◆ 1999年8月中旬 ◆

8/11〜20
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8/20(金)……ドコイツのオオオ科学はアアア世界一イイイイ

 職場のバイト様がポケットステーションを買ってきてくれたので、会社帰りにセブンイレブンで「どこでもいっしょ」も購入。さっそく始めようと思ったのだが、俺のプレステは改造済み。最初、PS側でソフトをきちんと認識してくれず困ってしまった。何度か電源を入れたり切ったりすると、ときたま認識してくれることが判明。うーん、改造はやめといたほうがよかったのか? CD-Rで焼いた「バックアップ」を認識させるだけなら、PS-Zというアダプタをプレステ背面にくっつけるだけでいいのだが、8/6の日記で書いたとおり俺はPS用のVideoCD再生アダプタも買っている。これは拡張コネクタを使用するので、PS-Zと同時使用は不可である。ゆくゆくは自分でVideoCDを焼いたりMP3プレイヤーにしたりして活用しようかと思っていたので、MODチップを取り付けたほうが便利なのは確かだったのだが。
 まあ、何回か電源入れ直せばいいだけなんで当面はなんとかできるんだけど、このままではちと悔しいし面倒くさい。別のMODチップを使えったりスイッチを付ける改造をしたりすれば起動プロテクトも回避できるらしいのだが。別のMODチップを買うか、もう1台プレステを買うか。うーん、悩むところではある。「どこでもいっしょ」用のプロテクト解除コードがないかと思って検索をかけてみたけど見つからないし。うーん。誰か知ってる人がいたら教えてくださいませ。もしくは安値でプレステ譲ってくれるというお話も大歓迎でございます。
 なお、ポケピの種類はかえる。名前はやまもと。

【雑誌】パチンカーワールド 9/19 Vol.176 白夜書房 B5中
 表紙と巻頭カラーが、画:ふくしま政美+作:尾上龍太郎「玉男」。第4回め。ここまでのお話は読んでいなかったが、それでもたいへんに激しいことはよく分かる。キクチヒロノリ「キクチヒロノリのパチンコ・カリギュラマシーン」。相変わらずイカれた作風、そしてキャラクターたち。ガロやAXで描いている漫画よりはいくぶん大人しめだが。このほか、犬木加奈子やサマンサ三吉も描いており、なんだかヘンな雑誌になっているなーという印象。

【雑誌】快楽天星組 Vo.8 ワニマガジン B5平
 巻頭カラーはRaTe「タマビ」。性風俗産業のエリート養成学校として知られる、埼玉ビ術短大(ビの字は文字コードにないみたいだけど、「三国志」に出てくるビ芳、ビ竺のビ)に通う女の子たちのお話。この人の描く女体は、乳もそうだが、顔から身体からもちもちした重量感が感じられて好きだ。下膨れ気味のほっぺたの感じとかがとくに良い。ちんちん好きなところもナイス。みうらたけひろ「−春日探偵事務所記録−Irregular Surf」。美少女系の流れは外さず、アダルトな感じで仕上がっている。熟れたいやらしさがあってソソる。嶋真介「swimming」。全体につや消しな感じに仕上がった画面が特徴的で目を惹く。この人はお話作りの面であともう一皮剥けてさらに高次元に達することができれば、かなり面白くなりそう。今でもけっこう面白いけど。

【雑誌】ウルトラジャンプ No.33 集英社 B5平
 今号の注目は大暮維人「天上天下」!……というのはまあ冗談として。なんだか大暮維人が身体を壊してダウンしたらしく、その穴埋めで天竺浪人、天織龍樹、ぐれいす、鬼魔あづさが2ページずつイラストを描いているのだ。いずれもホットミルク筋の人ですな。藤原カムイ「福神町綺譚」。今号は2本立て。1本は「ねじ式」の福神町版。も一つは、ここまでで登場した主要なお二人さんのラブ・ストーリー。何やら福神町も、だいぶ軌道に乗ってきて最近好き放題やっているなあという印象。楽しそうでよろし。伊藤悠「影猫」。伊藤悠は久しぶりの登場。この人のクッキリとしたシャープな絵柄はなかなかかっこよい。介錯「薔薇の三銃士」。あまりにもオタク的なノリではあるのだが、ここまで馬鹿っぽいとけっこうスゴイのではないか、と最近思うようになってきた。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 9月号 竹書房 B5中
 かたぎりわかな「みちばたトライアングル」。今号もすっとんきょうなギャグが楽しいが、今回は少し大人しめな感じ。もう少しページ数を増やして暴走していただけるとうれしい。池部ハナ子がゲストで登場。タイトルは「ここは貞聖寮」。女子大の寮に住まう三人の女の子が主役な4コマコメディー。ほのぼのとしていて、だいぶヌルい。もう少しガツンと来るのが読みたいところではあるが。


