◆ 1998年12月上旬 ◆

12/1〜10
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12/10(木)……ブラウンシュリンプ

 今、朝の5時。これから一本原稿あげなきゃならないのだが、さてどうしよう。今日も睡眠時間削りまくりだ!

【雑誌】ヤングサンデー 1/2+8 No.2+3 小学館 B5中
 巻頭カラーで佐藤秀峰が新連載。タイトルは「海猿」。海上保安庁所属のレスキュー隊に所属する男が主人公。佐藤秀峰は、もともと曽田正人に似た作風の持ち主だが、なんだか題材まで「め組の大吾」に似てきた。キャラクターの目が大きすぎるときがあるので、それは気になるのだが、力強いストーリーでグイグイと読者を引き込む力はある人なのでこれからの展開に期待だ。細野不二彦「太郎」では、ガルシアvs.太郎が決着。なんかわりとあっけなかったような。とりあえず結末は爽やか。次からはまたビジネス編になってしまうのだろうが、俺としてはボクシング編だけでもいいなあ。阿部潤「the山田家」が200回記念。花子の邪悪なまでの表情変化とテンションの高さは相変わらずだが、ラストのページでいきなりイマジネーションの翼を全開にする、ファンタジックな展開は素敵である。竹下堅次朗「カケル」は、カケルがかなり追い込まれ通り魔的行動をとる。ハードな展開に陥ったところに、またもサトルが登場。怪しい雲行きに期待が高まる。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。ヒグマドンが破壊の限りを尽しているのだが、今回、ほとんどヒグマドンの姿は描かれていない。住民のパニックの様子で、その被害の大きさを語るあたりがうまいなあ。それからモンのリアクションも何かありそうな感じで、これからの展開が気になりまくり。

【雑誌】モーニング 1/2+8 No.2+3 講談社 B5中
 島耕作が部長となって復活。弘兼憲史「部長・島耕作」。まあ相変わらずである。課長だろうが部長だろうが、たぶん島耕作は似たようなことをするのだろう。ところで「DRAM」のことを「DRUM」と書いているのはわざとなんだろうか。井上雄彦「バガボンド」はおつうと沢庵が武蔵捕獲に乗り出す。で、今週もおつうがかわいい。吉田戦車「油断ちゃんラグジュアリー」。今週は6ページといつもの1.5倍。にっこり笑う、暴力老人である油断ちゃんの祖父がいい。ほのぼのとしているように見えて、からめ手から攻めてくるギャグが好調。作:西村ミツル+画:かわすみひろし「大使閣下の料理人」。ホアが公に強烈にアプローチ。かわいい女の子がまとわりついてくる描写は、ラブコメ欲を刺激しまくりである。

【雑誌】零式 Vol.7 リイド社 B5中
 隔月だけあって、今回も非常に充実した内容。今回は龍炎狼牙が登場するなど、ちょっとオタク色を強めつつあるかなという気がした。まあ目黒三吉とか、スカシたのばかりだとお高くとまった感じになってしまうので、適度なバランスを保つのにこういうのもいいかなって感じはする。
 巻頭カラーは鬼魔あづさの新連載「あのこ」。近親相姦家族の、別々に暮らしていた兄と妹が再会しさっそく……といった感じの出だし。俺としては、鬼魔あづさのヌルい作風はなんとなくしっくりこないところも多いのだけど、今回のはわりといい感じかな。電波P子「Blue Christmas」。電波P子って誰かに絵が似ているなーと思っていたのだが、今回のでハッキリした。天竺浪人と似ているのだ。天竺浪人よりもだいぶ描線は太いのだけれど。目黒三吉「消えた22号」は、牢獄に閉じ込められ、試薬を投与され続けている、頭に鉄板を埋め込まれた男の話。何やら全貌が見えず謎めいた雰囲気。やはり目黒三吉は絵がうまい。そしてなんか余韻の残るストーリーである。ラストはタイトルそのまんまで、ちょっと拍子抜けではあるのだけど。巻中カラーは佐藤村雨英太郎「紅いヴェロチカ」。話はなんだかよく分からないが、日本人離れしたバタ臭い絵柄、美しい彩色は個性的。

【単行本】「羊のうた」3巻 冬目景 スコラ B6
 深く、そして静かな哀感が漂っていていい。千砂や一砂が、他人の血を欲するからといって別にそれは人の生死に影響を及ぼすほどの量ではない。しかし、それなのに漂う破滅への予感。自分の中に住まう怪物との闘いの息苦しさ、緊張感が読む者の心を打つ。そして、いきなりトーンが変わって申しわけないが千砂が色っぽい。目の下の二つのほくろ、キツめの顔つきで頑なな態度の中に時折見せる弱さ、和服姿、うなじと首筋にかかる髪の毛、二重まぶた、もの哀しげな表情。実になんともなまめかしいのである。とはいえ、性欲を喚起するというのとはまた違った色気だ。物語全体に張り詰めた緊張感、哀切とは裏腹に、実は煩悩バリバリで読んでしまってもいいのではないかとも思える。

【単行本】「ARMS」6巻 皆川亮二 小学館 B6
 民衆を煽動して、自分の手を汚さずに敵を仕留める「スナーク作戦」。その網の中に取り込まれたARMS御一行の活躍が、この6巻では描かれる。精緻をこらした作戦も、ARMSの想像を超える力と、高槻母の知略の前にあっさり破られてしまうのだが、こういう陰湿な作戦は大好きだ。できればもっと周到に御一行をハメてほしかったところではあるが、レッドキャップふぜいであまり手間取らせると作品全体のバランスを崩しかねないのでこんなもんでいいかとも思う。この巻では主人公・高槻涼はほとんど活躍せず、おかーちゃんが主役を食っている。というわけでおかーちゃんファンの人にはたまらないあたりといえる。

【単行本】「俺たちのフィールド」33巻 村枝賢一 小学館 新書判
 W杯日本代表vs.アルゼンチンの前半終了、後半突入あたりまで。結局日本が強国と対戦するときは、カミカゼ戦法なのだなあという感じ。とにかくバリバリにテンションを高め、高めっぱなしで試合が進行する。一貫して力の入りまくった、血管のブチ切れそうな展開がこの作品の持ち味。とにかく息もつかせず、ボルテージは上がり続ける。強引だとは分かっている。実際のサッカーはこうはいかないってことも分かっている。でも……かっこいいのである。


12/9(水)……スーパールイージBros.も創ってほしい男達

 日本おベンピ本舗「乙女の大ピンチ」という単行本を買ってきた。俺は乙女でありベンピに悩まされているからだ。断る必要がないくらいどうにもウソだ。俺としてはチェックの範囲外の本だったのだが、ウチの兄貴がNIFTY SERVEで開いているパティオの書き込みで、この本にみぎわパンが描いていると知り探していたのだ。それにしても、この表紙と背表紙じゃあみぎわパンが描いてるなんて普通分からないよなあ(裏表紙にちょっと書いてある)。まだ読んでないけど、たぶん明日には読むだろう。それにしてもこういう単行本ってさすがになかなかチェックできない。まだまだ俺の読者道も甘いということか。
 そういえばジャンボ宝くじ買わなきゃ。

