◆ 2000年2月下旬 ◆

2/21〜29
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2/29(火)……ストロベリー1号

 3月の購入予定。こんな感じの自分用お買い物チェックスケジューラのCGIプログラムも設置してみた。3月はやはり、古屋兎丸の単行本。何が収録されるのかすごく楽しみ。それと「リーマンギャンブラーマウス」はインドまぐろ的に即買い。エロ方面ではしろみかずひさの久々の新刊はもちろんとして、激烈ちんちん作家のMINEの単行本にも注目。吉田戦車「俺ボンボン」もうれしい一品。

タイトル作者出版社
1JAPAN(1)伊藤真美/大塚英志角川書店
1DEJA-VU藤原カムイコレクション5藤原カムイ角川書店
4殺し屋イチ(6)山本英夫小学館
4球魂(7)岩田やすてる小学館
4ブラブラバンバン(2)柏木ハルコ小学館
4ザ・ワールド・イズ・マイン(10)新井英樹小学館
6闘破蛇列伝DEI48(4)前川かずお/島久講談社
6イッパツ危機娘(6)原田重光講談社
7増刊ヤングチャンピオン秋田書店
7ハッピーセットうらまっくワニマガジン社
9王道の狗(6)安彦良和講談社
10白濁MINEティーアイネット
10アブナイ▽悦子先生ひぢりれい富士美出版
14URA23区香愁三和出版
快楽天星組ワニマガジン
16ファイヤーキャンディ(2)今村夏央秋田書店
16おまかせ!ピース電器店(17)能田達規秋田書店
16BECK(2)ハロルド作石講談社
17天然コケッコー(12)くらもちふさこ集英社
17BOING−ぼいん−(3)山口譲司集英社
18悶絶ッ!!!桃山ジロウ英知出版
21ヤングマガジンKANSAI講談社
22アルコールラムプの銀河鉄道(下)しろみかずひさ三和出版
23蒼天航路(19)王欣太/李學仁講談社
23リーマンギャンブラーマウス(1)高橋のぼる講談社
23なぁゲームをやろうじゃないか!!(1)桜玉吉講談社
23BLAME!(4)弐瓶勉講談社
24バラ色の明日(6)いくえみ綾集英社
25弥次喜多 in DEEP(4)しりあがり寿アスペクト
25西遊妖猿伝(16)諸星大二郎潮出版社
25時事おやじ 2000しりあがり寿アスペクト
25桜玉吉ファンブック(仮)桜玉吉アスペクト
25月詠(1)有馬啓太郎ワニブックス
25近藤るるるファンブック(仮)近藤るるるアスペクト
25俺ボンボン(1)吉田戦車アスペクト
25しあわせのかたち愛蔵版(1)(2)(3)桜玉吉アスペクト
29ハネムーンサラダ(1)二宮ひかる白泉社
29ご破算で願いましては雁須磨子ソニー・マガジンズ
30龍−RON−(24)村上もとか小学館
30僕(2)山本康人小学館
30奈緒子(25)坂田信弘/中原裕小学館
30青空(5)原秀則小学館
赤い爪近藤ようこ青林工藝舎
神の悪フザケ山田花子青林工藝舎
Garden古屋兎丸イースト・プレス

【雑誌】Bstreet Vol.1 ソニー・マガジンズ A5平
 バーズの別冊で、A5単行本サイズの探偵モノアンソロジー本といった趣。こういう形式での別冊は、一般誌では珍しい。執筆陣は冬目景、斎藤岬、東城和実、雁須磨子、亀井高秀、しまじ月室&Marr。イラストエッセイで今市子。表紙は山田章博。顔ぶれを見ても分かると思うが、上品どころを集めてアベレージの高い一冊に仕上がっている。
 まずは冬目景「幻影博覧会」。何はなくともおかっぱ少女。それだけでイッちゃう人も多かろう。雁須磨子「浮気調査2000」。タイトルどおり浮気調査をする探偵のにーちゃんのお話。ほかの人は殺人事件とかやってるのに、一人マイペースでぼけなすな作品を投入してくる飄々とした味が気持ちよい。斎藤岬「死神探偵と憂鬱温泉」。なかなか面白い……と思っていたら続きものじゃんか。しかも次回は8月下旬ですと? うおー。

【雑誌】コーラス 4月号 集英社 B5平
 今号はやはり、巻頭カラー、いくえみ綾「いちごの生活」だ。彼氏に新しい女ができて別れ話を持ちかけられるが、いちごは別れたくない。新しい女に直接会い、男を半分こしようと持ちかける。1週間のうち三日を新しい彼女、三日をいちご、残りの一日は3人いっしょという取り決めをしてみるが、離れて行く男の心はつなぎとめられず。物語としては、別にダイナミックな展開があるわけじゃない。でもお話を進めていくその手際が、抜群に鮮やかである。さりげなくユーモアを織り交ぜつつ、細かい心の動きを見事に描き出してくれる。うーむ、かっこいい。くらもちふさこ「天然コケッコー」は連載再開。この二人が揃うだけで、雑誌の印象が段違いである。

【雑誌】漫画アクション 3/14 No.11 双葉社 B5中
 作:森高夕次+画:あきやまひでき「おさなづま」。「めぐみのピアノ」アニメ化に向けて男たちの意地が発揮されていると思えば、そんなことも知らずにハタイチコは近所のガキどもと遊んでばかり。俗物的なお話を、脂ぎらせることなく、ベタに、でも気持ちよく読ませる。ストーリーと作画が実にうまく調和している。面白いなあ。柳沢きみお「夜の紳士」は今回で最終回。いや〜、さすが柳沢先生。主人公のおっさんのどうしようもない安っぽい感性に今回もシビれまくる。「今日のウイスキーはうまく感じるなァ」「いいなァオンザロックって」。うーむ。ラストのセリフのセンスも抜群。痛快なほどに脱力。さそうあきら「トトの世界」。トトたちに向かって、悪意ある攻撃が行われ、一同は大ピンチに。かなりせっぱ詰まった展開になってきた。さて、ここからどうなっていくのだろうか。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 4月号 少年画報社 B5中
 西村竜「TAFFY」。読切で登場。占いにハマって、というより自分の恋に都合のいいほうへと占いを解釈して勢いをつけて猪突猛進するオテンバな女の子と、それをクールに見つめる友達ふたり。ストレートにドタバタしてて楽しい作品。女の子の表情が豊かで、イキイキしててええじゃありませんか。平野耕太「ヘルシング」は、お話自体は今回はさほど動かず。大仰で尊大でリズミカルなノリは今回も健在。しち面倒くさいことはいわずに楽しむべきでしょう、ここは。小泉真理「ジンクホワイト」。絵描き女学生の、志低き者どもに対する不満多き日常。地味な展開だけど、そのぶんじっくりお話が進んでいて面白い。スクールライフがいい塩梅に描けている。

【単行本】「軍鶏」5巻 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫 双葉社 B6
 リョウがついに陽の当たる舞台へ。番竜会空手のトーナメントに出場し、なりふりかまわぬ手段で連戦連勝。生きるために、というより殺されないために相手を殺そうとするリョウの空手の迫力が、スポーツ空手の使い手たちを恐怖させる。しかし、一般の人々はリョウを拒絶。結局は日陰者であることを痛感させられるリョウだが……。
 この巻は、試合というある意味生ぬるい場のせいもあって、少し緊迫感が薄れているような気はする。ただアクションはやはり骨太で、物語もグイグイと読ませる。この後に待つ、番竜会のチャンピオン、菅原との対戦はかなり盛り上がりそうで楽しみだ。


