つれづれなるマンガ感想文11月前半

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「つれづれなるマンガ感想文」11月後半
一気に下まで行きたい



・「餓狼伝」(8) 夢枕獏、板垣恵介(2000、講談社)
【同人誌】・「SANRIO PUROLAND」 小杉あや、金澤尚子(2000、「くいしんぼうばんざい団」)
【同人誌】・「 K9 MINI」 小杉あや(2000、「小杉あや・AIMIN」)
・「アイラ」Vol.2(2000、三和出版)
・「YOUNG キュン!」12月号(2000、コスミックインターナショナル)
【同人誌】・「用水」 粟岳高弘(2000、「あわたけ」)
【同人誌】・「西の森」 弘岳粟高(2000、「あわたけ」)
【同人誌】・「東の沼」 弘岳粟高(2000、「あわたけ」)

【同人誌】・「レイジンガー」 (1)〜(4)りくそん(1997〜2000、「くそ武将の会」)
・「週刊少年チャンピオン」51号(2000、秋田書店)
・「週刊少年サンデー」50号(2000、小学館)
・「週刊漫画アクション」47号(2000、双葉社)
・「週刊ヤングマガジン」49号(2000、講談社)
・「週刊少年サンデー」49号(2000、小学館)
・「月刊ヤングマン 12月号」(2000、三和出版)
・「アワーズライト」12月号(2000、少年画報社)
・「COMIC ボナンザ」12月号(2000、リイド社)
・「週刊少年ジャンプ」48号(2000、集英社)
・「週刊漫画アクション」46号(2000、双葉社)
・「週刊ヤングマガジン」48号(2000、講談社)






・「餓狼伝」(8) 夢枕獏、板垣恵介(2000、講談社)

ヤングマガジンアッパーズ連載。確か「コミックバーズ」から移って来ていて、その間に「アッパーズKC」から単行本が出直したりしているうちに何巻まで買ったかわからなくなり、今まで購読が遅れていた。

今回はグレート巽クライベイビー・サクラの地下プロレス戦クライマックス。
個人的にサクラが締め落とされ気づいたときに上空から観客の投げた金がゆっくり降ってくるところ、「キミの手でママの元へ送ってくれ」と言ったサクラに対してクールに振る舞っていた巽が、ページをめくると涙を鼻水を垂れ流して悲しんでいるところ、本当にグッとくる。ページをめくる瞬間のドキドキはマンガ特有のものだ。
「いいなあ」と思う。
何度も書くが、すでに原作と何の関係もなくなりつつある(かつ面白い)のが奇跡的。
(00.1115、滑川)



【同人誌】

・「SANRIO PUROLAND」 小杉あや、金澤尚子(2000、「くいしんぼうばんざい団」)

おいしいカレーのお店などの同人誌を出している「くいしんぼうばんざい団」が、ピューロランド(サンリオのキャラクターがたくさんいる遊園地みたいなところ)に行ったときのもようをレポートした本。アトラクションや衣装の細かい説明があって、楽しい本です。まああまり男一人で行こうとは思わないから……行った気になって楽しめました(ディズニーランドも男同士とかじゃ行けないもんなぁ。以前行ったけど)。

「巨大なキティちゃん人形に子供が泣く」というのが面白かった。そういう現象昔からあるけど、何とかなんないもんですかねえ。
あと、おれ毎週火曜に朝7時半からやってるテレビ番組「キティズパラダイス」見てますからね〜。サンリオキャラはいいよね〜。とくに「ポムポムプリン」と「コロコロクリリン」がイイですよ。あとたぬきの子。
そんなことに思いをはせる本。
(00.1115、滑川)



【同人誌】

・「 K9 MINI」 小杉あや(2000、「小杉あや・AIMIN」)

人間を犬として見る海明寺さんのHマンガ「K9シリーズ」のアシスタントを勤める小杉あやさんなりの、K9観とアシスト日記をまとめた小さな本。コピー本だけどカラーでかわいらしい凝った装丁。
海明寺さんは描くのスゴイ早いらしい。「マンガを描く速さ」についてはマンガ入門にも書いてないが、重要な要素だ。それを知るまで私は30年かかったという哀しみ。そんでまたK9シリーズを読む……。
小杉さんは「K9あしすと日記」という同人誌の準備をしているらしい! 要チェックです。
(00.1115、滑川)



・「アイラ」Vol.2(2000、三和出版)

成年コミック誌。B5判。なんというんですかね。SMとかボンデージとかで、スカトロとか肉体改造とか中心。

執筆者はみうらたけひろ、毛野楊太郎、海野やよい、しのざき嶺、果愁麻沙美、このどんと、町野変丸、掘骨砕三、将門つかさ、海明寺 裕、目白次美、古賀燕、破邪。

若い頃って、エロメディアってどこまでいろんなものがあるかって一応見てみるじゃん。そしてどこまで自分は「OKなのか」を探ってみたりして。で、私がどうしてもダメだったものの一部が、スカトロと肉体改造モノだったんですよね。
とくに肉体改造モノはコーフンするのと逆ベクトルで「ヒク」って感じで。正直言って恐さの方が先に立つ。

じゃあなんで本誌を購入したかというと、毛野楊太郎がゲストで描くのと、同時に掲載されている海明寺 裕、このどんとと合わせると、SF畑のマンガ家(毛野楊太郎は矢野健太郎の弟子だし、このどんとが鴨下幸久かどうかもちゃんと確認してはいないけど)3人が一同に会するという歴史的(?)なコトが行われたからであり、そしてSF的手法がそのままSMに援用されうるということをも証明するのではないかというような、そんな頭デッカチなことを考えていたわけなんです。

