◆ 1999年9月上旬 ◆

9/1〜10
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9/10(金)……この祈り

 会社マシンから余ったパーツを利用して、おうちマシーンを再構築。というかもう1台作ってしまう。今まではデスクトップのケースになんでもかんでも詰め込んでいたのだが、それを二つに分散し、新たに買ったフルタワーケースのほうにいくつかデバイスを追加。
 で、マシンを組んで分かったこと。ディスプレイがイカれている。前から調子は悪かったのだ。画面は揺れるし、ヘンな水色っぽい色もかぶる。ケーブルを換えてもキレイに映らない。BNCだとまあそれなりだが、とくに低解像度はかなりきちゃなかった。原因としてはビデオカードかディスプレイのどちらかであると踏んではいたのだが、別のビデオカードを試すチャンスがなかったのでそこらへんハッキリしなかったのだ。
 ディスプレイはPC関連機器の中で、最もリプレースがやっかいなものだと思う。デカいから無闇には捨てられないし、第一もったいない。ちょっと表示が乱れるからといって、なかなかとっかえるまでには至らないのだ。まあBNCで高解像度にすると、なんとかかんとか見れるようにはなるんで、しばらく耐えるつもりではあるが。

【雑誌】エースネクスト 10月号 角川書店 B5平
 まずは巻頭カラーで始まった阿部吉俊の新連載「NIEA_7」(原作:ジェロニモ本郷と糞先生)が注目の的であろう。宇宙人な人と同居する女子予備校生。二人のやかましくも平凡な日常を描く作品。第一印象はやはり絵がうめーってこと。沙村広明っぽくもある、鉛筆画的な描線と、奥行きを感じさせる空間の存在感。キャラクターたちはガチャガチャと話しつつも、全体的な雰囲気はゆったりしている。読んでいて気持ちが良い。近藤るるる「黒蘭」も新連載。和風な異世界で、サムライな女の子と従者な男の子が旅をする。まあいつもの近藤るるる。この人って、「ハイパーあんな」の初期のころよりもだいぶ線が簡略化されてしまって、少し好みから外れてしまいつつある。岩原裕二「クーデルカ」。今回もいい。というか絵柄がやはり好みである。クッキリとしていつつ、ペンタッチでしゃかしゃか陰影をつけてある感じが好き。作:大塚英志+画:森美夏「木島日記」は無事復活。今号は読むところがわりと多かった。あとは石田敦子が復活してくれれば……。

【雑誌】ヤングアニマル 9/24 No.18 白泉社 B5中
 田中ユタカ「愛人[AI-REN]」。ああ、もうたまらねえ。トロトロである。今回はあいの絵日記形式で、イクルとの日常が語られる。あいの無邪気で照れのないイクルへの想い。濃縮され洗練され、徹底的に純度を高められた初恋エキス。その濃密さに圧倒されるばかり。ちくしょう。うらやましい。技来静也「拳闘暗黒伝セスタス」。ついにセスタスとルスカの友情破れる。どちらが悪いわけでもない哀しい運命。読者に正面から訴えかけてくる地力のある作品。SUEZEN「新性生活」は今回でラスト。まああっけらかんと締めくくり。6話だけだったけど、それぞれに違った味付けがしてあってけっこう楽しめた。

【単行本】「ハッピーニュース」 井ノ本リカ子 松文館 B6
 司書房系の男性向けエロ雑誌でも活躍中の井ノ本リカ子。2冊めの単行本はボーイズラブ系。ちょっと頭弱めでなよっちい美少年と、色男系の美少年がからむというのが基本パターン。男×男なのだけど、さすが美少女系でも描いているだけあって、なよっちい美少年がよがるさまがたいへんにHだし、ソソってしまうのだ。この人は話をきれいにまとめる力もあるし、淡い絵柄も魅力的。そして男を描いても女を描いても、けっこういやらしくできる人である。まあこの単行本に収録されている作品にでてくる受側の少年は、胸がなくて掘られている位置が違うだけで少女とほぼ等価であるとはいえ。

【単行本】「春よ、来い」1巻 咲香里 講談社 B6
 講談社からは初の単行本。ヤングマガジンUppers掲載作品。東京で一人暮らしをしている大学生男子の許へ、実家にいたはずの女子高生の妹・まふゆが転がり込んでくる。実は彼女は、地元の高校で友達とレズ関係にあったのがバレて、親によって強制的に転校させられてきたのだった。そのまふゆを追っかけて、レズ相手だった沙恵も転がり込んでくる。かわいい居候二人を抱えたおにーちゃんの苦労は続く……というお話。
 咲香里は絵はたいへんに華やかで達者。女の子も可愛いし心理描写もうまい。お話作りもそれなりの腕。高いレベルで完成されている人であり、エロ漫画系でも実力は際だっていた。ただ、まとまっている分だけ突出した部分が感じられなかったのも事実。ZetuManでやっていた「太陽が落ちてくる」もよくできてはいるのだけど、行儀がよすぎるような気がしたものだ。で、メジャー系進出のこの作品を読んでみて、「こっちのほうが合っているかもしれない」と思った。コンスタントにそれなりのレベルで見せることができるだけの実力があるので、メジャー系の雑誌で長期連載……というほうが向いてそう。濃厚で一話完全燃焼が要求されがちなエロ系よりも、薄口でもコンスタントにエンターテインメントするメジャー系のほうが、この人の作風には合っている感じがする。
 というわけでこの作品、きっちりまとまっていて爽やかであり、トキメキもある。いい出来だと思う。

