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「つれづれなるマンガ感想文」4月後半
「つれづれなるマンガ感想文」5月後半
一気に下まで行きたい
出てから相当経つんで今頃レビューしても……と思うんだがやはり「ランブルアイズ」石山東吉が終わってしまったのはあまりにも名残惜しい。ハイパー必殺技的パチスロマンガ。単行本は第1巻しか出ておらず(1巻の表記なし。全1巻扱い?)、続刊もないようでものすごく残念です。
成年コミック雑誌。「オッパイファンド」の山本よし文が読みきり描いてます。
・「続・桃色物件」 あろひろし
連載モノ。どうもこの人のマンガって、しっかりエロいシーンは描いているのにあまりエッチな感じがしないなぁ……。展開の脳天気さがそう思わせるのだろうか。
・「激しい課外授業」 毛野楊太郎
新連載第2回。保険医の村崎あやめ先生をレズ調教する武内久美先生と調教者たち。ロウソク責めとか、わりとオーソドックスな展開。陰毛についたロウをベリベリとはがすのが痛そう。
リニューアル後の第2号。すべてが新連載第2回目であるため、「起承転結」の「承」の回といった感じだが、次回への興味をじゅうぶん引く作品ばかりだと思う。
そんな中、第2回の段階でオススメなのは、まず「パート退魔(タイマー) 麗」矢野健太郎。前作「コットンプレイ」の、まあ続編のようなそうでないような……というお話。今回はやはり「承」的な展開で、「コットン……」のときのキャラクター再登場について説明しなければならないこともあり、どういう方向にお話が進むのか少々わかりにくい感じだったけど、小ネタだが「先行者」のフィギュアが出てましたね……。この間、「先行者」のTシャツ着ているヤツも見かけましたよ。ちょっとしたブームだなやはり。お話自体はたぶん妖魔を毎回退治する1話完結モノになるんじゃないかと思う。
週刊少年チャンピオン連載。ドリアンVS神心会。ドリアン戦決着に関しては、「週刊少年チャンピオン」24号のレビューに書いたので参照してくだされ。
・「バキ」 板垣恵介
ドリアン戦決着。いつもの板垣節でいいことはいいんだが、個人的にはあっけなかった印象。「死刑囚編」では、戦いの始まりも終わりも、だれとやるのかもはっきりしないという曖昧さを逆に展開の興味へと引っ張っていく面白さがある反面、ドリアンの場合で言うなら「だれとやるのか」が最後まで曖昧だったところが少し興をそがれた。「ドリアンは烈海王とやる」と予想していた読者も多かったのではないかと思うが、ドリアンが海王の「関係者」だったというエピソードは、ただ「海王とはやらない」という理由をつくるためだけの方便ではなかったと思わせてしまう。
・「エイケン」 松山せいじ
美少女ばかりだが何を目的としているのか謎のクラブ「エイケン部」に入れられた少年の話。新連載第2回目。
とにかくそのダメダメさはいい意味でも悪い意味でも(いい意味の「ダメダメさ」なんてあるのかということもあるが)チャンピオンテイスト。主人公が着替えを偶然見ちゃうわ、出てくる美少女は全員巨乳だわ、目的もわからんクラブでがんばろうとするヒロインに主人公が感化されちゃうわ、「クラブをアピールするために、外でうどんづくり。うどんを足でこねるたびに巨乳が揺れて道行く学生の目は釘付けに!」など、ダメ度全開のストーリー展開。あとデッサンが狂ってると思うのだが???
