◆ 1999年4月下旬 ◆

4/21〜30
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4/30(金)……初等科ッ

 5月はかなり楽しみな作品がいくつか。まずは田中ユキ。待望の初単行本。そしてこれまた長年待ち続けた4年ぶり3冊めの単行本、駕籠真太郎。ZERRY藤尾も3冊めである。松本大洋「101」は画集。それから山田芳裕短編集が出るというのも嬉しい話。「木田」とかが収録されるといいのだが。高見まこ「ロマンス」6巻はすでに本屋さんに並んでいたことも補足しておく。

タイトル作家名価格出版社
陰獣江戸川乱歩+バロン吉元657小池書院
心機一転土工!−父ちゃんのやきいもが聞こえる−根本敬1200青林工藝舎
01殺し屋イチ(4)山本英夫505小学館
01カケル(8)竹下堅次朗505小学館
01海猿(1)佐藤秀峰505小学館
07おやつ(2)おおひなたごう390秋田書店
07ギンザ小学校(1)地下沢中也505講談社
07イッパツ危機娘(3)原田重光505講談社
07フローズン(1)山崎さやか505講談社
07ストレンジラブ(1)田中ユキ未定講談社
08東京H一水社
12BARレモンハート(15)古谷三敏505双葉社
14悟空道(7)山口貴由390秋田書店
15たとえばこんなラヴ・ソング(2)北崎拓676小学館
輝け!大東亜共栄圏駕籠真太郎太田出版
江戸川乱歩のパノラマ島奇談江戸川乱歩+長田ノオト690蒼馬社
17(変)玉手箱(仮)町野変丸800エンジェル出版
18神聖モテモテ王国(5)ながいけん390小学館
18からくりサーカス(8)藤田和日郎390小学館
18かってに改蔵(3)久米田康治390小学館
20101松本大洋2500小学館
20きっず・とれいん飼葉駿571蒼竜社
21ヨリが跳ぶ(17)ヒラマツ・ミノル505講談社
21蒼天航路(16)王欣太+李學仁505講談社
21大使閣下の料理人(1)かわすみひろし+西村ミツル505講談社
21ネオデビルマン(1/2)永井豪他854講談社
21EDEN(3)遠藤浩輝505講談社
25GONG-ROCK松本嵩春620アスペクト
25なかよしZERRY藤尾619笠倉出版社
28藍より青し(1)文月晃505白泉社
28新装版ザ・プライザー山田芳裕952双葉社
28泣く男 山田芳裕短編集山田芳裕952双葉社
29ダイヤモンド(4)青山広美505小学館
29宙舞(2)小林信也+秋重学505小学館
30ロマンス(6)高見まこ505集英社
雲男やまだないと924祥伝社

【雑誌】ヤングキングアワーズ 6月号 少年画報社 B5中
 今回は大石まさるが2本立て。巻頭4色カラーの「さくらのうみ」と、モノクロの「こねこしょったこ」。俺としては、キャンプ道具を一式抱えてフラフラと旅する男に興味を持った女の子のお話である「さくらのうみ」が気に入った。モノクロのペンタッチ、カラーの彩色、どっちにも魅力があるが、「さくらのうみ」で描かれる女の子の憧れと別れの切なさがとても心地よかったというわけだ。宇河弘樹「妖の寄る家−昭和霊異記−」。やっぱり魅力は絵。女の子の目のくりくりした感じもいいけど、背景なども細かいペンタッチできっちり描かれていていい雰囲気。犬上すくね「Silent kitchen」。アツアツの恋人たちが、勧誘員に居留守を使いつつ、声の出せない状況でイチャつきまくる。かなりトロットロで骨を抜かれる。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ5/30増刊号 Manpuku! 小学館 B5中
 高橋しん「小雪ちゃんとあそぼう!」。「いいひと。」の後日譚。絵は相変わらず柔らかくて爽やかでとてもいい。ただ、ちょっと小雪ちゃんに語らせすぎな感じがする。こういう傾向は「いいひと。」でも同様だったのだけど。俺にはいまいち納得できない理屈を、一見説教しそうではないキャラがとうとうと述べてしまうところが前からどうも居心地が悪くて……。うーん、いかんな、こういうネガティブな評し方は。榎本ナリコ「スカート」。女一人男二人の仲良し3人組。その中の男一人(花田)はもう一人の男(幹)が好きで、幹は女の子(葉子)が好き、葉子は花田が好きという完全な三角関係。花田はできるなら女の子になりたいと願っているのだが……。ちょっと哀しく切ないお話で、いつもの「センチメントの季節」同様きっちりまとまっていてうまい。
 吉田戦車「山田シリーズ」。眉毛が太くてずんぐりし、毛皮に包まれた身体とすべすべしたふとももを持つ生物、山田の活躍を描くこのシリーズ。セリフがなんとも絶妙に持って回っていたり、虚をついてたりしてしみじみおかしい。山田の表情も素敵だ。吉田はこういう得も言われぬ微妙な表情を描くのが抜群にうまい。お話の中で本当に必要で効果的な表情を、実に的確に描き出す。漫画における絵のうまさってこういうのをいうのだと思う。一條裕子「2組のお友達。番外編 A Dog's Life」。もちろん「2組のお友達。」の後日譚である。「2組のお友達。」が好きだった人はチェックしとくべし。単行本には収録されていないので。石井達哉「プロファイリング師 朕集院犬清」。相変わらず下品で下らない。犬清のトモダチいないっぷりが爆発していてかなり最低な展開で楽しい。

【雑誌】コーラス 6月号 集英社 B5平
 奥田桃子「コズミック・ガール」が良かった。周りの人間にどうもうまく溶け込めず、音楽室で一人ピアノを弾いていた少女、白石久子。彼女が、同じくとくに理由もなく音楽室にたむろっていた男二人女一人とつきあうようになって、人と一緒にいる心地よさ、そして恋に目覚めていくという物語。絵柄が端整で綺麗で、お話も申し分なく青臭くかつ爽やかでいい感じである。くらもちふさこ「天然コケッコー」。これまであんまり目立たなかった、そよの弟に今回はスポットが当り気味。なかなかうまくいかない弟くんの気持ちの描き方が巧妙。よしまさこ「1丁目の楽園」。息子のしんちゃんが小学6年生に。進学問題に直面。いや、なんとも微笑ましい育児模様で楽しいですな。

【単行本】「きついけどヌルヌル」 みかりん 一水社 A5
 みかりんは、鬼畜でロリなんだけど、無邪気で天真爛漫という希有な作風の持ち主。たいていは、6年生という学年が存在する年代の学校(微妙な表現)の女の子がヤラれる。エロ漫画家のおにいさんやらなんやらが、コンビニ内やフィールドアスレチックパークで人がいるのに、平然と女の子をだまくらかしてヤッちゃうわけなのだが、その行為はこの世界ではいたって自然。「調子に乗りすぎた」程度のノリなのである。そんな異常なことをしていて浮き世離れしているのに、どうにも生々しく感じられる。「ひょっとしたらこの人、本当にこういうことしてるんでは……?」などと思えてしまう業の深さが潜んでいる。まあさすがにここまではやってないんだろうけど、そう思わせてしまうだけですごい。あとがきにアニメやらエロゲーやらが嫌いだったりするようなことが書いてあったりするのも納得。生な人なのだなあとか思う。漫画内の男は「ゲームソフトや漫画をいっぱい持っていて、子供と遊んでくれる近所のおにいさん」という感じなのだが、それが作者の姿とダブっちゃうのである。