8/19(木)……キュージーコミック

【雑誌】別冊ヤングマガジン 9/1 No.001 講談社 B5中
 新創刊。ヤングマガジンの別冊である……当たり前か。駅の売店とかでは見当たらず、ちょっと探してしまった。取り扱い書店はあんまり多くないのかも。全体的な印象は赤/青BUTAに近いけれど、野蛮さはちょっと控えめでそれなりにまとまっている。エグザクタと赤/青BUTAと本誌を足して割ったといった印象。
 まずは本誌でやっていた、おたわけ四十八手格闘漫画、前川かずお「闘破蛇烈伝DEI48」が復活。しかも巻頭で。中断前にたいへんなことになっていたが、なんかそこらへんはどうでもいいかのように、破武男は記憶喪失。ちんちんに落雷を受けたり、相も変わらず過剰な展開。やたらに力強く間抜けな方向に暴走するこの作品。もっともっとあらぬ方向へと突っ走っていただけるとうれしい。ミミガーズも復活してほしいものだ。「クロカン」の三田紀房「甲子園へ行こう!」。主人公は野球が好きで好きでたまらない、弱小高校の一年生エース。強豪高校を倒す寸前まで行っておきながら、最後の最後で彼の制球が定まらなくなり、甲子園大会予選1回戦で姿を消す。責任を感じた彼は野球をやめようとするが、野球に対する想いは募り……といったところで以下次号。ちゃんと連載になる模様。
 小崎祐輔「未確認非業少女カオル」。一見普通の女子高生だけど、その実はやたらに思い込みが激しく、さらに馬鹿力で破壊的な少女・シバカオルが主人公。激しく暴走する作風には勢いがあってよろしい。福満しげゆき「初体験物語」。淡々とおかしなことをやっていて気持ちがいい。だいぶこの人は描線が整理されたなーという感じ。相沢トモコ「サダオの毎日」。やたらに馬鹿で、しかも元気だけはありあまっている新聞配達員のサダオが、配った新聞をかっぱらった女を追いかける。なぜかこの二人、止まらない止まれない。どうでも良いことに向かって突っ走る闇雲さ、それからそれをきちんと一編の物語としてまとめあげる力はやはり大したもの。

【雑誌】増刊ヤングジャンプ 漫革 8/24 集英社 B5中
 増刊枠でのわりにはアクがなくて、ちと弱いかなという印象。最近は駕籠真太郎も載ってないし。印象に残ったのは、七瀬あゆむ「約束」。幼馴染みで姉弟のように育った男女のお話。「姉弟みたいなもの」という自分たちで作った一線を、なかなか二人は踏み越えられないのだが……といった感じのラブストーリー。飛び抜けた出来ってわけではないけれども、この人の描く女性は目がクリッとしてて魅力的ではある。

【雑誌】ヤングサンデー 9/2 No.38 小学館 B5中
 今号は新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」が休載。珍しいことではないが。
 かわぐちかいじ「バッテリー」。甲子園、春夏連覇をあと一歩で逃した強豪高校の実力派バッテリー。味方でありながら、彼らの間には緊張感が漂い、お互いが最大のライバルといえた。彼らの意地の張り合い、そして目指すものを描く。短編ではあるがけっこう気合いが入っている。後編があってもいいかなという感じもするが。遊人「桜通信」。ああ、もうこの馬鹿さ加減。素晴らしい。今回はたぶんパイズリが描きたかったのだろうなあ、この人は。山本英夫「殺し屋イチ」。最近登場した、果てしなく暴力的な強姦ブラザーズがブイブイいわせまくっていて頼もしい。次号はかなりに激しそう。楽しみ〜。山田玲司「アガペイズ」。ユリ、最後の一球になるのか。いい具合に泣かせが入って盛り上がっている。

【雑誌】モーニング 9/2 No.38 講談社 B5中
 今号は、なんといってもヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」。ヒロコとヨリの壮絶なる打ち合い。二人の鼓動がコートの中、そして会場中に響き渡る。かっこいい。かっこよすぎる。井上雄彦「バガボンド」。宝蔵院胤舜が前回に引き続きたいへんにかっこいい。武張るでなく枯れるでなく。そして強い。植山とち「クックングパパ」。工藤(ぬぼーっと顔の長い人)が博多に久しぶりに帰ってくる。種ヶ島さんがたいへんにかわいく印象的。なお、料理は地中海風バーベキュー。最近、炭火で頭がいっぱいな俺としては少しソソられるものが。榎本俊二「えの素」。やはり葛原さんはサディスティックでエキセントリックにペニセスト!

【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/2 No.39 秋田書店 B5平
 水島新司「ドカベンプロ野球編」。全セのトップ打者はいきなりホームラン打者、鈴木尚典。前半戦のホームランは11本である。ベイスターズファンとしては、なんとなくホームラン打者とはいいたくないような気もする。なお、坂田三吉は2コマで軽く上原に料理された。能田達規「おまかせ!ピース電器店」。ドタバタあり、そしてラヴあり。今回みたいな脇役キャラの想いってパターンはけっこう好きだ。


