つれづれなるマンガ感想文10月後半

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「つれづれなるマンガ感想文」11月前半
一気に下まで行きたい



・「ぷるるんゼミナール」(3) ながしま超助(2001、双葉社)
・「不死身探偵オルロック&プロフェッサーシャーボ」 G=ヒコロウ(2001、エンターブレイン)
・「さるとびエッちゃん」(2)〜(3) 石ノ森章太郎(1999、双葉社)
・「ミルククローゼット」(4)(完結) 富沢ひとし(2001、講談社)
・「リイドコミック爆」12月号(2001、リイド社)
・「アワーズライト」12月号(2001、少年画報社)
・「COMIC阿ロ云(あうん)」12月号(2001、ヒット出版社)
・「さるとびエッちゃん」(1) 石ノ森章太郎(1999、双葉社)
・「バキ」(10) 板垣恵介(2001、秋田書店)
・「眉引きの鉄」全2巻 数浜哲巳(1991〜92、集英社)
・「週刊少年チャンピオン」48号(2001、秋田書店)
・「気ンなるやつら」全1巻 石ノ森章太郎(2001、双葉社)
・【秋の新作アニメなど】
・「ウルトラセブン 完全版」 一峰大二(1998、朝日ソノラマ)
・「ウルトラマン」全2巻 一峰大二(1997、秋田書店)
・「週刊少年チャンピオン」47号(2001、秋田書店)
・「YOUNG キュン!」11月号(2001、コスミックインターナショナル)
・「アイラ」 Vol.13(2001、三和出版)
・「パチスロ7Jr.」パチスロ7 11月増刊号(2001、蒼竜社)





・「ぷるるんゼミナール」(3) ながしま超助(2001、双葉社)

週刊漫画アクション連載。自分は淫乱である自覚があまりない女子大生・深瀬菜々美が、自立した女になるためにいろんなことをやるが、超スケベゆえに数々のピンチを知らぬうちに切り抜けていくという作品。

この巻の圧巻は、後半の「セクハラアルバイト」からだろうなぁ。ゼミで「企業のセクハラの実体をレポートしろ」と言われた菜々美がある企業でアルバイトすることになるが、そこはセクハラ完全OKの会社だった……というもの。回を負うごとにエスカレートして、どうなるんだぁ〜と思わせておいて、実に脱力なオチとなる。この作者ってどんなに異常な状況を描いても、あまり変態的な感じはしないのね。基本的に陽性というか。

・「ぷるるんゼミナール」(2) ながしま超助(2001、双葉社)

(01.1031)



・「不死身探偵オルロック&プロフェッサーシャーボ」 G=ヒコロウ(2001、エンターブレイン)

ファミ通ブロス連載。「不死身探偵オルロック」は、なぜか死なない探偵・オルロックが事件を解決したりしなかったりのギャグマンガ。「プロフェッサーシャーボ」は、マッドサイエンティストのシャーボ(女)を主人公にした4コマ、後にページものになるギャグマンガ。
「面白い」って評判だけ聞いてて、ぜんぜん手に入らないなーと思ってたら、神保町の高岡書店で平積みになっていたので購入。

面白い。ギャグマンガは、やっぱり読んでみるしかないですな。独特の言語感覚とスピード感、ほとんど説明もなく繰り出される「どこかで見たことのある」物語パターンの集積とそれのブチ壊し。とか言えるけどやっぱり読んでみるしかない。
(01.1031)



・「さるとびエッちゃん」(2)〜(3) 石ノ森章太郎(1999、双葉社)

さるとびエッちゃん

64〜66年、飛んで71年頃、週刊マーガレット、週刊少女フレンド連載。猿飛佐助の子孫(?)・さるとびエッちゃんが、不思議なことを巻き起こす少女向けギャグマンガ。もともと「おかしなあの子」というタイトルだったらしい。

エッちゃんは「猿飛佐助の子孫」というより、両親もおじいさんも超人的な科学者で、自分も超能力みたいな技を使うという設定の方が活かされている。
第2巻「白と黒」は、石森章太郎独特の投げっぱなし感のある話。差別され続ける黒人との混血少女と、白人との混血少年が出てくる。当然エッちゃんは助けてやるのだが、衝撃的な結末になっている。手塚治虫も投げっぱなすヒトだったが、そこに「そんなこと言ったって生きていくよりしょうがないだろう」という感じの残酷性が明確に漂っているのに対し、石森的投げっぱなしにはどこかファンタジックなおもむきがある。
同じく第2巻「くじゃく殺し」は、お金持ちのお屋敷で8羽のくじゃくが殺され、その犯人をエッちゃんが探る話。今読み返すと、意外と石森作品にはミステリーとは言わないまでも「犯人探し」の話が多い。本作はひたすらに舞い散るくじゃくの羽のイメージで語っていく、ドキリとする内容となっている。
基本的にこの2〜3巻は、私が1巻について書いた感想と同じ印象を抱いた。連載当時の石森少女マンガがどのような位置づけにあったのかは慎重に語らねばならないが、たとえばエッちゃんの素性(両親が天才科学者であるとか)があくまでもときおりチラリとかいま見えるに過ぎず、基本は日常を描いているところなど、強く打ち出さない代わりに作品全体に「品」のようなものが出て、今読むとそのオシャレ具合にびっくりするのであった。
また、第3巻「新しいおともだち(3)」に登場する「友達がいない寂しさをまぎらわせるために、鏡をひたすらに集めて鏡の中の自分と対話する女の子」など、なんというか「詩情漂う哀しさ」みたいなものにウットリさせられる。4巻目「完結編」の作者あとがきによると、そうしたある意味ベタな「少女マンガっぽさ」を加味することは妥協の一種であったらしいが、結果的に作品全体が実にフンワカしたものになっていて、その印象は今も色あせていない。