しかし、同時にこの「アイラ」は滑川的手法でレビューを書くのが非常にムズカシイコンセプトを持った雑誌です。
なぜなら、エロマンガ誌はコーフンさせるのが主眼だが、本誌ではそこから明らかに逸脱していく作品が見受けられ、それが旧来の「このテのシュミ」の人にとっては「いい」ことなのか、あるいはそこからすらも逸脱しているのかの基準が無知な私にはまったくわからないから。
要するに、常識非常識の基準がわからないうえにさらにヒネった作品が出てくるものだから、なんだかよくわからないというワケです。

……というような言い訳を前提に、まあ率直な感想を書いていきますわ。

・「Oh! My DOG」 毛野楊太郎

小学生が拾ってきた「犬」。それは犬として精神的に調教され、肉体的にも改造された少女だった。彼女を犯しまくる小学生たち。

カラーページの次に冒頭からコレで、正直言ってヒいた(笑)。
少女は手術みたいので耳と両手首、足首を切り取られ(「バイオレンスジャック」の人犬と違って、切断面が見えてしまっているところがさらに痛々しい)、声は出ないようにされている。犬の耳と尻尾が(おそらく手術で)取り付けられている。

小学生たちは彼女をあくまで「珍しい犬」として扱いつつ犯す。「捨てられていた」という設定のみで「犬」がどのような調教・改造を施されてきたのかがまったく描かれていないだけに、少女を犬にした者の残酷性が、彼女の「すがた」から想像されるだけというのが恐さを増す。

ラストもまったく救いようがない。以前に、同じ作者でさらってきた少女にネココスプレさせて調教して犯しまくって殺しちゃうというものすごくダークな短編があったが、本作の方がダークさかげんにおいて数段上。

個人的に、目利きという点で信頼を置いている「OHP」日記では、わりと評判いいようです。

・「まりのゲリラ」 果愁麻沙美

連載第2回。「トルエン団地」と呼ばれる、産廃で溢れている何の希望もないような地域で、アル中のオヤジを持ちながらもバレエの練習に精を出すまりのとその姉妹を描く……といっても、滑川泣かせの本当にナゾのマンガ。

まずコーフンさせるために描かれているかどうかがわからない。いちおう、三姉妹全員「バレエ修行のため」と称してふだんからチュチュを着ている。そして何かとトイレシーンは出てくるのだが。
次に、選ばれている舞台がなぜ産廃がやたらとある地域なのかとか、脇役の男の子がものすごく恐いお面みたいな顔をしている(でもやることは三枚目)なのはなぜかとか、みく姉(まりのの姉)の乳房が揺れるとヘドロも同時に揺れるとか(???)、なんだかよくわからない。
枝葉にこだわれば、「突然変異の巨大ザリガニが表れる」というプロットが普通に見えるほどだ。
それも、天然などではまったくなく、おそらく作者により慎重に選ばれた設定であろうからよけいに謎は深まる。

たぶん、本作を理解するのに滑川の知識が根本的に欠落しているか、この作者が天才なのかどちらかだろう。多分後者……か?

・「裸人形エイダ3」 このどんと

「奴隷戦士マヤ」の続編だろうと思っていたら違っていたことに驚いた。10年くらい前に「ホットミルク」に載っていたこの作品の続きがまた描かれるとは思ってもいなかった。
内容は、女捜査官が罠にはまって肉体改造を受け(また……)、ドレイにされるというもの。巨大なチンチンを付けられてしまうのだがこの「美少女に巨大チンチン」というのがまた滑川にはわからないんだよな〜。こういうの多いですけどね。

中断している「奴隷戦士マヤ」も本作も、SFアクションのプロットを持ちつつも大半が調教や責めに費やされるというパターンを取っているが、ストーリーが大きく展開しないまま中断に至っている。しかし、「スーパーロイド愛」という作品のみはきちんと完結しており、作者が大風呂敷を広げてそのまま放り投げるタイプの人間ではなく、物語をきちんと終わらせられる力量を持っていることは証明済みだ。

だがそれゆえに、読んでいて暗澹たる気持ちになることがある。それはむろん作品のデキに対してではない。「いずれはどのような終わり方であれ、終わることができる」ということは、矛盾するようだがSM作品の場合、終わりはあってないようなものだからだ。……終着点さえ決まっていれば、その間の責めはどのような恐ろしいものであっても変幻自在である。ここでストーリーはパーツのひとつに過ぎなくなり、相対化される(おそらく、実際はかなり苦労して考えながらストーリーを進めているのだろうとは思うが)。その点においてである。

要するにSM作品は二重の恐さを持っている。ひとつはストーリーそのものの恐ろしさ、そしてもうひとつはキャラクターやストーリーが相対化されているという恐ろしさだ……ということは直接本作には関係ないことだが。

やることのひどさのわりには描く女の子がすごくかわいい。「ふたりエッチ」みたいなものを描いても充分人気が出るのではないかと思うが、作者の本意ではないかもしれない。
さらに余談だがこの作者の「ま〜めいど★クライシス」はメイドブームの先駆け的作品であった。

・「糞袋▼」(←▼はハートマークの代用) 町野変丸

この人のマンガも「わからん」としか言いようがない。美少女の肉体が変幻し、チンチンとかウンコとかが出てきて変化していくのだがいい悪い以前に「わからない」のが正直なところ。……ということを正直に書く私も我ながらファニーなヤツ(←▼はハートマークの代用)。

・「おっきいね」 掘骨砕三

これもわからん……。おとなりの小さなまゆちゃんが、「人間が巨大化する病気」にかかってしまい身長3メートルくらいになってしまう。そこで、主人公の少年が世話をすることになる。世話している間にHしてしまう。