2/28(月)……サーティフォー

 本当は3月1日スタートにしようと思っていたのだが、せっかく用意したんだから早いとこやっちまえというわけで、ちょっと前の日記でほのめかした新コンテンツ「OHP月極アンケート」を開始。WestRiverさんのところの「1999年度 マンガ BEST10!」のパクリ的(っていうかCGIプログラムはパクらせていただきました。感謝)。2000年3月のテーマは「単行本化してほしい未収録作品」。漫画マニアならずとも、雑誌で読んだあの作品がなぜ単行本にならないのか……という想いを長年抱き続けていた方は多いことでありましょう。そんな想いをこのアンケートにぶつけていただけると幸い。ちなみに複数投票可なので、思いつく作品をぼんぼん挙げていってくだされ。このページを見ている出版社の方々がその結果を見て、名前の挙がっている作品の単行本化計画を発動させてくれたりすると私はそれをどんなに喜びましょう。

 いきなりこんなもんを始めたわけだが、ここのところ長いことコンテンツについては新しいカテゴリのものを作ってなかったので、マンネリ気味な感じがしていたのだ。でも日記に加えて、これ以上自分の手間になるコンテンツを増やすのは自殺行為だということは分かっているので、なるべく楽チンで効果的な方法……と考えてアンケートを選択した。掲示板は敷居が高いとかいわれることがときどきあるので、も少し参加しやすいコンテンツを作りたかったというのも一つ。
 まあ何はともあれ、コレを設置したことによって、なんか面白いことが起こってくれたりするといいなーとかまあそんな感じ。

【雑誌】ヤングキング 3/20 No.6 少年画報社 B5中
 有村しのぶ「チェリオ!」。今回の見どころはおっぱいだ! 有村乳は線は単純だけど、上品な色っぽさがあって好き。お話は本当にどってことないんだけど。沖田龍児「ガチンコ勝負伝説 間男」。アイドルマニアでスケベ、だけど実力派超一級品な新鋭天才力士・間男の活躍を描く、ギャグ系相撲漫画。ノリはかなりベタなのだが、けっこう読んでしまう。力づくな魅力。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/13 No.13 集英社 B5平
 以前、「身海魚-SHINKAIGYO-」を連載していた田中加奈子が新連載。今回は「三獣士」という、西遊記元ネタの冒険モノ。この人のクセのある絵柄には惹かれるものがある。西遊記モノは成功しないことが多いけど、さてどうなるか。岸本斉史「NARUTO」。忍者少年の成長のさまが頼もしく描かれていて、けっこう面白い。自然物などの背景描写とかも、うるさくならない程度にしか描かれていないが、わりとしっかりしているのも好感。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/13 No.13 小学館 B5中
 今号は高橋しんお休み。曽田正人「昴」。昴の手足が長すぎるくらいに長い。伸びやかでカッコ良い女の子さんだ。相原コージ「相原コージのなにがオモロイの?」。今回はけっこう面白かった。じょじょに面白くなってきているような気がする。試みとして新しいかどうかはともかく。作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。倒れた雄山の代わりに美食倶楽部を仕切らされ、さらに嫁に雄山のことを「おとうさん」と呼べと強要される士郎。山岡さんがかわいそうだ! この鬼嫁め!

【雑誌】ヤングマガジン 3/13 No.13 講談社 B5中
 笠原倫「ジェンマ THE PASTAMAN」の新シリーズがスタート。さすらにのパスタ野郎、ジェンマが今度はうどんに挑戦。出だしはとりあえずハッタリが利いている。今後の展開に期待だ。三田紀房「甲子園へ行こう!」。高校野球におけるメンタル面でのしのぎ合いが濃密度で描かれていて読みごたえがある。試合の幕切れもいい。モノホンの高校生の野球ってやっぱりこういうもんだと思う。七三太朗とかの漫画に出てくる高校生は、いくらなんでも野球うますぎ。

【雑誌】別冊ヤングサンデー 3/28 No.2 小学館 B5中
 全般的になんかスベリ気味な印象。
 その中で注目は、真菰厚司「瑠璃草子」。繊細さと耽美さ、リアリティを兼ね備えた絵柄はすでに感性の息。えーと、この人の名前は見覚えがあるんだけどどこで見たんだったっけか。ものすごくうまい人であることは確か。お話は関ケ原の戦いの少し後の時代が舞台の剣劇モノ。描き込みの細かさや、アクションシーンの演出など一級品の完成度。巻頭カラーは岡村賢二「WONG」。一見マジメな大学生のようだが、実は香港黒社会の若大将的存在である青年・ウォンが主人公。日本から来た留学生の女の子が、しだいにウォンに惹かれていく。岡村賢二らしく脂っこいアクション漫画。萩原玲二「ザ・マシンガン・ドーター」は、前後編92Pが一挙掲載。傭兵である父について、8歳のころからボスニア・ヘルツェゴビナで銃を握っていた日本人少女が、ぬるま湯日本に戻ってきてコギャル的生活を営む。ところが母の仕事が原因で、ヤクザとの銃撃戦に巻き込まれることに……といった感じの、少女ガンアクション。下手な小細工も使ってないし、アクション漫画として単純に楽しめる。もともと絵はうまい人だし。


2/27(日)……ゾンビーノ・パラダイス

「ゾンビーノ・パラダイス」については、綺羅光先生の「女子大生・恥辱の檻」(フランス書院文庫)を読もう! 前にも使ったな、このネタ。

【単行本】「ぶっせん」1巻 三宅乱丈 講談社 A5
 ライバル寺・金々腹寺に客(檀家)をとられて金欠な「仏物専寺」。この寺が起死回生、というかその場の金集めのために新たな事業に乗り出す。「全寮制」「伝統的な制服」「お寺に似た校舎」「君も50単位で悟りだ!」といったうたい文句の仏教専門学園。略してぶっせん。これを問題視した金々腹寺は、一番したっぱの正助をスパイとしてぶっせんに送り込むが……。
 まあそんな感じで始まる、学園ドタバタ仏教ギャグ漫画である。暑苦しい絵柄だけど、見苦しくはない。うっとうしいけど、嫌味ではない。そのギャグはじんわりとして、なおかつカラッとしており、実に楽しい。なんといってもいいのが、登場人物たちがみんな頭悪そうなところだ。一見かっこつけていても、肝心な部分がスコンと抜けている。粗忽であり迂闊なのだ。頭悪そうな人たちが、頭悪そうな行動を連発するのを見ていると、しみじみと安心感に似たものを感じる。ハイスピードで飛ばすわけでもなく、奇を衒うわけでもなく、下品になるわけでもなく、斜に構えるわけでもないが、こちらの笑いのツボをこちょこちょと確実にくすぐってくれる。とても気持ちのいいたわけっぷりである。最近のギャグ漫画の中ではかなりのヒット。

【単行本】「水野純子のシンデラーラちゃん」 水野純子 光進社 A5
 おとうさんと一緒に焼き鳥屋さんを営んでいるかわいい女の子シンデラーラちゃん。ところがある日、シンデラーラちゃんのおとうさんが死んでしまいます。泣き暮らしていたシンデラーラちゃん。そんなときおとうさんがゾンビになって、またシンデラーラちゃんのもとに帰ってきたのです。シンデラーラちゃんは喜びました。でも、それも長くは続きません。ゾンビになって変わってしまったおとうさん、そして新しくできたゾンビのおかあさん、おねえさんふたりに振り回されて、シンデーラちゃんは浮かない日々を送るようになりました。そんなときシンデラーラちゃんは、ゾンビの王子様と出会い、たちまち恋におちたのでした……。
 お話はそんな感じ。お人形さんのようにファンシーでキュートだけれど、それだけにいや増す毒々しさがたいへんにスパイシー。一度見たら忘れられない中毒性のある絵柄、話運びにもうクラクラ。全編4色カラー。グロテスクなほどにカラフルでちょっぴり怖いような美しさ。シンデラーラちゃんのラブ・ストーリーに、毒気がいい味付けになっていてすごく面白く読める。太い足首がたまりませんな。巻末付録のシールもなんだかうれしいぞ。