で、3巻の途中、「エッちゃん再登場」から71年の作品となる。前回から5年後ということになるわけだが、まあ知らないわけじゃなかったがビックリするくらい作風が変わる。コマ割りは劇画調になり、エッちゃんの親友のミコちゃんなんてちょっとエロすぎるくらいに色っぽくなってしまう。なぜか少女誌掲載作品なのに、パンチラまで見せてくれるサービスぶり。
それまで「同級生」でしかなかった男の子も、恋愛の対象になりうるようなのが登場する(天下太平くんね)。私はいつの時代の石森作品も好きなんだが、「エッちゃん」としては71年以降は完全に別の作品のように思う。ので、「完結編」とは別に2巻と3巻の感想を書いてみた。本当に、この頃の石森作品には私の考える「マンガ」のすべてがあったと言って過言でない。
(01.1030)



・「ミルククローゼット」(4)(完結) 富沢ひとし(2001、講談社)

アフタヌーン連載。子供たちが次々と「宇宙ジャンプ」をして戻って来れなくなる「病気」、リーズル症候群が流行。子供たちは他の宇宙へ飛ばされてしまっている。ある日、謎の少女・リーズル吉田の呼びかけで、やまぐち葉菜は飛ばされた子供たちを助ける「ミルク隊」に入隊。恐がりながらも戦いを続ける。

最初からわかりにくかったところに加えて、単行本ベースで読んでいると前を読み返さないとサッパリわからず、アフタヌーン誌上で読んでもサッパリわからず、3巻の時点でよほど投げだそうと思った。で、4巻だけ読んでもさらにわからず、1巻から通して読んだら、アラ不思議、かなり意味がわかった(笑)。
だから、これから読む人は単行本で一気に読むことを勧める。

本作は「エイリアン9」、「プロペラ天国」などに比べると、いちばん子供たちの心情が読みとりにくいというか、ソレがメインではないような気がする。それよりわけのわからん世界を思う存分描きたいとか。意味が通った今でも、ソッチが印象に残る。
というのは、「エイリアン9」における子供たち←→エイリアンおよび先生という関係や「プロペラ天国」における普通人間←→合成人間という関係よりも、対立構造みたいのがずっとわかりにくいからではないかと。リーズル吉田、ハカセ、シッポ族、アリたち、というのが、まあよく読めばわかるんだけど謎として提示され、それがそのままになってまた次の謎が、というふうに接ぎ穂されていくんで、しっかり追っていないとわからなくなる。個人的に2回通して読んで「わかりにくいなあ」と思ったことを順を追って列挙すると、
・わけのわからない生物の中の「シッポ族」の特別性
・わけのわからない生物の中の「虫」の特別性
・子供たちが「大人宇宙」の中に入ってからの展開がずっと続く
・大人宇宙と子供宇宙の関係
・途中で主人公が葉菜ちゃんから別の子に変わっている、たろうも途中から出なくなる
・「しっぽのない葉菜ちゃんの世界」に舞台が移ってから、また新たな敵が登場
といったところ。これらを気に留めていないと、途中からわからなくなって、読んでて疲れた。
(01.1030)



・「リイドコミック爆」12月号(2001、リイド社)

「パート退魔(タイマー) 麗」矢野健太郎
退魔師となった麗美の部屋に、新キャラ裕奈が遊びに(?)来る。そこに淫魔のボスキャラっぽいのが現れて……。
毛野先生の連載が2号続けて休載だったので気になってたら、本作はちゃんと載ってた。しかし、お話も佳境に入ってフッツリと「完」。最終回は単行本化の際、収録されるという。あらら、と思ってたら……。

本誌自体が休刊だという。ガーン。

不幸中の幸いなのはほとんどの作品が単行本化されるらしいことで、このため「お話がブッツリ終わって何のフォローもなくそのまんま」という事態は避けられるらしい。それにしても「リイドコミック」からリニューアルした本誌が休刊したということは、「リイドコミック」というタイトルそのものがこの世から消えてしまうということか。残念だ。また新雑誌の動きがあるのかもしれないし、今のところはわからないけど。

そんな中、「カマキリン」石山東吉はとにかく今、雑誌で読んどけなマンガ。常に「神話」とか「叙事詩」にギリギリまで近づいていく石山ヤンキーマンガにおいて、相当スゴイことになっている回である。
(01.1029)



・「アワーズライト」12月号(2001、少年画報社)

