中学生女子みたいにちっちゃくてウブな女教師がかわいらしい。とくに変態教師にアニメのコスプレをさせられて凌辱されるあたり。ペンタッチがわりと細かく、キュートでありながら哀感のある描写が良かった。

【雑誌】東京H 4月号 一水社 B5平
 全体的に実用重視で頼もしい誌面。
 巻頭カラーはゼロの者「仮想H」。兄が外出中の部屋で、オナニーにふける妹のお話。柔らかそうな乳の描写が秀逸。ぱっつんぱっつんとした整ったおわん型の形状ではなく、レモンみたいな感じで微妙なくびれがある。そこらへんの生っぽさ、質感が魅力。美女木ジャンクション「淋しい女」は、一見カタブツだけどすごくグラマーな女教師が実は男に餓えていて、毎日彼女のことを遠巻きになめ回すように見つめる同僚の教師が襲いかかってくるのを待っている。セーターの上なのに乳首が浮き出てくるような、過剰な描写がいい。汗をぬるぬるとかきまくった汁気の多いSEXシーンも迫力がある。沙村広明はいつもの嗜虐的なイラスト2ページのほかに、ゲームキャラに関するエッセイを1ページ執筆。それにしてもこの人のSM系イラストはため息が出るようなうまさだ。友永和の女教師凌辱長期連載「MOMONE」がついに最終回。いまいちもの足りないラスト。ただ、友永和の場合はストーリー作り自体は大したことがなく、エロシーンの描写力が生命線みたいな人だから、お話の完成度的には最初からあんまり期待していない。そのときどきで実用的であればそれでいいかな、と思う。
 危険思想「若奥様調教生活物語」。CGによる作画はスタイリッシュに完成されていてなかなか魅力的。頭よりデカい乳、乳首やらクリトリスのアップといった構図もなかなか過剰で良かった。MASAAKI「青空だけど、迷宮入り」。細くて細かいペンタッチにオリジナリティがあってかなりうまい。なんかアオリ文句には「打倒ハイエンド系」という文字が踊っているが、すでに倒れてしまっているような概念を打倒してどうすんのかいなという気がした。ゴブリン「理奈ちゃんを見に行こう!」は、人権なんぞハナから無視して幼女に中出ししまくって責め抜く悪意たっぷりの作風に相変わらず慄然とする。ただ今回の責めはいつもよりヌルめかな。やはり5日で1000発くらい中出しして、地面に固定された張り型で串刺しにしてこそゴブリンだ。


2/25(木)……リビドミー!リビドユー!バッバッ

 なんとなく参戦していたReadMe!JAPANだが、なんとなく撤退。とくにイヤなことがあったとかそんなんではなくて、そのうちプロバイダを変えるとかするかもしれないし、登録関係は少ないほうがスッキリするような気がしたのだ。だいたい自分がどのくらいの順位になるかは分かったし(だいたい50位〜60位台後半くらい)。また気が向いたら参戦するかもしれないが、今はなんとなく気が向かないのだ。

【雑誌】アフタヌーン 4月号 講談社 B5平
 鬼頭莫宏「なるたる」は今号も2話掲載でさらに巻頭カラー。アキラがナイフ少年の姿に迫ろうとするが……といった感じで、どんどん緊迫感が高まってきている。あとアキラが色っぽくていい。遠藤浩輝「EDEN」は、今回かなり痛々しい展開。甘えのないストーリー展開と表現。最近だいぶ面白くなってきた。みんなが幸せでは終われない、そんな世界を実に冷静な目で描き出している。芦奈野ひとし「ヨコハマ買い出し紀行」。この人は印象的な1ページ、1コマを作る演出が非常にうまい。今回も読んでいてすごく気持ちが良かった。たまには「ヨコハマ〜」以外の作品も読んでみたいところ。一度読切描いてくれないかなあ。沙村広明「無限の住人」は、お得意の縛り&拷問シーン。沙村広明の無残絵は色っぽくてすごくいいなあ。
 小原愼司「菫画報」。今回はたいへん素晴らしかった。スミレの私立探偵編なのだが、スミレが依頼された事件に巻き込まれて人々の見ている月の秘密に近づいてしまう。言葉の一言一言からしみわたってくるセンスオブワンダー。それからいつもよりもクールな描写。ああかっこいい。あさりよしとお「ワッハマン」は今回で最終回。何も考えていないかに見えるワッハマンの背負った業と、そして彼に与えられた最後の贈り物。切なく哀しく、そして最後に心暖まる物語だった。とても面白かった。高山和雅「電夢時空2」も最終回。こちらは最後まで乗れなかった。こうやって連載作品が終わるってことは、次の作品が始まる前兆でもあるので、前の作品が終わるのはちと寂しくはあってもそれとはまた別に楽しみな気持ちでもある俺なのだ。四季賞冬のコンテストでかわぐちかいじ特別賞を受賞したなかがわ靖「マラソン」は、自分の先輩が高校駅伝で走っている姿を見て深い感銘を受けた少年が陸上部に入部しマラソンを始めるというお話。といっても、ガシガシ練習して速くなるというタイプの作品ではなく、マラソンを中心として先輩や主人公が成長していく姿を描く青春物語である。熱くなりすぎずクールになりすぎもしない、抑えの利いた作風はわりと好み。線はもうちょっと細かいほうが好きだが、ペンタッチ自体は好きなタイプ。土っぽい感じを受ける描画。絵柄的に似ている人を挙げるとしたら、はやせ淳とか秋月めぐるとかそこらへん。まだ大ざっぱなところもあるが、たくさん作品を描いていくとけっこううまくなるんじゃなかろうか。