【単行本】「ショートカッツ」2巻 古屋兎丸 小学館 A5
 最終巻。最初のうちはコギャルという枠を意識しすぎで大人しめの感があったのだが、2巻あたりにくるとだいぶそこらへんもこなれて面白くなった。コギャル的なスピリットを転がしたり引き伸ばしたり裏返したり……と変幻自在。ときどき爆発する大ゴマ描きたい欲も壮観。ガッシガシに描き込まれた古屋兎丸の見開きには、特別な力がある。古屋兎丸の場合、最近はもっと長い作品のほうがすごいのだが、これはこれで気軽に楽しめていい。最終回の、老いた創造主の想念が充満した見開きなんか理屈抜きなすごさを感じる。


4/29(木)……Mレヴォ

 テレホーダイで長時間インターネットにダイヤルアップ接続するようになってから、重いページを見たりするときなどに回線がブチブチと切断されることが多くなった。最初は電話線上のノイズを疑っていた。俺の使っているモデムはPCカードタイプで、しっぽの部分の接点がグラグラすることもあってノイズは入りやすそうな気がしていた。そこでモジュラーなどにノイズフィルタを2個ほどくっつけてみたのだが改善されない。で、よくよく症状を思い返してみると、接続時間が長くなればなるほど切断される確率が高かったような気がする。時間が長くなれば長くなるほど大きくなるものは、と考えると犯人は熱なのでは、と思い至った。今使っているノートPCはPCカードスロットがけっこう熱を持つ。通信時間が長くなったり、重いページを見て行き来するデータ量が多くなれば、それだけカード自体の発熱量も多くなりそうだ。実際触ってみるとかなり熱い。そんなわけで、昨日からモデムを外付けのCOMポート接続タイプに変えてみたところ、なんだか予想以上に通信が安定している。PCカードモデム自体に問題があったのかもしれないが、想像は正しかったものと思われる。似たような環境にある人は試してみてはどうよ。
 本当はどうせ外付けにするならUSB接続のほうがうれしいのだけど、俺の使っているLet's noteはUSBポートなし。しかも、Windows 95。Windows 98を入れることもできるのだがパッチを当てたりするのが面倒だし、そもそもLet's noteはチップセットがインテル製でないためOS再インストール後、いくつもドライバを入れなくちゃならない。ノートの背面のI/Oパネルが開きっぱなしなのはあんまりスマートでないが、とりあえずしばらくはこれで我慢である。
 おお、なんか本職のほうの原稿みたいだ。

【雑誌】増刊ヤングジャンプ漫革 6/5 Vol.17 集英社 B5中
 駕籠真太郎は、今回は未掲載。となるとイマイチ弱い漫革である。
 熊倉カズヒロ「サムライガン」は毎回コンスタント。鼻の大きさが気になるが、それも味といえなくもない。作:光風治+画:森永茉裕「性職者」は、念願かなって音楽教師になったけど気合いを入れば入れるほど生徒の心が離れていき、自分の居場所が学校内にないと判断して風俗嬢に転身した女性のお話。エロ描写がなかなかみずみずしくていいなという感じ。フェラチオシーンでこの女性が、ちんちんがお口の中で反ってるというシーンがなかなか生々しくて気に入った。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 5月増刊号 5/12 小学館 B5中
 今回は花輪和一が載ってなくてちと残念。でも次号は載るらしい。
 業田良家「祝福屋」。生活に倦み疲れた女性が、人々を祝福するのを生業とする祝福屋を呼ぶ。祝福といえば、たかもちげん「祝福王」を思い出す俺だが、自らを祝福するというテーゼは似通っているかも。井浦秀夫「AV列伝」。今回からは監督・代々木忠にスポットを当てる。大物ではあるが、考えてみると俺は代々木忠の作品って見たことないかもしれない。今回のお話は代々木忠の来歴がメイン。番長、華道、極道と、なんだかハードな人生を送っててスゴイなあという感じ。

【雑誌】ヤングキング 5/17 No.10 少年画報社 B5中
 佐野タカシ「イケてる2人」。今回は佐次と彼の初恋の人・安西のお話。今回は佐次と安西の子供時代のちょっとHな思い出も挿入されたりして、普通のHにロリも混じってさらにサービス満点。有村しのぶ「HOPS」。ようやく主人公のバクとヒロインのあずみが結ばれそう、とかいう展開。これまでのヒロインが暴漢にやられそうになる展開のほうが好きだったが、まあお話的には一つのクライマックス。肌の色の白さが際だつ女体の描き方が毎度ええ感じですな。

【単行本】「かけて…」 水谷みんと 平和出版 A5
 誤購入。といっても間違えた相手が木工用ボンドで、テイストは非常に似通っており購入意図は満たせたかもしれない。なんつってもおともだちページで木工用ボンドも書いているくらいだし。エロ系漫画家としては、絵柄は非常に凡庸だと思う。トラディショナルといってもいいほどに、あまりにもよくありそうな美少女H漫画絵。ストーリーもこれまた同様に、目新しいところはない。しかし、それだけにエロ描写は確立されていて実用のツボはしっかり押さえている(ここらへんは木工用ボンドも同様)。乳はデカいし濡れスケTシャツもあるし。ちゃんとお仕事として、ヌかせる漫画を描いてるなあと納得する一品。


4/28(水)……かもしかのじょの事情

 今日は仕事で漫画家さんと打ち合わせが2件。なんか漫画編集者みたい。
 1件めの方はここのところ何度かお会いしている人。その人の昔の作品を見せてもらったときにあんまり気の利いたこといえなくてたいへん申しわけなく思ったり。俺は実際に漫画家さんの生原稿を取り扱った経験って全然ないので、綴じた状態でない原稿を読むのってどうも勝手がつかめなくて、いまいちちゃんと読めなかった。さらにその人の目の前でだったので、よけいにその目が気になってしまって……。まだ修行が足りないので、人にじっと見られてるとあんまりうまく読めないのだ。本職の漫画編集の人は、それを日常的にこなしているんだなあと感心したりもする(「その程度のことで感心するな」といわれてしまうかもしれないけど)。次にお会いするときまでにきっちり読み直して、ちゃんとした感想をお伝えできれば、といった感じ。2件めの方は初対面。個人的にその人の漫画は大好きなので、かなりウキウキ気分であった。

 そんなこんなで、なんとなく高揚した気分だったのだが、家に帰ってみたら家庭の事情的に面倒なことが勃発していた。禍福はあざなえる縄のごとし。

【雑誌】週刊少年マガジン 5/12+19 No.22+23 講談社 B5平
 赤松健「ラブひな」。いつものメンバーが勢ぞろいして、浦島&成瀬川の傷心旅行もおしまい。次号ますますラブコメ度アップ!(「なるたる」風) 小川悦司「真・中華一番」最終回。なかなかタワけた料理っぷりが好きだったけど、まあそれなりにきれいに終わってくれた。作:神先史士+画:いずみ誠のスノボ漫画「High Life」も最終回で、本島幸久「蒼き神話マルス」も最終回が近そう。そろそろ連載陣の入れ替え時期に来ている模様。

【雑誌】週刊少年サンデー 5/12+19 No.22+23 小学館 B5平
 巻頭カラーで村枝賢一の新連載スタート。タイトルは「かもしか!」。市役所に新設された、どの部署にも属さないような市民のための仕事を一手に引き受ける課「特別機動課」の物語。ビージャンで塩崎雄二がやっていた漫画の「なんでもやる課」に近いかな。曽田正人「め組の大吾」。物語内時間は一気に7年が過ぎ、大吾は各国の大災害現場で活躍し、伝説の男と化している。なんだかいつの間にやら話がビッグになり過ぎている感もある。ただ、一介の消防員だと管轄の壁があるため、大吾を活躍させようとすると一つの町で火事を何回も起こさなくてはならない。「探偵あるところ事件あり」の構図だ。ただ、災害が一つの町に集中するのはやはり不自然なので、その点をクリアするという意味では正しい措置といえるかもしれない。
 マガジンがやってるからってわけではないが、サンデーもそろそろ連載陣の入れ替えはしたほうが良さそう。ちょっと雑誌全体にマンネリっぽさがある。サンデーの場合、いつもそうだともいえるんだけど。