まあ「ななか」や「でじこ」の連載に続いての流れで、チャンピオンの「萌え」要素強化という戦略は当然考えられるし、それに対する反発も強かろうとは思う。しかし、少なくとも80年代にも、チャンピオンは内山亜紀を連載させたりしていて美少女系に決して目が向いていないわけではなかった。「ピース電器店」もオタク的要素が強かったことを考えると、是非はともかく方針自体は不思議でも何でもないのである。
ところで「裏ニュース!」で紹介されていた日記系サイト、「バーチャルネットアイドル・ちゆ12歳」の「平成13年5月12日 ラブひな以上!?大反響のチャンピオン新連載」は、見事に本作連載の状況とダメさとミリョク(?)を語っていると思いましたな。
……まあレビューを書くには時期的にあまりに今更、という感じなんだが、せっかく読んだから。
いきなり結論の話。私が誤読していなければ、「なぜ戦闘少女なのか」の結論は「世界はすべて情報化されているという幻想がある。その幻想による虚構化・相対化に最後まで抵抗するものが『性』であり、それを体言するのがファリック・ガールである。それは人間が理不尽にも性的な存在であるほかないという『現実』を確認させてくれる」……ってなことでいいのだろうか。
うーん、間違ってはいないと思うものの、それってなじみのない会社の取引先と飲みに行って、二次会あたりで下ネタになると盛り上がりつつみんなものすごく安心した顔をしてたり、北方謙三がやたらと「ソープへ行け!」っていうのと変わらないんじゃないだろうか。ただそれが実際的な肉体接触と乖離している、ってだけで。テツガクもガクモンも吹き飛ばす、「結局みんなスキなんだよ」というミもフタもない言い方があるけど、ほんとにみんな「スキ」だからねー、それを結論に持ってこられても……と少し思ってしまう。まあ私に書けと言われても、この結論は絶対書けないけど。
また、その結論に至るまでにファリック・ガールにおける「外傷性の排除」、要するに戦闘美少女には復讐だとかの積極的な戦いに対する意味づけがなされておらず、実体性と手を切っている存在だという指摘も、別にオリジナルなものではない。それならばものすご〜く乱暴だが、佐藤健志が言っていた「ロリコンは権力的ではない政府を体言している」という言いまわしの方がまだしも簡潔に思える。そもそも「少女」をキャラクターに選択した上で、外傷性とは無縁なものを志向していると思うんだけど。
さらに、戦闘少女の分類でもっともムリがあるのは「服装倒錯系」ではないかと思う。「ストップ!! ひばりくん」や「らんま2/1」はともかく、「スケバン刑事」や「セーラー服と機関銃」(要するに一連の実写セーラー服もの)をこのカテゴリに入れるのは、ちょっと看過できないほどにムリがある。筆者はセーラー服が水夫の仕事着に転用されたということに注目しているが、経緯はともかく(なんかブルセラ系のエロ本に書いてあったが忘れた)、「水夫のかっこうを女の子がマネている」と考えている人はまずいないだろうし、男の子っぽい口をきく女の子だからって服装倒錯とはどうか(まあ専門用語はもっと広い意味があるのかもしれないが……)。本書で言えばむしろ「アマゾネス系女戦士」に近いということになるんではないかなあ。
他にも疑問に思うところはいくつかあって、……まあもっと濃いオタクの人ならもっと言いたいことがあるかもしれないけど、いくら好きだからって「じゃりん子チエ」は戦闘美少女に入らないと思うし、手塚と石ノ森、藤子不二雄(パーマンのパー子)あたりにさかのぼってるところもどこかモヤモヤしたものが残る。キャラクター造形で言うなら「ちょっとこなまいきなカワイイ女の子」がマンガやアニメでどのように描かれていったかを見た方がイイと思う。実際石ノ森章太郎も、本書で指摘されている003的なキャラクターよりは、「ちょっと勝ち気なカワイイ子」を描く方がずっと得意だったように思うしなぁ。