【雑誌】ヤングサンデー 3/11 No.13 小学館 B5中
 山田玲司「アガペイズ」は関東大会第三試合(第三回戦ではないのだろうか)。ということは九星高校が狙っていたのは選抜高校野球大会だったわけか。今まで全然気にしてなかった。陸中蛇も転校してきちゃうし(たぶんルール違反)、相変わらずインチキ臭い。それでいながらけっこう面白く読めちゃう。遊人「桜通信」。またしてもすさまじくご都合主義な展開に呆然。しかも、神社の目の前で裸エプロン。う〜ん、この漫画の馬鹿さ加減は本当にスゴイ。竹下堅次朗「カケル」。今回は女王玲子のエピソードの模様。こういうお嬢様的脇役キャラは好きだなあ。高飛車なんだけど、案外寂しがり屋だったりいじらしかったりするところが。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」は、死体のゴロゴロ転がる街を行くトシ、モン、マリア3人組の間で、トシとマリアの感情的対立が深まる。といったあたりで次号とその次は休載。ちょっとおあずけを食らわされた気分。

【雑誌】モーニング 3/11 No.13 講談社 B5中
 弘兼憲司「部長島耕作」。ワインブームに乗っかってワインの話をやっているのだが、案外と面白い。不覚にも島耕作たちが飲んでいるワインが飲みたくなってしまった。本宮ひろ志「旅の途中」。これまた最近いい。力と力でぶつかり合い、つまらないことは吹っ飛ばしてしまう男っぽさが痛快なのだ。井上雄彦「バガボンド」。毎回絵のクオリティといい、キャラクターの立ち方といい、すごく面白い。本当に、感嘆するうまさ。ヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」は、いよいよ国舞リップス戦に突入。次号あたりから、ヨリやリカコ、そしてヒロコの豪快なボールのぶったたき合いが始まるんだろうなーと思うと胸が高鳴る。冬目景「黒鉄」は今号と次号の2号連続で登場。単行本4巻も出たことだし仕事してるなあ。今回は迅鉄とこすっからいが妙に憎めない殺し屋との二人三脚のお話。王欣太「蒼天航路」は曹操が敵陣に深く分け入って奔放に暴れ回る。怒濤の勢いで押し寄せる兵卒の描写とか迫力があって、最近また盛り上がってきた。

【雑誌】ヤングジャンプ 3/11 No.13 集英社 B5中
 作:夢枕獏+画:くつぎけんいち+脚本:生田正「怪男児」が今回もなかなか良かった。もみ回される乳が色っぽく、出雲の巨砲が痛快。デカいちんちんがバキーンとしている様は、天に向かって伸びていく竹のような爽快さを覚える。そういう意味で、吉田聡の「走れ!!天馬」(スピリッツ掲載作品)とか好きだったのだ。高橋ツトム「ALIVE」。死刑囚二人が閉じ込められている理由が一気に明かされる。もう少し小出しにしたほうがミステリアスで良かったような気もする。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/11 No.14 秋田書店 B5平
 板垣恵介「グラップラー刃牙」。刃牙が激しく逆襲。豪快なぶつかりあいを見ていると胸がすく思い。おおひなたごう「おやつ」は闇なべ編の後編。なかなか豪快なオチだった。見事に読者の予想を裏切ってくれる展開が素晴らしい。樋田和彦「京四郎」。今回は全編カンケリ。非常に無邪気な展開だった。いやー、楽しそうでいいなあ。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」。バロンの根性と漢っぷりが炸裂。魂のぶつかり合いが激しくてかっこいい。男の中の男ですなあ。ヘンだけど。