【雑誌】ヤングサンデー 5/13+20 No.22+23 小学館 B5中
 永福一成の新連載「鉄騎馬(メタル・ホース)」が巻頭カラーで新連載。バイク・アクションものらしい。面白くなるかどうかはこれからの展開しだい。当たり前だけど。山田芳裕「デカスロン」。最終競技1500m走がスタート。今回は、それまでの点数を時間に換算して、スタート時間をそれに応じて差をつける方式。つまり得点の多いものほど早くスタートし、それを得点の低いものが追っかけるわけだ。最終得点を出すまでもなく、最初にゴールしたもの世界大会の勝者ってことになる。ルールとしてはちょっと面倒だが、結果は今までよりも単純明快な形で分かりやすい。岩田やすてる「球魂」。何か間違った感じの卓球漫画で、今回も敵のプレイっぷりがイカれている。脂っこくて妙に陽気。ヘンな漫画だなあ。竹下堅次朗「カケル」。カケルたちを陥れようとする陰謀により、カケルの周囲の人たちがどんどん躍らされていく。最近またしても展開がハードになってきた。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 5/15 No.10 小学館 B5中
 岡崎二郎「国立博物館物語」。無理なく分かりやすくうんちくが摂取できて毎回手堅く楽しい。高田靖彦「演歌の達」は、達の前に現れた強力なライバルとの競り合いが過熱。で、次号は連載史上初の巻頭カラー。今まで巻頭になったことがないのが不思議なくらいではある。

【雑誌】快楽天 6月号 ワニマガジン B5中
 なんか村田蓮爾企画責任編集の、画集っぽいA4フルカラーコミック本「FLAT」が6月中旬発売を目標に製作進行中らしい。執筆陣は見た感じたいへん豪華。それぞれのパフォーマンスの合計値としてはたいへん強力な本になりそう。ただ、本全体を見た場合のバランスがどうなるかは編集しだいではある。とりあえず実物を楽しみに待ちましょ。あ、それから次号の星組は6月17日発売で、隔月刊になる模様。それよりも4月中旬発売予定だった変玉がどうなったかが気になってはいるんだが。
 かるま龍狼「ゴローダイナマイ!」。クッキリと元気な絵柄で、女の子も男の子もかわいくキッチリ決まってて、エロシーンも充実。鮮やかなお手並み。この人は本当に漫画がうまい。さべちん「ゆらさん日記」。家庭の事情でしばらく休載。まあ家庭の事情なんで、俺が口を挟んでとやかくいう問題じゃない。とりあえずSABEの漫画が読めれば俺は幸せだけど、どうかなあ。OKAMA「スクール」。草薙君はなんかもう次から次へと新しい女の子と関係を結んでますな。うらやましきモテモテぶりだけど、いろいろなしがらみが面倒そうでそこらへんはうらやましくない。この連載はOKAMA作品の中でもかなり分かりやすくて好き。道満晴明「トゲトゲ」。工場の下のドブ川で、一人ぼっちで暮らし続けていた、両手が巨大な鉤爪になっている少女の淡く哀しいお話。ファンタジックで切なくってなかなか。


4/27(火)……ホンモノの敷居

「ホンモノの」を英訳するとgenuineでジニュインでジュウニンで「敷居の住人」と引っかけているとか思った人は、あとで職員室にカモン。

【雑誌】ヤングチャンピオン 5/11 No.10 秋田書店 B5中
 雑誌全体のテンションは、一時期よりちょっと落ちてるかな?
 富沢ひとし「エイリアン9」。エイリアンと一体化したくみとかすみは、エイリアンとしての性質をより表面化させてくる。その姿にゆりはおののく、といった展開。相変わらずたいへんなことになっている。どこらへんが底なのか読めないストーリーで、毎回驚きがある。今村夏央「ファイヤーキャンディ」では、主人公リョーキに恋する新キャラクター登場。今までの張り詰めた雰囲気からするとなんとなくコミカルだが、さてどういう方向に進むのやら。

【雑誌】ドルフィン大将 VOL.12 司書房 B5平
 うさぎのたまご「ボクの彼女」。いい加減な男が、自分のいうことを聞いてくれそうな女の子に告白し、強引に彼女(どれい)になっていただくというお話。なんか子供っぽい無邪気な絵柄なんだけど、何気にやってることはかなり強引でむちゃくちゃ。エロも案外激しい。絵の軽さとやってることと、さらにお気楽でカラッとした読後感のミスマッチが楽しい。この人は最近けっこう注目しているのだが、単行本「セツナサノ卵」(司書房)もかなりムチャで良かった。BENNY'S「スレイブチェッチェッ」。絵柄はこぎれいなのだけど、エロシーンは充実。むちむちと肉感的でいい感じ。テイスト的には井ノ本リカ子にちと近いかな。山部海人「華世さんのいる店」。絵柄に惹かれるものあり。細部の質感とか、陰の付け方がベタッとしてなくていい感じ。エロシーンなどは井荻寿一の影響かな?と思える雰囲気が多少あり。KASHIみちのく「ユー・クレイジー メール」。今回も、絵、ストーリーともにゆるくて陽気。愉快愉快。

【単行本】「敷居の住人」2巻 志村貴子 アスペクト B6
 髪を緑色に染めた、クソ生意気で内弁慶な美少年中坊、本田千暁(ほんだちあき)の、煮え切らず方向性の見えないウダウダとした青春。1巻のころはまだ海のものとも山のものともつかないところがあったが、2巻になってがぜん面白くなってきた。絵も1巻のときと比べて、かなりシンプルになり洗練された。世界が変わるような大きな展開はないのだけど、ちあきを取り囲む(主に女の子)キャラクターたちがたいへんいい味を出してきている。ちあきとそっくりな彼の不良担任教師・兼田にフラれたゲームがむちゃくちゃ強いキクチナナコ、ちあきにひそかに恋する眼鏡娘・中嶋くるみの二人が、どんどんかわいくなってきている。とくに2巻になって登場頻度がググッと増えた中嶋さんの良さといったら。クラスの中では全然目立たないひっこみ思案の女の子。タイプとしては図書委員。もちろん口には出せないんだけど、ちあきに対する想いのいじらしさとか、見ててたまらんものがある。「ちびまる子ちゃん」のたまちゃんが好きとかいう人はきっとメロメロになるに違いない。
 あと、登場する主要な女の子のキャラの一人である、別の学校の娘でむちゃくちゃに気の強い近藤ゆかがどのように話にからんでくるかが気になるところ。

【単行本】「演歌の達」6巻 高田靖彦 小学館 B6
 自分の信じた演歌を人々に送り出すために、レコード会社のディレクターとして奮闘する、男・越川達の青春物語。今回の巻では、達に想い人ができる。相手はラジオ局で、達と同じように自分の仕事に懸命に取り組む女性・山根福美。美人タイプではないんだけど、仕事にも生活にもしっかりしていて、それでいて周りをほっと和ませる暖かさを持った女性。とてもおいしそうにごはんを食べる姿が印象的。芯がしっかりした感じで、何ごとにも一生懸命なところは達とよく似ている。微笑ましく、幸せになってほしいお二人さんである。この福美(通称フクちゃん)もそうだけど、高田靖彦の描く女性はそう騒ぐでもなくどちらかというともの静かではあるのだが、心根にしっかりしたものを持っていてとても魅力的。ガッチリと一見くどそうな絵柄ではあるけど、ちゃんと向かい合ってみると爽やかな絵柄もその魅力を引き出している。お話作り、キャラクターメイクなどなど、いろいろな面において高品質。確かな描写力、演出力と、一つの作品としてとても高いレベルでまとまっている。しみじみ面白いいい作品である。
 オスマンでも取り上げているので気が向いたらどうぞ。

