2000年1月下旬

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2000年1月27日(木)

ヤングアニマル 2月11日号   白泉社 <漫画・雑誌> 248円

 『愛人』の連載が再開しています。国連事務総長と会見する、地球から追われた人々。進んだ科学を持った彼らは救世主なのか、侵略者なのか…と、「大きなオハナシ」が展開しています。「大きなオハナシ」がなくても、この作品は成立すると思うので、ちょっと不安な感じです。プラスに出ると良いのですが。他の連載、『セスタス』にしても『キルケーの豚』にしても『エアマスター』にしても、テンションが高くて非常によろしいのですが、やっぱりトップは二宮ひかるの『ハネムーンサラダ』。社会経験のある人は強い!!

ヤングキングアワーズ 3月号   少年画報社 <漫画・雑誌> ?円

 宇河弘樹の新連載は、単行本『妖の住む家』に収録されていた『昭和霊異記シリーズ』の続編とでもいうべきもの。イーヴルアイを持った少年と巫女の三姉妹。うって変わっての確信犯的なラヴコメ味が良い感じです。また『エクセル・サーガ』はシリアス展開。六本松(大きい方)と接触したエクセルさんは…と、思わせぶりなセリフ大爆発!いよいよ『ダイデンジン』か?と思ったらアニメで『ダイデンジン』をやるそうですな。流石はナベシン。詳しくはクロスレヴュを。

プチフラワー 3月号   小学館 <漫画・雑誌> 490円

 これまたクロスレヴュを参照してください。特筆すべきは西炯子『光る南国の魚』。一話完結式のシリーズ連載。夏休み、観光地のホテルのバイトにたずさわる主人公。そのホテルでは女体盛りを出しており、その女体はフィリピンからやってきた女の子であった…というオヤジげなシチュエーションを、非常にリリカルに描いているのですね。元々この人は短編で生きる、と思っていたのですが、スキル大炸裂。素晴らしい出来になってます。他にも読める作品が多いです。99年いっぱいで休刊、というのは杞憂にすぎなかったようですね。

電撃ピカチュウ 4巻 おのとしひろ 小学館 <漫画・単行本> ?円

 最近の小野敏広=上連雀三平の仕事量の多さには頭が下がります。何でも家を建てるつもりのようで。どんなオハナシにもきちんとした結果を出す職人芸。できることならリハビリ(飲尿女神みたいなヤツ)を大量にお願いしたいものです。この作品は良くも悪くもオコサマ向け。そこはかとないエロ味が感じられはしますが、気づかれにくいのが残念なところです。

ドイツ装甲部隊全史1   学研 <ミリタリー・ムック> 1700円

 以前から出ている第二次大戦ヨーロッパ戦線ものの続刊です。すっかり終わったものと思っていたら、ドイツの装甲部隊をモチーフにシリーズを続けるとは。この伝でいえばルフトヴァッフェやRAF、赤軍シリーズといくらでもネタができてしまうではないですか。ミリタリー者からさらに搾り取ろうというのですか!…ともあれ。内容はWW1のドイツ戦車部隊から、ポーランド戦くらいまでの戦車部隊のことを扱っています。ちょっと水増ししている部分もありますが、装甲師団の編成や師団長なども書いてあって資料的価値もあります。

シヴィライゼーション コール・トゥ・パワー   サイバーパワー <PC・ゲーム> 7200円

 …いったいどれくらいの時間を『シヴィライゼーション』『シヴィライゼーション2』につぎ込んだやら。こういうグローバルなストラテジーゲームに私は非常に弱いのですよ。ちょっとやってみたところ、かなり煩雑で見づらいゲームのようですが。自制、自制!

ブギーポップは笑わない     <アニメ>  

 これは買ったものではないのですが。狙っているところは非常によく分かるのですね。ですがどうにもその試みは薄っぺらくなってしまっているように思います。「いかにも」な表象を使うときには、それなりの覚悟が必要なはずなのですが、今のところこの作品にはその覚悟が見られません。これが演出なら良いのですが…。ともあれ、成功した『Serial Experiments lain』の「カタ」だけ借りてきても駄目で、いまという時代と切り結ぶ(その結果として討ち死にすることも厭わずに)ことをしないと、単なる表層だけのものになってしまうと思います。スガシカオは良いのですから、頑張って欲しいものです。

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2000年1月25日(火)

きみとぼく 3月号   ソニー・マガジンズ <漫画・雑誌> 467円

 酒の席でしばたさんが随分と薦めておられたので購入。そしたら結構面白いじゃないですか。藤原薫『おまえが世界をこわしたいなら』は繊細さと神経質さが上手く入り混じって背筋に来ますし、くさなぎ俊祈『TOY's』はオコサマを上手くストーリーに組み込んで読者を引き込みます。また見なれた絵だな…と思ったら紺野キタ先生だったりするわけですね(素晴らしい出来!)。ということで定期購入を大決定。