【同人誌】「B.O.D」5 <放送塔> たぐちたぐろう/巨匠市川大先生
 たぐちたぐろうは商業誌などではTAGRO名義で活躍中のあの人。これからコミティアで出す作品には「たぐちたぐろう」というペンネームを冠していく予定であるとのこと。
 この本のメインはたぐちたぐろう作「マフィアとルアー」。自転車に乗ってフラフラしている男が、野池で少年と出会い、一緒に釣りをする。つき合っていた彼女と別れた心のモヤモヤが、釣りをして遊んでいるうちにしだいに晴れていく。今回の絵柄は、エロ系雑誌で見せる細くて柔らかい線のほうではなく、カッチリカクカクしたほう。こちらの絵柄のほうが、よりノビノビとしてこの人らしさが出ている感じがして好きだ。お話も、大事件が起こるわけではないのだが、何気ない日常の中の印象的な構図が端々で見られて気持ちが良い。適度な緊張感と適度な解放感。ラストへ向かうシーンでの心情吐露の言葉の連打も、イヤミにならず効果的に作用している。短編としてはまとまったページ数があるのもうれしい。お世辞抜きで、素直にしみじみ面白く読めた。

【同人誌】「みるくきゃらめる5号」 <みるくきゃらめる堂> 吉本松明/吉田巴/石川ひでゆき/???
【同人誌】「やまむらはじめ『未来のゆくえ』を読む」 吉本松明
【同人誌】「ぴあのの気持ち3」 石川ひでゆき
 吉本松明さんたちのところの本3冊。毎回コミティアのたびに3冊くらいずつドカドカと投入してくる精力には頭が下がる。そして、出てくる本が毎度いい仕事をしている。「みるくきゃらめる5号」は特集「骨抜き」。読者の心をとろかしメロメロにしてくれる漫画たちについて熱く語る。馬鹿馬鹿しいことをことさら真剣に追求していくその姿勢はご立派。次は円グラフの挿入を希望。「やまむらはじめ『未来のゆくえ』を読む」は、作品を解体し分析、そこに盛り込まれた技巧を解説するサブテキスト的な本。きちんと方法論を最初で明示し、それに沿って論を展開していくというのは正々堂々として好感が持てる。そして「ぴあのの気持ち3」。石川ひでゆきの漫画は毎回すごく面白い。きゃろ〜んとかわいい女の子がおっぱい丸出し、サービス満点。意図的に作られた頭の悪い作風がたまりません。馬鹿馬鹿しさの極みなのに、けっこうHでもあったりするあたりサイコーだ。

【同人誌】「Private Beach」 <つくりもの> 三五千波
 海は好きだけど、ビーチは嫌い。人に自分の体は見られたくない。そんなお嬢さまが、自分だけのためにビーチを借り切る。プライベートビーチで戯れるお嬢さま。乙女の恥じらいが、ねじくれて発露した毒気ありな作品。もう少しページ数を使って、このお嬢さまの内面世界をさらに掘り下げていってくれれば、もっと壮観になったかと思う。

【同人誌】「けだもののように2-6」 <ぐんたまカンパニー> 渋蔵
 比古地朔弥こと渋蔵がシリーズで同人誌連載し続けている作品。そのまま商業系で単行本化しちゃってもおかしくないようなクオリティ。ヨリ子を愛するおっさんは、初めて自分の力で職を得、妻を捨てて出直そうとする。物語はやはりまだまだ途中。これからもずんずん続く予定のようだ。とらのあなやタコシェにて、渋蔵の同人誌は委託販売されているらしいので、「神様ゆるして」などでファンになった人は総集編をゲットするとよい。

【同人誌】「おめでとう」 志賀彰
「掌編シリーズその1」と銘打たれたコピー誌。子供ができた男が、産婦人科の前で女を待ちながら、自分の昔に思いを馳せる。掌編というだけあって大きな物語ではないが、きっちりまとまっている。作者さんは後書きで反省の弁を書いているが、こちらとしてはけっこう面白く読めた。とはいえ期するところがあるようなので、それを作品で示してくれることに期待。度胆を抜く傑作を我に与えよ。

【同人誌】「アリスの國のアリス」 <真空館> 塩野干支郎次
 うむ、よくできている。眠ったままになっている少女の夢の中に入り込み、彼女を夢から連れ戻そうとする「夢見術師」のお話。彼女を救う立場にありながら、その夢の中に引きずりこまれそうになってしまう。硬質な描線で構成された完成度の高い絵柄、じっくり読ませるストーリーなど、とてもレベルが高い。この人の本を読むのはたぶん初めてだと思うけれど、かなり大きな収穫。

【同人誌】「聖処女13騎士団」 あびゅうきょ
 ナチスドイツ!
 SS長官ヒムラーが全ドイツ少女、処女団(BDM)からドイツ女性の鑑たるべき13人の少女を選抜して結成した「聖処女13騎士団」。その構成員の少女たち一人ひとりを、美麗なイラストで描き、その生涯の略歴を語る。「血統と大地」。その崇高なるモノのために血を流した少女たちを夢想する一冊。堕落した世を嘆き、天使を崇拝する。あびゅうきょ先生の本気がビシバシと異様な迫力を持って伝わってくる。ジーク少女!

【同人誌】「海にでる川 山の灯り」 <Hee-Haw> 藤ノ木いらか
 本ばかり読んで夢を見ている少年、外に出て実際にさまざまなモノに触れることによって世界を体感する少女。この二人それぞれの視点から、外出という少年にとっての冒険・少女にとっての日常、読書という少年にとっての日常・少女にとっての冒険を描く。構成がしっかり考えられており、スマートな絵柄もあってスッキリと読める。話作りがなかなか巧み。


2/26(土)……ぢゃんどら

 会社にお泊まって夜中に帰宅してTVを見ていたら、「DAISUKI!」という番組で「ドラえもん」のドンジャラをやっていた。なんだかすごく良くて無性にやりたくなった。「あんた、ドラ焼きが泣いてるぜ……」などと呟きながら。うーん、しょうがないから買ってみるかー。そしてドンジャラオフを開催するのだ。

【雑誌】少年エース 4月号 角川書店 B5平
 今号は作:GAINAX+画:貞本義行「新世紀エヴァンゲリオン」が掲載されている。アスカが加持に告白して、トウジがフォースチルドレンにってところ。大暮維人が読切で登場。「豊死魔区西部戦線」。無法地帯IKEBUKUROで激しく対立する若者たち。その中で圧倒的なガンテクニックと美貌、奔放な性格でカリスマ的存在になっている女の子・優花が主人公。いつもながらにえらくうまい絵を駆使して、セクシーな描写を織り交ぜながらアクションアクション。あとあとまで印象が残るといったタイプの作品ではないし、話的にもわりとどうでもよいかなーといった感じなんだけど、アクションは派手で絵柄もキャッチー。しっかり読者を楽しませる。作:吉本昌弘+画:木崎ひろすけ「A・LI・CE」。今号はちゃんと掲載。細かいペンタッチの絵はやたらと高品質であるだけに、しっかりページ数があればさすがに読ませる。描線がたまらなく心地よい。武林武士「放課後アドベンチャー ヴァリアント」は最終回。

