◆ 1998年10月上旬 ◆

10/1〜10
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10/10(土)……寝たぎりまくりサタデー

 今日もガッチリ寝てしまう。なんか最近、休日の俺はダメダメだ。もちろん平日もダメダメだけど。これというのも、今会社で雑誌を月2回担当するようになったってのがデカい感じがする。なんか一ヶ月コンスタントに忙しくなり、完全に息を抜けるときがなくなってきたので、精神的に不調なのだ。これで年末進行なんかやったら……。考えるだに恐ろしい。

 最近、ちょっと気になっている言葉がある。それは「燃えたぎる」だ。漫画とかで「燃えたぎる情熱」とか、ときどき見かけたりするのだが、「たぎる」っていうのは「沸騰する」って意味だから「燃える」わけないと思う。「燃えさかる」、もしくは「煮えたぎる」が正しいと思うんだけど。これが「萌えたぎる」となると、かなりいい加減さが炸裂していて逆にいい感じといえなくもない。「なんでいきなりそんなことを」とか思う人がいるかもしれないが、突然こういうこと気になっちゃったりするのだ、俺は。

【単行本】「NICO SAYS」 小野塚カホリ 近代映画社 A5
 硬質で細い線を束ねた、オシャレで華麗でエロティックなヴィジュアルは、他とは一線を画す。なんとなく、岡崎京子とか好きな人は必読って感じがする。エロ度はかなり高め。表題作の「NICO SAYS」がなんといっても抜群の出来。義理の父親に犯され、実の兄以外は完全に人間不信になっていた少女が、兄への愛をどんどん尖鋭化、深化させていき、自分も兄も袋小路に追い込んでいくという物語。3話構成と短いながらも読みごたえは抜群。ナイフのような鋭さを持ったストーリーで、ラストも秀逸。スカシた漫画読み必読。そうでない人も一読の価値はありだ。

【単行本】「Berry Very すとろべりぃ」 久我山リカコ コアマガジン A5
 非常に器用な描き手だなという印象がある。わりといろんなところで作品を描いているのも、その器用さの証だと思う。ショタ、ラブコメ、ギャグ、青春モノなどなど、作風が幅広くそれでいながらちゃんとエロもやっていて、どの作品を読んでもそれなりのクオリティに仕上げてくるのは立派。それでいて器用貧乏になっているわけでもない。絵も達者。最近の漫画家青春物語的な青臭い話(この単行本には収録されていない)もわりと好き。とりあえず買って損はない単行本だと思う。

【単行本】「王道の狗」2巻 安彦良和 講談社 A5
 ミスターマガジン連載作品。秩父事件と、その後の「陰の日本史」とでもいうものに視点を当て骨太にお話を進めている。最近の安彦良和の、文明開化以降の日本近代史ものはなかなか面白いと思う。しっかり取材もしてあるみたいだし。

【単行本】「軍鶏」1巻 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫 双葉社 B6
「自分の心が殺されてしまう」と、自分の両親をナイフでメッタ突きにして殺害した16歳の少年が主人公。彼はそれまでエリート銀行員の息子で、東大現役合格確実といわれていた少年だったが、それだけに突然の凶行は世間を震撼させ写真週刊誌に顔写真が掲載されるにまで至った(ここらへんは神戸の事件をモデルにしていると思われる)。少年院に送られた彼は、服役しているほかの少年たちにもイジメられるが、運動の時間に習った空手により変貌を遂げ始める。自分を守るための牙を身につけ始めた彼はゆっくりと変わっていく……といった感じのお話。
 物語全体に漂うヘビーなムード、たなか亜希夫の骨太な画風。そしてガッチリとしたストーリー運び。読みごたえのある作品に仕上がっていて、面白い。漫画アクション連載作品で、今のアクションでは一番注目かな。

【単行本】「ホタルロード」 作:七月鏡一+画:西沢一岐 小学館 B6
 平凡な女子高生だった蛍が、父親の死をきっかけに麻薬密売組織に付け狙われることになる。父親に依頼を受けたボディガードの指導により、蛍は自分を守るため血塗られた道を進む……というお話。西沢一岐は、前にコミティアで買った同人誌がなかなか面白く、この連載も期待していた。でも出来はイマイチかな。短期連載だったこともあり、盛り上げが足らない感じがする。女の子が戦闘をたたき込まれるわけだから、その前にもっとガリガリに追いつめても良かったかと思う。今回の作品は原作ものだが、次は西沢一岐ピンの作品も読んでみたい。絵はちょっと硬いものの、人の目を引きつけるだけの画面を作れる力は持っていると思うので。

【単行本】「電脳なをさん」2巻 唐沢なをき アスペクト 変形判
 例によって、Mac様やWindows様をおちょくり、さまざまな漫画をパロディしまくり。いつもいつも、よくぞここまでネタを絞り出してくるものだと感心。Mac vs. Windowsの議論は面倒臭いのでキライなのだが、こういうふうなやり方だと単純に楽しめて楽しい。


10/9(金)……リザードマン キング太郎

 未読の単行本および雑誌がけっこうたまっているのでまだ読んでないんだけど、いちおう情報だけ。根本敬「天然」の完全版が発売されていた。発行は水声社。判型はA5で黒いツルツルした表紙が目印。かなり分厚い。あと、今月の新刊リストに書いていなかったと思うが、唐沢なをき「電脳なをさん」の2巻(アスペクト)も発売されている。ハードカバーでA5よりちと大きい正方形に近い判型。銀と緑がベースの表紙が目印。

【雑誌】漫画サンデー 10/20 No.40 実業之日本社 B5中
 久しぶりに電話で拾えた。どれもオヤジくさいセンスの作品で、コレというのはないのだが、読めばそれなりに楽しめそうな感じはする。ナタタニD.「ジョニ D. グッド」だけは絵がオヤジっぽくない。「にくげなるちご」はちょっと単行本欲しいような気もしている。あとは成田アキラの「男と女の快楽大全」かな。キャバクラオヤジというイメージの成田アキラだが、読むと意外と深くて面白いのだ。

