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「つれづれなるマンガ感想文」3月後半
「つれづれなるマンガ感想文」4月後半
一気に下まで行きたい
マンガ、アニメ、ゲームと多方面で活躍する眠田直氏の同人誌の総集編。96年夏コミから99年冬コミまでをまとめている。
内容は「オタク・アミーゴス」のイベントレポートや、自分の趣味の話など雑多な報告という感じ。「オタアミ」のイベントレポは、そのときのネタのごく簡単な解説だけでも充分面白い。もちろん実物やその場のトークを聞けばもっと面白いんだろうけど。それと、自分が見に行ったイベントを思い出しながら読むのも楽しい。なんつーか、本の目次とかDJが何を回したかの表だけでも楽しめるような感じに近いですか。DJにたとえるはアレかな、とも思いますが。
ところで、本当は冬コミで購入する予定だったのだが、私当時よほど疲れていたと見えて、サークル名の「WAR……」の冒頭をワーと読むのかウォーと読むのかわからなくなってサークルを探し当てることができなかった。というわけで通販で購入。自分、精神弱いっス。すいません。
殺人に快楽を見いだす死刑囚が日本に集結する格闘マンガの新シリーズ、第2巻。
ヤングマガジンアッパーズ連載。空手で地上最強を目指す「田中牛肉」(顔はブルース・リー似)が巻き起こす珍騒動……といった展開だが驚くべきことに空手のシーンがまったく出てこない……どころか、作者は「空手バカ一代」と「グラップラー刃牙」だけを読んで描いているのではないかと思われるほどに空手が出てこないギャグマンガ。だいたいブルース・リーは空手じゃねーし。
このため「空手を題材とした」という必然性がまったく感じられず、連載第1回目のインパクトはあったものの「こりゃハズしたかな〜」と思っていたら、途中から町内のトーナメント戦に突入(これも刃牙と同じような展開)。
月刊少年チャンピオン連載。特捜1課に配属された矢崎大介は「マイコン刑事」と言われるようにポケコン・マイコンを駆使して犯人逮捕に奔走する。
個人的には、マイコン少年が大人たちから「テクノ子族と呼ばれている」(呼ばれてたか? 流行語大賞か?)という言葉(第2巻 第五話「テクノボーイと少女スリ」)や、特捜1課と銀行強盗が知能戦の末、せまい路地でのポケバイ・カーチェイスを繰り広げる話(第3巻 第十三話「ポケバイ・ライダー」)などが面白かった。
なお、単行本3巻からは突然、特捜1課は「凶悪犯罪専門の特別部隊」に生まれ変わってしまい、メンバー全員ウルトラ警備隊みたいな制服着用で飛躍度はアップする。そのくせ、とつぜん「秋葉原でパソコンを買うときのポイント」が作中で解説されるなど、マイコンの多様性(要するにマンガの題材にしにくいってことか)を物語っている。
なお全般的にカー・チェイスのシーンが異常に多く、おそらく原作者はマイコン並みにクルマも大好きなのだろう。
アクション劇画の金字塔「野獣警察」の、西塔紅一が原作を手がける。
「野獣警察」同様、軽妙なナレーション、やや突飛な事件、唐突な(ときに悲劇的な)結末という点で各話ほぼ共通している。テンガロンハットにヒゲもじゃの弁慶、仕事先でも奥さんや子供のために編み物をしている牛若丸(編み棒を投げて武器にもする!)と、ビジュアル的にもハッキリしていてキャラ立ちも充分。西塔紅一ファンならオススメ。ゲットしておきたいけど、わたし古書マニアじゃないから……入手困難度はワカリマセン。ごめん。
連載雑誌、年度不明。凶悪犯罪に立ち向かうため密かにつくられた警視庁捜査五課。
まだ峰岸とおるの絵も、後のように何とも言えない脱力テイストはなくハード路線、内容は1話完結形式だが、生き場所も死に場所も見つからない暴走族の閉塞感を描いた「750ブルース」や、刑事の腐敗を描いた「刑事(デカ)ダンス」、ハプニング映画撮影中にどんな大事故や事件が起こってもまったく気にしない狂気の映画監督夫婦を描いた「白昼堂々」など、70年代テイストがひしめいており個人的にはけっこう楽しめた。
100てんコミック連載。初期の原案協力に梶川良。
最初は中途半端にリアルな話が多くて「コドモ向け刑事アクション」の域を出ないが、後半になるにしたがってよい意味で荒唐無稽になってゆく。