【雑誌】カラフル萬福星 Vol.10 ビブロス B5平
 巻頭カラーはあるまじろう「流れ星老人」。新連載。最愛の父を亡くし、寂しさに耐えられなくなっていた少女は、毎晩自室で一人自慰に耽る。そんな彼女の想いが創り出したのか、自慰の最中に突然窓から一人の男がやってくる。彼の正体はいったい……というところで以下次号。あるまじろうの絵は端整でいい。視線がまっすぐで、目の色が澄んでいて深みがあるように感じられる。描線がさらに単純化された印象があるが、も少しタッチが細かいほうが好み。篠房六郎「オムニバス」。一見マジメくさったようなノリなのに、馬鹿馬鹿しいことやってるところが楽しい。ネタをバラすのもなんなので詳しくは書かないけど、アフタヌーン掲載作とは一味違った馬鹿作品を描いている。こちらはこちらで味があって面白い。おかのはじめ「デイドリームガール」。パソコンのモニターから出てきた女の子とのSEX……というありがちなお話ではあるのだが、寄ったカットの使い方が効果的で印象的な画面を作り上げている。CGの解像度が細かくて、肌の質感などがきれいに出ている。それにしてもさすがに掲載作家のホームページ開設率が高いですな。

【単行本】「今日のだいちゃん」5巻 太陽星太郎 小学館 A5
 さらばだいちゃん! 長年「今日のだいちゃん」を放映し続けてきた大日本TVのライバル局であるダーティーTVの手によりだいちゃんが拉致され、「24H DIE-CHAN」というイベントが行われることになる。しかし、それはだいちゃんをおもちゃにし、その命を縮めるような内容のものだった。だいちゃんを巡り、さまざまな人々の想いが交錯していく。ここまで基本的に一話完結で進んできたこの作品だが、この巻は続きモノ。お話は大きく動き、そして大きな山を迎えた後、美しく終わっていく。ラストシーン、最後のだいちゃんの立ち姿にはジーンときた。シビレた。最後までテンションが落ちることなく、じっくり読ませてくれた。いやー、面白かった。単行本データ等はオスマンのほうにまとめておく。

【単行本】「江戸大学お医者さんごっこ研究会 身体検査ごっこ」 渡辺ヒデユキ 久保書店 A5
 同じワールドコミックスから出ている「江戸大学お医者さんごっこ研究会」の続編的な位置づけの単行本。三流大学でお医者さんごっこ研究会という馬鹿馬鹿しい活動を続けている、程度の低い男3人組のお話。前から渡辺ヒデユキは面白いと思っていたのだが、ついに手を出し始めてしまった。渡辺ヒデユキの絵は、ハッキリいって古い。そしてC調という言葉が似つかわしいナンセンスなギャグの連続は、懐かしささえ感じる味わい。揺るぎないマイペースさ加減で、いつでもページをめくれば同じノリが待っていてくれるという安心感がある。しみじみと好きだ、この作風。どちらかといえば、強姦探求部のミスター・Yといったヘンなキャラクターがいろいろ出てきて賑やかな前巻のほうがオススメ。


2/25(金)……赤い飼い鳥の買い取り

 なんか今日は、仕事が思うように進まないで会社に泊まっているせいか、漫画を読んでいてもなんか絵とセリフを順番になぞるだけで話が頭に入ってこないことが多かった。おかげで途中まで見たところで全然ストーリーを折ってない自分に気づき、もう一度最初から……というパターンを何回か繰り返すハメに。集中力が欠如してるときは、何やってもうまく行かないもんですな。あ、ちなみに以下の感想は、しっかり集中し直してから読んで書いたものであり、いちおうちゃんと読んではいるので。文章がちゃんとしているかはともかくとして。

【雑誌】アフタヌーン 4月号 講談社 B5平
 オモシレエ。今回はかなり充実していた。
 まずは四季賞1999年冬のコンテスト大賞受賞作、佐久間史幸「赤い鳥」。一見平々凡々とした男(でもヤクザではある)が、これまた平々凡々とした外見の中年オヤジの元で、殺し屋としての教育を受ける。職業として、きっちりと人を殺すという仕事をしていく人々。もちろんそれに罪悪感を感じないわけでもないが、自分が生きていくために殺していく。カッコ良くなんかはないが、かといって醜くもない。オフィスで仕事をこなすのと同じように、自分の気持ちはある程度抑圧したうえで、臆病に立ち回っていく。とんがってはいないが、しっかりと描かれた誠実な絵柄。一つひとつのアイテムをしっかり組み立てていく丁寧な作風。パッと見は地味だが、地に足が着いたストーリー回しでじっくりと読ませる。かなり面白い。感心した。それから同コンテストで入賞の、虎哉 孝「水鏡」も良かった。田舎の広い一軒家に、飼い犬、そしてもう一人の自分とともに「一人」住まう少女。二重人格というのはありがちなテーマといえないこともないが、薄暗いトーンで進む物語は読みごたえバッチリ。構成が巧みで、エロチックな香りを漂わせる作画もしっかりしている。
 連載陣では、小田ひで次の短期集中連載「クーの世界」がひとまず最終回。夢と現実の世界をヒネり裏返す。描写の恐ろしいほどの緻密さ。読者を幻惑しつつも、柔らかな読後感を残して終わっていくストーリー。スゴイ。とても面白い。単行本化の予定もあるそうで、その折は一気読みの快感を存分に味わいたいものだと思う。夏から第2部が始まるというのもまた楽しみ。小田ひで次はやはり凄玉だ。新連載、犬塚康生改め小道啓之「イハーブの生活」も良い。愛し合っていたが子供のいなかった夫婦が精子バンクから精子を買って作った子供・イハーブ。両親は女の子を望んでいたが、イハーブは男の子であった。不自然な作られ方をし、望まれぬ生まれ方をした少年の、クールで思うところ多き日常を描く。小道啓之の絵は、パサパサとして素っ気ないが描き込みはしっかりしているし、作品世界とよくマッチしている。歪んだ世界に読者を引き込んでいく。これからの展開が楽しみ。富沢ひとし「ミルククローゼット」もガンガン飛ばしている。異世界に迷い込んだ少年少女と、そこに棲息する奇妙な異性物。異性物のフォルムだけでなく、間の取り方なども絶妙で、抜群の異物感を醸し出している。富沢ひとしの作品は、得体の知れないモノに触れているという感触をダイレクトに読者に与える。確かな質感がある。中に何が入っているか分からない真っ黒な箱に手を突っ込んでいるような気持ちになれる作品である。

【雑誌】きみとぼく 4月号 ソニー・マガジンズ B5平
 朔田浩美「CQ」が新連載。美人悪霊祓師の桃乃と、彼女にベタボレの男・諏訪のコンビがドタバタしつつも事件を解決……ってな感じのお話。朔田浩美のガチャガチャと騒々しく、イキの良い作風は楽しくて好きだ。ただ、今回はとくに序盤がごちゃごちゃし過ぎていた感じがしないでもない。スムースに作品世界に入っていきにくかった。終盤になるとだいぶのってきてグイグイ読ませてくれたが。テクノサマタ「B急天国」。憧れの先輩に彼氏がいると知ってしまった女の子と、彼女を励ます親友。繊細で非常に達者な絵柄。美しく女の子たちの気持ちを描いてて良い。架月弥「チョコの歌」。いろいろあったけど、圭都も忍も自分の腹の中をお互いにぶちまけあってめでたしめでたし。ただ、最後はなんかいきなり主人公が変わっちゃった感じで「おりょ?」という感じ。線がぽろぽろほぐれるようなユルさのある絵柄そのままに、お話もバラけていってしまった印象。藤原薫「おまえが世界をこわしたいなら」。吸血鬼になってしまった少年と少女の心は、前世に起こったことを繰り返すかのようにすれ違い続ける。虚無の闇にズブズブとめりこみ、もがき続けているかのよう。緊迫感のみなぎる作風で目が離せない。
 来月号にはまたまた紺野キタ登場。自前の作家を育てつつ、外部からの血も導入しなかなかいい誌面を作っている。これに加えて、作家の名前で客を呼びさらにズドンと読ませる直球勝負な太い柱ができれば、かなりイケると思うのだが。