【単行本】「ギャラリーフェイク」16巻 細野不二彦 小学館 B6
 相も変わらずコンスタントに仕事してますな。適度にウンチクを入れつつ、イヤミにならないように人情話を盛り込み、オチもきっちりつける。もちろん作画も高品質。見事なお仕事。


4/26(月)……神酒命

 喉がちょっと痛いのでヴイックス ヴェポラッブ(VICKS VapoRubというスペルなのだぜ)を喉に塗りつけ気味なのだが、その匂いにプラスしてさっき呑んだビールがちょっと回ってきてたいへん気持ちがいい。 イエー。っていうかイエー。も一つおまけにイエー。

【雑誌】モーニング新マグナム増刊 5/19 No.8 講談社 B5中
 すでに漫画マニア必読って感じになりつつある新マグナム増刊の最新号。今号もクオリティは高い。
 巻頭カラーは加藤伸吉「バカとゴッホ」。ゴッホに振られてバカ失踪。そしてゴッホは別の人が好きになりそうな、って感じの展開。好いて好かれて、離れてついて。うむ、青春である。ゴッホにとって気になる人、エルムが月に向かって小便するさいの馬鹿馬鹿しくも神々しいさまはさすがって感じ。岩明均「雪の峠」は、関ケ原で負けた西軍について敗北し、お国替えされた大名、佐竹家のお家騒動というかなんというかのお話。連載第1回めなんで面白くなるかどうかはよく分からないが、かなり地味め。鶴田謙二「Forget-me-not」。ちゃんと描いてくれさえすれば品質は間違いなし。このペンタッチの美しさはやっぱり他の追随を許さない。町の狭い路地をヒロインが走り抜けていく、1ページぶち抜きの1コマなど、とくに特徴があるわけでもない煉瓦造りの建物が並ぶ町並みを描いているだけなのに、これがまたどうにも気持ち良く決まっている。
 今回の「ネオ・デビルマン」は黒田硫黄が執筆。デーモンが襲来し破壊された世界で、別れた妻に連れられていった自分の息子たちと再会し、愛人とともに北海道を目指す医師が主役。非常事態の中で、妙に浮かれて家族での逃避行を楽しむ彼の姿を追う物語である。デビルマンの骨格を利用しながら、物語はすっかり黒田硫黄のものとなっている。映画的な視点、自然体な黒々とした描線が例によってかっこいい。ストーリー展開、演出もツボをついてくる。その実力はやはり大したものである。それから小田扉「話田家」。今回も抜群。力の抜けた絵柄と、飄々としたネーム。すっとぼけたギャグ。絶妙な間。押しつけがましいギャグでなく、ごく自然に内から笑いがにじみでてくる。清田聡「ミキ命」。ミキにしばいてもらいたいという、男・波風の被捕食願望(っていっていいのかどうかよく分からんが)がさらに加速。ゴツい男が虐待を求めて陶然となっているさまが、かなりみっともなくうっとうしくていい。
 次号は6月28日発売。

【雑誌】ヤングサンデー大漫王 5/26 No.26 小学館 B5中
 う〜ん、増刊枠なのにイマイチ生きが悪い。これなら本誌のほうがだいぶチャレンジングだと思うのだけど。
 巻頭カラーは柏木ハルコ「女子寮101号室」。学校の女子寮に寄宿しているブスで太めで冴えないけど人はいい女の子・松浦さん。彼女と同じ部屋に、転校生の小峰さんがルームメイトとして入ってくる。彼女は美人で明るくてハキハキしているという、松浦さんとは正反対の容姿・性格。で小峰さんは、一見いい人なんだけど、ところどころで松浦さんをオモチャにして笑ったりと小悪魔的なものを持っている。でも松浦さんはひどい目に遭わされつつも、なんだか小峰さんを心底は憎めない。小峰さんに振り回されいいように弄ばれる松浦さんの姿が、かわいそうだけどユーモラスである。イジメられっ子の心のかすり傷にレモン汁をふりかけるような描写を、明るい絵柄で執拗に描いてくる底意地の悪さは相変わらず。このほかでは、新人・内山俊平「男ってこんなもん」がわりと印象に残った。遊び人の友達・トオルによって妊娠させられたという女の子が、産婦人科に行くのに付き合っているうちに、その娘に惚れてしまった男・カオルのお話。クッキリハッキリとしたシャープな描線だけど、女の子がちょこんと寸詰まった感じでなんとなく和む。阿部潤「プチ」は、「the山田家」同様テンションが高くてかっちょいい。

【雑誌】ヤングマガジン 5/10+17 No.21+22 講談社 B5中
 平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。扉からいきなりゲンさんの顔が4色カラーでドアップ。こりゃうっとうしすぎである。今回もたいへんヒドい話で面白かった。扉の次のページで、「ゲンさんなんかにも声をかけてくれる近所の人は初めて見ました……」と驚くあたり、ケンヂは毎度のことながらひどい。相沢トモコの読切「激突セレナーデ」が掲載。女日照りでたまりまくり、水道栓に向かってヘコヘコいっていた男の背中にバイクに乗った女が激突。これが縁で二人は恋人同士に。ところがこの事故が元で男はヨガの姿勢でしか射精できなくなっていたし、女は不感症でバイクに乗ってないとエクスタシーを感じない。そんな二人がSEXするために、どうしようもなく馬鹿げたダイナミックな方法が編み出される。たいへんにパワフルで馬鹿馬鹿しくておかしく、その馬鹿っぷりがかっこよくさえあるお話。相沢トモコはやっぱりうまいや。城倉浩司「グラス・ブレス」は今回で最終回。城倉浩司はたぶんコージィ城倉だと思うが、彼らしい、たいへん投げ遣りで強引なラストが本当にどうでもよかった。下らねえ〜。こういう言葉でねじ伏せちゃうようなところも含めてコージィ城倉って好きだ。いい加減なようで言葉に力はあったりするし。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 5/10+17 No.21+22 小学館 B5中
 次号から山本直樹の週間連載がスタートという嬉しいニュースのかたわら、巻頭カラーで柳沢きみおの「SHOP自分」という新連載がスタート。平凡な商社の社員・チョクが日々の生活に倦怠感を感じていたとき、町で「H以外10分千円でお相手します」という札を持った少女と出会う。援助交際ってわけではなくなんか得体が知れないのだが、彼女(ミーナ)は何者にも縛られず自由に生きている模様。彼女と出会って話をすることによって少し解放感を得るチョクだが、いきなり会社はつぶれ恋人には捨てられ、と不幸の連続。そんなさなか、町の片隅でミーナと再会。彼女は「SHOP自分」という名のお店の人間のようなのだが……といった第一話。柳沢きみおはなんともいつもと変わりなく柳沢きみお。話をぶっ壊すも良し、淡々とやるも良し。伊藤潤二「うずまき」。町の人々に対するうずまきの支配はさらにエスカレート。規模はデカいしSF的でさえある。ここまできちゃうと爽快。


4/25(日)……おれさま!フリエスタ!!

