つれづれなるマンガ感想文3月後半

「つれづれなるマンガ感想文2001」もくじに戻る
「つれづれなるマンガ感想文」3月前半
「つれづれなるマンガ感想文」4月前半
一気に下まで行きたい



・「月刊コミックバーズ」4月号(2001、ソニー・マガジンズ)
・「週刊漫画ゴラク」4月13日号(2001、日本文芸社)
・「コミックマオ」4月号(2001、普遊舎)
・「からくり変化あかりミックス!」全2巻 石田敦子(2000、角川書店)
・「いばら姫のおやつ」 石田敦子(2001、少年画報社)
・「週刊漫画アクション」15号(2001、双葉社)
・「漫画大衆」4月16日号(2001、双葉社)
・「狼の瞳」 岩原裕二(2001、角川書店)
・「近代麻雀オリジナル」4月号 (2001、竹書房)
・「近代麻雀オリジナル」3月号 (2001、竹書房)
・「近代麻雀オリジナル」2月号 (2001、竹書房)
・「コミックまぁるまん」5月号(2001、ぶんか社)
・「バキ」(7) 板垣恵介(2001、秋田書店)
・「ヤングマガジン アッパーズ」7号(2001、講談 社)
・「週刊少年チャンピオン」17号(2001、秋田書店)
・「少女革命」2月号(2001、一水社)
・「銀牙伝説 ウィード」(6)〜(7) 高橋よしひろ(2001、日本文芸社)
・「週刊漫画サンデー」13号(2001、実業之日本社)
・「週刊漫画アクション」14号(2001、双葉社)





・「月刊コミックバーズ」4月号(2001、ソニー・マガジンズ)

ものすごくひさしぶりに購入したかもしれない。やはり本誌の目玉は「Marieの奏でる音楽」古屋兎丸になるだろう。今まできちんと読んだわけではないが、細密な絵柄で、ファンタジックでありつつシビアな世界観を描いている。コレは私もまとめて読んでみたい気になる。

それとあらためて驚かされるのは「スカートさん」吉田戦車の面白さだ。まあ久しぶりに読んだという私の個人的事情があるにせよ、このハズレのなさはすごい。

「すべてがFになる」森博嗣、浅田寅ヲは同名の推理小説のコミカライズ。私は原作は読んでいないので、原作とイメージが違う云々ということは別にいいんだけど、推理モノをマンガにしたときの宿命でやはり少々読みづらい。まあ読み込んでいなくても、ネタが明かされたときにそれなりに面白ければいいんだけど。

「きりきり亭のぶら雲先生」きくち正太も初めて読むが、「春らしい鍋料理をつくる」というだけでお話が進んでいくっていうのはマッタリしていてなかなかいいです。
「極楽丸」相川有も初めて読んだ。人間の死と絶望ということがテーマになっているとしたら、ちょっと興味深い作品だ。
「WORM’S PLANET」カサハラテツローは30ページの読みきり。宇宙探索隊の隊長・キャプテンダンディーとその部下99号、そしてロボット1号が、未知の惑星で凶悪な魔法使いに昆虫人間に変えられてしまった女王から助けを求められ冒険する。絵は達者でコミカル、女の子はかわいいし全体的によくまとまっていて申し分ない作品なのだが、「魔法で醜いものに変えられてしまった」というネタはひねった場合でもたいていネタが割れるため、先が読めてしまった部分もある。

「空想科学大戦!」柳田理科雄、筆吉純一郎は、今月号と合わせて2回ほど読んだが、個人的に本誌では「Marieの奏でる音楽」に継いで推したい作品。東京タワーができる頃、普通の一家(らしい)に居候している大学院生の猫柳田が、何かというと「科学、科学」と言って人々を啓蒙しようとして、自分もおかしな発明をしては迷惑がられるというマンガらしい。

実は私は一連の柳田理科雄の特撮やアニメにからめた科学エッセイがあまり好きではない。漫画ゴラクにも彼の「空想科学的マンガ鑑賞」というコラムがある。毎回マンガにおける「飛躍」をまっちょうじきに科学的に解説して見せるのだが、私としては「それがどうしたのか……」としか言いようのないものなのだ。まあ「設定」を額面どおりに受け取ってあれこれ計算し、その矛盾にツッコミを入れるという冗談が冗談として成立することは認めないではないが、その面白さは題材となった作品の面白さとは、すでにまったく別の次元に行ってしまっている面白さである。
……というわけで柳田理科雄仕事をちょっと色眼鏡で見ていた私だったが、この「空想科学大戦!」は(2話ほど読んだ段階では)面白い。どこか飄々としていて、猫柳田の暴走は「両さん」や久住マンガを連想させるほのぼのさが漂っている。おすすめしたい。

「アクア・ステップ・アップ」友野詳・安田均、田嶋安恵は、ボードゲームをやる人々を題材にしたマンガらしい。これは広義のホビーマンガなので、単行本を買わねば。
(01.0330、滑川)



・「週刊漫画ゴラク」4月13日号(2001、日本文芸社)

表紙にデカ字でタイトルが掲載されているマンガが、やはり面白い。すなわち「ミナミの帝王」、「クロカン」、「食キング」、「銀牙伝説ウィード」。

「ミナミの帝王」天王寺大、郷力也は、「eネットの女」の第3回目。金もコネも学歴もない女性・美奈が、一攫千金を狙ってネット上の24時間のぞき見サイトを開設しようと考える。パソコンなどモロモロの資金100万円を、萬田から借りる美奈。彼女の並々ならぬ決意が見えてきてハラハラする……。萬田の美奈へのアドバイス、