「マレの風 LAND BLUE」今掛勇は、新連載。なんか未来社会の反逆児が、失われた何かを探すような話になるらしい。
「ハニー・クレイ・マイハニー 販促編(仮)」おがきちかは、11月下旬に単行本が発売になる単行本の、まさに販促編って感じのショートコミック。SFおしかけ好きはチェック。
「永遠のグレイス」川崎豪太、伊藤伸平は、初めて読むのだがお話見えず。怪獣が出てた。「川崎豪太」は、確かウルトラマンティガの脚本を書いていた人。
「純粋! デート倶楽部」石田敦子は、私にとってすっかり普通のドロドロ恋愛マンガになっちゃったなあ。
「なつくさ万歩計」山名沢湖は、読みきり。運動不足から「歩いたぶんだけ『奥の細道』のどの辺まで歩いたかが表示される」万歩計を付けて歩き始めた女性の話。エッセイ風語り口から、ファンタジーっぽい流れになっていく過程が心地いい。「万歩計で歩いた距離からさまざまなことを幻視する」ことが是とされているのが良い。ここで「ヴァーチャル体験にすぎない」とか書かれたら、哀しくて泣いちゃうところだもん。
「紺碧の國」水原賢治は、あいかわらず読んでて逃げ出したくなるようなイタさ&恥ずかしさを表現しているにも関わらず、マンガとしてのクォリティは高いという希有な領域を走っている。たとえば「懐かしい気持ちになれる」アイテムが、「パンチコーラ」(コーラ味の飴みたいなやつ)なのだ。同誌の「なつくさ万歩計」における「懐かしさ喚起アイテム」である万歩計に比べると、アイテムとしてのストレートすぎな感じ、拙さはあきらかなんだが、それがまた本作の魅力なんだろうね。
「妄想戦士ヤマモト」小野寺浩二は、「妄想的電脳遊戯」。オンラインゲームで美少女戦士になりきるヤマモトたちの気持ち悪さを描いている。
ところで(ここからは単なる連想話)、前から不思議に思ってたんだけど、昔、「いいとも」で鶴瓶が「小説を書いてる人って、作品の中に出てくる女の人のセリフを書いているときに、自分が女役を演じているわけでしょ。あれってヘンですね」みたいなことを言っていた。落語家で自分が女役を演じることもあるというのに、ヘンなこと言うなーと思っていたら、作家の山川健一のエッセイで「高校時代の友人は、オナニーするために学校の授業中ずっと架空の女のを口説き落とす妄想を頭にめぐらせていて、妄想内でいよいよベッドインというときに家に帰ってそれをオカズにオナニーする。この方法の難点は、妄想内で自分が女役をやらなければいけないこと」と書いてあった。山川健一も作家として女性の出る描写もたくさんしているというのに、この違和感はヘンだな、と思ってた。
しかし(やったことはないが)オンラインゲームで女キャラを女セリフで動かすとしたら、私もそうとう違和感を感じるだろう。マンガを描いて女性キャラクターを出すときに「おれって女役やってんだよなあ」と思ったことはないんだけどね。この差は何なんだろうね?
「ひねもすヨメさん日記」小野寺浩二は、「こんなヨメさんが欲しい」とただ描いてるだけの1ページマンガだが、よくこんなこと描けるなあと思った(笑)。三十過ぎて独身だと、さすがにバカバカしすぎてこういうこと描く気にもなれないから。いや、でもだれかが描かないといけないだろうこういうことも。
「ひねもすヨメ日記」ひぐちきみこは、4コマ。「M女にヘンな着ぐるみ着せて、そのカッコでホチキスの針だけ買いに行かせる」ってギャグとして描いてるけど、それって立派なSMだよ(笑)
(01.1029)



・「COMIC阿ロ云(あうん)」12月号(2001、ヒット出版社)

「サンマルツァーノ2」師走の翁は、先月号の続き。よくわかんないんだけど「シャイニング娘。」が事件に巻き込まれてエッチなことさせられるマンガらしい。どうもファンタジックな設定らしいが、よくわからん。先月の続きで「槌」と「匣」がデリヘルをやっている。そして次号へのヒキには「シャイ娘。」メンバーのあの人とあの人が登場……。いや〜この作者の描く芸能人ってスゴク似てるんだよな〜。で、実在の人物の似顔絵を描くと「針すなお」みたいになっちゃってエロと無縁の境地に行っちゃったりすることも多いんだけど、この作者の絵は、似ててエロい。
それと、「モー娘。」にちょっとでも興味のあるヒトなら(こんなトコでわざわざ伏せ字にする必要もないと思うんでしないが)わかる細かい描写があって、たとえば振り付け師の「夏魔弓先生」がチラリと出てたり、しかもTシャツに「かに」って書いてあったりする(夏先生は無類のかに好きらしい)。
そして、似てる似てないとかオタク的ディティール以前に、このヒトのマンガはエロい。合体からフィニッシュまでの盛り上がりがある。あえぎ声の書き文字が筆で書いたみたいでイイね。
石ノ森章太郎の60年代の作品を読んでると「もしかしてマンガって、70年代までで全部終わってんのかなァ」と思ってしまう(もちろん異論が山ほどあるのはわかってるが)んだが、本作を読んでるといろんな意味でどうもそうでもないって思えてくる。
(01.1029)



・「さるとびエッちゃん」(1) 石ノ森章太郎(1999、双葉社)

64〜65年頃、週刊マーガレット連載。猿飛佐助の子孫・さるとびエッちゃんが、不思議なことを巻き起こす少女向けギャグマンガ。

今までちゃんと読んだことがなくて、それは「女の子のマンガ」だからという理由が大きかったかも。アニメは小学生時代に再放送で少し見てたけど、洗練度としては藤子アニメより少し落ちるなと思ってた。なんかそういうのが気になる年頃だったのよ。

で、本作なんだけど描線がムチャクチャシャープで、今見るとカッコいい。お話はたわいなくって、エッちゃんと友達のミコちゃん(「オバQ」のヨッちゃんとまったく同じ顔)とモモちゃん(オッチョコチョイタイプ)が事件に巻き込まれたりいじめっ子をやっつけたり、というもの。貧しさや両親との死別が繰り返しテーマになったりすることが多いというのは、やっぱり「時代だなあ」と思う。表現やタッチの新しさと、ストーリーの昔ながらな感じが興味深い。
ギャグも決して大笑いするようなものではないんだが、とてもホノボノとした気持ちになれる。夏目房之助だっけか、「ギャグマンガ」じゃなくて「ゆかいマンガ」というジャンルがあったと言っていたけど、まさにそんな感じだ。もっとも「ゆかいマンガ」の存在については金と時間の関係で確かめようもない。「発明ソン太」が古書価格で1冊1000円以上して、「怪球Xあらわる」が1万円もする時代じゃね……。
しかし本作が64年、ということはその5年前くらいの時代の他の作品群(石森作品にかぎらず)がギャグマンガの変遷としては気になるところだ。

