つれづれなるマンガ感想文10月前半

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一気に下まで行きたい



・「ガンダムパイロット列伝 蒼穹の勇者たち」 沖一(2001、ソニー・マガジンズ)
・「全日本妹選手権!!」(1) 堂高しげる(2001、講談社)
・「週刊少年チャンピオン」46号(2001、秋田書店)
・「月刊少年チャンピオン」11月号(2001、秋田書店)
・「アフタヌーン」7月号(2001、講談社)
・「アフタヌーン」4月号(2001、講談社)
・「アフタヌーン」5月号(2001、講談社)
・「アフタヌーン」6月号(2001、講談社)
・「リイドコミック爆」11月号(2001、リイド社)
・「週刊少年チャンピオン」45号(2001、秋田書店)
・「COMIC阿口云(あうん)(←口へんに「云」でいいのかな?)」11月号(2001、ヒット出版社)
・「スーパーロボットマガジン」Vol.2(2001、双葉社)
・「妖剣」 Vol.2(2001、大都社)






・「ガンダムパイロット列伝 蒼穹の勇者たち」 沖一(2001、ソニー・マガジンズ)

コミックジャパン、RPGマガジングレイトなどに掲載。えーとガンプラ関係あまり詳しくないんですが、確かアニメに登場しないガンプラを出すときに、バックストーリーとしてジョニー・ライデンとかシン・マツナガといったオリジナルキャラクターの話をつくっていた。そうした設定を活かしてマンガにしたもの。ミノスフキー粒子の発見者、ミノフスキー博士も登場。

番外編的な内容とはいえ、本編と矛盾があってはマズいので、かなりの労力がいったと思われる。主に「敵側」のジオン軍の兵士を主人公にしているのも印象的。
(01.1013、滑川)



・「全日本妹選手権!!」(1) 堂高しげる(2001、講談社)

ヤングマガジンアッパーズ掲載。同じことを何度も書いて申し訳ないが、「妹ネタ」ってのが不思議で不思議でしょうがない。昔から女のきょうだいを題材とした疑似恋愛とか恋愛とか近親相姦モノはあったにしろ、現在ほど「妹」という言葉を聞くときはない。
とくにアニメ・マンガでは、80年代から「くりいむレモン」の亜美や「みゆき」のみゆきなど、エロ領域においてもロリコンジャンル内での妹ネタというのはあるにはあった。しかし、どうもうまく言葉にできないけど今は昔とはニュアンスが違う気がする。
違いのひとつは、パターンとはっきり認識され、ギャグやパロディの対象となっていること。もうひとつは、必ずしも性的合体を目的としないモノも散見されるということか。

本作は、実の兄に憧れている(恋に恋しているニュアンス?)の妹、しばらく離れて暮らしていた腹違いの兄と同居することになった妹、姉の旦那に横恋慕して誘惑しようとしている義妹と、3人の妹が出てくる。彼女たちを主人公にしたギャグマンガだ。
もともとは前の二人だけのネタだったらしい。確かに、後からつけ加えられたいちばんポルノチックな設定の「姉の旦那を誘惑する」というのは、むしろ古いタイプの妹ネタだと考えることもできる。

展開はまあ想像どおりというか、この3人の行動やそれに振り回されたり萌えたりする周囲をおもしろおかしく描いている。掲載が青年誌のせいかストレートなエロネタも多いが、個人的にはそうでない方が面白い。
「彼女たちの盗み撮りをオタクたちに公開する」という企画で、いちばんロリっぽい子の乳首が見えそうになったときに観客のオタクが一斉に目をそらし「この中途ハンパに純なところがウザい……」と言われたり、無防備に義兄を誘惑する子に耐えられなくなり、風呂を覗く兄に観客がエロ心をくすぐられるどころかかえってしんみりしたりというのが面白かった。
おそらく、この辺の微妙さが旧来の妹ネタものにはなかった部分じゃないだろうか。家族内での関係であるとか、社会的規範の侵犯であるとか、そんなものはどこかに行っちゃってて、さらには当事者性すらも希薄。「そういうシチュエーションを想像する自分」との対話みたいになってる。