「災いは頂点に住んでまんねやでえええッ!!」

というセリフとともに、ものすごい山が描いてあるのがイイ。でも美奈はやっぱりこの流れだと成功して破滅するんですかね……「ミナミの帝王」って勧善懲悪モノじゃないから、その辺り、いつもモヤモヤ、ハラハラしている私。

「銀牙伝説ウィード」高橋よしひろは、親に捨てられた子犬を拾っては育てている狂四郎という犬とウィードがモメている最中。
「クロカン」三田紀房は、高校野球の監督とそのチームの物語らしい。2〜3週続けて読んだけど、けっこう面白い。野球マニアの人の意見を聞いてみたい作品。

「食キング」土山しげるは、兄に追い出されたイタリア帰りの料理人・新吾がレストランを道場破りのように荒らしまくる。

「江戸前の旬」九十九森、さとう輝は、江戸前寿司マンガ。お話は熱血寿司職人の人情話という感じで単純きわまりないんだけど、お寿司のウンチクのところ何かはやっぱり読んじゃいますよね。今回はトビウオの話だった。トビウオの寿司ってのもあるんだね。

「座長 蛍霧次郎の推理演目」今谷鉄柱は、旅芝居の座長である蛍霧次郎が事件を解決……かと思ったら、私が読んだかぎりではカッチリした推理モノではないのね。谷口ジローの「事件屋稼業」とかそっち系に近い。

「からす」いけうち誠一、内山まもるはゴルフマンガ。飛ばし屋の唐津勘、通称からすとパターがひたすらにうまい森長一成、通称天使(エンジェル)との戦い。実に単純だけどけっこうイイ。まあ私の世代は「ザ・ウルトラマン」と「リトル巨人くん」で刷り込みがなされているんですけどね。それにしても内山まもる作品のリーダビリティはすごいと思う。

「美悪の華」倉科遼、檜垣憲朗はリゾート地の地下に麻薬とセックスの巣窟をつくった男を主人公にしたピカレスク・ロマン。原作者は水商売マンガ原作の雄。ほんとにいろんなところに出てきます。

あと金井たつおコンタロウも描いているし、この間は田中つかさが描いていた。みんなジャンプ出身。
(01.0330、滑川)



・「コミックマオ」4月号(2001、普遊舎)

成年コミック誌。例によってまた発売日から大幅に遅れてのレビューとなりました。スイマセン。ちなみに5月号は4月16日発売。

まず、「レ研」祭丘ヒデユキが先月号に載っていたんだけど、今月号は載っていなかった。隔月連載なのか、単発だったのかは不明。以前の掲載誌と違っているためか、「レ研」というタイトルなのに作中に出てくるのは「プ研」だったりする。レイプ研究会の略。
例によってメチャクチャな内容で、宮城県の「古代レイプ文明」の遺跡発掘のアルバイトをしているプ研のメンバーが遺跡の儀式を司るなんかのシステムに巻き込まれて……という話。「神の手」のおじさんソックリの人も出てきた。巻末コメントの「ついにパワーパフガールズでぬくことに成功!」というのも最高だったんだが、読みたい人はバックナンバーを買ってネ。

さて今月。全体的にキチンとお話が読めるものが多くて個人的にはウレシイですよ。
「南国パラダイス」あうら聖児は奇妙な風習のある南の島の住人である褐色の肌の美少女・ナディを妻としてめとった少年の話。連載らしい。このヒトのマンガなんでナディは激しく巨乳。前回を読んでいないんだけどコレも「SFおしかけ」に入るかな。
「異種配合の天使たち」いとうえいは後編。「永遠に処女であり続ける」というアンドロイドだかレプリカントだかに生まれた少女は、それを売り物に客を取らされる。「永遠に処女であるゆえに苦しみ続ける」という設定には興味がひかれた。「処女とは何か」をもうちょっと掘り下げたらさらに面白くなったかも。
「薬事法に基づく正しい処方箋(愛)」てくてくは精神が壊れている(?)少女が入院していて、そこの医者との会話というかエッチというか。ちょい平野耕太っぽい。でも絵は勢いがあってステキ。
「悪魔におねがい2」カナタはムリヤリ形容するなら絵は桂正和系(あくまでムリヤリ、ね)。すごくきれい。先月号に載っていた作品の第2弾。神様を呼び出そうとして魔王を召還してしまったあやは、願いをかなえるためにズコバコにやられるが、ロリコンの魔王はそのままあやのしもべとして家に同居していた。ここまでが前回。しかし別に絶対に守らなければならない契約が結ばれたワケではなかった。忙しい両親に滅多に会えないあやは、再び身体を差し出して魔王に「ずっとそばにいて」と頼む。
この魔王が典型的な魔王ズラをしているのにロリコンで、あやのせつなそうな顔を見てコーフンしてドッパと射精してしまうとか、その辺がキいている。基本的にはコメディだがエロシーンもかなり濃厚。最後にホロリとさせてシメたりして楽しめる作品になってる。
「卵の殻をやぶるものやぶられるもの」百目鬼薔薇郎は「断罪学園シリーズ」というシリーズものらしい。「断罪学園」を舞台にした羞恥責め系SMマンガ。この人の描く女性の下半身はすごく特徴的だなあ。これはちょっと文章では形容しがたい。
「怨恨の痕」RAITAは、サンボ道場のオーナーの一人娘が、練習中に自分の膝を壊してしまった安城(まァ安生がモデルだろう)をいたぶりつつセックスする。実は二人は愛し合っているらしいが屈折した関係。ヴォルガってのも出てくるがコレはヴォルグ・ハンですね。安城という男が徹底的にでくの坊ライクに描かれているところが何とも……。だけど殺伐とした感じはそんなにないです。
「陰陽奇譚 ゆ・う・け・い」Dr.DDTは今流行りの?陰陽師もの。カワイイ男の子・舟木マサハルと、身体のデカい少女・前田あきらの二人が魔と戦う。魔と戦うときにプロレス的な技を使うのが面白い。登場人物の名前や作者の名前から察すると、プロレスファンのようだ。「ゆ・う・け・い」っていうのはU系の意味かな?
(01.0329、滑川)