話を本作に戻す。石森章太郎、何でも描けると言われているが、実はギャグで面白いと思ったためしがなかった。「マンガ家入門」に載ってた「テレビ小僧」はスラップスティックを意識しすぎてると思ったし、「ロボコン」、「ゴレンジャーごっこ」も悪くはないがいわゆる「ギャグマンガ」として面白いかっていうとちょっと違う気もしてた。
でも本作はイイ。なんとなく楽しい気分になれて、ちょっと泣けて、カワイイもの(子犬とか、子供とか)が出てくる。だから、石森ギャグ作品を総ざらいしたわけではないが、エログロを意識しすぎてから、あるいは本作のような「ほのぼの路線」が受け入れられなくなってから、石森ギャグはその役割を終えてしまったのかも、と半可通的に思った。

そういえば私の大好きな「オバQ」も、「エッちゃん」と共通するほのぼの感、そして「ゆかいな感じ」を兼ね備えた作品だが、ギャグマンガとしてかえりみられることはまったくなくなってしまった。新オバQもあったが、その後「F」氏の少年マンガとしては、「ドラえもん」に代表されるようなSFガジェットやSF的設定を主眼とするものばかりになった。やっぱり60年代後半に、少年マンガ(児童マンガ)において、何かが終わったんだろうなァ。

ところで、エッちゃんの両親は宇宙旅行中らしい。エッちゃんのママから母の日に通信が届く。

「エッちゃん元気ですか パパの研究がのびてなかなかうちへかえれませんが……ゆるしてネ ……いっしょに火星の運河のほとりにさいている花をおくります」

「火星の運河のほとりにさいている花」!! 最高だ。もう何も言うことはない。
(01.1028)



・「バキ」(10) 板垣恵介(2001、秋田書店)

週刊少年チャンピオン連載。ドリアン編決着から、シコルスキー編導入部、オリバ登場まで。
再読してもやっぱり納得のいかないドリアン編だが、「敗北を知らないつもりが一度も勝ったことがなかった」というくだり、前にさかのぼって伏線をちゃんと張ってればまだなんとかなったんじゃないかと思う。こういうのを直すのはアニメの仕事じゃないかとも思うんだけど、たぶん直らないんでしょうな(そもそもみんながそこを「欠点」だと思っているかどうかだって知らないし)。
まあ、今回は梢江を助けに来た刃牙が最高にカッコよかったのでよしとしますか。ほとんどギャグ一歩手前なんだけどね。もともと熱血マンガってそういうものだから。
(01.1027)



・「眉引きの鉄」全2巻 数浜哲巳(1991〜92、集英社)

スーパージャンプ連載。流浪の宮大工・南条鉄矢は、ふだんは眉毛の薄い、どちらかというとナヨッとした感じの青年だが、実は「神通墨」を両眉にひくと、筋肉ムキムキになって超人的な力を発揮する「ごおすとはんたあ」、眉引きの鉄である。
「神通墨」で図面を引いた神社仏閣は、神に通じる力を得る。今日も物の怪を退治し、建物を修復して回る鉄なのであった、という1話完結もの。

わりと民俗学などの知識によるプロットがしっかりしていて、さらにクライマックスでは鉄がキッチリ「変身」して妖魔とガッツンガッツンに戦うという、ワカッテルマンガ。
たとえば第四話「巡行仏走る!」では、宿敵・お蘭が邪通朱墨(邪悪な力を持った朱墨)のパワーを入れた巡行仏を青森から回らせる。「巡行仏」とは、人間が寺院を巡礼するのとは逆に、神仏の像を人々が巡回させる風習のことらしい。これによって災いが邪通朱墨とともに南進する。
これに対抗し、鉄は沖縄のノロ(巫女)の力を借りて、神通墨のパワーを入れた聖徳太子像(大工の職業神)を北上させる。発想としても面白いし、最終的に鉄とお蘭の肉弾ガチンコ対決になるのも勢いがあってイイ。

91年というとバブル真っ盛りの頃で、本作の時代背景にもバブルの波が見え隠れする。当時は地上げや相次ぐビルの新築などに合わせて、経営者が魔道師と組んで大規模な呪法を執り行う、というような話が少なくなかった。
コレはたぶん、高度成長の裏に土着的なナニかが隠されているという半村良→80年代的何でもあり路線の夢枕獏&菊地秀行、およびスプラッタムービー流行→都市論がらみの「帝都物語」に連なる系譜だと思う(マンガだと「孔雀王」)。
後に京極夏彦の出現や「リング」などのホラーブームで、妖魔の描き方がそれまでと異なり一気に「内面化」すると思うのだが、それはまだ先の話。
(01.1026)



・「週刊少年チャンピオン」48号(2001、秋田書店)

