◆ 1999年5月中旬 ◆
5/11〜20
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5/20(木)……デオキシちゃんのリボン
【雑誌】週刊少年チャンピオン 6/3 No.26 秋田書店 B5平
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板垣恵介「グラップラー刃牙」。刃牙 vs.ジャックの対決は意外とあっけなく終わった印象がある。それにしてもこの次からはどういうふうに話を持っていくんだろうか。ジャックより強いっていったら、あとは親父か宇宙人くらいか。能田達規「おまかせ!ピース電器店」。モモ子がリボンをとったら、ケンタロー以外の男にもモテモテで、ケンタローはヤキモキ……というほのぼの微笑ましきラブコメ的展開。なんとも心暖まりまくり。ヌルすぎてメロメロ。月影アイちゃんも好きだが、ショートカットだからリボンはできないしなあ。次は眼鏡娘が出てくるとさらにいいかも。さしずめ後輩。あながちケンタローに片想い。
【雑誌】ヤングジャンプ 6/3 No.25 集英社 B5中
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山口譲司「BOiNG」は、連載開始から一貫して馬鹿馬鹿しくていい感じ。今回のサブタイトルは「ぼいん危機一髪!!の巻」。味わい深い。作:夢枕獏+画:くつぎけんいち+脚本:生田正「怪男児」。けっこう頻繁に差し挟まれるエロシーンがなかなかいやらしい。コマ数自体は少ないんだけど絵がうまい。とくに男がしっかり描けている点はポイント高し。
【雑誌】ウルトラジャンプ 6/25 No.30 集英社 B5平
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巻頭カラーで唯登詩樹の新連載「かごめかごめ」がスタート。祖父と暮らしていた男子高校生・竹内くんが、祖父の死とともに一人暮らしをすることに。しかし毎月振り込まれる生活費は8万円ぽっきり。そんなわけでできるだけ安い部屋を探しているところに、竹内が好きな、超常現象観察同好会所属の女の子から格安物件を紹介される。ところが実際に住んでみるとその部屋には……といった感じで以下次号。唯登詩樹というとCGで有名だし、この作品も全編CGのようだ。CGというとカラーという印象があるが、俺は唯登詩樹の絵だとモノクロのほうが好きだ。そして目がパッチリした女の子の絵よりも、地味な男の絵に味があると思う。昔、漫画ホットミルクに描いた、京都妖怪的スポット散策的な地味なエッセイ的漫画とかすごく良かったのだが。また描かないかなあ、ああいうの。
藤原カムイ「福神町綺譚」。チキチキマシン猛レース的展開。このシリーズ、描いているほうがかなりノリノリの模様で、随所にいろいろ遊びを仕掛けいる。実に楽しげ。ラーメン大好き小池さんがエキストラ的に登場したり。お話が展開するリズムもいいし。
【雑誌】ヤングサンデー 6/3 No.25 小学館 B5中
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柏木ハルコ「ブラブラバンバン」は第2回め。前回出てきたホルンでエクスタシーを感じる少女と、冴えないトランペット野郎はやはり高校で同じ学校に。いまだにホルン少女にはまともなセリフ一つなく、何が起こるか分からない。楽しみ楽しみ。佐藤秀峰「海猿」。ボートで難破した、たけちゃんという少年の家族を救出する話は今回で完結。救出は成功するものの、この事件に関わった人すべての心に傷を残す結果に終わる。ただ単純に「助かって良かった」で終わらせないところに好感。岩田やすてる「球魂」。部長の大仏サーブ(究極奥義)はかなり下らなく、かつ効果的な技で笑えた。過剰な脂っこさと腰砕けな展開の落差がスコーンと抜けていて爽快。
【雑誌】ヤングマガジン Uppers 6/2 No.11 講談社 B5中
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巻頭カラーでみやすのんき「ブルーエッジ」が新連載。一人暮らしの女性のもとに、ある日一本の電話がかかってくる。その電話の主は彼女をどこからか監視している模様。そして、その電話の主はあろうことか彼女の部屋に侵入してくる。そのストーカーらしき男と彼女は、何か5年前からの因縁があるようなのだが……。みやすのんきって、わりといつも一緒に見えるのだけど、描線は昔よりもだいぶシャープになっている。そのものズバリな裸を見せているわけではないが、ふくよかな女体やら、下着の描き方とかが細かくなっていて色っぽい。桑原真也「0(ラブ)リー打越くん!!」。シノヴとリョオの闘いの間に割り込んだ打越は、大けがをして病院へ。そこで手術を受け、打越が人間離れした肉体の持ち主であることが判明。次号で打越の「謎」が解明されるとか柱に書いてあるのだが、さてどんな感じなのやら。単行本「ストレンジラブ」が発売されたばかりの田中ユキの短編「drop」が掲載。今号は全編。新任の男子教師が、ひょんなことからある女生徒と親しくなるが、彼女はレズという噂があるいわくつきの少女だった。ところが実は彼女は、そのレズの相手とされている少女に監視、支配されているといった状況らしいのだが……といった感じで前編は終了。それぞれのキャラクターの想いが、はかなげで危ういバランスの上で交錯している。妖しい色気と気怠さと清浄さが共存する作風は、やはりタダモノではないことを感じさせる。咲香里「春よ、来い」。新登場の眼鏡娘が、なかなかかわいい。表情がイキイキしてていい感じ。絵柄も華やか。泉谷圭吾「HEAT UP!!」。お色気女子ビーチバレー漫画。かなりパワフルに下らなくて良かった。サブタイトルの「〜丸裸オン・ザ・ビーチ〜」も秀逸。とくにラストのあたり、汗まみれのビーチバレーが見せる、ブラジル娘とふんどし男による幻覚は馬鹿馬鹿しくていい。
【雑誌】モーニング 6/3 No.25 講談社 B5中
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王欣太「蒼天航路」が巻頭カラーで復活。今回から孔明登場編に突入。吉川英治三国志だと、ここらへんから一気に曹操が主役の座から遠ざかり、孔明が脚光を浴びていくわけだが、そのあたりをどう料理していくのか楽しみである。それから作:吉川英治+画:井上雄彦「バガボンド」は、吉岡道場との闘いは一時休戦で新しいシリーズに。カラーの扉絵とか見ると、やっぱりほうっとうなるうまさ。単純にして十分な描線と彩色。かっちょいいなあ。それと、本位田のおばばが味があっていいキャラクターである。木葉功一「キリコ」。キリコの精神はスッカリ幼児化するが、天真爛漫とした表情で無慈悲に魚を打ち殺し続けるさまはなかなかゾッとする魅力がある。榎本俊二「えの素」。前田によるちんこ狩りのさま、そしてその成果によるグレートな姿はまさにルックアットヒムな魅力。バトルがリズミカル&スピーディ。プッシーボイナーペニセスト!