【雑誌】ヤングアニマル 3/10 No.5 白泉社 B5中
 作:出海まこと+画:高橋雄一郎「女刑事ペルソナ」の第3部がスタート。痴漢グループ撃退のため、女刑事がオトリ捜査に乗り出すが、実は車両に乗っている人間がみんなグルで返り討ち。さんざんに凌辱され、さらには公衆の面前に痴態をさらされてしまう。そこで捜査に乗り出す主人公たち。ってなわけで、いきなりかなり過激なエロがビシバシ。けっこうひどいことしてるんで引く人は多いかもしれない。エロ漫画雑誌ではこのくらいの描写はけっこうあるが、一般誌に分類されるようなこの雑誌に載っているとそのエロさが際立つ。ここらへんは、アダルトビデオでセックスしててもフツーだけど、同じ映像がTVで流されるとすごくいやらしく感じるのと似ている。作:あかほりさとる+画:板場宏志「マウス」。今回も馬鹿馬鹿しくサービスシーン満載。自覚的に、オタク的ダメダメな展開をたれ流す作風は毎度あっけに取られる。いや、素晴らしいですな。
 次号では二宮ひかる「ハネムーンサラダ」が再開。あと、大阪近鉄バファローズ・盛田幸妃物語もある。笠原倫が作画をやるというのはかなり意外。盛田が最優秀防御率のタイトルを獲った全盛時のシュートの凄さは、大洋/横浜ファンであった人間にとっては今でも忘れ難い。150km/h近い球がギュインと曲がって落ちるのは驚異的だった。あれから何年も経っているが、あんなにすごいシュートは久しく見ていない。

【雑誌】LaLa 4月号 白泉社 B5平
 津田雅美「彼氏彼女の事情」再開……と思ったら、今回は真秀さん編。ギチギチ有馬を追い込んでいくハードな展開を期待していた人にとってはちと肩透かしか。なんか重たい話を展開するために、徐々に弾みをつけていっているような印象。より深く潜るには大きく深呼吸する必要があり、より高く遠く飛ぶには長い助走が必要である。そんな感じ。藤川佳世「かたつむり前線」も連載再開。こちらは梶原が朝子を避けるようになりかたつむり化。せっぱ詰まった展開。ちょっとしたことで揺らぎ、脆いけれども眩しくもある少女&少年の想いを、スッキリと透明感のある筆致で描いていてなかなか読ませる。なかじ有紀「ビーナスは片想い」。幸せな恋愛っぷりが微笑ましい。美しき予定調和。大学生の話なのに、まるで中学生のよう。そこがいい。

【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL.8 司書房 B5中
 ちょっとパワーが落ち気味かな。今回目立ったのは、トウタ「ラヴフォーチュン」。かわいい女の子が部屋にやってきたモノだが、前回登場したお嬢さまに加え、今回は猫耳の占師少女も登場。トウタの絵柄はきれいにまとまっていて申し分なくかわいい。

【単行本】「フェミニズムセックスマシーン」 砂 太田出版 A5
 オスマンに追加したので
そちらを参照のこと。


2/24(木)……海岸で自殺

 アキバのとあるエロ系本屋さんで待ち合わせて山田さんとごはん。ちなみにそのエロ系本屋さんはアキバMapでいうとこのあたりにある大和書店というところ。肉の万世の前の道を都営新宿線・岩本町駅方向にちょっと行ったあたり。エロ本専門店といった趣で、雑誌は弱いがエロ漫画単行本に関してはかなり充実している。在庫が豊富でなおかつビニールカバーがかかっていないので、中を確認してから購入できるのがうれしい。多少古めの本でもけっこう在庫が置いてあるし、店員さんの態度もシャキッとしててけっこう気持ちいいので好き。新刊で買い逃したエロ漫画単行本を探すとか、表紙は気になるんだけど迷っているとかいうときにオススメ〜。それにしてもアキバはとらのあなとかもあるし、エロ漫画を入手しようと思ったら現在ぶっちぎりで日本一便利な街だと思う。神保町はフラミンゴを入手しようとして苦戦した覚えあり。置いてある書店が意外に見当たらなかった。

 本日購入分でまだ感想を書いてないもの。砂「フェミニズムセックスマシーン」はもう読んだが、たしか25日発売だったと思うのでフライングを回避し25日にアップ予定。渡辺ヒデユキ「江戸大学お医者さんごっこ研究会」はジャンキーズのレビューで一度読んだことあり。「きみとぼく」は本日立ち寄った書店には入荷してなかったので明日購入するつもり。

【雑誌】LaLa 4月号 白泉社 B5平
【雑誌】カラフル萬福星 Vol.10 ビブロス B5平
【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL.8 司書房 B5中
【単行本】「フェミニズムセックスマシーン」 砂 太田出版 A5
【単行本】「江戸大学お医者さんごっこ研究会」 渡辺ヒデユキ 久保書店 A5
【単行本】「江戸大学お医者さんごっこ研究会〜身体検査ごっこ」 渡辺ヒデユキ 久保書店 A5

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/9 No.14 秋田書店 B5中
 水島新司「ドカベンプロ野球編」。江藤なき後のカープの4番は犬神だ。キヒヒヒ。さすがにピッチャーに近いほうの目にアイパッチしている選手にプロの4番は厳しいと思うのだが。いくら筋肉ムキーとはいえ。キヒヒヒ。樋田和彦「京四郎」は最終回。京四郎はゾクを卒業してやがてGTKに。藤澤勇希「BM−ネクタール−」は今回で第1部完。ちょっともの足りない感じではあったが、ちゃんと第2部はあるのかな?

【雑誌】モーニング 3/19 No.13 講談社 B5中
 MANGA OPEN大賞受賞作、室井大資「海岸列車」が掲載。選者は青木雄二とわたせせいぞう。この二人の選、とくに青木雄二のは趣味に合わないことが非常に多いのだが、この作品は面白かった。ヤクザの抗争に巻き込まれて、旅行中の老夫婦の夫が殺害される。相手はヤクザだけに、遺族も騒ぐことはできない。しかし、その絶望は妻だった老婆の中に強烈な衝動を呼ぶ。一方、その孫ミノルは不幸な家庭環境でありながら周囲の眼は冷たく、学校ではずっとイジめられていた。頼るものもない二人の怒りは、ある日突然爆発する。しかし、それは深い悲しみに満ちたものだった。すぐに連載を持ってもやっていけそうな作画力と構成力。それからドスンと読みごたえのあるハードなストーリーなど、かなりの実力者。グイグイと引き込まれて読んだ。染み入るような悲痛さに満ちたラスト数ページは泣ける仕上がり。作風に正統派な強さがある。高橋ツトム「鉄腕ガール」。女子プロ野球のエース、トメが颯爽とグラウンドデビュー。しなやかさと強靭さが同居していて、美しくかっこよい。作:春場州太夢+画:鎌田洋次「オリンピックの世紀」シリーズ。今回はオリンピックにこだわりプロ入りを拒み続け、アトランタなどで活躍したアマ野球のエース、杉浦正則を取り上げている。上野顕太郎「ひまあり」で、なんか面白げな読者参加企画をやっているので要チェック。ハッキリいって、いちおう今回の「低級日本語」もあえていうなら面白いと思わないこともいえないこともないかと思ったりするんだけどね、逆に俺的には。