「バキ」板垣恵介は、「オリバが柔道をやる」というなんだかまったくわからないヒキ。ヒキの新機軸。やっぱり「バキ」の他の少年マンガと違う特異性っての、どっかで指摘されなければならんと思う。
「虹色ラーメン」馬場民雄は、文化祭での生徒会との対決、決着。う〜ん、個人的にはもうちょっと生徒会長がたたきのめされてもいいと思うなあ〜。以前チャンピオンでやってた「鉄鍋のジャン!」でも思ったんだけど、グルメ対決マンガは勝敗をハッキリさせないと、メリハリがつかないと思うんですよ。そもそもこの生徒会長は悪人なんだからもっとヒドい目にあった方がいいよ。
「エイケン」松山せいじは、霧香の素性を探るため、伝助ほかエイケンメンバーが後をつけるという話。霧香をつけるうちに、メンバーがさまざまなアクシデントで脱落していくという実に他愛ない話だが、私はこういうのがわりと好きなんだよな。昔の藤子不二雄のマンガみたい。
「フジケン」小沢としおは、マーチンとの決着編。意外と話が広がらずに終わった。もしかして、作者はもうケンカモノはあまりやりたくないのかな? まあ本作は、地元マッタリ系ヤンキーモノとしては作風を確立してるからいいっちゃいいんだけど。
「夢空間へようこそ(前編)」七神銀次は、淫魔みたいな謎の美女に魅入られた女子高生が恐怖を体験する話の前編。
「ななか6/17」八神健は「忙しくてイヤになったサーカス少女」とななかが1日交替する。「流浪のサーカス少女(少年)と主人公の交流」という、少年マンガや少女マンガにおける伝統的エピソードだ。最近あんまり見られなくなったけど。今でも転校を繰り返すサーカス少年っているんだろうか? ……まあ「サーカス」があるかぎりいるんだろうなぁ(ここから先は直接関係ない話)。
15年くらい前に、転校し続けるサーカス少年(小学生)のドキュメンタリーをテレビでやってて、その彼が「クラスになじんで友達をつくる」ことが得意だって言うんだよね。度重なる転校の中で身に着けていった処世術みたいな感じで。
で、「どうやったら友達をすぐにたくさんつくれるか」と聞かれて、いろいろ答えたり当時のクラスメートとの質疑応答みたいなのがあって、「○○くんって友達何人いるのかな?」って聞かれたときに、「よく考えると……いない……」とか言い出して、その子になんかダークな気持ちのスイッチが突然入っちゃって。「ぼくの友達づくりはうわべだけだ……」みたいな。それがすごく印象的だった。がんばれサーカス少年(少女)。怪人二十面相もサーカス出身だ。
「おやつ」おおひなたごうでいつも思っているのは、読者の投稿コーナー「今週のオリキャラ」が面白いなーということなんだけど、単行本には収録されていない。これって著作権の問題なのか? そうすると、ラジオのリスナー投稿だけで成り立っている本とか、どうしているのだろうか?
「チャンピオンカップ」のでじこのコメントは、いつもテキトーでストレートでスバラシイ。
(01.1025)



・「気ンなるやつら」全1巻 石ノ森章太郎(2001、双葉社)

気ンなるやつら

「平凡」65〜68年連載。双葉文庫名作シリーズとして復活。
高校生の6ベエマリッペカミソリリスゴリラ(いずれもあだ名)の仲良し5人組、主に6ベエ&マリッペが、ケンカしたり仲良くなったりしながらスパイ同士の抗争や、殺人事件や、麻薬の密売や、ミステリアスな事件に巻き込まれ冒険する青春ラブコメディ。1回がだいたい6ページの1話完結形式。

そう、これって「ラブコメ」なんだよね。6ベエとマリッペは家が隣どうしで、屋根をつたって自室に出入りできる仲(確か「イナズマン」もそうだった。年甲斐もなく書くが、憧れたよなあ(笑))。むろん35年前の高校生なんでほとんど手もつながないような間柄だが、深いところではお互いを意識しあっているというわけだよ。
今の「ラブコメ」から見て、本作は「BOYS BE...」的なモノと考えると飛躍しすぎているし、「SF美少女マンガ」的なモノと考えると逆に基本設定に飛躍がなさすぎると言えるんだけど、「ラブコメ=シチュエーションコメディ」と考えられていた当時はコレが当たり前だった(ハズ)。現在でも小学生向けの少女マンガでは、日常のサマツな心の動きがどうしたこうしたではない「飛躍した」ラブコメを見かけるけども、中高生向けではあんまり見ない気がする。……というように、本作を読んで現在のマンガにおけるラブコメの特殊進化に思いをはせるのも一興だと思います。

……などと当初知ったかぶって書いたのだが、石ノ森章太郎研究ページ気ンなるやつらの項によると、連載当初は仲良し5人組が事件を解決するのが主旨で、途中から6ベエとマリッペの恋物語に焦点がシフトするらしい。路線変更が行われたわけ。
まったく冷や汗ものとはこのことである。私のように単行本だけ読んでいると、勇み足してしまうこともあるのです。まあそのことを差し引いても、本作が「ラブコメ」の「コメ」を強調していることには変わりがない。あくまでも男女のキビはそんなに掘り下げず、「おはなし」に徹する作品が最近あまりに少ないので、そういう意味でも懐かしい作品である。(02.1031)

それにしてもオッシャレー、なんだよなァ。まあ当時の風俗を忠実に反映してるかどうかは私にはわからないんだけど、たった6ページで6ベエとマリッペの心の動きを描いた回あり、ファンタジックな話あり、ヒチコック的サスペンスあり、スラップスティックありで毎回ウットリする洗練度。
表紙が「スタイル画(って知ってる?)」風のマリッペなのもカッコいいし。
ページを縦に分割してまったくセリフなしで進めたり、上下に分割して別々に進行したお話が最後につながったり。ホント、やはりどうしても「石森章太郎は今のマンガの通る道は1000年前に通過してた」と言わざるを得ないよ(まあマンガの「技法」に関しては、あんまり石森礼賛ってのも異論反論ありそうで微妙なハナシだとは思うが)。

今、同じことをやろうとすると、どうしても何かを突出させざるを得ないんじゃないか。たとえばオシャレ度とか。あるいは技巧とか。当時の「平凡」がどの程度コジャレた雑誌だったのかもちょっと知らないんだが、たぶん普通にみんなパラパラめくってた本だと思うんだよなァ。そういうところに本作が6ページ、入ってるというのは、イイ話だと思う(もちろん中にはいいかげんな回もあるけどね)。