8/18(水)……もっど強く、もっど高く

 どうにも納得がいかないWebページを発見した。ココだ。ひどくファッキンである。絶対に間違いだと思う。何者かの陰謀かもしれない。かなりのショックを受けたので、秋葉原でプレステにMOD-5thチップを取り付けてもらってきた。プレステでCD-Rメディアを読めるようにしてしまうというわけなのか。これ以上ショックなことがあった暁には、プレステでMP3を再生できるようにするPS-MP3さえ買ってしまうかもしれない。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 9/1 No.17 講談社 B5中
 画:板垣恵介+作:夢枕獏「餓狼伝」。泣き虫サクラ、圧倒的に強え! やられた相手は、まあ確実に死んだと思われる。一つの攻撃から次の攻撃へ行くまでの流れがさすがにうまく、ハッタリの利いた表現がかっちょいい。桑原真也「0(ラブ)リー打越くん!!」。今回は天才テニス少女の藤原京花が完全に主役。シノヴに血を吸われて、吸血によって性感を刺激される体質になってしまった彼女。やたらと色っぽくてパワフル。なんかあらぬ方向にお話が進みそうで楽しい。咲香里「春よ、来い」。おにーちゃんと眼鏡娘のラヴが燃え上がる! 二人とも初々しくてたいへんによろしい。いいぞラヴコメ。抜群に恋だ。渡辺ヒロフミ「おともだち」。新人。ちょっとHで、かつ無軌道なギャグがなかなか楽しかった。ギャグの味わいとしては、けっこういろいろな人の影響を感じさせるが、とりあえずノリは良い。女の子がわりとかわいかったりするのも吉。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/1 No.38 小学館 B5平
 石渡治「パスポート・ブルー」。ペットボトルロケットの話はなかなか面白かった。もう少し仕組みについてもキッチリ触れてほしかったところだけど。俺も学校の授業でこういうことやりたかったなあ。グランドクロスでカッシーニが……とかいってる場合じゃないよねー。


8/17(火)……OHP2周年記念特別日記

 暑かったのでパソコンラックを購入。こんなの(サンワサプライSR-T20SV)。棚の位置が可変なので、ディスプレイを下のほうに配置してコタツの脇に置き、普段はコタツに正対、パソコンを使うときは座椅子を横に向ける……というライフスタイルを構築するつもりだ。到着は23日(月)。その前に場所を空けるべく、本棚を移動したりしなくちゃならない。そんなことやってるヒマはあるやあらざるや。

 元名古屋グランパスエイトで、その後、平塚やヨーロッパや南米に行ったりしていた、ゴッド・森山泰行のサンフレッチェ広島入団が決定! 森山泰行はこれまで崇拝の対象であったが、サンフレッチェ広島も心憎からず思っているチーム。森山と久保、そして町田出身の高橋とのスリートップなんていわれた日にゃあ、こりゃもうシビレまくりですぜ!

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ増刊Manpuku! 9/17 小学館 B5中
 高橋しん「さよなら、パパ。14歳。〜旅立ち〜」。この人に関しては前から思っていることがある。今回の作品を読んで、さらにその思いを強くした。ぜひこの人に、純然たるロリコン漫画を描いてほしい。ちっちゃいおんなのこたちが、幼稚園でおゆうぎして「わー」とかいっている、ただそれだけで良い。そういうのを、ニヤニヤしながら眺めてみたい。吉田戦車「山田シリーズ」。このシリーズは、最近の吉田戦車作品の中では最も面白いモノの一つ。キャラクター「山田」が生きているというのもあるが、言葉の使い方、そして今回はグラフがいい。
 榎本ナリコ「スカートIII」。「スカートさん」は吉田戦車がバーズでやっている連載だが、それはおそらく関係ないと俺は確信している。それはそうと榎本ナリコ。「センチメントの季節」が本誌42号(9/20発売)から再開するということで、しばらく「スカート」のほうはお休みの模様。ゲイの男が一人からんだ、女一人男二人の三角関係高校生青春モノ。センシティブで傷つきやすい青少年たちの心の描写が丁寧で、切なくてよろしい。村上かつらの新作「99夏あたし15歳」。今までずっと好きだった、ケンカ友達の少年・甲太が転校していくことに。ヒロインの少女の思いをよそに、彼は最後の最後に別の少女に告白して付き合うようになってしまった。なんとも切なくやりきれない彼女に、甲太の優しさが痛く響く。こういう割り切れない心の描写など、村上かつらはやはりうまい。そろそろ単行本を……とずっと思っているのだが、なかなか出そうにないなあ。
 そんなわけで、ベテラン、中堅どころはそれなりに面白い作品を描いている。ただ、増刊の割りに新人さんが弱い感じがする。もう少しイキがいいとうれしいのだけど。

【雑誌】恐怖の実話怪談 ワニマガジン B5平
 頸文社21世紀文庫から刊行されている、実話を元にした怪談モノの小説「超怖い話」を漫画化したもの。執筆陣は、大越孝太郎、黒坂圭太、山田参助、武富健治、逆柱いみり、池部ハナコ、野口千里、羽生生純、古屋兎丸という、漫画オタク的にかなり狂喜乱舞、欣喜雀躍な面子。ひょっとして、この中で一番メジャーなのは古屋兎丸? 俺としては最近では商業誌でそうそう作品を見ることができない、逆柱いみり、武富健治が掲載されているのがうれしい。あと山田参助は、活動場所が「さぶ」とかであり普段チェックしてないので、こうして読めるというのは収穫。ただ、全体的に、この人たちだったらオリジナルでストーリー作らせたほうがいいかなあと感じる。読みごたえの面で若干もの足りなさを感じるお話も多かった。
 この中で一番怖かったのは武富健治。内容はともかくとしても、この人は絵が怖い。実に不吉である。それから逆柱いみりはまた違った面でいい。背景でありながら登場人物を完全に食ってしまっている、畸形な人面の虫などがたいへんに異様。不安になるような絵柄ではありつつも妙に馴染む、不可思議で変化球的な怖さ。池部ハナコは怖いというよりも、優しさのあるええ感じのお話。羽生生純は、やたらに力が入って血管のブチブチ浮いた顔面描写が邪悪なり。お話はも少し濃いほうがうれしいが。古屋兎丸に関しては、お話よりもその圧倒的に細かい描写の迫力が上回っている。死体にたかる蛆はおぞましいが、ペンタッチはあくまで美しかったりする。