・「からくり変化あかりミックス!」全2巻 石田敦子(2000、角川書店)

あかりのおばあちゃんの家にある倉庫は、100年続いた(現在は閉鎖)人形店だったときの人形がたくさん。その人形たちの念が集まったドクという不思議な生き物が、あかりに魔法の宝珠をプレゼントする。これを使えば人形と融合して変身することができるのだ−−。

基本設定はぴえろの魔法少女もの。あかりは小学三年生だし、5つの宝珠は5つの人形を表し、それに変身できる(アメコミヒロイン、フランス人形、日本人形など)。フランス人形と融合したあかりはアイドル歌手・雛形まろんとして活躍する。
このように基本は伝統芸ともいえるモノで、変身によって起きるできごとも大幅に飛躍したことではないが、1回1回の掘り下げというかパターンを一度解体して自分に引きつけて解釈し、編み直したような展開はなかなかに胸に迫るものがある。出てくる人物の設定も妙にリアルだし。
たとえばあかりの弟・丹吾は学校でいじめられて引きこもり。しかしあかりの魔法ですぐにどうすることもできない。あかりのお母さんは元スチュワーデス。しかし伝統ある人形店を継がずにがんばってスチュワーデスになったものの、仕事が合わず2年で退職、現在では夫(あかりのお父さん)と喫茶店を経営している。

その他両親が離婚してしまった少年、両親に暴力をふるわれ続けてきた少女など、わりとダークなものを背負っているキャラクターが多い。変身したあかりはその状況を何とかすることはほとんどできないが、人の気持ちを変えることでちょっとだけ救ったりする。
そもそもドクから「魔法をあげる」と言われた段階であかりがあまり嬉しそうじゃないのが面白い。それは「他人と違うとロクなことがないから」という理由だったりするのだ(なんだか実にリアルだ)。
あかりも状況的にはまったくの幸福少女ってわけでもないのだが、魔法がそのまま「不幸を解消する」というところに直結しないところがイマ風というか、80年代以降の魔法少女ってほとんどそうだけど、それをロコツに表していて興味深い。

そうした流れなので、魔法を得たこと自体がたいして嬉しくなかったあかりが、魔法で他人を救うことに意義を見出し、そこから逆に「自分のためにもなる」と考え、最終的に「魔法はいらない」という最終回に至るまでの経過は実に納得が行く。80年代以降の魔法少女は魔法が期間限定で、最終回に至るまでに人間的成長をとげて魔法とお別れするパターンが多いが、見ていてどこかに「もったいない……」とか「やっぱり魔法があった方が便利だよな」という気もする。しかし、本作ではあかり自身が魔法のあり方に懐疑的だったりしただけに、それを手放すことにもとても納得が行く最終回でした。これはイイ話。
(01.0328、滑川)



・「いばら姫のおやつ」 石田敦子(2001、少年画報社)

短編集。この作者のものは現在「アワーズライト」に連載中の「純粋! デート倶楽部」しか読んだことなかったんだけど、もっとずっとダークな感じ。
表題の「いばら姫のおやつ」は3話から成る。外見はコドモにしか見えないが、家庭内でいろいろなことがあって「だれとでも寝る」とレッテルを貼られてしまっている知花と、姉・夏美、そして知花の幼なじみの雪彦が三角関係というかなんというかになる話。それぞれがそれぞれのドロドロした内面をぶつけ合っているような激しい印象を受けた。
「東京ソーダ水」は、9歳にして知らないおじさんと心中未遂をして助かった少女・と彼女が同居している叔母・省子、その恋人・高文の物語。早くも人生に絶望した少女と、彼女に生の肯定を示してやれないオトナ。みんな正直にぶつかっては傷つく。高文はものすごくイイやつですね。
他にも全体的に、負の感情を吐露することにためらいがないというか生々しい印象の作品が多いんだけど、個人的にいちばん好きだったのは「泣きたりない人魚」。ある日、木にぶら下げられたままになったビニール袋入りの金魚を見つけた少年が、それをとって池に離してやる。すると自分はそのときの金魚だ、と主張する少女が「恩返し」にやってくる。お互いの寂しい部分、欠けている部分を懸命に補完する二人がなかなかイイ。構成も、従来の少女マンガのパターンにもっとものっとっていて、そこはかとなくファンタジックな雰囲気が漂うのもいい。作品全体の雰囲気が、偶然の重なっている物語をうまくまとめている。
(01.0328、滑川)



・「週刊漫画アクション」15号(2001、双葉社)