実は本作、むかーしウチにあって、小学生のときに読んでいたのだ。今回再読したら、覚えていたのは「マリッペがミニスカートをはいてきて、6ベエがびっくり仰天」とかそんなエッチな話ばかりだった(笑)。
(01.1023)



・【秋の新作アニメなど】

ネットを巡回していると、秋のテレビアニメについての発言が目立つので、マネしてみようと思った。マンガが原作のモノもあるし、ってコトで。が、とても全部は見れないし、CS、BS、WOWWOWなどは(加入してないので)全部見ることができない。また、評判がよかったので2話目以降から見たものもある。いわゆる後出しジャンケンだ。それにしてもスゲエアニメの数だ。20年前はそんなに多くなかったと思う。
めぼしいものは一応見た……つもりでいたが、「ヘルシング」を忘れてたよ! まあ、後だ後。でなきゃいつまで経っても書けないもん感想。

・「料理少年Kタロー」(NHK教育、18:00〜18:30、土曜)

まず実写作品を。料理の天才Kタローが、「七福神」とかいう料理の鉄人みたいなヤツらに挑まれ、料理をつくる話らしい。すでに3回やっていて初回だけ見たが、「K」というカッコいいロゴの入ったコック帽や水木一郎のエンディングテーマなど、狙っているし面白くなる要素満載なのに、どうにもこうにも展開がタルい。
また、主演の少年のものすごい「ヤンキー面(づら)」や、彼を密かに恋してる同級生の少女の実に憎たらしい顔、またK太郎憧れの女性役の佐藤江梨子の脱力演技など、視聴者を微妙にイライラさせるアイテムには事欠かない。続けて見るかは微妙。

・「くるくるアミー」(テレビ東京、06:40〜45、月〜金)

「おはスタ」の直前にやっているアニメ。それまでは、子犬が遊んでいるところをエンエン映すという実写番組だった。編み物の中身の綿が生命を持ち、自分で毛糸を編んでそれを被り、カメなどとコミニュケーションするというカワイイ系作品。ホントにカワイイ。朝からなごむ。

・「ちっちゃな雪使いシュガー」(TBS、26:20、火曜深夜)

総監督 : 桜井弘明。「季節使い」の妖精シュガー、ソルト、ペッパーの3人が、女の子の家に居候してどーたらこーたら、という話らしい。3人の姿は居候先の女の子にしか見えない。まあ「冒険コロボックル」とか「とっとこハム太郎」みたいな話なのだろう(ホントか?)。
私が見た回では「きらめき」を探す、ということで3人が町中をウロチョロする、という起伏のない話だった。が、まったくどうしようもない退屈さはない。キャラクターデザインがコゲとんぼなので、そういうのが好きな人にはオススメか。

・「機動警察パトレイバー レイバーセレクション」(テレビ東京、24:45、水曜深夜)

パトレイバーの再放送らしい。実は以前に1回も見たことないので(友達に半ばムリヤリ「二課の一番長い日」だけ見せられた)、「ビデオ借りなくていーや」というような儲け感はある。それにしても、もう10年くらい経っちゃったねえ。

・「バビル2世」(テレビ東京、03:10、金曜深夜)

ストーリーは解説不要? あれだけ起伏のある原作なのに、第1回の前半だけで眠くなった。中途半端にイマっぽくしてるのもどうか。逆に言えば中途半端に古いということだ。「テレパシーで危機を察知して、工事現場の鉄骨をよける」っつうのは、古いと思いました。新キャラのおねーちゃんも、いらない感じ。

・「激闘! クラッシュギアTURBO」(テレビ朝日、07:00、土曜)

トゲトゲの付いたミニ四駆みたいなオモチャ「クラッシュギア」をぶつけ合うという競技の物語(要するに「ミニ四駆」+「ベイブレード」なのか?)。確かボンボン系。オモチャのCGの、内部の歯車がアップになっていくところとかは新鮮だけど、裏番組が「パワパフ」なので続けて見るかどうか微妙。

・「ヒカルの碁」(テレビ東京、19:27、水曜)

平安時代の囲碁の名人の霊が乗り移った少年が、囲碁界に挑戦する。
実はこれも原作を読んだことがなかった。少年マンガの盛り上げのツボを押さえた演出だと思う。少年マンガ的アニメ、ハタから見るとメリハリが簡単なような気がするのだが、むずかしいらしく(って何でもそうだが)「熱血!」という感じのものにはなかなか巡り会えない。が、コレはいい。番組最後の実写囲碁講座「GOGO囲碁」も味がある。

・「ココロ図書館」(テレビ東京、25:15、木曜深夜)

新聞のテレビ欄に「ココロ」としか表記されておらず、なんだかわからなかったので第1話を見逃す。山奥の図書館に、メイド服を着た美人三姉妹の司書がいて、彼女たちのマッタリした日常を描くアニメらしい。第2話を見たが、あまりに何も起こらないので驚く。「シスプリ」もそうだが、こういうの流行ってるのか!? ……っていうか、もはやラブコメのドラマに、視聴者が感情移入できる男性キャラはいらない、ということなのだろう。
「説明」がどんどん省略されていくオタク向けアニメの世界。20年くらい前、評論家の大塚英志がいわゆる「触手」を使ったエロパロマンガを「強姦者の不在」と言ってたが、今や恋愛モノでは「物語内で恋愛する男性」もいらないということなのか。などと咄嗟に考えてみた。でもそういうことだと思う。

・「サイボーグ009」(テレビ東京、18:30、日曜)