お話は3人が漫研に入部してから、「やおい女の生態」に微妙にシフトしていく。まあ正直言ってこのテのネタってコミケカタログの「まんがレポート」とかで読み過ぎててウンザリしてるんですが、これはそれなりにうまくまとめていると思いました。

あ、それと本作ってやっぱり「あずまんが大王」の流れなのかと思った。見事なまでに美少女だけで、男は兄ととりまきのオタクというキャラクター性のない人々しか出てこない。「あずまんが」との最大の違いは、彼女たちが「オタク男はウザい」と積極的に追い払っているところだろう。まったく夢も希望もないですな(笑)。
(01.1013、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」46号(2001、秋田書店)

ああ〜、やっぱりマンガをたくさん読んでさらに感想書くのってむずかしいのう。悩んどるか悩んどるか人として〜〜い!!(と、いろんな意味で微妙なフレーズを書いてみる)。今日はチャンピオン1冊だけ〜。すいません。

「バキ」板垣恵介は、カラーページにフィギュアの記事が載っている。ああ〜独歩欲しいなあ。記事に書いてあるように、確かに足は長いと思う。あと柴千春が欲しいんですよ。そういえば「フィギュア」って1回も買ったことないんですけどね。
でも柴千春って、花山薫のボックスセットを買わないと付いて来ないんですよね。それとソフビなんだよね。
個人的にはスター・ウォーズとかアメプロのみたいに、ブリスターパックに入った小さいめのシリーズだったらスグ買うのに、とか思うんだけど。脇キャラとかもどんどん出してもらって。幼年編のボクシングの先生とか、不良とか。
往年のタイガーマスク「覆面ワールドリーグ戦」とか「キン肉マン」的な展開の方がイイんじゃないかと、そこら辺の市場調査を知りもしないで勝手に思いました。スイマセン。

「ななか6/17」八神健は、稔二のライバル嵐山の妹・五月が登場。剣道少女で兄を骨抜きにしたななかを倒そうとつけ回す。よくあるパターンですが、五月がカワイイので許す。

「虹色ラーメン」馬場民雄は、続く生徒会のラーメン部潰し計画。文化祭で何かが起こる……!? そして太陽の出生の秘密が明らかになるようなならないような……。「友達全員でラーメンをつくる」というのが珍しい。太陽の自宅に行ってキンチョーしてる原田さんがカワイイ。

「エイケン」松山せいじも文化祭ネタ(ちなみに「しゅーまっは」も文化祭ネタ)。グレース鈴登場。確か中国雑伎や拳法もできるイギリス人。まあだれでもツッコむところではあろうが、やはり今週は「小乳(プニュ)ン」「プ鈴(リン)▼」(▼はハートマークの代用)という擬音でしょう。独自の擬音の開発は、記憶に残るマンガ家への第一歩ですよ。もうそれだけでお腹いっぱい。
それと巻末コメントから、作者は「シスプリ」をあまりよく見ていなかったことが判明。そしてその中の眞深(まみ)萌えだったことが判明。

「O−HA−YO」川島よしおは、ひとつだけ言わせてください。4コマそのものについては何も言うことはないが、冒頭の「自分がデブだ」というネタ、いいかげんやめてほしいんスけど……。だって作者がデブかどうかって、別に気にならないし。本人が気にしてるのはわかるけど……。

(01.1011、滑川)



・「月刊少年チャンピオン」11月号(2001、秋田書店)