マガジンZ 3月号   講談社 <漫画・雑誌> 457円

 慣れてきたせいもあるのでしょうが、少しづつ落ち着いてきたように思います。今回は『濃爆!おたく先生』がちょっとテンションが低かったのが残念ですが、『Stand By み〜ちぇ』や『King of Bandit JING』『コロニーの落ちた地で』など、グッと来る作品は結構数多くあります。『み〜ちぇ』は切ない!現代人の孤独を描くというのりこ先生のライトモティフが全開で泣けてきます。『JING』は画面構成の前衛性がいっそう冴え渡っています。これが「ボンボン」に連載されていたのですからね!

キューティーコミック 3月号   宝島社 <漫画・雑誌> 476円

 詳しくはクロスレヴュを参照してください。今月の目玉はおかざき真理。一挙73ページの掲載で、禁断の性の扉を開けようとする少女の姿を微妙なバランスで描き出しています。左右に二つ並び、じっとこちらを見つめる淫猥さを潜めた目。うーんタマリマセヌわ。さすがはフャンロード出身。あと、何故かやまだないとが加賀マヒルと改名しています。ホント、何故?

コミックガム 3月号   ワニブックス <漫画・雑誌> 590円

 『女神候補生』アニメ化に伴い、徹底的にアニメとのカップリングをはかっている様子が見られます。どこからどこまでアニメ的。それはちょっと引っかかるところではあるのですが、読める作品はいくつもあると思います。やまむらはじめ『エンブリヲンロード』。あさりよしとお『HAL』。別天荒人『プースー』。特に『プースー』は、最初の目的をはるか離れて全然違うところに重点が置かれるようになっているのが美しいです。線の美しさがタマラン!あと、この雑誌のよいところは、どの作品も1ページ使って「前回までのあらすじ」を書いているところです。ある意味ウザくもあるのですが、途中からの読者や、私のようないい加減な読者を取り込むことに成功していると思います。他の雑誌も参考にしてもよいのではないでしょうか?

そどむ 1 小野塚カホリ 宝島社 <漫画・単行本> 838円

 すいません、まだ読んでないんです。

栞と紙魚子 殺戮詩集 諸星大二郎 朝日ソノラマ <漫画・単行本> 760円

 上に同じ。読んだら感想を追加します。

消えたマンガ誌   メディアファクトリー <漫画・ムック> 950円

 これまでに消えていった様々なマンガ誌についての文章をまとめたものです。「ガロ」「COM」に始まり、「シャレダ」「ガウディ」「ジャパンダ」「マンガボーイズ」「漫金超」「夜行」などなどのマニア感涙の雑誌についてまとめています。この手のムックに付き物のレベルの低さも感じません。きちーんとまとめてある、という印象なのですね。これはあとでブックレヴュに載せようと思っています。

愛人 1 田中ユタカ 白泉社 <漫画・単行本> 505円
未来のゆくえ やまむらはじめ 少年画報社 <漫画・単行本> 495円

 一年間留学する後輩への餞別として。こういうときの餞別は須藤真澄の『アクアリウム』と決めていたのですが、いかんせん入手できなくなったもので。

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2000年1月23日(日)

エコロG ほりのぶゆき 宙出版 <漫画・単行本> 840円

 竹書房から出た「天然の馬鹿力」の再販です。中身で変わっているところは、作者による解説が加わっているくらいです。表題作の「エコロG」や、ロッキンオンでの連載「タテノリ」は面白いのですが、旧版を持っている私にはちょーっと物足りない感じです。持ってない人はかなり楽しめると思いますよ。

フラミンゴ 3月号   三和出版 <漫画・雑誌> 743円

 詳しくはクロスレヴュを参照してください。やっぱり素ン晴らしいのは海明寺先生の「パピーラブ」。「昨日まで同級生だったのが こんな下等動物だったなんて」ってくだりがタマラヌちゅう感じです。あとは天竺浪人「便器」。すっかりアナルに目覚めてしまう男の子…という描写の深さ。ヘテロセクシャルが正常だなんて、誰が決めたことでしょうか?