【雑誌】ヤングサンデー 3/9 No.13 小学館 B5中
 ベイスターズのルーキー・田中一徳(PL学園出身……まだ在学中だったけか)特集があったのでちょっとお得な気分。
 鄭vs.スグルの試合が決着。同時に彩華vs.球磨温泉の団体戦も。決着の瞬間のガッツポーズはなかなかかっこよかった。山本英夫「殺し屋イチ」。イチ復活でジジイともども腕をぶす。迫る殺戮の予感。ワクワク。サイクロン猿橋「ときめきヒルズ高校白書」。しゅくめいのライバル、メカグニャラ登場。裏をかくギャグをテンポ良く繰り出してくる。今回はツボにヒット。7万トキメキ。長哲夫によるテニス漫画「BREAK POINT」は最終回。

【雑誌】CUTiE comic 4月号 宝島社 B5平
 今回もしっかり充実している。安野モヨコや南Q太は今回お休みだが、そのぶん、かわかみじゅんこや海埜ゆうこ、オーツカヒロキといった若手の活躍が目立ちみずみずしい印象になっている。一時期、CUTiE comicはパサついた読み心地の作品ばかりになっていて読みにくかったころもあったが、最近また良くなってきている。ベテランと若手のバランスが今はちょうどいい。さらに次号では、橋本ライカや朔田浩美も再登場。
 小野塚カホリ「そどむ」。今回も男女、そして男男、女女関係がからまった恋愛模様を巧みに描いている。カッコイイだけでは終わらずしっかり読ませる。パッと見はいつも同じようだが、読んでみるとやっぱり面白い。オーツカヒロキ「愛ラブSHOCK!!」。イキが良くて楽しく読める。そして滑らかな触感の絵柄は、パサパサしがちなこの雑誌の中でいいアクセントになっている。雑誌のトータルバランスを良くする意味においても存在意義は大きい。大倉かおり「ユカとまーくん」。巨乳がやけにH。なんか生っぽくて柔らかい質感を感じさせる乳だ。おかざき真里「雨の降る国」。友達の兄とつき合うようになったが、彼を意識しすぎていまいち楽しめない女の子。そんな体験を通して、女の子たちは「女の子であること」を楽しむことの意義に気づいていく。繊細でかつ凜とした表現がかっちょいい。かわかみじゅんこ「ブルガリア」。彼女のいる女の子に惚れてしまった男子高校生。彼女が自分のモノにならない理由なぞないと、根拠なき自信を抱いて彼女に近づくのをやめない。かわかみじゅんこの描くキャラクターたちは、行動が実にまっすぐだ。パッチリ見開いた目の光そのままに。確信に満ちた作風は、どんどん洗練されていっている。伸び盛りですな。あ、あと今回のリレーエッセイ漫画は古屋兎丸の回。岡崎京子の単行本未収録作品再録シリーズは「DONADONA」。ところで表紙に「特集 恋の罠!」とあるけど、そういう内容でないときってあったっけか?

【雑誌】ヤングジャンプ 3/9 No.13 集英社 B5中
 壬生ロビン「バラ餓鬼」第2回め。少年のころの土方歳三を描く。いきなり扉の見開きが迫力満点。上品なタッチでありながら、ときに爆発するような迫力のある作画もできる。今回は土方歳三と恋仲にある女郎の女の子の気持ちが切なく描けてて良かった。なかなか先が楽しみである。この人は、けっこうページ数のまとまった短編も何本か描いているので、単行本にまとめてほしいところだ。山口譲司「BOiNG」。ボインマスターが飛行機事故を未然に防ぐ。方法は乳でスチュワーデスを操るというもの。ネタをバラすとアレだが、ベタなダジャレに思わず笑う。

【単行本】「BAMBi」4巻 カネコアツシ アスペクト A5
 赤と黒のコントラストがビシッと決まった表紙がかっこいい。この巻の第一話である「フライ・マウス・ローチ」は、余白部分が全部銀色で印刷されている。これがまたイカす。完成度の高い作画、アクションの緊迫感。カネコアツシは実にうまく育った。帯にも書いてあるが、この作品は映画化も決定されている。詳細はまだよく分からないが、ぜひぜひカッコイイ映画に仕上げてもらいたいものだ。

【単行本】「さんま」 目黒三吉 シュベール出版 A5
 エロ漫画読みならずとも注目している人はけっこういるであろう目黒三吉の初単行本。ヤンマガUppersのE-Oppersにも登場したことがあるが、やたらめったら絵がうまい。コインランドリーの乾燥機の中にいたところを男に拾われ、SEXをした後また乾燥機に戻っていく女性を描く「ドライな彼女」みたいに不可思議な話も描けば、ギャグも描く。「翼よあれがパリポリパー」みたいなわけわからずとも無性に面白い作品もあり。どの話を見ても、セリフ回しや構図取り、美しい描線など、端々にセンスの良さが表れている。「モイットレム・カ・ネルドース」などは、意味は分からなくても、思わせぶりなネームと印象的なカットの数々で酔わせてくれる。じゃあムチャクチャ面白いかというと、そうもいかない。各場面はそれぞれ非常にうまいのだが、お話を読ませるという面では弱く、「センスいいなあ」という印象しか残らない作品がけっこう多い。これでぶっとい話を作れるようになったら、さぞかし面白かろう。おそらくは全面降伏せざるを得ないほどに。しかし、そこまでは至っていない。今はまだ。


2/23(水)……ハメ具

 そういえば昨日はグリーンジャンボ宝くじの発売日だった。そんなわけで30枚ほど購入。全部連番。2億円の一点狙い。はした金はいらねえ。うそ。いる。くれー。くじといえば、講談社KCの奴は全然当たらなかったなあ。せっかくExcelでシート作って記録しといたというのに。そういえばラブひなビンゴも外れてたし、年賀状では切手シートすら当たらなかった。でも2億円は当たるのだ。当たらないほうがおかしい。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/8 No.13 講談社 B5平
 やなぎはあきら「銀の鼓動」。メルセデス復活シーンの見開きが、線の感じ、構図ともになかなか迫力あっていい感じ。寺沢大介「将太の寿司」では、なぜ最終ページの柱を書いている人がマグロの厚さをズバリ5ミリと言い当てられたのかが気になるところ。あと次号でどれだけの「おいしい」的アクションが見られるかも楽しみ。今号は口中で噛まれてほぐれるアワビのステーキ寿司がみどころ。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/8 No.13 小学館 B5平
「ファンシー雑技団」の黒葉潤一が読切で登場。タイトルは「ハム・エッグ」。容姿端麗、小粋なトークなどモテモテ機能満載だったはずの美男ロボ「ハム・エッグ」だがプログラムミスで突拍子もない行動と調子っぱずれな言動を繰り返すイカレポンチになってしまった。このハム・エッグのファンキーな活躍を描くギャグ漫画。石渡治「パスポート・ブルー」では、オタク二人組が今回も大活躍。でもウイルスを送りつけるのはやめておいたほうがいいよ。逮捕されちゃうぞ。(若干内輪ネタ)

