◆ 2000年5月下旬 ◆

5/21〜31
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5/31(水)……耳をかっぽじてぃぶ、ネガティヴは苦手部

 オツアン5月「漫画化してほしい他メディア作品」が投票期間終了。総投票数344で名前の上がった作品数は209。当初の予想どおり票が割れまくり。夢野久作「ドグラ・マグラ」が1位というのは、オタク的基礎教養ど真ん中ゾーンなので、むべなるかなといった感じ。
 さて、6月は「萌え萌え漫画アイドル」ってことで一つ。ここまでの3回が比較的硬派なネタだったのに対し、今回はぐにゃぐにゃの軟派で行く所存。

 6月のお買い物予定。定期購読雑誌も含めたリストは購入スケジュールCGIのほうを参照のこと。
 5月は松本次郎「ウエンディ」、有川祐「彼女とデート」、キクチヒロノリ「へろみの夏休み」、蓮古田次郎「しあわせ団地」、榛野なな恵「ピエタ」などなど、俺にとって超大粒な収穫が多くてけっこうたいへんな月だった。さて6月はいかに。

作者タイトル出版社
1岩原裕二クーデルカ(2)角川書店
3桜玉吉<愛蔵版>おやじの惑星白夜書房
5鎌やんアニマル・ファームコアマガジン
5岩田やすてる球魂(8)小学館
5佐藤秀峰海猿(6)小学館
5竹下堅次朗カケル(13)小学館
6別冊ヤングチャンピオン ラブピース秋田書店
6東和広ユキポンのお仕事(2)講談社
7藤原薫おまえが世界をこわしたいなら(3)(完)ソニー・マガジンズ
7天竺浪人CROSSワニマガジン社
8おおひなたごうおやつ(3)秋田書店
12森高夕次/あきやまひできおさなづま(4)双葉社
14海明寺裕puppy Love三和出版
15山口貴由悟空道(13)秋田書店
15快楽天星組ワニマガジン
丸尾末広キンランドンス新装版青林堂
山野一夢の島で逢いましょう改訂版青林堂
16ハロルド作石BECK(3)講談社
17藤田和日郎からくりサーカス(13)小学館
19新マグナム増刊講談社
19山本康人打撃天使ルリ(2)集英社
19六田登千億の蟲(1)集英社
19小沢真理胡桃−小沢真理読み切りセレクション−集英社
20唐沢なをきけだもの会社(2)集英社
20アンソロジーミルクコミックさくら(11)松文館
22アンソロジーぷちみるく(5)コアマガジン
22王欣太/李學仁蒼天航路(20)講談社
22富沢ひとしミルククローゼット(1)講談社
22真右衛門G組のG(1)講談社
22岡野玲子コーリング(1〜3)マガジンハウス
25桜玉吉幽玄漫玉日記(3)エンターブレイン
26別冊ヤングサンデー小学館
26藤原カムイ西遊記悟の巻NHK出版
27りえちゃん14歳いまどきの片想い松文館
28土田世紀俺のマイボール(1)双葉社
29雁須磨子SWAYIN' IN THE AIRソニー・マガジンズ
30石井達哉プロファイリング師朕集院犬清(2)小学館
30村上もとか龍−RON−(25)小学館
30坂田信弘/中原裕奈緒子(26)小学館
30曽田正人昴(1)小学館
30花村萬月/さそうあきら犬・犬・犬(1)小学館
30なかいま強黄金のラフ(1)小学館
SABE地獄組の女(2)久保書店
鋭利菊露出教室心交社

【雑誌】週刊少年サンデー 6/14 No.27 小学館 B5平
 久米田康治「かってに改蔵」が連載100回記念。ちょっとだけ4色カラー含む。今回はポジティヴシンキング vs.ネガティヴシンキングの何かで何かを洗う戦いが。今日から俺もアンネガティヴシンキング!

【雑誌】週刊少年マガジン 6/14 No.27 講談社 B5平
「スーパードクターK」の真船一雄の新連載がスタート。「雷神 〜RISING〜」はメジャーリーグが舞台のベースボールもの。ハッタリの利いた作風がこの人の長所だが、第一話かららしさが十分出ている。なにやらいわくありげな日本人の剛球左腕が、メジャーリーグに飛び込む……って感じの出だし。赤松健「ラブひな」。とうとう東大入学。パワートダイ。あざといぜ、甘ったるいぜ、そこがいいんだぜ〜。

【雑誌】ラッツ 7月号 司書房 B5中
 祭丘ヒデユキが今月も好調。「レ研」。第2話のサブタイトルは「君色レイプ」だ。勢いがあってテンポのいいギャグ。端々のセリフとかがいちいちナイスだ。なんとも馬鹿げてて良い。桂よしひろ「奥さん、ゴチになります!」。人妻さんが夫の会社の肉奴隷さんにさせられちゃってまあタイヘン。達者な絵柄と濃厚なエロスで、最近注目株。ちとお話に無理はあるけど、人妻でHだからまあいいや! あと人妻といえば、眼鏡娘である、るりるり「わたぽこ」もヌルめの作品好きな人にはたまらんところでありましょう。井ノ本リカ子「ごめんね、お兄ちゃん…」も毎度うまい。柔らかい線で、清潔かつH。

【雑誌】激しくて変 光彩書房 A5平
 おお、こりゃ面白いわ。A5単行本スタイルな雑誌なのだが、東京H系を中心に作家の顔ぶれもいいし、それぞれの作品のクオリティも高い。編集長の後書きに「EROTICSがキッカケになった」みたいなことが書いてあったが、あちらがサブカル方面からエロをやるって感じだったのに対し、こちらはエロ方面からサブカル風味も取り入れクオリティを上げるとった感じになっている。こうやって、複数の雑誌なり作家なりが刺激し合ってイイものができてくるのを見ると気持ちがいい。この雑誌はエロ系のほうからのアプローチってことで、サブカル系にありがちなパサパサ感がない。汗臭さ、瑞々しさがあって、さらにスパイシー。腹が据わっている印象。
 まず表紙は沙村広明。モノトーンのイラストがとてもカッコイイ。執筆陣だ漫画は町田ひらく、ゼロの者、阿宮未亜、玉置勉強、MASAAKI、早見純、町野変丸、遠藤りさを、危険思想、小瀬秋葉、牧神堂。さらに司人形も半漫画って感じのイラストを描いている。
 町田ひらく「凪さかり」はアパートの一室で自堕落でやりまくりな日常を送る男女のお話。彼らはどこへ向かうでもなく、ただ怠惰である。嘘臭さとリアルさが高いレベルで結実。ゼロの者「近所のお姉ちゃんで遊ぶ」は、相変わらずのデカくて汗まみれのとろけるように柔らかそうな乳がいやらしい。あとこの人は、感じているときのうるんだ目つきの描き方とかにとても雰囲気があってうまい。阿宮未亜「ザーメンジャー」。エロ劇画風味で戦隊モノを料理。グロさ、ねちっこさ、軽やかさが具合よく同居しており厚みがある。玉置勉強「ブラディ シン」。イジメられっ子が、学校でイジメられた鬱憤を、家にいる身障者の妹にブツけるというなんともヒデェ話。もううれしくなっちゃうくらい。あまりの救いのなさにビリビリしびれる。おもしれえ〜。
 牧神堂「編集くん」は4コマ的なコマ割りの4ページギャグなのだが、構成がかなり見事。感心した。早見純「復活祭」もこれまたいい。男に強姦され、森の中で死を迎えようとしている女の子の思考を追う。言葉が淡々としているだけに、より深みを感じる。町野変丸「エロマンガ家族」は、いつものノリだが、メタマンガ的展開。天然っぽいけど、実は自分のギャグに非常に自覚的でもある町野変丸の腕の冴えが感じられる逸品。あと、司人形の鉛筆っぽいイラストや、危険思想のぷりぷりとしてキャッチーな絵柄も目を惹かれる。
 そんなわけで全般にレベルが高く、隅から隅まで楽しめた。いい本であります。ちと毛色の変わったエロ漫画を読みたいって人はぜひ買っておくべし。

【単行本】「彼女とデート」 有川祐 エンターブレイン B6
 あらためて読んでみても、やはりすごい。「反町くんには彼女がいない」と同様のキャラ(摂津、八神さん、あと朱藤)を中心に据えた、「反町くん〜」とはまた別の高校生活を描く。
 摂津と八神さんは、肉体関係もあるが八神さんには婚約者の男がいる。「おにいちゃん」と呼ばれるその婚約者は、八神さんが子供のころから彼女に執心し、束縛してきた。八神さんも彼との結婚を望んでいるとは語るものの、どこか無理をしているようでもあり、その歪みが摂津への屈折した感情となっていた。摂津はクールに振る舞っているが、その実、八神さんのことが気になっている。朱藤は摂津の親友で、さらに朱藤の女友達である野際さん(ノギー)はセッちゃんに憧れている。
 一見、淡々と進む日常に毒を潜ませる、おにいちゃんの狂気。日常が繰り返され、毒が降り積もっていく。それが緩やかな変化だけに、八神さんは諦観にも似た感情に支配され、本来の輝きを失っている。捕らわれの姫にも似ている。日常はゆっくりした速度で進むが、そこにはピンと張り詰めた緊張感があり、ビシビシと読む者に訴えかけてくる。淡々としているようでありながら、その表現は切れ味鋭い。
 そして、この作品、ラストが絶品である。タダのハッピー・エンドで終わらさず、ドスンと重たいものを突きつけてくる。ここで詳しく書いちゃうのはヤボなんで書かないが、これはちょっとスゴイ。見事、であります。