「巨大女モノ」であれば、強くたくましい女が出てくるというのであればまだ変態趣味としても理解できるのだが、ロリータ小学生が巨大化してしまうとなると私にとっては難解すぎる。うーむ……。

・「奴隷立國(番外編)」 海明寺 裕

「宗主国」の国民に対して「原住民」が奴隷奉仕する国。ここに長期滞在している少年は、自国の女性教師と同級生を呼び寄せ、この国の法律に従って奴隷にする計画を立てる。
「奴隷立國」という作品の番外編らしいが本編を読んでいない。本作はわりと伝統的(?)な手法に乗っ取っているので、理解できる。肉体改造もウンコもない(ピアスとかはある)。よかった……。
この「番外編」エピソードは、本当は短編ではなく連載にするともっと面白いのではないかと思った。

それと作者は「女の人の色っぽい表情」を何通りも描ける、というか表情の変化によって静的な物語の中に緩急を付けていると思う。
凡百のHなCGイラストが、ほとんどの場合ポーズや塗りにばかり気を配って「表情」には無頓着である昨今、たいへんに素晴らしいと言えよう。

あと先生キャラがすごく色っぽい(それとキチッとしている感じ)ですな。すばらしい。
(00.1114、滑川)



・「YOUNG キュン!」12月号(2000、コスミックインターナショナル)

成年コミック雑誌。執筆者:はりけんはんな、あずまゆき、IRIE YAMAZAKI、渡辺ヒデユキ、みあっち、あろひろし、GRIFON、毛野楊太郎、神無月ひろ。

やっと雑誌上で伝説の(?)投稿師三峯徹氏のイラストに遭遇。なんか嬉しい気持ちに。

・「PRINCESS FILE」 IRIE YAMAZAKI

連載第6回。「シレーヌ姫」が監禁されて延々と調教される話らしい。「体力」、「従順」、「忍耐」、「気位」、「フェラ」、「バギナ」などが数値化され表になっているところが印象的。陳腐な言い回しだけどゲーム世代っていうか。

・「アナザー・レッスン」第4話 毛野楊太郎

監禁調教を受けているが、そのつどそのつどの快楽に身を任せているだけのみずきはなかなか思ったように調教されない。暴力・薬物・マインドコントロールで、いいなりのロボットをつくることは可能な「教授」だが、意志を持った奴隷をつくりたい。

そこで彼は、素朴ではあるがみずきの精神に大きく影響する方法を思いつく。

……恐いマンガだなあ。
まあアイディア自体は調教モノにはよくある感じなんだけれど、そこまでの持って行き方がスゴイ。なんつーか、人間の支配被支配の関係とか、依存する側される側の関係とか、そういうことを常に考え続けていないとこういうのは描けないと思う。
SMモノはストーカー犯罪などのサイコサスペンスの一種に、心理戦という意味あいにおいて近づくときがあるが、本作はまさにそういう印象である。
(00.1114、滑川)



【同人誌】

【同人誌】・「用水」 粟岳高弘(2000、「あわたけ」)
【同人誌】・「西の森」 弘岳粟高(2000、「あわたけ」)
【同人誌】・「東の沼」 弘岳粟高(2000、「あわたけ」)

「用水」は、ある夏の日、田舎の用水路で全裸で泳いでいた近所の短大生の思い出。少年をからかうようにハダカを見せつける女の子。

「西の森」は18禁、ある田舎町に住み着いている「瓜頭」という生物(宇宙人? 異次元人?)に調教され、町の顔見知りの男たちに犯される美少女の話。「東の沼」も18禁、同じ世界で「瓜頭」に調教され、同級生たちに犯される美少女の話。「おねいさんが裸でうろちょろする話」の要望が読者から強いということで(「用水」もそうした話に入る)、野外露出責めの要素が強い。
で、この作者の描く女の子はたいへんにかわいくて素晴らしいのであるが、もっともっと恥ずかしがった方がエロ度が増すと思うのは私だけでしょうか。羞恥責めのキモは表情にあると思うので。まあ、逆に「抑える」ために表情も抑えているのかとも思うが。
(00.1113、滑川)



【同人誌】

・「レイジンガー」 (1)〜(4)りくそん(1997〜2000、「くそ武将の会」)

「商業主義に走っている昨今のアニメ・ゲーム業界」を象徴する「マニアック星」から来る侵略者から地球の平和を守るため、磁気嵐研究所が開発した巨大ロボ「レイジンガー」に3人の若者が搭乗して戦うというジャンルパロディもの。

70年代巨大ロボットもののパロディでありつつキャラクターは聖闘士聖矢風、しかしゲームのキャラクター商法が揶揄されているあたり製作者の年齢がイマイチわからん。ただ「商業主義」、「アコギな商売」というのはおそらくオタク勃興期からある批判で、失われた黄金時代をどこに設定するかで批判のトーンが変わってくるだけ、という印象もある。

人間だれもが一度は必ず抱く憤り・疑問だとは思うが、イヤな言い方だが「慈善事業」ではないとを考えないかぎり、こうしたジレンマから脱することは送り手も受け手もできないだろう。

マニアック星人が「ジャスティスぱお」という美少女キャラクター先行でまったく中身のないゲームを売り出し(ゲームに疎いので「ジャスティスぱお」っていうのが何のパロディかサッパリわからん)、地球のマニアがそれに振り回される。
特撮モノのお約束で、敵が倒されたときみんな「ジャスティスぱお」の洗脳から解き放たれるが、グッズは残ったままだったので、そのグッズを見てみんな「萌え」てしまい、結果的に「ジャスティスぱお」が原典なしに大ヒットするというところが一番面白かった。

全体的に、ストーリーをもうちょっとつまんだ方がいい気がする。
(00.1113、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」51号(2000、秋田書店)

