2000年6月10日(土)
マスターグレード RX-78-2ガンダム Ver.1.5 | バンダイ | <立体> | 3000円 |
リニューアルされたガンダムです。一部前のキットのパーツを流用している部分もありますが、8割方は新規パーツ。特筆すべきは脚部フレームのパーツで、フル可動のパーツがランナーにくっついているのですね。ランナーから外せばすぐに可動するフレームとして機能するという…どうやって作ったんだい?キミ?という構造です。ほとんどここまでくると魔法です。タミヤのレオパルトUA5ももの凄いキットですが、バンダイはいちいち吃驚するようなギミックで攻める。日本の技術、万歳!という印象です。ガンダム、というアイテム自体にはあまり魅力を感じないのですが、このギミック見たさに買わせてしまう。流石です。なおホビージャパンの「ガンダムウェポンズ」を紹介した冊子がオマケに付属してました。
2000年6月8日(木)
ダヴィンチ 7月号 | メディアファクトリー | <一般・雑誌> | 429円 |
普段は立ち読みで済ませるダヴンチ。今回買ったのは「コミックダヴンチ」のインタビューが凄かったせいと、古屋兎丸インタビューのせい。前者は駕籠、河井克夫、いみり、水野純子、硫黄、西岡兄妹(!)の6人。なんすかこのラインナップ。ガロ系!後者はもうご存じのしばたさんによるインタビュー。『Marieの奏でる音楽』がちょっとなんか凄いことになっている兎丸先生。それがどのように作り出されているかをうかがうことができます。
雑誌全体の特集は「ネット恋愛」。私は信じません。こんなに一生懸命Webを作っているのに、「好きです、たいまつさん!」と言ってくれる女性は一人もいないんですもの。…それ以前に、私のことを憎らしく思っている人の方が多いかも知れませんが。
フィールヤング 7月号 | 祥伝社 | <漫画・雑誌> | 352円 |
産休あけの南Q太の作品「恋愛物語」は、同棲していたふたりのこころの行き違いを描いています。痛い内容です。お元気ですかー?と聞いてみたくなる、といった感じでしょうか。次に見るべきは雁須磨子先生「タオヤオ」。主人公はコージ君のことがずっと好き。だがコージ君には「彼女」がいる。眼光鋭く、必要とあればストレートでコージ君をぶちのめす紫。ある日主人公のバイト先に紫がやってくる。そしてコージ君と再会する主人公…と。いつものカリスマ先生を期待していると、ある意味がっくりくることになります。よくできているんですわ、この作品。確かにオハナシの流れが読みとりづらい点はありますが、「強い」女である紫が非常に魅力的で興味深いキャラクタとして、読者に訴えるのですね。そして犬上すくね先生的にわんこ体質であるコージ君。面白いです。あとはやまじえびねの「LOVE
MY
LIFE」。主人公のいちこは母親を亡くし、翻訳家の父親とふたり暮らし。そんないちこに恋人ができる。紹介しようかと悩むいちこ。なぜなら恋人は年上の女性なのだから…というネタ。お父さんはそれを許すのですが、これがまた吃驚するようなオハナシなので嬉しくなってしまいます。そして静謐な線。次が楽しみです。
全体的に「キューティーコミック」と違って「読めない」漫画もありますが、その分バラエティに富んでいると言うこともできましょう。いい意味で緊張関係にあるように見受けられます。頑張ってほしいところです。
2000年6月5日(月)
The Damned Die Hard | Game Reserch/Design | <ゲーム> | 8000円 |
ふらりと立ち寄ったホビーショップにて入手。以前から集めているシリーズで、全部集めると15年戦争がすべて遊べる、というものです。このゲームは日本軍のフィリピン侵攻を扱ったものです。地図はB4が6枚+バターン半島の拡大地図、コマは約400個。このシリーズにしては小規模です。ちょっとした説明についてはこちら。ちょっと確かめてみたのですが、戦況はあまりにも連合軍に不利なのですね。連合軍は、コレヒドール要塞こそ強力なものの、他はマニラを守るフィリピン軍が1個師団と、小規模な沿岸防衛部隊があるのみ。対する日本軍は、ヨーロッパ諸国の水準では軍団レベルの巨大さを持つ師団が初期状態で3個。それを援護する艦隊も強力。これなら日本軍が戦線を拡大しようと決断したのも頷けるものです。もちろんやる時間も、コマを切り取る時間さえもないのですが、いいんです。もう最後まで集めなければならないのですから。…その隣に「ヨーロッパシリーズ」の新作が!ぐはああああ!