2/24(水)……ファッキンな2月とぼく

 トップページからこのファイルへのリンクボタンが「2月中旬」になっていたのであわてて訂正。ていうか、実際の世の中の日付のほうを2月中旬に訂正したい気分。今月はちょっと仕事のほうのスケジュールがヤバめなのだ。7月と8月あたりを1日ずつ削って2月を30日にしてくれないもんだろうか、と毎年思うのだが誰もしてくれないようだ。
 あ、そういえばもうグリーンジャンボ宝くじが発売になっているのに買ってなかった。今回は当たるはずなので買っておかねばならない。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/10 No.13 小学館 B5平
 満田拓也「MAJOR」。投手のテストを落とされた吾郎は、さらに大きな可能性をつかむため海堂高校を辞めるよう黒目のないコーチに説得される。なんだかようやくメジャーという言葉が出てきた。このまま辞めちゃうのだろうか。でもまあ海堂は吾郎の奔放な性格には合ってない感じもあるので、そっちのほうが正解だとは思う。でも逃げるみたいでそれも面白くなくはあるのだが。いっそアメリカのハイスクールのほうがかっこいいとは思う。甲子園程度じゃ吾郎には狭すぎって感もあるし。曽田正人「め組の大吾」。大吾の言葉が、言葉の通じないインドネシアの子供の心をも衝き動かす。力強い言葉の連続がかっこよかった。猪熊しのぶ「SALAD DAYS」。今回はこりゃまたすごい。雨の日の捨て猫に優しくする男に惚れる女の子かー。久しぶりに見たぞ、このシチュエーション。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/10 No.13 講談社 B5平
 森川ジョージ「はじめの一歩」は、超接近戦でのガッツンガッツンの殴り合いがスタート。よもや負けるはずがない試合ではあるが、描写のスピード感、力強さでガッチリ読ませる。よくできた作品だ。塀内夏子「Jドリーム完全燃焼編」。鷹がW杯予選中のちょっとした時間を利用して、久しぶりに竹中先生に逢いに行く。竹中先生もついに結婚するということで、ようやく長年の想いにも一つのケリがつく。これでもうあとはサッカーに専念するだけだ。

【雑誌】LaLa 4月号 白泉社 B5平
 なかじ有紀「ビーナスは片想い」は、大学に入って一人暮らしを始めた女の子のキャンパスライフを描くお話の模様。隣に住んでいるおにーちゃんが同じ大学に入っているちょっといい男で、そのにーちゃんの親友がこれまたかっこいい。親友のほうがテニスサークルに入っているので、女の子はおっかけてテニスサークルに入ろうとするが……という展開。斬新なところはないが、なんだかものすごく素直にいかにもなラブコメしているところがかわいらしくて気に入った。津田雅美「彼氏彼女の事情」は、有馬の二面性の悩みが深まったり癒されたり、それから十波が自分の本当の気持ち(まあ予想はついていたが)に気づくという展開。崩した絵のコミカルなシーンと、整った絵の見せ場シーンのコントラストやお話のリズムの作り方が巧み。そのおかげもあってすごく読みやすくて気持ちよく楽しめる。米沢りか「こっぱみじんの恋」。なんか力いっぱい恋愛してていい。このこっぱずかしさがたまらない。米沢りかも少女漫画を読み始めたころはついていけなかったのだが、人間慣れるもんだなあ。

【雑誌】きみとぼく 4月号 ソニー・マガジンズ B5平
 今回は架月弥「チョコの歌」がおやすみ。それでもこの雑誌、けっこう読めるところが多い。なかなか頑張っている雑誌という印象。
 藤原薫「おまえが世界をこわしたいなら」は巻頭カラー。今回はちょっとヌルめの展開。もっとバリバリに緊張感あふれているほうが、この人の絵は生きると思うが、そこらへんはこれからに期待。花樹いちや「Eve」は身体がドロドロに液状化する少女・大虹を中心としたドタバタラブコメ。小猿のような大虹がかわいくて楽しいお話。植木家朗「南北高校番長部」は今回が後編。植木家朗は、崩した絵のかわいらしさとか、端々のギャグ、挿絵などのスタイリッシュな絵にもセンスを感じる描き手さん。ギャグもうまいし、今回みたいな軽めのラブコメも描ける。もっとたくさん作品を読んでみたい人だ。ギャグを描ける人はそのほかのジャンルもこなせることが多いので期待できる。藤枝とおる「レンアイアレルギー」は、カチッとした絵柄と黒々としたペンタッチがビシッと決まっている。読みやすいのも長所。コンスタントに楽しめる作品。みなと鈴「PEARLガーデン」は、バランスのとれた素直な絵柄で好感が持てる。お話はちとガチャガチャしすぎな感もあるけど。リレーエッセイ「ドラマチック・デイズ」。今回は柏屋コッコ。ファンはチェキ。