【単行本】「フローズン」2巻 山崎さやか 講談社 B6
 アメリカから留学してきた日本人のハーフ、桃花が巻き起こす騒動。何ごとにもはっきりとしない日本人に強烈な違和感を覚えていた彼女だが、ついに逃げない覚悟を固める。で、その後あたりからは桃花とその友人たちとの生活を描く、たいへんにお気楽なノリになってきた。大きな目的はなくなったので、若干散漫な感じもしなくはないが、カラッと読めて楽しい作品ではある。

【単行本】「0(ラブ)リー打越くん!!」2巻 桑原真也 講談社 B6
 この漫画はやはりなんだかヘンである。吸血鬼の美少女、真希シノヴがバカスカ人を殺すわりに、そんなことは意にも介さぬかのようにラブコメチックな展開も見せる。やっていることが過剰で表現も濃いのだが、読み口が実に軽やかである。そしてこれだけいかがわしい状態でありながら、後書きではそれでもテニス漫画にするなどと語る。回を重ねるごとに色っぽく、また可愛くなってくる女の子キャラクターや、グイと読者を引き込む手際など、実力は疑いない。でもやはりなんかヘンな作品だ。そしてそれであるがゆえにたいへんに味わい深く仕上がっている。


9/9(木)……ころしや国酔夢譚

 秋葉原をウロウロ。コミックとらのあなに寄ったところ、リスト片手にエロ漫画の単行本を買いあさっているおじさん発見。永山薫さんだった。一緒にとらのあなの各フロアを回る。「今月は100冊行かなそうです」とのこと。いやあ、あの仕事もたいへんですなあ。「最近インターネットでジャンキーズ復刊とかいう噂が流れてるんですよ〜」ともおっしゃっていたが、どうやらそれはウソである模様。残念。その後、とらのあなを出たところで別々の方向へ。そして僕は、物欲をいろいろ満たすべく、魔の都市散策を続けたのだった……。

 あ、そういえば清涼院流水の「カーニバル」シリーズ完結編、「カーニバル・デイ」が発売されていたのですかさずゲットしたが、京極夏彦の新刊「巷説百物語」(角川書店・ハードカバー)を読み終わっていないので、すかさずは読めないのだった……。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/23 No.42 秋田書店 B5平
 能田達規「おまかせ!ピース電器店」。今回の発明品は、自分のペットに取り付けておくことでペットの仕種を完全にコピーしてくれるロボット。これを持ち歩くことによって、ペットと「どこでもいっしょ」な気分を味わえる。いいなあ、これ。欲しいなあ。あと、実はケンタローに恋する脇役の女の子が今回は大きく出ているのがうれしい。ビバ、脇役! そしてモモ子とケンタローのラブラブぶりもいいぞ。板垣恵介「グラップラー刃牙外伝」。猪狩 vs.斗羽の試合に決着。と思ったら最後はなんだかほのぼのなオチ。お話が終わった後の対談も楽しい。うわーん、馬場さーん、という感じ。

【雑誌】増刊ヤングチャンピオン 10/5増刊号 秋田書店 B5中
 ようやく購入。今村夏央「Sweeet Monsters」はお得意のあにいもうとモノ。とはいえSEXまではいかないけど。ブラコン気味の妹と、兄を弄ぶコギャルが対決。なぜかアクションありありで楽しそうに描いている作品。近藤佳文「張桃ばなし」。仙人に不死の薬をもらわんとして崑崙山にやってきた若者。彼は不老不死ではなく、不死のみを願った。漢の高祖・劉邦の妻、呂大后の逆鱗に触れたお嬢さまを救わんと、呂大后の課した両足を切り落として石段を昇りきるという苦行に挑むために。まだぎこちない点もあるが、ペンタッチは細かく、きちんと物語を作り上げていく力強さには好感。ただラストのあたりの展開はイマイチではある。「バロン・ゴング・バトル」の田口雅之が読切で登場。タイトルは「クラウディア」。殺し屋である「NO.2」。彼の心を一夜だけ暖めてくれた女性、クラウディアの仇を討つため、同業の殺し屋「NO.1」に挑む。無闇に力強い展開と、「くそ」喋りは健在。絵柄は青年誌ということを意識してか「バロン・ゴング・バトル」よりも劇画調になっている。あと松田優作物語はここでも。

【雑誌】FEEL YOUNG 10月号 祥伝社 B5平
 こいずみまり「なげやりラヴァーズ」が新連載。この人がこの雑誌で描くというのは、なんか虚を衝かれたような感じでけっこう意外だった。今回はものぐさな男が、大人しげな女と知り合い、やるだけの関係を作るが、ものぐさぶりをまたまた発揮してまあいいかとばかりに結婚してしまう……というお話。下品系作品のような弾ける感じはないものの、ショートストーリーとして完成されててまとまっている。南Q太「恋愛物語」。やはりうまい。クールな艶めかしさが全編に漂い、いい距離感を作り出している。すでに風格あり。