不審な点を特殊に捜査するオールマイティの検事(Q・1)・結城信念を主人公とした物語。
鏡美猫(かがみ・みねこ)は、警察病院に勤務する飲んだくれ外科医。しかしその裏の顔は、特別医務局の尾形教授からの秘密指令によって、悪を倒す「闇の処刑人」なのだ!(つまり「メスを持った猫−メス猫、という意味もあるらしい)
敵は多岐にわたり、新興宗教教祖、芸能プロ社長、狂気の芸術家、スイミングスクール経営者などなど。
また黒のツナギでバイクをかっとばしアクションを繰り広げる、「峰不二子系」を堪能するマンガ(正確に言うと峰不二子とはちょっと違うけどね。アネゴ系なんで)。
巻頭グラビア、川村亜紀。ムリヤリ形容するなら小池栄子系統の巨乳美少女なんだけど、写真で見るかぎりもうちょっとファニーフェイス。
・「ジェンマ THE PASTAMAN」 笠原倫
15号の感想に「対決のときはせまる。」なんて書いたが、けっきょく激しい料理バトルではない展開になった。でもそっちの方がいい意味で期待を裏切られてよかったけど。
・「空手小公子 小日向海流」 馬場康誌
15号の感想で「今回の新連載とはまったく関係ない話ではあるが、『空手マンガ』が始まるとき、そこには『新しさ』が強く求められる(というか私が勝手に求める)ところにまで来ているのではないか、『脱・空バカ』を目指さなければならないのではないか」って書いたけど、でたあッ、「マウント・ポジション」!!
現在「ケンカ空手」を描くなら、この問題はルールなり、技なりで克服しておかなければならない……と私が勝手に思っていて、本作にソレが出るかどうか気になってたんだけど、出た!
なんかひとつ信用したな、このマンガを。
・「アウト・オブ・オーダー」 赤沈太郎
休載した「湾岸ミッドナイト」の代原ギャグマンガ。別にページさいて「GAG大賞」の受賞作がまとまって載ってるんだけど、本作の方が面白かった……。
【同人誌】・「MINDY POWER」(8)〜(14)総集編 眠田直(1999、WARMACHINE)
・「バキ」(2) 板垣恵介(2000、秋田書店)
・「地上最強宣言 牛肉」 丘咲賢作(2000、講談社)
・「マイコン刑事」全4巻? 鷹見吾郎、下條よしあき(1982〜83、秋田書店)
・「暴れ刑事」 西塔紅一、緒方恭二(1980、芳文社)
・「闇狩り刑事」 峰岸とおる(1986、徳間書店)
・「マグナムJ」全2巻 滝川健市、渡辺修己(1982〜83、双葉社)
・「特捜検事Q・1」(1) 牛次郎、居村真二(1980、双葉社)
・「メス猫」 あかね胡茄、川崎美枝子(1985、徳間書店)
・「週刊ヤングマガジン」18号(2000、講談社)
4月前半はちょい「刑事(デカ)ものシリーズ」多し。
【同人誌】
自分でもぜひ手に入れたいと思ったのは「未来都市」や「宇宙人の声」や「UFO着陸音」が入っているという効果音CD(でもいざ探すとタイヘンなんだろうなあ)。
それと報知新聞に連載されていたというマンガ「SEX天使ピンキープリン」。こりゃ楽しい。ヘンテコマンガ好きとしてはぜひコレクションしたい。国会図書館行くかあ。
(00.0414、滑川)
・「バキ」(2) 板垣恵介(2000、秋田書店)
前半は刃牙に襲いかかる不良たち、後半は刑務所で「暮らす」死刑囚スペックや神心会の道場にやってきた死刑囚・ドリアンの話が主。
自分の「技」に自信のある者の立ち姿みたいなものを描かせたら、この作者はやはり天下一品だと思う。不良ったって、ケンカに一定の価値観持ってればまだ話がわかるような気が……(現実には会いたくないが)。倫理も仁義もハエの頭もないのが最近の不良だもんなぁ。そしてそれが現実ってことで、現実ってのは退屈で不愉快な真綿で首を絞められるような状況であることだなあ。
(00.0414、滑川)
・「地上最強宣言 牛肉」全1巻 丘咲賢作(2000、講談社)
しかしこれがスゴイ。出場者はボクシング、暴走族、将棋名人、ソープ嬢、アマレス、ムエタイ、「でかいやつ」というラインナップ(何だ「でかいやつ」って)。このめちゃくちゃさに加え、
「巨乳など空手に通用せんことを見せてくれる!!」という牛肉のセリフがさらなるメチャクチャな展開を予想させる。
