つれづれなるマンガ感想文4月前半

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一気に下まで行きたい



・「麻衣子MIX」 早坂未紀(1983、東京三世社)
・「純情パイン」全1巻 尾玉なみえ(2001、集英社)
・「餓狼伝」(9) 夢枕獏、板垣恵介(2001、講談社)
・「週刊少年マガジン」16号(2001、講談社)
・「週刊少年マガジン」17号(2001、講談社)
・「週刊少年マガジン」18号(2001、講談社)
・「週刊漫画アクション」16号(2001、双葉社)
・「リイドコミック爆」5月号(2001、リイド社)
・「月刊ヤングマン」5月号(2001、三和出版)
・「最終兵器彼女」(3)〜(4) 高橋しん(2001、小学館)
・「銀牙伝説 ウィード」(8) 高橋よしひろ(2001、日本文芸社)





・「麻衣子MIX」 早坂未紀(1983、東京三世社)

宇宙人の気まぐれによって超能力を与えられた少女・麻衣子は、ちょっとした冒険を楽しみながらもふだんと変わらない生活を送っている。そんな物語を収めた短編集。

以下は私的80年代というか、あくまでも印象です。間違ってたらスイマセン。

やはり自分の子供時代〜青春時代がどんな時代だったのかに興味があり、漠然と調べていると70年代後半から80年代初頭には劇的な変化があったとしか思えない。67年頃から87年頃の広義のサブカルチャーの変化は、87年から現在までより激しいと、どうしても思えてしまう。
具体的に言うと73年が境で、学生運動が失速し、「シラケ世代」とか呼ばれる若者が出現し始めるのが70年代中盤以降(かな?)。マンガ史的には「男が少女マンガの面白さを再発見」したり、宇宙戦艦ヤマト、スター・ウォーズ、ガンダムが80年初頭までで出そろう。SFやアニメがブームと言われる。特定ジャンルのファンクラブ活動がけっこう出てくる。そしてロリコンブーム。

少年マンガでは泥臭いスポ根劇画一色というわけではなくなり、「少年ラブコメ」が登場。宮下あきらかだれかが「ラブコメ」と名指しで批判していたことを思い出す。 「聖マッスル」が確か70年代後半の作品で、商業的にはおそらく成功しなかった。

そうしたことが準備され、本作は描かれたのだと思う。ここでは早坂未紀という作家の作品を私が他に知らないので、あくまでもその形式にこだわってしまうのだが、当時のある種の「気分」を凝縮させたような作品であるのは間違いない。

おそらく少女マンガとアニメーションから影響を受けた人物造型とメカ描写(とくにとてもかわいく描けている女の子)。
とりたててオチのないなんてことのないエピソード。
そこに挿入されるSF的設定(しかしそれが重要な役割を果たしているかというとそうでもない)。
そこから受けるのは激しいドラマを積極的に拒否しているかのような印象だ。
マンガ雑誌が増え、書店で気軽に買えるタイプのマイナー誌とかマニア誌が増えていった時期の作品とはいえ、発表時から6、7年前にはアストロ球団が「一試合完全燃焼」していたとは思えないプロットの変貌ぶりである。

それが真に「学生運動モロモロが挫折したことの無力感」から来るものなのか、別の理由があるのかはわからないが、確かに当時このテの作品は多かった。ある程度絵が達者だった早坂未紀だからこそ、作品集全体には気品のようなものすら漂っている。
しかし、「パターン」はダメダメなものを見るほどはっきりわかるもので、もっとレベルの低い人の作品や同人誌にはどうしようもないものもあった。そこにはドラマもないし、絵がヘタだから美少女やメカなども見るところがない。見るべきところがまったく何もない作品群もあった。

それは「自己主張のない作品」とか「ドラマがない」とか非難されて、実際そのとおりの面もあったと思う。だけどねー、やっぱりそういうのは「描かれたい」という何らかの時代の要請があったものだと思うんですよね。今考えると、ですけど。 ロリコンブームとメカ、アニメ的な爆発のシーンなどにこだわった画面構成など、当時出そろった表現について、その理由にそれなりの結論を出している人もいるけど、とりあえず私は勉強不足だと逃げておいて、何もかもが懐かしい……とだけ言ってご挨拶にかえさせていただきたいと思います。