【雑誌】ヤングサンデー 9/23 No.41 小学館 B5中
 細野不二彦「太郎」が最終回。サラリーマン編とボクシング編が途中とっちらかってもやもやしていたし、過剰過ぎる展開もあったが、ボクシングの試合のあたりは迫力があって面白く読めた。さすがに細野不二彦、この作品も手堅かった。遊人「桜通信」は乳が扉。今回もどうでもいいノリで突っ走る。ここまでどうでも良く馬鹿であるとむしろうれしい。山本英夫「殺し屋イチ」。垣原のSMに対する信念が素晴らしい。殺されるまでの必然性をあくまで重んじる垣原の業の深さに、恐ろしい凄みがある。この物語は、イチの物語というよりも垣原の物語であるようにも思えてくる。それだけ垣原の存在感はすさまじい。かつてここまで痛みというものに自覚的だったキャラクターがほかにいただろうか?

【雑誌】ヤングジャンプ 9/23 No.41 集英社 B5中
 山口譲司「BOING」。山奥の村で行われるボイン祭り。そしてそのメインイベント、乳追い祭り。男の精を求めてぼいんたちが悪鬼羅刹のごとく、乳をゆさゆささせて男を追いまくる。なんだかどんどん話があらぬ方向に行っており、この無軌道ぶりが痛快。

【雑誌】モーニング 9/23 No.41 講談社 B5中
 井上雄彦「バガボンド」。レベルの高い描写力に毎度ほれぼれ。人物描写だけでなく背景も美しいし、演出もスキがない。だからスキ。太田垣康男「一生!」。一生の手術と大樹の試合終了。試合の描写もそうだし、感情面でも、力づくで泣かせてくるあたりが頼もしい作品。

【雑誌】東京H 10月号 一水社 B5平
 ゼロの者「テイリュウジョ」がとてもよろしい。扉のアオリ文句はかなりダメだけど。田舎のバス停で、いつも同じバスを待つ二人。周りの何者にも関心なさげな少女と、一人の男。最初は気まずくて言葉も交わせない日々が続くが、二人はしだいに歩み寄っていく。その過程がゆっくりとしていてとても気持ちいい。女の子の素っ気なさげな表情が少しずつ柔らかくなっていき、それに比例するように男がハマっていく距離感がとてもうまく描けている。キャラクターの表情とか雰囲気とかが、少し冬目景っぽくなってきているような気もした。
 沙村広明「ひとでなしの恋」。モノクロ2Pイラスト。やはり沙村広明はかなりSである。Mであるのやもしらぬ。まあ作者自身がどんな人であるかなぞどうでもいいのだが、陰惨な場面を、実に美しく一幅の画として描き出す力量は素晴らしい。被虐美の極。友永和「パイ▽パイ完結編」。母乳バリバリのヌルヌルファック。ガチンコのエロでいいんだけど、母乳は正直あんまり燃えない。同じヌルヌルでも、もう少し透明度が高くて粘度の高い液体のほうが好きだ。


9/8(水)……ゲティ

 ぼんぼろぼ〜ん。ようやく今回のお仕事完了。ここのところ弱まりっぱなしだったが、これで少しはなんとかなるか。そういえば増刊ヤングチャンピオンとか、いろいろ買い忘れていた物件があるので、明日は本屋ゴー。ゴーヤンホ!

 本日発売号のSPA!(以下SPA!) 9/15号で我執院譲治という人が「the 山田家」のレビューを書いているのを発見。というわけで書きました。今まで原稿を書かせていただいた中でおそらく一番部数の多い雑誌のはずだが、いまいちうまく書けていない気がするのでちと恥ずかしくもあり。Webで書いたのとあんまり内容も変わってないし。
 ちなみに、お仕事を下さった担当編集者さんは漫画評のコーナーを外れることになったので、SPA!で書くのはおそらくこの1回こっきりとなるのではなかろうか。機会があればまた挑戦させていただければと思うが。