【雑誌】CUTiE comic 4月号 宝島社 B5平
 なんだかじょじょに作品ごとのクオリティにバラつきが目立ってきたような。とはいえうまい人はコンスタントにとても面白いのでいいんだけど。
 巻頭カラーは小野塚カホリ「好きさ好きさ好きさ」。浮気性の彼氏とのSEXになんだか乗れない女の子のお話。カラーページがぼやけた水彩タッチで美しい。相変わらずの絵のかっこよさでけっこう面白かったが、全体とするとちと読みごたえが足りない。ラストがちょいと中途半端。新連載の第1話めって感じ。続けたほうが面白くなるかも。安野モヨコ「ラブ・マスターX」。今回は不潔なオカルト野郎ハミオの変身の謎を探る。ハミオはこの作品の中では一番好きなキャラクター。かっこよくない姿のほうが好きだったが、展開自体は楽しいのでOK。オーツカヒロキ「愛ラブSHOCK!!」。内容的にはそんなでもないけど、絵が安野モヨコ+吉本蜂矢って感じなのが気になった。南Q太「夢の温度」。たいへん面白い。動きがなく静止した一コマ一コマ、背景がほとんど描かれないクールな画面が、作品全体に不思議な緊張感をもたらしている。動きは少ないが、展開にはメリハリがあるし、画面も整理されていて読みやすい。かわかみじゅんこ「ルーシーはダイヤをもって空へ」は、「ワレワレハ」の番外編。ゆったりとした話の進め方やら、適度に力が抜けた絵柄の感じが読んでいて気持ちいい。魚喃キリコ「南瓜とマヨネーズ」は、そっけなく静謐な線、つや消しな質感が相変わらずかっこよすぎ。


2/23(火)……ギニャ・アズナブル

 いつも使っているカバンのチャックをしめたつもりなのに、気がつくと開けっぱなしになっていることが多いなあと思っていたのだが、なんだかどうもついにチャックがイカれてきたらしい。1800円だかで買ってきたデイパックでたくさんモノが入るので愛用していたのだが、いよいよ酷使に耐えきれなくなってきたらしい。まああんだけむりやりモノを詰め込んでいたので当然といえば当然なんだけど。次は登山用の奴でも買うかなあ。それよりもカートでも導入したほうがいいかもしれない。

【雑誌】フラミンゴ 4月号 三和出版 A5平
 今回は内容がちとヌルい。すでにだいぶ慣れてしまった俺の心は、より激しいものを求めてしまう。最近人体改造系が激しくないのがもの足りない。もっと激しく、もっと畸形に!
 海明寺裕「めしべのアルバム」は後編。K9のさまざまな職業が紹介される。闘犬やらアイドルやらいろいろあるらしい。K9世界もさらに幅が広がってきたなという感じ。天竺浪人「便器」。自分の傷つけた少女が援助交際しているという噂を聞いて、主人公・本山の気持ちは千々に乱れる。今回は人間便器っぽい話はなく、本山と恋人の少女のSEXで終始するが、なんべんやっても満たされない心の描き方はやはりうまいなあ。北原武志「FRIENDS」は最終回。垢抜けない絵で唾の匂いがツーンとする、非常に陰湿なイジメを執拗に描いててものすごく濃厚だったのだが、ラストはやはりこの人らしく強引にハッピーエンドに。それでもめぐみとアキコの結婚式での、身体にクリームを塗りたくってデコレーションされた辱めとかの描写はやはり底意地が悪い。この人のイジメは絵はうまくないけど、表現が丁寧なだけにかえってウッとくるものがある。単行本にまとまんないかな。
 駕籠真太郎「進め陸戦部隊」。いつもの人間戦車もののシリーズではあるのだが、人間戦車を題材にした国策映画と、その演技に人生を賭けた女優の話という構造。駕籠真太郎はかなりの映画マニアらしいが、それだけにいろいろ小技が利いている。ただ今回のはうまくまとまっている反面、大人しい印象を受けてしまう。もう少し激しくグロテスクな展開のほうが好きだ。白井薫範「みちこ 後編:DARK SIDE」。例によってうんこ食わせたりと変態的で、剛毛ゴワゴワ、牛系の女の子たちの濃いお話。でも今回はそれでいながらレズでラブコメ色が強く若干ヌルめ。この人ももっと激しくいってほしいなあ。この作品でも十分濃いし、慣れていない人には十分キッツイしこれだけでお腹いっぱいになっちゃうのかもしれないけど、今までのもっと濃い奴を見ているとこれでもまだ足らんのだ。