【雑誌】スーパージャンプ 3/8 No.6 集英社 B5中
 徳弘正也「狂四郎2000」。狂四郎による大殺戮完了。バッサバッサと斬りまくる修羅場においても、キッチリギャグを入れたりするあたりが徳弘正也らしい。車田正美「リングにかけろ2」。「車田正美先生の作品を読めるのはSUPER JUMPだけだといいぜ!!」とのこと。スコルピオンはオヤジ狩りを狙うが思わぬ邪魔が……。

【雑誌】フラミンゴ 4月号 三和出版 A5平
 やはり休刊は避けられない運命のようで。正式にアナウンスあり。編集後記には「あと2冊は出ますんで」と書かれているが、先日も書いたとおり10月売りの号までは出るとの話もある。とりあえず連載作品についてはつつがなく終わってほしいもの。後継雑誌も予定されているようでそれに期待したいところだが、フラミンゴ路線ではまた商業的にキツかろうし、どうなるかはまだ分からない。とりあえず蜈蚣Melibeや白井薫範といった、ほかの雑誌ではなかなか描くところを見つけにくい人が掲載され続ける環境は残ってほしいものだ。なお今回、天竺浪人「便器」は休載。
 巻頭カラーは3月に新刊「アルコールラムプの銀河鉄道(下)」が発売されることが決定した、しろみかずひさ「アルコールラムプの銀河鉄道 後編:蠍の火」。上巻の頭に掲載された「プリオシン海岸の情景」の続き。約3年ぶりのお目見えである。4ページ4色カラー。架空のお話でありながら、麻理果という存在に徹頭徹尾こだわり続け、描き続けたしろみかずひさの姿とオーバーラップして、シビれるような悲痛さがある。作画についても、相当に気合いが入っていてクオリティが高い。今回の4ページだけだと、しろみかずひさについて全然知らない人は何がなんだか分からないかもしれないが。とにかく長いこと待った下巻の発売を、さらに首を長くして待つ俺なのだ。海明寺裕「puppy Love」は最終回。少年は疑問を解決し、ブリーダーへの道を力強く歩み始める。彼らの決意に満ちた若い後ろ姿は頼もしく映る。K9世界は、作品を重ねるごとに重厚さが増し、すでに一大絵巻となりつつある。どの雑誌でもいいから、末長く続けてもらいたい。るもいじゅん「おとなちゃれんじ ほっぷん」も最終回。子供番組めかしたでたらめなノリが楽しかった。蜈蚣Melibe「バージェスの乙女たち」もラストに向かっていよいよお話を煮詰めてきている。ずいぶんと長いお話になったが、素晴らしいラストを期待したい。鋭利菊「ザ・検査」。うーん好調ですなあ。ラストシーンの投げ遣りっぷりには一本取られた。男女名言集もトレビヤン。どうだ俺達の前で名言を紹介させられる気分は!!! しのざき嶺「LOVE」。食便ぶり復活中。

【単行本】「ヨコハマ買い出し紀行」7巻 芦奈野ひとし 講談社 B6
 アルファさん旅に出る。コマ数が必要最小限で整理された画面、スッキリとした絵柄は毎回気持ちがいい。マンネリといえばマンネリなんだけど、急いで何かやらなきゃならない話でもないのでこれで良いのだ。

【単行本】「EDEN」4巻 遠藤浩輝 講談社 B6
 今回の巻は、ケンジが少年だったころの話が中心。彼が冷酷で性格無比な戦士として成長していくまでの事情を描いている。ケンジが兄のいうがままに自分の父親を殺すシーンは、前巻ほどではないにしろわりとショッキング。殺し合いのシーンのアクションのスピード感、甘えのない展開など、遠藤浩輝の表現はやはりカッコイイ。回を重ねるにつれ、だいぶ面白くなってきた。

【単行本】「ネオデビルマン」3巻 講談社 A5
 これで最終巻。今回の執筆陣は三山のぼる、とり・みき、風忍、田島昭宇、神崎将臣、安彦良和、黒田硫黄。正直いって、前2巻よりも面白くない。しかし黒田硫黄。やはり他を圧倒して面白い。デーモンたちへの恐怖で人々がパニックになる中、妻と離婚して以来ずっと離れていた息子二人、愛人とその弟を連れて北へ逃がれようとする医師。非常事態のはずなのに、彼は妙にはしゃぐ。それは、奇妙な形ではあるものの、その逃避行が家族旅行であったから。デビルマン世界の設定をうまく利用しながら、やはり黒田硫黄は黒田硫黄の物語を紡ぐ。何気ない線の一つ一つが意味を持ち、躍動している。自分の世界を自分の筆で、十全に、自由闊達に描き出してくるその才能は羨ましくなってしまうほどだ。ああ、くそ、おもしれえなあ。

【単行本】「BET」1巻 押川雲太朗 講談社 B6
 ラスベガスを根城とするプロの日本人ギャンブラー・北島、そしてギャンブル自体は素人で一見マヌケそうだが北島がホンモノであることを見抜きその運に乗っかろうとする江藤。スタンスこそ違うものの、ギャンブルで生きていく凸凹コンビの姿を描く作品。基本的に扱うギャンブルは特定されておらず、バカラをやったかと思えばルーレットもやるし、ときにはチンチロリンもする。そのいずれも、相手の腹を探り勝機を見極め決断する過程をじっくりと描いている。なかなか読みごたえがあって面白い。


2/22(火)……ねこにコンパニオン

 なんか2000年突入後、いろいろなことをサボっていたような気がするのだが、そろそろなんかやるぜっ。たぶん。やらないかもしれないけど。そこらへんはまあ適当に。と決意。まあとりあえず、3月頭から新コンテンツをなんか始める気持ちはいちおうあり。

 以下、本日購入済みの未読物件。おおむね早売りのブツ。
【単行本】「ヨコハマ買い出し紀行」7巻 芦奈野ひとし 講談社 B6
【単行本】「EDEN」4巻 遠藤浩輝 講談社 B6
【単行本】「ネオデビルマン」3巻 講談社 A5
【単行本】「BAMBi」4巻 カネコアツシ アスペクト A5
【単行本】「さんま」 目黒三吉 シュベール出版 A5
【単行本】「BET」 押川雲太朗 講談社 B6

【雑誌】コミックドルフィン 4月号 司書房 B5中
 LAZYCLUB「女子大生イベントコンパニオンの憂鬱」。人に見られて感じちゃうモノで、巨乳で乱交と、俺の実用的ツボにヒットする要素がけっこう揃っている。ただ、トドメが双頭ディルドーというのが惜しい。あんまりお道具系では燃えないタチなのだ。天崎かんな「姉ちゃんより愛を込めて」は今回でおしまい。弟大好きな淫乱お姉ちゃんがメインなあねおとうとモノ。ちょっと野暮ったさもあるんだけど、勢いがあって楽しく読めたし、エロシーンもパワフルでけっこう面白かった。祭丘ヒデユキ「眼鏡黙示録 芳賀U太(25)」。前号の作品もかなりイカれてて面白かったが、今回もわりといい。眼鏡を外すとすごいかわいこちゃんという眼鏡娘的お約束をオーバードライブさせる。前回ほどのキレはないが、ヒネリのきいたちょっと変わったエロ漫画。なかなかイケる。みやびつづる「美作商店会」前編。各商店の奥さんが商店会共有の性奴隷となっていて、乱交しまくっている商店会のお話。というわけで前編だというのにのっけからエロい。しかし、最初のほうの2色カラーページはしっかりしているものの、あとは白い。残念。単行本になるときにしっかり加筆修正してほしい。