5/19(水)……モアイに盲愛
昨晩、職場の上司と呑んだときに漫画の話がちょっと出たのだが、そのとき「しばたくんが今まで読んだなかで一番面白かった漫画ってどれ?」と聞かれて返答に窮した。自分にとって漫画を読むというのは食事をするのと似たような位置づけにあるのだが、「今まで食べたものの中で一番おいしかったものは?」と聞かれてもなかなか答えられないのと一緒で、一番面白かった漫画といっても「あれも面白かったしこれも面白かったし……」となってしまう。同じように「好きな漫画は何?」と聞かれるのもわりと困る。どれが面白かったと思うかも、そのときどきの体調やら精神状態で変わるし。しかも過去の記憶も、そのときの体調やら精神状態によって左右され、容易に改変され得るものだし。それはそうとお金が欲しいなあ。3億円くらい。
【雑誌】週刊少年サンデー 6/2 No.25 小学館 B5平
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巻頭カラーで「今日からオレは!!」の西森博之が新連載。タイトルは「天使な小生意気」。町中で、非常に乱暴な不良に突っかかっていった女の子が主人公。天使のような外見とは裏腹に行動は向こう見ず。それもそのはず、この娘は昔は男の子で、小学生時代のある日、何だかよくわからん魔法によって女の子に変えられてしまったのだった。そのため精神的にはほぼワンパク少年だったりするわけだ。マジなラブコメでいくとあるが、さてどんなふうになるのやら。満田拓也「MAJOR」。吾郎が久しぶりに投手として登板。外野手で遠投の練習を繰り返しやっていたおかげで、ストレートの球威はますますアップ。次号から本格的なピッチングに入るようで、今から楽しみ。
【雑誌】週刊少年マガジン 6/2 No.25 講談社 B5平
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西垣ゆうき「MMR緊急報告 イースター島の謎を追え!!」。一通お手紙がきただけで即「イースター島に行くぞ!!」となるというのはなかなか景気のいいお話ですな。で、MMRは6月30日発売号から週刊連載になるらしい。いよいよ終末ムードが高まってきたか。終末だから終末漫画をやるというのは、たいへんガツガツしたお話ではあるけれど、そういった雑誌としての貪欲な姿勢は買えると思う。やる気がないのよりなんぼかいい。塀内夏子「Jドリーム完全燃焼編」。なんか久々。W杯がかかった大事な試合だというのに、鷹は自分の庭か何かのごとく楽しそうにピッチを駆け回る。このくらい図太いと頼もしい限り。
【単行本】「かってに改蔵」3巻 久米田康治 小学館 新書判
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下品かつスマート。適度にヒネりながら、とんでもなく下らないあさっての方向に当たり前のごとくお話がねじ曲がっていくさまが愉快。あと、毎度思うことだが、久米田康治描くところの女の子はスタイルがピシッと決まっててかっこいい。手足の細さ、スッとした首のラインがいい感じである。表紙もなかなか華やかで目を惹く。
【単行本】「からくりサーカス」8巻 藤田和日郎 小学館 新書判
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復活・加藤鳴海がしろがねの秘密に迫るとともに、自動人形たちとの闘いに分け入っていくことになる。鳴海のアクションシーンが多く、そういった方面を期待する人には満足行くのでは。物語はここらへんが折り返し点になりそうな気配。
【単行本】「神聖モテモテ王国」5巻 ながいけん 小学館 新書判
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この巻は全般的にテンションが低いような気がする。なんとなく作者自身は不調であるのに、無理にふざけているような、そんな上滑りな感じがしてしまう。ただ、キャプテントーマスの軽妙で人を小馬鹿にしたしゃべり方はたいへん愉快だし、端々ではやはり輝きを放つものはある。またノリノリになってくれるといいのだが。
5/18(火)……ドロスィ
ヨッパラッティング〜。というわけで泥酔。昨日早売りで買った少年サンデー系の単行本が待つ家には帰りつけず、会社にトマッティングなり。トマッティングとは顔中にトマトを塗りたくり、それを人に見せびらかして嫌がられる。そんなことではないと俺は信じたい。いつまでも元気で。
【雑誌】YOU 6/1 No.11 集英社 B5平
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ちょっとトウの立った女性誌。どうにも表現が安っぽい感じ。このくらいのほうがオバサン層には分かりやすいのかもしれない。
その中で、やはり奈知未佐子「風から聞いた話」はハイクオリティ。あっさりとしたかわいらしい絵柄で、いつも質が高くてファンタジックなおとぎ話を描いてくる。このコンスタントさはほんにたいしたものじゃのうと思うわけじゃった。
5/17(月)……フィールドのOh!Coming!