【雑誌】ZetuMan 9月号 笠倉出版社 B5中
 今月号は全体的にちとテンションが低いか。一時期かなりいい感じに実用とストーリー系のバランスがとれてて良かったのだけれど。
 咲香里「太陽が落ちてくる」が最終話。爽やかにハッピーエンド。ここらへんは単行本になった暁にまとめ読みが吉かな。ZERRY藤尾「扉をコジ開けて」シリーズ「いい娘だね」。今回の最大の見どころは3ページめの柱!……というわけではなくて。いや、なんかもういい感じにラヴコメしてますな。エロもこなしつつ。次回でいよいよ最終回。

【単行本】「Jドリーム完全燃焼編」7巻 塀内夏子 講談社 新書判
 データは塀内夏子のページのほうに。
 フランスW杯を目指す、アジア予選もいよいよ大詰め。グループを2位で終わった日本は、第3代表の座を賭けて、マレーシアはジョホールバルでイラン代表と決定戦を行う。勝てば天国、負ければ地獄の苦しい中で、鷹は今までの苦しい予選とは打って変わって実に楽しそうにフィールド内を駆け回る。サッカーを楽しもうとする日本と、厳しく激しくサッカーに臨むイラン代表の意地と技が激突する。フィジカル面ではイランに劣る日本だが、鷹の力はどこまで通用するかといった感じ。
 さすがにこのあたりまでくると状況がかなり切羽詰まってきて面白い。この巻は今まで目立たなかったボランチの柳木が活躍したり、ベテラン嶋が復活したりと見どころはわりと多い。


8/16(月)……駅前蹴球

 お盆休みの夏枯れも今日あたりでおしまいのはず。明日くらいから雑誌がまた出始めるはず。そろそろ盆用の漫画の備蓄も切れてきたので今日は一冊だけ。

 久しぶりにゲームを購入。エポック社・小学館プロダクションの「エキサイトステージGB」。スーパーファミコンで出ていたサッカーゲームの名作、「エキサイトステージ」のゲームボーイ版だ。実はこの「エキサイトステージ」に関しては、しばた家の定番的ゲームで、兄と俺ですでに何千回も骨肉の決戦を繰り返している。単純化されたインタフェースが分かりやすく、非常にゲーム性が高い。そんなわけでこのゲームボーイ版にもけっこう期待していたわけだ。
 で、やってみた。さすがにゲームボーイなんで、選手たちがちまちましててなんかこどもサッカーといった感じ。このソフトはゲームボーイカラー専用なのだが、グラフィックが非常に美しくてビックリ。ゲームボーイカラーの色をフルに使うとこんだけきれいなもんなのか、としばし感嘆。ゲームとしてはまあそれなりに面白い。スーファミ版みたいに、ボールを受けて振り向きざまにすばやくシュートとかいうのは、反応速度や十字キーの使い勝手からしてやりにくいが、まあそれなりに仕上がっている。スーファミ版ほどにドリブルテクニックやセンタリングが使えなくて、ちともどかしくもあり。何より、ゲームボーイの十字キーだと斜め移動/パス/シュートがやりにくかった。ここらへんは試合をこなしていくうちに、たぶん慣れるだろうと思うが。これでまたゲームボーイ熱再燃? とりあえずROM吸い出し?

【同人誌】「蓉春伝奇」 志賀彰 <憂便局>
 コミケで買ってきた同人誌……というのはウソで先日、志賀彰さんを兄ハウスにお招きして七輪でもろもろを焼いて食ったりした折にいただいた本。以下は評モードなので敬称は略。
 志賀彰は「Tabreau」という作品で、コミティア系の人の間では評価が高い。というか「Tabreau」は俺もすごく好きな作品である。この「蓉春伝奇」は1997年発行の本で、彼が大学生のころ未完のままにしておいた作品に加筆して一冊にまとめたモノ。漢の時代の中国が舞台で、蓉春という女暗殺者を主人公とするお話。絵柄や漫画技術自体は、さすがに現在と比べるとまだ熟していないが、コマ割りやストーリー展開はオーソドックスになかなかきちんとしていて、しっかり読める。女暗殺者モノというのは、さほど好きなテーマでないので「どうかなあ」とか思って読み始めたのだけど、けっこう楽しめてしまった。