「WORST」高橋ヒロシは新連載第2回。主人公・月島花(つきしま・はな)は、ケンカの強うそうなヤツらばかりが揃う下宿に住むことに。早くもその中で「ケンカの強いヤツがいちばん偉い」と言い出すヤツが出てきて……。
高橋ヒロシ、あまり読んだことがないんだがカッコいいなあ〜。いいですコレ。
「流星のストライカー」秋月めぐるも新連載第2回。才能の開花しない「谷間」と言われる世代の現日本ユースに入ってきた天才少年・織田流星の話。
これも面白い。流星のやんちゃぶり、天才性、孤独をきっちり描きつつ、彼を受け入れるチームの「凡人」たち。凡人ゆえに努力してまとまってきたのに、そこに異質なものが入る当惑も描けている。この人のストーリー運びには期待できる。
「ヒッサツ!」伊藤清順は格闘技といかケンカを題材としたギャグマンガだが、またお得意の異常にくだらない技を披露してくれます。すばらしい。
「うんけん」サイレン☆ボラ夫は、ギャグよみきり。「にゃき〜〜〜〜〜ん」「マヨネーズ飲んで元気百倍にゃの〜〜〜ん!!」「オニゴッコするもの股間にとまれ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」「へめ」というようなマンガです。

(01.1010、滑川)



・「アフタヌーン」7月号(2001、講談社)

7月号も登場。いいの! メモ書きだから!(開き直り)
今回、読みきりが多く、読みでがある。個人的にはもしもバックナンバーを古書店で入手するならこの号がいいなとか思った。

・「二の二の六」 高野文子

読みきり。ボランティアとして、老婆と離婚して実家に帰ってきた長男(五十くらいか?)のいる大沢家に派遣されたヘルパー(女性・独身)里山さんが主人公。
おはなしは彼女のなんてことのない日常。里山が大沢家に行って、老婆の食事をつくる。「二の二の六」とは大沢家の番地の番号だ。ここの長男は里山を「いき送れてカワイソウなヤツ」などと少し思っている。里山は里山で、「出戻り」の長男を意地悪く観察している。しかしお互いそう思っているだけだから、普通に頭に浮かんで普通に消えていく思考とも言える。
さらに長男には「一緒にどこかへ行こう」と誘った女子高生がいる。彼女もワケアリそうだ。だがそれは主人公の里山に直接はからんでこない。それと介護サービスの室長(中年女性)と、姿を現さないがヘルパーを依頼した老婆の娘がいる。室長も老婆の娘も、里山を悪い人間だとか無能だとかは思っていないが、少し頼りないとは思っているようだ。そして里山は大沢一家でのヘルプはやりにくいと心で少し思っている。

実は高野文子って、読むの「るきさん」以来だ。「るきさん」を読んだ頃、なんだか評論家のドレソレとかダレソレが、しきりに「日常へ帰れ」とか「中庸を大事にしろ」だとか言っていた。まあ「虚構と現実の区別が付かない若者が云々かんぬん」といった文脈でだ。それは確かに正論だ。しかし、じゃあ「日常」ってのがどんなものか具体的に表せる人間がいるのか、というと私は高野文子しかいないと思ってた。
「るきさん」を読んで、そういう感想を抱いた(逆に言えば、高野文子しかいないのなら、評論家たちの言う「日常」ってのは相当特殊な状況じゃないかとも当時少し思ってた)。
今回の主人公の里山は、仕事がテキパキできて、まだ婚期を逃したとは言えない状況で独身生活を楽しんでいるるきさんとはだいぶ立場が違う。本人は平気なようだが、周りを心配させたり疑問を感じさせたりする境遇ではある。周りの人間も、少しずつ意地が悪い。
しかし、それが嫌味に感じられないのは、実は私たちが口にせず、頭に浮かぶ「感想」のようなものを、登場人物同士をからませずに描いているからだ。これは本当に普通にあることだ。それと、登場人物たちが全員ワケアリであることも嫌味にならない理由だろう。だれもがいやがられたり、小馬鹿にされたりする要素を持っている。
しかしそれを承知したりしなかったり、口にしたりしなかったりで日常生活を送っている。その辺がよく描けている。すばらしい。これぞ日常だ。

・「コドモ、ノソノゴ」 杉原亘

2000年冬の四季賞受賞作品。「恋が実る」とウワサの岩を探して関西までやってきた東京の少女と、彼女を案内しようとする悪ガキ二人。そのうちの一人が、少女にケガをした指をなめてもらった瞬間、その子のことを好きになってしまう……というような話。「指をなめてもらったから」好きになってしまうというのがちょっと陳腐かなと思ったけど、ラストがいいのでチャラ。