【雑誌】ヤングアニマル 10/23 No.20 白泉社 B5中
 巻頭カラー、二宮ひかる「ナイーブ」がなんとも色っぽい。元のサヤに戻りつつある感じ。いやー、おもしれえわ。克・亜樹「ふたりエッチ」は今回も馬鹿馬鹿しく楽しい。単行本1〜4巻で累計150万部突破とのこと。まだ読んでないのだが、少年画報社のヤングコミック11月号(もう発売されているはず)でも新連載「ハーレム革命」を始めたらしい。なんかすっかりエロ漫画の人になった感あり。柴田ヨクサル「エアマスター」。いつも扉のところにある、本編とは関係ない漫画が下らなくていい。中田ゆみ登場。タイトルは「ねがいかなえたまえ」。柔らかいタッチの描線で、読んでてホッとする。爽やかでちょっとHでなかなか良かった。

【雑誌】零式 Vol.6 リイド社 B5中
 レベルが高く、エロ漫画雑誌の中では最近かなり気に入っている。隔月なので、油断していると買い忘れちゃうのが難点。このクオリティで月刊化してくれるとうれしいが、表紙(中村博文)&ピンナップ(米村孝一郎)あたりがつらそう。
 まずはすえひろがり「CIRCLE」。この人の描く女の子は、なんか肌がきれいそうに感じる。ポーズ一つ一つとか、アングルが色っぽい。平野耕太「イカす総統天国」。スゲエおもしれえッス。何かくるッス。どんどんくるッス。ってわけで、平野耕太ブチ切れギャグバージョンの作品。ムチャクチャなアップテンポ、身もフタもないオチ。面白かったー。SHあRP「日本まえばり振興会推奨漫画 中央九州流行通信」。これだけのクオリティの塗りを見れればまあそれでいいやって感じ。みほとこうじ「Girl's Next Door」。今回のは非常に良かった。転校生の可憐な少女に、同性でありながらも一目ボレしてしまったコギャルのお話。いつもながらのペンタッチが美しい緻密な作画に加えて、今回はストーリーもいい。
 上連雀三平「淫肉交姦日記」。わりとよくあるタイプの、「ふとした拍子に男女の身体(精神でも可)が入れ替わる」というお話ではあるが、上連雀三平のちんちん好きが今回も爆発していて良かった。ちんちんっていいよね。こんだけ凶悪な形をしていて、キャラクターのあるアイテムを有効利用しないのはもったいない。エロ漫画で、どうせ消されるとはいえ、ちんちんの描き方がいい加減な漫画は感心しない。舞登志郎「あないもうと」は、タイトルから分かるとおり得意の妹モノ。偏執狂的で変態の兄と、健気な妹という例の構図。ひねくれた作風が面白い。「妹なるもの」に対する愛を感じる。目黒三吉「巨乳の町」。今回は、平野耕太系ブチ切れギャグ。なんにせよセンスのある人だな〜と思う。次号は12月10日ごろ発売。

【雑誌】COMIC Zip 11月号 フランス書院 B5中
 あるまじろう「恋人よ帰れ!わが胸に」。すっきりとして柔らかい絵が好き。そして、この人もちんちん描くのがうまいのに好感が持てる。かわいい女の子には、邪悪なちんちんがよく似合う。あとは果愁麻沙美「そしてまた夜宴はつづく」。相変わらずのうるんだような個性的絵柄で目をひく。次号はCHOCOの「イグナクロス零号駅」がひさしぶりに掲載されるらしいので期待……っていっても、俺はあんまりCHOCOの漫画って読んだことないんだけどね。

【雑誌】ヤングジャンプ 1-/22 No.45 集英社 B5中
 今回の見どころはなんといってもグラビアの木内晶子だっ!……そういう漫画雑誌。本宮ひろし「サラリーマン金太郎」はイイ女登場。実に本宮ひろしだなあ。ちなみに連載第200話。あと、作:森田森魚+画:七瀬あゆむ「天国にいちばん近いフィールド」は最終回。この人の描く女の子は目がクリッとしててなかなか可愛い。ただ、野球漫画を描くには弱い。男の身体とか、迫力のある画面作りはそんなにうまくないし。ラブコメに特化したほうが吉だったかもしれない。

【単行本】「LIZARD KING」1巻 馬場康士 ワニマガジン B6
 ある日、学校にガルガスタンという島国の王子・ザビタンが転校してくる。やたら身体がデカくて強靭な彼は、実は悪魔にとりつかれていて、キレるとあたりの人間を大虐殺。理不尽な暴力で我が者顔に振る舞う。マッチョな絵柄で、読んでいて実に暑苦しい。作者はプロレス好きのようで、プロレス的な力強さとコミカルさにあふれている。大馬鹿でかなり笑えた。豪快で力づくなギャグが非常にいい。エロ漫画雑誌(ワニマガジン社・激漫)掲載の作品だが、エロはほぼいっさいなし。そこらへんの傍若無人さもステキだ。

【単行本】「メロドラマティック」 玉置勉強 ワニマガジン B6
 玉置勉強の単行本を買うのは久しぶりかも。短編一本だけだともの足りないこともあるのだが、まとめて読むとかなりいい感じ。薄暗くガランとした空間にポツリとキャラクターがいる感じの画面は、やはり異彩を放っている。背景がなくても味になってしまう。今回の単行本収録作品では、共に片親の高校生男女カップルの話「たぶん、しあわせ」あたりが気に入った。カップルの女のほうは高校卒業後、ホステスになることが決まっており、なんとも薄暗い雰囲気。寂しげに映る絵柄と、話がよくマッチしている。あとは近親相姦をしていた兄妹が、親たちの冷たい視線にさらされる「ASYLUM」も良かった。掲載作品全般に共通していることだが、漂う青臭さと寂寥感がいい。


