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「つれづれなるマンガ感想文」10月後半
「つれづれなるマンガ感想文」11月後半
一気に下まで行きたい
今頃、5月頃出た雑誌が登場。いいの! 私のメモ書きだから!(開き直り)
「妹あかね sideB」山花典之は、疑似妹の萌えモノ。
「ゲーハーの時代」漫・F・画太郎は、若ハゲをバカにされている少年・若禿進にある日異変が起こって……という読みきり。「珍遊記」のようなヒキにつぐヒキの作品や「くそまん」のような切り張りコピー繰り返しマンガなどから、漫・F・画太郎って私にとって「得体の知れないマンガ家」のイメージがあるけど、確かデビュー作は本作のような、ショートショート的というか短編小説的というか、そういう作品だったはず。
けっこう器用な人なんだな~。
「アルミにゅうむ」田中ガスは、不条理4コマ。おもしろ。
「侠子エクスプロージョン」山本夜羽は、正統派現代仕置人アクション。「不失者(ウシナワザルモノ)」を名乗る連続爆破事件の犯人に、始末屋・侠子が挑む。元過激派の描写や、クライマックスのアイディアなど、ディティールがいい。
「ROSE V(ロゼサンク)」望月三起也は、都内某所の謎のケバブ屋が、ヤバい世界に足を踏み入れた女子高生から、巨大組織の悪を暴く。
ちょっと絵が荒っぽくて見にくいけど、アクションシーンにはまったく衰えが見られない。そのときどきの時事ネタを盛り込む冒険小説風プロットも健在。同世代のマンガ家と比べると、いまだに若さを保っていると思う。そういうところ、もっと評価されなきゃイカンよ。
(01.1115)
「MAX」岡村茂&TEAM紅、監修:高木MAXは、立ち回りの読みをスーパーの狂牛病対策にたとえてみたりする。また、ナニゲにテレビ見てるシーンでアフガンのニュースやってたり。それでもパチスロ中心。それが人生。
「やんちゃ外伝」しのはら勉、監修/射駒タケシは、ホールでのチンピラとの確執。これって体裁はパチスロマンガだけど、内容は完全に地元系ヤンキーマンガ。
「ヤマアラシ」宮塚タケシ、原作/鶴岡法斎は、プロの渋さ・カッコよさを見せる主人公。ヤクザ映画を見て涙流してる青年・矢口がイイ味を出している。
(01.1115)
なんだかラブコメチックな話が中心の増刊号。
「東京エデン」もりしげは、寂しいクリスマスの夜、さえない男の子・哲郎の元に羽のはえた美少女・イヴが舞い降りてくる、という話。「SFおしかけ女房」。いやー、ホントにこのテのパターンって廃れないね。ごちゃごちゃ設定を組む必要もないし、断続的に掲載されたとしてもそれほど過去のストーリーを気にする必要もないし、こうした増刊号に合ってるかもな。
イヴの造形は、全裸に白い鳥の羽がはえていて、首には鎖を引きちぎった首輪が付けられている。この造形だけでイヴが誕生して逃げてきた背景を表しているし、後の展開はだいたい読める。お話としては他愛ないが、「引きちぎられた鎖」はそれだけで昏(くら)いロマンなんだよ。ウルトラマンレオの弟だって、太股に引きちぎった鎖を垂らしてたでしょ。
「エイリアン9 特別編」富沢ひとしは、文字どおりの特別編で番外編的な内容。久川先生が主役。丘田知沙と町子の会話を通してストーリーが明らかになるという、毎度ながらうまい構成(と言いつつ、丘田ってだれだか忘れちゃった。この回きりのキャラか、そうでなかったのか)。あと何作か描いて、単行本としてまとまらないスかね。
「恋しない村」石川聖は、恋をすることがない少年と、恋をしない人々が住む「恋しない村」から来た少女・沢井美子との、恋ではない奇妙な交感を描く。恋ができない少年の美子への共感、そして2人への迫害。いい意味で風に吹っ飛ばされたような感じのタッチ、フリーハンドのワク線、美子の飄々としたキャラクターがイイ。佳品。
(01.1115)
なにげにバックナンバーを読んでみた。
「Caper」師走の翁は、「シャイニング娘。」のシリーズ。やっぱりバックナンバーを読んでも、ディティールが描けてるし(「ミニシャイ」のユニフォーム(?)のイラストが、本来ハムスターなのに映画「シャイニング」のコワい人の顔になってる)、たぶん続き物のドラマとしても面白いに違いない。各人も似てる。