・「尻の主題による二つの物語」 山口和夫

2001年春の四季賞・うえやまとち特別賞。異常なまでの描き込みで、フキダシやコマ割りなどのマンガ的な手法をほとんど用いず、コマ割りは単調なままでナレーションのみで話を進めていく。西洋の民話を題材とした幻想文学といった趣の内容で、読み出す前のとっつきにくさは(読みにくいことは読みにくいが)読むとある程度は解消される。
私はこういう話は好きです。

(01.1010、滑川)



・「アフタヌーン」4月号(2001、講談社)

突然、ここに4月号登場。いいの! メモ書きだから!(開き直り)

・「ハトのおよめさん」 ハグキ

ハト一家が出てくるギャグマンガ。これ、すごく嫌ってるヒトもいるけど私は好き。

・「BARONG」 奥田一平

 四季賞冬のコンテスト準入選作。平安京を舞台にした、妖魔退治もの。クトゥルーが少しからんでる。絵はむちゃくちゃにうまい。お話はちょっとシンプルすぎますかね。

(01.1006、滑川)



・「アフタヌーン」5月号(2001、講談社)

・「新首代引受人」 平田弘史

合戦で追いつめられたときに己が命を銭であがなう、その代価を「首代」というそうだ。ソレの取り立て人が首代引受人。その首代引受人の首代半四郎が、「首か、金か」を取り立てて回る話らしい。
雑誌「斬鬼」で旧作が再録されているのと合わせて読むと、やはり近作の方がスマートなぶん、きっちりまとまりすぎているような感じはする。大物作家が年をとるほどこの傾向があるように思う。まあベテランになっていくうち、仕方のないことらしいんだけど……。

・「ヤサシイワタシ」 ひぐちアサ

大学を舞台にしたラブストーリーらしいが、ヒロインの女の子のめんどくささ加減にポイントがある。それにしても、昔はこういうの読んでもとくに何も感じなかったけど、最近年をとるごとに、ちょっと娯楽として楽しめないほどダークな気分になってくる。それはそういう作品が優れている証拠なんだろうけど、いろんな雑誌にそういう作品が地雷みたいに埋まっている感覚だ。
これは完全に私サイドの責任ですが、ちょっとこのマンガ、キツすぎて正視できません(笑)。

・「眠り姫」 惣本巌

四季賞2000年冬のコンテスト、かわぐちかいじ特別賞受賞作品。どこでも眠ってしまう女の子とその友人の行動を追う、サイレントコメディ。かわいらしいまとまり。

・「ハトのおよめさん」 ハグキ

今回はイマイチかなあ。

(01.1006、滑川)



・「アフタヌーン」6月号(2001、講談社)

なんでこう雑誌がたまるのかというと、確かに私が読むのが遅いとかナマケモノとかあるんだけど、本誌の場合、読んだ方がいいのか飛ばした方がいいのか微妙な作品が多いということがあげられる。
同じ雑誌に載っている以上、底流に流れる「ノリ」的なものは共通なのだが、そのクリヤしなければならない「ノリ」おさえたという以上のモノを感じられない作品も少なくない(キツい言い方だけど……)。そういうのは読んだ方がいいのか、ホント悩む。そうすると、いつの間にかどんどん時間が経っている。 もう少し、まったく別方向の作品を混ぜてほしいんだけど。

