つれづれなるマンガ感想文3月前半

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一気に下まで行きたい



【CD】・「DISCO-ZONE〜恋のマイアヒ〜」 O-ZONE(2005、avex trax)
・「らしさ!」 SP☆なかてま(2005、秋田書店)
・「週刊漫画ゴラク」3月18日号(2005、日本文芸社)
・「週刊漫画ゴラク」3月25日号(2005、日本文芸社)
【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2005、テレビ東京)
・「花引き ヴォルガ竹之丞伝」(1) 小池一夫、ふんわり(2005、竹書房)
・「衝撃! 未知の生物」 並木伸一郎:監修(2005、竹書房)
・「IC警視」 胡桃沢耕史、芳谷圭児(1981、双葉社)
・「シグルイ」(3) 南條範夫、山口貴由(2005、秋田書店)
・「野良犬探偵ディンゴ 赤い賭け」 さいとうたかを(2005、リイド社)
・「ドーベルマン刑事 逆襲のドーベルマン!!編」 武論尊、平松伸二(2005、集英社)






【CD】・「DISCO-ZONE〜恋のマイアヒ〜」 O-ZONE(2005、avex trax) [amazon]

ルーマニアかどこだかのミュージシャンの曲。「マイアヒ〜、マイアフ〜」というサビが頭にこびりついて離れない。
曲に合わせたフラッシュ・ムービーが出回ったり、某イベントでこの曲に合わせてただ外人のオッサンが絶叫して騒ぎ立てるだけのすごい面白い映像が流れたりしたので、購入したアルバム。

結論〜これ、元ネタ、テクノじゃないのね〜。むしろ歌モノ。個人的には失敗した。 こういうジャンルなんていうんだ? ハウスには入るのかなあ。とにかく、ミニマルミュージックを期待していたらぜんぜん違ってた。リミックスは入ってるけどね(だいたい、HMVのテクノのところで売ってたんだけどさあ)。

ただし、サイバーパンクを1000億倍くらい薄めて勘違いしたようなジャケは良し。
あのなんつうの? 2ちゃんねるによく出てくるネコ。あれが出てくるオマケのフラッシュムービーも、ほのぼのしてていいんじゃないかな。

ま、後は公式ページでも見てください。
(05.0312)



・「らしさ!」 SP☆なかてま(2005、秋田書店) [amazon]

月刊少年チャンピオン増刊「武装戦線」、月刊少年チャンピオンに掲載。
月チャンにフリーファイトのマンガを描いているSP☆なかてま作品。
高校デビューでハッタリだけのヤンキー・佐々木小次郎と、父親からは「ヤンキーのかっこうをしろ」、母親からは「自分からケンカはぜったいするな」と言われて育ち、メチャクチャ強い宮本武蔵の奇妙な友情を描く。

簡単に言うと「カメレオン」みたいなパターンで、佐々木がハッタリだけで乗り切れなくなったところに宮本が現れるとか、高橋ヒロシの影響を受けすぎているとか、単行本化するために書き足された部分がいきなり「バンドをやる」という話でいささか唐突だとか、いろいろあるんだけどどこか憎めない。
パンクロッカーみたいに顔をクシャッとする表情とかね、そういうのが書きたいんだなあと思う。こういうマンガがあっていいと思います。

それにしても、高橋ヒロシはきちんとまとめて読まないといけない気がしてきた。
(05.0311)



・「週刊漫画ゴラク」3月18日号(2005、日本文芸社)

先週のだから、もう売っていません。
月イチだか隔週だかの連載で、所十三「正義の鬼〜艮(うしとら)〜」が登場。第3話らしい。ふだんはさえないサラリーマンが、バットマンみたいなヒーロースーツを着て許せぬ悪にお仕置きする。
その悪というのが、「女性だけの引っ越しセンター」と偽り、採用した女性従業員を「搬送物を破損したから弁償しろ」といってフーゾクを斡旋するというモノだが、なんだかスゴイみみっちいなあ。
それと、いかにもマガジン出身というか、冒頭からネームが多く、単純な話のわりには読みにくい。

主人公にはバックに組織が付いているらしく、そちらの興味は引っ張っている。
(05.0311)