オー!アーハー、グレイツ!ソグー!アイカーミン!ハッ!シーッ!(洋ピンのマネ)
【雑誌】週刊少年ジャンプ 5/31 No.25 集英社 B5平
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高橋陽一「フィールドの狼FW陣!」。なんか期待どおりにたわけた漫画になってきて、俺様大喜びである。今回も『大人相手でもいつも決めてたキーバーの頭上を狙った陣の「絶品ループシュート」だ!!』、「四国少年サッカー界を揺るがす一大ムーブメントが今静かに動き始めていた!!」などという素晴らしいセリフの数々。「ムーブメントが動く」ってことは「動きが動く」ってことだな。ツッコミどころ多すぎ。そこが好きなんだよ〜。
【雑誌】ヤングマガジン 5/31 No.24 講談社 B5中
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巻頭カラーで田中宏の新連載「莫逆家族(バクギャグファミーリア)」がスタート。田中宏はヤングキングで「BAD BOYS」を連載している人だ。かつては札付きの不良としてならした火野も今では31歳。土木作業員としてさえない毎日を送っていたが、昔の仲間が10何年ぶりに集合し、また新たなムーブメントが動き始める……というわけだ。30男のツッパリ物語といった展開になりそうな気配。かつて、ヤンマガを読んでいた不良な方々に夢アゲインな感じで目の付けどころはなかなかだと思う。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。今回は2ページ増。ゲンとケンヂが、露出プレイを楽しむ夫婦をさらしものにして弄ぶ。たいへんに底意地が悪いゲンさんの汚らしい笑顔がかなり最低だ。なお、「アゴなしゲンとオレ物語」の略称が「アゴゲン」に決まったらしい。「AGNGとOMG」とかでもいいような気もするが。それから、今号では藤本青心「ツキと狼」が良かった。この作品は増刊枠のほうで何度かシリーズ掲載されたもので、そのときから惹かれるものがあった。日がな一日パチンコをやり続け、とくに目的もなく暮らす青年のお話。とくに大きな理由もなく、自分の持っている狼模様のジッポがツキをもたらすアイテムだと定め、その幻想にすがるともなくすがりながらパチンコを打ち続ける。その彼が、パチンコ屋に集う人々、そしてその背後にある生き様を静かに観察する。そんなお話だ。だから、派手なアクションはないし勝負もない。物語は淡々と進む。その視点のフラットさ加減、ノーマルさ加減、悲観にも楽観にも傾かないバランス感覚がなかなかに居心地良い。鮮烈というわけではないけど、妙に気になる新鋭である。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 5/31 No.24 小学館 B5中
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山本直樹「ビリーバーズ」。無人島で新興宗教らしき教えに従って暮らす男2人、女1人。「『みんな』のためにがんばりましょう。」と声をかけ合いつつ、表面を取り繕った感じの建て前的な話し方をする彼らだが、淫らな妄想はその中で静かに膨張し続ける。それが弾けるのはおそらく時間の問題だろう。空と海、開かれた空間でありながら閉塞した世界。その中でゆっくりと進行していく狂気。何気ない表現にもなまめかしさが満ちる。いや、本当にうまい。次号ますますワクワク度アップ!アップ! しらいしあいが読切で登場。タイトルは「昔の彼氏」。アッサリしてちょっとH。軽やかなお話作りでまあ手堅く楽しめる。作:小林信也+画:秋重学「宙舞」。舞子がついに、宙樹の呼びかけに応えて翔ぶ。空中を歩くように。そのシーンの浮揚感、高揚感はなんとも気持ちが良かった。ここまでの息苦しい展開が続いていただけに、そこから一気に解放されたその瞬間のカタルシスは大きい。
【雑誌】COMICパピポGAIDEN 6月号 フランス書院 B5中
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次号予告が載っていない。というわけでこれにて休刊らしい。実際に読んでみたけど、実用に傾くわけでもなければ、ストーリー重視でもなく、オシャレともいえない。大きな目玉となる作家もおらず、標準的な美少女漫画雑誌って感じで特徴的な点はあまり見受けられなかった。これだと他誌との差別化は難しかろうなあと思う。でも、編集後記によると後継雑誌は用意されているようで、誌名は「パンにぬる3文字の食品に☆が付く」になるらしい。「ジャム☆」「バター☆」「オイル☆」「明太子☆」「しばた☆」などいろいろ考えられるが、さてどれだろう。
目についたのはまず、あうら聖児「いっしょけんめい☆いずみちゃん」。頭よりデカいような乳を二つぶら下げた、運動神経も(頭も)悪そうな女の子が、憧れの体育教師とするというお話。「〜ですの」という語尾を乱用しているのはあんまり好みではないが、とりあえず巨乳でヌかせるという仕事はキッチリこなしている。あうら聖児は芸の幅は狭いけど、巨乳的分野においてはやはり強いのでわりと好き。それから東海道みっちぃ「ハートのクスリ」。この人のいわゆる「アニメ絵」というイメージ(実際に何がアニメ絵かといわれると難しいんだが)のデフォルメっぷりは好き嫌いの分かれるところだと思うが、ペンタッチの強弱が非常にしっかりとしてむっちりした女体の描き方は実用性十分。あと他の人よりエロシーンの割合が多いような気がする。感覚的には普通の人より2ページくらい余分にダメを押しているような印象を受ける。実際に総ページ数が20ページで、エロ漫画としては標準的な16ページよりも4ページ多いし、そのうち12ページがエロシーンなのだが。そんなわけでエロスは濃密なのですばい。
【アンソロジー】COMICぷちみるく Vol.1 コアマガジン A5平
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ロリータ系アンソロジー。COMICアリスくらぶの後継誌である模様。漫画執筆陣は、ナヲコ、わんぱく、町田ひらく、タカハシマコ、トウタ、ASH横嶋、にゃんこMIC、鎌やん、黒崎まいり、OKINA、かんの糖子、みこと。実力派が揃っている。
「ロリータ」と一口にいうが、詳しく見るとロリータもいろいろなタイプに分類できる。その中でも分かりやすい基準の一つが頭身。頭身が高めでほっそらした手足の「少女」を好む人もいれば、頭身が低い(3〜4頭身程度)「幼女」を好む人もいる。ロリ系で「ホンモノ」といわれる人には後者のタイプが多いような気がする。もちろん少女愛好者でもホンモノはいるわけで、例えばDAPHNIAなんかは相当に業が深い。どちらにしろ、俺としては業は深ければ深いほど喜ぶ。自分がロリ者かというと正直なところあんまりそうではないような気がするが、作品に込められた業を味わうのはたまらなく好きだ。で、「ぷちみるく」はそこらへんどうかというと、全体に業は深くない。ほとんどの作家さんはロリ以外の作品も描ける人たちであり、ロリも器用に描きこなしているという感じ。「ロリが描きたい。それしか描かない」といった叫びはここからは響いてこない。ただし、クオリティは高いので読めば楽しめることは確か。個人的には多少食い足りないところもあるが、まあ買っても損はないかなという一冊。
まずはタカハシマコ「動力の姫」。変態なおじいさんが残した超高級少女型ロボットと、それを託された孫の少年のお話。線がきれいで、とても端整で華やかな絵柄。お話も軽いノリでとてもうまい。業の深さは全然ないが、上品で楽しめるお話。町田ひらく「Love and Peace」。仲間を裏切って少女を連れて逃走する男と、その少女のやり取りを描く。甘えのないドライな作風で、いつもながら説得力のあるストーリー回し。わんぱく「不協和音ファミリー」。黒目が大きくてかわいい顔をした少女の姿とは裏腹に、ストーリーはわりと陰鬱。逃げ場を持たぬ少女が、大嫌いな兄に性的いたずらを受ける。暗い瞳の少女の姿が印象的。鎌やん「願い星」。今回はSF的風味の作品。山奥の分校のそばに、ある日隕石が落ちてくる。その隕石に付着していた菌は、世界を繭のようなもので包み込み、「閉じた」世界にするものだった。その中で、多くの人々はその生暖かく居心地が良く何もしなくてもいい空間に自らの意思で「閉じ込められ」ていく。哀しい雰囲気の物語の中に、しっかりとメッセージ性が存在するあたり、さすがに鎌やんは曲者という感じがする。いつもよりストレートでない分、俺としては純粋に楽しめた。ナヲコ「大切な人」。いやー、少女がかわいい。何気ないポーズなどの仕種が、自然でかつカチッと決まっている。そして少年少女の切ないココロをとても鮮やかに描く。毎度うまいにゃ〜。
というわけで、裏表紙側のカバーの折り返し部分、ないぺた描くところの猫耳少女が「またにゃ〜」と語るイラストを見て脱力しながら本を読み終えたわけだ!