8/15(日)……白骨発掘

 感想は後述するが、「いずれ絶対読む」と思いつつこれまで読んでいなかった坂口尚「石の花」を読了。ここまで読んでいなかったのは、ハードカバーの新潮社版が入手できていなかったためだ。漫画文庫でも出てるので読もうと思えば読めたのだが、じっくり味わいたい作品は文庫では読みたくない。漫画文庫は昔の名作を今改めて復刊してくれるという意味ではありがたいし、携帯しやすいし入手も容易だし、メリットは重々承知している。でも、あれだけ判型が小さいと俺としてはどうも読む気になれない。元はB4だかそこらの原稿を、文庫サイズにまで縮めるってことは、B4は257mm×364mm=93548平方mmで、文庫(A6)は105mm×148mm=15540平方mmと考えると、面積で16.6%まで縮小している計算になる。約8分の1。これはかなり乱暴な話だと思うのだけど。というわけでもし手に入るようであれば、なるべく文庫になる前の判型の奴を探すようにしている。
 俺としてはB5の雑誌で読んだものをA5の単行本で読み返すだけで、作品によっては「小さい」と感じてしまう。見開きのかっこよさとかを存分に堪能するにはB5はやはり欲しいなあと思う。とはいえ、収納スペースの問題もあるので、A5くらいが妥当か。B6くらいまでが許容範囲。新書判だとちと小さすぎ。

 サッカーJFL。第2ステージ最終戦。前ステージ優勝の横浜FCは、今ステージ6勝1敗1分で3位。通年ではまだトップだが、本田技研が勝ち点3まで迫ってきており油断はできない。ただ、JFLの残留条件である「通年4位以内」は、5位のチームと勝ち点で17も差があるので簡単に確保できそうだ。
 最近はスケジュールが合わず、横浜FCの試合は観に行けていない。ただ、試合結果から観るに、第1ステージほどの攻撃力がなくなってきているように思える。CBの遠藤がヴェルディに移籍してしまったため、後方からの球の出どころがなくなり、攻撃パターンが単調になっているのでは。中盤でゲームを作れる人材もいないので、サイドの守備を固められると攻め手がない。遠藤の移籍は守備陣にもかなり影響を及ぼしている。金がないので思ったような補強はなかなかできないと思うけど、とりあえずJ2に上がるまではなんとか辛抱。

【雑誌】コットンコミック 9月号 東京三世社 B5中
 ああ、うれしい。駕籠真太郎「駅前発掘」の扉ページのところに、「単行本の計画が着々と!」という文字があったのだ。コットンコミック収録分の駕籠真太郎作品は、これまでなかなか単行本にならず、読み逃しもけっこうあったのでファンにとっては朗報である。「輝け!大東亜共栄圏」で話題を呼んだのも追い風となったか。単行本の発売時期とかはまったく書いていないけれども、出たら即買い。当然ながら。そして今回の「駅前発掘」はお話も非常に面白かった。病気の妻を満足させるために、ダウジングで人間の遺体が集中して埋まっている層を発見し、発掘して回っている男の話。流行や発達した文化の違いにより、発掘される死体の特性は地層ごとに異なる……とまあ、たいへんにシュールな世界。この世界の人々は、発掘された遺体の一部を食うことにより、その遺体の持つエネルギーを身体に取り入れる。何気なく、そしてクールに人間がぽいぽい死んで、肉体は食われる。さらに、当たり前のようにさりげなくとんでもない奇想を盛り込んでくる。オチも気が利いていて、たいへんに面白かった。これ以上、俺のへっぽこな言葉などでネタをバラして、刺激を失わせてしまうこともあるまい。まずは読むべし。そして、この狂気にあふれたシニカルなギャグを存分に楽しむと良い。
 そのほかでは渡辺ヒデユキ、サセマンシリーズ「アンゴルモアの肉茎」が相も変わらずC調なギャグで楽しい。

【単行本】「石の花」全5巻 坂口尚 新潮社 四六判
 第二次世界大戦下、ドイツ軍に蹂躙されたユーゴスラビアの地が物語の舞台。片田舎のダーナス村に住む平凡な少年・クリロはドイツ軍の爆撃により壊滅させられた村から逃れ、のちにパルチザンに参加。各地を転戦する。クリロの同級生の少女・フィーは囚われ強制収容所へ送られる。クリロの兄、イヴァンはドイツのスパイとして暗躍する。この3人を軸に、戦火の下にある人々の生き様を描いていく。まず最初に本を開いて感じたのが、背景描写の素晴らしさ。緻密に描き込まれているうえに、一本一本の線に雰囲気がある。坂口尚の作画のなんとかっこいいことか。そして読み進むうちに物語にグイグイと引き込まれていく。通常の単行本なら、俺は1冊10分くらいで読み終えられるのだけど、この単行本は1冊につき40分くらいかかった。それだけのヴォリュームがあり、その量以上に質的な読みごたえがある。
 安っぽい反戦思想やヒューマニズムに逃げることなく、堂々と物語を紡ぎ出す。極限状態に置かれた強制収容所の人々が、ほとんど無意味に、書類に○と×をつけるかのように死んでいく姿なども克明に描かれる。主人公たちの周りで起きる「特別な死」だけでなく、「意味がないかに思える死」まで踏まえたうえで、戦争、そして人間の生についての思考を深めていく。その姿勢は実に真摯で、描写は骨太である。物語は起伏に富み、読んでいる間、ずっと夢中にさせ続けてくれた。ラストも実に見事。これだけの描写力、説得力を持ち得た坂口尚はやっぱりすごいと改めて思うと同時に、坂口尚はもういないのだなあと少し寂しくなった。