【単行本】「e」 RaTe 海王社 A5
 先日発行された「π」の続編。目次ページには、この本は「π」の続刊なのであらすじを知りたい人は「π」を買ってくださいとの記述あり。たぶん「π」を読めば、あらすじ以上のことが分かることは請け合い。さて「π」「e」だけど、復刻モノなのでけっこう昔の作品。今では精液ジャンキー漫画でノリノリなRaTeも、このころはラブ&Hで初々しい。回を重ねていくごとに線の柔らかみが増しているのがよく分かる。

【単行本】「藍より青し」3巻 文月晃 白泉社 B6
 今時珍しいくらい「ラブコメ」としかいいようのない漫画である。登場人物たちはスポーツをやるでなし、趣味に打ち込むでなし、ビジネスするでなし。ホンットーにラブコメしているだけなのだ、この漫画では。エロにさえ走らない(サービスシーンはちょっとあるけど)。そしてラブコメに特化しているだけに、その濃度はとても高い。彼氏のほうが相手にクリスマスプレゼントするためバイトに専念していたら、スレ違いになってしまい彼女はやきもき。でもクリスマスの夜にドラマチックにプレゼントを交換してハッピーエンド。そして最後は雪! 「SALAD DAYS」でさえやらんようなことを、2話もかけてやってしまう立派さに感服。


5/30(火)……ドロブニャック

 渋谷に立ち寄り。現在の勤務地への通勤ルートで、漫画を幅広く置いている書店がありそうな土地となるとやはり渋谷になってしまう。渋谷はあんまりよく知らないので、じょじょに開拓していかねば。単行本に関しては、BOOK 1st.という大型書店の漫画売り場が使えそうな感じ。問題は雑誌だ。フラミンゴやコットンコミックあたりが確実に手に入りそうなところとかちゃんと目星をつけとかないと。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 7月号 少年画報社 B5中
 大石まさる「泥棒猫」が巻頭カラーで32ページ。このシリーズの、「いかにも」的な怪盗の愉快な快刀乱麻的ノリにはいまいちノリきれないのだが、描いていて楽しそうだなーとは感じる。読んでいるほうとしても気分的に楽しい。なんとなく、遠くで楽しそうにしている人を見ているといった感じ。犬上すくね「恋愛ディストーション」が掲載。今回はあまあま度が少々抑えめか。でも幸せ恋愛気分は今回も濃厚。甘いモノは別腹なのだ。
 で、7月21日にアワーズ系の新月刊誌「アワーズライト」が創刊予定。なんとなくクアーズ・ライト(カナダ産のビール)みたいな名前ですな。

【雑誌】漫画アクション 6/13 No.24 双葉社 B5中
 高橋のぼる「キラリが捕る」が連載スタート。日本プロ野球界に現れた、女性捕手・キラリの活躍を描く作品のようだ。高橋のぼるだけに、スタンダードな野球モノにはなりそうにないけれど、イカした作品になってくれることを期待している。こういういい意味で大ざっぱな作風を持った人がいると、雑誌全体で見てもいいアクセントになると思う。さそうあきら「トトの世界」。かなり物語の核心に迫っている。根はかなり深そうで、読みごたえのある展開になりそうだ。引き続き楽しみ。

【単行本】「SS」1巻 東本昌平 少年画報社 B6
 自動車整備工であり、家庭ではいい父親である主人公・ダイブツ。単調に続く日常の中でふさぎがちだった彼だが、元はラリーの世界でならした男だった。そのころの情熱が、ふいに頭をもたげ、しだいに静かに燃え始める。クルマの疾走シーンが爽快なのはもちろんだが、地味ながら骨太で緻密な作画による腰の据わった作風にも惹かれる。そして第6話「あれから僕は。」が感動的。ダイブツがたまの休みに自転車を駆って自分の生まれた町へ行き、自分のこれまで来た道を振り返り、自らに問う。「僕は頑張ったでしょうか?」と。澄んだ筆致が深い感動を呼ぶ一編。このお話だけ、ほかとは雰囲気が違い、独立した短編としても読める。もちろんほかの話も面白いのだけど、この第6話のためだけにでも読む価値は間違いなくある。

【単行本】「ギャラリーフェイク」19巻 細野不二彦 小学館 B6
 毎度おなじみ。19巻めとはずいぶん長くなったものだ。これだけ続いていつつ、クオリティが全然落ちていない。さらに細野不二彦のスゴイところは、クオリティが上がってもいないところだ。この計算されつくしたコンスタントさ、高度安定飛行っぷりはお見事というほかない。

【単行本】「演歌の達」9巻 高田靖彦 小学館 B6
 これにて最終巻。自分の愛することを仕事とし、理屈抜きに一生懸命になる達の姿は、最後まで気持ち良かった。いい仕事をする、夢を見る力の健全さ、強さを実感する作品だった。あー面白かった。単行本データ等はオスマンのほうに。

【単行本】「軍鶏」8巻 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫 双葉社 B6
 対菅原戦に向け、リョウはなりふりかまわず肉体を鍛錬し、また改造する。今回なんといってもカッコイイのが、リョウの狂気を前面に押し出した表紙。極彩色で強烈なインパクト。単行本データをオスマンに追加。


5/29(月)……スクワットさん

 会社移転してから、近辺に飯屋がいっぱいあるので、いろいろ開拓中。もう3週間くらい経つけど、2回行った店はまだ1店しかない(時間がないけど飯を食いたいときに寄る牛丼屋のみ)。一見の店だとなんかアレもコレもと欲張ってしまって、ついつい頼みすぎてしまう。食費つかいすぎだし、何より食いすぎだ。いかん。でもいいの。おいしければ。

【雑誌】ヤングマガジン 6/12 No.26 講談社 B5中
「エリートヤンキー三郎」「アゴなしゲンとオレ物語」が休載なのがちと寂しいが(「BE-BOP HIGH SCHOOL」も休載)、そのぶん永野数馬が掲載されていたので喜ぶことにした。わーい。永野数馬「家族番組」は、リストラされ、家でもぞんざいに扱われがちな親父の哀愁と愛を描く物語。絵柄は奇矯でアクも強いけど、ものを語る強い力の持ち主である。今のところ唯一の単行本である「劣等25%」はかなりオススメ。蓮古田二郎「しあわせ団地」が掲載されているのももちろんうれしい。今回もはだか夫はろくなことを思いつかない。というかろくでもないことを思いつきまくり。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 6/12 No.26 小学館 B5中
 高橋しん「最終兵器彼女」が連載再開。ついに戦場でのちせが描かれる。かわいい女の子をキッツイ目に遭わせていて、切なゴコロがくすぐられる。高橋しんの作風は俺には合わない部分も多いんだけど、面白く読めるうちはやっぱり楽しんだほうが得だ。吉野朔実「瞳子」。巻中カラーで登場。第4話め。ちょうどいい具合に肩の力が抜けていて、きっちりまとめる手際は鮮やか。きれいな作品。あと今回は、「恥ずかしげなことを臆面もなくぬけぬけと言える」「ぬけぬけマン」が登場する中崎タツヤ「じみへん」がいい味。俺も「人生いろいろあるよ」とか「恋愛って難しいよね」とか、ぬけぬけと(冗談でなしに)いえるような人間に……なりたかないなあ、別に。そういういわずもがななつまらない話を、まるで面白そうに聞けるような人間になれたら便利だろうなあとは思うけど。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 6/12 No.26 集英社 B5平
 岸本斉史「NARUTO」が表紙だが、モノトーンな感じの色遣いがなかなかカッコ良い。お話のほうもいいんだけど、ああやっぱり的パターンがあったのはちと残念。あそこできっちり息の根を止めてたら、もったいなくはあるけどハードさが出て良かったと思うのだけどなあ。でもツェペリ的展開をするにはタメが足りない感じもしたので、もう少し行ってから効果的な場面でズバッとやってくれたほうがいいかな。

【雑誌】快楽天 7月号 ワニマガジン B5中
 かなりヒネくった漫画ばかりでええ感じ。
 その最たるもの的な作品が、巻頭カラー、TAGRO「ガビガビビバッパー」。一見美男美女なんだけど、その実はみんな変態ばっかな変態生理学のゼミの飲み会模様。酔っ払い的ノリがどんどんテンションを上げていく。かわいい絵柄と、ヤケクソな乗りの連続が痛快至極。素直にええお話をやるかと思えば、こういうバカチンなのをぶちかましてくれる。うれしい。陽気婢「ママゴト」続編。細身でスラリとした女体が、とてもエロチック。それでトキメキもあって。最近の快楽天掲載作はいい感じで来ていると思う。道満晴明「大陰唇デストロイヤー」。下半身が土に埋まって上半身しか出ていない女の子が、土の中で何やらいたずらされているらしい。何をされているのか、直接的に描かないのがかえってソソる。トリッキーで、とてもうまい。
 朔ユキ蔵「素敵なふたり」。今回は朔ユキ蔵にしてはヒネリが弱いかなという印象もあるけど、ハイクオリティな作画、印象的な構図どりなどやっぱりカッチョイイ作風である。櫻見弘樹「問一)悪者を答えよ」。巧みな構成としっかりした絵柄でよくまとまっている。ポヨ=ナマステ「兄妹愛2000」は、兄の悪だくみにより妹がフェラチオ改造人間化。テンポ良く、ズバズバギャグを繰り出してきて、くーだらなくてよろしい。