【雑誌】週刊少年サンデー 1/2+8 No.2+3 小学館 B5平
 なんとなく今週号は低調な気がする。
 猪熊しのぶ「SALAD DAYS」。ああ、なんともお約束な……。展開が見えてると気楽だねえ。藤田和日郎「からくりサーカス」では、ナルミの格闘シーンがかっこよかった。スピーディで迫力がある。

【雑誌】週刊少年マガジン 1/2+8 No.2+3 講談社 B5平
 平沢たかゆき「スーパーマリオBros.を創った男達」。このゲームクリエイター列伝系の話、なんだか絶妙な安っぽさが漂っていてつい失笑してしまうのだが、こういう漫画が載るところがマガジンの味だよなーとも思う。こういうの、嫌いじゃないのだ。大島司「シュート!熱き挑戦」。加納の弟は何やら「若き”天才”」らしい。若いっつったって、高校サッカーなんだから全員15〜18歳やんけ〜とかツッコむのはヤボというもの。この漫画もついツッコミを入れたくなる描写にあふれている。愉快だ。塀内夏子「Jドリーム完全燃焼編」では、北村が技アリのシュート。久しぶりに北村の見せ場が多くてかっこよかった。

【単行本】「カケル」6巻 竹下堅次朗 小学館 B6
 サトル編がいったん終わり、サトルの脅威におびえたカケルが合気道を習い始める。この人の絵は、なんとなく男はぎこちない感じもするのだけど、女の子が非常にいい。とくに広末涼子がモデルの葵がいい感じ。今回の表紙はとくに美しかった。ちょっと1巻を引っ張り出してみたのだが、そのころと比べても絵は進歩していると思う。仕上げがきれいになった印象。ストーリーはもう一押し欲しいところではあるんだけど。

【単行本】「くぢら」 道満晴明 ヒット出版社 A5
 道満晴明4冊めの単行本。前から気になっている人ではあるのだが、単行本を買うのは初めて。鼻を描かない(横顔のときはさすがに描いているが)、作り物感の強い絵が特徴。作り物っぽさが漂うのは、白抜き、もしくはトーンのみの瞳の描き方なんかもその要因だろう。なんか紙を切り抜いて作ったっていう感じの肌触りがある。でも女の子の身体自体は柔らかそうに描けていて、それなりにH。一つの絵柄として、非常にまとまっているのだが、各部分に抑え気味なトーンが感じられる。どことなくひいた視点で描かれていて、クールな印象がある。
 お話はどれもそれなりにうまい。ちゃんと見せ場を作り、軽いタッチで鮮やかに幕を引く。でもなんとなくもの足りない印象があるのは、前述の引いた視点のためだろうか。小手先でやってるみたいな印象がなきにしもあらずなのだ。とはいえ、やはり気になる人ではある。気になるものを持っているっていうだけでも、持っていない人よりなんぼかいいし、一つの武器だ。


12/8(火)……熊ん子

 アクセス数が9万を突破したので、今回のタイトルはそれにひっかけてある。熊ん子について詳しく知りたい人はこのページを読むといい。「日本が世界に誇る名品」らしい。どんなものなのか画像を見たい人は検索エンジンで「熊ん子」を調べてみてネ!

【雑誌】YOUNG YOU 1月号 集英社 B5平
 なんといっても武内直子「武内直子姫の社会復帰ぱーんち!!」のインパクトがすごすぎる。これを読んだ後だと残りの漫画をまともに読めなくなってしまうくらい。とにかくその浮き世離れっぷり、増長っぷり、馬鹿っぷりがすさまじいのである。読んでてこれだけツッコミ入れたくなる漫画も珍しい。のっけから「そのムカシ タクシー ハイヤー ポルシェ フェラーリ等でドアtoドア雨にぬれたことのなかった姫ですが 現在人生やり直し中なので雨にうたれても仕事場へ出勤したりもします」だの、「まんがの内容がつまんなくてもカラーがキレイ もしくは好みであれば読者はファンになってくれるといっても過言ではない」だの言い放つ飛ばしっぷり。さらにトガシヨシヒロとのラブラブな日々を語られちまった日にはもうたまらん。こういう天然系の人は、もう思うがままに突き進んでほしい。面白いから。
 というわけで姫の暴虐ぶりに揺れるYOUNG YOUだが、ほかの漫画もちゃんと面白い。谷地恵美子「明日の王様」は、有が演出した「HANA」の再演がうまいこと結実。こぎれいながらそれなりに熱血な演劇漫画。榛野なな恵「Papa told me」。知世の猫耳系かぶりものがとてもかわいい。お話もきれいにオチていて、楽しんで読める。山下和美の読切「シルクの月」は相変わらず鮮やかにうまい。結婚して実家に戻ってきたモトキだが、自分の部屋の窓の向こうの家にある丸窓を見て高校時代を思い出す。高校時代、モトキの部屋の窓から向かいの家の丸窓が見えた。その丸窓のある部屋には、クラスメートの郷田かほりが暮らしていたのだが、モトキは彼女に恋をしていた。現在の妻・奈々子とかほりとモトキは、高校時代3人でいることが多かったのだが、奈々子と話をしつつもモトキの意識はかほりに集中していた……といった感じのお話。心の中に住み続けていた彼女の面影、果たせなかった想い、しまい込んでいた気持ち、そして後悔。そういったものが巧みに描かれている。う〜ん、かっちょいいなあ。それから坂井久仁江「約束の家」も良かった。この人は線の切れ味が鋭く、かつ美しくすっきりとまとまっていて見ていて気持ちがいい。ほのぼのした味わいと暗さが同居していていい感じである。で、「約束の家」は次回で最終回。3月発売の別冊スプリング号に100ページ一挙掲載の予定とのこと。

【雑誌】FEEL YOUNG 1月号 祥伝社 B5平
 安野モヨコ「ハッピー・マニア」。ジタバタしまくる恋愛模様がいつもパワフル。ノリが良くて楽しい。南Q太「天井の下」。ルームメイトに男を連れ込むので部屋をあけてくれと頼まれ、外泊することになったがとくにアテもなく、相手もいないままフラフラと街をさまようヒロイン・藤子のクリスマスイブの物語。イブを一緒に過ごす相手を見つけたかと思いきや逃げ出し、を繰り返してなかなかにハッピーエンドに持ち込まない。そのジラシっぷり、タメの作り方、うまいな〜って感じ。最近、また絵がさらに洗練されてきた感じがする。やまだないと「ビューティフル・ワールド」。イマジネーションの翼をはためかせつつ、全体としては他愛なくほのぼのとまとめる。こちらもうまい。