あ、そうそう。村上もとかの解説には「早坂未紀氏は自分のことを決してマニアじゃない、というが、彼の絵のかもしだす色気はマニアックな偏狭さとは一線をひいたものだ」(大意)と書いてある。言葉の意味より、とにかく「マニア(今で言う「悪い意味の」おたく)ではない」ととりあえず言っておくことが、当時の自己表明みたいなところがあったんですよね。マニアでなけりゃこれだけのメカやかわいい女の子は描けないと思うんだけど。

これは単なる言葉遊びではなく、知識に対する人間の心の位置がどのようなものであったか、ということではないかと思うし、またそんなことが問題になりつつあったのはやはり「この頃」だったからだと思うんですよね。それ以前は、資本論マニアとか学究おたくなんていうのも名称としては存在しなかったと思うんで。
(01.0411、滑川)



・「純情パイン」全1巻 尾玉なみえ(2001、集英社)

純情パイン

週刊少年ジャンプ連載。みちおみちるが5分以内に交換日記を二往復させると、大きな乙女純情パインが登場。オナップ星人が繰り出す巨大怪獣に立ち向かうのだった……というギャグマンガ。

確か赤塚賞だかなんだかを受賞していて、受賞作(本作には未収録)が掲載されたジャンプを偶然読んでいたのだが、なんというか「アフタヌーンとかビームとかに載ってそう。ジャンプっぽくない」という曖昧模糊とした印象を私は抱いていた。
しかし荒木飛呂彦にしろ漫・画太郎にしろ、デビュー作自体はとうてい人気投票重視の少年向けマンガ誌にそぐわないようなモノを描く作家を、バシバシ載っけてきたのが少年ジャンプ。そういう意味ではコレを載せたジャンプに敬意を表する。いざまとめて読むと、個人的にはめっぽう面白く感じたマンガなのだ。

……まあ本書の中でも言及されているように、結果的には打ちきりになってしまったようだ。敗因はそれなりに考えられているのだろうがトーシロの私が素朴な感想を書くとするなら、「あまりにもデタラメすぎ」だったからかなあ、と思う。繰り返すが私は好きなんだけどね……。

「みちおとみちるが合体、オナップ星人の巨大怪獣をやっつける」というフォーマットがまがりなりにも成立していたのは5話までで、その次の「みちると母子手帳」というエピソードはちょっとスゴイ。
みちおの拾ってきた気味の悪い巨大な石をみちるが取り上げ、部屋に一晩置いておいたらそれがみちるの腹にくっついた。そして中から生まれてきたのはみちるそっくりの少女。オナップ星人が、みちるに怪獣を産ませるという作戦だったのだ。
みちるはその少女をみちよと名付け育てるが、みちよはみるみる巨大化して3メートルくらいになる。巨大すぎて着せる服がないので「顔がわからなければ裸でもかまわないだろう」というみちる独自の論理により、顔にマスクをかぶって全裸のみちよ(身長3メートルくらい)はみちるとともに公園デビューする……と、ここまで描いたらなんだか不安な気持ちになってきた。それくらいデタラメ(ホメ言葉)なマンガ。

そもそもみちお自体が別世界から来た「不思議っ子」であり(それについての説明は何もナシ)、その他にも「純情パイン」を生み出したどこか頭のねじが三本くらい抜けてる純情博士、みちるのあこがれの人だがグロテスクなものに異常な関心を示す真琴光、学校に住み着く幽霊・森めめんと、途中から異様にキャラが立ってくるオナップ星人の隊長と隊員、気弱でうそつきな清輪らいあ、女子高生紙芝居師・土部えねまなど、狂ったような(というか狂ってる)登場人物が次々と現れる。

単行本描き足し部分だと思われる登場人物のプロフィールなども実にメチャクチャ(ホメ言葉)で、土部えねまは後に「パブあけすけ」という店を開店させるらしいがそのネーミングだけで大爆笑してしまった(ネーミングに独特のセンスを感じるものが多い)。

その他の描き足し部分の悪意やすっとぼけ具合もタダものではない。ラストシーンには読んでて無言になってしまった。この人はマンガ描き続けるべきだと思う。次回作が準備されてるかどうかも私は知らないんだけど。
(01.0409、滑川)



・「餓狼伝」(9) 夢枕獏、板垣恵介(2001、講談社)