「死の商人」ブラック・ゴーストに改造された9人のサイボーグが、反旗をひるがえして戦う。
ネットで評判のよかった第1話を痛恨の見逃し。第2話を見たが、絵は荒れていたもののテンポよく見せるアニメと見た。キャラデザとしては、80年代頃の、少年サンデーとかでやってた頃の石森章太郎の絵柄。すでに指摘されていることだが、メカ描写が完全に30年以上前な感じなのがスゴクいい。ザコの敵ロボットとか、もう最高だ! 003も最高だ! 「009」そのものはずいぶん長く続いたが、やはり基本的には「戦争」をテーマとし、「抜け忍」的プロットで追われ追われてそれを撃退するサイボーグ戦士たち、という初期コンセプトの素晴らしさに尽きる(その後のも嫌いじゃないけどね)。それを思い出した。
原作でただひとつ不満だったのは、009と003がなんでくっついたのかロクな描写がなかったことだけど(たとえるなら職場でいつの間にか付き合ってたやつらに近い印象)、本作の第2話では頭上の岩が崩れてくるときに、009が咄嗟に003だけ助けてしまうという描写があってよかった。
小室哲哉の主題歌はまあどうでもよさげな感じだが、本当にシンセの音ってテレビでは映えないなー、と思った。やってもあまり意味ないのでは。
(01.1022)



マンガを読むペースが落ちている。まあいろいろあるからなんですが、早く更新しなきゃという気持ちと、年齢的には別にそんな焦らなくてイイやという気持ちと両方ある。
年齢的にっつーのは、アンタ、私くらいの年で、純粋に趣味でHPやってて激しく更新してるのってそんななくないですか? 普通は会社に泊まり込んだりして仕事してますよ。後は奥さんのご機嫌とったり。こっちはそういうのないですから(なきゃいけないんだけど)。アニメ「テニスの王子様」録画して、1回も見ないで消したりする今日この頃。

・「ウルトラセブン 完全版」 一峰大二(1998、朝日ソノラマ)

「ぼくら」掲載。「ウルトラマン」に続いて、引き続き描かれたらしい。67〜68年頃。

個人的には同作者の「ウルトラマン」より面白く読んだかな。1年くらいしか違わないけど、導入部に凝ったり、劇画的な表現が多くなっているような気がする。そのぶんお話に起伏がある。
テレビ版の怪奇色がうまく出ている話が多い。テレビの方の詳細を忘れちゃってるんでアレですが、オリジナル宇宙人や怪獣も多く混ざっているはず。いちばん気に入ったのは第11話「バンダ星人の巻」
「手術をしたがらない重病の子に、ウルトラセブンを会わせると約束する」というまあありきたりな話なんですが、バンダ星人にやられて傷つきながらも少年との約束を破らないダンとか、少年マンガの基本って感じで好きです。
最終回はテレビ版の情緒が欠けているかわりに、もうちょっと骨太な「男の子」って感じの話になっていたのでは。もっとも、私が鮮明に覚えているのは「ぼくはウルトラセブンなんだっ」ってところだけですけども。
(01.1021)



・「ウルトラマン」全2巻 一峰大二(1997、秋田書店)

「ぼくら」掲載だから実際に描かれたのは30年以上前だと思う。サンデーコミックス(「少年サンデーコミックス」ではない!)の完全復刻版。
登場怪獣は、バニラ、アボラス、スカイドン、バルタン星人、サイボーグ恐竜、ケムラー、ゴモラ、レッドキング、マグラ、チャンドラー、ペスター、グリーンモンス、ギャンゴ、ヤマトンなど。

えーと、もともとの特撮「ウルトラマン」のエピソードをほとんど忘れちゃってるんで比較はできないんだけど、このマンガではなんかウルトラマンがやたらと「八つざき光輪」を使う。「スペシウム光線がきかない→八つざき光輪でやっつける」というパターンが多い。それにしてもスゴイ名前だな、八つざき光輪。
1巻では「サイボーグ恐竜の巻」が個人的には面白かった。南極で、氷漬けにされた「古代の宇宙人のつくったサイボーグ恐竜」タンギラーが発見され蘇り、原子力発電所を狙うという話。たぶんオリジナル怪獣か?(違ってたらゴメン) デザインはずいぶんぞんざいだけれど、「原子力発電所に怪獣を近づけさせない」ってだけの話をうまく盛り上げている。ウルトラマンもちゃんと「八つざき光輪」以外の技を使う。あ、あと「怪獣スカイドンの巻」に出てくるリニアモーターカーがちょっとイイ。
2巻では、ウワサに聞いていた「怪獣ヤマトン」だろうやっぱり。背中に戦艦大和がくっついているというか、戦艦大和の下に怪獣がくっついているというか、そんな斬新すぎるオリジナル怪獣。別に反戦がテーマってわけでもなくて、ウルトラマンと肉弾戦を見せ、くだけたオチでそのままストンと終わってしまう。

一峰大二って、未来的メカや怪獣はわりと細密に描いているのに、肝心のウルトラマンがなんだかスゴクぞんざいだ。毎回同じデザインのウルトラマンより、怪獣やメカを見ろということなのだろうか。それとも怪獣を描くだけで疲れちゃったとか。単に手を抜いただけか。謎。
(01.1018)



・「週刊少年チャンピオン」47号(2001、秋田書店)