ホットミルク 7月号 | コアマガジン | <漫画・雑誌> | 838円 |
「ジャンキーズ」のインタビューは鎌やん。…鎌やんという人は、実に繊細なのだと、いや繊細にすぎるのだと思います。自らの置かれた状況に対して、真面目に対処せざるを得ないのでしょうね。ですから周りから期待される「像」に対しても、ついつい真面目に立ち向かってしまう。そこがかれの食い足りないところであり、面白いところなのだと思います。
フラッパー 7月号 | メディアファクトリー | <漫画・雑誌> | 429円 |
新連載続々登場。柳澤一明の「グイン・サーガ」(原作:こころの棚の広い人)、高山裕樹の「ブルー・レスキュー」(原作:菊池秀行)、和六里ハル「グルグリビューティー」。可能性を積極的に広げようとしているところに好感が持てます。巻末読み切りは柳沼行の「2015年の打ち上げ花火」。コミティアなどに「梟亭」で参加なさっている方ですね。これがまたセンシティブでSFでファンタジックでええ感じなのですね。表紙がうたたねになり、雑誌としての方向性が何処へ向かうかわかりづらくなっている一方、積極的に新人登用を行おうとしているのは素晴らしいと思います。
Flying Teapot | えのあきら | ワニマガジン社 | <漫画・単行本> | 505円 |
えのあきらはやっぱり上手です。前も書きましたが「パンツを穿かせる」ところがいいのですね。モロでないゆえのエロさがあるといえましょうか。「快楽天」に連載された「Flying Teapot」「アンドロイドは電気羊の夢など見ない」の2作と、私がかつて随分感心した短編の「赤い靴」が収録されています。「赤い靴」はエロくっていいですよ。「私男の人とするの久しぶりなの」って台詞にズキン。
CROSS | 天竺浪人 | ワニマガジン社 | <漫画・単行本> | 505円 |
「激漫」の50ページ連載を4本まとめたものです。4ヶ月に1冊ですか!量産してますなあ。それでも絵が荒れてないのが凄いと思います。オハナシの内容は多彩でいい感じ。お得意のダークなものもあればお馬鹿なものもあり、読み応えがあります。さらに凄いのは、50ページという長尺ながらだれている作品が少ないこと。やはり実力ある作家です。加えて面白いのが日記漫画とでもいうべき「笹暮草」も収録されているところ。すえひろがりの人柄を知りたい人はチェックだ!
Gil-Galad Bearer of Vilya | Mithril | <立体> | 1410円 |
…アイルランドはミスリル・ミニチュア製の「指輪物語」もののメタルフィギュアです。32ミリスケールのフィギュア1体で1400円、というのは高く感じるところですが(米ドルでは8ドル)、いろんな意味で絶句すべきものです。まずはこのシリーズが全世界2500体限定のものであること。私のナンバーは1991番でした。それから題材。エレイニオン=ギル・ガラドってところが泣かせるじゃあないですか。「指輪」を読んだ方ならご存じでしょうが、「人間とエルフの最後の同盟」が結ばれたときのエルフの王様です。このシリーズのラインナップが凄いこと。シリーズ1は「イスタリ」=中つ国に使わされた魔法使い。灰色のガンダルフ、白のサルーマン、緑のラダガスト、あと青の魔法使いふたり。シリーズ2は「指輪所持者」。エルロンド!イシルドゥア!キアダン!ガラドリエル!そしてギル・ガラド!あまりの錚々たるラインナップに涙が出そうです。そしてシリーズ3は「ナズグル」だという…。三つ目は素材。普通メタルフィギュアはホワイトメタルという素材で作られるのですが、このシリーズはより良質のピューター(しろめ)で作られています。四つ目は出来。我々が抱く指輪的「エルフ」のイメージがそのままと言っていいほど反映されているのですね。箱も高級感漂うもので、1400円は全然高くありません。とりあえず上記リンクから飛んでみてください。その出来の良さがわかっていただけると思います。
加えて、このメーカーでは、普及版のホワイトメタル製フィギュアも作っています。レゴラスとギムリのセット。トーリン・オーケンシールド。ファラミア。フロドとサム。馳男。サルーマンと蛇の舌。…皆さん、欲しくなってきませんか?1体ものなら2ドル50セントですよ!これがまたサフが吹いてあって、そのままでも実に渋くって素晴らしいのですな。私は高校生時代、すべての小遣いをメタルフィギュアにつぎ込んでいた(集めたフィギュアは700体)のですが、その熱がよみがえってきそうな雰囲気です。