【雑誌】ヤングチャンピオン 3/9 No.6 秋田書店 B5中
 富沢ひとし「エイリアン9」。大谷さんが記憶喪失で子供にかえってしまう。大谷さんの記憶とともにエイリアンの巣くう森に置き去りにされたボウグを回収するため、かすみとくみが森へ向かうが……というお話。何やら先生の企みが見え隠れする怪しい展開。穏やかならず。先がなかなか読めず、読者を飽きさせない。あと富沢ひとしって、扉絵がいつもセンスあるなあと思う。村生ミオ「サークルゲーム」。いつまで経ってもつきまとい続けるありさ。操にバレても妄執の炎は燃え盛るばかり。すさまじい濃さ。
 なお、次号で今村夏央という人の新連載が始まるのだが、この絵から察するにおそらくこの人は米倉けんごだなあ。うーん、楽しみ。

【雑誌】ヤングキング 3/15 No.6 少年画報社 B5中
 佐野タカシ「イケてる2人」はコイズミの父親が物語にからんできそうで、怪しげな雲行きになりそうな気配でもあるけど、意外と今回だけかもしれない。まあ今後の展開をのんびりと見守っていこう。吉田聡「荒くれKNIGHT」。かなり骨太な不良モノで読みごたえがある。この人はハードなお話を描くようになったなあ。かっこよくていい。

【単行本】「おれさま!ギニャーズ!!」 すがわらくにゆき 新声社 A5
 カイザーペンギン、ギガテック、ライズと渡り歩いた日記漫画がついに単行本化。力の抜けた絵柄で日常やら非日常やらを、下らなく描写。これでもかと省略された絵柄だけど、その省略の仕方にセンスがあって見てて楽しい。爆笑するというほどのギャグではないが、居心地よくくすぐってくれて、他人の日記を読む楽しさを満喫できる。あとときどき脈絡もなくおっぱじまるエロ漫画とか、短編のストーリー漫画とかが案外いい味。この人の絵で、一度本格的なエロ漫画も一本ものしてもらえるとうれしいなあ。エロ心はけっこう押さえている人だと思う。

【単行本】「あぶない令子先生」3巻 桃山ジロウ 蒼竜社 B6
 むちむちとした淫乱な校医の令子先生がいろいろやったり、やられたりする汁気の多い作品。前2巻では一話完結で令子先生が襲われてよがりまくらされるが、最終的には桁外れの性豪ぶりを発揮して男の精気を吸い取っちゃうといった感じのお話が多かった。今回の巻では「嵐が呼ぶ男」シリーズ全5話を中心に、ヒキの強いお話が多くなってきている。一話完結タイプのほうがスカッとした読みごこちで良かったと思う。令子先生のパワフルさ加減も際立っていたし。とはいえエロシーンの一つ一つは十分にいやらしくて見ごたえあり。体液でテラテラと輝く女体のむっちりした質感はとても色っぽい。