「ぷるるんゼミナール」 ながしま超助は巨乳な人妻が田嶋ゼミに入ってきてひと騒動ありそう。まあこのマンガに出てくる女性は全員巨乳なんだが。巨乳しか入れないゼミらしいし。
「しりけん」 さつき優は新連載第2回。スケベな主人公・里見犬太郎が転校してきて波乱が起きる。高校なのに女子がブルマーだったり「Aまで行った」などのセリフが出てくるのは読者対象に対して狙っているのか。
「魔獣狩り」 原作:夢枕獏、木戸嘉美はサイココンバーター(人間の精神に入るための装置)がちょっとぞんざいなのが気になったが。せっかくサイコダイバーが主役なんだし。
「おさなづま」 森高夕次、あきやまひできは面白いなー。マンガ編集の現場なんて知らないけど「熱意のある編集者が打ち合わせに打ち合わせを重ねてけっきょくアンケート順位が下がっていく」っていうのはちょっとリアルすぎるよ。
(01.0328、滑川)



・「漫画大衆」4月16日号(2001、双葉社)

ひさしぶりに購入。なんというか、「漫画サンデー」とか「漫画ゴラク」とか系のマンガ雑誌。

・「牙のイン・ハイ」 内山まもる、峠野一九

ヒトのいい打撃投手が一軍で投げることに……というプロ野球マンガ。これはけっこう面白い。野球のことはよくわからないが、わりとリアルな表現がなされているし。

・「実録レイプ裁判」 熊谷くにを、(案)宇野津光緒

毎回いろんなレイプの手口を実録風に描き、レイプ犯がどのように捕まって裁かれたかを描くマンガ。もう12回目。ホテルの従業員の女性に「シロウト童貞」とバカにされた男が、その女性が勤務中にセックスしている写真を撮って脅迫、ホテルに連れ込んで云々かんぬん。けっきょく懲役3年の実刑になる。

言葉で説明しようとするとどこにポイントを絞っていいのかわからないが(レイプをいいと言っているのか悪いと言っているのか? まあ結果的には悪いと言ってるけど)、企画としてはポイントが絞られていると思う。っていうかまあ企画どおりに描くとこうなるだろうと思います。女体盛りとかしてた。そんなマンガ。

他にはなんだか最近出てくる女の顔がどんどん恐くなってる極道モノ「ザ・代紋」土光てつみ「成田アキラのムハムハSEX相談室」成田アキラ、ストリッパーのマンガ「華姫レビュー」三浦みつる、パチスロマンガ「新宿竜」峰岸とおるなど。
(01.0326、滑川)



・「狼の瞳」 岩原裕二(2001、角川書店)

「クーデルカ」の作者の短編集。内容は面白いが、この単行本にも作品の初出が明記されていない! 作者のエッセイ的なコメントでかろうじて作品発表の順番がわかる程度だ。これはなんとかしてほしい。

・「鉄の世紀」

大正三年、自分の母親が開発した機械の新システムを国家に軍事利用されないようにと戦う少女の話。
小気味いいアクションもの。

・「蛇」

女子高生の日常生活を、彼女の飼っている蛇にからめて描く。
これはけっこういい。こういう話はまあ解説してしまったらミもフタもないのだが、「蛇」は少女の、他人には容易に受け入れがたい内面というかプライバシーというか暗黒面というかの象徴で、それが果たして受け入れられるかとか受け入れる人間側の葛藤はどういうものかとか、そういうのを描いている。こうして書くと本当にミもフタもないな。
さりげない話だがとてもよくできている。

・「狼の瞳」

数年前、銃を持った暴漢に妻を殺された男が、夜の街で銃を使い悪事を働く者たちを非合法にぶちのめして回る。
そんな男に近づいてくる謎の女や、彼をとらえようとする刑事たち(彼のやっていることは犯罪だから)を描いたアクションもの。

作者がアメコミに凝っていた時期に描かれていたということで、黒と白のコントラストをハッキリさせた絵柄や、非合法に悪を裁く男、特定の「街」を舞台にした展開などは確かにアメコミ、私は詳しくはないが「バットマン」などを連想させる。シブミのある作品。
(01.0326、滑川)



「近代麻雀オリジナル」4月号 (2001、竹書房)

たまっている何ヶ月も前の雑誌を読み、感想を書く。なんというムダな行為だ……。
何の希望もない。でも、どっかで読んだだれかのセリフを借りて言わせてもらおう。
「希望がないとやっちゃいけないんですか?」

・「ノーサレンダー・トオル」 木山道明

読みきり。売れない若手お笑い芸人「ノーサレンダー」のトオルが、先輩芸人「風呂上がり溺死隊」の蛍宮から代わりに麻雀を打つことに。似顔絵が妙に似てておかしい。

・「麻雀新世紀 赤の伝説」 本そういち

大阪のサンマ(3人麻雀)についての解説。へー、サンマってのがあるんだなあ、ルールもこんなに違うんだ、と思った。まあ麻雀やらないんで私の人生に何にも関係ないと言えば関係ないんだけど。

・「病葉流れて」 白川道、花菱スパーク

昭和40年代を舞台にした劇画で、最終回。私は肝心の麻雀シーンはよくわからないんだが、ギャンブラーの哲学みたいのがこの作品ではちょいちょい出てきてそれは面白かった。学生運動華やかなりし頃に、あえて麻雀という世間的にはムダなことをやってるというのがなかなか。
(01.0324、滑川)



「近代麻雀オリジナル」3月号 (2001、竹書房)