2000年6月4日(日)
ピエタ T、U | 榛野なな恵 | 集英社 | <漫画・単行本> | 各505円 |
あちこちで絶賛されているのもさもありなん。非常によくまとまった、結晶のような輝きを持った作品です。あらすじなどについては他のサイトを参照してください。例えばこことか。
「ピエタ」という言葉は、「聖母子像」とも訳されるように、死せるキリストを抱くマリアを描いた絵や彫刻一般を指した言葉です。「ヨハネ受難曲=Passio」と同じような、キリスト教芸術の決まり文句のひとつです。それは、中世ヨーロッパにおいてはマリア信仰のよすがとなり、ルネサンスにおいても盛んに扱われ(ミケランジェロの彫刻が有名)、近代においても様々な芸術家がモチーフとして使うものです。モローのピエタが近代絵画では有名ですね。
そこでのマリアは、傷つき、倒れたものを救う、慈愛を象徴した存在でした。だから崇拝の対象だったわけです。ピエタとは絶対的な「与える愛」を示したアイコンだったのです。ですが、ここではやや構造が異なります。マリアにあたる佐保子は、かつてのマリアとは異なり、理央同様こころに傷を抱えています。傷をいやすはずの存在が、欠落を抱えている。何という皮肉でしょうか。もはや絶対的にひとをいやしてくれる都合のよい存在は描かれないのです。
ですが、それはかつての世界と比べて、今の時代が堕落したことを意味しません。現在のマリアは、傷を負った形でしか現れないのであり、だからこそ他者の抱える傷を癒すことができる、ということなのだと思います。
…これについてはあとで詳細にレヴュしますね。
FAXPRESS | 三好銀×やまだないと | 竹書房 | <漫画・単行本> | 933円 |
ファックスを媒介にした、三好とやまだの往復書簡を作品にしたものです。もう痛いくらい「中央線在住」の雰囲気が伝わってきます。登場する店や通り、場所がいちいちリアリティを持って現れるのですね。「この通りのこの店」まで特定できるのですから。特に優れているのが三好銀のパート。何というのでしょうか、「中央線沿線のかぜ」がふいてくるような印象があるのですね。コンピュータで描かれたやまだのパートでは、それが抽象化されているのですが、三好のパートは、その独特な描線も相まって、実に吉祥寺らしい(と、そこまで特定できる)雰囲気をかもし出しているのですね。ああ、やはり「人間が住む」には中央線沿線だ、と思い知ったところです。次に引っ越すときは絶対に西荻に住むぞ!
最狂超(スーパー)プロレスファン列伝1〜4 | 徳光康之 | まんだらけ | <漫画・単行本> | 1〜3 533円 4 686円 |
今や「マガジンZ」の主力作品となっている『濃爆!おたく先生』。その徹底したアツさとアジテーション体質で我々を煽動しまくっている徳光先生の以前の作品です。1〜3まではかつて「月刊少年マガジン」の連載をまとめたもので、4は何と書き下ろし。太っ腹ですなあ。
で、内容ですが、月刊マガジン連載分はとにかくアツいです。主人公は東京のプロレス興行を見るためだけに上京してきた鬼藪宙道(きやぶ・ちゅうどう)。その名の通り熱烈な前田日明ファン。大学に入り、プロレス研究会に入部しようとするが、そこには過激なファン達がうごめいていた。大仁田と同じところに傷を付ける男、生まれたときから猪木のマスクを外さない男、想像上の佐山聡(=初代タイガー)と「交信」する男…。もちろん贔屓のレスラーの話になると、誰も一歩も引かないので、いつもは部室はゲヴァルトの嵐。しかし「プロレスの悪口」をいう連中に対しては、全員一致団結して天誅を食らわす。そう、好きなレスラーは違っても、皆それぞれプロレスをこころから愛しているのだ。
…うむ、うむ!わかりすぎる、そのたましい!確かにネタは10年前のプロレスをわかってないとちょっと辛い点もありますが、ある事柄を「愛する」ということと、そのひたむきさが痛いぐらい伝わってきます。そしてプロレスは、それに十分応えることのできる空間でした。真面目さとばかばかしさ、ビジネスと割り切れない思いがフュージョンした、特異な場でした。徳光はそれをきわめて迫力を持って描きだします。