【雑誌】ヤングチャンピオン 1/1 No.1 秋田書店 B5中
 板垣恵介「わが青春の陸上自衛隊」シリーズ、「340メートル60秒」。板垣恵介が20年前、自衛隊にいたころ体験した、初めてのパラシュートによる降下演習の模様を描いた作品。冴えない男であった板垣恵介が、パラシュートで飛び降りる。ただそれだけの話だ。しかし、同じ舞台にいたダメ男が土壇場で見せた雄々しい姿、胸の熱くなるセリフ、過剰な演出の数々で爽やかにドラマチックなお話に仕上がっている。この演出力は大したものだ。柳沢きみお「平成羽衣伝説」は今回で最終回。なんだかやっぱり中途半端な終わり方。でも柳沢きみおの作品はこのブツ切れ感に味わいがある。なんだこれ、と思うようなラストがすごくいいのだ。「DINO」とかはその極北ともいえる。

【単行本】「キララのキ」3、4巻 岩館真理子 集英社 B6
 出てからちょっと時間が経ってしまったが、「精神的・体力的余裕があるときに読もう」と思っていたので今までなかなか読めなかった。
「キララのキ」もこの4巻で完結。最初からまとめて読んでみたが、だいたい分かったような分からなかったような。美しすぎる水晶の迷宮を、ぐるぐるわけもわからぬまま引き回されているような、そんな雰囲気がある。いつまでも読者に確固たる立脚点を与えないミステリアスな雰囲気は、読んでいてどうにも居心地の悪い不安感を抱かせる。そして、作者に煙に巻かれながら、見事な手際に酔いしれてしまう。硬質で線の細い、美しすぎるまでに美しい画面も実に素晴らしい。解かれない謎は、いつまでも神秘として残る。解かれてしまった謎は神秘ではない。だから、無理に決着を必要なんかないんだと思う。「キララのキ」も強引に一つの解釈を当てはめてしまうことは可能かもしれない。でも、あえて回答を求めず謎のままにしておき、そのミステリアスな雰囲気に酔いしれるというのも、それはそれで一つのアプローチなのではないだろうか。


12/7(月)……おやすみしました。

 風邪のため会社を休む。考えてみれば、入社4年めにして病欠は初めて。最近、ムチャな生活を続けていたのでだいぶ弱まっていた模様。一日寝ていたらだいぶ良くなってきた感じはしないでもない。読む漫画はいっぱいあるし、まあいい休養になったかな? これから年末まではノンストップでヒートアップしていく予定なので、その前のインターバルといったところ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/1 No.1 小学館 B5中
 村上かつら「いごこちのいい場所」が今週も面白かった。色男の春田は春田なりに、ダメ男の耕平に依存していたというわけだ。作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」は、今週もムチャな展開。でも面白いのだ。壱岐雄介には足の負傷という爆弾もあるだけに、さらに激しい展開になっていくのだろうと思う。

【雑誌】ヤングマガジン 1/1 No.1 講談社 B5中
 山崎さやか(=沖さやか)の新連載「フローズン」が巻頭カラーでスタート。親の離婚騒動に嫌気が差してアメリカから日本にやってきた女子高生の桃花が、何をしたいんだか意思をはっきり示さない日本の文化にギャップを感じ、人前で号泣する……といった内容の初回。桃花はなんとなくヴァーチャファイターのサラみたいな感じで、実際に強そうでもある。激漫で「LIZARD KING」を描いている馬場康士が登場。タイトルは「デスロック」。今回は前編。高校生プロレスラーの活躍を描くお得意のプロレスネタ。力の入った絵で、どこか馬鹿馬鹿しいプロレスノリにあふれた作品。今のところ派手なギャグってほどではないが、とりあえず後編に期待。
 小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。なんだか鉄郎の作るブルセラパンティーは、パンティーを芸術の域にまで高めたらしい。「おやすみなさい。」は一話完結の話ではありながら、このブルセラの話といい、冷蔵庫シグマの話といい、ちゃんと昔出てきたアイテムが生かされている。その周到さが鉄郎のいろいろなものを捨てきれない情けなさをさらに強調していて楽しい。ブラジャー、パンティーに匂いをつけるため、「いちに、いちに」との掛け声とともにドタバタする様も笑える。かたぎりわかな「しすたあモルヒネ」。お姉ちゃんのテンションの高さ、暴虐ぶりがどんどんエスカレートしている。とか思ったら最終回? そりゃ残念すぎる。いつか単行本に収録されるその日まで、ボクは闘い続けようと思う。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 1/8+1/14 No.2+3 集英社 B5平
 作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」が新連載。タイトルどおり囲碁漫画である。なぜ今、囲碁?(イマイゴ?)とか思わないでもないが、絵はきれい。尾田栄一郎「ONE PIECE」では、ルフィとともに旅立つサンジがレストランの面々に別れを告げる。男気を感じさせる展開でなかなかに熱い。絵、そして言葉に力がある。桂正和「I''s」。イチタカと伊織の間に泉が割って入ろうとするが、正直いっていつき以外の女の子では雑魚感がある。でもかわいいからいいや。

【雑誌】花とゆめ 1/1 No.1 白泉社 B5平
 山田南平「紅茶王子」。チアガール姿の奈子が健康的でかわいいな〜と思う。体育祭でかっこいい男の子を見つけてはきゃいきゃいと騒ぐ女の子たちの姿が、無邪気で他愛なくていい感じ。巻末では高尾滋「人形芝居」が読切39ページ掲載。人形作り人形である、静と嵐が誕生したころのお話。柔らかで爽やかな絵柄が毎度気持ちいい。

【単行本】「新・河原崎超一郎」1巻 おおひなたごう 秋田書店 新書判
 ゴルゴ顔の男、河原崎超一郎がナンセンスな活躍を繰り返すお話。のっけから、ノックダウンされることを予告する「予告KO」、ホームランを打たれることを予告する「予告ホームラン」など、人の盲点を衝くようなギャグがてんこ盛りで、それが淡々と続いていく。何気なくごく当たり前のようにヘンな世界を展開し続けるところが、おおひなたごうの持ち味でもある。

【単行本】「青空」1巻 原秀則 小学館 B6
 スピリッツ誌上で、なんだか休み休み連載されている野球漫画。スピリッツの原秀則の野球漫画といえば、「やったろうじゃん!!」が思い出される。「やったろうじゃん!!」では後半、主役格の投手、江崎の彼女がレイプされるなどのハードな展開があったが、今回はのっけから主人公の天野光一が子供のころの憧れの人、雪ネエがレイプされる。そこから起きた雪ネエの彼氏の三雲氷介の暴力事件により、氷介の通っていた学校、霞高校の野球部は廃部に。なんだか非常に陰鬱なムードで物語はスタートする。光一は高校生になり霞高校に入学し、周りの人々を敵に回しながらも野球部再建に尽力する。
 とまあこういうお話。まだまだ高校野球が始まるに至らず、これからも紆余曲折がありそう。いつもながら、コンスタントに「それなりのレベル」を保っているあたりが、原秀則のうまさだと思う。

【単行本】「歌麿」1巻 六田登 小学館 B6
 忍びの里から抜け出てきたウタとタカの二人組、それから女郎の玉、3人の珍道中がまず描かれる。ウタはまだオドオドしている若者だが、これが歌麿に育っていくのだろう。今後の展開が楽しみ。狂気に満ちた性と絵画の世界を見せてもらいたい。