10/8(木)……ハマの大むじんくん

 ついについに、横浜ベイスターズがセントラル・リーグ優勝! いや〜、もうすごくうれしい。俺は小学校時代からのファンなので、だいたいファン暦15年くらいになるのだが、もちろん横浜の優勝を見るのは初めてだ。横浜の町の盛り上がりぶりをテレビで見ていると、「俺も行けばよかったな〜」とか思う。いちおう大手町のマルハ本社ビルに行って、ビルの窓を使った「V」のライトアップは見てきたのだが。デジカメで撮影もしておいたけど、デジカメは暗さには弱いので建物の輪郭がよくわからん写真しか撮れなかった。残念。
 優勝シーンはビデオで録画しておいた。で、すごいと思ったのはテレビ神奈川。試合開始から始まって優勝特番になだれ込み、午前1時までぶっ続けて放送を続けていたのだ。今までプロ野球のいろんな優勝チームを見てきたが、生中継でビールかけや共同記者会見をすべて省略なしで放送しているのを見たのもこれまた初めてだった。しかし、大の大人たちがああやって歓喜を爆発させている姿を見るのは、こっちも嬉しいもの。ほかのチームのファンの人たちが味わってきた快感を、横浜ファンもようやく味わえたわけだ。それにしても38年間もネタ仕込みをしていただけあって、喜びは格別。どんなにうれしいか、しょっちゅう優勝しているチームのファンの人にはたぶん分からないだろうなあ。ビデオ観てて、なんだか涙がボロボロ出てきてしまった。なんか最近、俺の涙腺はどうにもゆるい。
 そんなわけで、横浜優勝記念としてオスマンに田川滋「あずきマジック」を追加。これは横浜が大洋ホエールズであったころの作品だ。このころの大洋はムチャクチャ情けないチームだったが、須藤監督が就任したあたりから少しずつチームは上向いてきたような気がする。須藤監督時代で想い出深いのは、柴門ふみ「東京ラブ・ストーリー」の中で、「巨人大洋戦どっちが勝った?」みたいセリフがあったことだ。このころの大洋は大健闘して、巨人と優勝争いをしていたのだが、そのセリフを見たときは「ああ、大洋も少しはメジャーになったのだなあ。柴門ふみの漫画に出れるなんて」などと思ったもの。それが今や、こんなことになってしまうとは。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 10/22 No.46 秋田書店 B5平
 水島新司「ドカベンプロ野球編」。時節柄、オールスターのクライマックスは横浜・鈴木尚典と不知火の対決。いつまでもオールスターをやっているのもどうかと思っていたが、横浜の扱いがなかなかいいのでいいやという気になった。瀬口たかひろ「オヤマ!菊之助」は、女の子の股間になぜかキノコが生えてきてしまう、というお話。いつにも増して馬鹿馬鹿しいHさがあってよかった。馬場民雄「大介ゴール!」。なんか円中央戦はずいぶんアッサリと片づいてしまった。相手のキャプテン、もったいぶって登場したわりには、なんかものすごくはしょった描写のような。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」。シンディが「動くな」とかいう場合じゃないだろと思っていたら、動かなかったら大丈夫だった。おおひなたごう「おやつ」。説明なしに盛り上がり続ける「パワー・ホライズン」編。次号で決着がつくらしい。ホライズン・ポーズ!おおひなたごう天才。

【雑誌】ヤングサンデー 10/22 No.45 小学館 B5中
 岩田康照「球魂」。けっこう面白くなってきた。中国人アフロ野郎がなかなかヘンでいい。佐藤秀峰「ハードタックル」は、短期集中連載最終回。も少し続けてもよさそうな話ではあるが、まあこんなものかな。青春まっしぐらって感じで、熱くて力強く、それなりに楽しめた。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。クライマックス寸前。嵐の前の静けさか? これからの展開がすごく楽しみ。

【雑誌】A'DASH Vol.07(最終号) 角川書店 B5中
 今号で隔月刊最終号。といっても来年の2月10日から、エースネクストという誌名で月刊化されるとのこと。巻頭カラーは、作:高橋良輔・矢立肇+画:MEIMU「ガサラキ」。俺は全然知らなかったのだが、これってアニメとのメディアミックスなのね。巨大ロボット、古来から伝わるナゾの力、軍隊……って感じ。あんまり好きなタイプの話ではないな。MEIMUは「玩具修理者」はわりと好きだったので、こういう路線になっちゃうのはちょっと残念。ところで、この「ガサラキ」のアニメのオープニングテーマって種ともこが歌っているのかー。
 石田敦子「からくり変化!あかりミックス」は、前に掲載されたときに、連載向きの話っぽいなと思っていたのだが、やっぱり続きが掲載。エースネクストでは連載になるそうだ。絵が非常にかわいい。アニメっぽい絵柄なんだけど、ベタッとしていなくて、サラサラした感じなのがいい。前田真宏「脳ミソだだモレ劇場 WALK ON BY」も絵が好み。こちらもベタッとしてないで乾いた感じだが、石田敦子と比べると線が太くなんとなく土ぼこりっぽい。そして、絵といえば作:大塚英志+画:森美夏「木島日記」も、相変わらずの妖美な絵柄が素晴らしい。

【雑誌】FEEL YOUNG 11月号 祥伝社 B5中
 安野モヨコ「ハッピー・マニア」は、毎度ノリが抜群に良くて面白い。何より読みやすいのがいい。1ページのコマ数やネームの数が少なく、画面が整理されているのも読みやすさの一因。三原ミツカズ「DOLL」。手堅く読ませてくるなーって感じ。ひんやりと硬質な肌触りのする世界観がいい感じ。

【雑誌】YOUNG YOU 11月号 集英社 B5中
 まずは岩館真理子「ピーチとシナモン」が注目。一人、徒歩旅行を続けていた少年・カイトが、ある原っぱで不思議な女の子と出会う。原っぱは「ハラペコの原っぱ」と呼ばれていて、カイトもその原っぱで空腹に襲われる。女の子がいうには、原っぱの先には「今日で閉店なので食べ放題のレストラン」があるとのことだが……。そのレストランでカイトが出会う不思議な出来事が、この作品では語られている。「キララのキ」でも発揮された白っぽく美しすぎるほどの絵で、幻想的な雰囲気を持っている。夢のようにすぅっと消えていくような読後感の短編。読みごたえは少し足りない感じもするのだが、これだけの画面と雰囲気を楽しむだけでも満足できる。
 山下和美「すみれちゃん」。30台後半になっても派手な格好をして子供っぽい天真爛漫さの抜けないちょっと変わり者のすみれちゃんのところに、すみれちゃんの姉の娘・リカが転がり込む。子供っぽいけど幸せそうなすみれちゃんの姿と、「大人になれ」というつまらない大人たちの言葉の間でリカは揺れる。かっちょいい絵。鮮やかにしめくくるストーリー展開。やっぱり山下和美作品は面白い。榛野なな恵「Papa told me」は、知世と同じ新聞部に所属する女の子の、1年間失踪していたお父さんがお母さんになって(つまり女装して)帰ってくるというお話。知世がクラスでやる劇の王子様役をクラスの男の子から探そうとして苦戦していたので、女装したお父さんからヒントを得て、女の子を王子様役として起用するのかなーとか思ってたら、そこまでヒネったことまではしてこなかった。

