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・17 ダラダラアクションの金字塔 【映画】・「片腕サイボーグ」

監督:マーチン・ドールマン、脚本:エリザベス・パーカー、ソウル・サシャ、ジョン・クローザー(1986、伊)

原題:HANDS OF STEEL。環境保護運動のリーダーである博士を素手で暗殺しようとした男、パコ。彼は洗脳され、身体を70パーセント機械化されたサイボーグだった。催眠暗示のような呪縛を逃れ、辛くも暗殺をせずに済んだパコ(大けがは負わせるんだけどな)は、生まれ故郷のアリゾナへ逃げていく。
ヒロインのリンダは、アリゾナの砂漠みてぇなところで飲み屋兼連れ込み宿屋を一人で経営していたが、「働くから泊めてくれ」と頼んできたパコをあっさり信用する。
一方、パコをサイボーグ化した組織(なんだかよくわからん)は、彼を始末するためにヨーロッパから殺し屋を呼び出し、差し向けようとしていた。

……どっかのワゴンセールにて回収。昔からタイトルだけに惹かれていた。今回もタイトルだけに惹かれて視聴。
現在のハリウッドのアクション映画やSFX映画には、共通した「間」がある。おそらく、よくも悪くも観客を飽きさせないようにという方法論が確立されているからだろう。
ハズレ映画にもそれとは正反対の共通した「間」があるように思う。共通したダラダラ感。もう、眠い。
とくにアメリカやイタリアもののダラダラ感は、日本のものとはまた違っている。ダラダラ感にもお国柄が。とにかく、わたし的「ダラダラアクション映画」で気づいた特徴としては、

・会話が長い
・出てくるヤツの演技がヘタ(演技で間が持たせられない)
・遠景のショットで拳銃持ったヤツが走っているシーンが多い
・遠景のショットであまり面白くないカーチェイスがエンエンと続く
・遠景のショットでヘリコプターがバリバリと飛ぶ
・撮っている側がクライマックスだと思っているらしい銃撃戦が迫力なし、そして長い

……などがある。とにかく遠景のショットの多い映画には注意だ(というより、そういうのが出てきた段階で我々はダマされている)。シロウト考えだが、カット割りが少ないので見ていて飽きるのだろう。
本作は上記すべてに当てはまる、生粋のダラダラ映画だ。見ていて寝た。

しかし、同時に「あらすじを話すと違う意味で面白いんじゃないのか?」と勘違いされる映画の典型とも言える。
めんどくさいので箇条書きにすると、

・「荒廃した近未来」を表現したいらしい、思わせぶりな冒頭のドキュメンタリー風映し方
・主人公パコの、カッコ悪すぎるかまえのポーズ
・「逃走中にクルマを乗り捨て、爆破」というストーリー上どうでもいいシーンが偉くハデ
・刑事が環境保護運動家に「どんな凶器で襲われたのか?」と聞き、それを解析してコンピュータに描き出された凶器のCGがクラフトワーク風、あるいは映画の「トロン」丸出し
・凶器のCGが明らかに腕のかたちをしているのにわからない刑事たち

・主人公のスーパーパワーのすごさを表現するのが「飲み屋でのトラック野郎との腕相撲大会」
・腕相撲大会で圧勝する主人公(サイボーグの腕だから当たり前)
・腕相撲大会で負けたことを逆恨みし、最終的に悪の組織に肩入れする小悪党
・物語終盤で、突然味方として登場する腕相撲大会チャンプ(いいヤツ)
・しかし、あっさりトラックごと焼き殺される腕相撲大会チャンプ(かわいそう)

・クライマックスに登場するレーザー銃がショボすぎる
・随所に中途半端に挟み込まれた近未来の環境破壊描写(車の屋根が溶けるほどの酸性雨、飲み屋で薪を使って火を起こしているらしいなど)
・刺客の女サイボーグがショボすぎる

・さまざまな刺客を差し向け、けっきょく最後は自分で銃をとってパコ殺害に出向く大ボス(えらく中小企業感覚)
・「世界はサイボーグ時代を迎えるのであった」的な、とってつけた含みのラストシーン

しかも、検索して調べたらこの映画のヘリコプターのシーンで死人が出ちゃったらしい。何と言っていいものやらわからない。別れる寸前のカップルなどは、本作をレンタルで借りて見るとよけい別れたくなることうけあい。っていうか、こんなの借りようって意見が一致すること自体、不幸な予感がする。

しかし、実際ダラダラしてはいたが、日本の映画よりはヘリコプターはかなり飛びまくっていたようには思う。この映画のヘリの名誉のために書いておくと。そんだけ。
(03.1119)



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