【単行本】「スチームガール」 うらまっく ワニマガジン B6
 ギャグあり、シリアスあり、ラブコメあり、悲劇あり、近親相姦あり。そしてそのどれもが皆きれいにまとまっている。アクのないとっつきやすいかわいい絵で、お話作りもソツがなく、本当にうまいな〜と感じる。俺としてはオチが非常に馬鹿馬鹿しい「みんなのおくち」、今は人妻になった昔の彼女が夫と喧嘩するたびに遊びにやってくる「元気ください」、長年付き合っていた男と女が静かに別れる「よくあるハナシ」、かわいらしい近親相姦モノ「妹よ」あたりが好み。巻末オマケ漫画にOKAMAのヤケクソにギャグなFAX漫画が掲載されているが、バカバカしい感じなので一度こーゆーのも一本描いて欲しいもの。


12/6(日)……エンボクを深める

 セキのしすぎでおなかが筋肉痛気味〜。まあそんなわけで、久々の休みだったのでこの前(11/23)のコミティアで兄貴が買った分の同人誌を消化。

【単行本】「援助交際撲滅運動」 作:山本英夫+画:こしばてつや 講談社 A5
 山本英夫+こしばてつやという非常に濃い組み合わせだけあって、作品の内容も濃い。援助交際をやっている女の子をひっかけて、さんざん楽しんだすえヤリ逃げし、世の中の厳しさを教えてやるという「援助交際撲滅運動」を展開する男二人と、コギャルたちとの異様に濃厚な闘いを描いた作品。こしばてつやは、何を考えているのかよく分からない異生物的なコギャルを描かせたら、現在漫画界でも屈指だと思う。それに「殺し屋-1-」などの山本英夫の、読んでいる側まで痛くなってくるような暴力描写が加わりかなり濃厚な作品に仕上がっている。SM好きなヤクザ崩れ、金と快楽にしか興味のないコギャル、オヤジ狩りに血道をあげる若者。なんだかキャラクターたちがみんな壊れていていい感じである。

【単行本】「the山田家」5巻 阿部潤 小学館 A5
 5巻めになっても基本的なテイストは変わらない。母親・花子の圧倒的に高いテンション、ぐりんぐりんと前衛的なまでに変わる表情、脈絡のない行動がすごい。かなりヤバい脇役たちも楽しい。

【単行本】「SATELLITEぢゅにゃ」1巻 サガノヘルマー 講談社 B6
 未来世界が舞台で、辺境の惑星「MOON-Jr.」に流刑にされた男が、キャタピラで移動する校舎に乗った中学生どもに担任教師として捕獲される。サガノヘルマーはバランスが悪く、ぬめぬめとした濃くて変態的な絵が魅力的。この作品でも、人間をすっぽり包み込み神経をジャックし快楽で刺激することにより身動きできなくする「レロン袋」など秀逸なアイテムもいくつかでてきている。ただ、今のところ物語はまだ出だしなので、どういう展開になるかはよく分からない。今後に要注目。

【単行本】「ヤングパラダイス」 たかしたたかし コアマガジン A5
 一見オタクっぽい絵柄だけれども、その実力は大したもの。ノリのいいお話で一気にガガガーッと読ませる。コミカルでギャグタッチながら、エロも実用専門型の漫画にも増して濃い。にょきにょきとせりだしてくるちんちん、吹き出す精液となかなかにハード。でもカラッと明るく仕上がっていて読み口は爽やか。漫画のうまい人だな〜と思う。

【同人誌】「タブロー」1/2/2.5 志賀彰 <憂便局>
 非常に面白かった。このホームページの掲示板にもときどき遊びにきてくださっているからいうわけじゃないけど、すごくうまいと思う。自らいうように冬目景の影響を受けていることは分かるが、それだけでは終わらない才能を持っている。とくにやることがあるわけでもなく、下らない連中となんとなくつるんでいた渡部が、学校では変わり者といわれていていつも一人で絵を描いてばかりいる妙な女・中嶋に出会い、しだいに惹かれていく……というお話。煮え切らない青春と、一人進む青春が交錯する、ちょっぴり青臭いけど骨太な面白さのある作品。しっかりとした作画、考えられた画面構成、ストーリー展開と読みごたえバッチシ。誉めすぎかもしれないが、でも面白いんだから誉める。まだ未完ではあるが、これから先も非常に楽しみ。

【同人誌】「ソライロガラスダマ」 志賀彰 <憂便局>
 こちらは短篇。日常のちょっとした出来事とファンタジー。爽やかで面白い。

【同人誌】「A' in 梟亭」vol.1 <梟亭>
 絵的にも話的にもYaginuma Koichiが一番良かった。vol.1より先に読んでしまったvol.2でもこの人は目についた。なかなかいい絵を描く人だと思う。

【同人誌】「涙のメカニズム」 交野佳奈/翡緑太 <エレホン>
 交野佳奈の絵は一筆描きみたいな目の描き方が非常に特徴的。ちょっぴり寂しげな空気のあるお話はわりといいと思うので、今度はもっと長いのを読んでみたい。

【同人誌】「学乱・汁」「学乱・穴」 藤島隆多 <百貫堂>
 やたら筋肉質で太っちょな、力士的人々がからむホモ漫画。コミティアでむさくるしいホモ漫画といえば山田参助だが、これは山田参助と比べるとだいぶコミカル。ではあるが、やっていることはわりとハードで男汁ベトベト。珍しもの好きな人と、それ系の人用。

【同人誌】「ever green」 紺野キタ <SALLY GARDENS>
「ひみつの階段」の、紺野キタの同人誌。この本は再録本なので、何編か読んだ話もあったが、読み返してみてもやっぱりよかった。紺野キタの絵は、洋館の書斎に降り注ぐ春の陽光という感じの暖かいキラメキがある。なんとも純潔で、清楚で文句のない可憐さなのである。もう浮き世離れしているくらいに。スミベタの部分がほとんどない、白っぽくてふわふわとした画面が「浮き世離れ」感をさらに強くする。少女たちのかわいさもさることながら、老人や老婆を描かせてもきっちりとした絵を描いてくるところにも好感。醜いものは描けないかもしれないが、この人はそんなものは目に入れないでいい人だと思う。ああ、紺野キタ、LOVE!! あっ、ちなみにコミティアで見かけた限りでいえば、紺野キタはなかなかに美人なり。

【同人誌】「Clara」 紺野キタ <SALLY GARDENS>
 こちらも再録本。紺野キタには珍しく性的な描写もある。切なく、そしてちょっとなまめかしい雰囲気のある作品が2本収録されている。どちらも佳作。それにしても端正な絵だなあ。

【同人誌】「イヴォンヌの母」 三五千波 <つくりもの>
 白痴美の漂う乙女的な雰囲気をブリブリ振りまきまくりな作風には、いつも圧倒されるばかり。どこを見ているんだかさっぱり分からないキャラクターたちが実にあぶなっかしくていい感じである。PARKINGの忘年会でお会いした限りでいえば、三五千波はしっちゃかめっちゃかで愉快な人だった。ああ、三五千波、LOVE!!