【単行本】「バロン・ゴング・バトル」4巻 田口雅之 秋田書店 新書判
 くそベル+くそベラ=くそベルラのくそ双子ネオ・ヒュームとのくそ対決編。くそ色っぽく、くそ力強く、くそ熱い、くそ漫画。くそ面白いぜ。


10/7(水)……妄想の藪を出でて消えたり

 プロ野球、パ・リーグは西武が優勝。まさかあんだけ混戦だったパのほうが先に優勝が決まるとは思わなかった。セ・リーグ、横浜は試合中止だが中日が負けたのでマジック1に。この期に及んで、「よし、これで最悪でもプレーオフだ」などと後ろ向きな見方をしてしまうところが、負け犬根性の染みついた横浜ファンっていうか大洋ファンの悲しさ。
 それはともかく、日程を見た瞬間から横浜の優勝は甲子園で決まりそうだな〜と思っていたのだが、なんか予感が現実のものになりそう。このさいだから、8日は中日も横浜も試合中止になってくれれば、9日からの横浜スタジアムでの横浜×中日4連戦で地元胴上げができそうだなとか思ってしまう。8日に優勝が決まった場合は、どうせ試合は観ることができないので、大手町のマルハ本社ビルに行って、たぶん行われるであろう、窓の灯りを利用した「V」の文字のライトアップでも見てこようかという所存。

【雑誌】週刊少年マガジン 10/21 No.45 講談社 B5平
 森川ジョージ「はじめの一歩」。鴨川vs.外人さんの試合がヒートアップして、迫力満点。力強く王道を行くボクシング漫画で毎度面白い。塀内夏子「Jドリーム完全燃焼編」。前回から伊達に暗い陰があったが、故障だったか。盛り上がってきているのはいいんだけど、それにしても展開がめまぐるしいなあ。

【雑誌】週刊少年サンデー 10/21 No.45 小学館 B5平
 藤田和日郎「からくりサーカス」。今回でサーカス編はいったん閉幕。次回から「からくり編」になるようだが、どんな感じの展開になるのやら。ワクワク。村枝賢一「俺たちのフィールド」はなんといきなり最終回。史実をじ曲げていたので、どう落とし前つけるのかなーと思っていたら、ずいぶんあっさり流した感じ。まあ爽やかでいいんじゃないだろうか。現実の日本代表も、こんなふうになってくれるといいなあ。ところで作画協力の中にある「馬場民雄」って、チャンピオンで「大介ゴール!」を描いているあの人なんだろうか。久米田康治「かってに改蔵」。妄想はいい。俺はこれから寝るが、寝る前に一発妄想することにしよう。

【雑誌】モーニング 10/22 No.45 講談社 B5中
 巻頭カラーで山本おさむが新連載。タイトルは「威風堂々」。なんか地道に毎日一生懸命生きていくヤクザの物語って感じ。ヤクザっつっても抗争バリバリとかではなく、平凡な日常を生きている。とりあえずさすがに読ませるだけの力は持っているので、これからも楽しめるのでは。それから吉田戦車「油断ちゃんラグジュアリー」も新連載。コマ割りは4コマ漫画形式。といっても、4コマで1本の話ってわけではなく、2ページ15コマが一つの話になっている。吉田ならではの地味っぽい面白さに期待。
 井上雄彦「バガボンド」は毎回いい。お甲さんが色っぽい。SEXシーン、ちょっと池上遼一っぽくもあり。木葉功一「キリコ」は連載再開。今度は、遊佐が追われる立場から追う立場に。引き続き期待する。作:西村ミツル+画:かわすみひろし「大使閣下の料理人」。ストーリー自体はよくある「専門職ウンチク+ちょっとした教訓」系ヒューマンドラマなので、さほど好みではないのだが、かわすみひろしの描く女の人って服を着てても妙に色っぽいと思う。逆に脱がれると乳の感じが好みでないので、あんまり色っぽく感じなかったりもする。
 プレゼントコーナーの情報によると、ただいま友沢ミミヨが個展を開いているらしい。ファンは迷わずGOだ!場所はおフランスだ!行ってらっしゃ〜い!フランスのどこでやっているのかは書いてないので、現地で聞くといい。

【雑誌】コミックアルファ 10/22 No.14 メディアファクトリー B5中
 なぜかいつまでも経っても期待の新人扱い、山川直人「ふたり暮らし」のために購入。この人の執拗なカケアミは好きだ。同人誌の「父への手紙」収録作品のカケアミもシビれた。アルファ掲載作品はお仕事モードって感じだけど、まあこれはこれで楽しめる。あとは、矢口高雄「LOVE FISH 三平クラブ」がやはり何気に面白く読めてしまう。それから、次号では高橋よしひろの連載が始まるらしい。う〜ん、すさまじいまでの旬を過ぎた作家の起用ぶり。これはこれですごいかも。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 10/21 No.13 講談社 B5中
 アフタヌーン四季賞「赤い欲情」でデビューした、桑原真也が新連載。タイトルは「0(ラヴ)リー打越くん!!」。「これがデビュー作」と書いてあるけど、まあたしかに新人賞作品をデビューというのもなんだから、デビュー作といえばデビュー作なのかもしれない。ストーリーは「赤い欲情」とほぼ一緒で、吸血鬼女が、万人に一人の最高の味わいの血を持つ男を虜にするって感じ。血を吸い、吸われている間の二人の悶えっぷりが色っぽくていい。それにしてもキャッチの「愛と情欲のテニス讃歌」ってあたりがまたすごいな。これでテニスまでやるんか? 玉置勉強「恋人プレイ」は、佐伯の二股の影響が臨界点に。前の彼女が去っていくときに鼻汁たらしてるあたりがいい感じだ。

【雑誌】オールマン 10/21 No.20 集英社 B5中
 六田登「親愛なるMへ」。いつもながらに力強く読ます。地味な作品だけど面白い。春日光広「高杉刑事キバリます!」。春日光広はいつまで経ってもブレイクしない、典型的なB級漫画家って感じがする。でもこの人の描く女性って、単純な絵柄なんだけど色っぽくてけっこう好きだ。筒井哲也「CLOCK WORK DIET」は、ちょっとサイコホラーっぽい感じもする作品。ある肥満した女性が、博士の実験により、肥満症の人間や拒食症の人間の、醜悪な生態を見せつけられさらに洗脳的な知識の刷り込みをされて、その意識操作のもとダイエットをする。露悪的な描写がけっこう怖い。作:美都原海+画:御厨さと美「なんぼやねん」。ヒロインの葉緒里など、女性の表情がキリっとかっこよく、それでいて色っぽくていい。