【雑誌】YOUNG YOU 10月号 集英社 B5平
 山下和美! 嗚呼! というわけで前号で前編が掲載された「天使みたい」(そのときの感想は8/7の日記参照)の後編。素晴らしさに思わず額をペチペチ叩いてしまうような出来映え。といっても最近の山下和美はどの作品もたいへんに面白いのだけど。シャープにして繊細。凜としつつセンチメンタル。揺るぎなき表現。ラストは鮮やかにひねりもいれつつしなやかに着地する。今回は前編で一人歩きしはじめた、主人公の「はるか」のコピーであるロボットの「かなた」が、はるかの想い人と海へ。機能を停止したかなた。自分の半分でさえあったかなたを失ったはるかの清浄な哀しみの描写の、なんと美しいことか。ラストの締めくくりも穏やかで見事。実に面白かった。泣けた。
 あと、予告からの情報。9月24日に発売の別冊YOUNG YOUに榛野なな恵の「ピエタ」最終章後編掲載。それから同じく9月24日に発行されるCookie(りぼん+ぶ〜けという出自の雑誌の模様)で、谷川史子登場とのこと。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 9/15 No.18 講談社 B5中
 渡辺ヒロフミ「おともだち」。前号に引き続き掲載。邪悪でクズ野郎なおともだち(自称宇宙人が付属)を持った美少年。壊れた感じのギャグがなかなかイケる。おざといお色気シーンと、投げ遣りな展開も吉。咲香里「春よ、来い」。妹のレズ相手のおねーちゃんと、主人公のにーちゃんの関係が深まり、にーちゃんの彼女も含めて三角関係の度合いを増す。今回も扉絵が4色カラーと好調な模様。華やかでいいですのう。瑞々しい作風。それからE-Oppersで氷室芹夏が4色4ページの読切。カラーが美しく、ええおっぱいでございました。セーラー服がスケスケすぎる感はあるが、濡れ透けって素晴らしいよねー。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/22 No.41 小学館 B5平
 椎名高志「GS美神極楽大作戦」。ついに最終回。最初はこんなに長期連載になるとは思わなかった。というわけでおつかれさまでした。俺はそんなに読み込んではいなかったけれども、面白いときはかなりボルテージが高くて引き込まれるものがあった。読切シリーズで作:七月鏡一+画:藤原芳秀のコンビが登場。「Dr.トゥモロウ」。今回は前編。報酬しだいでどんな身の上の人間でも治療する、流れのすご腕医師、粕羽明日郎が主役。厄介な事件に巻き込まれて危険な手術をすることになるが……といった感じ。久米田康治「かってに改蔵」。今までは人に何かされて奇矯なことをさせられていた地丹が、今回は自らキレる。どこを見ているんだかとんと分からぬ目つきがアブナかっこよい。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/22 No.41 講談社 B5平
 石垣ゆうき「MMR」。今回はわりとどうでもいい展開。あと塀内夏子「Jドリーム完全燃焼編」では、アジア第3代表決定戦のイラン戦が大詰め。鷹、北村、伊達と攻撃陣3人は疲労と負傷で満身創痍。ちとやりすぎなほどではあるが、緊迫している。


9/7(火)……疲れた英雄

 土曜日の昼間からずっと出社中。現在8日の朝4時。4泊め突入。長い戦いになってきた。それにしても会社用プレステ買っておいてよかった〜。

 プロバイダからこのホームページにおける8月のデータ転送量の通知が届く。ついに2.8GB。アクセス数はそんなに増えてないんだけど、トップページ以下のコンテンツが検索エンジンに引っかかりやすいので、どうしてもかなりの量になってしまう。2ヶ月連続で3GB超えると、1GB超ごとに3000円とられるというファッキンメーンオオイエイエな料金体系にいつもヒヤヒヤさせられているのだが、もうかなり限界って感じ。俺もレンタルサーバーに乗り出すべき時期がきたのか……とか思ってみたりして、俺とサーバを参考にPROXのレンタルサーバーの資料請求なぞ行ってみることに。欲しいなあ、自分サーバー。

【雑誌】月刊少年マガジン 10月号 講談社 B5平
 とだ勝之「Mr.釣りどれん」。明朗快活で少年チックな絵柄だけど、この人の描く女の子は健康的で肉付きがよくてけっこう好き。間部正志「SPEED KING」。日本選手権100m走はクライマックス。末藤兄弟、それから陸上エリート宇田川に最終的ともいえる決着がつく。スピード感と力感が共に備わっていて読みごたえあり。


9/6(月)……るーきーさん

【雑誌】週刊少年ジャンプ 9/20 No.41 集英社 B5平
 今号は森田まさのり「ROOKIES」。真っ向から振り下ろされる青春ぶり。言葉の一つ一つに抗いがたい力強さがある。照れ隠しをせず、堂々とクサいことを言いきる姿勢が気持ちイイ。

【雑誌】ヤングマガジン 9/20 No.40 講談社 B5中
 華倫変の久しぶりの連載「デッド・トリック!」がスタート。ある学校で起きた猟奇殺人の調査に乗り出した刑事たち。いささかねじくれた性格の彼らが、事件を捜査していくのだが。扉ページには「超本格脱力ミステリー」とあるが、どんな感じになるものやら。クセ者、華倫変が描くだけにただのミステリになるとも思えないが……。本格を本格らしくやろうとすると、絵柄的にはちと厳しいので、どれだけひねくるかが勝負か。とりあえずお手並み拝見。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。今回は12ページ。のっけっからゲンさんの、ひきつけを起こしたみたいな醜悪な爆笑から始まりインパクト強し。そして内容は相変わらず非道である。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/20 No.40 小学館 B5中
 佐々木倫子の新連載「Heaven?」が巻頭カラーでスタート。なんだか理想のレストランを作ろうとする話らしい。山本直樹「ビリーバーズ」はえらく煮詰まった状態。『オペレーター』さんは半死半生。『議長』さんは自分の中での理屈のこじつけが極まり、『副議長』さんへの肉欲を正当化しようとする。そして実行された物理的処理。実行した『副議長』さんのうつろで果てしなくクールな目つきが怖い。そして男性的肉体的痛覚を刺激する表現。先がどうなってしまうのか、楽しみで楽しみで。
 あと今号には、松本大洋の描き下ろし単行本「GOGOモンスター」の予告が掲載されている。当初の予告の「1999年夏」よりは遅れる模様。発売時期等は決まり次第、スピリッツにて報告があるそうだ。ちょっとだけ掲載されているラフを見る限り、かなり面白そうな気配だが……。