あ、そうそう。「性が現実を確認させる」がゆえのファリック・ガールならば、最大のナゾがあるんスよ。それは「おはスタ」におけるKANAの存在ですよ。「おはスタ」は言わずとしれたシンゴ君に「おーはー」をパクられた朝の子供向けバラエティ番組ですが、KANAはその中で「宇宙人」という設定で、番組中もっともワケのわからないことを言う存在なんですよ。なのに「おはNAVIガール」という、ナビする役割を担ってるし、おはガール以上にセックスを感じさせないキャラクターなんです。しかし、その造形(肩や腕、ふとももを露出させ、ビニールっぽい材質のコスチュームに背中にロケットを背負っている)は、どう考えてもトラディショナルなアニメ戦闘美少女なんですよ。あ、これは本書の公式では解けない。あ、今思った。
コミックボンボン連載。光、闇、土、水、火、風、金、木という8つの世界のバランスが崩れようとしている。崩壊の危機を回避するには「ピースストーン」を集めるしかない。……というわけで善悪入りみだれての戦いが始まる。
明治製菓の、「ビックリマン」みたいなシール付きチョコ「バトシーラー」のコミカライズ。いちおうひとつのキャラクターが変身して違うタイプになるというのがウリらしい。主人公はキャプテン・ガッツ(最強の海賊だがふだんは太りすぎの「キャプテン・ファッツ」)。頭がゴルゴンになってるコギャルで「ゴルコギャル」ってのがちょっと面白いと思いました。
「ザ・ドラえもんズ」みたいに、いろんなタイプのドラえもんが出てきて野球をやる話。
他にもヒョロえもんとかトラえもんとかピョコえもんとかグリえもんとかが出てくる。無人島に流れ着いてそこで特訓する話が少し面白かった。基本ですな。
ビジネスジャンプ連載。刑事のアサミは、同僚の原田や後輩のミサキとともに、もちまえの度胸と行動力で事件を解決していく。
毎回の事件は、強盗や窃盗、釣り銭サギ、麻薬の密売など、マンガの題材にしては地味なものが多い。だがそれがどのようにして捕まるのか、という過程を比較的丹念に追っていくというのがどうもコンセプトらしい。「警視総監アサミ」という派手なタイトルは、その地道な世界に読者を誘うための狙いがあるんだろうか。
しかし「地道さ」を狙っているわりにはそれを補おうとするその他の展開があまりに唐突。1巻で重要な伏線だと思われた、アサミにセクハラを繰り返し萬田警部補をセックス奴隷にしていた下山警部は実に盛り上がりがないままアッサリ原田に告発をほのめかされ姿を消すし、後輩のミサキ加入のエピソードもすごく性急。
・「警視総監アサミ」(1) 近藤雅之、有賀照人(2000、集英社)
(01.0509、滑川)
マンガについての言及部分を簡単に拾っていくと「学問的に研究する以前にデータの保管・蓄積が急務だ」という提言や、「ハイストレンジネス(理論をまとめあげていくうえで組み入れることができない特殊事例)」なものとして田村信とか一峰大二のウルトラマンものがあるとか、漫画ゴラクとかヤンキーマンガは今までの漫画評論の中に組み入れられていないとか、そんな感じかな。あとオタクの時代を告げる作家としての高橋留美子とか、その前の成井紀郎とか。私はいずれも同意するものでありますね。「ゴーゴー悟空」、また読みたいなぁ……。
オタク論ということで言うと、第一世代と第二世代の違いとか、オタクとはもともとそういう素質の人間がいるから出てきたんだというよりは、情報化社会というか外部の状況によって出てきたという方が近いのではないか、とか。オタクが内在的なものではなく外側の状況によって出てきただろうってのは、私もそう思います。だから、たとえばオタクのセクシュアリティーを考えるといっても(そのこと自体は重要だと思ってますが)「なんで二次元美少女が好きなのか」って考えるよりは、本書で言われているように、フィールドワーク的に事例をいっぱい集めることの方が大事のようにも思います確かに。けっきょくそれがインプリンティングされているわけですしね。