 ああ、そういえば読み終えてから気づいたのだけど、今日は終戦記念日。偶然だけどタイムリー。それからいちおう補足しておくと、四六判っていうのは横127mm×縦188mmで、A5とB6の間くらいの判型のこと。


8/14(土)……バラ色の牛舌

 有明萌え萌え謝肉祭には行かず、大雨が降る中、家のベランダの屋根があるエリアに七輪を出して、肉とキノコを焼いて食う。今回は炊きたてのごはんプラス炭焼きというのがテーマだったのだが、ちとごはんを食いすぎた。ごはんもあるということで、焼く品目は少なめ。厚めの牛舌はかなりうまかったが、薄めのほうがカリッと焼けるので炭火には向いていたやもしれない。次の七輪的課題は鶏肉。脂をジュウジュウいわしてバリッと食いたい。それから秋刀魚の季節が今から楽しみで仕方がない。
 いや、それにしても七輪はコストパフォーマンスが高い。購入金額はたしか2980円くらい。炭だって大した値段じゃない。今年に入ってから、一番いい買物であったかもしれぬ。

【雑誌】メロディ 9月号 白泉社 B5平
 作:夢枕獏+画:岡野玲子「陰陽師」が第2回め。バーズから移ってもペースは不変。雁須磨子「どいつもこいつも」。自衛隊という閉鎖された空間において、少女的なあこがれ・やっかみがあったりして、女子寄宿舎モノといった雰囲気……というのはまあいつものことではあるんだけど。自衛隊という、ある意味ハードである意味ルーズな世界を、雁須磨子流にとことんユルく描いている。酒井美羽「\十億少女」。絵はクセがあるけど、女の子がちんまりとしていつつドタバタとイキが良くて可愛く楽しいなあと。

【雑誌】別冊マーガレット 9月号 集英社 B5平
「バラ色の明日」。ほかの作品も面白く読めるのだが、やはりいくえみ綾が群を抜く。ある日転校してきた、ロリ系のフリルひらひらなイカれたファッションをした少女。子供のころからさんざん転校を繰り返してきた彼女は、転校する先々の学校で常に同じ少年と出会う。もちろんまったく同一な少年がどこにでもいるわけはないのだが、彼女はそれを同一と認識している。最初は思い込みの激しい不思議少女の気楽なラブコメなのかなーとか思ったら、中盤から後半にかけてお話はハードに展開し、一気に深みを増す。正直いって最初は油断していたのだが、ゴロゴロ転がされてラストでうなってしまった。絵や画面作り、ストーリー運びが実に安定していながら、エッジは恐ろしく鋭い。素晴らしいですぜ、これは。
 そのほかでいうと、中原アヤ「りんご日記」が良い。貧乏にあえぐ少女の微笑ましき恋愛模様。スッキリした絵柄も気持ちが良く、安心して読める一作。

【雑誌】ネムキ 9月号 朝日ソノラマ A5平
 川原由美子「観用少女」。大きなおうちで眠る姫君の世話をするメイドの女の子が、屋敷の庭に迷い込んできたヨソモノの男と出会う。今まで目を覚ますことがなかった姫君が、その男の来訪とともに目を覚ましてしまうが……といったところで以下次号。この姫君が観用少女のようなのだが、どのようにお話が展開していくのかはまだ見えない。波津彬子「雨柳堂夢咄」。武蔵野の野原で夜中に、二人で茶会をする老人と茶人。彼らにまつわるエピソード。茶会の風景は、月明かりに映えて心地よく美しい空間を作り出していて、とても印象的。
 オガツカヅオ「イカしたマスターのいる店」。巨大なイカがマスターをしている喫茶店で、とある家族がホットケーキを食べる。ノスタルジックな雰囲気があって、何やらスピリットオブワンダー。急がない雰囲気で和む。海口書房「花の膝」。とある田舎の村に住む、少年と少女の物語。この村では男の子は、10歳になるころから女の子では近づけない川の急流で泳ぎ始める。これはその村では大人になるための一つの儀式的な意味合いを持っていたのだが、主人公の少年はいつになってもそこで泳ごうとしない。何かを避けるように。少女はそんな少年を心配して気を揉んでいるのだが……。線が細く、少年も少女的に描かれる、滑らかで繊細な作風は特徴的。なよやかな雰囲気で惹かれる世界。


8/13(金)……少年メシベ

 蜈蚣Meshibeというタイトルでも良かったかな。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 9/1 No.17 小学館 B5中
 通巻300号なんだけど、なんもやらんのかな?
 六田登「シネマ」。サバニの撮影現場はしっちゃかめっちゃか。西野も不穏な薬で心中を図る気配だし。どういうふうにこのあたりのエピソードは決着がつくのだろうか。サバニの父親の行動も気掛かり。