2/22(月)……ああっメガネイバ

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/8 No.13 集英社 B5平
 先週の土曜日くらいに気づいたのだが、実は先週号の少年ジャンプを読み忘れていた。いつも当たり前のように読んでいたので、つい読んだ気になっていたのだ。うかつ。
 今回の号では高橋陽一の新連載「−蹴球伝−フィールドの狼 FW陣!」がスタート。主人公の髪型がどうにも日向小次郎。「キャプテン翼」ワールドユース編みたいな奇天烈な展開になるのか、ちゃんとしたサッカー漫画になるのか予断を許さない。富樫義博「HUNTER×HUNTER」。なんか先週号から再開していたらしいが、冒頭に書いたとおりそこの話は読み逃していた。だいたい分かるけど。それから読み逃していた号で始まった新連載、矢吹健太朗「邪馬台幻想記」。受けるとか受けないとかいうのを見抜く目は残念ながら俺にはないのだが(あんまりそういう視点で見てないということもあるのだけど)、まあほどほどの作品という印象。なんか邪馬台国の女王とかが活躍するらしい。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/8 No.12 小学館 B5中
 浦沢直樹「Happy!」は、ウィンブルドン決勝戦がいったん中断して再開。後顧の憂いはだいぶ片づいてきたし、あとは試合に臨むだけ。ここからの試合展開は、飛ばさずにきっちり描いてほしい。青山広美「ダイヤモンド」。種田の豪快な打球が飛んでいくさまは見ていて胸がすく。表現は大げさだけど、どうせやるならこのくらいのほうが気持ちいい。伊藤潤二「うずまき」では、町全体が人間のちょっとした動作に合わせて竜巻が起こりやすい状態になりパニックに。なんだか大がかりな話になってきた。藤野美奈子「まちこSHINING」は、いまいち盛り上がってこないな〜と思っていたら次号であっさり最終回。どう収拾をつけるのだろうか。

【雑誌】ヤングマガジン 3/8 No.12 講談社 B5中
 こしばてつや「天然少女萬」は「美想少年百夜編」が最終回。最後は加治屋が登場してほのぼの。百夜を中心として起きた騒動を考えるとちとあっさりしすぎな感もあるけど、馬鹿っぽくて軽くありながら濃厚な展開はそれなりに楽しかった。地下沢中也「創立100年ギンザ小学校」。今回はパーマに人生を賭けてしまっている、人間としては終わり気味なパーマ屋一家のお話。この作品、最近どんどんキャラクターたちの行動が奇矯になってきている。下らないノリがエスカレートして面白くなってきた。もっともっと激しくなってくれることを期待。馬場泰士が新連載。タイトルは「ナイトロ(NITRO)」。顔はかっこいいけど、むちゃくちゃ気性が荒くて喧嘩も強い男子高校生・加賀が主人公。シャープな線だけど、骨組みのガッチリとした画風。今まで読んだ限りだと、メジャー誌ではちょっと抑え気味な感じもあるので、今回の作品ではもっとブチ切れたところを見せてくれるとうれしい。東和広「ユキポンのお仕事」。ぐうたらな主人と、のんびりと暮らす猫ユキポンの平凡な日常を描いた作品。今週から週刊連載化。あっさりとした絵柄ではあるのだけど、スクリーントーンを使用せず線できっちり描き込まれた画風は暖かみがある。攻撃的な漫画が多いヤンマガにおいては、箸休め的な、いい味わいを出しそうな作品。
 小田原ドラゴン「おやすみなさい。」は今週も面白い。鉄郎と、なぜか常に部屋に落ちている陰毛の心暖まるファンタジー。こういう下らないアイテムでお話を作ってくる力はやはりすごい。そしてラストシーン、鉄郎は相変わらずあわあわとしているのだ。赤/青BUTAで「少年スピン」を連載していた天野明が登場。タイトルは「熱風捕手伝説ぴっちゃん」。「比智也(ぴちや)」と名付けられながら、ノーコンなため捕手をやらされていた高校球児が主人公。天野明は望月峯太郎にも似た絵柄だが、とてもテンションの高い作品を描く人だ。「少年スピン」ではそれがキレまくっていて、かなり主人公の行動とか言動がアブなくてよかったのだが、今回のお話は少し大人しめ。馬鹿馬鹿しく迷走するパワーは買えるが。なお、天野明は3月29日、4月5日発売号でも連続登場する予定とのこと。前川かずお「DEI48」。今回も笑わせてくれる。とくに表紙。ミミガーズ、素晴らしい。