週刊少年ジャンプ連載。椎野望摩(しいの・のぞま)は、ごく普通の……というよりはいささかダメな中学二年生。彼はある日、自分が東武伊勢崎線越谷駅から電車で5分のところにある椎野王国の王子であることを知らされる。椎野王国は名前が前に来て苗字が後に来る習慣の国。つまり椎野望摩はこの国ではのぞま椎野……「王子になるのがのぞましいの」ということなのだ。そして「1000の名前の入った名札(サウザン・ネームプレート)」を「くわ椎野」(椎野王国の国民は全員「椎野」姓)から受け取ったのぞまは、この名札の力で「バカバカ椎野」、「りり椎野」、「わざとら椎野」、「みずみず椎野」、「めづら椎野」、「いまめか椎野」などに変身してその名前に付随した能力で、全世界を名前が後、苗字が前に返させようとしている「名後(ナゴー)」と戦うのだった。
とにかく説明どおり、「〜椎野」といったダジャレと「名前が後に来るか前に来るか」ということだけでえんえんと引っ張り続けるギャグ怪作。文字どおりバカバカしくて決してつまらなくはないのだが、おまけページで作者自身が告白しているように「平均的なジャンプコミックスを読む3冊分くらいの時間と気力が必要」。とにかくネームが多い、かつ見にくい。のぞまの家臣である「うたがわ椎野」のブツブツ言う懐疑的なセリフが全部手書き文字なのも読みにくい原因。しかし「うたがわ椎野」のつぶやきがいちおうツッコミになっているから読み流すこともできないし。
たぶん打ち切りだろうとは思うが、岡目八目を承知で書くならやはり読みにくさが一因だったんじゃないだろうか。
また、この読みにくさをガマンしながら読んでいくと、最終回はまさかのバッドエンディング。30分くらい生きているのがイヤになった。ジャンプのギャグマンガでは打ち切り決定後にヤケクソになるものも少なくないが、いくらなんでもこれはあんまりだろう。泣いちゃったよ。おまけページも、内輪にしか通じずに何を言っているのかわからない文章が散見された。
・「ヒッサツ!」 伊藤清順
ついにあの「ぶかつどう」の
しかし5人いないと認められない部活を美少女・鈴木玲香と2人で立ち上げたり、底なし沼にピラニアを入れ、その上に部室をつくったり、「相撲取りにマウントポジションをとられたとき」を想定して発泡スチロール制の巨大な岩の下敷きになってみたりと「ぶかつどう」の金田以上の奇行を連発する颯耶であった。
前作がまさしくカルト的怪作だったために、期待は高まる。
・「花右京メイド隊」 もりしげ
メイドの各部署が、予算をめぐってソフトボールをやるという、なんともいえない脳天気&マッタリした展開。まあ広義のラブコメってのはこうでなくちゃなあ。
月刊マガジンZ連載。仮面ライダーシリーズそれぞれの話が終わり、ショッカーもデストロンも壊滅した後、ライダーたちは世界各国に散った。しかし、また新たなる悪が動き出そうとしている……。毎回まいかい、一人のライダーにスポットをあて、彼のその後とこれからの戦いを描いた血沸き肉踊るコミカライズ。
「ほほぉ いい性能だな」
コミカライズとしては、テレビ版、石ノ森コミック版はもちろん、どうやらかなり後期のライダーの伏線も活かされているらしいが、それがまったくわからなくても本編だけで十分燃えられる展開となっている。
単行本の構成もよくて、雑誌掲載時にカラーで、単行本で「カラーになればいいなあ!」と思っていたところがキッチリ実現していて嬉しかった。また近年、もっとも面白いライダーコミカライズを描けるのはたぶん島本和彦だと思うが、島本ライダーとは違った意味での「燃え」を表現しているのはすごいと思う。
アフタヌーンシーズン増刊等に掲載された連作短編。人間をいちばん進んだ生物とすれば、その逆にもっとも生命の原生体に近いものを「蟲」という。それらが人間に及ぼすさまざまな影響を研究し、対処する「蟲師」ギンコを主人公とした幻想的な物語。