夢枕獏の同名小説の劇画化。前巻までのグレート巽の回想シーンから一転、日本の格闘技界は「総合格闘技」へ向けて大きく動き出す。まずグレート巽のプロレス団体・FAWが総合格闘技の興業を企画し、主人公・丹波文七と北辰館空手の実力者・堤城平の対戦を考える。対するに北辰館は部外者にも大きく門戸を開いたトーナメントを開催。グレート巽はFAWからレスラー・長田と、さらに秘蔵っ子である鞍馬彦一を参戦させようとする。

……確かこの鞍馬ってのがマンガのオリジナルキャラ。さらに、鞍馬に空手を教え込む不気味な男・久我重明は、夢枕獏の別作品「獅子の門」に出てくるキャラクターらしい。小説の方はあまりに刊行期間が長くてもう忘れちゃったんだけど、FAWと北辰館のイベント同時開催は小説でも重要な部分なので、そこにマンガ独自の盛り上がりを入れるために強烈なキャラクターを用意したということなのだと思う。勢いで描いているようで、周到なところはかなり周到だとみた。
(01.0409、滑川)



・「週刊少年マガジン」16号(2001、講談社)

数年ぶりに購入。またもや何週間も前の雑誌のレビュー。はっきり言って意味はないかもしれん。でもイキナリ買った雑誌というのは数週は続けて読まないと、流れのようなものが掴めないことも確か。

さて本誌、なんで宝探しものっぽいの(「Get Backers」「ジパング宝王伝」)、広義の芸能モノ(「ドラゴンボイス」「Howling」)が複数あるのかが謎。編集長の趣味か、はたまたマーケティングの結果なのか。ヤンキーマンガが一本もないのも寂しい(「GTO」「ポリ公マン」がそれに近いのか?)。また作品のテイストが同じ雑誌の中で似てくるのは当然と言えば当然だがゴルフマンガ「空の昴」とビリヤードマンガ「Hot Shot」は二週読んだかぎりでは読後感がとても似ている。「勝負師伝説 哲也」も少し近い。

また長寿人気作品(「コータローまかりとおる!」、「金田一少年の事件簿」、「将太の寿司」など)が軒並み終了してしまったのも、まあこんなことシロート考えで言うのもはばかられるが、やっぱり寂しい。「コータロー」はまた復活するとか聞いているので早く始まりませんかね。

新連載は「ゴッドハンド輝」山本航暉。駆け出し外科医の主人公が、実は経験と勘を 超える特殊な能力を持っており、それで患者を手術して救う。第1回はライバル役の医者が好敵手なのか単なる悪人なのかわからないところが気になった。

いちばん面白かったのはギャグマンガの「魁!! クロマティ高校」野中英次。ギャグの説明してもしょうがない気がするのでしません。読んでみてネ。「Dreams」七三太朗、川三番地も、今までを読んでいなくてもすんなり入っていけて、なおかつ緊迫感を保てる面白さ。

実は少年マガジンのレビューを書くのは苦手。それはものすごく統制のとれたマーケティングとか編集者主導だというウワサが、マンガ製作の内情に取り立てて興味のない私の耳にも入ってくるため。私はギョーカイ人でもなんでもないので、裏事情はレビューを書くときはむしろジャマ。一生懸命描こうがつまらんものはつまらんし、鼻くそほじりながら描いてもおもしろいもんはおもしろい。作家主導だろうが編集者主導だろうが、それは同じだ。

しかし本誌について書こうとするとき、意外にも無意識のうちに製作の内情に踏み込んでいることに気づく。たとえば私がどのような感想を書こうと、一種の多数決で作品の展開が決められていると言われたら、もう何も言えないんじゃないかと思ってしまうからだ。最大公約数的に導き出された編集方針やストーリー展開が「こうなりました」と言われたら(本当にどんなふうにやっているかはもちろん知らないのだが)、「はいそうですか」と言うしかない(ような気がする)。そこに「売れている」という裏付けがあれば、なおのこと私の感想など意味がない。多数の人が読んでいるんだから作品紹介の意味すら希薄になる。どれだけ売れているかも知らないんだが。