【同人誌】「月面観測」 ぺいすめんとるうむ
 ムーンライダーズに関する本。といっても俺は全然その方面は詳しくないんでよく分からない。でも山名沢湖とか三五千波とか、いい感じの人々が漫画やら楽描きやらをしていてうれしいなあと。そして山名沢湖の漫画はいいなあと。


12/5(土)……伝説巨神セレロン袋

 レロン袋についてはサガノヘルマー「SATELLITEぢゅにゃ」を参照。
 休日出勤。っていうか昨日から会社にずっといたのだけど。今日はやる仕事自体はあんまり多くなかったのだが待ち時間は多かったので、それを利用してちょっと会社を抜け出し神保町へ。最近ちゃんとした本屋にあんまり行ってなかったせいか、一気に物欲が爆発。なんか30分くらいで1万8000円くらい漫画系の本を買ってしまう。といってもその中に、コミケカタログ1800円と福家書店の「1999 COMIC CATALOG」も含まれてはいたのだが。でも今日日記に書く雑誌および単行本以外に、単行本を新刊で10冊買ったので金がかかるのは当然といえば当然なのだよな。
 あと余った時間を利用して、会社で仕事に使うための私物マシンを組み立てる。今まで常用マシンについては実はPentium/166MHzで進歩が止まっていたのだが(パソコン雑誌編集者としてはあんまり望ましい状況ではないよな〜)、今度はCeleron/266MHz。もちろんオーバークロックさせて今412MHzで動作中。448MHzまでは確実に出るロットだということは調査済みなのだが、俺が使っているマザーボード(ABIT BH6)ではCeleron/266MHzを448MHzで動かし続けるとHDDが飛ぶことがあるという報告例を聞いた。さすがに仕事用マシンのHDDを飛ばすわけにいかないので、ちょっと控えめに設定している。それにしてもクロック数も単純計算で今までの2倍以上になったし、ビデオカードもMillennium G200(AGP 8MB)だし、CD-ROMドライブも32倍速だし、今までのプアだった環境を考えるとにわかにオーイエーって感じ。
 で、そんなこんなで今号の仕事は今日でおしまい。明日は休みだ、オーイエー。オスマンのネタとなるような漫画も何冊か買ったので、明日あたり原稿でも書こうかねー、っていうかオーイエー。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 12/20 No.24 小学館 B5中
 浦沢直樹「MONSTER」。じょじょにヨハン、そして511キンダーハイムの悪夢が呼び覚まされようとしている。ヨハンってなんとなくだが、笠井潔の矢吹駆シリーズのニコライ・イリイチを思い出す。まあそれはともかくとして奥行きのあるストーリー、漂う緊迫感、重厚感。おもしれえなあ。西岸良平「三丁目の夕日」。例によって貧乏くさい少年が出てくるのだが、「お父さんがタイタニック号で沈んで……」とかいってて「ん?」とか思う。でも実は「第・谷九号」だったというベタベタの種明かしになんだかうれしくなる。このセンスが西岸良平。静かな狂気って感じもするんだよなあ。水島新司「あぶさん」。ダイエー首脳陣が「来季あぶさんをどのポジションで起用するか」という議題で会議を開くのだが、ほかの人はファーストだのDHだのいっているのに、王監督のプランは「選手兼コーチ」。おいおい、それはポジションじゃないよ〜。それにしても「あぶさん」でダイエーのスパイ事件、そして新垣の件がどのように描写されるのかがなんか楽しみ。

【雑誌】ホットミルク 1月号 コアマガジン B5平
 まずは船堀斉晃「淫縛学園」が連載再開。この人はちんちんの描き方とかがいやらしくて好きだ。濃くてねちっこいSEXシーンもいい。猫井ミイ「あなた色にそまりたい」。達者な絵柄で女の子がかわいい。そして注目はやはり砂。タイトルは「探偵」。夢ともうつつともつかない世界を、ハードボイルドな探偵が歩き回るお話なのだが、この人の漫画は言葉が非常に力強い。これでもかこれでもかと下品な言葉を詰め込む濃いフキダシ、やたら多い自家中毒気味でさえあるモノローグ。そんなとこまでひっくるめて非常に濃厚な作品だ。絵柄も美少女系というよりは劇画系に近い、骨太でハードなもの。最近のホットミルクでは注目度No.1である。それから巻末の情報によれば、大暮維人の「JUNK STORY〜鉄屑物語〜」がOVA化されるらしい。漫画自体は未完のままほったらかしだったのだが、アニメでは決着がつくのだろうか。ただ、大暮維人の漫画の場合、魅力はストーリーよりも圧倒的に絵なわけで、しょせん大暮維人のペンタッチではないアニメでどれだけ満足できるものになるのか、ちょいと微妙なところだろう。どっちかっていうと「天上天下」のほうがアニメには向いてそうな気もするけど……。

【単行本】「森繁ダイナミック」1巻 桃吐マキル+福耳ノアル KKベストセラーズ A5
 単行本化はすっかり諦めていただけに非常にうれしい。
 この作品は、もともとは1994〜1996年ごろヤングサンデーに掲載されていたものだ。なんといっても大きな特徴は著しくバランスを欠いた、まるで子供の落書きのような稚拙で、ワイルドな迫力にあふれた画風。そして脈絡も何もない、唐突でパワフルなストーリー。実にイカれた作品なのである。作品の主人公は森繁鮎子という女子高生。彼女の破壊的でアナーキーな行動が非常におかしい。ダイナミックに大馬鹿な作品。ジャイアンツ!ジャイガンスティック! 詳しくは日を改めて、オスマンに追加するぜ!

【単行本】「モザイク」2巻 山口かつみ 小学館 B6
 オスマンにもアップしてあるとおりオススメである。第1巻の初版が'95年。それから4年近くかけてようやく完結したわけだ。「オーバーレブ!」「らじかる好きゃんてぃ」など、お気楽な作品のイメージが強い山口かつみだけどこれはかなりダークなお話。中心となる女子中学生たち4人が、教師やらストーカーやら、卑劣なイジメられっ子やらの手によりどんどん追い詰められていく。まだ中学生。そういったものをはねのけるにはあまりに非力な彼女たちに逃げ場はない。閉塞しきった世界で彼女たちが追い詰められていき、どんどん精神のバランスを失っていく展開はかなり圧迫感があり、次はどうなってしまうのだろうという怖さがある。なかなかにボルテージの高い作品。ただ、二重人格になっていった少女に関する掘り下げはもっとギチギチにやってもよかったかと思う。そのへんはちと残念。