【単行本】「スカートさん」1巻 吉田戦車 ソニー・マガジンズ A5
 スカートさんとは、スカートの匂いを嗅ぐのが大好きで、デパートのスカート売場でお手製の弁当を食べるのを無上の楽しみにしている男の物語だというのは真っ赤な嘘だ。実際はコミックバーズ連載の4コマ作品である。ソニー・マガジンズからは初の単行本だが、これから隔月ペースでスコラ刊行分の単行本が続々と復刻されていくらしい。というわけで吉田戦車ページに追加。それにしても「というわけで」という言葉を安易に使うのは俺の悪い癖だ。


5/28(日)……なくよエゴイス平安京

 6月4〜10日に台湾出張ということで、次のジャンキーズ用の本を早めに送っていただく。できるだけ出発前に書き終えておきたいので、ごりごりせこせこ読むであります。あと1週間でジャンキーズとTINAMIX。終わるかなあ。
 倶梨伽羅「君を見ている」以下がジャンキーズ用。一気に19冊ぼぼーんと。

【雑誌】ほんとうに怖い童話 7月号(創刊号) ぶんか社 A5平
 今号から独立創刊。毎月24日発売で定期刊行されるようだ。全体的な印象としては、あんまり怖くない。それよりもむしろセックスシーンのほうに力が入り気味。ちょっとホラー風味の入ったレディースコミックってところか。
 で、目当ては比古地朔弥「私はシンデレラ」。自分の前世がシンデレラであると頑なに信じる不細工で依怙地な小娘が、ナゾの研究者の導きで前世を見ることのできる機械を使用する。で、実際彼女はシンデレラだったのだが、やっていることはSMクラブの女王様だったのだ……とかいう感じ。比古地朔弥としては異例なほどに展開がベタベタ。とくにガラスの靴の使い方が。とりあえずいつもと調子は違うんだけど、面白くはある。東雲水生「紅バラと雪白 〜紅バラの場合〜」は全然ホラーじゃないけど、絵が端整でラブストーリーとしてきれいにまとまっている。絵の系統としては葉月京とかにちょっと近めか。河崎千「王様の耳はロバの耳」は、読後感の暖かいロバ耳王様物語。なかなかいいお話。

【単行本】「ネオンテトラ」 かわかみじゅんこ 飛鳥新社 A5
 エルティーンコミックやアンソロジーなどに収録された作品を集めた短編集。こうして見ると、やはり新しめの作品のほうが、線が整理され達者になっている。近作と比べてみると、この数年の間にとても大きな成長を遂げたというのを実感できる。古めの作品もそこかしかにセンスが感じられるし、今とはまた違った味わいがあって面白いのだけど。近作については、一点へと向けられる意思の指向性がより強まっている。内に秘めた強さが、キラメキとなって表面に出ている。大きな瞳から発せられる視線が、読者の身体を貫通するかのごとし。

【単行本】「CURA」1巻 六田登 双葉社 B6
 自分の正体を隠し、人間の女性と結婚し子供までなした吸血鬼のキュラが主人公。彼は妻子のため、プロ野球界入りし中日ドラゴンズの投手として活躍するが、自分が吸血鬼であることに気づいた妻が家を出て行ってから意気消沈し、がっくりと調子を崩してしまう。人外のものが人間の中で生きていくつらさ、そして人間を愛してしまったことによる悲劇を、力強い筆で描写。ベテランならではの筆力でぐぐいと読ませる。

【単行本】「BET」2巻 押川雲太朗 講談社 B6
 プロのギャンブラー北島と、彼にまとわりつく不思議な男・江藤のコンビは、ラスベガスで失ったと思っていた夢を自分たちの力のみを頼りにまた追いかける。派手ではないけど、ギャンブルの駆け引きの妙味がしっかりつまっている感じで面白く読める。実際の駆け引きがどういうものかはよく知らないので、本当によく描けているのかはよく分からないけど、「しっかり描けている」と思わせるだけの説得力がある。そこが大事。

【単行本】「BARレモン・ハート」16巻 古谷三敏 双葉社 B6
 今回も変わらず酒うんちくの数々。実際にどういう味かはなかなか想像がつかないが、とにかく実物を呑んでみたくなる。知識とその酒にまつわる挿話だけで、これだけ飲みたい気持ちにさせてしまうというのはやはりすごい。あー酒飲みてー。うまい奴限定だけど。

【単行本】「君を見ている」 倶利伽羅 富士美出版 A5
 線は繊細な感じだけど、エロはわりと密度が濃い。エキスがぬるぬるで、やることはかなりねっちょりしている。恥じらいつつも感じてるという雰囲気が常にあって、エロの密度も高く、なかなかいやらしい。

【単行本】「百鬼姫推参!!」 河本ひろし 桃園書房 A5
 妖怪退治系ヒロインが暴れまくる。ドタバタしたお話を、ノリ良く楽しく展開。実際のエロシーンはあんまりないんだけど、むしろ妄想の中でエロが爆発する。ドドーンとした乳など、サービスはふんだん。それなりにHで気楽に読める一作。

【単行本】「強姦深夜営業」 カマキリ 松文館 B6
 エロ劇画系のパワーエロスが中心。ガッツンガッツンな一本調子のエロもけっこうあるが、なかには「ココロの旅」シリーズのような、ちょいとイカれた作品も。不幸なガリ勉的メガネくんが、公園での屋外セックスが見つかって蔵に閉じ込められたことがトラウマとなり、そこから流れ流れて改造人間にされてしまうダイナミックな展開を見せる。エロもこなし、イカモノのOKで、読めばそれなりに楽しめる一冊。

【単行本】「PARTS」 てぃるよし 東京三世社 A5
 一話完結の短編集だが、一話ごとに胸やら口、指、足などなどフェティッシュなこだわりを見せてねっちりエロ描写。絵的には野暮ったいところもあるけど、実用面ではまあまあ健闘している。

【単行本】「夏のたいむましん」 きのした黎 英知出版 A5
 一冊まるまるの長編。
 とある男子と、幼馴染みでともに彼のことが好きな双子の姉妹。彼は妹のほうとつきあっていたが、ある日を境に、姉に「未来に生まれるはずの自分の娘」である少女の魂がときおり宿るようになる。男一人と女二人+1の四角関係を中心に物語は進む。絵はみずみずしくてわりと魅力的。ただ、お話は作者自身も語るようにゴチャゴチャして分かりにくい。ただでさえ双子でどっちがどっちか区別しにくいうえに、その少女が乗り移っているときと乗り移ってないときの区別もしにくいので混乱してしまう。双子のさらに妹である3女の存在もいまいち弱い。「作中の人物には分からないけど、読者には分かる」というしるしをなんか用意しといてくれるともう少し分かりやすくできたかも。スマートな絵柄、爽やかな読後感など、全般的な雰囲気はけっこういいだけに惜しいところ。

【単行本】「愛染」 四島由紀夫 ティーアイネット A5
 豊満な乳がぶるぶる揺れる肉弾系実用寄りな作風。ボリューム感は十分あるんだけど、芯の部分からのいやらしさがいまいち足りないように思える。汗などの液体が肌からにじんでいる感じがしないせいかなあ。

【単行本】「負界の書」 小林少年 桜桃書房 A5
 絵柄のイメージはぱっと見繊細だけれど、実はかなりハードなこともこなせる。もちろんコメディも、それからきれいなお話も、それから鬼畜系もいける人で、作風は幅広い。この単行本は鬼畜系なお話中心。血塗れな中でのセックスなど、かなりショッキングな作品も含まれていて、刺激的である。描写力が優れているから、ビリビリしびれるスパイシーな作品を描いても深みが出せる。器用で、かつ地力がある。毎度思うけどうまい人だ。

【単行本】「イノセントフルーツ」 相羽翔穂 雄出版 A5
 ロリ系。特徴はおぱんつである。ぬいぐるみを抱いたちっちゃい女の子のおぱんつに踊る、くまさんやうしさんやうさぎさんのプリント。それがこの人の作品の肝だ。絵にも話にも至らないところはあるけれども、このおぱんつが作品全体を一気にかわいらしく彩っている。うまくはないんだけど、なんとなくいい。

【単行本】「淫乳検査」 ぺるそな 平和出版 A5
 美少女漫画ゾーンとエロ劇画ゾーンの両方にまたがっているような感じで、かわいさとねちこさが両立している。エロいところはエロいし、かわいいところはかわいく、よくできたエロ漫画である。いつものガッツンガッツンしたエロもあるけど、「一人でできるもの」みたいな白っぽいライトなタッチのも描けるのを見ると、改めて作風の幅広さに感心する。