二翻(ゴットー)巻がエッチなことされるのがメインで、多分、槌ののみが初登場。ミニシャイも多分初登場。なるほど、シャイ娘。中心なんで「ミカ」はいないわけね。
「雛迷宮」摩訶不思議は、17歳の少年が11歳の妹を好きになってしまう連載作品。この少年の友達が「クソしてから風呂に入ろうと思ったら、妹が文句を言ってきて大ゲンカ」というのは、トイレと風呂が一体化した間取りでは実にありそうなことだ(笑)。
「放課後セブン」村正みかども連載作品。「セブン」というエッチでファンタジックなカードゲームをやる話。かわいくてエロくて勢いがあって、なかなかよろしいです。
(01.1115)
時代劇画の再録を中心とした雑誌。今回、「九頭龍」石ノ森章太郎が載ってないのががっかり(もう載らないのかな?)。それと、全体的にダウナーな話が多くて、なんかこたえた。
「御用牙」小池一夫、神田たけ志は、「きさぶの過去帳」。死にものぐるいで島抜けを試み、証拠隠滅のために一緒に逃げてきた仲間をすべて殺し、さらに人数あわせのために関係ない旅人まで殺してまで江戸へ向かおうとするきさぶ。たまたま近くの湯治場に来ていたかみそり半蔵と出くわし、正体を見破られるが、彼にはどうしても江戸へ行かなければならない理由があった。
どこまでもスジを通そうとして、自らの命を投げ出そうとする男、物語全体の謎、意外な事実、そして苦い結末と、「御用牙」シリーズの要素がうまく入った中編。オススメ。
「おせん」楠勝平は、貧しい娘・おせんと、裕福な家に育った大工との苦い恋。この簡潔な「苦さ」、今の作家にはたぶん描けないだろう。渋い。
(01.1113)
「おひっこし」竹易てあしこと沙村広明は、大学生を主人公にしたラブコメで最終回。毎度まいど「キィー! おれには何にも関係ないんじゃ! 怪獣を出せ! もしくは宇宙人か忍者!」と叫びながら読んでいた(私が)。で、終わった。
「彼らの週末」平野耕太は読みきり作品。アニメ談義するオタクども。会話も実にありそうなオタクトーク。しかし読み進むうちに……ってな感じ。この結末、どう思うかで意見が分かれると思うが、私は大いに気に入った。
やっぱり平野耕太ってカッコいーわ。オタクネタにこんな結末付けられるの、たぶんこの人くらいだよ。
「蟲師」漆原友紀は第9話「綿胞子」。子供を欲しがる夫婦に、子供に擬態する「蟲」が宿る。本シリーズは、何というかもったいぶって運命を重苦しく描くこともせず、技巧や知識にも流れず、土着性にも近代的妖怪解釈にも逃げず、不思議な透明感のある怪異譚となっている。
「ラブやん」田丸浩史。第5話「本場アメリカン」。もはや「モテない男をモテるようにする」という話でも何でもないが、すばらしいマンガ。たまんないね、「ただ転がるためだけに転がる」ようなストーリー。「奇面組」とか「幕張」の、本編ととくに関係ないときの話みたいな感じ。
「奥様ランチ」森徒利も、読みきり。小学生の女の子・新妻奥菜が、怠け者の父親を助けるために料理屋を切り盛りして大奮闘!! ……といっても「じゃりんこチエ」みたいな生活感ゼロで、ただひたすらに、おままごと的な主人公のキュートなたたずまいを愛でるマンガ。で、実際かわいい。この子に翻弄されるカタブツ教師や父親も、イイ顔に描けてる。
「永訣の森へ」役穂曜径は、四季賞夏のコンテストの谷口ジロー特別賞受賞作。小学校に脱獄囚が乱入、しかし物語は彼が児童数人を連れて森に逃げ込んでから意外にファンタジックな方向へ……。「読ませる力」はあると思うんだけど、いかんせん教室から森のシーンへの以降と、それに伴う物語全体の雰囲気の変化があまりに唐突だと思った(最初は怪異なものが一切登場しない話だと思いこんでいたら、後半違ってた)。
「ふにゃふにゃ」さかもと未明は、「生まれてから一度もラーメンを食べたことがない」という導入部から、結末ぜんぜん違う話だった。でもエッセイマンガだからツカミとしてそれはそれでいいか。
(01.1113)
「なかよし」連載の、「モーニング娘。オフィシャルストーリー」。初版限定特典シール付き。あー。なんでこういうの読んでるんだろな、私。別にものすごいファンってわけでもないのにな……。