私は麻雀をやらないです。まぁゲーセンの脱衣麻雀くらいならやったことあるけど。
昔、30人くらいアイドルを脱がしていくヤツがあって、絵もリアルでよかったな〜。でもその中の3分の1くらいは本当に脱いでしまったし、アイコラが当たり前になってしまったし、規制も今の方がうるさいだろう。そう考えるとすごく昔に感じるな。

・「白の鎮魂歌(レクイエム)」 高橋光

読みきり。コレは面白い。麻雀好きのハードボイルド探偵・南場理一郎が、政財界の大物や有名作家と卓を囲むことを依頼される。それは余命幾ばくもない老人たちの、死を賭けたゲームだった。

どこまで本気かパロディか、ハードボイルドの常道を踏んだセリフにけっこう読ませる展開、意外なオチ。イカす佳品でした。

・「ムーンダスト」 木村直巳

相手の手牌まで見えるようになるドラッグ「ムーンダスト」をめぐる物語。
打ち切り風にサクッと最終回だった。「ぶっとび物件」かもしれないと思ったが、単行本にはならないだろうし、この奇妙さは数年寝かさないと出てこないだろう。かといってわざわざ保管するほどの場所もウチにはないし……最近こういう残すかどうするかの判断基準に困る作品が個人的に多い。
(01.0324、滑川)



「近代麻雀オリジナル」2月号 (2001、竹書房)

・「天使の賭け」 若林健次

読みきり。「オリジナル」は、毎号読み切りが載るようでこれがけっこう面白い。新参者には入っていきやすい。田舎の漁村で「ポーカー麻雀」というのをやる話。意外なオチでね。荒木飛呂彦みたいっつーかなんつーか。よくできたギャンブル短編。

・「まんツボ」 福地博士、おおつぼマキ

セックスと麻雀に明け暮れるお気楽な大学生の生活に、雀プロの解説が入る。おおつぼマキって「パチスロ7」でも似たようなの描いてる。やたらとセックス好きで脳天気な女の子が出てきてパチスロするマンガだった。

・「ムーンダスト」 木村直巳

五感がとぎすまされ、相手の手牌まで見えるようになる(!)ドラッグ「ムーンダスト」の売人やら復讐者やらがからむ物語。おれ的には木村直巳って、「魔獣狩り」とか流行ってた頃に伝奇アクションマンガを描いていた記憶があんだけど。たぶん同一人物。
(01.0324、滑川)



・「コミックまぁるまん」5月号(2001、ぶんか社)

巻頭グラビア、谷理沙。
なんか最近、誌面全体のテンションがちょっと低いような気がするんですけど……。規制とかそういう話? 違うのかな。それとも目新しい読みきりがあまり入ってこないからか。よくわかんないけど。

・「聖魔ってミーア▽」 宮本たつや

美少女悪魔のミーアが人間界で起こす騒動。まあ「いつものやつ」って感じですが、絵が劇画調でなかなかイイです。

・「戦うメイドさん!」 西野つぐみ

メイドロボの葉月と、引っ越し先のおじいさん連中との心の交流。おれ、このマンガアシモフとか好きな人ならぜったい気に入ると思うんだけど。
(01.0323、滑川)



・「バキ」(7) 板垣恵介(2001、秋田書店)

ドリアンVS加藤清澄。この頃になると、「グラップラー刃牙」が「バキ」になってからの展開の不可思議さが明解になってきていると思う。すなわち、特定のキャラクターの掘り下げ→因縁の構築→試合、という形式を経ていないのである。……というか厳密に言えば経ているのだが、「幼年編」などと違うのは主人公がますます特定されなくなってきていて、話があちこちに飛ぶということ。それでもずっと緊張感を保っていられるのだから大したものだ。

また、敵の修得している格闘技や必殺技が非常に不明瞭なのも特徴。最初から特定の武道を身に着けているとハッキリしているのは死刑囚側では現在のところ柳龍光だけである。この巻で、ドリアンは元米兵であり、中国拳法をやっていたことが初めて明らかになる。だがギャング流ボクシングをやってみせたりと甚だ一貫性がない。ここらで「バキ」というか板垣恵介のストーリー構築のクセみたいなものにちょっとせまれるんじゃないかと考えているがどうだろう。「バキ」は当初考えているより、今までの展開とはよほど異質なもののように感じる。

また戦いの表現としても、下水道の中にある秘密の隠れ家や催眠術といったマンガ的王道アイテムと、「歌いながら敵を粉砕する」という不気味描写、また「ボロボロに粉砕されることを望んでいた」ような感覚を感じとる加藤の心理描写など、総合すると実験的な要素が盛り込まれていて飽きない。

何よりも、加藤という「男塾」でいえば富樫的な位置にいる「客席での解説役」が、自分のアイデンティティを求めて手持ちの力と技だけで立ち向かう、というところが本当にイイ。作者はこういう描写が本当にうまい。だから私が個人的に覚えているのは柴千春VSボクサーとか、ボクサーVSテコンドーとか、そういうのばっかりである。
(01.0323、滑川)



・「ヤングマガジン アッパーズ」7号(2001、講談社)

本当はレビュー書くのメンドクサイからやめようと思ったんだけど、ヒマだから書く。な〜んかそんなテンション。あ、確か前号に掲載されていた4コマ「スパルタン〜山崎健の野望〜」山崎健は、何本かに一本すごい面白いのがあったな。あと、「G−taste」八神ひろきの実写版がすっげえ楽しみ。