【雑誌】ヤングジャンプ 9/2 No.37・38 集英社 B5中
 巻頭カラーで野部利雄のボクシングものの新連載「Monacoの空へ」がスタート。読切で掲載の谷田知彦「SPARE」。クローン技術の進歩が、とある平凡な家庭に悲劇を呼ぶサスペンスもの。終盤のどんでん返しも気が利いてるし、絵もうまいのだが、荒木飛呂彦にテイストがかなり似ていて新鮮味がないのが残念。よくまとまってはいるんだけど。

【単行本】「めしべのアルバム」 海明寺裕 三和出版 A5
 海明寺裕ページのほうを参照のこと。


8/12(木)……うなぎおいしかのやま

 会社関連の打ち合わせで、同僚や上司とWebで儲ける方法を考えてみたが、なかなかいいアイデアが浮かばない。まあそう簡単に思い浮かぶようだったら、とっくにほかの誰かがやっているような気がしないでもないが。濡れ手に粟っていいよねー。実際に手を濡らして粟をつかむくらいは難しくないんだけどさー。

【雑誌】コミックバーズ 9月号 ソニー・マガジンズ B5平
 巻頭カラーは冬目景「羊のうた」。幼いころの千砂もまたいいなあ。きくち正太「きりきり亭のぶら雲先生」。今回の話を読んで、無性に天然モノのうなぎを食いたくなったが、そうそう食えるものでもないんだろうなあ。誰か食わせてー。雁須磨子の短期集中新連載「ご破算で願いましては」がスタート。そろばん塾の女先生に恋する拘置所の看守の青年のお話……とこのようにいうと、なんか暗いお話のように聞こえそうだが、実際にはのんきでなんだかユルい。このちとだらしない感じのユルさと、きれいで軽い絵柄が雁須磨子の持ち味だ。

【雑誌】エースネクスト 9月号 角川書店 B5平
 俺好みな連載二つ「木島日記」と「からくり変化あかりミックス!」が両方ともお休みなので、ちと寂しい。そういう状況だと、岩原裕二「クーデルカ」に目がいく。アフタヌーンのころより描線が滑らかになって、女性キャラも色っぽくなった。前みたいなゴチャゴチャしたのも味はあったけれども。次号では阿部吉俊と近藤るるるの連載が始まるのでそれは楽しみ。

【雑誌】大漫王(ヤングサンデー増刊) 9/11 No.28 小学館 B5中
 岩田やすてる「球魂」の外伝が掲載。スグルにラブレターが届いて、明彦たちとダブルデートしているところを先輩たちがジャマをするというお気楽なお話。この人たちも卓球しかやってないわけじゃないようだ。太陽星太郎「バク」。恵まれない家庭の少年と、彼の頭にへばりついた奇妙な生き物のお話。「今日のだいちゃん」と違って、短編だとボリュームが足りない感もある。連載向きのお話かもしれない。阿部潤「プチ」。4色4ページ。色つきでも阿部潤はテンションが高くて楽しい。

【雑誌】ビジネスジャンプ 8/1 No.18 集英社 B5中
 このページを見に来るような人がこの号を買うとしたら、まず間違いなく冬目景「イエスタデイをうたって」目当てであろう、とか断言してみよう。もちろん俺もそうだ。今回は最初の4ページが2色カラーで、あとは1色。このシリーズ、若干タッチがラフでバサバサとした印象を受けるのだが、わざとやっているようにも見える。描線が若干かすれた感じになっていて、これはこれでカチッとしたのとは違った味わいがあって悪くない、っていうかいい。冬目景は現代モノのほうが好きなんで、このシリーズは楽しみ。次号以降の展開にも期待ってことで。


8/11(水)……バーサーカー爺

 お盆ということで合併号やらお休みな雑誌もいくつか。それからお盆前ラッシュで、いつもより早めの発売もぞろぞろ。というわけで買いためといてお盆休みでゆっくり読むとでもしますかねー。ウチのWebは昨日のが合併号だったということで。あと昨日の日記で書いた鶴田謙二が表紙を描いているSFマガジンは、今月号ではなく増刊号だった模様。

【雑誌】コミックビーム 9月号 アスペクト B5平
 収録作品はビームのページのほう参照。
 巻頭カラーで馬頭ちーめい「BREAK-AGE外伝 ボトルシップトルーパーズ」が新連載。実は本編のほうはあんまりしっかり読んでなかったのでよく分からないんだけど、とりあえず舞台は海。志村貴子「敷居の住人」。本田君、見事失恋。三角関係やら親子関係やら、奇妙な女友達の間で、小生意気な美少年がうだうだするだけの話なのになんでこんなに面白いのかという具合。いましろたかし「釣れんボーイ」。ヒマシロ先生の釣りジャンキーぶりは加速するばかり。自分の頭の中で実況解説しながら釣り続けるあたりの自己完結ぶりがたまらない。しりあがり寿「弥次喜多 in Deep」。この晩餐会シリーズは終始かなり怖い。今回はゆらゆらとしていた喜多さんと弥次さんの風景が、ついに現実を通じてリンクしてきたが……。このエピソードはまだ続くようだが、次に見えてくるモノは何か。楽しみであり、怖くもあり。
 羽生生純「恋の門」。門と恋乃、そしてさまざまな人々の欲望が、コミケに向かって収束しようとしている。何が起こるのか。何を起こすのか。次号がすごく楽しみ。竹谷州史「PLANET 7」は次号で最終回。それから作:東京ローカル+画:仲能健児「ロンリネス」は今回で最終話。「ボク」は自分の星に戻り、それなりの幸せな生活を手に入れ、残された地球人・本多はうだつのあがらぬ底辺の暮らしを営むことに。救われない結末ではあったが、このお話の幕引きにはふさわしくもある。堀池さだひろ「ジ・ガレガレ」も最終回。この人は雰囲気的には惜しいものを持っているのだけど、いまいち煮え切らない感じでもあった。
 次号では、なんとなんと。有川祐とタイム涼介の新連載が始まる。有川祐は予期しないでもなかったが、タイム涼介はビックリ。ウワーオ。