考えたことはふたつあって、ひとつは急にアクセス数が増えたんだから、いっちょう「変わったマンガ」をバシバシと紹介してこのサイトの現役っぷりをアピールすること、もうひとつは、映画のレビューで、どこの映画館で見たとか、どういう状況で見たとか、客の様子、その日の天候まで含めてきれいにまとめる方法ってありますよね。アレをマンガでできないかということだった。
しかし、一番目については急速に忙しくなってしまってアッサリそれどころではなくなり、二番目については筆力のなさかムリのような気がする(「電車の中で読んだ」とか「喫茶店で読んだ」とか書いても面白くなりそうにない)。 ……というわけで普通のレビューです。

・「Pika★Pokoスクランブル!」 東篤志

新連載。実は、この主人公・すぴかが女の子だと私が知ったのは10ページくらい読んでからだった。
「プラレス三四郎」みたいな「リモコン格闘マシンオープントーナメント」に、紅椿すぴか「ぽこぺ」というロボットをひっさげて登場……のリモコンバトルマンガかと思ったら、すごく妙なヒキで終わった。
第1回だけじゃなんとも言えないけど、期待はさせてくれる。

・「ファントム零」 小宮さなえ、野々村秀樹

アクションもので、とびとびに読んでいるからよくわかんないんだけど、とりあえずこのヒトの描くパンツというか下半身はなんかスゴイなあ。ものすごくムチムチ。それだけで読んだ気になるなあ。

・「迷探偵史郎シリーズ」 芹沢直樹

もはや最近の本作の興味は、「フジケン」とどういう差別化をするかとうことなんだけど、これはこれなりに面白い。ただ、主人公が「年上のお姉すわんが好き」というのなら、もう少し出てくる女の子がかわいければなあ、とか勝手に思ってる。
(00.1110、滑川)



・「週刊少年サンデー」50号(2000、小学館)

・「ナズミ@」 岸みきお

「キス」によって個人データを採取する、実体化したプログラム・美少女ナズミが引き起こす騒動。全5回の連載のうち、今回でひとまず最終回(後に増刊に移動する予定らしい)。

「ボクシングの試合で勝ったらメル友のウサギさんと会う」と決心した郭志、だがガチガチに固くなってしまう。果たして彼はウサギさん=宇崎さんに会うことができるのか!?

実は全5回読んでみて、意外なほど面白かった。最近はマンガを読んでいるときもイヤな予想ばかりしていて、本作が増刊に移動するらしい、と聞いてから全5回で終わりらしい終わりを迎えないんじゃないかとか、最終回で急に新キャラが出てきて「この続きは増刊で!」みたいになるんじゃないかとかいろいろ考えていたんだけれど、ちゃんとまとめていたし、イイ意味で裏切ってくれたし、郭志とウサギさん=宇崎さんとのラブラブ関係の中にちゃんとナズミを入れているし。言い方は悪いけれど、何かすごく拾いモノをした気がして楽しい全5回だった。

また連載第1回を読んだときには、こんなに作者が真剣にボクシングを描こうとしているとはつゆ知らず、「青春モノにはボクシングは付き物」みたいなイイ加減なことを書いてしまったんだけれど、作者がそうしたあざとい演出を意図していないからこそ、余計「青春ボクシング」な感じが出ていた。そこも個人的には嫌いではない。

何というか、このマンガの作者は派手さはないけれど着実に読者との距離を詰めていくようなタイプだと思う。それは、たとえば昔のちばあきおとか、こせきこうじとか、今「リーダー伝たけし」やっているヒトとか、ああいうある意味「地味を逆手にとる」というのでもなく、おそらく他の派手なマンガ、華のあるマンガと目指すモノは近いような気がするだけによけい地味に思える。だけれども、まあ私のようなロートルからすればとても懐かしい感触がある。連想するのは、昔のマンガ家だとあや秀夫とか。
いや、サンデーだから中高生に受けねばならんのだろうけど。でもなんか心地よさはある。
がんばって欲しいもんです。

・「いつも美空」 あだち充

表紙&巻頭カラー。巻頭カラーだから水着とか。で、長年ずっと疑問に思ってきたんだけれど、あだち充の描く女の子の水着とか下着姿みて、ものすごくグッと来る男子っているのかな??? エロ魂って意味で。……いや、いるから描くんだろうけど。それとも違う何かなのか……。
確かにあだち充の描く女の子はすごくチャーミングだけれど、服を脱いだから興奮するというタグイのものではないでしょう。違う? たとえば同時期だと村生ミオとか、エッチな身体描くと思うんだけど、あだち充はなあ。すっごい疑問。まあ柳沢きみおもだけど。

とすると、永井豪とか桂正和とか克・亜紀と違って、あだち充の描く女の子は直リビドーにうったえるのではなく、もっと抽象的な何かを担っているのか。謎。

「かってに改蔵」「動物のカメちゃん」「ダイナマ伊藤!」「漢魂!!!」はどれも面白いと思いました。
(00.1110、滑川)



・「週刊漫画アクション」47号(2000、双葉社)

なんか最近、雑誌買うのがクセになってしまって、買って読んだらレビュー書かなきゃいけないという強迫観念にかられる。
しかし、滑川的にはなんかいつも書いてて自分の文章ダメダメな感じ。
定点観測的に毎週とか、かなりの雑誌を網羅しているとか、一つひとつの作品に気のきいたコメントを、とかそういうのができないから……。
連載の場合、あらすじを書くとネタバレになる恐れがあり、あらすじを書かないとなんだかわからなくなるし……。もうどうしていいかわからん。
そういう意味では長編作品の単行本の新刊、なんてのもレビューを書きにくい。