5/16(日)……たおすぞガラクター
今週は久しぶりにサッカー観戦に行かなかった。オフィシャルホームページによると、横浜FCはアウェーで本田技研に4-3で勝ちJFL首位に浮上した模様。前半戦の一つのヤマとなる試合で勝てたというのはちょっと大きい。そしてついにセリエAでは首位逆転。ラツィオが引き分けでミランが勝利。これで勝ち点1ポイント差でミランが首位に立ち、次週最終節。ミランの相手はペルージャで、ラツィオはパルマ。ラツィオに優勝してほしいけどこりゃもうミランで決まりだろうなあとは思うが、セリエA残留がかかっているペルージャが最後の意地を見せることを期待したい。
【雑誌】ZetuMan 6月号 笠倉出版社 B5中
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先月今月と若干テンションが落ち気味。しかし、次号ではかかし朝浩や目黒三吉といったところも登場する。加藤茶吉、愛澤鉄夫も。そこらへんはけっこう楽しみ。
榊原薫奈緒子「おきらく仮天使もっとエンジェルW」。いい加減な天使見習いの女の子二人の、デタラメ人間救出劇。今回は少しドラえもんのパロ入り。絵はかわいいけど、やっていることはかなりヤケクソでメタメタ。ノリのいいギャグ、それから案外色っぽいエロシーン、くるくる頭身の変わる画風など楽しさ満杯。毎回コンスタントにテンションが高くて面白い。あとはうおなてれぴん「やっぱりチャイナしかっ!!」の、チャイナ服を着た女の子がかわいいなあというあたり。
【雑誌】コットンコミック 6月号 東京三世社 B5中
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駕籠真太郎「駅前福祉」。福祉中毒の女の子が、ボランティアが無性にしたくなり、福祉の匂いを求めてさまよう。今回はネタ、オチともにイマイチ。もう少しどぎついキレが欲しいところ。雪見野ユキオ「催眠日記」。イタズレで催眠術のマネゴトをしたら、まんまと女の子が催眠状態になってしまい、それをいいことに彼女を好き勝手弄ぶ男のお話。4色カラーページのところの乳加減がなかなかにキャッチイ。たいへんに都合のいい展開ではあるが、実用面でのお仕事はキッチリこなしている感じ。
【単行本】「しゃぼん奥様」 よこやまちちゃ 司書房 A5
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やこやまちちゃの絵は柔らかい。絵がこなれている。スラリとした身体全体のフォルム、キュッとしまったウエスト、形のよいお尻、細くて長い手足。そして柔らかそうなボイン。出るべきところはしっかり出て、くびれるべき部分はきっちりくびれる。なんとも色っぽい。描線自体は単純なのだけど、なんだかとても華やかで際だつ。全体に明るいムードで楽しいだけでなく、出てくる奥様方も十分に熟れ熟れで実用性も十分。いい仕事してますなあ。
【単行本】「がらくた屋まん太」全5巻 能田達規 アスキー B6
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いずれ買おうと思っていたのだが、なかなか古本屋では見つからなかったので、ええい面倒だとばかりに新刊で買ってしまう。
そんなわけで「おまかせ!ピース電器店」の原型ともいえる作品で、そこかしこにピース電器店でも使われたエピソードの素が見られる。ハイテクを駆使して作られた得体の知れないものをいろいろと売っているガラクタ屋。その若き店主、まん太が主役。まあ要するにピース電器店のケンタロー的主人公である。両作品を比べてみるに、さすがにピース電器店のほうは二度目であるだけに、主人公の家庭環境やら何やら設定がこなれていてお楽しみが多い。女の子キャラクターも華があるし。まん太のほうは必要十分なものが揃った原石といった感じ。「がらくた屋まん太」も爽やか健やかな工作スピリットがあって面白いが、「ピース電器店」はそれに輪をかけている。能田達規も着実に成長しているという印象。「がらくた屋まん太」の最終回はちょっとハードだが、これをそのまま「ピース電器店」でやられたら泣いちゃうかもしらん。キャラクターへの愛着がより強いだけに。
5/15(土)……ごくごくうどん
コミックバーズの復刊についての新情報が、http://www.diana.dti.ne.jp/~optic/birz/に掲載された。コミックバーズ編集部員5名はソニー・マガジンズに入社。そちらから復刊されるとのこと。復刊時期は7月中旬の予定。一部の作品については他誌に移るらしいが、まあとりあえず受け入れ先が見つかったというのはめでたい。すでに移籍が判明している作品としては、作:夢枕獏+画:岡野玲子「陰陽師」。メロディ(白泉社。毎月16日発売)に移る模様。1999年7月号に予告編が掲載されると、メロディ6月号に書いてあった。
どういう経緯でこうなったのかは知らないけど、ソニー・マガジンズとしては悪くない話なのではあるまいか。漫画家とのコネクション、それからコンテンツの増加は望むところであろう。あと、編集部サイドとしても今までより金銭的余裕はあるだろうから、やりやすくなるのでは。今まで大人しすぎるかなという印象もあったバーズだが、この移籍により劇的に誌面が変わる可能性もある。まあなんにせよ、復刊第1号が出るのを待とう。
あともう一つ。スコラ倒産のときに「バーズはどうなるの?」と騒いでいた人たちはなるべく買ってやってくれい。単行本だけじゃなくできれば雑誌も。今回のスコラの場合は会社自体の経営の問題なので読者レベルの話からはちとハズれてしまうが、今度雑誌がツブれるようなことがあったら、それはおそらく売上不振が原因となるだろう。ツブれてから騒いだって遅い。ガロのときだってなんだってそうだった。だから、自分に何かできるうちにできることをやっておくのだ。誰かが買わない限り雑誌は売れないんだし、売れなかったら雑誌はなくなるのだから。ほかの誰かが買うんではなく、俺が買うのだ、君が買うのだ。
総計504ページの超特大号だが、川原泉「ブレーメンII」の総集編と大雪師走「ハムスターの研究レポート」のベストセレクションがかなりのボリュームを占めている。ちなみに両作品とも、今号から新連載という形でスタート。冒頭でも書いたとおり、次号からは作:夢枕獏+画:岡野玲子「陰陽師」も始まるし、なんかほかの雑誌で連載されていた作品を次々引き取っているのが目立つ。