・「TO−MA〜トーマ〜」 桑原真也

「打越くん!!」の作者の新連載。突如学校に現れた全裸の美少女を守るため、不思議な世界の戦士として選ばれた主人公。

「ターミネーター」と「ハイランダー」と「マトリックス」を混ぜたような印象。……なんかドウデモな感じがするんだけど、まあ今後どうなるかわからない。しかし、レビューするときのワタシのテンションの低さは、本誌のアクションものの多くが持っているドウデモな雰囲気にあることは否めん。

「バサラ〜破天の男〜」 さいふうめい、ミナミ新平

新連載第2回。第二次大戦中、中国軍の捕虜となったバサラ他3人の日本兵が、ゲーム感覚で命を賭けて麻雀させられる。原作は「勝負師伝説 哲也」の人。

非常にぶっとび的な私ごのみの展開なのだが、ぶっとびそうでぶっとばないもどかしさを感じる。こういうのはリアルタイムではピンと来なくても、じっくり寝かせると味が出る場合があるが、私は予言者ではないので先のことはわからん。
あ、でもマンガとしては面白いです。

・「餓狼伝」 夢枕獏、板垣恵介

グレート巽クライベイビー・サクラの戦いがあまりに長く、どうも新キャラまで登場したために話が本編に戻ったときにサッパリついていけなくなっていた。板垣恵介がハメをはずしてもだいじょぶなような、他のアクションものが同誌に欲しいでんすけど。

・「全日本妹選手権!!」 堂高しげる

さまざまなシチュエーションのカワイイ「妹」が登場するギャグ4コマ。
「妹キャラ」の歴史はHマンガを含めたらけっこうあるらしく、まぁ近親相姦モノでも姉よりは妹の方が多いのではと推察され、それがここ20年くらいの(それより前はわからんので)日本における広義の近親相姦的描写(「みゆき」なども含む)の特徴であると思われるが、私は本作を読んだときにかなりの衝撃があった。それは、マンガにおける「妹」の存在がパターン化されギャグになっているから。
つまり、エロものを含めれば妹とか義妹ってのは昔っからあって、それは官能小説やポルノ映画にもあるものだと思うんだけど、それらのパターンが抽出されてパロディ化されたことは今までなかったのではないかと。80年代を通じても90年代を通じてもなかったと思う。80年代中盤のアニメ「くりいむレモン」の亜美ちゃんが義妹であったにも関わらずだ(あ、G・B小野寺「いもうと番長」があったな)。
これを、パロディ化のあり方の変化の問題とみるか、「妹モノ」がパターン化されて読者に受け入れられるほど「メジャー化(というか「当たり前」化)」したとみるかは見解が別れるだろうが、私は後者の考えだ。「妹」というのが、何かパロディの対象となるほどに抽象化されてきている。だから何だと言われればそれまでだが、う〜ん、でもコレはマンガにおけるフェチ対象の微妙な変化を表していると思う。「メイドブーム」くらいの意味はあるだろう。

「妹モノ」がパターン分類されるほどにまでなったのには、半可通ながら以下の理由があると思う。

・ギャルゲーにおいてそういうシチュエーションが増えた
・少子化に伴い読者の兄弟姉妹も少なくなったので憧れの対象
・庇護したいモノへの憧れ(マッチョイズムが顕在化できないことによる屈折)

とくに三番目は、「ラブひな」のようなラブコメや「SFおしかけ女房」、メイドブームとも呼応すると思う。週プレでも「ミニモニ。」とか背の小さいAV女優とか何とか「小さい女の子」が流行っているという記事で分析されていたが、あながち間違ってはいまい。

結論? オトコの妄想って、キビシイ現実世界が如実に反映されて哀しいものなのよ。シクシク。

「鋼〜HAGANE〜」神崎将臣「PERIDOT」こばやしひよこはセクシーアクションマンガともいうべき作品だが。決して嫌いではないんだが、最近読んでてテンション低まるなあ……。辛口なオレ。なんつーか雑誌全体のバランスの問題だと思うが。

・「不死身のフジナミ」 押川雲太朗

フジナミっていう飄々とした武器商人が、トイチローンという金融会社と戦っている。途中から読んだので話が見えないんだけど、面白そうな予感はする。
(01.0323、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」17号(2001、秋田書店)

「バキ」板垣恵介は、刃牙と女の子(名前忘れた)とのデートシーンに場面が移る。このテの少年マンガの主人公は女の子にはオクテだったり極度のプラトニックラブを貫いたりするんだが、刃牙のなにげに強引な口説き方はどうだ! こんなところにも意外性があって面白い。
「BM−ネクタール−」藤澤勇希は、もうすぐ第二部が終わるらしい。昨今の少年マンガ上の制約か、自己犠牲で死んでいったキャラクターたちの死ぬシーンがきっちり描かれていないため、なんだかモヤモヤしたのが個人的な印象。でもまだ続くからこの後どうなるかわかんないけど。
「おまかせ! ピース電器店」能田達規は、最終回へ向けて、月の裏側へ到着したケンちゃんと父ちゃん。この展開、ツボをつかれてなんだか泣けますわ。
「ななか6/17」八神健は本当の6歳児が出てきたところで続く、「ファントム零」はおれ的にお尻と太股が出てくればいいマンガなんで文句ナシ。
「迷子のワンダーガール」ナカヤマテツヒロは読みきり。主人公の少年の乗った自転車にぶつかって、記憶喪失になってしまった女の子。仕方なく少年がめんどうを見ているうちに……。最近のチャンピオンにはちょっとない珍しい絵柄。「出会いだけではなく別れも大事だ」というのには少し感動した。なんかいつもハッピーエンドよりうまく描かれた別れの方に気持ちが行ってしまう。
「Pika★Pokoスクランブル!」東篤志は最終回。比較的短い連載期間だったけど、なんつーか「ピース電器」ほどSF寄りではなく、「BM」ほど切迫してもいないSFアクションというのはいい位置だと思ってたんだけどな。個人的には「ぽこぺ」の顔が縦長なのがずっと気になってた。縦長の顔のキャラクターってあんまりないでしょ。丸顔の方がかわいかったのでは……と、超どうでもいいことを思ってた。
(01.0322、滑川)