銀河鉄道の夜 オリジナルサウンドトラック 細野晴臣 テイチク <CD> 1500円
HOSONO HOUSE 細野晴臣 キングレコード <CD> 1529円

 黒田硫黄『わたしのせんせい』(アフタヌーン99年7月号掲載)に出てきた『終わりの季節』は、下のディスクが元ネタだったんですねえ。細野作詞作曲だというのは知っていたのですが。テナ訳で即座に購入。3000円買うと特典があるというので、ついつい上のディスクも購入。『ジョバンニの透明な悲しみ』。

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2000年1月22日(土)

かねひらだもの 金平守人 アスペクト <漫画・単行本> 620円

 「コミックビーム」に連載されていた『金平劇場(仮)』、現在連載中の『かねひらだもの』、「アクション」にたけくらヤマト名義で発表された『つっこめ!ひよりちゃん』が収録されています。いやあ、悪意こもってます。いかにして読者をイヤな気持ちにさせるかを、手を変え品を変え行う。まっとうなギャグもまた深読みすれば悪意の産物。正直言って面白いっす。

妖の住む家 宇河弘樹 少年画報社 <漫画・単行本> 495円

 「ヤンキンアワーズ」に載った短編を集めたものです。『スタンダードブルー』以前の短編と、以後の『昭和霊異記』シリーズで、タッチが異なっているのがちょっと気になりますが、どちらにしても短編のレベルは高いです。『昭和霊異記』シリーズは非常に面白くなりそうなのに、この単行本には3本しか載っていないのが残念。注意すべきは、「バカスキルを持っていること」「フャンタジイが描けること」「マジなオハナシも描けること」という三つの徳目を兼ね備えているところ。加えて今風のエース的アニメ・オリエンティドな絵柄も描けるところが凄いと思います。才能のある人なのですね、この人は。

アフタヌーン 3月号   講談社 <漫画・雑誌> 457円

 詳しくはクロスレヴュで。富沢ひとし「ミルククローゼット」はもろ「エイリアン9」の流れを汲んでいていいです。これもロリイタ系のひとつといえましょう。目立ったところでは、四季賞のテラナカ「斬神伝」、ひぐちアサ「家族のそれから」、博内和代「バナナ チ○コ」ですね。砂の登場以後、漫画に哲学的要素を導入することが流行しているのでしょうか!?

少年エースA 3月号   角川書店 <漫画・雑誌> 419円

 最大の見どころはやはり貞本版エヴァ。庵野版と比べ、静謐な雰囲気の中じわじわとオハナシが進む様子が見られてグッと引き込まれます。また人物描写に深みがあるところもよいです。今回のトウジの表情!また目黒三吉が「私は貝に」で登場。フランキー堺。相変わらず人を食っていながらフャンタジックでいい感じです。あと「読める」のは、別天「源平伝NEO」といったところでしょうか。同じ絵ばっかりで作家の見分けがつきにくいのが難の雑誌だと思います。

ホビージャパン 3月号   ホビージャパン <立体・雑誌> 743円

 なんといっても石田敦子様「ふわふわカタログ」に尽きるでしょう。次のPGはZガンダムだそうで。パーツ数1000弱、値段2万4千円!!

すごろく旅行日和 石川浩司 メディアファクトリー <一般・単行本> 1500円

 バンド「たま」のランニングの人、石川浩司の本です。「すごろく旅行」とは、さいころを2個振って、出た数の駅だけ進み、止まった駅でくじを引いてイベントをこなす、というものです。行く方向も進む距離もすべてさいころまかせ。美しすぎる!筑摩の単行本以降に行った台湾、韓国でのすごろく旅行がメインになっています。実は私もやったことがあります。めちゃくちゃ楽しかったですよ。

いさましいちびのトースター火星に行く トーマス・M・ディッシュ 早川書房 <SF・文庫> 540円

 水玉蛍之丞先生リスペクト、ちゅうことで。ディズニーがアニメ化したビデオが発売されるのにあわせた文庫化ですが…なぁにが「ブレイブ・リトル・トースター」じゃい!単にカタカナ化するだけのこの能のなさ。これじゃあいかんですよ。

ネットワーク社会の深層構造 江下雅之 中公新書 <一般・新書> 840円

 95年、インターネットが普及をはじめた頃、「ネットワークの導入によってコミュニケーションがどう変わるか」という研究が盛んに行われました。それは結局いくつかの成果を残しただけで、消化不良的に終わったところがありました。現在進行中で、しかも予想の立たないテクノロジの変化に、研究がついていけなかったからです。この本は5年後、同じ研究をしたらどうなるか、という問題に挑戦しています。まだあまり読んでいませんが、5年前よりあまり研究は進んでいないのではないか、という印象を受けます。…逆に、今こそ新しい知見を示すことができるチャンスといえるのかもしれませんが。

メディア空間の変容と多文化社会 吉見俊也他 青弓社 <学術書> 1600円

 パルテノン多摩で1998年に開かれた連続講座の記録です。行こうかと思っていたのですが、曜日が合わず断念した講座でしたので、即座に購入。メディアの変容(上の本で指摘されているような「ネットワーク化」を、カルスタ的に読むという試みです。カルスタの現在的アクチュアリティは、うよく(というか単純な国家に対する愛着)に対抗するだけでなく、現在の社会変容に対して「読む」姿勢を持つことにあると思いますので、非常にこうした試みはよいと思います。しっかり読み込もうと思っています。

ゴシックとは何か 酒井健 講談社現代新書 <一般・新書> 680円

 いきなり「ゴシックとは何か」ですよ!読者の衒学趣味をそそるこのタイトル!ディレッタントの血が騒ぐ!!