【単行本】「チョコの歌」1巻 架月弥 ソニー・マガジンズ B6
「きみとぼく」(ソニー・マガジンズ。B5平とじ)で連載中の作品。ゆらいだような線を束ねた、スッキリと気持ちのいい絵柄が好き。双子の姉妹の姉で、自分に対するコンプレックスでいっぱい(といってもなんだか微笑ましいコンプレックスなんだけど)の圭都(けいと)と、東京からやってきた天真爛漫だけどしゃべり過ぎなのが玉に瑕の少年・忍の、「ときめきシュガーラブ」作品。この巻ではとくに第1話がいい。圭都、忍ともに小学生時代のお話なのだが、ウソばかりついていた忍とそれを案じる圭都の姿を描いた話。ラストの柔らかできれいで爽やかな終わり方が非常に良かった。で、2話から途端にドタバタになっていって期待していた俺としては肩透かしをされた感じではあったが、ここらへんも圭都のボケっぷりが痛快で楽しい。


10/6(火)……Let's 劣等

【雑誌】コミックライズ 11月号 メディアックス B5中
 EB110SS「神取のなんのこれしき!」が読みたくて買ってみた。EB110SSは、宙出版から出ていたNCハイパーって雑誌の休刊号に掲載されていた「薬指にお願い」という作品がわりと良かったので気になっていたのだ(当時のペンネームはEB110)。なんとなく平べったい(キャラクターの顔はちょっとカエル系)、垢抜けない絵柄がほっとする。今回のはまあそこそこってところ。米倉けんご「私立星之端学園 恋愛専科」。今回で最終回。絵もきれいだし、話も見事にほのぼのと楽しいラブコメにまとめている。うまい。実力からいって、ヤングキング系列あたりからお声がかかってもおかしくなさそう。

【単行本】「劣等25%」 永野数馬 講談社 B6
 実にヤンマガらしいアナーキーさを持った漫画。とくに前半の展開は脈絡がない。高校をドロップアウトし、自立しようとした少年が下宿先のアパートに着くと、出迎えに出た人はなぜか武士。押し入れには人が入ってるし、隣人がギターを弾けばサウンドに誘われガラス窓をぶち破って飛んできた男が、リンダリンダに合わせて踊り出すというすさまじい展開。
 ところが後半は一気にシリアスなお話に。ちょっとヘンだから、人に迷惑をかけるから、社会に参加していないからという理由で、いわゆる一般人に迫害されるヘンな奴らの心の叫びをストレートに力強いメッセージで叫ぶ。哀しくて、それでいてムチャクチャに熱い。ラストのほうの盛り上がりは鳥肌立ちまくりだ。アクはむちゃくちゃ強いけど、上品に澄ましかえった漫画からは絶対感じることのできないソウルフルなものがあふれている。そんなわけで、絵柄とアナーキーな展開と、そしてむき出しの青臭さを喜べる、一部の人にはオススメ。ヤンマガ系列のこういう若手漫画家の単行本は発行部数がそう多くないので、書店に出ているうちにすかさず買っておくべし。

【単行本】「アガデベベ」 TAGRO ふゅーじょんぷろだくと A5
 TAGROホームページはhttp://www.tt.rim.or.jp/~tagro/
 カッチリとスタイリッシュな絵柄ながら、乳が三つ以上付いた多乳少女などを描いて遊びまくるTAGROの初単行本。最初は8月下旬となっていたのだが、ようやく発売。かわいい絵ではあるものの、内容はそれなりにハード。やわらかな身体のライン、乳の形など、実用にも堪える。多乳少女だけでなく、メチャ強バニーさん、近親相姦がブームの社会、頭にツノを生やしたヘンな宇宙人など、いろいろと仕掛けてて面白い。コアマガジン系列で掲載された多乳モノ漫画もそのうち単行本になってほしいもの。コアマガジンでやった奴は乳四つくらいじゃあ済まないぞ。

【単行本】「愛米」5巻 コージィ城倉 小学館 B6
 最終巻。コージィ城倉らしい、強引で有無をいわせぬ、あれよあれよという間のストーリー転換。我田引水な結論の持ってき方。読者を強引に納得させてしまうテクニックがすごい。とくにこの巻でのいきなりの急展開が、まさにコージィ城倉の味。たとえ作品が打ち切りになろうとも、最後の一話だけで強引に納得させてしまうなんてこともできる、珍しい漫画家だと思う。

【単行本】「殺し屋-1-」2巻 山本英夫 小学館 B6
 この巻では安生組・若頭である垣原が系列の組の幹部を煮えたぎった油で拷問するシーン、垣原が自らの舌をドスで切り取るシーンが白眉。すげえ痛そう。ギッチギチに濃い描写とキャラクターたちが非常にいい。

【単行本】「よいこの星!」6巻 柏木ハルコ 小学館 B6
 陰湿で閉塞しまくった小学校クラス内、コップの中戦争の物語もこれで最終巻。どんどん煮詰まっていく女王様・すなおの姿が、もどかしくてすごくいい。最後はわりと爽やかに締め。面白い漫画だった。小学生でレベルが小さいとはいえ、れっきとして存在するピラミッド構造。甘えをゆるさず、執拗にお話を進めていくさまがすごく良かった。かなりオススメ。



10/5(月)……がすとんるろう

 今日は家に帰ろうと思えば帰れたのだが、とろとろ仕事をしているうちになんとなく会社に泊まってしまった。でも泊まっている間に、思わぬ人とexcite PALでチャットできたし(俺の登録メールアドレスはtshibata@picnic.to)、なんかええ感じだった。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 10/19 No.45 集英社 B5平
 尾田栄一郎「ONE PIECE」はコンスタントに熱くて面白い。このテンションをずっと維持していて、しかもいまだジャンプパターンって感じでないのは大したもの。和月伸宏「るろうに剣心」。何人の人が「どうせこんなことだろうと……」と呟いたことだろう。どうせこんなことだろうと……。富樫義博「HUNTER×HUNTER」。画面にみなぎる緊迫感とスピード感。うまいなー。