柳原望「さんさんさん」は第2回め。関東大震災の中、人々の喜ぶ顔が見たくてパンを焼こうと奮戦する、パン屋の若夫婦(っていうかカップル)のお話。クセがなくて明るくて読みやすい。雁須磨子「どいつもこいつも」。今回は自衛隊内で肝試しをやるという、いつもと同様戦場とはまったく関係ない学園コメディ的展開。軍事演習などをやる気は、本格的になさそう。その割り切りっぷりは気持ち良くさえある。朔田浩美「魔法のSHAKOCHAN」は今回で最終回。2000年の時を越え、土偶に姿を変え愛する人が生まれ変わってくるのを待ち続けてきた縄文美人シャコちゃんと、考古学オタクでかつロッカーでもある少年のラブコメ。元気が良くて気に入っていたのだが、最終回はアッサリ。というか読み返してみて初めて最終回だったことに気がついた。陽気で幸せでなかなかイキがいい。
世棄犬=博内和代=品葉諸友=馬利権造であると噂される、その馬利権造が登場。今号と次号で2号連続。タイトルは「春の大運動会奮戦記PART I(?)」。ある学校(おそらく中学くらい)の運動会が舞台。ことあるごとにケンカをしている、ファザコンの女の子と、マザコンの男の子。それからその父母、そして女の先生がからんでくる気配。今回は騎馬戦で上に乗ることになった女の先生が、そのどさくさの中イタズラされるというお話。彼女のもだえっぷりがいやらしいが、今回はまだ小手調べという感じ。エロシーンにもつれこみそうな火種は随所にまかれているので、次号に期待というところ。桂よしひろ「MY LITTLE LOVER」。生徒の男子と恋仲になった女教師だが、周りの策謀もあり、彼に捨てられる。自暴自棄になった彼女はその捨てられたという記憶を封印し、卑劣な男の肉奴隷に堕ちるが……といったお話。今回で第4話。くっきりとして滑らかな描線がなかなか。お話も悲痛な感じで読みごたえはある。須藤るく「今夜だけの看護」。看護婦が入院中の少年を身体でなぐさめるというまあよくあるお話だが、乳の揺れっぷりがダイナミックでよろしい。
【雑誌】ビッグコミックスペリオール 6/1 No.11 小学館 B5中
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小山ゆう「あずみ」。それにしても小山ゆうは濃厚でヘンな顔のキャラクターを描くなあ。徳川秀忠とその隠し子・梵天丸の二人の顔がかなり強烈な造形。作:やまさき十三+画:石川サブロウ「ファイター伝説 金と銀」は今回で最終回。ちょっと中途半端な終わり方。土臭さのある描画で地味ながらお話もちゃんと作ってて、それなりに面白かったのだが。
次号ではきたさき拓が、愛英史原作の読切で登場。
【単行本】「ねこぢるうどん」3巻 ねこぢる 文藝春秋 A5
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今まで単行本に未収録だった分の「ねこぢるうどん」も収録された第3巻。恒例の山野一による、ねこぢるの日記の漫画化作品「探偵」も掲載。ねこぢるの場合、作品によって温度差がけっこうあるが、ガロ掲載分の話は狂人や残酷なシーンの描写など、容赦がなくて面白い。
【単行本】「悟空道」7巻 山口貴由 秋田書店 新書判
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悟空が武器国の王たちをぶち殺したため、三蔵に破門される。悟空抜きの旅をすることになった、残りの三人の旅がこの巻では語られる。最近はとくに三蔵の、傾国たる色香がぷんぷんと発揮されていて目立つ。ただ、カタルシスの面でいまいちテンションが低いかなあという気がする。
5/14(金)……アリゴ・サッキヤマ
秋葉原でとある漫画家さんと仕事のお話。いちおう打ち合わせが終わった後、二人でアキバめぐり。CPUよりも高いちょっとイカれたCPUクーラーを買うように焚きつけたり、マザーボード選びの相談に乗ったり、自分用の買物をいろいろしたり、いつものアキバめぐりとちょっと違った感じで新鮮。ちなみにいつものアキバめぐりは仕事がらみなので、モノも言わずに3時間ぐらいかけてパーツショップを30軒くらいハシゴするというちょっとイヤな感じのもの。でも、途中でコミック虎の穴に寄るのはどちらにしろ欠かさなかったりするわけだが。
きらの101ページ、長編読切「ハックルベリーにさよならを」(原作:成井豊)が今号の白眉である。これはたいへんに面白い。父母が離婚して別居している家族。その間に挟まれた少年が主人公。現在は母と住んでいて、父とは月1回の面会日にしか会わない。その面会日に、父の世話を焼いてくれる美しく優しい女性を紹介された少年は、父がその彼女と結婚することに納得がいかない。そんな彼の姿を、彼の兄が見つめるのだが実は……という感じの展開。上品でサッパリと行儀の良い画風で、少年の切ない気持ちを存分に映し出す。そしてラストのほうのどんでん返しと、フワリと拡散していくような締めくくりはとても気持ちが良かった。ページ数が多いこともあって、とても読みごたえがある。
広瀬なつめ「ドキドキしようよ!」。アイドルの一ファンに過ぎなかった女の子が、とくに理由もなさそうなのに見初められて芸能界入りし、自分がファンだった男アイドルと恋仲になる……って感じのお話。目がパカッとデカくて、けっこうアンバランスな絵柄だが妙に味がある。各所で都合のいい展開が行われていて、なんかその子供っぽさが見ていて楽しかったりする。下手に御都合主義を小出しにされるよりは、こちらのほうがいっそ爽快。上野真麻「トリコになりました」。第372回別マまんがスクールベスト賞受賞作。つまり新人である。滅多に笑わない男の子の笑顔を見てそのトリコになってしまい、彼をもう一回笑わせてみようと必至になる女の子のお話。なかなか健気で爽やかなストーリーが微笑ましくて気に入った。永田正実「恋愛カタログ」。固デブ系の笹錦さんの恋愛模様、男気のある女心がかっちょよい。山田雨月「HAPPY TOGETHER」。モノを食べるのが大好き、ぽちゃぽちゃ系女の子のちょっと素敵な恋物語。幸せそうにモノを食べる女の子って見ているほうもうれしくなる。食事はやっぱり楽しんでしたいなあと思う一作。
【雑誌】ヤングジャンプ 5/27 No.24 集英社 B5中
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奥浩哉「ZERO ONE」は第3回め。主人公の石動君のことを気に入っている女の子がとてもかわいいなあ、という感じ。作:夢枕獏+画:くつぎけんいち+脚本:生田正「怪男児」。怪力だけどピュアな男、あやめが自分が好きだった女の子の淫蕩ぶりを知り悩む。顔は非常にマジメで考えていることも一本気なのだが、股間は力強く屹立しているのがユーモラスでええ感じ。絵もシャープな描線で好ましい。
【雑誌】ヤングアニマル 5/28 No.10 白泉社 B5中