このように、趣味で感想文を書いている私泣かせなのが本誌である。しかし、他の雑誌だってアンケートを参考にしたり一種のプロジェクトとして作品を製作しているはずだ。それではなぜ、とりわけ最近の少年マガジンにばかり私自身が疎外感を感じるかというと(私の疎外感なんてどうでもいいが、いいの! ここは私のHPなんだから)、エンターテインメントとしてきわめてスキがない誌面づくりをしているからだと言えるだろう。

手堅すぎて、文句をさしはさむ余地がないのである。

これは、「作家性」ということに非常に重きを置いている(ように見える)小学館の「IKKI」とは対極的なレビューの書きにくさかもしれない。「IKKI」も、あまりに「作家主義的」なマンガ雑誌としてスキがないので、レビューが書きにくい。

結局、理屈ばかり考えていくと感想文など書けないことに気づく。あまりに陳腐な言い方だが、理屈を越えて「この作品についてぜひ感想を書きたい!」というのがないと、読むのも感想を書くのも苦痛だけが伴う。
(01.0408、滑川)



・「週刊少年マガジン」17号(2001、講談社)

眞鍋かをりのグラビアがいい。ギャグの新連載「劇団 鯨ごろし」松本英はなかなか面白い。少年チャンピオンに読みきりが載ったことがあるが、こちらでの連載デビューとなったんですね。
(01.0408、滑川)



・「週刊少年マガジン」18号(2001、講談社)

「喰わせモン!」寺沢大介が新連載。
少年院から出てきたワルが、ラーメンづくりに挑戦。まだどんなうまいラーメンが出てくるかわからないので、評価保留。
(01.0408、滑川)



・「週刊漫画アクション」16号(2001、双葉社)

「おさなづま」 森高夕次、あきやまひできがひたすらに面白い。2回読み返しちゃったよ。「少女ラブリー」の看板作家でありながら、アンケートでは常に2位に甘んじてきた少女マンガ家に、「カリスマ編集者」と呼ばれる担当がつく。彼は非常に熱心で、どんな夜中までも打ち合わせすることをいとわない。しかし逆に言えばとても強引ということでもあった。その結果連載が今までとはまったく違った作品になったことが裏目に出て、2位につけていた順位は大きく後退。これを起爆剤としてさらに努力を続ける少女マンガ家。気力は今までにないほど充実しているはず。しかし人気はますます落ちる……。

やる気に反比例しておちる人気、あくまでも熱心な担当編集者、結果が出せないのに過程を認めていたために口出しができない編集長と元担当。そして少女マンガ家を気遣うチーフアシスタントの人。単なる皮肉ばなしで終わっていないのは、個々のキャラクターが実に「ありそう」に描けているからだろう。
私が好きな本に「常温核融合スキャンダル」(確か朝日新聞社)というのがある。要は一時期世間をにぎわした「常温核融合」事件(?)を追ったものなのだが、ここに登場するエピソードは偉大なる発明発見にふさわしいものばかりだ。「あきらめかけていたら思いがけない実験結果が出た」とか「だれもができないと思っていたことを成し遂げた」とか。しかし結果は現在に至るまで常温核融合が成功したためしはないらしい。つまりもっともらしい「予感」とか「確信」はすべて当たらなかったわけだ。最近の「おさなづま」のエピソードは、それらを思い出させる。繰り返すがそれが単なる揚げ足取りや皮肉にとどまらないのは、物語内ではあまりお目にかかれない、瞬時に原因を究明しかねる失敗を描いているからかもしれない。実際の失敗は原因が複合的だったり、原因がわかってもどうにもならなかったりするものも多くあるから。それがリアリティになってる。
(01.0408、滑川)



・「リイドコミック爆」5月号(2001、リイド社)