【雑誌】ヤングマガジン 10/19 No.44 講談社 B5中
 古谷実「僕といっしょ」。ブツッと最終回。「稲中」も最終回は突然だったような気がするが(あんまし覚えてない)、これもかなり突然。お話も中途半端。体調の問題かなんかしらんけど、まあいいや。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。鉄郎アイドルランキングの使い方が非常にうまい。いつもながらヘンなんだけど、今回はちょっぴりほろりとさせられた。絵はヘタウマ系だが、読ませるテクニックはなかなかのもの。すげー好き。前川かずお「DEI48」。今回も笑った。まずアオリ文句。「勝った方がマネージャーを好きにしていいという条件だ! 空手部主将 vs. 破武男!!」。「条件だ!」っていわれてもねえ。そして、音楽室でマラカスをシャカシャカやりながらもだえまくる音楽教師!カタコトの英語をしゃべるヘンな外人たち!ああ、馬鹿な漫画。
 第39回ちばてつや賞の中間発表に、松本剛という名前があるんだけど、これってやっぱり「すみれの花咲く頃」「北京的夏」とかの松本剛だろうか。東京都・24歳だそうだけど。 ←その後、掲示板#800 太田裕さんの書き込みにより別人と判明。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 10/19 No.44 小学館 B5中
 巻頭カラーで作:小林信也+画:秋重学「宙舞」が連載スタート。高校3年生の体育祭のとき、学校のそばの川をわたって走るマラソンにおいて、一度だけ水の上を走った少年・宙樹(ひろき)。水の上を歩けるのだから自分はなんでもできる!……そういう気持ちになっていた高校時代。だが、現実は厳しく、その後何もできないまま浪人を続ける宙樹。そして、宙樹と夢を分かち合った彼女、舞子も東京の大学のバスケ部で夢破れそうになっていた。しかし、ある日を境に二人の運命はまた回り始める。宙樹は舞子のいる東京を目指し、そしてまた奇跡を起こそうとする。水の上を歩いたあの日のように……。という感じのストーリー。なんか非常に爽やかでまっすぐな力強さを感じる出だし。この前のヤングサンデーの読切(10/1の日記参照)といい、秋重学、なかなか好調。
 作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」は第200回。タスキは第6走者の本松へ。それにしても力づくな漫画である。青山広美「ダイヤモンド」。ハッタリが利いていて面白い。どんどん自信と風格を身につけてきている種田がかっこいい。で、巻末カラーページによると、なんだか山本直樹と高橋しんがホノルルマラソンに参加して完走を目指すらしい。高橋しんはともかく、山本直樹ってのは爽やかでないなあ。あと、スピリッツ賞の奨励賞を篠房六郎が受賞していた。この人ってアフタヌーンの四季大賞を受賞した人だ(受賞作は「やさしいこどもの作り方」。4/25の日記参照)。うーん、どんな漫画描いてたのか読んでみてえ。

【雑誌】ヤングキングダム 11/9 No.2 少年画報社 B5中
 第2号。吉田聡「破壊王創世伝説DUMPERS」。ガシガシのバイオレンスものの模様。吉田聡の漫画には、軟弱文系野郎の俺でも思わず読んでしまう力強さがある。掘田あきお「チンピラ行進曲」。淡白な絵がけっこう好き。次号から佐野タカシが新連載。タイトルは「イケてるポリス」。「イケてる2人」の脇キャラ、甘糟のおねーちゃんが活躍するお話らしい。ヤングキング、キングダム、アワーズと、これで完全制覇。すでにヤンキンファミリーの顔?

【雑誌】ヤングキングアワーズ 11月号 少年画報社 B5中
 なんか買い忘れていた。正直にいうけど、やっぱりこの雑誌、俺にはいまいち合わない。なんかこの微妙なヌルさ、閉塞性、その他もろもろで俺にこう訴えかけてこないのだ。ストレートで過剰なものを求める案外と剛直な俺の欲求をヌルリヌルリとかわし続けてくれる、そんな雑誌。好きな人がいるのは分かる。面白そうではある。でも合わない。合わないもんはしょうがない。でも、中には自分が楽しめそうな作品もあるので、そういうのはやっぱり楽しみたい。雑誌を読んでいるとはいっても、最終的には作品を読んでいるのだから。
 初登場、森見明日「少年甲斐」。エロ漫画でも丁寧で上品でよくできた、優等生的な漫画を描く人だったけど、この作品もそんな感じ。ちゃんと読ますし、後味も爽やか。あと一つ、ガツンとくるものがあればなあ。絵も話も実に素直でアクがないのは、長所でもあり短所でもある。ちばじろう「いつか旅立つぼくらの話」。青くて爽やかな青春モノ。ちばじろうの絵は脂っこくはあるが、それでも爽やか。ストーリーはいつものようにしっかりしているし、キッチリ読めた。今月号では、俺にはこれが一番ヒット。たぶん、この雑誌の読者の嗜好としてはメインストリームではないんだろうなーと思うが、そこはそれ、俺は俺。


10/4(日)……ちんこ必勝ガイド

 日曜日だから新刊はなしってことで、古本屋に行って何冊か本を購入。
 深夜にセリエA、インテル×ペルージャをテレビで観るが、ペルージャは全然ダメ。中田のプレー自体はなかなかいいと思う。ペルージャが2部落ちしても、ほかのクラブから声がかかるんじゃなかろうか。ただ、その中田のプレーに応える選手が全然いない。相手がインテルじゃしかたないという面もあるけど。

【単行本】「SABEAR BRAND」 さべあのま 朝日ソノラマ A5
 昭和60年だから1985年初版ってことになる。収録作品の大半は既読だったが、やっぱり「ミス・ブロディの青春」は傑作だと思う。小説家志望のお局OLミス・ブロディが、南の島に行くことを夢見るカメラマンと出会い、彼との恋を通して成長していくという物語。今、この作品を読もうと思ったら、どの単行本がいちばん入手しやすいのだろう? 俺はよく知らないんだけど。

【単行本】「夜と薔薇」 森雅之 ふゅーじょんぷろだくと A5
 1979年初版のものを1990年に復刻した単行本。朴訥とした絵で、叙情的なお話を描いている。子供のころのような、純粋な気持ちで漫画を描こうとしているのが伝わってきて、まあ楽しめる。ただ、こういったタイプの純粋さは、なんとなく作為的な感じがして鼻につく面があるのも事実。ステキではあるんだけど。