【単行本】「いたいけなダーリン」 田中ユタカ 富士美出版 A5
 メタメタに甘く、男心をとろかすオタク殺しな作品を描くという意味において、東の横綱が佐野タカシだとするなら西の横綱はこの人だと見る。かわいらしくすっきりとした、甘く柔らかい絵で毎度毎度、実にコンスタントにこっぱずかしい初体験漫画を描く。キャラクターたちは実にまっすぐ。「二人だけの王国」で、もう力いっぱい甘ったるい恋愛をしやがるのだ。ボクは君を抱きたい!もっと一緒にいたい!好きだ!好きだ!大好きだ!! そんなことを実に堂々と力強く訴えかけてくるわけだ。読んでて「うひょ〜、こっぱずかし〜」といいながらのたうち回ってしまうようなセリフがテンコ盛り。「やっぱりあたしたちエッチする時がきちゃったんだね」などと、抜群にかわいい女の子がまっすぐこっちを見つめながらいってくるわけですよ!! ここまでやられると素直に降参するほかない。田中ユタカ、おそるべし。エロ漫画入門用に最適と評されることもある田中ユタカ作品だけど、俺としてはこのこっぱずかしさにマゾヒスティックな快感を覚えるような、漫画を読み慣れた人に最適な物件だと思う。

【単行本】「軍鶏」2巻 画:たなか亜希夫+作:橋本以蔵 双葉社 B6
 突如キレて親を殺害した少年が、収容された少年院の中で「自分を殺されないために」空手を学び、力をつけていく。この作品の良さは、みなぎる緊張感と刃物のような鋭利さ。暗闇の中から目だけぎらつかせて睨めつけてくるような、得体のしれない迫力がある。その迫力を醸し出すうえで大きな役割を果たしているのがたなか亜希夫の作画だ。緻密でリアル指向でいながら、どっしりと骨太で力強い。全体から地力とでもいえるような歯ごたえを感じる。重厚な読みごたえで非常に面白い。オススメである。

【単行本】「うぉんてっど」 春籠漸 富士美出版 A5
 最近、「あ!ホクサイ」で春籠漸の最新作を読んでなかなかいやらしかったので、試しに買ってみたがちょっとハズレっぽい。この単行本の時点では、「姫ちゃんのリボン」的な少女漫画崩れな画風なのだが実力はまだまだ。現在のほうが肉感的になってきており、だいぶ実用度は上がっている。ただし、このころからエロをしっかり描こうとしていた感じは伺える。そんなにうまくないなりにいやらしいシーンもある。お話的にはまあ他愛なく、展開も強引なのが多いけれども実用路線でいくならそれも可だと思う。


12/4(金)……(犬)

 パソコン通信やインターネット、それからパソコン雑誌などを読んでいると、ときどき顔文字の是非について論じた文章を目にすることがある。そういった文章は、「一般社会では通用しないものだけど、文章でしか意志疎通ができないネットでコミュニケーションを潤滑にするためには必要な存在である」みたいな感じの結論になっていることが多い。実際に自分で使うか使わないかでスタンスはある程度分かれるけど、そこまでの部分は大筋ではほとんど一緒だ。
 俺としても基本的にはまあ同意見。ここまで広まっちゃったものに今さら苦言を呈する気なんてさらさらない。ただ、俺は使わないようにしている。顔文字を使うことによる効果で一番大きなものは、基本的に「文字だけでは伝えにくい身振りやら表情やらの情報を盛り込み、文章を柔らかくする」っていうものだろう。でも、俺としてはその「文字だけでは伝えにくい部分」も、文字で伝えられるようになりたい。なんかそういう便利な道具に頼ってると、そのうちそれなしでは文章を書けなくなってしまいそうでイヤなのだ。つまり顔文字を使わないことで、文章の訓練を自分に課しているって感じ。同じく(笑)とかそういった類のものも使わないようにしている。そのせいも多少あるが、俺の文章は自分で見ていてけっこう硬いなーと思う。世の中には顔文字とか全然使わなくても実に柔らかい文章を書ける人がいる。そういう人を見ると、「こういう文章『も』書けるようになりてえ!」と感じる。ちなみに、あくまで「も」だ。もっとガシガシに硬派な文章も書けるようになりたい。俺は書ける文章の幅があんまり広くないので、もうちょっと精進せねばなーと思う。
 あと、Webでよく見かけるのが強調したい部分の文字サイズを大きくしたり、色を変えたりするっていうヤツ。これもあんまり好きでない。俺はときどきライター業をやることもあるのだが、だいたいにおいて原稿はベタのテキストで送る。そういう原稿ではもちろん強調の手法は使えない。だから、文章だけで自然と注目させたいところに目が行くように書かなきゃならないのだが(書けてないけど)、普段から文字サイズを変えたりとかの手法を使っていると、いざベタのテキストで書かなきゃならないときに困りそうな気がする。あと、なんか「ここで笑ってください」とかいうサインを読んでいる人に送ってるみたいで、どうにも好きになれない。
 というわけで俺はそういったものを使わないわけだが、他人が使っているのに関してはあんまり気にならない。小説で使っているのを見ると違和感があるが、Webとかの文章については正直どうでもいい。使っているからといってその人が悪いなんて全然思わないし、むしろWebなんかでは効果的な手法だからどんどん使ってもいいと思う。顔文字を使っていないからといってうまい文章なわけでもないし、文章のランクが上だってわけでもない。顔文字を使っているか使っていないかという形式的なことだけで、機械的に文章のランクを決めてしまうほうがよっぽど愚かしい。第一「顔文字なんてダメだ」などと決めつけたら、使っている人は不愉快だろうし、下手すると顔文字使う派の人と喧嘩が起きるかもしれない。他人にとって大事なものをむげに否定するようなことはしたくねえ。っていうかめんどくせえ。ただ単に俺が使わないだけ。ここらへんは心意気みたいなもんだと思っていただけると幸いだ。
 どうでもいいけど、殺人事件のダイイングメッセージに顔文字が入ってたらいやだろうなー。そのメッセージの信憑性が一気に薄れまくり。

【雑誌】Namaikiッ! VOL.12 竹書房 B5中
 もう発売日からは2週間以上経っているはずなんだけど、なんとなく買ってみる。一応池永なをみの連載「「ああ犬道」をチェックしとこうかなーというのが目的。かわいいお嬢さまに犬扱いされて、どんどん精神的にも犬化していく男の姿が楽しい。なんか雑誌全般に、それなりにうまくて仕事はしてるんだけど取り立てて特徴もないって感じの人が多いという印象を受けた。エロ漫画におけるごはん系といえようか。12月16日発売の次号では海明寺裕が登場するみたいなのでそれはちょっと楽しみ。

【雑誌】ヤングキングダム 1/5 No.1 少年画報社 B5中
 たぶんビッグコミックとかモーニング系の味を狙っているんだろうなあという方向性が見えてきた感じがする。今号からかわぐちかいじも登場したし。
 佐野タカシ「イケてる刑事」。うおー、スゲエ。舞台となる警察署は構成員の9割が女性、しかもみんな若くて可愛いという、どうしようもなく強引でベタベタな設定。開き直ってる。見事だ。それから吉田聡「DUMPERS」が面白い。力の入った描写、邪悪な敵。今回の作品はかなり雰囲気的にハード。死んでいった者たちの怨念が漂っていて、ここまで息を抜ける展開がほとんどなかった。濃厚で凄みのあるストーリーで一気に読ませてくる。