「リイドコミック」がリニューアル。オール新連載。全体的にアクションものが増えた感じで、個人的には嬉しい。

「レネゲイド」中山昌亮は、冗談で開設した「殺し屋ホームページ」に本当に依頼が来てしまう主人公。姿の見えない依頼者に追いつめられ、本当に殺しに手を染めようとするが……。
「ガディスランギ」深谷陽は、「楽園」と言われる「ガディスランギ」という土地を舞台にした伝奇アクションになるらしい。
「カマキリン」石山東吉は、大阪を舞台にした「ド硬派バイオレンスアクション」。とにかくネーミングがイイ。主人公が鎌樹倫(かまき・りん)で、ヤンキーのチーム名が「キリン」。
「特捜変態ゴマンジャー」さとうしんまるは、エッチな女の子の戦隊が出てくる4コマ。
「潜行戦艦ブラッククロウ」修生は、31世紀、かつての陸地がほとんど海に沈んだ世界の、伝説の潜水艦「ブラッククロウ」の話らしい。
「東大受験専門寮 ああつばめ荘」八月薫は、寮を舞台にしたエロコメ。休刊になってしまった「ボナンザ」に載ったやつのリニューアル連載だと思う。
「トイザまス。」立沢直也は、ぬいぐるみのクマを主人公にしたギャグマンガ。巨大ロボットアニメのフィギュアたちが、ロボットと人間の縮尺が違ったりしてモメる。これも「ボナンザ」の連載がほぼ同コンセプトで引っ越してきたもの。けっこう好き。
「04 −ZERO YON−」佐藤ヒロシは、雷鳴とともに墓場から蘇った謎の男の物語。シチュエーションや陰影の付け方がちょっとアメコミっぽい。
「双子玉川ホゲホゲナゲッツ」藤波俊彦は、「SPA!」にキャバクラのマンガとか描いていた人のギャグマンガ。
「レッドシーサー」岡村賢二は、琉球空手の使い手を主人公にしたアクションもの。
「net~ 恋する既婚者たち」坂辺周一は、たぶんユースケ・サンタマリアがモデルの既婚サラリーマンが、生きる意欲を失いかけていたがパソコンの美人インストラクターをくどこうとヤル気を出す。
「特攻服凶走曲外伝 ローダウン哀歌」古沢優は、文字どおり「特攻服凶走曲」の外伝。この古沢優って人はあちこちで見かける。ぜんぶヤンキーマンガ。
「みたにひつじの 現代用語の糞知識」みたにひつじも4コママンガ。ナンセンス系。
「パート退魔(タイマー) 麗」矢野健太郎は、「ボナンザ」休刊とともに打ちきりになってしまった「コットンプレイ」と同じ世界設定で、ヒロインのライバル役だった梅近麗美が主人公。霊感はあるが霊がどこにいるかをいまひとつ特定できないレベルの能力を持つ麗美が、前世紀最大の魔術師にして退魔師の老人から淫魔の封印を命ぜられる。ほとんど私欲にしか興味がなさそうな麗美は、めがねっ娘(「娘」ってトシでもなさそうだが)に巫女装束というトレンディ(?)な格好だ。
「雅亜公シアター 10年後」雅亜公は、高校卒業以来、10年後に偶然再会した男女の物語。
「大江戸町屋 居酒屋夜噺」鈴木サトルは、居酒屋で一夜を明かすわけありの男女と「逃がし屋」のウワサ。お話が二転三転する。
(01.0405、滑川)



・「月刊ヤングマン」5月号(2001、三和出版)

「フラジャイル」高瀬志帆は「おしゃれコミックの超新星女流作家」というふれこみ。
短大生のヒナは、カメラマンのタマゴである彼氏と同棲している。ヒナは彼一筋で、イマドキ風の男女関係に嫌悪感を抱き、合コンすらもイヤなタイプ(でもそれなりにかわいくておしゃれ)。彼氏のカメラが壊れてしまったためひたすらバイトして稼ぐ毎日だったが、ある日友人の大沢(女)からキャバクラのバイトを紹介される。最初は嫌がるヒナだったがお金の誘惑には勝てずキャバクラを続ける。彼氏ひとすじのヒナと「愛とか恋は一時の幻想」と言いきる大沢。「フラジャイル」ってのは辞書で引いたら「壊れやすい」という意味だった。どうなる続き。
「この味、と〜〜まれ」巣鴨太一、明星太郎はグルメコミック読みきり。
客足のすっかり遠のいたスーパーのレストラン街に訪れた少年・献上一味。だらけきった8人のシェフを含む10人にうまいパスタを食わせたら有名店で修行できることを条件に、料理勝負。一味は小さい総菜屋で独学で料理を学んだというところが彼の可能性と限界を表していてポイントかな。けっこう面白かった。
「メガパンチャー」南方ゴング、井上いちろうは、謎めいた凄みを持つトレーナー・サントスがカズアキを鍛えるために自らがスパーリングパートナーとなることを決心。どんどん面白くなってきている。
「爆音THE80」古沢優は、勝ち目のない敵対暴走族との抗争に、未来の結果を知っている比呂人の入れ知恵が入る。やっとタイムスリップものとして盛り上がってきた。
「どろろん艶靡ちゃん」永井豪はやっぱりしょーもないダジャレネタ。これ、出来不出来に関係なくなんか読んじゃうんだよなー。
「東洋鬼」原麻紀夫、唯上拓が最終回だったのは知っていたが、なんか盛り上げるだけ盛り上げて最後はあっけなかった。新宿に巣くう外国人の暴力団、それに敵対する沖縄出身の主人公、というのは突き詰めていけば支配するもの・されるもの、第二次世界大戦の怨恨が現代に複雑にからむ問題作になったはずなんだが。でもまあここまで盛り上げてくれたからいいのか。
「ハイエナの夜」夢枕獏、松久由宇も最終回。夢枕獏の原作をマンガ化したものにはわりと佳品が多いが、本作も原作にオンブしないイイ作品だったと思う。
(01.0403、滑川)