【単行本】「君がからだで嘘をつく」 環望 エンジェル出版 A5
 同級生の、学校で一二を争うような美少女が、主人公の少年に知り合いの中学生の家庭教師をしないかと持ちかけてくる。ここから物語は始まる。実は家庭教師先の中学生とは、広大な屋敷と財産の継承者であり、ヒロインの少女はここでメイドをしていたのだ。というと、なんとなくうわっついたお話に聞こえるかもしれないがさにあらず。ヒロインが屋敷の主人である少年に身体を張って奉仕し、主人公の男子もそれに引きずり込まれていく。暗い雰囲気の中、妖美な宴が展開される。きっちりした線で構成された絵は完成度が高く、お話も暗さがエロティックさを増幅させている。1冊まるまるのページ数があり、読みごたえもバッチリ。なかなか読める作品だった。

【単行本】「ふぁっきんぐ」 久我山リカコ オークラ出版 A5
 うん、とても楽しい。久我山リカコのノリの良さ、器用さがよく現れた一冊となっている。ばいんばいんの女の子をエッチに描きつつ、随所にコミカルな仕掛けが転がっていて、読んでいて華やかな気分になる。観音開き状になっている4色カラーが二組あるなど、遊び心も目立つ。変幻自在な高い描写力は大したもの。しっかりエンターテインメントしていて頼もしい。

【単行本】「桃色淫液」 DELTA・M 一水社 A5
 絵柄はけっこうまとまっていて、ライトなエロとしてちゃんと完成している。ただ、あまりインパクトがある作風でなく、印象が薄めで記憶に残りづらい。

【単行本】「問題ないね!?ヒデユキくん」 ちば・ぢろう ぶんか社 A5
 それまで自分は男であると信じて暮らしてきて彼女までできた高校生・ヒデユキくんだが、自分の身体が女っぽくなってきていることに気づく。実はヒデユキくんは、「女性仮性半陰陽」という体質で、もともと女の子だったのだ。男らしく生きてきたヒデユキくんは、自分の変化にとまどいっぱなし、といった感じのお話。1992年にコミックジャスティスに掲載された作品である。というと古い作品に思えるけれども、今読んでも十分面白い。性差についての悩みをしっかり描きつつ、あくまで健康的な精神も忘れない。まっすぐで、実に正統派な少年漫画しているのだ。読みごたえのある物語に仕上がっていて、とてもいい。

【単行本】「本番淫交指導」 松阪剛志 松文館 A5
 線が濃いめでエロはわりと激しい。ただ、正直なところあんまり目立つ人ではなく、十人並みな印象も受ける。

【単行本】「ラブ・シロップ」 牧部かたる ヒット出版社 A5
 エロがかなりパワフル。ゴツゴツ血管の浮き出たちんちん、激しいセックスシーンなどハードコア好きな人には見どころ十分。とくにシスター凌辱モノの「HEAVEN'S PLAY」あたり。懴悔室の小窓から相談者のちんちんがニュッと出てくるという発想が、奇抜でかつ背徳感もあって秀逸。

【単行本】「ミニスカートの事情」 佐藤丸美 久保書店 A5
 佐藤丸美って、プロっぽさを感じるエロ漫画家さんだなあとか思う。アッサリした読み口で、エロをきっちり挿入しきれいにまとめてくる。目立つものこそないんだけど、作品のクオリティは一定している。

【単行本】「とろけるカラダ」 都夢たみお コスミックインターナショナル A5
 アニメっぽさ、というよりセル画っぽい質感のきゃろ〜んとした絵柄は、オタク絵がダメとかいう人にはちとつらいかもしれないけど、実は読むとけっこうイケる。ツヤツヤした質感の目、髪、肌を持ったキャラクターたちが、コミカルなお話のなかでズバズバやりまくる。雰囲気自体はわりとほのぼのしてて微笑ましいんだけど、エロシーンはなかなか充実していて、実用面でもけっこうイケそう。

【単行本】「エゴイスト」 ドリルムラタ 司書房 A5
 巨乳系。このヒトの描く乳は、まるですいかのように丸いのが特徴。そこだけ浮いているように思えるほどにデカくて丸いのが、それぞれの個体にどどんと二つずつ装備されている。それが激しくぶんぶん揺れるさまはダイナミック。巨乳は巨乳でも、パンパンに張ったのがお好きな方にオススメする物件。

【アンソロジー】「B級ウィッチプロジェクト」 あまとりあ社 A5
「見習い魔女同人アンソロジー」である。まあつまり「おじゃ魔女どれみ」のパロディ本らしい。執筆陣は、梅町将二、ぶるまほげろ〜、あかつき、さんずい、小野寺和海、河澄翔、林家姫八、火浦R。原作はよく知らんけど、ロリ度は高い。この中では、さんずいのばらけるような描線が魅力的。ぶるまほげろ〜のふにゃふにゃした柔らかい絵柄によるトロトロに甘い作風も。


5/27(土)……迂遠な日

 金持ちのおっさんが道楽でやっている系の町田にあるうまいめし屋で、小田中さんと昼飯。その後、俺ハウスの近くにある、やけに店長さんが凝り性で地下に日本酒カーブまである酒屋さんで酒を購入。ちょっといい感じの麦焼酎を買ってきて、おうちでグイと呑む。なかなかうまい。小政醸造の「熟成古酒OLDIES」。アルコール度数は40%。

【雑誌】コーラス 7月号 集英社 B5平
 くらもちふさこ「天然コケッコー」。大沢くんとそよの仲が、表面上はうまくいっているけれど、暗雲が色濃く垂れ込めてきた。物語がだいぶ動きそうな雰囲気。さてどうなっちゃうんだろうか。そのだつくし「女の花道R」。「R」は「リターンズ」のことで、以前連載していた「女の花道」のスペシャル版。連載時と同じように、ドタバタガチャガチャしたノリがとても楽しい。吹っ切れている作風がたいへん愉快。よしまさこ「うてなの結婚」は、ようやくうてなが出産するというお話。軽やかで幸せそうで楽しくて。よしまさこのホームドラマは、陰がなく、でも甘いばかりでもなく、とても楽しくていいですな。

【雑誌】激漫 No.26 7月号 ワニマガジン B5平
 ISUTOSHI「無人島Z」がまず巻頭カラー。無人島に流れ着いたしょぼくれオヤジとOLのお話。線の力強さ、コメディ風味、エロさ、どれをとっても高レベル。ノリが良いのもプラス材料。芸達者な、とてもうまい人であります。三部敬「黒く濡れ」。三部敬は、ホットミルクの「菜々子さん的な日常」の瓦敬助と同一人物らしい人。こちらは若干ホラー風味。やまのべきった「She says Good Night」後編。この人の線は柔らかみがあってなかなかいい。飛龍乱「SISTER'S HEART」。単行本「DARING2」について後述するけど、この人はとてもうまい。ベテランだけど絵的にも話的にも時流にしっかりついていっているし、かわいくてなおかつH。とても良い。舞登志郎「ヘンサチ49」は、舞登志郎ならではのムッとくる暑苦しさがよく出ていて面白かった。偏執狂的なことを描いていても、妙に後腐れがいい。スカッと読める。それから天竺浪人「疵」。激漫で描いているこの読切シリーズは、読切で50ページクラスとボリュームがあり、鮮やかにお話を進める。今回も最初はバラバラに進んでいて物語を、ラストでググッと収束させていく構成力が見事。6月7日にまた単行本「CROSS」が出るとのこと。楽しみ〜なのだが、そのころ俺ってば日本にいないじゃん。くそー。

【単行本】「ウエンディ」 松本次郎 太田出版 A5
 超待望の単行本。モーニングが初出誌。母は教育を放棄し、とくに面白いこともない日常を送っていた女の子が、イカれたゴーグル男のピーターパンに導かれて、人間の欲望全解放オッケーのパンクなネバーランドへと迷い込む。ネバーランドとは何か、ビーターとは、などといったことは追求しなくても激しいイメージの押し寄せるままに物語を読み進めていけば、それが非常に刺激的な悦楽にあふれる体験となること間違いなし(まあもちろん誰にでもとはいわないが)。ラフな雰囲気だけれどガシガシ描き込まれた、暗さを含んだ力強い描線はとてもかっこいいし、大ゴマの迫力はお見事。今月の単行本の中で、買っておかなければならない度No.1……などと思うような人間は、いわれなくたって間違いなく買うはず。

【単行本】「ジンバルロック」 青林工藝舎 A5
 恋をするようでいてしないようでいて、部活もするようでいてしないようでいて、とにかくなんとなくなんとなく生活する高校生男子たちの物語。志のなさと、そういった部分をそういうものだとあっけらかんとしている彼ら。何か起こるわけでもなく、何も起こらないでもない日常を、身もふたもなく描写。ハンパじゃないほどにハンパじゃなくないところが、なんとも肌になじみ心地がいい。やる気なんかなくったっていいんだ、そういうもんだと思える頼もしい一冊。

【単行本】「なるたる」5巻 鬼頭莫宏 講談社 B6
 アクションシーンは今回ほぼないが、物語は着々と先に進んでいる。竜の子をキーワードに、さまざまな人、事物がうごめく。少女、飛行、未確認物体、戦闘、エロス。もう5巻になるのに、いまだ先を読ませない。もっとアップテンポにしてもいいような気はするんだけど、とりあえず現状で面白いからこれからも注目して読んでいきたい。