だから、今書いているみたいに実験的に本編以外のことを多く書くことになるかもしれん。

・「オッパイファンド」 山本よし文

第8話「ウォシュレットに学べ」。「オッパイ」、「おけつ」に続いて「オマ○コ」のファンドを立ち上げることになったんだが、先週も書いたがここまで話を広げてしまって大丈夫なのだろうか……? とにかく、「オマ○コ」の研究のためにウォシュレットに学ぼうとするんだよ。
(00.1108、滑川)



・「週刊ヤングマガジン」49号(2000、講談社)

ヤンマガは、実はグラビア目当てでときどき買っていたのだが、「中身を読まない」という暴挙をときどきやっていた。だってグラビアめくりすぎるとボロボロになっちゃうもんよー。しかしマンガと違って、美少女グラビアというのはときどき発作的に「どうせ棺桶まで持っていけねぇしな……」などと思い、すぐその後に「棺桶にまで持って行かなきゃいけないほど寂しい老後を送ることになるかもしれん」などと思ったりする。ああ、青年誌のグラビアひとつでこんなにも葛藤する私を同情してくれ。そして同情しつつ金もくれ。

・「TOKYO DRIVE」(前編) 井上三太

……そんな「『美少女グラビア』の女の子が表紙のマンガ雑誌はマンガを愛していない」という言葉が常套句となった井上三太が前後編で。
前編は、チーマー風グループ「SARU」のメンバーたちの青春群像ってカンジで、別作品「TOKYO TRIBE」と似て非なる世界になりそう。私はホンモノのチーマーには近づきたくはないが(恐いから)こうしたマンガ内の、たぶん若い読者がどこかで「あるある!」って言っていそうな井上三太の会話の妙、はすごく好きだ。
「ゴッチ(アイドル歌手。ゴマキモデル?)っていいお嫁さんになれると思うんですよね……」「でもビッチかもしれないぜ」(大意)、「オレの車の中ではオレがDJだ」(大意)とかね。ガストにタムロってるっていうのもありそうだもんなあ。

井上三太のチーマー世界は、「隣人13号」や「TOKYO TRIBE」を読むかぎり外見は「あるある」ネタ満載で音楽、ファッションともどもものすごく新しいことを描いていて、実はけっこう当たり前なところに帰着する。これはおそらく意図的にやっているのではないかと思う。もしかしたらいい意味でメジャー志向なのかも作者。

・「クーデタークラブ」 松本光司

第2部スタート。なんだか「面白そうな感触はする」マンガ。この後の展開を見ないと何とも言えない。
そもそも、私にとってヤンマガは「面白そうな感触がする(その「面白さ」に読者の私が到達できない)」マンガと、「イヤ〜な気持ちのするマンガ」に別れる。

今回掲載されていない「カイジ」「おやすみなさい。」「LOVE GOD」は個人的にものすごくダークな気持ちになるマンガ。月曜の朝にコレ読んで出勤、というのはかなりキッツイと思うんだけどなあ。

・「ちょびっツ」 CLAMP

……は「面白そうな感触はする」マンガ。しかし個人的にはいつまで経っても「面白さ」に到達できない。滑川的にはまったく話が進んでいないと考えるより仕方がない。CLAMPファンにはウケているようなので、「そういうものだ」と解釈するしかないのだろう。

・「莫逆家族(バクギャクファミーリア)」 田中宏

コレは、……なんだかもしかしたら「かなり面白いかもしれない」という予感だけがする。同時に、熟読すればイヤな気持ちにさせられるかもしれないとも思うが……。
今回きちんと読んだだけなんだが、かつて暴走族となって抗争を繰り広げた若者がちが、「普通の生活」に戻っていったとき、どう考えるか。何が起こるかを描いているかもしれないと思う。だとしたら、面白い。
ヤンキーマンガの登場人物たちの将来は、きわめて曖昧か、大出世していたりする場合が多い。「落ち着く」にしろ、「トンガリ続ける」にしろ、ガキであることが免罪符だった頃を過ぎたとき、絶対にその当時と心情は変わっているハズだ。それを描いたヤンキーマンガはあまりない(と思う)。
だからちょっと期待(たとえば、今回の登場人物で入れ歯をしている男が現れるが、あれはあきらかにかつての抗争の果てのケガで歯を失ったからだろう。重傷を負ってもいつの間にか全快しているヤンキーマンガとは違った何かを、そこに期待させる)。
(00.1108、滑川)



・「週刊少年サンデー」49号(2000、小学館)

・「ナズミ@」 岸みきお

「キス」によって個人データを採取する、実体化したプログラム・美少女ナズミが引き起こす騒動。全5回の連載のうち、第4回(後に増刊に移動する予定らしいが)。

滑川的にはどんどん面白くなってます。宇崎さん=郭志のメル友のウサギさん、だとバレそうになってバレないとか。いまだ顔も見たことがないウサギさんと会うには、ボクシングの試合に1回でも勝って自信をつけたいとか。ダサイメージの宇崎さんは実はめがねとってめかしこむとキレイだとか。
宇崎さんが自分を好きだとは知らず、ただ「好きな人がいる」ということだけはナズミから聞かされていて、宇崎さんにズバリと「好きな人がいるから自分と同じ仲間」と言っちゃう鈍感な郭志とか。いいです。ただ「着飾った宇崎さん」に何もときめかない郭志にちょっとムリがあるけど。でも嫌いではない。

・「かってに改蔵」 久米田康治

カラー扉、見開きで女の子キャラの入浴シーン。「サービス満点!! −−っていうか媚び?」という惹句に笑った。「読者サービス」と書けばずいぶんと読者側はオマケしてもらっているように感じるが、「媚び」と書くとなんだかすごく作者側が卑屈に感じる。
今回はその「サービス」がテーマ。本編も面白い。
(00.1106、滑川)