ですが物語が進むに連れ、悲惨な様相を帯びてくることになります。3巻のラスト、夢の全団体戦が実現し、皆でドームに向かうプロレス研の人々。しかし都内では戦争が始まっていた。戦車の砲弾に追われ、ただ一人ドームの特別リングサイド席にたどり着く鬼藪。そして4巻では、核ミサイル爆発のショックで、「プロレスのない世界」に飛ばされてしまう。そこで描かれるのは作者の独白。「もうオレはプロレスファンではない」という。それは90年代初頭、有象無象のエネルギーが渦巻きあって、まさにカオスとなっていたプロレス世界に比べ、現在のプロレスが火が消えたようになってしまっていることもあるでしょう。また、ふたりの巨人、ジャイアント馬場とジャンボ鶴田の死。鶴田の死はこの作品が描かれたあとのことですが、それでも馬場の死によってプロレスが大きく転回点を迎えたことは間違いないでしょう。その中で昔のように「燃える」ことができなくなっている自分に気付く徳光。それは非常に辛く、切なく読者に訴えてきます。
もちろん作品としては、期待されていたキャラクタが描かれなかったり、ストーリーに整合性がなかったりと、破綻している部分があることは確かでしょう。しかし、そこで見られる作者自身の「たたかい」のさまは、人をつよく打つ力を持っています。とにかく全部通して読むことを強くオススメします。プロレスに興味があるなら、なおのこと。
2000年6月1日(木)
Release Zero | 安森然 | 桜桃書房 | <漫画・単行本/画集> | 1714円 |
待望の作品集。前半が画集、後半が漫画という構成になっています。エロの領域では「生贄市場」、非・エロの領域では「アワーズ2000」の表紙などで知られるこの人ですが、今まで作品集がでなかったのが不思議なくらい。独特な体の線の描き方や皮膚のツヤ、薄っぺたいがエロい体つき、CGという特性をしっかりと把握した構図&色使い。どれをとっても高いレベルでまとまっています。漫画の方もフタナリ物が多いという特徴がありますが、全体的にヌルっとした感じがあり、体液のぬめらかさが感じられます。妥協なしに、豪華本形式で出したという英断に拍手を送りましょう。それにしてもこの人、96年までX68000でCGを描いていたのですね!なんたる物持ちのよさ…ではなく、その背後にある「x68のCGの系譜」が感じられて、感慨深いものがあります。
我れに五月を | 小野塚カホリ | 新書館 | <漫画・単行本> | 552円 |
「Dear+」誌に連載されたものをまとめたものです。仕事してますなあ!時代は昭和初期と思しき時代。大学時代同級生だったふたり。ひとりは医者になり、教授の娘と結婚している。もうひとりは教師を目指すが、肺病を病んでいる。教師は明らかに医者を想っており、医者も教師にまぶしさを感じている。だが二人の関係はそれ以上進行することがない。そこに現れるひとりの少年…。一見して「おいしい」設定になっていることが知れましょう。ですが、小野塚は、そうした仕掛けの多さで攻めるのではなく、やはりじわじわと内面を描いていく。やっぱり読ませてくれます。
さよりなパラレル4 | 竹本泉 | 角川書店 | <漫画・単行本> | 640円 |
何を言うことがあろうか、という感じです。ひとつ残念なのは、表1と表4のさよりと真上の「数」がどんどん減っているところでしょうか。
CRAFT Vol.5 | V.A. | 大洋図書 | <漫画・アンソロ> | 840円 |
ボーイズラブのアンソロジーです。執筆陣は宮城とおこ、藤たまき(いい)、吉川博尉(コミティアで見たことあるような…?)、高屋未央、そして何よりタカハシマコ大先生と紺野キタ先生。本全体がVol.4からの続き物、という形式を取っているために、オハナシの前半がわからなくなっているところがありますが、どちらもスンバラシイ出来です。特に紺野キタ先生。ボーイズラブ!ボーイズラブ!
激漫 7月号 | ワニマガジン社 | <漫画・雑誌> | 524円 |
相も変わらず天竺浪人50pが圧巻。よく頑張りますなあ。あとはまあいろいろありますが(三部敬=瓦敬助など)、目に付くのが舞登志郎。この人のいもうとモノの特徴であった、思い込みが思い込み果てた先の行き違いが、非・いもうとモノでも炸裂しているのですね。こりゃあヘンで面白いです。
マスターグレード 陸戦型ガンダム | バンダイ | <立体> | 特価2200円 |
「顔がでけえ」と評判の陸戦型ガンダムですが、やっぱりパーツ数が多くてクラクラ来ます。今度は設定通りの、モノコック構造のジオンのMS何かをお願いできればな、と思います。フレーム構造にはそろそろ飽きが来ているような…。
Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:48 JST