【単行本】「風のちんころう」 まるいぴよこ 講談社 A5
 1992年初版。前から買おうかどうしようか考えていて、もう一息って感じだったのだが、やっぱり買っておいたほうがよかろうと思い購入。
 ちんこだけが独立した生き物「ちんころう」が、いろいろなところを旅して回るというお話。ちんこではあるものの性的なことは全然出てこない。ちんことはいえ固くはならない。ほかに仲間のいない孤独な生き物であるちんころうが、ひとときのぬくもりを求めて放浪する。奇矯な生物ではありながら、しっかりファンタジーしていて心暖まる物語。絵はこぎれい。ラストシーンもなかなか感動的だった。面白いのでオススメ。


10/3(土)……漫画責め

 仕事が一段落したので、この土日は休み。例によって夕方までぐっすり眠る。兄貴が下宿先から帰ってきたので、たまっていた雑誌やら単行本やらを読ます。2週間分あるから全部でおそらく50冊は超えている。さすがに土日だけでは読みきれないと音をあげていた。やっぱり趣味のモノは毎日コツコツ消化しておかないとおっつかないようだ。

【雑誌】少年エース 11月号 角川書店 B5平
 俺にはあんまり合わない雑誌なので普段は買ってないのだが、たまたまめくってみたところ、木村ひかげという人のデビュー作「スカイレコード」が良さそうだったので買ってみた。どうもこの作品は「ナデシコ」が落ちたので、その穴埋めに掲載されたものらしい。木村ひかげの絵柄自体はわりと古め。ちょっと太めの垢抜けない線だが、全体の絵柄は爽やか。ストーリーはこんな感じ。
 ある日、少女が一枚のレコードを手に入れる。「純白のお風呂に水を張ったみたいな色みを帯びた」その不思議なレコードのジャケットには、「そのレコードを毎月満月の日の朝に空に投げ上げろ」という旨が書いてある。そして、その通りレコードを空に放り投げると、その日の夕方にはまた新しい曲を載せたレコードが降ってくる……という、ファンタジックなお話。短いけど非常に気持ちのいい作品。木村ひかげはもう一本「エバー グリーン コンポ」というのも掲載されているが、こちらは「スカイレコード」よりも絵がちょっと不慣れなので、執筆順序としては前の作品なのだろう。こちらもなかなか。
 あとの作品はあんまり趣味じゃなかった。っていうか、連載の途中だから分からないってのも大きい。

【単行本】「遥かな町へ」上巻 谷口ジロー 小学館 A5
 48歳のサラリーマンが、意識はそのままに14歳の頃へとタイムスリップしてしまうというお話。谷口ジローらしい、精緻で淡々とした筆致、折り目正しく一つ一つ丹念に描き上げていく作風は実に完成度が高い。谷口ジローの漫画は、さりげないけど細かく描き込まれた背景の美しさにも注目。過剰な描写はないが、それだけにハッタリ抜きな部分で迫ってくるものがある。
 48歳のオヤジが、改めて学校の勉強や体育をする喜びを味わったり、同級生と恋をしてみたりと、「俺もそんなふうにやってみてえな〜」と思えるお話。今の意識を持ったまま学校の勉強をできたらどんなに楽しかろう。俺は勉強はキライなほうではなく、むしろ好きではあったが、学生時代はそんなに自覚を持って勉強と付き合ってなかった。今考えるともったいない話ではある。「遥かな町へ」では、中学校時代の友達が隠し持っていたウイスキを「か〜しみる〜」などとオヤジ臭く飲むあたり、中学生である主人公の姿形と合ってなくて妙に楽しい。


10/2(金)……ピアス式海岸

 今日は仕事で疲れ気味なので、あんまり漫画を読めなかった。そんなときでもホームページ更新はするのだから、俺も好きだねえ。ときどき「1日の日記書くのにどのくらい時間がかかるか」と聞かれるのだが、手のこんだことをしない限りだいたい1日30分から1時間ってところだと思う。正確に計っているわけじゃないからなんともいえないんだが、それほど時間はかけてない。文章書くより、漫画読むほうが断然時間がかかるのだ。あとタイトル考えるのに30分くらい悩んでいることもある。

 ベイスターズがマジック3。最短で4日(日)優勝だが、その日は休みが取れそうなのでぜひそこで優勝を決めてほしい。スタジアムには行けないと思うけど、テレビ観戦くらいはできる。ただ、その日のヤクルトは石井一久あたりが先発だろうから、少し厳しいかなあ。

 チャット系ツールを使いはじめたことだし、NTTのホームページに行って、テレホーダイ1800の申し込みをしてくる。今まではタイムプラス(市内通話が安くなる奴)だけやってたんだけど、けっこう電話代使ってるし、契約すればもっと接続するようになるわな、とか思ったわけだ。会社でつなぎっぱなし環境に慣れてるんで、いちいちダイヤルアップするのが面倒臭いというのもある。それにしても、ケーブルTVインターネットやりたいなあ。俺の住んでいるところは、ギリギリで東急ケーブルテレビのエリアから外れているので悔しくてたまらない。1万ジダンダぐらい踏みまくり。

【雑誌】ホットミルク 11月号 コアマガジン B5平
 関連出版物情報で嬉しいものがいくつか。まず、コミックジャンキーズ6が12月上旬発売となっていた。確定かどうかは分からないのだが、これでまた原稿を書くことになるのだろうと思う。でも、今回は発行時期が開いちゃったから、その間に出た新刊はたまりまくってるし、新刊レビューのコーナーはキッツキツになるんだろうな。とりあえず俺の本業のほうの年末進行とカブるのだけは避けてほしいところだが……。予定どおり12月上旬ならなんとかなるはず。何はともあれ休刊にはならなそうなんで、それは良しとせねばなるまい。出し続けることが生きること、だ。で、それに伴って、ジャンキーズ6に載る「美少女まんがベスト10」の投票も募集しているので、投票したい人はホットミルク買うべし。それから9月発売予定だったショタキング2は10月8日に延期。アリスくらぶの最新刊は10月22日。そして、コアマガジンとしては初の町田ひらく単行本「Alice Brand」が11月5日発売になるらしい。コアマガジン系町田ひらく作品が埋もれてしまうのはかなりもったいないと思っていたので、これは朗報。
 りえちゃん14歳「I say ごめんね…」。りえちゃん14歳はひさびさの復活。一時期は巨乳方向に揺れたり作画が粗くなったりと、迷いが見られたが、今回はまあ普通のりえちゃん。ちょっとちんちんをしっかり描くようになった感じか。かわいい少女たちが切なく甘酸っぱいSEXをする。物語自体はもともとそんなにうまくないりえちゃん14歳だけど、見ているだけで華やぐ絵柄なのでそれなりに満足。
 智沢渚優『「告白」…の事』。女の子の身体が柔らかそうで、背中をのけ反らした姿勢がソソる。手堅い。たかしたたかし「とびばこ男子」。かわいいショタ系少年と巨乳な女体育教師の、イキがいい弾けるようなSEX。「チンコ」とか「きんたま」「たまたま」といった、妙に子供っぽい言葉遣いがいいな。それから砂「ピアシング」。近未来、ファッション的にちんちんを付けた女と、行きずりの男がやりまくる。マッチョで濃い画風で下品なSEX。業の深い作風が非常にいい。とくにネームのキレっぷりはナイス。「き、来たッ、チンポに来たわッ! ウウッセックス本能全開よッ チンポエキス出るッ! 射ってッ、アンタも射ってッ ダブルチンポアクメ キメましょうッ! ウッ、ナイスショッ!」などという、イカしたセリフがちんこ盛り、いやてんこ盛り。今回のホットミルクの中ではもちろんイチ押し。