・「月刊ヤングマン 12月号」(2000、三和出版)

・「どろろん艶靡ちゃん」 永井豪

新連載。今号の目玉は、なんと言ってもこの「どろろん艶靡ちゃん」でしょう!!
「どろろんえん魔くんには実はモデルがあった!!」という出だしで始まるこのマンガ、えん魔くんのモデルは閻魔大王の姪艶靡ちゃん、雪子姫のモデルは「雪子ヒゲ」(雪子姫のかっこうをしているヒゲのオヤジ)、カパエルのモデルは「カパコ」(メスの妖怪?)。要するに全部男女逆なワケだ。

そして艶靡ちゃんはシャポじい風の帽子とマントの他は全裸!! そして全裸の説明なし!!
「そ〜れ〜が艶靡ちゃん でろでろばあ〜〜たらベロベロばあ〜〜と……なめちゃうわァ〜〜ン」(←主題歌らしい)

第1回に登場は、熊にまたがった妖怪「13日の金太郎」!! うおお、豪ちゃんのセンスは「けっこう仮面」や「へんちんポコイダー」以来、少しも衰えてねえぜ!!

艶靡ちゃんの乳首アンテナがうずくと、近くに妖怪がいる証拠なのだよ!!
その後の展開もあまりに脱力で、イイ意味でクダラナイからぜひ読んでチョウダイ。

・「華竜」 工藤かずや、吉迫哲彦

特殊能力を持つ少女を護衛する戦士・華竜の戦いを描く。このプロットは、私の知るかぎり工藤かずや原作、久保田眞二画の「AYUKO」を思い出させる。おそらく展開としてはそうつまらなくはならないと思うが、中国拳法の達人華竜の戦闘シーンにもう少し力強さがあればな、などと思う。

・「ミツマのトリコ」 岡崎つぐお

チギルくんこと三渚契一(みつま・けいいち)は、その優柔不断さゆえにガールフレンドの小利戸みつまともギクシャク。そしてチギルはその優柔不断さゆえに、ハロウィンの夜に3人の美女精霊(風の魔アネマ、水の魔ヒュドラ、地の魔のペトラ)と契約することに……。

今回で精霊たちの、チギルに限った場合の変則的な契約の方法があきらかになる。おそらく今後はこれがシバリになって話が展開していくと思う。

・「ハイエナの夜」 夢枕獏、松久由宇

30代の体力勝負のカメラマン・滝村薫平の関わる事件を描く一話完結のハードボイルド・アクション。
前回、「バツイチで娘のことを心配」という設定はない、と書いたが、今回は娘の運動会へ行くシーンが描かれていた。ちょっと早とちりだったか。

内容はとくに突出したカンジはしないが、絵がうまいのでけっこう読ませる。もしかしてプロットはオリジナル……かな?(未確認)
(00.1106、滑川)



・「アワーズライト」12月号(2000、少年画報社)

実は買ってあったのだった。やはりどうにもこうにも雑誌のレビューが遅れ気味だ。
いろいろ考えたあげく、「遅れても意味のあるレビューを」と考えている。なに、今週号が売られていなくても、最終回でないかぎり次週に続きが載っているのだからそちらを読めばいい……よね? 「負けても次につながる試合」と野球なんかで言うが、「遅れても次につながるレビュー」を、と考えたりしているのだが。

さて、私にはここ7、8年くらい、日常的にマンガについて話す知り合いがあんまりいない。NIFTYのコミックフォーラムを覗いてもいたが、会議室がジャンル別に縦割りになりすぎ読まないところはまったく読まないという偏りができていた。日常的にマンガを読んでいた知り合いも、いつの間にかマンガから離れていく。
そうこうするうち、コミティアなんか行くとどうも同人誌のフリートークコーナーなどで取り上げられる作家で知らないヒトがたくさん出てきた。
おかしいおかしい、と思っていたら、どうやら「ヤングキングアワーズ」がマンガ好きの人に読まれているらしい、ということを知ったのは実は最近のことなのだった(衝撃的事実)。まあアフタヌーンとビームは知ってたけど。

……というわけで、本誌(アワーズそのものじゃないけど)を買ってみたりしたわけなのだが、おそらくわたし的なアプローチでは、連載モノについてどうこういうのは時期尚早だと思う。「アワーズ」のカラーみたいなものをまだ把握していないから。ということで、コメントのしやすい作品にコメントします。でもどれも毎月読めば面白くなってくるとは思う。

・「妄想戦士ヤマモト」 小野寺浩二

連載第4回目。女の子の裸にバスタオル姿と裸に男もののワイシャツ姿がエロいとか、1分の1美少女フィギュアにどれだけ恥ずかしい(といっても直接的にHなことじゃなくてシチュエーション的に)ことをして共感を得られるかという「魂共振デスマッチ」とか、そんなことばかり描いてあるマンガ。まあ滑川だったらぜったいこれにコメントするだろうと思う人は思うでしょうが、ホントにそうでした(笑)。

えーとたぶん「ロリータ番長」G・B小野寺と同じヒトだと思いますが、あまりにも妄想がストレートすぎた「ロリータ番長」より本作の方が練れている、というかマンガ力上がっていると思います。

・「待チ人、来タラズ?」 田代琢也

16ページの読みきり作品。父親が17年前に別れた母との間に娘がいると聞かされたミチロウは、顔も見たこともないその少女(つまりミチロウの妹)と再会することになる。しかし、待ち合わせ場所に来た酔っぱらいの少女に、妹だと確認しないまま引っ張り回されるミチロウ。