 昨日の日記に書いたとおり、今日はパソ通系の知り合い+兄+俺の3人で横浜国際競技場にJFL横浜FCの試合を観に行ってきた。注目を集めていただけあって、観客の数も予想以上に多く(公式発表によると1万1283人だった模様)。心配していた天気は予想に反してカンカン照り。色白で直射日光に弱い俺としては、ヒリヒリして困った。応援席からは「フリエ」「横浜フリューゲルス」といった声援も飛び、ようやくここまで来たんだなあと感慨深かった。
 対戦相手はジャトコ。JFLとはいえ、元ジェフの新村、元マリノス/サンガの松橋、元清水の岩下などがいて、侮れない布陣。横浜FCは全員元Jリーガーだが、他チームを解雇された選手の集団であり、フリューゲルスファンにとってはイマイチなじみのない人たちも多い。とはいえ、ゲームが始まってしまうと、すっかり「おらがチーム」という感じ。なんといってもこっちは5万円払っているソシオである。頑張ってもらわにゃ納得いかない。
 スタメン等はこちらのページに詳しい。結果は2-2で引き分け。横浜FCは攻撃はそこそこスピーディで悪くない。FWの藪田は決定力という面ではイマイチなもののドリブラーでスピードはあるし、中盤の増田もなかなか。唯一の外人パベルもやはりうまい。でも、チーム全般にディフェンスは全然ダメ。攻守の切り替えも遅い。とくにセンターバック二人(渡辺一平、遠藤)とボランチ(高木成太)は危なっかしくて見てられない。ミスばっかりの元ヴェルディ高木、それから数少ない元横浜Fの選手である渡辺一平はデカいだけで動かないし不器用。延長になってからは、センターバック二人がなぜかそのままFWでツートップを張り、その代わりにこれも元横浜Fである高田(こちらはわりと安定していた)を入れるなど、なんだかヘンテコなチームであった。横浜FCにもチャンスは山ほどあって決定力がもうちょっとという感じだったが、ジャトコも似たような状況。両方ともあと2点ずつくらい入っててもおかしくなかった。
 何はともあれ開幕戦としては、人も入ったしそこそこ成功だったのではないだろうか。戦力的にはもっとディフェンスを固めなくてはならない。高田か元セレッソの稲垣あたりを入れてドイスボランチにするかスイーパーを置くかして、とにかく渡辺は外すべし。あと中盤でゲームを作る選手が一人くらいは欲しい。まあ経営的にも楽じゃないから、贅沢はいえないけど。今はベテランが多くて走り負けしちゃうので、今年が終わったら高卒、大卒の新人を獲得したいもの。それよりも観客を集めてクラブを維持するってことがなんといっても重要。頑張れ横浜FC。俺は年間シートを持っているので、これからもちょくちょく観に行くぞ!
 あと、ここまでこぎつけたスタッフの方々には心底拍手である。過程ではいろいろあったし、運営や抗議活動の仕方など、異論だってあるかもしれない。問題もこれから山積するだろう。でも彼らは「自分たちがクラブ解散に反対する」という気持ちを、やるべきときに効果のある方法で人々に訴えかけ行動し、そして結果を出した。陰で愚痴や文句しかいわない、いえないような人たちとは大違いである。どんなにいい意見を持ってたって、伝えなければ伝わらないのだ。正直なところ、俺は横浜Fのときは「仕方ないのかな」と指をくわえて眺めていただけの人間なので、スタッフの人たちの行動力には感服するほかない。企業に頼らず、サポーターの力だけでクラブを作ろうとした試みは、失敗するかもしれないけど壮挙ではある。横浜FCは開幕前にソシオに対する方針説明などの集会を行ったりしているし、毎日のように事務局がメールを送ってくる。こういう姿勢は評価したい。これまでになく、サポーターのほうを向いたクラブであることは確かだ。こういうスポーツクラブの形態が日本に根づいてほしいということもあるので、ぜひぜひ成功してもらいたいところ。

【雑誌】LaLa 6月号 白泉社 B5平
 森生まさみ「おまけの小林クン」。今月は番外編も含めた2本立て。本編では学校でミス/ミスターコンテストが行われるとかそういう話。たのしそうな学生生活でうらやましいですな。女の子の小林サンが男的かっこよさを見せるシーンが甘ったるくて良い。トキメキですわい。津田雅美「彼氏彼女の事情」は、佐倉と十波がええ感じにくっついて幸せな展開である中で、有馬だけが一人海の底。いっそのことブッ壊れちゃうくらいの業の深い展開になるといいなあ。

【単行本】「2組のお友達。」緑の本/橙の本 一條裕子 小学館 A5
 2冊同時発売。緑の本→橙の本の順で読む。子供は二人、先生は一人しかいない山の上のさびれた分校の小学校。ところがこの学校には、なんとも当たり前のように7人(一人はほとんど学校にこない)の老人たちも学生として通い続けている。彼らが毎日毎日、落ちた赤エンピツの行方やら、机の上の一粒のピーナッツ、逆上がりができることの効能などについて、下らない考えを巡らせながら学校生活を送っていく。その考えのほとんどは突拍子もなくて支離滅裂だったりするのが、それがウソであることを承知で老人たちはそのファンタジーの中に泳ぎ、現実的な子供がそれをぶち壊したりペースに巻き込まれたりする。淡々と平気な顔をしてまことしやかに嘘をつく一條裕子らしい作品。一條裕子の嘘は、それが嘘であったところでなんの影響もないし、嘘をつく側も得をするわけではないが、そうであったほうがちょっと素敵かもと思えるものだったりする。そんな軽やかでひねくれたところが、俺は好きだ。役に立たないものだからこそ、その役に立たなさのなかに潜むわび・さびも含めて楽しいのである。

【単行本】「レッツゴー武芸帖」 よしもとよしとも 双葉社 A5
 復刊。よしもとよしとも描くところのお気楽時代劇である。幕府をも転覆させうる恐るべき秘密を持った秘剣「夢幻流」の遣い手、幻也齋のもとに弟子入りしてきた少年・吉本良明は成長の過程でとくに脈絡もなくその秘密に目覚め、幻也齋の孫娘をかっさらって出奔する。幕府の思惑とかがいろいろからんできたりするのだが、良明はそんなもんどこ吹く風で適当に旅したり漫画を描いたりして暮らす。時代劇といっても、時代考証なんかいい加減だし、目的だってない。敵だって別に大したキャラクターは持ってないし、ラストも適当である。あんまりにもうつろな作品だから、逆に何かあるんじゃないかと疑っちゃうところはある。そこらへんについては、巻末でいしかわじゅんが面白い文章を寄せているし、作家論もあんまりすきじゃないのでここらへんにしとく。それにしてもよしもとよしともって、自分はとくに何もしているように見えないのに、評論家の人たちが語りたくなってしまう作家である。そこらへんを狙ってるんだか狙ってないんだか分からないところがまたやっかい。
 まあ読むほうとしては、そんなこむつかしいこと考えずに気楽に読んで「あー面白かった」でいいような気もする。語りたい人は語ればいいし、分析したい人は分析すりゃいいのだ。この作品についてはズガーンとくるほどの衝撃がある作品ではないのでそんなに仰々しく語る必要もあるまい。とりあえず、かっこつけているように見えない投げ遣りさ、飄々としたところやら細かいくすぐり、さっぱりとした後に残らぬ軽い読み口といったところがが楽しいぞ。


4/24(土)……GIVE ME A CUE!

 やった〜、世界二!
 サッカーワールドユース大会決勝、日本 vs.スペイン。結果は0-4でスペインの圧勝。やっぱスペインはすごくうまい。トラップは正確だし球ぎわに強いし、攻撃の層が厚いし。加えて日本も疲労の極。なんといっても奴らはミスがない。小野の欠場はやはり痛かった。中盤でタメを作れる選手がいなくて、2列め3列めが上がるまでボールキープできなかった。良かった選手は辛うじて本山くらい。みんな持ち味を消されていた。でもやっぱ最初の南のミスによる1点が痛かった。マスコミとかは南を持ち上げるけど、プレーがいまいち軽率な感じがして俺は好きじゃない。日本代表のGKはW杯向こう2回分は楢崎と川口でOK。そのように再認識した試合だった。敗因は選手層の薄さだと思う。もちろん技術も体格も違うけど、小野一人しかゲームメーカーがいなかったのはやっぱりつらかったようだ。小野がいて、あともそっとサイドにいい選手がいれば……という感じだったがそれをいっても仕方ない。
 とはいえ2位なわけだし、よくやったし非常にいいチームだったとは思う。金古、市川をケガで欠き、中心であった稲本さえほとんど使えない状況だったのにこの結果は立派というほかない。フル代表を考えてみても、今回のユース代表組は楽しみな選手が多く、彼らがフル代表で使えるようになればかなり層が厚くなるだろう。2002年が楽しみになってきた。
 何はともあれ、ベイスターズが笑っちゃうくらい弱いし去年で満足しちゃったこともあってなんか野球を全然観る気がしないこともあって、今年はサッカーだ、という感じになってきている。とりあえず明日はJFL、横浜FCの開幕戦を観に行くのだ。横浜国際競技場で、俺と握手!