・「THE END」 真鍋昌平

退屈な日常を送っていた男が、実は記憶を失っていて、仲間を見つけて戦いに赴かねばならないというマンガ。ストリート系というか何というか。現時点ではけっこう面白い。

・「てんでフリーズ!」 ISUTOSHI

新連載。予知能力を持ったセクシー美女が、ひょんなことから普通の少年と出会って云々かんぬん。キレイなおねーちゃん描きますね。

「イハーブの生活」小路啓之「BLAME!」弐瓶勉は、「もしかしてすごく面白いのでは」と毎回思わせるが、途中から読んだのでサッパリ意味がわからない。すいません。

・「LOVE REVOLUTION」 切崎タケシ

第6回ギャグパラ大賞受賞作。ラブコメを全面禁止した独裁者に、ラブコメ大好きな反逆者が立ち向かう。いわゆる「あるあるネタ」のつるべ打ちという感じで、男たちがラブコメ妄想を語る。今や定番みたいになってしまったパターンだが、ラストに独特の余韻があった。また、描く女の子もわりとかわいい。
本作が「独裁者と反乱軍」みたいな体裁をとっていることは、実は偶然ではないと思う。ラブコメって、マッチョイズムを反転させたものだと思うから。いやそれが悪いてんじゃなくて、本当にそういうものだからね。それにだれかが気づいてうまくマンガにできれば、「妄想戦士ヤマモト」を超える作品が生まれるはず。

・「Marginal」 守屋直樹

四季賞・春のコンテストの大賞受賞作。美人で優等生だが学校にパンツをはいてこない(一人露出プレイ)を楽しんでいる女の子。それを知ってしまった教師が彼女の内面に踏み込もうとするが……というような話。
読んでる途中で「エロマンガにもできるプロットだな」と思ったが、ちゃんと最後には「エロで終わらせないそれなりの結末」になっていると思う。それが受賞の理由なのでは、とも考えられる。エロマンガでは多少考えられてきたテーマだと思うんで。スケベ教頭がイイ味を出している。
72ページもあるが、読後に満足感がある。

(01.1006、滑川)



・「リイドコミック爆」11月号(2001、リイド社)

本誌の注目作:
「潜行戦艦ブラッククロウ」修生
地球が破滅しかかっている近未来、「潜行戦艦ブラッククロウ」で組織に抵抗するハーロックみたいな船長、佐渡酒造みたいな乗組員、アニメ版「ジャイアントロボ」に出てくるようなロボ、シャア少佐のような敵。
「レネゲイド」中山昌亮
見えない敵の殺人ゲームに巻き込まれる主人公。サスペンス。
「パート退魔(タイマー) 麗」矢野健太郎
ひょんなことから退魔師にさせられてしまった麗美。新キャラの裕奈登場。話はますますスラップスティックに。
「トイざまス。」立沢直也
ギャグマンガ。ぬいぐるみやおもちゃたちが繰り広げるドタバタ。ちょいブラック風味。
「カマキリン」石山東吉
ヤンキーマンガを神話にまで高めようとする試み。地元系リアルヤンキーマンガの正反対。ファンタジーヤンキーマンガ。
(01.1004、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」45号(2001、秋田書店)

私にとってひさびさの週刊チャンピオン。いろんな意味で面白い。
今週の「しゅーまっは」、「家族のオキテ」、「ななか」を読んで思ったが、これからはおねえすゎんをイビイビするマンガが流行ると思う(嘘です)

「虹色ラーメン」馬場民雄は、「ラーメン部」を解体させようとする生徒会の策略、っていう「いつの時代だ?」って感じの展開なんだけど、そこがいいんだよ。女の子が登場するときの花の背負い方も過剰気味だけど、そこが味。展開としては「ラーメンづくりを部活にした」ってことにかなり意識的ですね。新キャラ、杉あやめさんが気になりますね。それにしても顧問の女教師はムカツク。

「サイクルエクスプレス」平川哲弘は、集中連載の3回目。自転車便の話。イイね。チャンピオンの熱血系マンガは基本ラインが個人的ツボで、安心して読める。

「エイケン」松山せいじは、東雲さんをめぐってのキザ男との「男勝負」ってコトだが、まあフツーの展開ですね。3週くらい読んでないんだけど、伝助って妹がいるらしい。また「オニーチャーン」とか言って出てくるのだろうか。