コレはなかなかイイね。妹を持ったことのない少年が、お兄さんらしくしなきゃという感情がよく表れているし、「義妹」、「長い間生活を別にしていた妹」というとワンパターンというかすぐ近親相姦(しかし近親相姦モノって何で多いのかな……)に持ち込んでしまうものが多い中、兄妹愛を描くというのは逆に新鮮だった。
(00.1105、滑川)



・「COMIC ボナンザ」12月号(2000、リイド社)

・「いただきます!」 八月薫

新連載。美人の管理人さん牧野つばめとその妹すずめがいるアパートに、浪人生の高橋守が下宿する。
そしてさんざん誘惑される話。
「ラブひな」みたいな話になるのか!?(「ラブひな」をよく読んでいないからイマイチわからんが) 劇画とムリヤリ形容するなら里中満智子を合体させたような色っぽい絵柄。好み。

・「コットンプレイ」 矢野健太郎

事故にあって瀕死の状態となった琴美は、松田にだけ見える全裸の霊体となってそこらをウロウロすることに。松田の後輩でオタク・下田辺は、琴美がデジタル媒体であれば姿が見えることを発見、ベタ惚れに。松田の会社の先輩梅近麗美は松田に惚れ、幽霊の琴美を締め出さんと悪だくみ中。

今回は、琴美の他に謎の幽霊少女が出現。琴美を脅かす。
本作は毎号がアイディア勝負というか、アイディアを次々にたたみかけていって雪ダルマ式に転がしていくような感じなので、あまり筋に触れるのはヤメます。でも本当に面白い。

次号では下田辺の開発した琴美ソックリのダッチワイフ(1分の1ドール?)コットン03が再び登場の模様。楽しみ。

・「らぶらぶ電脳アカデミー」 牧野靖弘

第4回。絵がカワイイ▼(←ハートマークの代用)

・「くまボン」 立沢直也

外見上はカワイイが、実はセックスのことばかり考えているぬいぐるみ・くまボンを主人公にしたギャグマンガ。

今回は、チョコエッグに夢中になっているくまボン。しかし、当然ヨコシマなことに利用しようと考えていたのであった……。
これ面白い。絵がカワイイながらも内容ブラック、だけどブラックながらも愛嬌がある、ってカンジで。

・「サカマチ夢譚」 法田恵

連載第3回。主人公・東賀朱人(トウガアケヒト)と、めがねの上品で優しいおねーさん生亜美晴香(イクアミハルカ)がHする。個人的にツボ(笑)。

・「誘惑特捜ドキュン!」 中貫 結

警察官一ノ瀬うらんが事件を解決するシリーズ読みきりらしい。
絵がカワイイ。
「これからトイレに入りま〜〜〜〜〜す」、「読者サービス うふ▼」(←ハートマークの代用)などのネームや、悪い美女警官をディルドーで貫くときに同情して涙を(突然)流すなど、なんかストレートでイイ。ラストもとってつけたカンジだけどハッピーエンドでイイ。好み。
(00.1105、滑川)



・「週刊少年ジャンプ」48号(2000、集英社)

今週は滑川的には読むとこいっぱい。やっぱりおれくらいの年齢は少年ジャンプに特別な思い入れあるさあ。まあ毎週おっかけなくなって15年くらい経つけど。リーダブルであること、わかりやすいことの素晴らしさを徹底的に教えてくれたのが少年ジャンプ。そして今週号はリーダブルなマンガが揃っていてスバラシイ。

・「りりむキッス」 河下水希

今週から新連載。斉木貴也は自己イメージの世間とのギャップにちょっと悩んでる、見た目不良っぽい高校生。彼が拾ったペンダントから、キスで男の生気を吸い取る美少女の夢魔・りりむが登場。騒動を巻き起こす。

もともとリアルタイムでモノを追っかけることが苦手な私が、人に教えてもらって知ったSFおしかけ女房モノ週刊三つどもえの現状。すなわちヤンマガの「ちょびっツ」、少年サンデーの「ナズミ@」、そしてこの「りりむキッス」。しかもパソコンネタということでは「ちょびっツ」と「ナズミ@」が共通し、「キッス」ということでは「ナズミ@」と「りりむキッス」が共通するという不思議な連関。不思議でも何でもねーのか。マーケティングっていうのはそういうことなんでしょうか大前研一さん。

もともと様子見的読みきりから出発しているらしい本作、まだ滑り出しでよくわかんないところもあるけど、第1回を読んだかぎりでは「魔」というより栄養の摂取が人間と違うカワイイ生物といった感じのりりむ。これから甘あまな展開になるんでしょうなあ。

・「純情パイン」 尾玉なみえ

新連載第2回。みつおみちるが交換日記を5分以内に二往復させると、大きい乙女純情パインとなり、怪獣と戦うギャグマンガ。

読みきりのときに、「ビームとかアフタヌーンとかに載ってそうなマンガだなぁ」と思っていたが、いざ連載が始まるとそれなりにハマる。それがジャンプの恐ろしさ。
今回はみつおが「森めめんと」という女の子と友達になるのだが、このネーミングセンスにはヤられた。やはりセンスとはセンスなどという曖昧なものではなく、背が高いとか足が速いといった、凡人には到達不可能な確固たる何かであることを再認識させてくれる。

・「魔術師2(マジシャンズスクエア)」読みきり  岡野剛

不良少年・天台ムサシは路上で謎の外人少年クロード・ホーガンに遭遇。彼のストリートマジックにすっかり魅せられてしまう。ケンカしかすることのなかったムサシは「プロのマジシャンになる」という目的をついに見つけ、クロードと2人で「マジシャンズスクエア」というコンビを組もうと夢が広がる。しかしクロードの正体は……という話。