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克・亜樹「ふたりエッチ」では、2本立ての2本めがローションプレイのお話。ローションはぬらぬらしてて大好きだ。ピンクなどの色が付いていない透明な奴のほうが個人的には望ましい。ここらへんのローション事情は、こいずみまり「コイズミ学習ブック」でレポートしていただけるとありがたく。オイルレスリングとか、泥レスもいいよね。誰に同意を求めているのやら。かっこばく。二宮ひかるの読切「乱れる」。雑用により自分の存在価値を確認している地味な女性の、秘められた女心を描く。じんわりとにじみ出すような色っぽさがたいへん魅力的。柴田ヨクサル「エアマスター」。崎山香織+マキによる女子プロレスコンビ、ファミレスラーズがノリノリ。豪快に馬鹿馬鹿しくてとてもいい。今号は、90年代を振り返るというお題でアニマル執筆陣がそれぞれ4コマ漫画を描いている。総勢23名。面倒なので内訳は書かないので、各自確認してほしい。SUEZEN「新生活」。今回はなかなか。全体のパーツはいいんだけど、縦につぶした感じで背の低い女性と、昔はエロ映画の男優をやっていて今は老人ヌードモデルをしているお達者な老人が、かたやCGで、かたや絵で、相手の姿を理想の形に作りかえるのに夢中になって一夜をすごすという物語。ヒロインの女性が、とくに脱いだときになまめかしくて魅力的だった。流し目がいい感じ。馬場民雄のラーメン漫画「ご馳走さま!」。主人公の中谷地の狂気がほの見えてよろしかった。さらに、眼鏡を外すと美人になる女の子。はっきりモノが見えてなくて、焦点が合ってない感じが色っぽいなあと。氷室芹夏「夏音」は今回後編。ちょっと絵がくどくなってて違和感あり。以前のように、ゆでたまごみたいなつるりとした輪郭線のほうが俺としては好き。
で、なんだか次号から田中ユタカの新連載が始まるそうだ。今のアニマルには似合いすぎといえよう。カッコカクバク!
5/13(木)……リンゴの書
ここに一つのリンゴがある。このリンゴを、なぜ人間は「リンゴ」と認識できるのか。形ゆえか、色ゆえか、香りゆえか!?……といったように、何か物体を例にあげて話をする場合、例として挙げられるモノはかなりの確率でリンゴであるような気がする。これはなぜなのか?そして、さらにリンゴに対応する物体をもう一つ例に挙げる場合、次に来るのはまず間違いなくみかんである。断じてレモンではないし、カキであることもない。ましてやバナナであることも。これまたなぜなのか。
実際に日常生活の中で、リンゴってそれほど頻繁に目にするものでもない。食べるのだって、平均的にはせいぜい1、2週間に一度程度ではあるまいか。それなのになぜリンゴなのか? 広辞苑第五版によれば、リンゴが日本に導入されたのは明治初期であるらしい。日本に根づいてからそんなに歴史のある果物でもないというのになぜ。
たとえに使うだけなら、山芋だってカブトムシだってダイヤモンドだってかまわないのではなかろうか。なんとなくアダムとイブのせいのような気もするが、となるとみかんはアダムとイブが2番めに口にした知恵の実だったりするのか。俺にはリンゴの気持ちってやつがどうもよく分からねいのよ。
【雑誌】コミックビーム 6月号 アスペクト B5平
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収録作品リストはビームのページ参照。
園山二美「蠢動」。ううむ、ヤバい、ヤバいぞ。今号は原稿が落ちて6年前のデビュー作が掲載。未読の作品だったのでもうけたと思った人もいるだろうしわりと面白かったのはいいのだが、次号からまたしばらく休載らしい。復活してから順調だと思っていたのに、本当に危なっかしい人だ。早期復活を望む、といいたいところではあるが、中途半端な復活の仕方をしてまた休載ってことになってもつまらないので、なるべくいい形での復活を望みたい。ただ、この人の作風だと精神的な負の要因がエネルギーになりそうな部分が多そうなので、あんまり健全な精神状態でもまたそれはそれで作品的にはマイナスになっちゃうような気もする。
志村貴子「敷居の住人」。4/27の日記で第2巻の感想で「どうからんでくるか気になる」と述べた近藤ゆかがちゃんとお話にからんできた。それからまたしても新しい娘が登場。女の子たちはそれぞれに魅力的で、それに振り回される本田の姿も他愛なくて楽しい。ただ、女の子たちの個体差がそんなに大きくないのにわりとわらわら出てくるため、ときどき「えーと、この人どんな娘だっけか」という感じになってしまうことがある。とくに近藤ゆか。キャラが立ってないわけじゃないのだけど、その人がどういう経緯で出てきたかという説明が、各話でいまいち足らないような気がしないでもない。永野のりこ「電波オデッセイ」。原さんのフクザツな家庭事情がついに語られ始めた。読んでいて身を切られるような、ザクザク心に切り込むあの展開が、さらなる深度で展開してしまうのだろうか。またもや目が離せぬ。というか離さぬ。
羽生生純「恋の門」。同棲を続ける二人だが、その気持ちはイマイチかみ合わない。今回は恋乃が愛してやまぬ声優の本を門がなべしきに使ってしまった件で喧嘩になり、その後二人とも思い直して、付き合い方を一つ学習する。その解決は根本的なものではなく、実はお互いのエゴに基づく打算ぽかったりもするわけだが……。この二人がどんな方向に進むんだか、いまいち予測はつかないが、予測がつくよりもそっちのほうが面白い。しりあがり寿「弥次喜多 in Deep」。今回はなんだかとても怖い話。喜多さんが薄暗い晩餐会の主賓席に一人座っているところから話は始まり、そこに喜多さんが伊勢に行ったものだと思い込んでいる聴衆が、一人また一人と入ってくる。彼らは尋常でないさまで、喜多さんに伊勢の話をせがむが……。なぜ彼らは喜多さんを問い詰めるのか。その求めるものは。切羽詰まった目の光はいったい? 何も明かされないまま、ただ不安感だけが増幅していく。これはなんとも恐ろしい。いましろたかし「釣れんボーイ」。ヒマシロ先生は、もう本当にダメだ。釣りをしているとき以外で、もっともシャンとした顔つきをしているのは、タコ焼きを買うときだったりする。釣り以外のときは、どこか心ここにあらず。でも逃避まではしきれない往生ぎわの悪さまで、これだけ正面切って描かれると感心するほかない。金平守人「金平劇場(仮)」。今回は超兄貴系の暑苦しいホモネタ。パワフルでまあ笑えるが、ホンモノな人の作品と比べると、上っ面だけな感じはどうしてもする。本当にそうである人たちの、心と行いを思うと素直に笑えないというか。
【雑誌】ヤングサンデー 5/27 No.24 小学館 B5中