「蟲」にはさまざまなヴァリエーションがあり、その都度名前が付いている。人間に及ぼす影響もまたさまざま。物語全体のイメージからすると「妖怪」に近いのだが、もっともっと原初的な感じがする。水木しげる系統のそれがもっとも人間臭さを持つ妖怪だとすれば、その正反対に位置するのではないか。
妖怪もの、「憑き物」のマンガは流行っているようである。しかし偉大すぎる先達が存在するのであって、水木しげる・諸星大二郎・荒俣宏・夢枕獏・京極夏彦とは違った新味を出すことはかなりむずかしい。とくに文化人類学的視点にこだわりすぎたり、神話や伝説、民間伝承といった「資料」に振り回されるとなにやら頭でっかちなものになってしまいがちだ。また村落共同体とか土着性というものに対するアプローチの限界も見えてくるかもしれない。
たとえば、「蟲師」という一種の職人であり、また蟲が現れたといってはフィールドワークにやってくる主人公の「ギンコ」は、伝統技能の継承者という感じも希薄だし、外部者として差別されてもいないし、かといって近代的な「学者」でもないというふうに、いい具合に独自の存在になっていると思う。時代設定も曖昧であるところがいい。諸星大二郎の「妖怪ハンター」があまりにダイレクトに人間の暗部にせまるので、私個人は妖怪ものにちょっと固定観念があったが、それよりもより純度が高いというか抽象度が高い作品になっている。
・「パチスロ7」5月号(2001、蒼竜社)
・「YOUNG キュン!」6月号(2001、コスミックインターナショナル)
・「リイドコミック爆」6月号(2001、リイド社)
・「バキ」(8) 板垣恵介(2001、秋田書店)
・「週刊少年チャンピオン」24号(2001、秋田書店)
【評論】・「戦闘美少女の精神分析」 斎藤環(2000、太田出版)
・「仰天人間バトシーラー」(1) うえだいたる、立迫文明(2001、講談社)
・「ドラベース ドラえもん超野球外伝」(1) むぎわらしんたろう(2001、小学館)
・「警視総監アサミ」(2)〜(3) 近藤雅之、有賀照人(2000〜2001、集英社)
【評論】・「ブンカザツロン」 唐沢俊一VS鶴岡法斎(2001、エンターブレイン)
・「バカバカしいの!」 ガモウひろ椎野(2001、集英社)
・「月刊少年チャンピオン」6月号(2001、秋田書店)
・「仮面ライダーSPIRITS」(1) 石ノ森章太郎、村枝賢一(2001、講談社)
・「蟲師」(1) 漆原友紀(2000、講談社)
・「パチスロ7」5月号(2001、蒼竜社)
(01.0515、滑川)
・「YOUNG キュン!」6月号(2001、コスミックインターナショナル)
小ネタだが、18禁パソゲー「Leaf(はっぱ)隊」っていうのがツボにはまって笑ってしまった。まあ、こういうのは早いモノ勝ちだから。
(01.0515、滑川)
・「リイドコミック爆」6月号(2001、リイド社)
それと、「カマキリン」石山東吉。大阪を舞台にした「近未来ド硬派ヤンキーバイオレンス」ということなんだけど、この人のマンガは1回1回ハッタリをかましきってくれてるんであんまりお話のつなぎとか関係ないです。毎号クライマックスだから。
森田信吾も味のあるパニック読みきりを掲載。次号にも他作家の何本か読みきりが載るみたいなんで、そっちも楽しみ。
(01.0515、滑川)
・「バキ」(8) 板垣恵介(2001、秋田書店)
(01.0514、滑川)
・「週刊少年チャンピオン」24号(2001、秋田書店)
また、ドリアンという男の格闘技者としての能力描写があまりなかったこともフラストレーションの一因となった。スペックには「無呼吸連打」ってのがあったからね。作者の板垣氏が「かめはめ波」的な必殺技を使いたがらない、という方針もあるのかもしれない(刃牙にも花山にも愚地克巳にもあるフィニッシュブローを烈海王がいまだ出さない点からもそのように勘ぐってしまう)のだが、ドリアンには巨体を活かしきった必殺技を何か、出して欲しかった。