岡野剛は、ふつーの当たり前のエンタテインメント作品を描くのがうまい。まあ大人気になるとか、長期連載になるとかいうことには「運」も入ってくるのだろうが、読んでいる数分間確実に楽しませてくれる。本作も、一見不器用で頭もよくなさそうな、でも友達思いのムサシと、謎のマジシャン・クロードのコンビがとても楽しく描かれている。

・「ノルマンディーひみつ倶楽部」 いとうみきお

「漫研のマンガだから追っかける」とか以前描いたけど、実はしばらく読んでいなかった。でも連載10回以上、行ったね〜。今回ひさしぶりに読んだが、数ある「特殊文化系クラブ」を潰そうとする生徒会長との戦い、ということで、私の好きなパターンになっていた。
戦国武将愛好会、着ぐるみ同好会、ノリつっこみ部、うそつきクラブ、ほめ殺し研究会、おべんちゃら振興会、うわさ話創作クラブ、おねだり友の会……やはり好きなパターンだ。早く積ん読の「究極超人あ〜る」、読まなくちゃ。

・「ピューと吹く! ジャガー」 うすた京介

「ヒップホップ術」のレッスンを受けるジャガーピヨ彦。「ヒップホップ術」、「ガリクソンプロダクション」、「エンプティー浜(通称ハマー)」……やはりネーミングセンスが絶妙。
さらに講師のエンプティー浜は「ヒップホップだ」と言い張っているが外見は完全に忍者、そして「これがオレ達のやりかた!!」っつって例のヒップホップ特有のキメポーズをやってみせる。か、カッコいい……。うすた京介は本誌ではこの巻末の位置があっているかもしんないと思った。人気のほどは知らないけど。
(00.1101、滑川)



・「週刊漫画アクション」46号(2000、双葉社)

・「ぷるるんゼミナール」 ながしま超介

フェミニズム論の世界的権威・田嶋陽美(ひろみ)先生のゼミに所属する菜々美は、先生にブラジャーのバーゲンに誘われる。
後はいろんなブラジャーをとっかえひっかえしたり、出世競争に敗れて左遷された「巨乳下着売場」の店員とHしたりする。

「おっぱいが大きすぎてゴメンナサ〜イ」がキメゼリフらしいんだけど(実際なんつーの? ページの端っこに載る「待て次号!」みたいなやつにも、「次回は巻頭カラーでゴメンナサ〜イ」とか書いてあるし)、毎回入れて徹底した方がいいと思う。

後、菜々美の「気持ちイイ〜〜〜〜〜ん!!」ってのも一種のキメゼリフなのかな。これはよい。

ちなみに次週はお休み。

・「オッパイファンド」 山本よし文

「みんなちゃんとついてきてるのか連載 オッパイファンド」というタイトルにまず爆笑してしまった。ついてきてるよオ〜〜〜!! そして「この男たちが 冷めきった日本経済を熱くする!!」という惹句!!

今回はストーリーの骨子となる「オッパイ株」についての説明がなされているのだが、……まあ株の仕組みはわかったけど、その本質的な「商品」は何なのかがまったくわからないというところがすごい。
でもさー、ホントの株だってそんなモンだよね。おれ前々から思ってたんだよな〜(世間話口調)。

そして新しいファンドがまた立ち上がろうとしているらしい。しかしこれでは「オッパイファンド」ですらなくなってしまうのでは……。

関係ないが、本作と「ぷるるんゼミナール」について、「面白いんだよ!」と知り合いに力説したらものすごくウンザリした顔をされた。何でだよー。AVはけっこう見るクセに……。嗜好が多様化するのも考えものだな、と思いました。

あと今回の「なんでもあります(笑)いしい商店神楽坂店」(いしいひさいち)がすごくおもしろかった。
(00.1101、滑川)



・「週刊ヤングマガジン」48号(2000、講談社)

「滑川ニュッピー取り残され号」とでも名付けようか……。なぜなら、「エリートヤンキー三郎」「超・学校法人スタア學園」「しあわせ団地」「賭博破戒録カイジ」などの話題作・人気作の今までの経過をまったく知らないため充分に楽しむことができず、内輪だけのクラブイベントにさまよい来てしまったかのような印象を受けるからだ。しかもまえせつみたいなヤツが出てきて、そいつの内輪ネタに客爆笑、おれ取り残され、客爆笑、みたいな感じ。
むろん、これはヤンマガが内輪だという話ではまったくなく、私がグラビア目当てで買って中身をちゃんと読まなかったりすることがあまりに多かった報いである。そのグラビアにしてからが、悪いけど、川村亜紀はもう飽きた。やはり巨乳界はイエローキャブ一人勝ちか。イエローキャブ以外は「マイナー乳」なのか。
「イエローキャブの歴史は 微乳を踏みつけにして来た歴史だッ」……「餓狼伝」番外編ネタでした。テヘッ。

「ビーバップハイスクール」「代紋TAKE2」も、あまりに長編になり過ぎてよくわからねえ〜ッ!!(虹村億泰調に)

・「ちょびっツ」 CLAMP

SFおしかけ女房モノにはいろいろな楽しみ方があると思うが、私の場合単行本をまとめ買いしてザクザク読む、と言った感じなので連載では正直評価しにくいところがある。それを前提にしたうえで書けば、話の進みが遅いように感じる。「ちぃ」っていうのもあまりしゃべらないし、まだ人格が芽生えてきていないし。まあデザインとか仕草的にぜんぜんオッケー、ってヒトの方が多いとは思うけどな。

・「食べれません」 風間やんわり

今週では「未来日記」ってマンガが異常に面白い(っていうか気に入った)のでみんな見れ。

(00.1101、滑川)

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