【単行本】「ぶっせん」2巻 三宅乱丈 講談社 A5
 モーニング掲載作品。仏教専門学校を名乗る、ただの貧乏寺、通称ぶっせんで頭の悪い坊主=学生たちの頭の悪い日常。とはいえ、実際の作風自体はとても頭がいいと思う。暑苦しい絵柄で下らないギャグを次々と盛り込みながら、飄々として軽やか。真顔でさりげなく爆発力のあるギャグをいう、とかいった雰囲気の作品である。そのギャグがとても気が利いていて、まったくもって面白い。

【単行本】「ひまあり」1巻 上野顕太郎 講談社 A5
 ひまであろうとなかろうと読んでほしい、ひまな人ならではのギャグ漫画。飲み物の成分表にある物質の名前からいろいろ妄想を巡らしてみたり、強そうな/弱そうな名前などを追求してみたり、くだらないことに精力を注ぎ、なおかつ飄々としてもいるスタンスが非常に楽しい。理知的だが、力づくでもあり、ツボにヒットすると爆笑してしまう。とても立派。素晴らしい。

【単行本】「DARING2」 飛龍乱 富士美出版 A5
 巡り合わせが良くないのか、掲載誌はあんまり買ってないんだけど、飛龍乱はエロ漫画の中でもかなり好きな作家の一人だ。すでにベテランでありながら、キャッチーなエロスを常に見失うことがない。今回の単行本も、妹モノ、それから人妻モノなど、十分にHでありながらラブコメ風味も漂わせて実にうまくまとめてある。ふくよかで肉感的な女性キャラも好みに合う。微妙な、艶っぽい表情の描き方などなど、とてもうまい人である。きちんとお話も読めるうえ実用度もあり、エロ漫画初心者にもオススメ。


5/26(金)……きつーくキーック

 今住んでいる地域で、ケーブルTVインターネットサービスが始まるのは今年8月ごろの予定なのだが、その導入に先駆けてとりあえずケーブルTVのテレビ部分だけ先に俺部屋で観られるよう工事してもらう。これでなんとなく世界の一部がいくぶん俺の手に。とりあえずしばらくは、音楽番組をずっと流しっぱなしにしとくとかいうふうに利用するつもり。

【雑誌】少年エース 7月号 角川書店 A5平
 貞本義行「新世紀エヴァンゲリオン」(原作:GAINAX)が掲載。今回はトウジがエヴァに搭乗するあたり。委員長が健気でソソるなあ。吉崎観音「ケロロ軍曹」では、日向家の姉・夏美が高熱でダウン。かわいい絵柄とドタバタしたお話展開。キャッチーな絵柄もあり、毎回面白い。ひな。「1ねん3くみ桃ちゃん先生。」は今回もロリロリな魅力爆発だが、ちょっと怖い展開も。抜群のかわいさで愉快に読ます。米倉静香「海のほしくず」。月の輝く晩に、少女と少年が出会い、空に浮かぶ星、それから海を泳ぐ星を見つめる。8ページと短いながら、センスオブワンダーを感じさせる掌編に仕上がっている。

【雑誌】ヤングアニマル 6/9 No.11 白泉社 B5中
 竹内桜「特命高校生」シリーズが久々の掲載。ペンタッチが相変わらず端整でうまい。お話的には妖怪退治系。三浦建太郎「ベルセルク」は、ビッグな展開で太い面白さ。どんどんお話が大きくなってきていて期待が高まる。作:真刈信二+画:山本貴嗣「夢の掟」が連載再開。えーと、これどういう話だったっけか。久しぶりなんであんまりよく覚えてないや。作:あかほりさとる+画:板場広志「マウス」。おなじみ肉奴隷3人娘が、誰がNo.1奴隷かを競い合ってマウスにかわるがわる群がる。脳味噌の腐ったような展開の連続が圧巻。これだけ馬鹿っぽいとむしろナイス。田中ユタカ「愛人[AI-REN]」はまたしても泣かせる展開。お互いがいずれいなくなる存在であることを、イクルとあいは実感し、二人の想いは切なさを増す。幸せと正比例して辛さ切なさもアップ。表現が研ぎ澄まされていて、とても心揺さぶる。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 6/9 No.12 小学館 B5中
 もりやまつる「親父」。強烈なオヤジのルックスとアクションを武器に、力づくで読ませる。刺激的だし、お話としても一本ビッとスジが通っているしけっこう面白い。高田靖彦「ざこ検マルチョウ」。今回は一話完結ではなく続き物になる模様。地に足のついた表現できっちりドラマを作れる人だし、きっと面白いエピソードにしてくれるだろうと期待。

【雑誌】プチフラワー 7月号 小学館 B5平
 巻頭カラーで新連載、赤石路代「AMAKUSA 1637」がスタート。高校卒業を控えた元生徒会の仲良しグループ。彼らの学校が船旅の修学旅行中、船が事故に遭い転覆。でヒロイン格の女の子が目覚めてみると、そこは昔の日本。ちょうど天草四郎が活躍したころだった……といったところから始まるお話。で、この作品については、センスのかなりなズレっぷりが愉快。なぜか高校卒業後の進路が決まったころに修学旅行をやっている学校、襲ってきた武士たちを「峰打ち」にしたといってから自分の持っている刀が真剣であることに気づく女の子とか(それが真剣でなかったら峰打ちも何もなかろうに)、ツッコミどころ多し。抗いがたいセンスの古さが魅力。奈知未佐子「魔女の手紙」は、今回も高品質なファンタジー世界を構築。きれいに泣けるお話に仕上がっている。このコンスタントさはさすがである。
 萩尾望都「残酷な神が支配する」は、ずーっとクライマックスが続いている感じで相変わらずテンションが高い。息苦しいお話が延々続いている。西炯子「おくさまは88歳」。ヘルパーをやっていた色男のにいちゃんが、88歳のおばあちゃんと夫婦になると宣言。最初は金目当てっぽいところのあった彼だが、しだいにこのおばあちゃんに惹かれていくようになる。心優しいお話に仕上がっていて、なかなか楽しめた。巻末4コマでは、コミティアなどでわりとおなじみなしまざきみさえが「はちみつ」という作品を執筆。ところでプチフラワーの新人漫画賞であるコミックスクールで「もう一歩で入賞!」になっていた白井弓子って、こちらもコミティアなどでよく見かけるあの白井弓子なんだろうか。

【雑誌】Cookie 7月号 集英社 B5平
 独立創刊号。それだけに気合いの入った内容になっておりなかなかのメンツ。執筆陣は矢沢あい、生藤由美、稚野鳥子、おかざき真里、あいざわ遥、石田拓実、池野恋、藤末さくら、谷川史子、ヤマモトミワコ、橘かおる、雨月衣、遊知やよみ、水玉ペリ、キャンディー・サトウ、山野りんりん。
 谷川史子「魔法を信じるかい?」は、大学受かって彼氏もできて絶好調な女の子がヒロイン。だが、なぜか彼氏と一緒にいると、もうちょっとで死んでいたんじゃないかというハプニングが続く。それはこれから始まる一連のトラブルの始まりに過ぎなかったのだ……といった感じでお話は滑り出し。とてもよくできた、清涼感と温かみの共存する絵柄で爽やか軽やかにお話を展開。第2話以降も期待。稚野鳥子「リトル・クローバー」。家庭教師をやっていたころの教え子の女の子(現在高校生)と付き合っていて、ずっぽりハマっている27歳の男。このカップルの恋愛模様をドタバタとコミカルに描写。微笑ましくてなかなか良かった。おかざき真里「空に恋する」。端々でハッとするような鮮烈な作風はこの作品でも健在。


5/25(木)……フエルマフエルマプリリンパ

 著:サイモン・シン+訳:青木薫「フェルマーの最終定理 ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで」(新潮社。四六判ハードカバー)を読了。なんか最近読むものといえば漫画ばかりだったので、活字系の本をきちんと読み通したのは久しぶり。これはちょっと情けない。
 まあそれはともかく、この本は非常に面白かった。数論の分野における空前絶後の歴史的な証明に光を当てたドキュメンタリーなのだが、知識がない人間でもちゃんと読めるように、さまざまな例を挙げながら分かりやすく物語を展開している。あまたの数学者たちの挑戦をはねかえし続けた難攻不落の証明に、それでも挑み続けた人々の姿をイキイキと描写している。ワイルズがフェルマーの定理を証明するまでに、この問題をたくさんの人々が彩っているが、そのドラマは壮大でさえある。また、ワイルズが徹頭徹尾、論理のみで証明を突き詰めていくその過程、そしてそれが一つの体系として完成したときの美しさは、証明の内容自体は分からなくてもビシビシ伝わってくる。
 正直なところ、自分はあんまり論理的な人間じゃない。筋道立ててモノを考えるのは苦手だ。ただ、中途半端なのは何においても嫌いなので、一見立派そうだけど実はかなり主観や恣意の混じった中途半端な論理は、感覚的に忌避しているところはあるのかもしれない。中途半端に論理的っぽい考え方をするくらいなら、直感のほうを選ぶというか。それだけにかえって、まったく中途半端でない、隅から隅まで精緻に作り込まれた論理というものには強く憧れる。いやあ、実にカッコイイじゃないですか。
 俺は森山和道さんの書評でこの本を知ったのだが、そのページから本を注文することもできるので、興味を持った人で、書店で探すのがめんどくさいという人は頼んでみるといいかもしれない。