日本史こぼれ話 近世・近代 笠原・児玉編 山川出版社 <一般・新書 838円

 歴史を語るうえで重要なのは、興味を持ってもらうことです。普通の教科書がつまらないのは、登場する人間がどんな人物であったか、どんなパーソナリティを持っていたかが分からないことと、歴史上の出来事に必ずつきまとうであろう間抜けさ(それこそが人間の営みの面白さであるわけですが)がわからないことにあると思います。この本はそうした欠落部分を補う本です。大杉栄を扼殺したあとの甘糟正彦がどのような人生を送ったか、ということが書いてあって実に楽しいのですね。下手をすると「教科書が教えない歴史」のようになる危険性を持ってはいますが、アレも単なるエピソード集として見たら結構楽しい本ですしね。いやあ歴史って面白い!

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2000年1月21日(金)

えの素 5 榎本俊二 講談社 <漫画・単行本> 533円

 春までお休みが非常に残念な「えの素」ですが、単行本の方は相変わらずテンションが高いです。社長のペニーをめぐっての菖蒲沢&葛原を巻き込んだ暴走しまくったバトル!全身にペニスを移植して「過剰な人生ゲームの車」状態になった剛介。前半を異様に盛り上げるペニーシリーズにはホントに頭が下がります。あとは田村さんの哀れな娘さん(可愛く描かれる)でしょうか。

なるたる 4 鬼頭莫宏 講談社 <漫画・単行本> 505円

 富士でのアマポーラ(ジュリー)&ハイヌウェレ対自衛隊の戦いがメインです。まとめて読むとやはりいい感じなのですね。選択を迫られるシイナ、だがその選択は非常に重い…実は「エイリアン9」などと同様の構造なのだと思います。ロリっ子に過剰な無理難題を押しつける、という。

バガボンド 5 吉川英治/井上雄彦 講談社 <漫画・単行本> 524円

 宝蔵院胤舜との命を懸けた戦いに挑む武蔵。胤舜も命のやりとりを喜び、静謐な興奮に酔う…というオハナシで一つの巻が終わり。ですがそれに見合った非常にテンションの高いアクションが展開されています。絵の迫力と溜め、抜きは流石といえましょう。こうしたメジャーな作品については私よりも語るべき人がいるでしょうから、このくらいにしておきます。

アニメージュ2月号   徳間書店 <アニメ雑誌> 600円

 この年でメージュを買うことになろうとは思ってませんでした。いつかはチェックしなくては、と思ってはいたのですが。目的は付録の「漫画大行進ミレニアム」。アニメーターに漫画を描かせるという、太古の「モーションコミック」を思わせる企画なのですが、参加アニメーターがなかなかのもの。中島敦子、ナベシン、後藤圭二、長谷川眞也などが描いてます。ホントの目的は当然石田敦子様。石田様だけ4ページ描いておられます。内容はこれまたタマラン、ちゅう感じです。

愛をあげよう 7 ともち ソニーマガジンズ <漫画・単行本> 560円

 「みるく5号」の図版として急に必要になったので。そういやともちは誉めてる割に持ってないんですよ。

DOS/V Magazine CUSTOM   ソフトバンクパブリッシング <PC雑誌> 838円

 きっと漫画心が炸裂しているであろうしばたという編集者の存在が輝く雑誌。新谷明弘、山田Xの登用はすべてこのしばたという人の力によるものでしょう。今回は漫画レヴュで復刊なったガロを取りあげてますし。すっかりスロット1やスロットAに取り残されてしまっている私ですので、漫画が楽しみという状況になっています。今回のヒットは新谷明弘。眼鏡っ子の地味げな女の子が、「眼鏡っ子が好きになる遺伝子」を雑誌で発見し、学校の給水塔に混入する…というもの。そんな!眼鏡っ子だったら私は最初から好きだぞ!!と叫びたくなるようなオハナシ。やっぱりええですわ。リニューアル後も漫画は続くのでしょうか?…なんて、白々しいですね。えへへ。

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