9/5(日)……ボールベアリング

 自分の漫画に関する文章は、うなぎのかば焼きをあおぐうちわのようなものでありたい。うちわは、うなぎのおいしそうな匂いを広い範囲に漂わせ「食べたいな」と思わせ購買意欲を促進させるけれども、実際にうなぎを買った人が食べるときにはうちわのことなんて一つも思い出しはしない。読みたいなという気にはさせても、実際の作品を目にしたときにはパーッと消えてなくなってしまうようなそんな文章。作品に対する先入観を持たせず、読後の感想にもまったく影響を及ぼさない。でも事実は正確に伝え、読みたいという気持ちにはさせる。作品を目の前にしたら、俺の文章なんか忘れてくれたってかまわない。むしろ忘れてくれたほうがうれしい。それほどに、他人の影響を交えない自分の感想ってものは大したものなのだと思う。すべてのリスペクトは作品に。
 そんな文章が、自分の書くものとしては、とりあえず現在の理想でありんす。他人が書くものに関しては、面白ければなんでもいいのじぇす。うう、青臭え。酔っ払ってるうえに疲れてるな〜。

【雑誌】花とゆめ 9/20 No.19 白泉社 B5平
 羅川真理茂「しゃにむにGO」。伊出&滝田のダブルスはいいところまで行くが、最後はガットが切れるという不運もあって敗北。負けた後の描写が前向きで気持ち良い。新人、高木智子「逃亡ラッシュ」。まあよくある感じの作風ではあるが、初々しくてイキはいい。

【単行本】「デカスロン」22巻 山田芳裕 小学館 B6
 世界陸上最終決戦。9種目めのやり投げが終了し、オブライエンとマンキチの得点差は大きく開く。そして最後の競技、1500m走が始まる……というのがこの巻の展開。おそらく次の巻で完結であろう。長らく続いたこの連載。最初のころの山田芳裕らしい、短いページ数でズバッと見せるという趣ではなかったが、スポーツ漫画としては異例なほどの個性的な描写はやはり迫力があった。極端なデフォルメと、異様なほどのパースを利かせた視点で放つ迫力のある場面がかっこ良かった。次巻が出たら、一度最初から通して読み直してみよう。とか思った。

【単行本】「球魂」5巻 岩田やすてる 小学館 B6
 玉磨高校は見事決勝進出。このあたりではやはり大仏サーブを引っ提げ、とても強いとは思えぬ容姿の細川主将が、外見とは裏腹にかっこいい。岩田やすてるの作風は、前から多少間違っている感じでも暑苦しくて濃厚で迫力があったが、この作品でもそれはいい方向に出ている。盛り上げるだけ盛り上げて、カクッと読者のタイミングを外し、また盛り上げる呼吸も味わい深い。


9/4(土)……猫を森には帰さない

 同僚と共同出資して会社用プレステを購入。そんなわけでポケピ2匹め。今度はあえて一番スタンダードっぽいネコ。名前はねこやま。ぼくのあたらしいともだちだ。

【雑誌】ヤングキングダム 10/5 No.10 少年画報社 B5中
 大石まさる「みずいろ」は、巻頭カラーでの外伝と、本編の2本立て。巻頭カラーのほうはフルカラーで描かれた自然の美しさを、本編のほうは色っぽい川上さんの寝姿と西野さんの可愛らしさを堪能。人物描写も背景描写も美しくてよろしい。創刊一周年記念ということで、なめぞうが連載開始。これは意外な人選。タイトルは「東京BIG CITY」。第一回めは親子ゲンカのシーンから始まる。何か悪さをした娘にオヤジがビンタするが、娘は逆に暴れ狂う。そんな彼女を鎮めるため、父と母は全裸になり昔話を始める。……とまあ、なんとも唐突で強引な展開がなめぞうらしい。お話自体はスッキリまとまった人情味あふれるエピソード。たぶんこれからも、今回と同様、一話形式で進めていくんではないかと思われる。掘田あきお「チンピラ行進曲」。立派な極道目指して修業中の高校中退二人組。何がどうしたものか、組長の娘をさらって自分たちだけで組を作るハメに。でもやってることはただの町の便利屋。二人組の一人に惚れている組長の娘が、何やらのんきで可愛らしかったりする。地味だけどけっこう面白い。

【単行本】「ロマンス」7巻 高見まこ 集英社 B6
 オスマンも参照のこと。
 前巻で熱に浮かされたように玉緒との結婚を決めた吾郎だが、画業がうまくいかないせいもあって玉緒につらく当たるようになり、夫婦仲も怪しくなっていく。子供もできるが、吾郎は自分の子である実感が持てない。そして結局、玉緒に離縁されることになる。情熱に火がつくとあっという間に燃え盛るが、恋多く同じところに居つくことのできない吾郎の性質がやはりマイナスに出てしまう。吾郎はこれからもこうやって、さまざまな人の許を渡り歩き、さすらっていくことになるのであろう。
 適度に上品で適度にエロチック。手堅い。