・「週刊漫画ゴラク」3月25日号(2005、日本文芸社)

今週のだから、まだ売っています。
天王寺大、郷力也「ミナミの帝王」は、若き日の萬田銀次郎を描く3回目。当たり屋をやろうとしてぶつかった高級外車に乗っていた少女と運命的な出会いをする銀次郎。
村生ミオ「胸騒ぎのイヴ」が集中連載の最終回。前から思っていたが、女性の目の描き方が変わって、キツい感じになっていると思う。
来賀友志、嶺岸信明「天牌」は麻雀劇画。突然、脳にある「海馬」の話などをしていた。
高橋よしひろ「銀牙伝説ウィード」は、ヒヒの「将軍」に一矢報いようとする日本猿。
九十九森、さとう輝「江戸前の旬」の、寿司の旨さの表現がちょっとすごかった。
剣名舞、檜垣憲朗「仮面の野望」は、だまされた男が復讐を開始。面白くなりそうだ。
土山しげる「喰いしん坊!」は、大食い大会の話。昔のフジがテレ東の大食い企画をパクった件が、ちょっとだけ下敷きになっている。これは続きが楽しみ。
(05.0311)


【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2005、テレビ東京)

3月6日放送分。

公式ページ

第2回人文字選手権

卒業組も合わせて娘。が赤チームと青チームに分かれ、身体で人文字をつくって当てるゲームがメイン。
今回は、第1回に比べて難易度が高かったのではないかと思う。写真でパパイヤを出して「パパイヤ」か「マンゴー」かとまどわせたり(回答者がかつて間違ったマンゴープリンをつくったことのある高橋愛だったのは狙いか?)、「ざる」か「かご」かで迷わせたり(「加護」から「かご」が引っぱり出されるだろうというスタッフの読みはなかなか面白い)。

ただ、難易度が増したぶん、ビシッと決まった人文字が少なくなってしまい、若干のぐだぐだ感が残った。

さて、この番組はいまだに一般に浸透していない「ハロープロジェクト」という概念を浸透させる、というのが最初のコンセプトだったと思うんだけど、それは成功しているとは言い難いと思う。
単独のコーナーを持っていた松浦には最初から人気面でそんなのは必要なかったし、「アルバイトしばた」も面白かったけど娘。以外の(卒業組以外の)ハロプロメンバーがこの番組でブレイクしたということもない。

つまり、当然ながら実質、ハロモニ。=モーニング娘。の看板番組であった。

で、今週のメンツを見て思ったのだが、卒業組がどんどん増えてしまい、オリメンでありリーダーであった飯田の卒業によって、娘。の看板番組という不文律が崩れてしまった。
ここで初めて「ハロープロジェクト」という、一般人にとっては半ば形骸化、もしくはお仕着せ的なくくりが生きてきているという、皮肉な結果になっていると思う。
だって、番組タイトルに「ハロー」が入ってなかったら、卒業組が出演できる大義名分ってないもんね。少なくとも司会をする理由はなくなってしまう。

ゲームのメンバーには、卒業したばかりの飯田も、復帰した安倍さんも、保田も、加護も辻も入っているし、司会は中澤と後藤真希。数年前のデジャブを見ているようだった。
私はノスタルジー大好きだし、「娘。」のコンセプトには本来的に「ノスタルジー」が巧妙に溶け込んでいると言えるのだが、その「ノスタルジーを折り込んだアイドルグループ」のたたずまいそのものがノスタルジーになってしまっている。

口幅ったい言い方をすれば、「郷愁」が入れ子構造みたいになっている。ノスタルジーも変化する。そんな感慨を持ってしまった。

そして、現状のハロモニ。を幸福な空間と見なすか、停滞と見なすかは意見が分かれるだろう。やはり、郷愁と同時に「進化」、「変化」をも折り込んでいる以上、七期加入(か、今後あるかもしれない何らかのリニューアル)は否定できないところだろうと思う。

ゲームとしては、保田が「MOUTH」を間違えたところより、最後の最後に紺野が「@」がわからずに誤答してしまったときの、スタジオ全体の「こりゃわかるわけねえよな」的な笑いに包まれたときが面白かった。