【雑誌】漫画アクション 3/7 No.10 双葉社 B5中
 作:森高夕次+画:あきやまひでき「おさなづま」。なんか「各メディアで話題沸騰」らしい。面白いモノがちゃんと評価されるというのは喜ばしい。作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫「軍鶏」。リョウも菅原も、決戦の日を前に準備万端。正統派の菅原に対して、リョウの邪道がどこまで通用するか。今後も楽しみ。

【雑誌】ヤングチャンピオン 3/14 No.6 秋田書店 B5中
 巻頭カラーで近藤佳文の新連載「鉄筋安坊」がスタート。デブで巨体の持ち主、でもパワーはむちゃくちゃで運動能力が抜群であるらしい安坊が主人公の野球モノといった趣。絵柄は単純だけど、のどかな趣がある。作:高見広春+画:田口雅之「バトル・ロワイアル」。第2回めだが、やはり濃厚。脂っこいだけに、テンションをガンガン上げていけば面白くなりそうだが、原作の雰囲気とは若干違うかな。それもまた良し。というか小説を工夫もなくただ漫画にするだけじゃ面白くないしね。

【単行本】「SEXドリフター」2巻 桃山ジロウ 蒼竜社 B6
 絶倫おんな保険医・令子先生シリーズの最新巻。令子先生は今回も快活にやりまくり。女体描写は汁気が多くてみずみずしい。全体に肉付きが良くて、たっぷりした感じが好み。令子先生のキャラクターがシッカリ立っているので、その魅力で楽しく読める。今回の巻のみどころは触手。さあどんどん責めろ触手くん。


2/21(月)……ツリッキータイフーン

 掲示板にも書いたけど、フラミンゴが10月売りの号まで出ることになった模様。ラッキー。

【雑誌】モーニング新マグナム増刊 3/8 No.13 講談社 B5中
 加藤伸吉「バカとゴッホ」。面白いなあ。交通事故で意識不明の重体に陥っていた正二が、後遺症を残しつつも退院。いろいろなことを考えつつも、やはり結局、自分たちは自分たちの音楽を作っていくしかないという原点に立ち戻る。くねくねと回り道をしながらも、前のめりに進んでいく青春模様。青臭いけど、青臭くなければできないことだってある。男だぜ。佐藤マコト「サトラレ」。今回は、周囲に自分の思考が洩れてしまう特異体質者・サトラレの幸夫と、その彼女の小松さんが無人島でバカンス。誰にも考えていることが伝わることのない環境で、二人は思い切り羽根を伸ばす。しかし、無人島だと思っていたその島には、もう一人サトラレがひっそりと隠れるように住んでいた……。キャラクターも魅力的だし話作りもうまいし、3回めではあるがもうすっかり安心して読める風格。八代富士男「女優ミドリ」。第2回め。役作りのためにはなんでもやる天才女優ミドリは、今回たった20秒の歌唱シーンのために2ヶ月間かけてギターの腕を磨き続ける。絵はところどころぎこちない点はあるが、しっかりとキャラクターを作って読ませる仕上がり。
 鶴田謙二「Forget-me-not」。毎度感服する作画。冬目景「文車館来訪記」もさすがの作画。今回は絵が荒れたところは見られず、4色カラーの美しさが映える。次号で完結予定。タイム涼介「痴呆症ハチスケ」。入れ歯洗浄により若者に変身する、魔法使いのおじいちゃんの物語。ノリは下らないけど、ラストはちょっぴりセンチメンタル。「日直番長」で見られたポエム魂が復活気味。寺西徹記「triangle」は、カケアミ系のあたたかい質感がホッとする味わい。目など、表情の描き方とかがも少し緻密になってくるとより好み。「ネオ・デビルマン」シリーズは今回で最終回。ラストを飾るのは田島昭宇。シレーヌ編であり、「ネオ・デビルマン」としてはわりとスタンダードなアプローチ。スタンダード過ぎてちともの足りない感じもするが。

【雑誌】花とゆめ 3/5 No.6 白泉社 B5平
 今号の目玉は高尾滋の新連載。タイトルは「ディアマイン」。やわらかいペンタッチ、端整で気持ちのいい絵柄が特徴の高尾滋だが、相変わらず絵は非常にいい。ちょっとトロいけど、料理がうまくて人が非常にいい女子高生が主人公。父の残した借金が元で、母親ともども資産家の家に引き取られることになる。そこで待っていたのは突然の婚約者。彼はなんと10歳の少年だった……。ってな感じのお話。うまい人なんでこれからが楽しみ。日渡早紀「宇宙なボクら!」。顔を真っ赤にして見つめ合っている、男の子と女の子のアツアツさ加減が微笑ましくて良い。

【雑誌】ヤングマガジン 3/6 No.12 講談社 B5中
 東和広「ユキポンのお仕事」が連載一周年ってことで、巻頭カラー&2本立て。色鉛筆の淡い着色が心地よい感触。ユキポンのもこもこぶりは思わず触りたくなる。「ユキポンといっしょ」とか出すといいかもしれぬのう。阿部秀司「エリートヤンキー三郎」が新連載。もりやまつる的な作画で、いかにもヤンマガテイストなヤンキー漫画。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」は今回特別篇。推理モノ仕立てで、まず事件編がありしばらく後のページで解決編が掲載されるという形式。まあアゴゲンだけに、まともな推理はするわきゃないんだが。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。鉄郎と巨大冷蔵庫シグマに悲しい別れの時が。シグマが鉄郎宅にやってきたのはけっこう前の話だが、しっかりフォローし続けてくれるあたりがうれしい。蓮古田二郎「しあわせ団地」は、とりあえず本誌での集中連載終了。ダメ夫と若妻のどうしようもない生活の中にも愛を感じさせたりするちょっといい話なのだが、それでも全体にダメ人間感が十分に漂っている。ぶざまな生活をねっちりと、そして楽しく読ませてくれる。この読ませる力はかなりのもんだと思うのだ。そろそろ単行本出せるくらいの作品ストックができてきたと思うのでぜひぜひ。ちなみに連載再会は4月中旬ごろの予定だそうな。別冊ヤンマガなのか本誌なのかが気になるところ。
 で、次号では笠原倫「ジェンマ THE PASTAMAN」が再登場。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/4 No.12 小学館 B5中
 作:園村昌弘+画:中村真理子「クロサワ」が新連載。小津安二郎に続く日本映画監督列伝シリーズ第2弾。吉田戦車「学活!!つやつや担任」。「下の人などいない!」とかいうセリフが出てくると、やはりピクリピクリと反応してしまう。柴門ふみ「九龍で会いましょう」。この主人公の上三條って、会社が潰れたらSHOP自分で古着屋とか始めそうな気がする。なんとなく。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/6 No.12 集英社 B5平
 作:真倉翔+画:岡野剛の「ぬ〜べ〜」コンビが新連載。タイトルは「ツリッキーズ ピン太郎」。通力(ツウリキ)を駆使して半ズボン少年がさまざまな事件を解決する探偵モノではなくて、釣り漫画である。浦島太郎の子孫であると自称する少年・ピン太郎が主人公。彼が、「日本史上最も有名な釣りバカ」といわれているらしい浦島太郎が残した玉手箱から出てきて、意志を持つ釣具「リュウグウノツカイ オットー45世」を駆使して強敵魚に挑む。テイストはコロコロコミック的。子供っぽいムチャさがあって、けっこういい感じ。この作品自体がそれほど面白くならなくても、単純明解な子供向け作品が一本あるってだけで雑誌的にはいいアクセントになると思う。鈴木央「ライジングインパクト」。パットの名手のギスギスしたねーちゃん、黒峰美花がランスロットに挑む。今回はけっこう彼女の弱さが出て、ちょっと良かった。俺アイドルランキングで2ポイント強上昇。


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