【単行本】「月下の棋士」25巻 能條純一 小学館 B6
 氷室が五体、五感のバランスをバラバラに崩し、絶不調に陥る。苦しい対局が続く中、滝川への挑戦権を賭けたA級リーグは続く。ときどきお話は盛り上がるのだが、25巻はやはり長すぎという感は否めない。もう少しスピーディに、凝縮してお話を進めてほしかった。

【単行本】「宙舞」3巻 作:小林信也+画:秋重学 小学館 B6
 最終巻。すれ違い続けた宙樹と舞子だが、最後はやはりお互いを信じて跳ぶことを思い出す。宙樹の姿が舞子の力を呼び起こし空中を歩くようにバスケットのゴールを目指して跳ぶ力を与え、舞子の姿が宙樹の心を空へと舞い上がらせる。後半の跳ぶシーンのめくるめく描写は、なんとも解放感があって鳥肌が立つ。途中、どうにも煮え切らない展開があったが、ラストは爽やかに感動的に締めくくった。跳ぶシーンといい、やはり秋重学の描写力は凡庸ではない。あとはいいシナリオさえあれば、もっともっとすごい作品が生み出せるはず。やはり期待してしまう作家の一人だ。

【単行本】「歌麿」3巻 六田登 双葉社 B6
 スッカリ大人っぽくなり、吉原界隈に出没するようになったウタは、その筆が不幸を呼ぶ絵師として名を知られるようになる。しかし、商業的には成功しない。なぜなら彼は描かぬからだ。不幸を呼んでしまう自分の筆の力を恐れ、また別れたタマへの想いに縛られて。そんな中、吉原一の人気と酷薄さを持つ花魁にウタは目をつけられ、美人絵を要求される。人々の目を自分に向けさせるためには他人を排除することもいとわないその花魁の狂気と、描く対象の不幸を墨の中に塗り込めていくウタの狂気が交錯し、迫力のあるシーンを作り出している。六田登の薄暗い闇をまとった執念深い筆致が、力を持って読む者に迫ってくる一作。連載の最後まで、このテンションが続いていってほしいもの。


9/3(金)……ゼロキシサーバー

 転職。新しい職場は、上司がたいへんにイヤな奴で仕事もキツイ。作家の原稿を受けとるために外に出たが、外は暑くたいへんに息苦しい。こんなことで新しい職場でやっていけるのか……と不安になっていたところで、「こんなはずはない」と気づく。これは夢に違いない、起きねばと意思を振り絞って目を覚ます。そこは今勤めている会社にある応接セット。夢で良かった……と思いながら、自分の机に戻りWebを見たりメールをチェックしたりする。……というところで再び夢から覚めた。どうやら夢の中で夢を見ていたらしい。つまり、夢の中で「これは夢だ」と気づいて起きるという夢を見れたわけだ。なかなか貴重な経験。やっぱり会社で寝ると夢見が悪い。

【雑誌】ホットミルク 10月号 コアマガジン B5平
 KICO「緩やかな風の中の永遠」。それまでSEX経験は風俗での1回しかなかった教師が、教え子の女の子と関係を持つようになり、彼女を愛していくようになる。ラスト、教師が少女に告白するあたりのくだりは、大ゴマを使って実にいいシーンに仕上げている。最初読み始めたときはそんなでもないかなとか思ったが、いい意味で裏切ってくれた。収穫である。瓦敬助「菜々子さん的な日常」。相変わらず菜々子さんは、開放的で豊満でよろしい。のんびりしたペースで進むお話も味わい深い。船堀斉晃「淫縛学艶」は最終回。最後までパワフルにいやらしく終わってくれた。体液が多く、激しくて良い。

【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL.02 司書房 B5中
 間垣亮太「Witch!3・14」。この人の描く乳はやわらかそうでいいなあ。桂よしひろ「やっぱり地獄は鬼ばかり」。生前、淫行の限りを尽していた女二人が、ビキニなメイド服をつけた獄卒少女を引き連れたアロハシャツ姿の大王に裁かれる。この人は線がなかなか特徴的。アニメーターの原画っぽい線というか。スパッと整理されていて気持ち良く伸びやか。なかなかいい。ましみゆき「Birthday Craft」。この人久しぶりに見たような。絵がうまくなっているような気はするが、以前の垢抜けないホッとする感じのほうが好みではあった。