何にしても、おそらく独歩登場以来はじめての混じりっ気なしの完全勝利は、独歩ファンの私としてはめでたいかぎりなんだが。
(01.0514、滑川)
・「戦闘美少女の精神分析」 斎藤環(2000、太田出版)
日本のマンガやアニメにおける「戦闘美少女」が、タフネスなアマゾネス系女戦士とは違う、というのには同意できるし、世界的に見ても戦闘美少女を主人公とした作品が突出して多いというのも予測できる。登場するヒロインの種類を「紅一点系」、「魔法少女系」、「変身少女系」、「チーム系」など11種類に分類したのも細かな異論はあるものの「よくやったなァ」という感じではある。それでまあ力作だとは思うものの、疑問もある。
(01.0512、滑川)
・「仰天人間バトシーラー」(1) うえだいたる、立迫文明(2001、講談社)
(01.0510、滑川)
・「ドラベース ドラえもん超野球外伝」(1) むぎわらしんたろう(2001、小学館)
22世紀でも野球は大人気。ルールで違うところは、ひとつの試合で指定されたひみつ道具を3回、使うことができるということ。ドラえもんの知り合いのクロえもんは野球が人一倍好きだが、チームメイトはダメロボットばかり。しかしグラウンドの使用権をめぐって金持ち息子の門賀たちのチームと対戦することになって……。
(01.0510、滑川)
・「警視総監アサミ」(2)〜(3) 近藤雅之、有賀照人(2000〜2001、集英社)
また、奴隷状態から解放された萬田警部補が原田を誘惑するわ、彼を気に入ってなんだか知らないけど勤務中にフェラチオしてくれるわでなんだかよくわからない。挿入されるエッチシーンもストーリーとあまりに分離しているし、ひとつひとつがちょっと変態じみているんですよね。羞恥プレイ多いし。……なんだかよくわからないんだけど、まあ出てくる女の子はかわいいし、いいんじゃないかなーっつうか。そういえばミサキのアサミに対する嫉妬心の描写もちょっと妙なんだよな。なんか不思議な感触。
・「ブンカザツロン」 唐沢俊一VS鶴岡法斎(2001、エンターブレイン)
(01.0509、滑川)
・「バカバカしいの!」 ガモウひろ椎野(2001、集英社)
(01.0506、滑川)
・「月刊少年チャンピオン」6月号(2001、秋田書店)
(01.0505、滑川)
・「仮面ライダーSPIRITS」(1) 石ノ森章太郎、村枝賢一(2001、講談社)
「キサマの作戦目的とIDは!?」
「仮面ライダー2号」
私自身はライダーマニアでもなく、子供時代にも実は夢中で追いかけたという記憶がないのだが、それでも断片から思い出されてくる感覚にはグッと来るものがある(仮面ライダーV3が主役となるエピソード「熱砂のプライド」は、なんと主題歌だけを知っていれば物語世界により入っていけるという話なのだ)。これは作者の筆力もすごいが、「仮面ライダー」というドラマ自体が、お話云々よりも何か別のインパクトによって支えられているということなのだろうか。
(01.0503、滑川)
・「蟲師」(1) 漆原友紀(2000、講談社)
しかし本作は、まず「蟲」というのが独自の存在なので、うるさい文献に振り回されることもない。本作の世界の伝承は、あくまで本作の世界に起こった伝承である。また、先達の、あるいは先達の参考にした学者の視点が見えてしまうこともない。さらに、妖怪伝承を語るうえで避けて通れない、「かつての日本」に対するアプローチも、いい意味で洗練されていると思う。要するに非常にオリジナリティのある作品だということだ。
(01.0503、滑川)
「つれづれなるマンガ感想文」4月後半
「つれづれなるマンガ感想文」5月後半
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