・「最終兵器彼女」(3)〜(4) 高橋しん(2001、小学館)

週刊ビッグコミックスピリッツ連載。ラブコメ風ノリだったシュウジちせも戦争の悪化によりますますそれどころではなくなる。「戦争」を戦局シミュレーションとして描かずひたすらに不明瞭なものとして描くことによって、大時代的な、傷害を乗り越えて愛し合う恋人を描いた大恋愛モノを現代に復活させた−−などと書くとあまりにおさまるところにおさまってしまうので少し違う気はする。ここで本作の構造に触れることはまだ完結していないことでもあるし少々キケンなのだが、思いきって「恋愛パート」と「戦争パート」に分けてしまおう。

「恋愛パート」では戦争や戦争に取り込まれている少女、という傷害を乗り越えようとするシュウジとちせが描かれる。この部分に関しては思いきって上記の「戦争を不明瞭に書くことによって恋人たちに艱難辛苦を与える」という意味を付与してみる。
「戦争パート」は、主にちせが赴く戦地の状況である。残していった恋人を思う、なんてのも出てくるが、ここで描かれるのは戦争の徹底した不明瞭さだ。
アケミにフラれたアツシは、高校をやめて自衛隊に入る。現在の状況をなんとかしたい、アケミを守りたいという気持ちから、フラれたら自衛隊に入って「敵」と戦うと決めたのだ。しかし戦地ではいまひとつ戦争としての実感はわかず、大切な人を守るという手応えもなく、しかし死は着実にやってくる。

ここでもういちど「恋愛パート」に戻ってみると、本作の「危機的状況」の描き方のうまさをあらためて感じる。すなわち、実体をともなった危機なのに、その手ごたえそのものはとらえどころがないという描き方。「なんとかしなきゃ」と思って踏み出してみても、やはり「なんともならない」。でもやっぱりそうするより仕方がないというようなタイプの危機……って、これは現実そのものじゃん。まさに。恋人たちにとって、戦争でなくとも、そうした実感を得る瞬間があるはずだ。

ここに至ってシュウジとちせの関係は何かの比喩にとどまらない、読者側には実感の伴ったものとしてせまってくる。後はただひたすらに、その物語世界に身をゆだねてハラハラしたりドキドキしたりすればよい。そんなマンガ。「恋愛」と「戦争」、それこそ「個」と「オオヤケ」が最終的にどのような折り合いを見せるのかを見守りつつ。

ただし、もともとのプロットを引き延ばしているのか、4巻はほんの少し冗長な気がした。

・「最終兵器彼女」(2)

(01.0402、滑川)



・「銀牙伝説 ウィード」(8) 高橋よしひろ(2001、日本文芸社)

漫画ゴラク連載。気づかないうちに単行本がどんどん出るな。崩壊した奥羽の楽園を、ひいては全国制覇を狙うアルプスの法玄。しかし総大将・は人(いぬ)質をとられリンチに合い、ウィードもまたピンチにおちいる。やっとこの巻あたりで「ああ、作者は必殺技を出す意志がないのだな」ということがわかって、少しさびしいです。

・「銀牙伝説 ウィード」(6)〜(7)

(01.0402、滑川)
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