・「少女革命」2月号(2001、一水社)

(おそらく)Hなレディースコミックの少女版というか、少女マンガにHな要素を入れた作品をまとめた雑誌。オール読みきり。他にもHなショートストーリーやライトノベル、「避妊特集」とか「エッチ好辞艶」というエッチ用語辞典などの記事が載っている。すでに4月号が発売されていると思うが、古い情報ですいません。

・「SWEET HEART PRESENT」 雪村理子

バレンタインデーに素直になれない由布(ゆう)が、にチョコを渡したことがきっかけで自宅でHする話。

・「オレの彼女は世界一!」 加納みき

わがままな彼女と男の子の気持ちのすれ違いの理由は、セックスをするのしないのという言葉の誤解からだった。

・「あふれそうなココロ」 相模ひな

コギャル系のヒロインが、弓道部のエリート少年との恋に破れ、ヨリを戻す話。二人の生活環境の違いが恋愛の障壁になるあたり個人的には目新しかったが。Hシーンがないのは、作者あとがきを見ると編集の指定だったようだ。

・「唇からビ・ヤ・ク▽」 眠猫鈴音

マッドサイエンティストの彼が、スムーズにセックスするために媚薬を開発して彼女に飲ませ、Hする話。こちらは「あふれそうなココロ」とは対照的にずっとHしてる印象。

・「カウントダウン2・14」 星野リリィ

このヒトは他の文章ページのイラストなどもかなり描いている。本作はHシーンなしの純少女マンガ。まじめでつんけんしてるっぽい女の子が告白されるが、それは男が別れた彼女の気をひくためだった。思いっきりおおざっぱに言うと「りぼん」とか「ちゃお」系の絵柄が多い中、このヒトだけちょっと違ってた。もっとこなれてくればもっともっと面白くなるかも(とかいって、ベテランだったらすいません)。

・「Aから教えて……▽」 水城かなる

校医の更科先生とつきあっている美優は、ドコを開発されてもまだ「感じる」ということを知らない。ある日、お尻をケガして更科先生に薬を塗られているときに得も言われぬ快感が……。自分はお尻だけ感じるのかと悩む美優。なんだかんだあってクライマックスはアナルセックスに挑戦するのであった。

絵がすごくかわいいのと、彼氏が校医であるためセックスについての説明部分がやけにスムーズなのが面白かった。個人的悩み(誤解)→彼氏とのギクシャク→和解、というパターンが少女マンガの王道なだけにフシギな感じ。……まあ、レディースコミックにまで視野を広げてみればむしろオーソドックスなマンガなのかもしれん。
その辺よくわからん。

・「デキちゃいました!?」 鈴木タケミ

読者H体験コクハクCOMIC。妊娠してしまった女子高生が彼氏に相談するが……。こういうの、どこまで仕込みが知らないがあまりにも展開に起伏がなさすぎるところにかえってリアリティを感じてしまったりして。
(01.0320、滑川)



・「銀牙伝説 ウィード」(6)〜(7) 高橋よしひろ(2001、日本文芸社)

漫画ゴラク連載。6巻は、遺伝子操作実験で怪物と化した犬とウィードたちとの死闘が終焉を迎える。敵がトンデモないわりには、ウィードたちに必殺技があるわけではなく、展開的には地味というかリアルを狙ったカンジか。青年誌だからか、前から作者がアホらしいと思っていたのか、予想よりもぶっとんだ感じにはならなかった。

6巻の途中から、今まで伏線が張られていた(確か)ウィードの父であり奥羽の総大将であるたちとアルプスのボス・法玄との戦いが始まる。新展開になってからも、法玄はずるがしこい小悪党といった印象でカンロクがあまりない。戦いよりも、むしろ犬同士の男気を描くことに重点が置かれている。

・「銀牙伝説 ウィード」(5)

(01.0320、滑川)



・「週刊漫画サンデー」13号(2001、実業之日本社)