【雑誌】COMIC桜花 VOL.1 桜桃書房 B5平
 COMIC夢雅の増刊枠での発行で、これが創刊号。全体的に肉弾系な人が多く、力強くヌかせることを意識した雑誌といえそう。
 まず巻頭カラーはマーシーラビット「メイドのしつけ主人のしつけ」。明朗快活に肉弾ぼよよ〜んで実用重視な作品。毎回肉欲に忠実でストレートな作品をコンスタントに描いてくるのは立派。やまのべきった「ドールハウス」。親を亡くした少女とその妹が、両親の親友である男の家にもらわれる。姉のほうは高校にまで行かせてもらい男に感謝するが、男はやがて欲望を剥き出しにして彼女に迫る。妹に手を出されたくなかったら身体を差し出せっていう感じで。絵はなかなか上品だけど内容はけっこう鬼畜っぽい。とくにペンタッチが美しくて、惹かれる絵柄である。発狂大往生「積もりし赤」。作品もわりとうまいのだが、気になったのはペンネーム。おそらく「発光ダイオード」にひっかけているのではなかろうか。ダジャレ好きな俺の琴線に触れた。あとはやまたのをろち「虚構の構築」が気になった。人間として何かを失った女の子が、自分で自分を際限なく貶めていく。オナニーで膣に自分の両手を突っ込んで腹の中で押し広げるは、腹が減ったといっては乾燥ドッグフードをボリボリ食べるは。ラス前のプレイも凶悪。それをご主人様なしに全部自分でやっているというところが凄い。ただ、ラストはあまりにも腰砕け。その前のページまでのノリで終わってくれたほうがうれしかった。

【単行本】「BLOOMER1999」 SABE ワニマガジン A5
 SABEのページのほうに追加〜。

【単行本】「零式セレクション」1号 シュベール出版 A5
 リイド社から発行されているCOMIC零式 Vol.1〜6に掲載された作品をセレクションした単行本。発行はリイド社ではなくシュベール出版。これから発行される零式コミックスもシュベール出版から出る模様。
 中村博文(どじ)の表紙絵コレクションから始まって、大暮維人、山文京伝、上連雀三平、目黒三吉、鬼魔あづさ、Maruto!、花屋敷ぼたん、SHあRP、平野耕太、悪瑞派武羅雨、みほとこうじ、E子、龍炎狼牙、南条飛鳥の作品を収録。いずれも再録なので、零式を全部買って保存しているような人にはあんまり意味はないかもしれないが、お目当ての作家の作品を読み逃していた人たちにとっては便利。それにしてもたった6号分の作品を集めただけなのに、この粒の揃いようは見事。零式はエロ漫画雑誌の中でもクオリティはトップクラスだと思うが、こうやって集めてみるとそれを改めて実感させられる。


9/2(木)……カエルのものはカエルの元へ

 カエル去る。というわけで「どこでもいっしょ」のカエル様は、先日一回家出してまた戻ってきたのだが、今度はホントにお別れ。中のカエルがいなくなり、木の葉散るだけのポケステはたいへんに寂しい。やっぱり家に帰れない可能性が高い時期に飼い始めちゃいかんなあ。次のポケピは会社用プレステを買うまでは飼い始めないことに決定。

【雑誌】モーニング 9/16 No.40 講談社 B5中
 最終回が二つ。まずはヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」。今回は46ページと、ラストにふさわしくボリュームたっぷり。今までヨリを導いてきたヒロコをついにヨリが超え、さらに高く高く跳ぶ。最後まで力強く痛快な漫画であった。物語全体としてはオグリ vs.モンテル、ヨリ vs.ユリの決戦が一番の名勝負だったように思う。ヒラマツ・ミノルは、スポーツをパワフルに描かせたら当代きっての漫画家だと思う。「REGGIE」のときから好きだったが、この「ヨリが跳ぶ」でさらに表現に安定感が増した。次回作も期待したい。木葉巧一「キリコ」も最終回だった、こちらはいまいち不完全燃焼な感あり。途中までは表現が非常に大仰でカッコよかったのだが。まあ全体としてはけっこうな量の楽しみをこの作品から得たことは確かだ。着地はちともの足りなかったとはいえ。
 巻頭カラーは井上雄彦「バガボンド」。宝蔵院胤舜と武蔵の手合わせがヒートアップ。精緻な描写でありながら、骨太で大胆、スピーディ。見事な表現力である。文句なしにかっこいい。高梨みどり「Order-Made」。今回のエピソードの後編。後味良くきっちりまとまった。キャラクターもだいぶイキイキしてきている。

【雑誌】ヤングサンデー 9/16 No.40 小学館 B5中
 山田たけひこ「NoNo Boy」。このぎこちない感じの絵なのに、リビドーにとても忠実で、巨乳ビシバシな作風がたいへんに馬鹿っぽい。なんかこのアンバランスさが妙に引っかかる人だ。いい作品かといえば別にそうでもないのだが、こういうのが存在していること自体に味がある。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」は連載再開。その初っぱなから、マリアの親友に理不尽な破壊を浴びせかける。問答無用な暴力が、強烈な存在感と力をもって訴えかけてくる。阿部潤「the山田家」。ミヨッペがこれからの自分が自分らしく生きていくにはどうしたらいいかと道に思い悩み、家出してしまう。今までにないくらいのシリアスさでお話が急展開している。次回どうなってしまうんだかすごく気になる。気になるといえば、最近、太陽星太郎「今日のだいちゃん」も、だいちゃんが捕らえられて不吉なことが起こりそうな予感。