【雑誌】COMIC CUE Volume SIX イースト・プレス B5平
 久しぶりにやってまいりましたCOMIC CUE。今回のテーマは「手塚治虫リミックス!」。リミックスをやっている執筆陣は田中圭一、寺田克也、黒田硫黄、安野モヨコ、和田ラヂヲ、柏木ハルコ、吉田戦車、しりあがり寿、小原愼司、おおひなたごう、喜国雅彦、島本和彦、甲斐谷忍、国樹由香。イラストで上條淳士、楠本まき、photo collaborationで古屋兎丸+佐内正史。フリーテーマの漫画では、地下沢中也、水野純子、カネコアツシ、水谷さるころ。
 俺は手塚作品は大好きなのが多いのだけど、正直なところ全部読んでいるわけではない。手塚治虫漫画全集を一気買いするのは積年の野望だ。講談社に電話して、「手塚治漫画全集ぜんぶ」と発注したいのだけど、置き場所とかを考慮してまだやってない。そんなわけで、今回の作品の中には元ネタを読んでないのがけっこうあるので、完全に楽しめたとはいえないような気もする。だけど、全般的なテンションはいまいちかと思う。描いている人たちも、たぶん手塚作品が大好きなのだろう。それだけに逆に元ネタを消化しきれなかったりしたところがあるんではなかろうか。
 その中では黒田硫黄「メトロポリス」が一番惹かれる。ヒゲオヤジの息子、ケン一と、彼の友達であると名乗るミッチイ。大きなビルで囲まれた大都会の中、ミッチイは親の遺したロボットたちを引き連れてその一角を占拠し、あろうことか野球をやろうとする。お話としてはとりとめがないし、まとまってるともいえまい。ただ、黒田硫黄の素っ気なくて黒々として粋な描線と、ごちゃごちゃと詰め込まれた画面はやはりかっこいい。吉田戦車「三つ目がとおる」。相撲部屋入りした写楽のお話。太ってうっとうしくなった写楽がユーモラス。あと和登さんはやはりいい。手塚治虫の女性キャラクターは何かと色っぽいのだが、その中でも和登さんは最も好きだ。あのHな体つきと男言葉。ああん、萌え萌え。しりあがり寿「火の鳥in弥次喜多」は、弥次喜多の話に火の鳥がからんできてそれなりに面白いが、いまいちかみ合わせは悪いか。
 それよりもフリーテーマのほう、地下沢中也「予言者ピッピ」が抜群だった。すべての事象を計算して未来を予知するロボット「ピッピ」と、彼と兄弟のようにして育った少年タミオのお話。ピッピは世界のありとあらゆることを知っている。正しい予測ができる。しかし、空想するってことは一つもできない。だが、タミオはピッピを尊敬する。「ピッピが考えればすべてのことがその通りになる」と信じる。本当にそうであったらどんなに良かったことか。願えるようになることを願うピッピの姿の哀しさを描くラストは、今まで「ギャグの人」として捉えていた地下沢中也の奥深さを思い知らされた。水野純子「ドリーム☆タワー」は「PURE TRANCE2」という位置づけ。キュートでお人形さんのようで、さらにグロテスクな世界は健在。かなり特異な作風なので、未読な人は単行本「PURE TRANCE」と併せて是非。

【雑誌】アフタヌーン 6月号 講談社 B5平
 低調気味だったアフタヌーンだけど、やっぱり読みごたえのある読切が2、3本あると一気に印象が変わる。今回は充実。
 五十嵐大介「熊殺し神盗み太郎」は13か月ぶりの読切なのだそうだ。ずうっと前の日本の村と山々が舞台。強すぎる力を持ったために村から追われ、山で暮らすようになった太郎が、村の守り神として森に差し出された少女と出会う。守り神は「室」と呼ばれる穴の中に閉じ込められ、百年の間村を護る役目を担う。太郎は彼女を逃がそうとするが、追手は彼らを捕えて離さない。五十嵐大介の圧倒的な描き込みがなされた、不思議でファンタジックな絵柄がなんといってもかっこいい。お話も、純日本的な民話っぽさがありながら、奥底にはゾッとするような怖さも宿している。さすが、である。五十嵐大介は短編もいくつかたまってきたので、そろそろ一冊の単行本にまとめてもらえないだろうか。それから四季大賞受賞作、フクヤジョウジ「オヤスミナサイ」もなかなか良かった。植物人間状態の少女を回復させるため、医者である佐橋が、コンピュータにより患者の意識に潜り込むシステムを使って、表に出てこようとしない彼女の深層意識と対話するという物語。ぐらぐらと揺れ混迷する意識の底に分け行っていく様子はなかなか興味深い。絵柄は人物の描写が少しアクがなさすぎかなとも思うのだけど、細かいペンタッチのほのかに暖かみがある画風は好感が持てた。
 あさりよしとお「ロスト・イン・ユニバース」が新連載。まあカールビンソン。岡田芽武「ニライカナイ」。ストーリーはあんまり追う気にならなかったんだけど、絵のコマと文字のコマが次々とクロスオーバーする展開は映画の予告編みたいでちょっとかっこいいなと思った。沙村広明「無限の住人」。百琳の拷問シーンが始まってから楽しくなってきた。今回は体液でガビガビになった尻を床から剥がす「べりっ」という音がなんか印象に残った。小原愼司「菫画報」は最終回。日常の中に非日常が、なんの違和感もなく紛れ込んでくる不思議なラスト。「菫画報」らしい、ほのぼのとヘンテコなラストでなかなか良かった。

【雑誌】CUTiE comic 6月号 宝島社 B5平
 今号はいまいち。
 南Q太「夢の温度」は、目先変わってはるの兄と女教師のほうにお話が移る。女性の伏した目つきの描き方がうまいなと思う。投稿優秀作品、山田あきこ「さよなら子供たち」はなかなかいい感じ。いかにもCUTiEって感じで、クールな女の子の初潮と、倦怠と諦念の入り混じった日常を描く。ラストの見開きはショッキングな出来事を、実に淡々とさりげなく描いていて、深い絶望が感じられる。次の作品も読んでみたい。

【雑誌】きみとぼく 6月号 ソニー・マガジンズ B5平
 藤田貴美「EXIT」。主人公たちのバンド、VANCAを評論するライターの言葉で埋め尽くされた画面に、絵がからみ物語が進む形式。文字の使い方がなかなか大胆で、これはこれでかっこいい。架月弥「チョコの歌」。相も変わらぬ調子っぱずれなペースが楽しい作品。なかなかに予定調和な方向に話がいかないところが危なっかしくて良い。

【単行本】「うさぎちゃんでCue!!」1巻 佐野タカシ 少年画報社 B6
 いや〜、もう脳みそ腐ってますなあ。美人だけど凶暴なツッパリ女の稲葉と、飼育係の的木が大切に育てていたウサギのミミカが、校舎から落ちたときのショックで合体。グラマーでかわいいうさぎ少女となる。やたらぴょんぴょん跳ねまくるウサギ少女は、乳は揺れるわパンツは見えるわ。そして飼育係だった的木にもう一心にまとわりついてきて好き好き光線を放出しまくる。ぱるんぱるんとした身体。もうたまりませんな。さすがオタク殺しの佐野タカシ。トロトロに煮詰まった世界である。わたしまけましたわ。