【単行本】「少女カオス」 町野変丸 桜桃書房 A5
 前にメディアックスから発売されたものと内容はまったく一緒の再版本。せめて描き下ろしの一本もあれば……とか思ったのだが、そういうサービスはなし。メディアックス版にはあったあとがき文章もなくなってるが、値段は若干上がっている(850→970円)。とはいえ、町野変丸の中ではかなりオススメ度の高い単行本なので、未読の人はぜひ読んでみてもらいたい。表紙の女の子は桜桃書房版のほうが華やかだが、メディアックス版もこれはこれで味わいがある。町野変丸ページは近いうちに文章直しなど、リニューアルしようと思っているので、そのときに表紙画像とかもアップするつもり。



10/1(木)……トーレ・アンドレ・風呂

 会社に泊まり中。なんか家の風呂が、タイルの張り替えやらで現在使えない状態なんで、なんとなく「会社にいてもいいかなー」ってな気分にもなっている。そのせいか、なんだか腹が座っちゃって仕事をとっとと片付けようという気にならないのは困りもの。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 10/15 No.45 秋田書店 B5平
 能田達規「おまかせ!ピース電器店」。今回は老夫婦の心の支えとなっていた、ピース特製ロボット犬のお話。なんか泣ける話で良かった。おおひなたごう「おやつ」。ここのところ続いている、野球の試合を背景にした謎の競技、パワーホライズンが今回も続く。うーん、どうにもうまいなあ。クールなギャグと奇想の連発。見事。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」。ありゃー、シンディ危機一髪。これは「動くな」とかそういうレベルの問題じゃないだろー。どうなっちゃうんだろう。

【雑誌】モーニング 10/15 No.44 講談社 B5中
 さだやす圭「ダニ」が新連載。乱暴で痛快なあぶれ者、金三のお話。じつにさだやす圭らしい、自由で粗暴で豪快な男。さだやす圭的ストーリー、キャラクターが好きな人にはストレートに楽しめる話になりそうだ。井上雄彦「バガボンド」。迫力あって面白い。ここまでは好調に推移していると思う。吉川英治のしっかりした原作もあることだし、大間違いが起きることもなさそうだし、いい作品になるんではないだろうか。作:亜樹直+画:的場健「サイコドクター」は新シリーズ突入で、3号連続登場。何度妊娠しても流産し続ける女性と、すでに死んだ娘の肖像画を描き続けるその母。またしてもベタベタな展開になるんだろうか。そこがいいんだけど。高橋一哉「クレーな人」は、クレーのものすごく簡略化された絵柄に魅了されるうちに、クレーの絵のようなぞんざいな線の身体になってしまった父親の姿を夢に見るようになってしまった男の話。わりと技巧的な作風でけっこういい。うえやまとち「クッキングパパ」は今回は、まこと作のマツタケピザ。なんかすげー食いてえ。

【雑誌】ヤングサンデー 10/15 No.44 小学館 B5中
 秋重学が短編で登場。タイトルは「僕の夏は泳げずじまい」。カナヅチであるのを隠すため、体育の水泳の授業をサボり続けていたのがバレた少年は、体育教師の命令で居残り練習をさせられるハメに。その彼が泳げるようにまで見張るよう命じられた保健委員の少女の大人っぽさに、少年は嫉妬を抱く。この人のシャープでかっこいい絵は好きだ。お話も爽やかで、ちょっぴり悪意がこもっててなかなか。竹下堅次朗「カケル」が巻頭カラー。捕らわれている女の子たちもかわいい。女の子描くのはやっぱりうまいな。山本英夫「殺し屋-1-」。ヤク中スキンヘッドにトドメ。今回も痛そうだし、実に濃い。
 山田芳裕「デカスロン」。な〜るほど。万吉がスタンドに座っていたってのはこういうわけだったのね。馬鹿でしかできない技が勝負の流れを変えそう。岩田康照の卓球漫画「球魂」。すごく面白いってほどでもないんだけど、なんとなくコンスタントに読めている。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。物語がどんどん一点に集約しようとしている。目が離せない。

【雑誌】ビジネスジャンプ 10/15 No.21 集英社 B5中
 冬目景「イエスタディをうたって」は毎度気持ちのいい絵。女の子の表情とかうまいなあ。冬目景は「黒鉄」よりも、こういう現代を舞台にしたちょっと青くさめの話のほうが好き。あとは取り立てて強調するほどの作品もないかな。弓月光「甘い生活」、山花典之「夢で逢えたら」あたりは、いつものように安定している。
 次号から中島史雄がほのぼの家族者「ホゲホゲ日記」を新連載開始するようだが、前の連載の「P.P.Pickles」がけっこうぶっ飛んでいただけに、「なんでいきなりこんなヌルそうなのを?」と思わぬでもない。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 10/15 No.20 小学館 B5中
 画:池上遼一+作:武論尊が新連載。タイトルは「HEAT−灼熱−」。新宿の裏社会を舞台に、無頼な男たちが暴れ回るみたいなお話のようだ。いつもの池上節で進むと思われる。高田靖彦「演歌の達」。達の策が成功し、演歌歌手志望の女の子がライブハウスで頭角を現し始める。ただ、達は成功は認めつつもイマイチ納得がいかない……という展開。地に足の着いたストーリー展開はやはり読みごたえがある。岡崎二郎「国立博物館物語」はいつもながら地道にうまい。


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