しかし、モーニング娘。のマンガの展開ぶりは、今までのアイドル史にはない勢いなんだよ。蒼馬社のシリーズもあるし、「ミニモニ。」のマンガも複数連載され、アニメにもなっている。「シャイニング娘。」ってのもある(こちらはアンオフィシャルだが(笑))。
通常タレントのマンガ化は、私の知るかぎりメディアミックスのワンオブゼムでしかなく、一人あたま1、2本出れば終わっていくのだが、モー娘。は違っている。モー娘。そのものの初期のコンセプトは「おニャン子」だ思うが、おニャン子現役時代に、マンガ化やアニメ化などの虚構化は積極的に行われなかったはず。それを考えると、やはり「銀河計画」と自嘲(自慢の裏返し)し自身の虚構性に自覚的だったおニャン子と、モー娘。は似ているようでまったく違う道を歩み始めていると言える。
どう違うかというと、モー娘。の方が旧態依然とした「芸能」の匂いがするんだけどどうだろうか。松田聖子よりさらにさかのぼり、中三トリオ、とりわけ山口百恵とかあんな感じだ。苦労話がドラマ(マンガ)になる点も、それを証明している。
第1巻では、新メンバーが入る前の新メンバー(正式名称は何というのか?)の一人にスポットを当てるという形式で、加護、辻、石川、吉澤をそれぞれ主人公としたエピソードが収録されている。
すべてが「モー娘。に大抜擢される→みんなに取り残される、ついていけない不安→だれかに励まされる→ひとつのヤマを越えてモー娘。の一員に」という、少女マンガの芸能モノの常道を踏んでいる。
そうなると、いちばんオフィシャルに負のイメージがない吉澤がいちばん物語にしにくいのではないかと思ったが、実際は「保田が急病で抜けたプッチモニを、後藤と二人でつとめあげる」というクライマックスにほんのちょっとだけ感動した。もっと感動するためには、吉澤を励ます後藤側の葛藤も描かれないといけないんだろうけど。まあそんなこと言ってもしょうがないんだろうけど。
(01.1111)
「WORST」高橋ヒロシは「一年戦争」開始。……つってもガンダムではない。ワルの集まる高校で、2、3年が体育館に1年を集め、ケンカさせて1年最強を決めるという行事だ。それに参加することになる猛者たち。強制はされない。そういうことに血をたぎらせるヤツらが、集まってくるのだ。この人のマンガ、カッコいいなあ。過去の作品読んでみようかな。
「ヒッサツ!」伊藤清順も、三島中ダーク・エリア最強を決めるバトル・レース開始。少々ストーリーの破綻を埋め合わせるセリフが見られるが……まさかまた打ち切りが決定してお話を単純化しようとしてるんじゃ……!? 頼むよ、月刊チャンピオン。終わらせないでくれよ!!
「花右京メイド隊」もりしげは、太郎とマリエルが外でデート。「メイド服で」ってのがどうかと思ったんだが、大半のファンはそっちの方がイイのか。それにしてもあざとさ爆発。すごいなあ。
「いちばん」小沢としおは、不良が野球をやるマンガ。どうしても毎回「フジケン」以上にマッタリとした感じがアレなんだが、今回は新一年生勧誘のときに中学時代からの札付きのワルが登場して、けっこう面白い。
「流星のストライカー」秋月めぐるは、サッカーマンガ。「谷間の世代」と言われ続けた日本チームに入った異端児・流星が主人公。Wユース大会で日本はアルゼンチンと対決。しかし「異端児が入ってみんなを引っ張る」なんて単純な話じゃなく、流星が来る以前にも、チームは沢渡を中心にいい感じに仕上がりつつあった。この辺のお膳立てが面白い。沢渡は、努力家タイプのさわやかなイイヤツ。続きが気になる。
「DRAGON SCREW」井深英記は、ヒップホップのダンスのマンガ。やや打ち切りっぽいが、今月で最終回。ダンスの技の名前が覚えられたりして面白かったんだけど、残念。
(01.1111)
前作「超絶プラモ道」の第2弾。今回は青島文化教材社のプラモデルに焦点を絞り、その魅力についてたっぷりと考察している。イデオンのシリーズや「合体マシン」のシリーズ、その他のキャラクターものなど、図版は多彩、また資料的価値も高い(と思う)。
私自身はプラモマニアでも何でもないんだが、アオシマの「カウンタック」や合体マシン、そしてイデオンを始めとするアニメモデル隆盛までの流れって、そのまま子供時代とシンクロするんで、ものすごく懐かしい。