「バキ」板垣恵介は、最終ページがよかったね。なぜなら、脱出口に服を隠しておくのは基本だからだ。何の基本か? むろん、江戸川乱歩の少年探偵シリーズでだ!!(「だ!!」ってほどのことでもないが)
あとは「赤い肉も白い肉も 同じことじゃて」ってセリフかね。まったくこういうフレーズ思いつくの、うまいよなあ。
「浦安鉄筋家族」浜岡賢次は、グラップラー垣(ガキ)親子がまた登場。垣(ガキ)っつっても顔はジャック・ハンマー。 冒頭の垣(ガキ)のかあちゃん(「オーガ」にソックリ)が、握り飯にぎってるシーンからオカシイね。「飯食ってるシーンでも恐い」と言われるのが楳図かずおだが、「飯食ってるシーンでも格闘技」なのがバキだってことがよくわかる。
「エイケン」松山せいじは先週から引き続き文化祭ネタ。「小萌の胸がフリークス的にユッサユッサ揺れる」、「顔射を思わせる描写」ってのは定番化したな。……っていうかもはやマンネリか……。まあそういうとこばっかり期待されても、作者としては困るんだろうけど。
「虹色ラーメン」馬場民雄は、ついに文化祭での生徒会ラーメン部潰し計画。ラーメン部に対抗してラーメンを出す生徒会……。
この回さあ、絶対狙ってるよねえ(笑)。見開きの表紙とか……。もはやラーメンマンガでも学園マンガでもないカンジ。生徒会長のラーメンに対する憎しみも、ほとんど狂気の領域へ。しかし、本作がぶっとびマンガ化することは多分ないだろう。ギリギリでおさまると思う。それが本作の味なんだろうね。
「フジケン」小沢としおは、ただひたすらにフジケンと敵がブン殴り合う回。すばらしい。何回読んでも、フジケンの「強さ」の理由が甚だ不明瞭なところがイイ(強いてあげれば異常にタフだということくらいか?)。それでこそ不良の伝説となる。
(01.1018)



・「YOUNG キュン!」11月号(2001、コスミックインターナショナル)

成年コミック雑誌。

「激しい課外授業」毛野楊太郎は休載。作者が風邪だそう。雑誌表紙を見ると「最終回」と描いてあるが、次号におあずけか。代原として載っていたのが「クセになりそう」。若い男のミリョク&自分の淫乱さに(たぶん)溺れていく人妻が、夜の公園でプレイを。作者らしいと言えばらしい読みきり作品。

「チョコレートメランコリー」島本晴海は、途中から読んでてよくわからんのだけど、すでに単行本が2巻出ている長編Hマンガ。まとめて読めば面白いのだろうという予感はする。本誌掲載の続きモノは、ドラマづくりがしっかりしていてたいていハズレなし。
(01.1015)



・「アイラ」 Vol.13(2001、三和出版)

「閉安所愛好会」掘骨砕三は休載。代原として「下水街シリーズ」の一編である「三流悪魔」が掲載されている。架空の街の下水道に住む、娼婦(といっても外見は少女)の粗目(ざらめ)、その友達の少女・煉瓦と「女衒」という名の三流悪魔の話。いつ頃描かれたのかは不明だが、ちょっと懐かしいテイストをもったファンタジックなHマンガ。
「淫囚」ACT.7近石まさしは最終回か? 女囚モノなのだがもう毎回まいかいウンコ、ウンコ、ウンコの嵐。コレはスカトロファンの人にこそ正当な評価ができるものだろう。ちょっと私はついていけませんでした……。
「Oh! my DOG#2 犬嫌い」その4毛野楊太郎も、雑誌表紙にはタイトルが載っているところを見ると、休載。代原(?)として載っているのが「みんなやってるコトだから」。ホテルでコトにいそしむ男女、しかし男の方は「みんなやってるんだから」と、AVやアニメやゲームでやっていたことをそのまま彼女に試そうとする。顔射、強制オナニー、アナルセックス……。しかし女の子の方はちっとも気持ちいいわけがない。おっ、「ふたりエッチ」みたいなH教本的マンガになるのかな? と思いきや、それがこのままでは終わらないんだよなコレが。佳作。
それにしても「キュン!」と同時に2本とも代原だったんで、マジ心配です。体調回復を願ってますホントに。
「裏口」第5話 天竺浪人は、しばらく読んでなかったんでお話は見えないが、たぶん面白いんだろうなと思う。まとめて読みたい。

ところで……巻末の「同人世界2001」というコーナーですが、最初の3ページ、本来入るべきカットのところにぜんぜん違うイラストが入ってません???
いや非難するわけじゃなくて、どうしてこんなことが起こったのかなあと。たぶん見た人はだれでも気づくと思うんで、指摘させていただきました……。
(01.1015)



・「パチスロ7Jr.」パチスロ7 11月増刊号(2001、蒼竜社)

実は私、パチスロってテレビの「ミニスカポリス」で打ってるとこくらいしか見たことないんだよね……。

「やんちゃ外伝」しのはら勉、監修/射駒タケシは、「パチスロ7」連載作品、「やんちゃブギ」の主人公の高校時代を描いたマンガ。とりたてて何と言うこともない感じなんだけど、ヤンキーライフがしみじみとリアルだなあ。
「ヤマアラシ」宮塚タケシ、原作/鶴岡法斎は、妙にシロウトっぽく打ってる人に親切な堀田。しかしそれには堀田なりのプロとしての考えが……。現代風というか、昔のアウトローものとは違った世知辛さ&泣かせがある。
「ボンバーG」りゅうりゅうじは、勢いはあるがオカルトばっかり信じてちっとも勝てない、勝つことより「パチスロでエキサイトする」ことを目的とした岩(がん)さんの話。……と思ったら、今回オカルト情報はナシ、実は昔、岩さんは旅打ちをしていたことが発覚。どうしたんだろう。路線変更? しかしもともとプロっぽいことしてたんなら、現在のオカルト頼みがよけい空しく感じるけど……。
(01.1015)

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