【雑誌】ヤングキング 9/6 No.27 少年画報社 B5中
 吉本蜂矢「デビューマン」が掲載! まだ第14話めでしかないのに、これで復活は何度目なんだろうか。今回はストーカー女が千代彦に一目ぼれ。タイヘンなことに。今回もテンポが抜群に良くて、なおかつ下品で弾けている。おもしれー。素直におもしれー。小池田マヤ「聖★高校生」。神保が卑劣な手段で美園先生をワナにかける。4コマ形態でありながら、思春期の恋愛のドロドロを逃げず甘えず描くお話は非常にシビア。

【雑誌】ヤングアニマル 8/27 No.16 白泉社 B5中
 あさりよしとおの新連載「なつのロケット」がスタート。ペットボトルロケットから始まり、少年たちは宇宙を目指す……といった感じの少年科学まんが。この路線だと週刊少年サンデーで石渡治が似たようなことをやっているが、あさりよしとおのほうが科学的なアプローチはシッカリしたものになりそうな気配ではある。あと、ちょっぴりノスタルジックな雰囲気もあって気持ちがいい。石渡治のほうはど根性少年モノって感じで、味わいはけっこう異なる。どちらも好きな題材なので楽しみ。田中ユタカ「愛人[AI-REN]」。田中ユタカのキラキラとした絵柄が、幸せだけれども切なく儚いお話にうまくマッチしている。炭酸飲料みたいな爽やかさで、光の中に拡散していく感じがとてもいい。楽しそうであればあるだけ、終わりの哀しさが予期されてしまって切ない。SUEZEN「新性生活」。今回は今までのお話の登場人物が総登場……とか思っていたら、次号で最終回。最近、だいぶ良くなってきてたので楽しみだったのだが。全6話だと単行本化はキツイかなあ。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 9月増刊号 9/12 小学館 B5中
 やっぱり花輪先生である! 花輪和一「花咲か爺」。日本のむかし話も、花輪和一が料理するとこんなに奇妙なものになるのだ。邪悪なる花咲か爺の家の側でちょろちょろうごめく土偶のような奇妙な生物の矮躯。そしてその中身! うひょう! どうにも笑みがこぼれてきてたまらない。この増刊は、これと片岡東陽に尽きるといっても過言ではない。

【雑誌】週刊少年マガジン 8/25・9/1 No.37・38 講談社 B5平
 石垣ゆうき「MMR」。本日から一ヶ月はモスキート月間。しかし、洗脳/人格改造ネタに持っていったのはうまくもあり、ズルくもありという感じがする。「自分が絶対に他者に操られていない」とは誰にもいえないんだし、どうやったって灰色の結論くらいまでは持っていきようがあるわけだから。森川ジョージ「はじめの一歩」。青木にコミカルな動きをさせつつ、真剣勝負である迫力も伝える力量はさすが。動きはヘンでも描写はカッコイイ。

【コピー】「鯨神」 おがわさとし
 アフタヌーン四季賞準入選作品。雑誌には掲載されないようだが、「読んでみたい」と7/24の日記に書いておいたらおがわさとしさんご本人から掲示板#1781で原稿のコピーのコピーを送っていただけるという旨のお申し出をいただき、ありがたく頂戴させていただくことに。いや、本当にもう、書いてみるもんであります。
「鯨神」は宙に浮かぶ巨大な鯨のような生き物、「鯨神」の上で生きる人たちの物語。彼らは鯨神の上で暮らすことを許される代わりに、鯨神の身体にタカる巨大なダニなどを退治している。このお話では、そのダニの中でも通常の100倍もあって、人間よりもずっとずっとデカいバケモノを退治しようとして人々が悪戦苦闘する。おがわさとしで特徴的なのは、細かく描き込まれた画面と、ダイナミックなページぶち抜きのコマや見開き。今回は原稿1枚ごとのコピーで読んだのだが、これが雑誌に掲載されて見開きでドーンと来たらさぞ気持ちいいだろうなあと思う。動きのあるコマと、静止しているコマのコントラストもうまい。
 このお話内では詳しくは語られないが、この世界についての設定はたぶんかなりきっちりと用意されているのだろう。今回はその一部を垣間見た感じでもある。そのぶん、お話としてはいくぶん地味にまとまっているので、これ一話だけで雑誌掲載というのは確かに向かないかもしれない。ともあれ、作品自体は短編としてはボリュームもあるし、読みごたえはバッチリ。読めてうれしかった。
 ありがとうございました。


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