 本日購入未読分は、かわかみじゅんこ「ネオンテトラ」(飛鳥新社)と「ほんとうに怖い童話」7月号(ぶんか社)。ほん怖童は、今月から独立創刊月刊化。比古地朔弥が描いているのでチェック。

【雑誌】アフタヌーン 7月号 講談社 B5平
 もみじ拓「キリエ」後編は、前編の勢いそのままに、青くて瑞々しい青春物語に仕上がった。詩人である友・キリエと、彼のまっすぐな言葉に自分というものを思い知らされ続ける安芸。想いを込めて発せられる切実な言葉。力強く物語を運び、ラストは暖かく締めくくられる。もみじ拓は、最近本当にしっかりと読ませる話を作るようになってきた。次回作もまた期待したい。四季賞春のコンテスト準入選、犬丸継夫「女郎樹」はなかなか個性的な作品。鉱石売りの男をからめ取る怪しい理髪店での出来事。写実的で精密で、不吉な雰囲気漂う絵柄で、気怠いお話を淡々と描写。絵の雰囲気的には「スマグラー」の真鍋昌平の線を細くして、よりカチッカチッとした感じか。ちなみに「スマグラー」も、テンパっててなかなか面白かった。植芝理一「ディスコミュニケーション精霊編」。このところやけに展開がダイナミックになってきており、今までの煩悩チックな可愛さに、意表を衝く面白さもプラスされて良くなっている。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 6/6 No.27 秋田書店 B5平
 なんとなく女の子風味が強まっているような。速野悠二「神の御心のままに」、三浦由香「ぐる輪ぱ」あたり。読切の速野悠二はヌルくて甘いラブっぷりがわりと良かった。板垣恵介「バキ」。強さのインフレもここまで進むといっそ痛快。どうやってこんな化物を倒すんだか、なかなか先が予測しにくい。

【雑誌】モーニング 6/8 No.26 講談社 B5中
 井上雄彦「バガボンド」が講談社漫画賞を受賞。作品のクオリティ、売れ行きから考えて、妥当すぎるくらい妥当な受賞だと思う。賞といえば、第37回ちばてつや賞受賞作、吉野いつき「はなのまち」が掲載。14歳の女の子が目にした、祖父と少女の幽霊にまつわる不思議なお話。清涼感のある作風。地味ながらも暖かく爽やかで、しっかり読ませる作品に仕上がっている。高橋ツトム「鉄腕ガール」は、酔っ払ってグデングデンになったトメの姿がとても色っぽく描けている。絵に力があるというのはやはり強い。福島聡「DAY DREAM BELIEVER」3回め。お話はまだ動き出していないが、作画、構成ともにしっかりしたものを感じる。ヒロインのおねえちゃんも美人で魅力的だし。ヒラマツ・ミノル、久々の登場は前後編の読切「命の恩人」。今回は前編。就職活動中の、自信なさげなあんちゃんの前に現れたのは、「命の恩人」業を生業とする二人の男。命を救われたあんちゃんは、それをネタに彼らに追い詰められていくが……といったお話。ストーリー的にはあんまり好きではないけど、描写力はさすがにシッカリしている。とりあえず後編を待つ。水島新司「野球狂の詩2000」。冒頭の、広島と横浜を取り違えた誤植がわりと痛い。

【雑誌】ヤングサンデー 6/8 No.26 小学館 B5中
 山本英夫「殺し屋イチ」は休載。
 原案:武豊+漫画:一色登希彦「ダービージョッキー」(構成:工藤晋)は力強さと爽やかさが共存していてなかなか読める。競馬は全然分からないけど。主人公と厩舎のねえちゃんあたり、キャラクターが魅力的。あとは脇を固める人たちの印象が強烈になってくれば、お話に厚みが出てきそう。山田芳裕「度胸星」では、度胸の凄モノぶりがじょじょに発揮されてきていて、ますます面白くなってきた。サイクロン猿橋「ときめきヒルズ高校白書」は今回も馬鹿馬鹿しくて良い。高校生どもの行動が、やけにレベルが低くて楽しい。

【雑誌】ヤングジャンプ 6/8 No.26 集英社 B5中
 荻野真の新連載「拳銃神」がスタート。主人公は、拳銃を使うことを嫌うが、実はとんでもない能力の持ち主である警察官……といった出だし。

【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL,11 司書房 B5中
 巻頭カラー、間垣亮太「超西遊記」は「Witch!」の特別篇。乳が重たげで柔らかそうで、質感バッチリ。この人は本当にデカい乳が好きなのだなあと感じる。うさぎのたまご「願い」。淡い絵柄で、今回もノリノリなドタバタ。とても楽しそうな作風が好みだ。トウタ「TEACH!!」。端整な絵柄が特徴。この作品はエロシーンもわりと充実。BENNY'S「きみとぼくのうた」。この人の柔らかくて肉感的なタッチはけっこう好き。コミカルなのも情感的なのもソツなくこなすし。それでいながらHさもそれなりにあって、うまさを感じる。あと巻末の犬丸「契約」は、照りのある塗りが美しい4色カラー3ページ漫画。かなり目立つ、個性的なタッチ。

【雑誌】コミックピンキィ 7月号 オークラ出版 B5中
 舞登志郎「メジャーデビューへの道」が今回もいい。骨張った絵柄で、まいと君のまんが道を赤裸々に描写。キャラクターたちのアクが強く、ハッタリが利いている。星峰ひろ「青い悪戯」。柔らかいロリ系の絵柄だけど、エロシーンはけっこうハードめ。百済内創が4ページだけ登場。「酔っ払いってイ〜ナ」。華やかな絵柄でふくよかな身体。キャッチーだっ。


5/24(水)……セイレーヘンの魔女

 今年2回め(だったっけかな)の東京ビッグサイト。目的は特殊系同人誌即売会トクシュケット、じゃないんだよ! 残念ながら。でも行くんだよ! というわけで、本当はビジネスシヨウ2000 TOKYOが目的。職業柄コンピュータ系の出展がターゲットなのだけど、今回はモバイル、というか携帯電話系以外では正直あんまり面白いものなし。いちばん心華やいだ物件は、コンパニオンねーちゃんたちの長い脚だったかもしれぬ。ビジネスシヨウは例年、コンピュータ系のものよりもヘンな文具とかオフィス用品とかが楽しいのだが、今回はそういうのもいまいち低調だったような。イキが良さそうな中小企業の出展が少ないように感じたのは、やはり不況のせいなのか。

【雑誌】CUTiE comic 7月号 宝島社 B5平
 巻頭カラーは安野モヨコ「バッファロー5人娘」の番外編、「灼熱地獄兄弟」。揺るぎのない筆致で、二人の絆を描く。胸を張った、実に堂々としたエンターテインメントっぷりに感嘆。ズバッズバッとキレ良くお話を進め、ラストも鮮やか。山本ルンルン「ちきゅうのともだち」。一人ぼっちだった夢見がちな少女が、届くわけもないことが分かっていながらも、風船に宇宙人への手紙をくくりつけて空へと飛ばす。そんな彼女とともだちになろうとする男の子。ボーイミーツガールでメルヘンチックでなかなかいいお話。オーツカヒロキ「スーパーミルキーボーイ」。童顔でかわいすぎる男センセイと、ソレに惹かれてしまうワル系男子生徒のお話をドタバタと描写。滑らかさのあるキャッチーな絵柄で、ノリ良くお話を展開。いいアクセントになっている。
 かわかみじゅんこ「電光石火」。今回もセンスがキラリと光る。クールな女歯科医、たまこ先生の昔のお話。終始ほとんど口をきかないたまこの、眼鏡越しの強い視線がとても鮮烈な印象を残す。ビームが出ているかのよう。カッコイイ漫画だ。いわみえいこ「夕日が丘」。この人はときどきすごくいいお話を描く。今回のも爽やかな読後感で良かった。引っ込み思案な女の子が、男の子との出会いによって変わっていく。トキメキのある一作。羽海野チカ「ハチミツとクローバー」は、「コロポックル」と呼ばれてしまうほどにちまちました女の子がとてもかわいい。さらに乱暴な先輩である森田の突っ走りっぷりも愉快。絵が達者でオシャレだし、これからの作品も楽しみ。
 あとリレーエッセイコミック「最近どうよ?」で黒田硫黄が登場。日常モノなのに、やけにテンションが高くてとてもいい。次号はうえけんだ! ひまなのかな!?