【単行本】「ムカデ戦旗」4巻 森秀樹 小学館 B6
 あらすじ等はオスマン参照。4巻はサブタイトル「信玄、死す」が示すように、金堀り衆が代々使えてきた主である武田家の当主、武田信玄が死去する。この巻で目立つのは女性。とくにてんだ。走るてんの姿を股の下からのアングルで描いたり、胸や女らしい身体つきを強調するなど、ことさらてんの女性という属性を印象づける描写が目立つ。ムサい男たちが充満している中で一服の清涼剤ともいえる。とはいえ、そういう女性描写まで非常に力強かったりするのが森秀樹。お色気ムンムンさ加減が、なんだか暑苦しいくらいなのだ。

【単行本】「バロン・ゴング・バトル」5巻 田口雅之 秋田書店 新書判
 おおざっぱなあらすじ等はオスマン参照(すでに書いた奴だとこういうことできるのでラクだ)。5巻めではバロンの出生の秘密が明かされる。ゴリラと友達だったり、生まれたときにみゅーみゅーいってたり、バロンは本当に愉快な奴だ。小娘のようにバロンにかわいがってもらおうとするシンディも他愛なくて楽しい。

【単行本】「悟空道」5巻 山口貴由 秋田書店 新書判
 悟空と艶天大聖・死鳥、不治の美形との闘いが集結。いくつかの心揺さぶる力ある言葉はあったものの、「覚悟のススメ」とかと比べてなんとなくもの足りない。「西遊記」ものに関する意見は11/19のチャンピオンの項で書いたとおりだが、孫悟空とか三蔵法師とか、「西遊記」モノのキャラクターってなんとなく感情移入しにくい感じがする。俺だけかもしらんけど。どちらかというとカバーの見返しの言葉のほうに、魂を揺さぶられる。


12/3(木)……夢見る俺の昼と夜

 ここのところ会社で夜を明かすことが多い。今日も朝になってから電車で帰宅。帰りの電車でちょうどこれから出勤、登校しようとする人たちの群とすれ違ったのだが、皆さんなんだか一様に顔つきが鋭い。俺は、職場はわりと時間が不規則なんで、幸いなことにラッシュアワーに通勤することはほとんどない。昼過ぎくらいに会社に着くような時間に通勤しているわけだが、そのあたりの時間に電車に乗っている人たちと、ラッシュアワーのあたりに電車に乗っている人たちの顔つきは明らかに違う印象。ラッシュアワーな人たちはなんか「これから戦場に行く」という緊張感があって、まさに戦士って感じ。毎日あんな顔つきで満員電車に乗るなんて、それだけでも根性なしの俺としては感心してしまう。
 それはともかく、最近完全に生活が昼夜逆転気味。この日記を書いている現在、朝の9時くらいなのだがまだ全然眠くない。2日に寝たのが朝の10時、3日は昼の12時。そろそろリハビリして生活時間帯直さないとなあ。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 12/14+17 No.1+2 秋田書店 B5平
 合併号である。次の号は12月17日発売。ほかの雑誌は1/1号 No.1が多いのに、この雑誌は12/14+17がNo.1+2。日付表示が98年のなのに号数表示がNo.1、2ってのもなんかヘンな感じがするが……。俺自身、出版界の片隅にいる者ではあるが、この号数表示、日付表示ってのはいまだになんだかよく分からないっていうか釈然としない。12月に出す本は素直に12月号にすりゃあいいのになあっていつも思う。あと単行本の発行年月日も。
 いとう杏六「東洋妖人伝 用神坊」が良かった。今回は用神坊が学校の教師をやるという話なのだが、不良たちの描写が過剰で笑える。1メートルはあろうかと思われる、人に支えてもらわないと存在不可能な形状のリーゼントが楽しい。用神坊の影響を受け、不良たちが全員用神坊ファッションになるラストも、下らないんだけど笑えてしまった。濃い絵柄と内容と下らなさのギャップが絶妙。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」では、ゴードンの過去の姿が描かれる。首の細いゴードンの姿はなんかへんちくりんだが、誇り高き生き様はかっこいい。男気を感じさせてくれる胸のすく漫画である。

【雑誌】モーニング 1/1 No.1 講談社 B5中
 井上雄彦「バガボンド」。沢庵の差し金でおつうが武蔵をつかまえに行くことに。それにしてもおつうはマイペースで子供っぽくていい。吉川英治の原作とはだいぶ雰囲気が違う感じ。原作の「待つ女」って感じもいいけど、こっちの無邪気な感じもまたいい。作:西村ミツル+画:かわすみひろし「大使閣下の料理人」。話はわりとどうでもいいが、かわすみひろしの描く女性キャラクターはやはり好きだ。あっさりとした絵柄なんだけど妙に艶がある。太田垣康男「一生!」。力強いパワーテニスの応酬。豪快なキャノンサーブによるボールのぶったたき合いが痛快。榎本俊二「えの素」。葛原さんが大いにキレる。グレイトにサディスティック。かっちょいい〜。
 今回の号はちばてつや賞がこうの史代、MANGA OPENが吉田基巳と、俺好みの二人が告知イラストを描いていてちょっとうれしかった。こうの史代のカケアミ多用の柔らかい絵柄は、一枚のイラストだけで空間と世界を感じさせてくれる。

【雑誌】ヤングサンデー 1/1 No.1 小学館 B5中
 太陽星太郎「今日のだいちゃん」。女の子がHだ。いい。読切「ribbon」で登場の堀口純男は、ヤングジャンプで「広末涼子物語」を描いている人。今回は広末ではもちろんないが、ちょっとHなラブコメって感じで、なんかすごくヤンジャンテイスト。遊人「桜通信」。加速する馬鹿馬鹿しさ、強引にHになだれ込む下らない展開。最悪だ。そして最高だ。この強引で、どこに向かうか分からない無軌道ぶりが素晴らしい。くだらねえ〜。原秀則「SOMEDAY」。就職戦線にある若者の青春物語ってことで、この就職難の時代につけ込むあざとさを感じる漫画でもあるんだけど……。それでもなんだかなんだで読ませてしまう。もちろんこういうあざとさが嫌いな人は嫌いだろうけど、常にコンスタントにそれなりの漫画にしてくるところがまさにごはん系。仕事人だよなあ。そしてこっちもごはん系の巨頭、細野不二彦。「太郎」では太郎vs.ガルシア戦がヒートアップ。後のない太郎の目つきがどんどん鋭くなり、険しさが増してきていてかっこいい。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。ヒグマドンの猛威の前に人がバタバタと死んでいく。容赦のない徹底した描写に迫力がある。おばさんの顔に鉄骨が貫通していて、でも死んではいずもがき苦しんでいるあたりのシーンはこっちまで身体感覚として痛さが伝わってくる。
 次号から佐藤秀峰の新連載「海猿」が始まる。楽しみだ。あと、今号では小学館新人コミック大賞の結果と審査員の講評が掲載されているのだが、細野不二彦と六田登の素っ気ないコメントが印象的。