4/23(金)……燃えよペングリ

【雑誌】Super FEEL(FEEL YOUNG6月号増刊) 祥伝社 B5平
 執筆陣は安野モヨコ、二ノ宮知子、古屋兎丸、三原ミツカズ、おおひなたごう、松井雪子、カネコアツシ、高瀬志穂、桃吐マキル+福実未ノアル、小林ユミヲ、埜納タオ、藤臣柊子、大原広軌。もういかにもなラインナップ。やまだないとがいないのが不思議なくらい。
 その中で俺の心を大きく揺るがしたのが、古屋兎丸「いちばんきれいな水」。これは傑作。最近読んだ漫画の中で一番泣けた。主人公の少女、夏美は9歳。彼女の姉、愛ちゃんは病気のせいで8年間ずっと眠り続けていた。その彼女が、両親の留守中の一日だけ突如として目覚める。昏睡状態にあった彼女の時間は、8年前から止まったまま。その愛ちゃんが、夏美を町の片隅の不思議な場所へと連れ出す。古屋兎丸のものすごく細かで、静寂感のあるペンタッチがとてもかっこいいし、語られる切々としてかつサンチマンタリスムあふれるお話も素晴らしい。描写の丁寧さは感涙ものだ。画面の端々から、優しさと切なさがビンビン伝わってくる。フワリと青空に吸い込まれていくような、静謐なラストも見事である。こういう漫画を読むと、俺って幸せだなあとしみじみ思う。古屋兎丸の描写力、センスオブワンダーの素晴らしさをまざまざと見せつけられた。脱帽。
 巻頭カラー、安野モヨコ「バックオーライ」。一つのエピソード内の脇役が、次の瞬間には主役となってフォーカスがそこに当たったかと思ったら、それとはまた別の脇役が次に主役となり、くるくると場面が移り変わっていく。そして、前のエピソードと次のエピソードが巧妙に絡み合い、一つのハーモニーを奏でていく。軽やかで技巧的。構成の妙を感じる。三原ミツカズ「空気の中を抜ける空」は、人の娘を愛してしまった吸血鬼の、美しく哀しき、そして幸せな愛の物語。自分はいつも変わらない姿のまま、彼女は徐々に歳をとっていく。それでも彼は彼女を愛し続ける。ラストの抜けるような空の美しさ(モノクロだけど)がとても印象的。最近の三原ミツカズ作品の中では一番のヒット。おおひなたごう「赤んぼ先生」は、週刊少年チャンピオン連載「おやつ」でもおなじみ赤んぼ先生が主役。赤んぼ先生がノックするときの擬音が何気におかしい。カネコアツシ「SATANIC?」。いつもの調子。というかこの人のコンスタントさはすごいなあといつも思う。埜納タオ「チャイム」。ちょいとラフだけどそれがなんとも気持ち良い方向に働いているペンタッチが魅力的。ちょっと松井雪子を思い出す絵柄。ゆったりした雰囲気で気に入った。

【雑誌】フラミンゴ 6月号 三和出版 A5平
 今月号は久しぶりにテンションが高かった感じがした。なんといっても巻頭カラーが白井薫範の新連載である。タイトルは「私の罪はアナタノツミ」。OLが後輩の女の子に奴隷"P"として扱われる物語なのだが、カラーで白井薫範独特の毛むくじゃら牛まんをやられると、かなりうっとくる迫力がある。海明寺裕「歌はともだち」(中編)。人間様奉仕用、人型家畜「K9」世界のアイドル犬がオーディションにかけられるというこのシリーズ。オスのK9がかなりショタってていい感じ。イカれた異世界で、正面からアイドル物語をやってしまう海明寺裕の発想はなかなかにかっこいい。それから駕籠真太郎「花咲ける純情」。ここのところ、MANGA EROTICS、コットンコミック、そしてこのフラミンゴと、わずか10日ばかりの間に駕籠真太郎の作品を3作も読めた。しかもいずれも粒揃い。いや、もう幸せである。今回のお話は、生まれてから一度も大便を排泄したことのない奇跡的に清らかなお嬢さまがお国のために肉体改造を受け、大便兵器と化すまでの物語。見開きを埋め尽くす尻の山、めくるめく愛子十六歳の世界。スゲエ。素晴らしい。太田出版から5月中旬に出るという単行本には、否が応でも期待が高まる。
 蜈蚣Melibe「バージェスの乙女たち」。今回は有機人形たちによる「人形劇」のお話なのだが、その構造がなかなかスゴイ。「ロミオとジュリエット」の劇を好事家のために演技する有機人形たちだが……。ネタばらしはしないでおくのでまあ読んでくれって感じ。大仰なセリフ回しも見事。腹部腸(すごいペンネームだなあ)の「父娘(禁)倶楽部」。新人。タイトルから想像がつくだろうが、父と娘の近親相姦ものである。子供っぽい簡略な絵柄だが、行為の描写が生々しくて妙にいやらしかった。天竺浪人「便器」。毎度うまい。変態的なセックス、登場人物たちの心のなかの空洞を実に巧妙に描写している。6月14日にはこの作品の単行本1巻(タイトルは「LOST」)が出るそうなんで、購入リストに組み込め、俺。

【雑誌】オールマン 5/5 No.9 集英社 B5中
 作:小池一夫+画:井上紀良「マッドブル2000」。タイトルを見れば分かるとおり「マッドブル34」の焼き直し。まあそういう作品である。作:城アラキ+画:甲斐谷忍「ソムリエ」は次号で最終回とのこと。末松正博「殿様ルーキー」。かなり気楽に読める作品。調子のいいエロシーンなど、馬鹿馬鹿しくノリが良くて楽しい。

【雑誌】ヤングアニマル 5/14 No.9 白泉社 B5中
 三浦建太郎「ベルセルク」。いよいよキャスカの魔を呼ぶ力が物語を動かしていきそうな感じ。それにしても、娼婦のおねえちゃんが妹の尻をひっぱたくシーンが色っぽい。あさりよしとお「ひとりエッチ」。オナニーよもやま話。それにしてもこの雑誌、下ネタ多くなったなあ。ちなみに俺はいろいろ試したけど、通常はペングリップ。柴田ヨクサル「エアマスター」。崎山香織がブチ切れて豪快に暴れまくる。暴走したノリがかなり笑えた。氷室芹夏が読切で掲載。タイトルは「夏音」(かのん)。とある高校にやってきた転校生。なぜだか自分にまとわりついてくる女の子、夏音と彼は恋仲に。ところが、親同士の再婚で彼らは家族となることに……という出だし。作品の評価は後編を読んでからだが、氷室芹夏の絵が前よりちょっとだけ大人っぽくなっているのが目につく。唇の描き方がしつこくなったような。馬場民雄「ご馳走さま!」。ラーメン漫画、シリーズ第2段。まあわりと面白いのだが、実は俺はラーメンにはそんなに燃えないタイプなのでそこそこって感じ。麺類よりもごはんな人間なので。読切の芦屋晴明「活殺針」は、鍼と按摩の整体師兄妹が、その能力を駆使して必殺仕事人的な活躍をするという作品。わりとよくある感じの作品ともいえるが、ペンタッチの細かさはわりと好み。