コント。あいかわらずぐだぐだ。中華飯店が舞台。おかしな中国人ネタって、いったい今は昭和何年だ(笑)。辻加護って一輪車に乗れるんだね。忘れてた。

「エリック亀造の毎度ありぃ」は、三好&岡田の写真集紹介。安倍さんがいたね。

スタジオライブは美勇伝。岡田&三好はだんだんあか抜けて来ましたなぁ。あの「変なおじさん」的なふりつけはやっぱり岡田の胸の谷間を見せつけるためのものなんだろうね。

前回の放送

(05.0309)


・「花引き ヴォルガ竹之丞伝」(1) 小池一夫、ふんわり(2005、竹書房) [amazon]

麻雀の強さは引きの強さ。花が咲いたように自由自在に牌をツモる男・ヴォルガ竹之丞は「花引き」と呼ばれていた。そして、「鬼引き」の昭和礼次郎との壮絶な勝負が幕を開ける。

ヴォルガ竹之丞は常に「えいこーらっ、えいこーらっ」と歌を歌っており、カノジョはロシア人らしい。そしてこの女性こそが、ロシアの研究所でつくり上げられた究極の上げマン女なのである。
えーと確か、この女が一種のマクガフィンになっていて争奪戦が行われるのだ。

小池一夫のメチャクチャ面がひさびさに出てきた怪作。「ものすごい強運の女」というのは、「オファード」に出てきたヒットラーの孫娘と同じような存在だろう。そういう超人性とか絶対権力みたいなものをめぐって、いろんな人間が死闘を展開するというパターンのひとつではある。
麻雀の駆け引きの面白さはほぼまったくないのではと思われるが、イカサマ防止のためにみんなパンツ一枚になったり、一度死んだヤツが生き返ったり、竹之丞はいつでもどこでも「えいこーらっ、えいこーらっ」と歌っていたりと、こりゃちょっと続きが気になるよね。

池上遼一や叶精作ではどうしても登場する女性の「プレイメイト臭さ」から脱せられない(逆に言えば、それこそが小池一夫原作の突飛さとマッチしていたのだが)が、作画のふんわりの絵やコマ割りはまた少し違っていて面白い。
(05.0307)



・「衝撃! 未知の生物」 並木伸一郎:監修(2005、竹書房) [amazon]

コンビニペーパーバック調ノーカバー単行本。
「UFO極秘ファイル」(→感想)や「UFO機密ファイル」(→感想)と同系統のシリーズではないかと思われる。

取り上げられているのはネッシー、ニューネッシー、チュパカブラ、モギー、ムノチュウ、ローペン、スカンクエイプ、フライング・ヒューマノイド、大蛇、モスマン、ジーナ・フォイロ、ビッグバード。
これらのエピソードがマンガ化されている。

それにしても、「フライング・ヒューマノイド」ってのはなあ。「空飛ぶ人間」ってことじゃないの。まあ、それを言ったらモスマンとかビッグバードはどうなるって話だが。

全般的に、絵が恐くないんですよね。

あ、モスマンの恐怖を描いたノンフィクション(?)「プロフェシー」[amazon]は面白いですよ。図書館の閉架にしかないような著作でしたが、文庫で手軽に読めるようになりました。映画は見てないけど。
(05.0307)



・「IC警視」 胡桃沢耕史、芳谷圭児(1981、双葉社)

パソコン登場以前の、大きめのコンピュータで事件を次々解決していく警視の話だが、あまりにも大味なせいで内容をほとんど思い出せない。
どこまでもスマートなのが、同じ作者の「翔んでる警視」とかを思い出すけど。まあ、「翔んでる警視」、ちゃんと読んでないんだけどね。
(05.0307)


・「シグルイ」(3) 南條範夫、山口貴由(2005、秋田書店) [amazon]

チャンピオンRED連載。
原作は南條範夫の小説「駿河城御前試合」の第1話「無明逆流れ」を思いっきり膨らましている肉弾劇画第3巻。
過去のエピソード中心。

1〜2巻の感想で、剣の師匠・岩本虎眼の造形は100パーセント山口貴由の創作だろうと書いたが、山田風太郎の小説「柳生十兵衛死す」[amazon]の十兵衛の師匠が、「ふだんはボケているのに剣に関しては凄まじい腕を発揮する老人」という点で近いですね。参考とされているかどうかはわからないけど。
で、山田風太郎の方はユーモアを感じさせる存在なのに対し、山口貴由の岩本虎眼はひたすらに怨念と狂気の人。恐いよ。