【雑誌】ヤングジャンプ 9/16 No.40 集英社 B5中
 今号の目玉は武富智の読切「夜の朝顔」。彼女と別れたばかりの男が、お祭りの会場で出会った、殴られて顔をボコボコに腫らした女。男は前の彼女をたったの一度殴ったばかりに別れ、女はいつも前の彼氏に殴られていた。そこから二人は、お互いの傷を癒すかのように付き合い始めるようになるが……。武富智の絵は爽やかでサッパリとしているのだけど、目つきや身体のラインにしっとりとした艶があって魅力的。たいへんいい雰囲気な作風を持った人だと思う。ヤンジャンのノリが嫌いな漫画マニア筋の人も、この作品は押さえておくべし。あと、巻頭カラーで作:藤堂海+画:宮城シンジ「日輪の校庭」がスタート。先生が主人公の青春モノな模様。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/16 No.41 秋田書店 B5平
 水島新司「ドカベンプロ野球編」。影丸が登場したと思ったら、イチロー、山田の二人と対決してアッサリ降板。ところで、中四日で登板していて2敗しかしていないわりに9勝は少ないような。能田達規「おまかせ!ピース電器店」。今回はピース親子二人で鉄道トラブル周りのお仕事。この人の描くメカは、愛敬とメカメカしさが共存していていい。なんか今回は妙に月影アイちゃんがヌルいノリな感じもした。


9/1(水)……シネマもろとも

 会社での寝心地向上のため、タオルケットを導入。今まで使っていた寝袋は、だいぶ年季を経て得も言われぬフレーバーを発していた上にけっこう蒸れ蒸れであった。その点タオルケットは蒸れないし軽い。体温を奪われない程度の保温性もある。とてもいい。さらに夜間用に短パンも常備し、足元もビーチサンダルで武装。この二つも蒸れ防止用。これから一週間はこの装備がフル稼働予定。どう見てもサラリーマンには見えないぞ。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 9/15 No.18 小学館 B5中
 高田靖彦「演歌の達」。今回は巻頭カラー。新たな才能であるらしいが、今までのやり方が通用しそうにない相手の出現に達はとまどいつつも惹かれていく。最近はカタルシスはあんまりない展開ではあるものの、地力がある人なので確実に読ませる。六田登「シネマ」は今回で最終回。うーん、ちょっと中途半端。もう少しお話は大きく展開していくものだと思っていたので残念。

【雑誌】ビジネスジャンプ 9/15 No.19 集英社 B5中
 冬目景「イエスタデイをうたって」。連載再開して順調に第2回め(通算では11回め)。扉ページも4色と良い扱い。ハルの新しいお父さん登場と、近づくハルとリクオとの距離。そんなわけで次号はデートだ。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/15 No.40 小学館 B5平
 作:坂田信弘+画:万乗大智「DAN DOH!!」。雨の中での試合。少年は濡れ、シャツは透ける。襟元は一番下までファスナーが降りる。少女はパンツを見せる。このサービス精神、立派である。島本和彦「炎の転校生 同窓会を叩け!!」後編。力強く馬鹿馬鹿しく終わってくれて良かった。このシリーズはキャラクターが立ちまくっているので、やはり強い。三好雄己「デビデビ」。すっかり巻末が定位置になっていて、そろそろ終わるのかなーとか思っていたらなんと新章突入。新キャラまで登場。意表を衝かれた。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/15 No.40 講談社 B5平
 石垣ゆうき「MMR」。今回はいつにも増して論理が強引なような。MMRが解散というのは……ひょっとして役に立たないから? 経費を無駄遣いしているから? でも単行本の売上とかを考えると利益部門のような気も。赤松健「ラブひな」。今回はキス話。ラヴでありコメである。ベタベタである。そこがいい。

【単行本】「センチメントの季節」4巻 榎本ナリコ A5
 このシリーズも4巻め。10回くらいずつ集中連載されるせいか、そんなに巻数を重ねるほどやっていたような気がしない。なお、単行本の帯によれば今年の11月からWOWOWでTVドラマ化されることが決まったらしい。テレビを全然観ない俺としては、やはり例によって観ないのだろう。
 さて本題。今回の収録作品も、たいへんにクールで端整である。女の子たちは十分にキレイだし、ドラマも十分。一話一話、きっちり読ませ余韻もしっかり残す。後書きの理屈っぽさといい、実に優等生的ともいえる。エロ描写は毎回あり、そしてそれは十分エロティックではあるが、下品にはならず美しい。登場人物たちは奔放なようでいても、それぞれに何かを抱えて理知的に悩んでいる。もう少し馬鹿でもいいのではと思わないでもないが、こういう人たちがいたっていい。彼らの悩みは根深いものであるわりに、結論は常にもやもやとスッキリしない。結局苦悩は、根絶されないままで終わるのだ。その点では物語的にカタルシスはないかもしれないが、実際の人間の行動としてはあり得そうなことでもあるし、ご都合主義なハッピーエンドを与えないっていうのはけっこう胆力のいることだとは思うのだ。
 優等生的なものに反発する心と、憧れる心を同時に呼び覚ます作品ではあるが、やぱりよくできているから好きだ。


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