【雑誌】ヤングサンデー大漫王 3/29 No.25 小学館 B5中
 巻頭カラー、山田玲司「L.S.B.」は「アガペイズ」と「Bバージン」の外伝。抱尼が主人公のお話。死を願う14歳の抱尼と、借金苦で死のうとしていたが「抱尼をモノにしてからにしよう」と思い直したサラリーマンのお話。死を安易に選ぶのではなく、生き残った二人の姿を描いたラストシーンはちょっぴり泣かせる。作:森高夕次+画:阿萬和俊「総理を殺せ」は最終回。なかなか一筋縄ではいかない結末とその種明かし。ネタをバラすわけにもいかないので内容には触れないが、まあわりと面白かった。
 木村伸吾「和広」が新連載。「モッコリ」というあだ名を付けられた、少し鈍くさく、オカルトグッズの通販にハマっている少年・和広が学級委員を押しつけられる。そこで和広は、オカルトパワーによりクラスを運営しようとしはじめるが……という出だし。絵はまだこなれていないけど、間の抜けたネームと絵、馬鹿馬鹿しいながら妙に力の入った演出が奇妙な味わいで、なんだか面白かった。それから久しぶりに見たツギノツギオの読切「八王子機動メガネイバー」が注目。珍妙なライダースーツとヘルメットを付けてマウンテンバイクに乗り町を駆け巡り、正義を遂行するヒーロー「八王子機動メガネイバー」が主人公。その正体は勉強はてんでダメだが、体力は満点のメガネくん貫木。彼はホームページで自分の活動を公開し、読者からのお便りに従って町で正義を遂行する。偏執狂的なメガネイバーの衣装、やたらめったら派手なアクション、そして変態的でナルシストで一般常識からは遠く外れた貫木の言動と行動。無益ではた迷惑な正義に賭けるパワー。素晴らしい。バッチリ俺好み。メガネイバー、すげえかっこいい。この人は、昔ヤングサンデー本誌で「サルハンター」を連載していた人なのだが、あの作品もすごく邪悪で素晴らしかった。いつか単行本にしてほしいけど、無理だろうなあ。頼むぜ、KKベストセラーズ!

【単行本】「犬神」6巻 外薗昌也 講談社 B6
 ストーリーとかはオスマン参照。
 今回の巻では、擬態型の犬神が圧倒的な力と、得体の知れない不吉な何者かの意思を見せつける。おぞましい殺戮者の存在を描き出す作画は緻密。克明なだけに深みのある迫力を感じる。今回は史樹、23といった主要キャラクターの見せ場は少ないが、物語は徐々に核心部に近づきつつある。続巻での展開も楽しみだ。

【単行本】「ヨリが跳ぶ」16巻 ヒラマツ・ミノル 講談社 B6
 オグリがVリーグ入りを決め、ヨリもオグリ製菓に正式入社。そしてバレー部に新コーチ登場。順風満帆に見えたオグリだったが、その自信は国舞リップスのヒロコによって粉々に打ち砕かれる。この巻の最大の見せどころは、やはりヒロコの圧倒的なパフォーマンス。ここまでのヨリもすごかったが、ヒロコは格が違う力を見せつける。最終的にはヒロコと白黒つけることになるんだろうが、そこまで力を高めたオグリの姿を早いとこ見てみたい。

【単行本】「ヨコハマ買い出し紀行」6巻 芦奈野ひとし 講談社 B6
 いつも変わらぬ、ハイクオリティで気持ちのいい世界。その源泉は、絵のうまさ、線の美しさはもちろんだけど、スッキリしたコマ割り、印象深い構図取りなどに負うところも大きい。人物だけでなく背景の自然などの描写もしっかりしているのも特長。ゆっくりと滅び行く世界の気持ちのいい有り様を、言葉でくだくだしく説明するのではなく、「とにかくこの画面を見てくれ」とばかりに卓抜した描画と演出の力で訴えかけてくる。あまりにいい人ばかりの世界というのは、ときに嘘臭く見えて鼻についてしまうのだが、この作品ではけして嫌味になっていない。そのようにあくまでも気持ちよく見せる演出力が大したものだと思うのだ。コマ数が少ないためB6という小さな判型でも読みやすいが、こういう作品はぜひB5以上の大判で読みたい。