本作に出てくる剣技も、かなり作者オリジナルだと思う。「虎眼流星流れ」って、原作にあったかなぁ。もう忘れちゃったけど……。

ヘンなホメ方になるけど、この作品って途中で終わっちゃってもマンガ史に残ると思う。伝奇小説が尻切れトンボでも許されるのと同じ意味で。

1〜2巻の感想

「駿河城御前試合」南條範夫(1993、徳間書店)感想

(05.0307)



・「野良犬探偵ディンゴ 赤い賭け」 さいとうたかを(2005、リイド社) [amazon]

79年頃の作品。コンビニ売りペーパーバック調単行本。
パリで観光客相手のガイドをやっている日本人、通称ディンゴの裏の仕事は探偵。警察とやくざ双方に知り合いがいて、それらに守ってもらったり情報をもらったりして探偵稼業に精を出す。1話完結もの。

あまりにもオチが単純すぎて「えっ!?」と思ってページをめくり直してしまうようなものが多いなあ。本作を読んで、すごく現在の劇画の動向に納得するものがあったんだけど、気づくのが遅すぎたな。
後はとんこつラーメンでも食べて生きていこう。
(05.0307)



・「ドーベルマン刑事 逆襲のドーベルマン!!編」 武論尊、平松伸二(2005、集英社) [amazon]

週刊少年ジャンプに75年から4年間にわたって連載された刑事アクションの、ノーカバーコミックとしての復刊第2弾。
前巻の感想では「今読むと新味がない」と書いたが、この巻ではなかなかの作品が揃っていると思う。

まず「消えた国電!!の巻」は、過激派が国電のストの時期に、総武線に乗客を乗せたまま米軍の川子弾薬庫に突っ込ませようという計画を立てるというもの。
まあ、武論尊のアメリカ憎しはともかくとして(米軍の事件に対するクールさがまた本作のミソだと思うのだが)、国鉄ストなどの時事ネタをまじえて映画の「新幹線大爆破」[amazon]的なモチーフをうまくアレンジしていると思う。

「警察対自衛隊!!の巻」は、加納の高校時代の先輩で自衛官の島津が腐った上層部に抗議するために起こした小さな反乱が、超タカ派の堀越陸将補に利用されて大規模なものとなってしまう。
堀越は、この氾濫に治安出動がかかることによって自衛隊を動かし、日本に軍事クーデターを目論んでいたのだ、という話。
まあ、本気でシミュレーションしたらこうはならないんじゃないかとは思うのだが、「警察と自衛隊が戦ったらどうなるのかなあ」という小学生的興味も満たせるし、ウヨク的だとか批判されてるかもしれないけど「守るべき一般市民」を想定した武論尊のヒーロー像が明確に打ち出されているとは言える。
「守るべき市民」の概念は、そのまま80年代に「北斗の拳」に引き継がれるわけだが、そもそも「世紀末救世主」という概念そのものが「弱い存在」を前提にしなければあり得ないものだった。いわゆる「セカイ系」が「自分と社会」という関係性だけで「その他の人々」を想定しないのとは非常に対照的である。

珍品は「虚飾のスター!!の巻」。刑事ものの主役に抜擢されていた女性歌手が、一方的に主役を降ろされた直後、ディレクターが殺される……という話だが、ネタバレになってしまうから詳しくは書かないが「ストーカー」とか「ショタコン」といった概念がなかったからこそ成り立つ話だと言える。
しかも「芸能界が悪いんじゃない、実力がないやつが悪い」と加納が言いきるラストはややムリヤリの感あり。

3月28日には3巻目が出る予定。

【参考】
「ドーベルマン刑事 加納錠治ドーベルマンと呼ばれる男!!編」 武論尊、平松伸二(2005、集英社)感想

【映画】・「ドーベルマン刑事」(1977)感想

(05.0303)

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