【雑誌】コミックドルフィン 6月号 司書房 B5中
 今日もさわやか実用系。裏表紙はおなじみダイヤルQ2の下品な広告。気軽に放置しておけない雑誌である。御堂つかさ「クリシュナさま」。ちょっと絵柄はバタくさいけど、女魔道士と敵二人のセックスシーンはなかなかにパワフル。みやびつづる「艶母」。ますます進む、息子によるお母さんの調教。今回は公衆便所で不特定多数の男どもの相手をさせられる。なんともエロ小説的な世界。いやらしいぞっ。LAZYCLUB「ざしきわらしのビアンカさん」。ほかの執筆陣に負けず劣らず、この人も立派な巨乳絵師だ。今回のヒロイン、ビアンカさんは乳が柔らかそうでええ感じ。マーシーラビット「プリズナー☆アイドル」は最終回。いつもながらに、あっけらかんとやりまくり。手堅く明るい実用系。この人って、明るい絵柄なんだけど、実はやってることってかなりご都合主義でひどかったりするんだよな。なんとも男にとって都合のいいパラダイスを創出してくるのだ。そこらへんがいいんだけど。


4/22(木)……ダッシュガッペ

 ここ2、3日、買い逃していた本がいくつかあってなんかイヤな感じ。心にしこりが残っているというか。我ハ資本ノ走狗ナリ。まあ走狗なら走狗なりに猛犬くらいにはなりたいものだけど。バターも可。

【雑誌】ヤングサンデー 5/6 No.21 小学館 B5中
 今回の注目は大越孝太郎。読切で登場。タイトルは「でんでん商店街」。浅草っぽい人情あふれる下町商店街で生まれ育った少女、辰巳なちが主人公。彼女は若い(女子高生)のに、毎朝神社で柏手を打つのを欠かさなかったりと、下町人情にとっぷり浸かって生活している。その商店街が大手デパートの進出で危機にさらされるが……というお話。なんかメジャーで描くのを意識してか、パンチラやら乳出しなどやけにサービスカットが多い。絵はいつもながらにうまいし女の子もかわいく描けている。なんだか単純に「ビバ!下町」って感じのことを言い切っちゃうストーリーはちょっと短絡的かなと思わないでもないけど、けっこう楽しかったのは事実。なちがピチピチとして魅力的だったのが一番良かった点。最近、アックスなどで描く作品はあんまり面白くなかったので、逆にこういうふうに割り切ったメジャー系の作品を描くほうがいいかもしれない。
 古屋兎丸「ショートカッツ」。単行本2巻発売記念ってことで特別編が掲載。まあ例によって例のごとくなコギャルギャグ。まあ普通。山田芳裕「デカスロン」。最近、ダン・オブライエンが非常にかっこいい。怒ったり獣になったりすごんだり。今回もやたらと熱かったし。新人、尾形圭士郎のギャグ漫画「ガッペ!!」。やたらめったら乱暴でアナーキーでイカれた男、ガッペの物語。彼は一応高校生なのだけど、クラスをジャックして勝手にねんどで寿司を作る授業を始めたりする。先生は廊下に立たす。別に悪気はない。天然でイカれているだけなのだ。なかなかテンションが高くて面白かった。ノーフューチャーでよろしい。阿部潤「the山田家」。今回は珍しくみちるがイカれてむちゃくちゃにイキみまくっている。毎度強烈。

【雑誌】ヤングジャンプ 5/13 No.21+22 集英社 B5中
 今号のヤングジャンプはヒロスエ。ヤンジャンは根気よく集めて切り抜いておけば紙質が安っぽい写真集のでき上がり!オトク!(そうか?)
 巻頭カラーで奥浩哉の新連載「ZERO ONE」がスタート。コンピュータによる仮想世界のバトルフィールドで、プレイヤーを操作して対戦する格闘ゲームに熱中する少年少女たちのお話の模様。奥浩哉は「変」のころと比べてだいぶ絵が変わった。前の雰囲気を残しつつも、ずいぶんと写実的になった。目の描き方なんかも光が少なく目全体が小さくしていて、かなりかっこいい絵柄になっている。ただ、格闘ゲーム部分の3D CGはなんかいかにも格ゲーのCGって感じであんまりソソらない。山口譲司「BOiNG」。ぼいんぼいんとした乳の感じがなかなかいい。桜の木から出てきたぼいんねーちゃん。そのぼいんはとんでもないぼいんだった……という展開で、なんかどうでもいい楽しさ。やはりぼいんには幸せが詰まってますな。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 5/5 No.9 講談社 B5中
 今号のE-Oppersはいつもみたいにイラストでなく、4ページ4色カラーの漫画。エロ漫画雑誌の零式などで描いた漫画でマニア筋の注目を集めた目黒三吉が登場である。タイトルは「びわこでチュッ!」。零式で描いてる奴と同じシリーズ。お話はわりとなんてことないが、この人の絵はやっぱりいいなあ。線がスタイリッシュで色気もあって。表情のつけかたもいろいろうまい。なんともセンスを感じる人である。泉谷圭吾「HEAT UP!!」が短期集中(3回)で新連載。ビーチバレーを盛り上げたいと考えている男が、全国を回ってかわいい選手を発掘。スターに育てあげんとする物語。一人はアイドル顔。そのコンビは巨乳ロリ系。なんか身もフタもない展開がけっこう楽しい。絵は少し桑原真也と似ている感じでわりと色気がある。

【雑誌】モーニング 5/6+13 No.21+22 講談社 B5中
 ヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」では、ヨリがヒロコを超えるための壁がまた一つ。ただ単に頑張って練習すれば力が出るってもんでもなく、きちんと壁を乗り越えさせる過程を描いているところがいい。さらに高いレベルに登ったヨリと、最強のヒロコの対決が早く観たい。木葉功一「キリコ」で遊佐が復活の兆し。最初はタダの乱暴な警察官だったのに、今では凶暴な野獣。成長したというかなんというか。豪快でかっこいいぞっ。作:亜樹直+画:的場健「サイコドクター」が掲載。読切32ページ。まあ相変わらずのベタベタな展開。嫌いじゃないけどね。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 5/6+13 No.22+23 秋田書店 B5平
 浜岡賢次「浦安鉄筋家族」が2本立て。俺としては2本めがわりとヒット。あの板垣恵介顔でパワーの余りまくった小学生が登場。たかだか消しゴムで字を消すだけのことを、これだけギャグにしちゃうってのいうのは大したもの。橋本俊二「麻雀鬼ウキョウ」。またしてもレベルの低いイカサマを……。サブタイトルは「白い幻影(イリュージョン)」。すごいイリュージョンだ。


4/21(水)……軍鶏ん豊作

 月下工房#書評系のサイトウさんとoutdexのムネカタさん、そして俺の3人で呑むin池袋。最近呑むっていうと何かと池袋な俺だ。地元民でもなんでもないのに。当初は軍鶏を食わせてくれる焼き鳥屋を予定していたのだが、なんか行列ができてて入れず。俺の焼き鳥欲はおあずけを食ったことによりさらに高まりを見せる今日このごろ。そのせいだかなんだかよく分からないが、どうやって帰ったかいまいち記憶のない俺だった。そんなわけで今日は2冊だけ。

【雑誌】週刊少年サンデー 5/5 No.21 小学館 B5平
 曽田正人「め組の大吾」。大吾が異国でなんだか名をあげてしまって、その大仰な扱われ方が楽しかったりもする。久米田康治「かってに改蔵」は1周年ということで2色カラー。まあいつもと変わらないけど、天才塾がいよいよ組織的に改蔵をねらい始めるってことで。

【雑誌】週刊少年マガジン 5/5 No.21 講談社 B5平
 原案:さいふうめい+画:星野泰視「勝負師伝説哲也」。雀荘の店長のガン牌の秘密に迫る今回のシリーズ。だいぶその秘密が見えてきたかな、という感じ。とりあえず光が関係している気配だが。メガネが怪しい。赤松健「ラブひな」。いや〜ヌルい。最高。いいところでジャマが入るあたりもお約束だし。


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