【雑誌】LaLa 7月号 白泉社 B5平
 津田雅美「彼氏彼女の事情」修学旅行編が楽しそうに展開中。今回は4組が別行動ってことで、さらにガチャガチャした仕掛けが。読みにくいけど、それがガチャガチャ感を高めているのでオッケー。田中メカ「お迎えです。」。アッサリとした絵柄で軽やかな作風。もう少しネームは整理したほうがいいように感じるけど、見せ場のシーンはなかなか気持ちがいい。

【雑誌】スーパージャンプ 6/14 No.12 集英社 B5中
 車田正美「リングにかけろ2」。いやー楽しい漫画ですな。扉のところの作者名の上にある「花粉よさらば! もう来年来ンな!」という言葉からして、何やら車田節を感じさせる。「黄金」の日本Jr.の「いぶし銀」とかいうのも、なかなかナイスフレーズ。まあそういうツッコミはさておき、なんだか血沸き肉踊る展開の雰囲気を随所に感じさせて、ぐいぐい読ます。たなかじゅん「ナッちゃん」。けっこう面白い。町工場の元気娘、ナッちゃんの物語。工夫を凝らし、自分の技能を使って、モノ作りに励む姿がポジティブで良い。工作の喜び。ドリル、旋盤、機械油。職人ですな。いいですな。平松伸二「マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルス」。ロシア新大統領、プーチェンがやけに格闘系。ベタな味わいと過剰な演出で脂ぎった美味しさ。

【雑誌】週刊少年マガジン 6/7 No.26 講談社 B5平
 福本伸行「無頼伝 涯」。人間学園の澤井の言葉がオレ琴線にかなりビシビシと触れた。「至らない者」が犯した罪の原因を、「彼」ではなく「家庭」「学校」、そして「社会」に探り、「成した悪の責任を無限に薄めていく」その過程を、澤井は否定する。そのスタンスにはかなり共感。いや、もちろん社会なんかも悪いんだろうが、そっちのほうの責任を追及するあまり、本当に罪を犯した個人の責任があいまいになっちゃうというのは好ましくないように思う。宮崎勤事件のころから、そんなことは考えていたんだけど、この漫画でズバッとそういうことをいってくれていくぶんスカッとした。

【雑誌】週刊少年サンデー 6/7 No.26 小学館 B5平
 三好雄己「デビデビ」。今回重要ニャのは、一時期あんまりニャ言葉遣いや外見などで一大ネコミミショックを巻き起こしたコウモリネコが大活躍であるニャということだ。そして久米田康治「かってに改蔵」は取材のため休載ニャ〜というのも気にかかる事態である。一体ニャニを突撃取材しているのだろうか?

【単行本】「ディスコミュニケーション精霊編」2巻 植芝理一 講談社 B6
 いやあもう、最近とてもナイスですな! 精霊編に入ってから好調をキープしている。
 三島塔子/燐子の夢使い姉妹が、一人の少女とその他の人々の夢がからみあう迷宮のナゾを解きほぐしていく。不思議な目をした女の子たちの乳臭い魅力が全開で、煩悩的要素がバリバリ。パンチラ等々、ロリ風味なアイテムがそこかしこにちりばめられている。手や足の曲げ肩とか、ポーズがいちいち扇情的。それは過剰なほどではあるんだけど、そういった部分が物語の中でしっくりとなじんでいる。ちょこまかとした描き込みを積み重ねて、心地よい質感を作り上げている。それから読者の意表をつく展開も良い。とくに第12話のあたりでの三島塔子のダイナミックなメカニズムときたら。ノッてます。


5/23(火)……剣劇のドラマツルギー

 あちい。だいぶ気温が上がってきたというのがまず一つと、俺様マイルームのマシンの放つ熱が最近かなりいい感じなのである。たぶんディスプレイもかなり室温上昇にぶいぶい貢献している模様。部屋にいる間は寝てるとき以外はずっとマシンつけっぱなしなのだが、体感的にはマシン周辺だけ3〜4度くらいは温度が高い。ただでさえむさくるしい独身男の部屋なうえに、古本臭と男汗臭が加わってはたまらぬ。というわけでとりあえず今年初めて扇風機をひっぱりだしてきて熱拡散に努めてみた。

【雑誌】フラミンゴ 7月号 三和出版 A5平
 新しい号が出るたびに休刊の日が一歩一歩近づく。来月号で詳細のお知らせがあるという新雑誌のほうは楽しみであるけれど。編集長・東本満の年輪を感じさせる巻末エッセイページは新雑誌でも残るんだろうか。けっこう好きなのだが。
 白井薫範の新シリーズ「水仙のつぶやき」。巻頭カラーでいきなり、ドアに「屠殺中」という札のぶらさがった部屋の中にある鏡の前で自慰をしているデブ女……という感じで始まるが、とりあえずまだギチギチのテンションにはなっていない。今回は一味違う話になるのかどうか。深い作品を期待してます。海明寺裕「奴隷立國」。今回の見どころは乗用の牝奴隷である「ポニー」。このレベルにくると、一回一回の話がどうのこうのいうより、脈々と続けられてきて積み重なったK9世界の厚み全体にほれぼれしてしまう。6月14日には「puppy Love」の単行本も出ることが決まったらしい。めでたい。蜈蚣Melibe「もう一つの春」。今回はバージェスシリーズにあらず(というか商業誌ではもうバージェスシリーズはやらないらしいけど)。金色の瞳をしたちょっと変わり者の女の子がけっこうかわいい。鋭利菊「大銀河戦線」。おおお。いきなり十字架にはりつけられた全裸美少女たちがどどーんと。すごい業の深い世界だなあ。あんまり銀河でもないし、かなり好き放題やっている。この少女たちの救出はそっちのけで「興奮するぜ〜」とか呟き続けているスキンヘッドの男がとてもいい味。ぽーんとほうり出すようなラストがなんだか気持ちいい。フラミンゴ誌上での鋭利菊のお仕事は、なかなかご立派なものが多かったので、機会があったらぜひ単行本にまとめてほしいもの。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 7月号 竹書房 B5中
 安達哲が登場。読切「女だらけ雀」。シブいダンディをモノにせんと、ゴージャス感あふれる美人三姉妹が麻雀に挑戦。女の一念でもりもり力をつけてのし上がっていく。ところでこのタイトル、「女ばかりの雀」という意味だよね、たぶん。もしかしたら「女のだらけた雀」というダブルミーニングということもあるかなとか思ったのだけど。お話としては、まあ気楽に読めるし、桜井桜井となりがちな誌面において華になってるし、まあまあといったところ。安達哲絶好調時の強烈なノリの良さとか、最近のものすごいダウナーな面白さは出切っていないが。一條裕子「道子のほざき」。テーマは「対々和」。麻雀とはまったく関係ない次元で、軽やかに読者を煙に巻く。さすがの腕前。

【雑誌】漫画アクション 6/6 No.23 双葉社 B5中
 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫「軍鶏」。いよいよリョウ vs.菅原戦がスタート。まずはリョウが攻で菅原が受だ。ここまでビンビンに緊張感を高めて、いよいよ乾坤一擲の舞台まで持ってきた。魂を削り合うような激しい闘いが繰り広げられるであろう予感にドキドキである。さそうあきら「トトの世界」。じょじょにトトの謎に迫りつつあるが、まだ先は読めない。ミステリアスな展開で先が楽しみ。かいともあき「白い少年」。玉男に別れの言葉を告げられた加藤さんの表情が、かいともあきの本領発揮な感じ。さて二人の恋だかなんだかのゆくえはどうなるのか。涙流しまくりの加藤さんがかわいいなあ。

【雑誌】ヤングチャンピオン 6/13 No.12 秋田書店 B5中
 岩明均「剣の舞」は今回で最終回。短い出来事ではあったが、忘れ得ぬ記憶を残して、しめやかにおしまい。淡々とした語り口ながら、読後はけっこう感慨が後をひく感じ。まとめて読むとけっこうグッと来そうに思える。そのうち切り抜きを集めて試してみよう。葉月京「恋愛ジャンキー」は、華やかな絵柄でボリューム感のある女体の魅力が満開模様。見ていて得したような気持ちになるいい乳なり。細倉徹「不滅の力」がなかなか面白い。とことんまで負けず嫌いな男が、校内サッカー大会で天才サッカー野郎に一人立ち向かう。納得の行かないところがあれば、自分を殴り倒し、その怒りをそのままボールにぶつけていく。ガムシャラなパワフルさ、それからものすごいオーバーアクション。こういう力づくで、かつカラッとした読後感の漫画はかなり好きだ。

【単行本】「ARMS」12巻 皆川亮二 小学館 B5中
 今回は、隼人の成長という、物語的なタメがあって良かった。ガンガン一直線に戦闘シーンが続きがちだが、その中でこれからに向けた説得力のタネが仕込まれたという感じ。物語はだいぶ核心に近づいてきているが、ここからどう持ってくかが腕の見せどころ。


5/22(月)……ハーグレー牧場

 今ちょっと、ブラウザでのWebアクセスをフィルタリングしてくれるソフトに興味がある。つまり最近よく見る、エロサイトへアクセスしようとすると「そ・れ・は・ダ・メ」といってくれるアレだ。こういうソフトの場合、市販の奴はそのソフト製作会社がデータベースを持ってて、それと照らし合わせることによってどこを禁止するか決めるとかいうのが多かったように思う。俺が今欲しいと思っているのは行きたくないアドレスを指定して、そこに行こうとすると「本当にいってもええんかいの」と聞いてくるようなもの。例えば「http://picnic.to/~ohp/」を行きたくないサイトとして指定しているときに「http://picnic.to/~ohp/i/love/you/」とかへのアクセスが発生したら、いちおういったん制止のことばをかけてくれるようなソフトだ。フリーソフトでないかなとか思ってちょっとだけ見てみたのだが、まだ見つけられていない。アクセス制御系では、特定のキーワードが含まれているWebは表示しないとかいうのを見つけたのだが、URLでのチェックには対応していないようだった。