【雑誌】ヤングジャンプ 1/1 No.1 集英社 B5中
 読切作品、作:相田耕平+画:佐藤久文「サイキック」の絵柄が気になった。原作者はYJ原作大賞受賞作家らしい。超能力を使える男二人が神経衰弱で勝負するという駆け引きの部分はそこそこ読めるが、取り立てて印象に残るってほどでもない。でも佐藤久文の絵は印象に残る。おそらく沙村広明の影響を受けているのであろう、シャカシャカとひかれた細い線を束ねたような絵柄は、乾いていながら鋭さがある。少し美樹本晴彦っぽさ、冬目景っぽさも感じる。とりあえずペンタッチが魅力的だ。全体の造形としては好みな部分とそうでない部分が混在している。竹内桜「I▽鉄太郎」(▽はハートマークの代用。ハートマークで「ラブ」と読む)は後編。過去作品のリメイク。前編は読んでないけど、まあ他愛ないドタバタで、さほど面白くない。まあ好きな人はチェックしとけばいいってくらい。


12/2(水)……戦え!凡人くん!!

 「だっちゅーの」「ハマの大魔神」「凡人・軍人・変人」が流行語大賞を受賞したらしい。最後の一つってそんなに流行してたっけなあとか思ったりもするけど、まあどうでもいいか。

【雑誌】週刊少年マガジン 1/1 No.1 講談社 B5平
 赤松健「ラブひな」。今度は可愛いインド娘が主人公にまとわりついてきて……。うーん、ダメすぎる(呆れ&褒め)。こんだけあざとくやってくれるとむしろすがすがしい。大島司「シュート!〜熱き挑戦〜」。マルコの中途半端な外人日本語がソソる。っていうか「ファントムドリブルの威力は予想以上ダ」「「十分警戒しナければ」。毎度馬鹿馬鹿しい漫画だナ。楽しいゾ。

【雑誌】週刊少年サンデー 1/1 No.1 小学館 B5平
 河合克敏「モンキーターン!」。船を操るテクニックだけでなく、プロペラやエンジンの整備など、工作技術的なところまで含めた駆け引きが面白い。ど根性も技術も、どっちも軽んじないのはいいと思う。藤田和日郎「からくりサーカス」。最近ブイブイいわせている敵役の「自動人形(オートマータ)」がなかなかに邪悪でいい感じである。表情とかがなくあくまで無機的なところが逆に怖い。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 12/16 No.17 講談社 B5中
 おっぱいイラスト「E-Oppers」は大暮維人。大暮維人の場合、このくらいの露出度のイラストだとしょっちゅうあるので、さほどありがたい感じがしない。も少し珍しい人、つまり普段はおっぱいイラストなぞ描かないような人に描いてほしいなあ。大暮維人は大暮維人で好きではあるけどね。
 田中ユキが久しぶりに登場!オーイエー!タイトルは「ストレンジラブ(前編)」。前編ってことで分かるとおり、次号で後編が掲載。オイエー!久しぶりに地元に戻ってきた、今は大学生の菊地が、友達の妹であるふみかと再会する。年はずいぶんと離れているのだが、サディスティックでエロティックな雰囲気を持つふみかに、菊地は惹かれてやまない。硬質な中になまめかしさを含んだ絵柄がとてもいい。後編にも当然期待だ。もうすでに「期待の新人」というのも気恥ずかしいのだけど、something newをお求めのあなた、読むべし。桑原真也「0(ラブ)リー打越くん!!」。これまでただシノヴに翻弄されるだけだった、打越くんのキャラクターがずいぶんと立ってきた。イジメられてばかりいるけど、イザとなるとものすごく思いきったことをするうえ、さらにフェロモン体質でもあるという。今回はアクションもなかなかにダイナミック。とりあえずここまでは面白くきている。相沢トモコ「花川ジンタ」が最終回。最後は爽やかに青春模様に幕を引く。さっぱりとした読後感で楽しかった。というわけで単行本化に期待。


12/1(火)……風邪と共にサリン

 先週コミティアに行ったあたりから風邪が治らぬまま、今日も会社でお泊まり。この10日くらい、ずっと体調が悪いままだ。風邪ひいてるのにいつも朝早くまで漫画を読んでホームページを作ったりして、ときには会社の床で寝てたりするわけだから、治るわけがないんだけど。こんな感じで年末進行に突入していくのかと思うと、かなり先が思いやられる。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 12/15 No.24 小学館 B5中
 作:坂田信弘+画:かざま鋭二「でんでん虫」。ギャンブルをガシガシやっていたころはわりと面白かったのだが、ゴルフ編になってからいつもの「風の大地」ノリが出てきて「またか」という気がしてしまう。とくに最終コマのモノローグ。依然読ませはするんだけどね。高田靖彦「演歌の達」は、タツにちょっと恋の予感……という感じ。一見ガラじゃないという感じでもあるのだが、それでも不器用で男くさい立ち回りはやはりタツらしい。女性キャラクターはとくにそうだが、キャラクターたちの表情がイキイキしていていい。絵の主線はオヤジくさいあか抜けない感じなのだが、抜きの部分がしっかりしているせいか、脂っこくなく爽やかな画風でもある。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 1月号 少年画報社 B5中
 やはり平野耕太「ヘルシング」がいい。黒い画面に大仰なキャラクター、アングル、セリフ回し。どれだけもったいぶっても、それがカッコ良く決まる。女性キャラクターよりも、むしろ男のほうが魅力的という、エロ漫画出としては希有な作家だと思う。佐野タカシ「うさぎちゃんでCue!」。ベタベタな甘口のサービスカットがいやみにならないのは強い。大石まさる「みやなのどんぐ−蒼−」。カケアミ系の画風がさわやかで、かつ温かみがある。なんか見るたびに線が少しずつ細くなってきて、仕上げがきれいになっているように思える。今回は代議士が売り払った荒れ放題の山を買い上げ、丹念に美しい山に手入れしている頑固者のおじいさんとその孫娘のお話。孫娘が子供の頃から物語はスタートし、大人の女になるまでの時間を22ページで描いている。時間とともに手入れされていく山々、四季折々の風景が美しい。差し挟まれるエピソードも心温まる。

【単行本】「月下の棋士」22巻 能條純一 小学館 B6
 A級順位戦、氷室vs.土居学、氷室vs.大和天空の対局が描かれる。この巻ではやはり土居のキャラクターがいい。死ぬほど世俗的で、勝つためなら汚い揺さぶりもいとわない。見え透いた仮病の演技など、ねちっこくて器の小さいごまかしテクニックがいやらしい。こういうなりふり構わない小人は、これはこれで氷室みたいなかっこいい奴にはない魅力がある。とはいえ、この作品もずいぶんマンネリになってきた。順位戦もいくつかすっ飛ばしてくれてもいいのになあと思う。どうせ、最後は名人戦で氷室と滝川が対局するのだろう、と先が読めてしまう(っていうか読めた気持ちになってしまう)あたりがちょいと辛いところ。


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