「家族のオキテ」沖田龍児は、オタク少年の話。まさかこの人の作風で「萌え〜」などという言葉を聞くことになるとは……。イケイケネーチャンがめがねっ子のコスプレしてギャルゲーイベントのバイトをしてたという設定なんだが、私はこういうのが好きだ(笑)。こういうのが流行る時代がこねえかなあ(たぶん来ない)。

「ななか6/17」八神健は、体育祭の二人三脚でななかとオタクの吉田が組むことに。どちらも運動オンチ、周囲からは期待されないコンビだったが……。これ、不覚にもクライマックスでちょっと泣けた。吉田くん、名バイプレーヤー。新しいタイプのオタク像って感じ。
稔二と二人三脚でくっついてドキドキしている雨宮さんは、メチャクチャかわいい。
(01.1004、滑川)



・「COMIC阿口云(あうん)(←口へんに「云」でいいのかな?)」11月号(2001、ヒット出版社)

ミニシャイ

成年コミック雑誌。ついに(というか何というか)、一部で話題になっている「シャイニング娘。」をヒロインとした作品を読むことができた。「サンマルツァーノ」師走の翁は、タイトルを変えながらシリーズとしてもう7、8回はやっているらしい。
途中から読んだことになるので詳しい理由はわかんないんだけれど、「シャイニング娘。」のメンバーが次々に犯される話らしいっスよ。で、今回は槌(つち)匣(はこ)がなぜかデリヘルやってます。
最初の登場シーンですでにのけぞりました。これって、私の半可通知識によると「MUSIX!」のワンコーナーの衣装でしょ。あのエレベーターガールのマネでゲストとトークするっていう。この後も、「ほら いつまでも手コキしてないで食べてあげてくださーい」っていう声に「食べる……」つって先に反応するのが槌の方だったりとか(「食いしん坊キャラ」だからか?)。

一方、矢内(やうち)は、エッチなことしてくる犯人(?)みたいのと会っていて、他のメンバーのことを思って自分を捧げようとする。いや〜矢内カワイイよ(笑)。ファッションもいかにもソレっぽいし、「さわらすのかよ!!」っていう三村風ツッコミも「らしい」って感じ(「ハロモニ」でホントに三村に習ってた)。

ただひとつわかんないのは「♪かきごおり〜早食いは〜スポーツです〜か〜♪」って歌で、たぶん替え歌なんじゃないかと思うんだけど。私の知識不足。

それで、まあ1話しか読んでないからアレなんですが、たぶん描いている人ホントにファンだよ。槌、匣、矢内についてはすごく特徴を掴んでる。ただ「流行ってるからネタにしよう」ってんじゃないんじゃないかな。熱狂的なファンの人がどう思うかはわかんないんだけど、私は対象に愛を感じましたなあ。それにしても、ケイちゃんは出ないのかなあ。

この作者ってうわくちびるをとがらすような表情をよく描いてて、それがかわいいですね。
(01.1002、滑川)



・「スーパーロボットマガジン」Vol.2(2001、双葉社)

ゲームの「スーパーロボット大戦」や、マジンガーのOVA、フィギュアなどがらみのスーパーロボットモノのコミック専門誌の第2号。

「ゲッターロボアーク」永井豪、石川賢は、連載第2回。とにかくものすごい。「アーク」の搭乗者として選ばれたのが竜馬の息子、ハチュウ人類の青年、超能力カルト坊主の弟。
他にもゲッターが「量産型」って感じでたくさんでてきて、それぞれが激しい勢いで合体、敵と戦う。
最後の1ページにはのけぞった。少しでもゲッターロボか石川賢に興味があるなら、ゼッタイ読んだ方がいい、と思う。

「超電磁大戦ビクトリーファイブ」長谷川裕一は、コン・バトラー、ボルテス、闘将ダイモスの世界で再び起こる戦いを描く連載第2回。このシリーズ、通称で「超電磁ロマンロボ」というらしい。

長谷川裕一ですので、人物の絵柄はカワイイがかなり怨念とかそういうのがテーマ、それと律儀に女の子が脱ぎます。今回、「ダイモス」の姉妹機として開発された「フォボス」が登場、一人だけ戦闘員でない自分を卑下していたエリカが一矢のピンチを救うためフォボスで出撃!(これは燃える!