「銀座女帝伝説 順子」倉科遼、勘崎順次は銀座でのし上がっていくホステスの話らしい。倉科遼は確か「おんな喰い」などの主に水商売マンガを専門とする原作者で、司敬の変名だという話も聞いたことがあるが未確認。
「静かなるドン」新田たつお「羅刹の女・龍子」千葉きよかずは極道モノ。
「まるごし刑事」北芝健、渡辺みちおは拳銃を使わず空手で悪をやっつける刑事のマンガ。かなりの長期連載。たまたまかもしれないが、読むとなんだか説教臭い面があるような気がする。
「ごちそう夕子」宍倉ユキオ「ぽよぽよ白書」吉本めろんは下ネタ中心の4コママンガ。
「ダートの風」北野海人、地引かずやは女性騎手を主人公にした競馬マンガ。
「戦群」吉川英治、永井豪は、武田信玄の忘れ形見を主人公とした伝奇活劇。
「それゆけ! 釣り大将」及川こうじはほのぼのした絵柄の釣りウンチクマンガ。
「男と女の快楽大全」成田アキラは、セックスウンチクマンガ。今回はロウソク責めのやり方を実践的に解説。
「海峡愛物語〜KOREA〜」高村圭、風忍は、マジメなサラリーマンと韓国人ホステスの不倫物語で4週連続登場の最終回らしい。ラストがあっけなくて、え? これで終わり? という感じだった。ダイナミックプロの中では突出して絵柄が豪ちゃんに似ていない風忍、今回は意識したのかヒロインはきもち豪ちゃんキャラ似の美人になっている。
「こんな女じゃ勃たねえよ」内田春菊はスペシャルゲスト。女を利用することしか考えていないヒモが、妊娠した彼女をやたらと邪険に扱うというマンガ。シリーズの途中から読んだためか、楽しみ方がまったくわからん。続きものなのだろうか。
「読んだはしからすぐ腐る!」松尾スズキ、河合克夫は最終回が近いらしいエッセイマンガ。今度TVブロスでまたエッセイを始めるらしいが、松尾スズキのエッセイ需要の必然性というのがイマイチ理解できていない今日この頃(そんなに読んだことないから)。
「瞬(シュン)」田中誠一、沼よしのぶは今回で最終回。網膜剥離でボクサー引退を余儀なくされた男がカメラマンとなり、チャンピオン候補のボクサーと同じ立ち位置(具体的にはスパーリングパートナーなどを勤める)に立ってタイトルマッチの決定的瞬間をカメラにおさめようとする。沼よしのぶはひさしぶりに見たが、絵柄がかなり劇画調になっている。
「ロングハウス物語」郷田マモラは、長屋に住んでいる人々の人間模様を描いている。「なにわ下町小劇場」という月イチシリーズらしい。主人公の女子中学生の家庭が、核家族的問題点を抱えているところが今日的というか。
「面影の女」杉浦幸雄は、昭和20年代を舞台にした2ページもののエッチなギャグマンガといった感じ。杉浦幸雄って今何歳なんだろう?
「復活」は呉智英と夏目房之介が、過去のあまり知られていないギャグマンガを紹介して再録するという企画らしい。今回は黒鉄ヒロシの「喪服おばさん」。もう第14回目だが初めて読んだ。過去にどんなものが紹介されていたか、気になるところ。
(01.0319、滑川)



・「週刊漫画アクション」14号(2001、双葉社)

「しりけん」 さつき優は新連載。小さい頃に別れわかれになった京子の初恋の人・里見犬太郎が、数年後舞い戻って同じ学校に転校してくる。第一回を見るかぎり、スカートの中を覗いたりブルマーを拾ったりして殴られるという、ズッコケ系ラブコメのような感じだが。作者名のところに「日本一の尻漫画家」と書いてあったので、前作同様尻関係の話になるのだろうか。
「楽園」 遊人は、カラー4ページの女子高生モノ。ある意味この人は何でも描けるんで、とくに感慨はない。
「ぷるるんゼミナール」 ながしま超助は単行本第1巻が発売される予定で、現在22回目。で、ヒロインの菜々美がゼミ長になるという新展開になったということは、単行本3巻以上は続くということなのだろうか。どうでもいいが菜々美の友達、「千鶴子」って名前なんだよな。いや、ただそれだけ。今回は緊縛趣味の男が出てくる。
「ルパン三世」 モンキー・パンチ監修、山上正月は実は毎週きちんと読んでないのだが、今週は1話完結だったので読んだ。まったく透明の超硬質ガラスの塔の、いちばん上にある天使像をルパンが盗むの盗まないのといった話。おお、これはモンキー・パンチだ、オチまでモンキー・パンチだ!(いや実際どの程度監修しているのか知りませんが)こういう展開は、好きである。
「桜闇咲け」 小林拓己は4回シリーズの第1回。幼いときに家族を惨殺された女が、18年後に復讐を開始するという話。
「餓え妻」 原作:秋山道夫、ふじいあきこは後編。夫に金属製の貞操帯をつけられたまま死なれてしまった未亡人が、セックスに飢えてしまうという話だが、貞操帯のカギが見つかるいきさつにあまりにもひねりがないので逆に驚いてしまった。まあ見せ場は貞操帯を取り去った後の未亡人のセックス狂いにあるとは言っても。
「オッパイファンド」 山本よし文はついに最終回。実はコレを読むために私が本誌を買いだしたという意味では感慨深い作品だ。しかし終わりらしい終わりでもない、なんだかよくわからない結末であった。まあもともとそんなに長くひっぱるネタでもなかったわけだし、それはそれでいい。単行本になるだけもうけもんというもんだ。
また、エロ系バカ話においては「すべてを極端にする」ことは常道だが、本作が「単に話を大きくする」のではない無意味ベクトルへ向いていたことは特筆に値する(値するったら値する)。
古本屋にあった80年代後半のHマンガアンソロジーにもこの人描いてた。キャリア、けっこう長い。
「魔獣狩り」 原作:夢枕獏、木戸嘉美は新連載第2回。あんまり昔に原作読んだから忘れちゃったけど、コレたぶんオリジナルな展開だよな……。イヤ、本編をなぞるよりぜんぜんいいんだけど。毎週楽しみにするという意味では期待できそうな気がしてきた。
(01.0319、滑川)

「つれづれなるマンガ感想文2001」もくじに戻る
「つれづれなるマンガ感想文」3月前半
「つれづれなるマンガ感想文」4月前半
ここがいちばん下です
トップに戻る