 なんでそんなものが欲しいかというと、つまりはイヤなWebを見たくないからだ。例えば細井さんのところの漫画系サイト更新時刻一覧とかを見ていると、更新されているってことで、なんかの拍子に嫌いなサイトへのリンクを押してしまうことがある(もちろん漫画系サイト更新時刻一覧のせいじゃなくて、こういうことが生じるのは自分が悪いのだ)。それで見ちゃうとやっぱり胸の中にドス黒い思いが芽生えたりするのですな。俺は仕事以外の面においてはあくまで楽しむためにインターネットにアクセスしてるんであって、それでイヤな思いをためこんでいくってのはどうもうれしくない。悪意に満ちた自分という状態がたまらなくイヤだ。断っておくが、自分にとって不利なことをいわれるのがイヤというわけでない。自分や、自分の好きなものが批判されていても、筋が通っていればそれはそれでまあ仕方ないことだとは思っているし、中には本当に参考になる苦言だってある。そういうのはむしろ歓迎なのだが、卑怯なのは好かん。

 本当は、気にくわないサイトを見ても超然としてられるような精神を持つのが理想なんだが、まだそこまで人間ができちゃいない。注意してイヤなところへは行かないようにすればいいのだけれど、俺はけっこう粗忽な人間なので、つい同じミスを繰り返してしまう。だから上記のようなソフトが欲しいなあとか考えている。なんかいいのがあったら教えていただけると幸いであります。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 6/5 No.25 集英社 B5平
 岸本斉史「NARUTO」。非情な忍の世界ゆえの厳しい結末がつきつけられる。描写のテンションが高く、ビシバシと盛り上がっている。すごくカッコよく、面白かった。キャラが生きているし、アクションや表情の描き方もシッカリしている。最近のジャンプの中ではトップクラスの注目株。作:真倉翔+画:岡野剛「ツリッキーズ ピン太郎」。メスのカエルがなんだかやけに色っぽかったのが印象的。

【雑誌】ヤングマガジン 6/5 No.25 講談社 B5中
 巻頭カラーは安達哲「バカ姉弟」。今回は、ランドセルの重みを利用してぶんぶん回り続ける小学生というよく分からない存在を描くシュールな展開。静かなおかしみと異様さがあって、なんだかとてもナイスだった。それから阿部秀司「エリートヤンキー三郎」が今回もむちゃくちゃいい。とくに扉ページの激しい鼻血っぷりには思わず笑いがこぼれる。三郎に忠誠を誓う石井のテンションの高さが圧巻。その勘違いぶり、狂信ぶり、陶酔の目つきには異様な迫力がある。それからその他ヤンキーどもの表情もこれまたいい。スゴイぞエリートヤンキー! 平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。最近、ゲンを上回るほどのケンヂの卑劣ぶりが際立っている。やはり愉快な漫画である。ちばてつや賞大賞受賞の新人、藤井義也「才腕」。ボクサーをしつつ、殴られ屋のバイトもしている男と、その彼女の父親の物語。まだまだストーリー的にも絵的にも物足らない部分はあるが、アツイ情念を込めて物語をきっちり作ろうとしている姿勢が伺え、好感は持てる。とりあえずガンガン作品を描いて、地力を付けていくのが吉といった感じ。
 なお、「工業哀歌バレーボーイズ」「フローズン」「甲子園へ行こう!」の3作品は休載。

【雑誌】ヤングキング 6/19 No.12 少年画報社 B5中
 小池田マヤ「聖★高校生」。失踪後、風俗嬢のヒモとなりつつある神保だが、ここでもなかなか幸せにはさせてもらえそうにない。考えてみると、今までの主要キャラはどれも単純な結末は手に入れておらず、なかなか甘っちょろいところに落ち着けていない。4コマ形式で、しかも明るめの絵柄なのに、これだけハードな物語を構築できるっていうのは大したものだ。市川智茂「ナデシコ平九郎」。第3回め。ここまでヒロインの女の子も魅力的なキャラ作りができているし、いい感じのラブコメになっている。 

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 6/5 No.25 小学館 B5中
 曽田正人「昴」。引き続きテンションが高く、これからの展開にますます期待を持たせる。何かまたスゴイことをやってくれそうでゾクゾクする。山本康人「僕」では、ひろしがついに実戦デビュー。圧勝しそうでもあるし、ボコボコにされそうでもある。ということは、間をとってボコボコにされつつトータルで精神的には圧倒という感じか。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 6/5 No.11 小学館 B5中
 ジョージ秋山「浮浪雲」が巻頭カラーだが、いきなりビックリさせてくれた。「浮浪雲」のキャラクターをそのまま使って現代編を展開しているのだ。浮浪が背広を着てネクタイしめて「おねえちゃん」「あちきと遊ばない」とくる。舞台は変わっていても、キャラクターの魅力はいつもの通りで、きっちり読ませてくる。腰が据わっていてご立派。

【雑誌】ドルフィン 7月号 司書房 B5中
 吉田蛇作「超ハード彼女!」。女の子が丸顔気味でふくよかなところが最近わりと気に入っている。エロも激しくイキがいい。火野聡司「火野さりんのOL改造計画」。この人は最近ずんずんうまくなっていて注目している。細身だけど出るところは出た身体のラインの柔らかさが気に入っている。森高たかし「ENTER THE メイドさん」。この人もちょっと気になっている。とくに珍しいことをしているわけではないんだけど、元気の良い作風で案外ソソる。


5/21(日)……ひやひやどきっちょの木炭

 そろそろおそとも寒くなくなってきた。ということはすなわち炭火焼きの季節! なのかどうかは知らないが、とにかく今年一発目の七輪囲み系こじんまり宴会を開催。わりと近めのエリアにお住まいの、小田中さん、志賀彰さん、立ち読み屋さんを料亭しばたにご招待。バリバリ焼いてボリボリ食いました。鶏肉とか牛肉とかホッケとか焼きおにぎりとか。表面パリッ、中はジューシーって感じはやはり遠赤外線の効果か。それはどうでもいいのだが、とにかくうめい。炭火は偉大なり。今年は昨年にも増してバリバリ焼く予定。
 それとはまったく関係ないが、スカイパーフェクガンダムというのを思いついた。てってーてきだ。

【単行本】「へろみの夏休み」 キクチヒロノリ 青林堂 A5
 すごく楽しい。ガロはもちろん、AXやミュージックマガジン、果てはチラシの漫画などまで細かく収録した作品集。いろいろなものがごちゃごちゃごった煮になっているが、やはりキクチヒロノリはキクチヒロノリ。おなじみのヘンなキャラクター群(げだつマンさんも登場)が、画面狭しとそこかしこに配置され、ヘンテコなセリフを連発。妙ちきりんで、かつやたらとうれしそう。このテンションの高さには毎度圧倒される。読んでてクラクラしてくるトリッピーな作風が、とてもかっこいい。すばらしい。

【単行本】「未来の恋人たち」 犬上すくね 大都社 B6
 私は犬神あきらに会った!……というのはともかく、今月2冊めの犬上すくねである。
 今月1冊めの「恋愛ディストーション」のほうは、コテコテの甘さで読者を悶絶させたが、こちらは幸せなラブコメはもちろんのこと、泣かせあり、ビターな味わいのお話あり、ドタバタあり、パロディありと、犬上すくねのいろいろな魅力を見せてくれるお得な一冊に仕上がっている。一つひとつ優しい物語を構築していく手つきが実に細やか。柔らかくスッキリした絵柄、それからにじみ出てくるような幸福感で読む者を包み込んでくれる。いいですなあ。

【単行本】「地獄組の女」1巻 SABE 久保書店 A5
 ついに出ました。あの長期連載が全4巻で単行本化。そのイッパツめ。
 悪の組織によって勝手に肉体を改造され、身も心も悪に染まっていくバニー女の、セックス&バイオレンスでハードボイルドな生き様。逆上しっぱなし、ブチ切れっぱなしのバニー女たちの行動は、やたらとテンションが高いかと思えばこれ以上ないくらいのローテンションになったり。単にクレイジーなわけではなく、きっちり狙って読者をアナザーワールドに引きずり込む。後日SABEページのほうでザクッと書く予定なので、しばしお待ちを。

【単行本】「スロップマンションにお帰り」 高尾滋 白泉社 新書判
 淡くて柔らかい雰囲気の表紙は、目立ちにくいながらも思わずジャケ買いを誘発しがち。で、ジャケ買いしてもおそらく後悔はないであろうと思われるクオリティ。抜けの良い、端整で清潔でスッキリした絵柄はたいへん気持ち良く、好感度が高い。今回は短編集なので、読切好きな人にとってもうれしい構成。どれも後味爽やかで、幸せな読後感。最近の花とゆめ系列では最も好きな作家さん。

【単行本】「ポニィテイル」 村正みかど ヒット出版社 A5
 自らの身体を使って人々を幸せにする宗教の教祖さまである女性、ポニタが主役。といっても宗教のドロドロとかはなくて、あくまで明るく元気よくエロエロにお話は展開。健全なるエロスは健全なる肉体に宿るって感じで、ずんずんやりまくり。Hがふんだんでなかなか実用度が高い。描線が滑らかな感触で、わりと好みなエロっぷり。


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