およそ2年にもわたって「もうすぐ発売するよ」との告知がなされてきたこのゲーム。最近ようやく発売され、日本に輸入されるようになった。何でも遅れた理由は「ゲームデザイナーの母親が死にそうだったため」とのこと。家族を大切にするのはいいのだが、商売は大丈夫なのか。まあ日本で次回作の発売を待ちつづけている私のような人間がいるのだから、まあやっていけてはいるのだろうが。ともかく、この新作より、ヨーロッパシリーズの方向性が大きく変わってきているようなので、少々レヴュしてみたい。
ここで特徴的なのは、図表やルールブックの印刷品質が大幅に向上したこと。ルールブックはフルDTPで、以前の町工場的印刷に比べると格段に見やすくなった。また、駒の印刷も、前作"Second Front"に比べて良くなっているように感じる。これで私の所有するヨーロッパシリーズは、地図39枚ちょっと、駒20664個になった。やったぜ、2万個の大台突破だ!
私が所有する、ホビージャパン版の"Western Desert/Near East"が、リビアとエジプト、そして近東諸国(イランやイラクなど)のみを扱っていたのに対し、このゲームではこれに加え、フランス領北アフリカ(モロッコ、アルジェリア、チュニジア)の部分も含まれている。要するに以前の"Western Desert"+"Near East"+"Torch"の、3つのゲームを接続し、セットにしたような形になっている。これで私のヨーロッパシリーズの空白部分は埋められたことになる。マップ完全制覇、である。
以前はは別だったゲームが一つにまとめられたために、シリーズ構成は次のように変化した。
タイトル | シリーズ | 説明 |
Fire in the East | Europa I | |
Scorched Earth | Europa II | |
Balkan Front | Europa III | コレクターシリーズ有 |
Narvik: Campaign for Norway(準備中) | Europa IV | 旧"Narvik"をリプレイスするもの |
Blitskrieg in the West(準備中) | Europa V | 旧"The Fall of France"をリプレイスするもの |
War in the Desert | Europa VI | コレクターシリーズ有 |
First to Fight | Europa VII | コレクターシリーズ有 |
Partisan War(準備中) | Europa VIII | 詳細は不明だがパルチザンについての総合ルール? |
Peace in our Time(準備中) | Europa IX | チェコスロバキア解体について |
For Whom the Bell Tolls | Europa X | コレクターシリーズ有 |
The Naval War(準備中) | Europa XI | |
The Urals | Europa XIII | |
A Winter War | Europa XIV | コレクターシリーズ有 |
Grand Europa(準備中) | Europa XV |
これによると、どうやら昔のシリーズのリプレイスを進めると同時に、ゲームシステム面での深化・複雑化も進めるらしい。そして、1939年9月1日から1945年5月8日という「第二次世界大戦」の枠を超え、それに連なる数々の紛争や国家の変化も射程に収めるようになってきている。最近はどうやら第二次大戦後の冷戦状況下なども再現しようと試みているらしい。ヨーロッパシリーズは第二次大戦にまつわる壮大な歴史絵巻の様相を呈してきているのだ。