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柏木ハルコの新連載開始。タイトルは「ブラブラバンバン」。好きな女の子に好かれようと中学校3年間、部活でトランペットを吹き続けてきた、ちょっと金太郎っぽい顔をしたイジメられっ子の少年。彼の恋は卒業とともに、無残な形で終わる。そんな中、手許に残ったトランペットを携え、少年は公園に出かける。すべてを忘れたくて延々とトランペットを吹き続けていた彼は、同じように何かに憑かれたようにホルンを吹き狂っている女性に出会う。彼女は、楽器の音で明らかにエクスタシーを感じていた。この出会いが、きっと彼らをどうにかしていくのだ……という第1回め。というわけで次号より本格始動。どんな感じになるのかまだ分からないが、楽しみが一つ増えたことは確か。岩田やすてる「球魂」。なんか意味もなく濃い卓球漫画であるわけだが、今回はデブの部長がお話の主役。大仏サーブを打つときの、拍子抜けするような表情がなんだかどうにも馬鹿馬鹿しい。
【雑誌】近代麻雀オリジナル 6月号 竹書房 B5中
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おおつぼマキ「プラム!」。最終章の前編。次号は中編でなければ最終回? 掲示板でもときどきメビウスさんによって話が出るが、たしかに泣ける。重度肢体不自由者でもう長くは生きられない少女と福祉専門学校に通う男の、麻雀ふたり旅。俺は途中からしか読んでないので分からないところもあるのだが、まとめて読むとかなりイケそうな気配。比古地朔弥「崖っぷちギャンブラー」は、こちらは正真正銘次号で最終回。比古地朔弥にしてはだいぶ快活でヌルい。こっちを最初に読んだ人が、あとから「けだもののように」「神様ゆるして」を読んだら、その落差にきっとビックリすることだろう。
【雑誌】モーニング 5/27 No.24 講談社 B5中
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ヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」。成長したヨリと、国舞リップス三度めの対決。でも、最終的な勝負はプレーオフに持ち込まれるだろうから、現時点ではまだまだ力は及ぶまい。Vリーグ編の後に日本代表編はあるんだろうか。とりあえず、Vリーグで国舞リップス以外にライバルを作らずお話をハイスピードですっ飛ばしているのは、いいと思う。下手にライバル増やすとダレちゃうし。作:田島隆+画:東風孝広+監修:青木雄二「カバチタレ!」。厚化粧なオバハン、情けないおっさん、ヤリ手の行政書士。青木雄二テイストは本当に色濃い、っていうかまんま。賞の評者としてのセンスはいまいち信頼してないので、漫画に関わり続けるのならやはり製作者サイドであってほしい。山本おさむ「威風堂々」。極道が、後輩に味噌汁の作り方をたたき込む、ただそれだけの話だ。でもそれだけのお話に、その組の伝統や込められた想いなど、ありったけのドラマをぶち込み激しく読ませる。やまあき道屯「自由って何?」。前にもこの人掲載されていたが、まあそのとき同様絵柄が松本大洋風。だけど、人物描写だけでなく背景の描写もしっかりしているし、自分独自の物語も作っていてわりとイケる。舞台は昭和44年。ちょっと不良っぽい少年が「今すぐいやってみたいことがある」といって、町で一番高い煙突のてっぺんに登る。思春期で悩んだ末の自殺かと思って、町の人たちが集まってきて大騒ぎになるのだが、彼が狙っていたのはもっと馬鹿馬鹿しくも素敵なことだった……というお話。
【雑誌】週刊少年チャンピオン 5/27 No.25 秋田書店 B5中
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板垣恵介「グラップラー刃牙」。刃牙 vs.ジャックの対決もいよいよ決着したもよう。ジャックが攻撃を止めてしまったというのは、なんとなく納得行かない感じもするのだがまあいいか。樋田和彦「京四郎」。この判で押したみたいな絵柄はやっぱりすごいなーと思う。下っ端のチンピラなんて全員髪型一緒だし。しかも敵味方はちゃんと髪型で分かる。便利だ。
5/12(水)……宇宙は雨の中に
今日はコミックビームの発売日!なのだがまだ届いてない。書店ではすでに見かけているのだけど。こういうのが定期購読のツライところ。まあたぶん明日か明後日には届くだろうから、そしたら感想書くということで。ちなみにこういう定期購読関連で電話などで「届くのが遅いヨー」と編集部に文句をつけてくる人がたまにいるが、一般的な出版社なら編集部が発送まで担当しているのはまずない。文句を受けても編集部としては申しわけなくは思えど、「俺たちにそんなこといわれてもねえ」という気分にもなる(経験アリ)。すぐ読めないのが悔しいのは分かるけど、ちょっとだけ待ってやっては下さりますまいか。みんな遅らしたくて遅らしてるわけじゃあないのだ、と思う。
【雑誌】まんがタイムジャンボ 6月号 芳文社 B5平
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例によって、こうの史代の作品が載っていたので購入。タイトルは「こっこさん」。やせっぽちの女の子やよいが、下校途中に通学路で一羽のニワトリと出くわす。給食の残りをやったところそのニワトリがついてきて、結局このニワトリを飼うことに……といったお話。4コマ誌ではあるが、この漫画は4コマではなく普通のコマ漫画。お話的にはスゴイってわけではないけど、手堅く和ませる雰囲気を持っている。ラストページの大きめのコマの絵なんかは、しみじみしていい感じだなあと思う。
【雑誌】週刊少年マガジン 5/26 No.24 講談社 B5平
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本島幸久「蒼き神話マルス」は今回で最終回。なるほどこう来たか。かなりタワけた部分があったり、意外と女の子が色っぽかったり、ラブコメ部分がベタベタだったりと、過剰な部分がさりげなく多くて実はわりと好きだった。蛭田達也「新コータローまかりとおる!柔道編」。勝負の駆け引きもちゃんとしているし、しっかり柔道やっていて楽しめる。さすがに熟練の技。
【雑誌】週刊少年サンデー 5/26 No.24 小学館 B5平
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巻頭カラーで石渡治の新連載。タイトルは「パスポート・ブルー」。キャッチは「少年は宇宙をめざす!!」である。下町で暮らし空を飛ぶことに憧れていた少年。実はその父親はロケット打ち上げの技術者だった……というところまでで第一話。たぶん、この少年が成長して有人ロケットで宇宙へ飛び立つのを目指すって感じの物語になるのだろう。最近宇宙モノの漫画は少ないのだが、そろそろ時代は宇宙っぽくないか?というわけで宇宙ってだけでけっこう期待してしまうのである。宇宙といえば、どうでもいいんだけど最近宇宙開発事業団がメールサービスをやっているので登録している(無料)。なんか地味な話題が多くてあんまり面白くはないのだが、わりとちょくちょく送ってくるので、ちょくちょく宇宙っぽい気分になれるぞ。興味のある人はどうぞ。