前作「ちんぽ刑事」の最終回もよくわからなかったが、本作の最終回の無意味っぷりもすごい。とことんまで空手は無意味化し、最終回ではまったくの真空状態となる。
そんな作品。
(00.0414、滑川)
・「マイコン刑事」全4巻? 鷹見吾郎、下條よしあき(1982〜83、秋田書店)
……といっても、毎回まいかい「パソコンで事件を解決!」というのではない。この当時はマイコンもパソコンもイメージはごっちゃなので、ポケコンで計算したり、マイコン内蔵のメカをつくったり、マイコンがらみの事件が起こったりといった「マイコン全般がテーマ」といった印象が強い。
現在よりずっと「マイコン」のイメージが一般的に多様で、マイコンの汎用性が広くうたわれていたということなのだろう。
(00.0412、滑川)
・「暴れ刑事」 西塔紅一、緒方恭二(1980、芳文社)
独身・スケベ・巨漢・暴れん坊の「弁慶」こと中山妻三郎と、美形・愛妻家・冷静沈着な「牛若丸」こと高田又三郎のコンビが凶悪犯罪に立ち向かう刑事モノ。
(00.0412、滑川)
・「闇狩り刑事」 峰岸とおる(1986、徳間書店)
そこに配属された熱血バイオレンス刑事・鷹木と、盲目の刑事・闇谷コンビの活躍。
(00.0411、滑川)
・「スーパー刑事!! マグナムJ」全2巻 滝川健市、渡辺修己(1982〜83、双葉社)
アメリカ帰りのスーパー刑事、一力譲治(通称J)が、マグナムを駆使して同僚の堀江美都子(実在の歌手とは同姓同名キャラ)とともに凶悪犯罪に立ち向かう刑事マンガ。
単行本第2巻では、「暴力団が密輸したバズーカの弾の中にひとつだけ核弾頭が混ざっている」(SHOT1 恐怖の核バズーカ)、「興奮剤の中毒者となったプロレスラーが暴れ回り、最終的には飛行機を奪って逃走、Jが飛行機から飛び降りて空中でえんずい斬りをかます」(SHOT2 暴走チャンプをつかまえろ!!)、「リモコンで操られる凶暴なサメとの対決」(SHOT3 対決!! 殺人ジョーズ)、「シルクハットに黒マントの手品師がJに挑戦してくる」(SHOT4 魔術王イオの挑戦!!)、「改造ラジコンを使う強盗団」(SHOT5 プラモ強盗団を倒せ!!)、「強力な光で子供達を催眠状態にして操るマッドサイエンティスト」(SHOT6 恐怖の催眠メカ)、「日本武道をのっとるいきおいの拳法集団がなぜか拳銃製造を行っているというどっちつかずの話」(SHOT7 拳銃密造工場を叩きつぶせ!!)
……など、楽しさ満載のラインナップ。絵柄はほんの少しすがやみつる風? 「裂牙グループ」という暴走族が出てくるので、作者は作画グループ出身か。
(00.0411、滑川)
・「特捜検事Q・1」(1) 牛次郎、居村真二(1980、双葉社)
「ウルトラ超伝説」なども描いた居村真二作画。アクション連発のマンガかと思ったら、捜査主体の話だった。
乗っ取られた戦車が銀行強盗をする「戦車が町にやってくる」や、ビル爆破予告があった後、爆弾を探し回る「高層ビル爆破事件」など、導入部は面白いがオチが単純なモノが多い。
(99.1207、00.0407、滑川)
・「メス猫」 あかね胡茄、川崎美枝子(1985、徳間書店)
個人的には悪徳判事を拷問するときに、ひざの上に次々と六法全書を載せていく、というアイデアが面白かった。
(00.0407、滑川)
・「週刊ヤングマガジン」18号(2000、講談社)
それにしても生きて動いているところを見たいですな。写真の印象だけじゃよくわかんないので。
今回が最終回。キレイに決まった。たまんないですね、こういうの。
半可通な解説をすると、「マウント・ポジション」とは敵が馬乗りになった体制でのしかかってるような感じの状態のことで、この状態から繰り出せる空手の技はないとされている。
そして打撃でマウントを返した!
そうか〜そういう返し方があるのか〜。「空手は手首から先だ」という板垣先生の持論がここでも展開されてますね(興味のある人は読んでください)。
(00.0404、滑川)
「つれづれなるマンガ感想文」3月後半
「つれづれなるマンガ感想文」4月後半
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