「ダイターン3アンソロジー」は板橋しゅうほう改めSYUFO、市川智茂、坂井孝行、ZOLがそれぞれダイターンの番外編的な作品を描いている。個人的に待望の特集。
どれも「ダイターン3」のワンエピソードになってもおかしくないと思った。「ダイターン」はそれだけギャグでもシリアスでも受け入れるふところの深さがある。まあ巨大ロボ界の「007」か「ルパン三世」か、だからね。
主人公・波瀾万丈のような、圧倒的に強くて、カッコよくて、でも心の奥底にはシリアスなものを秘めていて、それでいてそれは滅多なことでは表に出さない……(それと展開は1話完結ね。「やれやれ、今日は大変だったぜ」みたいな)。そんなヒーローが最近めっきりいない。世知辛いリアリズムや主人公の内省や苦悩なんかはどうでもイイんで、今こそ波瀾万丈タイプのヒーローの復活を望む。
個人的に「ダイターン」は巨大ロボの中でもっとも好きな作品なんで、ビデオとかになりませんかね。

「いい旅ロボ気分」はぬま あんは、「日本のロボ仕事探訪」とサブタイトルの付いたレポート。今回はトミーの「ゾイド」。

インタビュー「世界ロボット者列伝」は、日本版アニメの海外版販売を手がけているイタリアの会社、ディー・ワールドの社長と社員にインタビュー(全員イタリア人)。「『グレートマジンガー』と『鋼鉄ジーグ』の敵組織にエキゾチシズムを感じる」とか、「(グレートの)ジュンちゃん最高」とか、「タイガーマスクのことで頭がいっぱい」とか「ゴーショーグンごっこをしてレミー役だった」(女の人)とか、なんかすげえ素晴らしいコメントばかりだった。

次号は11月発売で、「超電磁ロマンロボ特集」だ。
(01.1001、滑川)



・「妖剣」 Vol.2(2001、大都社)

漫画ボン10月号増刊。オール読みきり時代劇画。再録中心のようだが、どれがどれだかわからん。

「姦の忍法帖」山田風太郎、土山しげるは、「剣鬼●●仏」のマンガ化(●●の部分が読めないので漢字で出せん!!)。風太郎忍法帖におなじみの、くの一のエロい忍法が炸裂……といっても土山しげるの描く女性は見事なまでに色っぽくないですな。あまりに色っぽくなくて食キング(←つまらない)。

「木枯らし紋次郎」笹沢左保、小島剛夕は、超有名時代小説の第1話の劇画化。兄弟分の身代わりに島流しになった紋次郎が、島に入ってきた新入りの話から裏切られたことを知り、復讐のために脱出をはかる。原作を読んだときにあまりに荒唐無稽だな、と思ったが、劇画になるとけっこうおさまる。

「悪霊の城」小山春夫は、天守閣で城主が失踪、その後を継いだ弟も天守閣で火だるまになって死ぬ、という怪事件の謎が解き明かされるミステリー仕立て。25年くらい前によくあった、イヤ〜な気持ちになる残酷時代劇画。

それと「くの一新撰組」田丸ようすけ「妖刀村正」みなもと太郎など。
あと「女犯坊」滝沢解、ふくしま政美が今号も大量に再録。「女陰妖怪」「大奥サドが島」。すでに復刊のときに読んでいるが、再読しても最高にすばらしいと再認識した。とくに後者。大奥に忍び込んで悪いオツボネ様(正式名称忘れた)をブッ殺す破戒僧・竜水。個人的には本作は、「圧倒的に強い主人公が同じように強い悪を毎回ブッ殺す」というパターン、良質のヒロイックファンタジーとして見たい。理屈を追求しないだけ、実に古びない作品になっている。これぞ、ハワードの正式後継者だっ。
なお原作の滝沢解は「妖剣の源流」というエッセイを本誌に載せている。

次号は11月中旬発売予定。
(01.1001、滑川)

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