久米田康治「かってに改蔵」。コマぶち抜きで女の子のかわいいポーズがさりげなくアップになっているのはいつものことだが、久米田康治描くところの女の子は足がスラリと長くて首がほっそらしててけっこう好きだ。
【単行本】「ジェノムズ」1巻 荒巻圭子 講談社 A5
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新刊ではないが、池袋の芳林堂に置いてあったので「今のうちに買っておかないといずれ買えなくなるだろうなあ」とか思い購入。2021年、遺伝子操作技術を利用した犯罪を防ぐために設立された、遺伝子管理法局。そこの職員であり、血の気の多い捜査官・笹岡圭一が主人公。彼が遺伝子に関する知識を応用しつつ、二つの犯罪の解決に関わるのがこの1巻。ガッチリと骨太だが、ペンタッチは細やかで端整なバランスがとれている。黒々としたスミベタも迫力があって美しい。ハードボイルドで力強くかっこいい。遺伝子に関する知識的な面ではさほど深くはなさそうだが、効果的な場面で意味のありそうなアイテムは配置されていて、なんとはなしに説得力がある感じがする。未収録部分も単行本にまとめてほしいとこだけど、まあ無理だろうなあ。
5/11(火)……縄とヘヴィ
希林館から「少年少女ための傑作マンガ100」の見本誌をいただく。漫画界をオールタイムで総ざらいし、語り継ぐべきであると思われる漫画100作品を紹介する書評本。地味ながら生真面目な作りで、読みごたえはありそう(まだあんまり詳しく読んでないんで「ありそう」くらいにしかいえないのだけど)。取り扱われているのは漫画読者としてのキャリアがある人には周知の作品ばかりだが、これから漫画の世界に深く分け入っていくような少年少女が今までの漫画の流れを知るという目的では、かなり有用なガイドブックだと思う。この本では俺も原稿を書かせてもらっていて、さそうあきら「神童」と松本大洋「花男」のレビューを担当した。何より驚きなのは、レビュー100本のうち初っぱなに掲載されているのが自分の原稿だということだ(「神童」のほう)。自分の原稿を今読み返してみると、語尾のダブりやら繰り返し表現も散見されるし、論理の詰めも甘く、まだまだ修行が足らないなあと反省すること多し。でもこの原稿は、一度編集者の方からダメ出しを受けてウンウンいいながら書き直したものであるだけに、それなりの満足感もある。まあ本屋で見かけることがあったら、めくってみていただけると幸い。買っていただけたりするともっと幸い。判型はA5で定価は1400円+税。発行:希林館/発売:星雲社。ISBN4-7952-6086-9 C8079。
ジャンキーズが休刊して以降、商業誌で漫画系の原稿を書くことはほとんどなくなっているのだが、もしお仕事があるようだったら原稿料はなくてもいいのでぜひチャレンジさせていただきたく思っている。商業誌は、Webページなどと比べて甘えが利かないのでいい修行になるし、そういう方面での実績を作りたくもあるので。
【雑誌】ヤングチャンピオン 5/25 No.11 秋田書店 B5中
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富沢ひとし「エイリアン9」。今までとは別種の、新たなエイリアンが登場。このエイリアンが絡んで、事態はさらに混乱。さて、次はどんな手で攻めてくるのか。楽しみ。作:宮崎克+画:高岩ヨシヒロ「松田優作物語」。コレって別の出版社から、同じコンビで同じく松田優作モノ「風奔る」って単行本も出ている模様。
志名坂高次「受験の帝王」は自立編最終話。他人を引きずり下ろすとかではなく、大学受験という舞台において、周りを顧みず突っ走った一対一の勝負をしているさまが面白い。かなり間違った努力な感じではあるが、間違っていようが何しようが、全力でぶつかっている姿は馬鹿げていつつもかっこいいものである。愛原司「VIVA!CALCIO」。このシーズンのセリエAもいよいよ最終戦。ミラン vs.フィオレンティーナの直接対決。なんとも煮詰まったサッカーオタクぶりが徹底していて爽快。現実のセリエAは現時点で残り2試合。勝ち点はラツィオが1ポイントリードだが、残りの対戦カードはミランに有利。来年のチャンピオンズリーグで、ラツィオのマンチーニやらミハイロビッチの活躍を見たいという気もするが、ディナモ・キエフからミランに移籍するシェフチェンコも見てみたい。まあどちらが優勝しても楽しみなことは間違いないのだが。
【雑誌】ビッグコミック 5/25 No.10 小学館 B5中
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谷口ジロー「捜索者」。死んだ親友の娘が失踪したと連絡を受け、東京に出てきた南アルプスの山小屋の主・志賀。彼がその娘を捜索する過程を描く。きっちりと細部まで描き込まれ、谷口ジローらしいシブイ作風。物語は地に足が着いていて、しっかりと読ませる。このほかにこの雑誌、近藤ようこ「あけがたルージュ」も連載されているし、今回は読切で倉多江美も掲載されているし、本当に渋好みだ。渋すぎて、ダイナミックさに欠けているのが難点でもあるが。
【雑誌】ミスターマガジン 5/26 No.10 講談社 B5中
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唯登詩樹「YUI SHOP」。女の子がノーブラ、タンクトップで縄跳びをして、胸ポロしてイヤーンという。本当に、ただそれだけの漫画なのだけれども。それだけのことに異様な情熱を傾けるさまはかっこよくもある。そして、乳も立派でいい具合である。画:野々村秀樹+作:宮塢さなえ「それゆけまりんちゃん」。頭悪そうなお色気ものなのだが、かなり開き直っていてHに徹していて、馬鹿馬鹿しいがそのぶん気楽に楽しめる。瑞々しくてツヤツヤしてるところがいい感じ。
【単行本】「BARレモン・ハート」15巻 古谷三敏 双葉社 B6
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オサケのうんちくを語る漫画としては他の追随を許さない。説教を押しつけるでない、恬淡とした語り口がとても好ましい。今回の巻は、オサケを通じて展開される人間ドラマに非常に味があって、いつもの巻にも増してジンときた。BARレモン・ハートの常連である松っちゃんは、憎めなくてとてもいい男だなあと思う。
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