2/21(日)……GGおやG

「むかしむかし、あるところに若殿がおったんや。わかっとんのか!」というダジャレを思いついた。日常会話で使う機会があんまりなさそうなので、ここで使っておく。

【雑誌】コミックドルフィン 4月号 司書房 B5中
 早売りで購入。どの作品も乳がデカいなあ。それから裏表紙のダイヤルQ2の広告が相変わらずとても下品だ。そこらへんも実用本位なこの雑誌の性格を表している。頼もしい。
 みやびつづる「艶母」。例の近親相姦母子の、母親の妹が、姉の息子のSEXにのめり込んでいきそうになる。当たり前だが自分より若い妹の身体に、息子の愛が奪われてしまうのを恐れるおかーさんは前にも増してはしたなくお尻を振っておねだりする。汁気が多くていやらしくてたいへんよろしい。マーシーラビット「プリズナー★アイドル」は第3話め。アイドルが監禁されて、好事家向けの豪華セットの中で、彼らだけのために調教される女奴隷やら、SEX一家の末娘を演じたりする。よく考えてみるとこのアイドルはすごくひどいことをされているのだが、なぜか明るく健康的。ここらへんの都合の良さはこの人の持ち味ともいえる。むちむちしまくった絵柄でこれでもかこれでもかと読者サービスしてくる作風は仕事しているなあという感じ。今回はその末娘の役なのだが、お風呂で泡まみれになりながら、母、父、兄と乱交するシーンが見どころ。たぷんたぷんとした身体が泡やら体液やらでヌラヌラになる様子がいやらしい。で、あくまで明るく楽しく感じまくる。後腐れのないオカズって感じか。じゃみんぐ「鬼の杜」は、第2話。山奥の村で外部の者には知られることなく行われてきた、土地に伝わるいやらしい儀式のお話。鬼に生け贄を捧げる代わりに、鬼の面をつけた村の若衆が杜の娘を犯し抜くという祭祀が行われる。この人の作風はちょっと泥臭いけど、エロシーンはハード。今回は土着の風俗まで絡んで怪しげな雰囲気も漂っている。土地に伝わる淫らな祭祀ってのはけっこう俺好み。白井薫範の「神を継ぐ者」なんてすごかったなあ。
 それからこの号には「ドルフィン・ヒストリーズ」と銘打って、過去のドルフィン掲載作を再録している。今回はみたまけい「不純愛物語」。1990年ごろの掲載作品の模様。懐かしいなあ。それにしてもこういうの再録するってことは描き手が足りないのかな? まあどうでもいいけど。

【単行本】「時事おやじ」1〜2巻 しりあがり寿 アスペクト A5
 町のおじさんが、折々の時事問題にかこつけて下らないダジャレをいったり、何の役にも立たないアクションを起こしたりするというギャグ漫画(4コマが主)。まあ要するに風刺漫画である。とはいえ、そこらへんの新聞の一コマ時評みたいな感じの古臭いセンスで描かれているわけではない。おおもとの掲載誌がプレイボーイだけに、多少毒を含ませたギャグになっている。作風は気楽で、肩の力が抜けている。「そういえばあんな事件もあったなあ」などと、ここ数年の時事問題に思いを馳せながら、のんびり楽な姿勢で読むのにいいんじゃないだろうか。

【単行本】「天然コケッコー」10巻 くらもちふさこ 集英社 B6
 大沢君に浮気疑惑浮上。ここまであまり大きな波風のなかった二人の関係もちと雲行きが怪しくなってきた。この巻では、見開きの右側のページは8等分されて同じ大きさのコマが並び、左側のページは1ページぶちぬきという形がえんえん続く斬新なコマ割りで話題になったscene.47「告白」が白眉。韻を踏むことによる快感とでもいうべきものが、読み進めるにつれて高まってくる。右側ページ、8等分の右側は大沢、左側はそよのバストアップで会話が進み、二人がキスするシーンでは左と右のコマの境目がとっぱらわれるといった演出も心憎い。ごく自然体で引かれた、多すぎもせず少なすぎもしない必要十分な描線や、それで描かれる背景や人物の絵の美しさは今さらいうまでもない。見事な達人の技。
 現実の人間、少年やら少女やらはこんなに美しくもかっこよくもない。この作品世界はすごく浮き世離れしているとは思う。でもこれだけハイレベルに完成された世界を呈示してくれると、やはり圧倒されてしまうしそれはそれでまたよしと思わせられてしまう。それだけの説得力を持っている作品だ。

【単行本】「紫姫の千の鶴」 奈知未佐子 小学館 B6
 奈知未佐子の既刊についてはオスマン「風から聞いた話」のページ参照。
 和風でファンタジック、「まんがにっぽん昔ばなし」を今風に洗練させて、細くて上品な線にしたみたいなお話をコンスタントに描き出してくるのが奈知未佐子の持ち味。その優しく暖かいストーリーと、ふわーっと淡く溶けていく柔らかな読後感が非常に気持ちいい。ほのぼのとしてはいるのだが、人や動物たちの真心を感じさせるようなお話に、時折ほろりとさせられる。とくに動物がらみのお話がうまい。動物はものをいわないだけにより感動的。そしてすごいのが、それが本当にコンスタントであること。毎回浮き沈みなくクオリティの高いお話を仕上げてくる腕前は職人芸的。うーむ、うまい。


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