こういう研究を、単なる「重隅」だとかわざわざ周辺領域を拾ってきてネタしてる、って批判する人がいるけど、私はまったくそうは思わない。たとえば、70年代中盤から80年代前半にかけては、メカの「どこにワンダーを感じるか」が揺れ動いていた時代ではないかと思う。それはアオシマの「合体」とバンダイの「ガンプラ」が併存していたということからも察せられる。
また、キャラクターものでも商品化したときにはオリジナルの設定を付けてしまうことがよくあった。「マッハバロン」なんて合体しないのに合体したことになってたし。しかし買った子供がまったくのパチモンだとか、インチキだとか思ってたかというとそうでもない。「変身サイボーグ」とか「ミクロマン」とかのオリジナル設定を持ったおもちゃと、設定重視のおもちゃとの中間ぐらいに位置づけていた。
それでつくり手も、おもちゃのオリジナリティを考えていたということもあったし、何も考えてなかったということもあるだろうし(笑)、そういうエエ加減さを払拭しようとか、あるいは逆に残そう、復活させようという意志の流れから現在のおもちゃを見ると、また違った観点から見ることができる。
プラモデルの変遷って、そうした子供の感覚を敏感に反映するもののような気がする。本書からはそういうことがわかると思うのだ。
もうひとつ思ったのは、当たり前にあると思うモノほどなくなるときはまったく消えてしまうなあ、ということ。たとえば本書に載ってる100円プラモなんかは、主に駄菓子屋(なぜか文房具屋にも)に売っていた。つまり駄菓子屋文化がなければ成り立たない。しかし駄菓子屋も消えてしまった。
潜水艦プラモのブームは、子供たちの水遊びがなければ成り立たなかったし。そもそも、決まった小遣いの中に「ゲームソフト」が参入してしまっては、子供のお金の使い方も変わってくるだろうたぶん。精巧な食玩が存在する現在、「100円プラモ」を成立させている生活や流通形態やニーズというものが、なくなってしまったんだなあと。まあ何かがなくなれば、また新しい何かが生まれて来るんだろうけど。
とりあえず何でもかんでも合体して、分離して、それにオリジナルストーリーが付いていて、やたらと「ミサイル」や「ビーム」や「レーザー」をぶっ放していた時代は終わったんだなあと(いや、またいろんな意味で復活するかもしれない。おれ、今でもそういうの大好きだし)(笑)。
(01.1108)
「7人のナナ」今川泰宏、国広あずさは、新連載。ナナという女の子のところに、ある日突然、タイプの違う6人の「自分」が現れる。
「魔法少女」とか「SFおしかけ女房」的な、主人公の設定だけがファンタジー的で後は普通、という感じの美少女コメディ。今までありそうでないパターンですな。原作は「Gガンダム」とか「ジャイアントロボ」の監督。
「エイケン」松山せいじは、エイケン部一同でスポーツクラブに行くという話。その直前に「板垣恵介VS加藤清尚」スペシャル対談という、ものすごい硬派でアッパーな記事が載っている。コレを読んですぐに本作を読むと、脱力することうけあい。
「虹色ラーメン」馬場民雄は、時事ネタというか狂牛病で客が来なくなったラーメン屋(牛骨スープを使ってる)を助ける主人公。どうでもイイが新キャラのおねーちゃんの胸は不自然にデカすぎる。この作者は、編集者に「ムネをでかく描け」と言われたが、巨乳にはそれほど興味がないと見た。
「ななか6/17」八神健は、17歳のななかが登場、文化祭の劇の台本を書いたりする。少しずつ変化していく17歳ななかの心情の描き方がうまいなあ。あといじわるな女の子が後の方で素直になって出てくるところとか。
(01.1108)
何というのか、正式名称を知らないがコンビニで売ってる単行本サイズのあの形式の本。
「天才バカボン」、「おそ松くん」、「オッチャン」、「もーれつア太郎」がちょっとずつ収録されている。
コレを読んでて気づいたが(っていうか赤塚ファンには当然かもしれんが)、赤塚不二夫も最初は「ほのぼのマンガ」みたいな感じだが、だんだんメチャクチャになってくる。本書収録作だと、「バカボン」でも初期はギャグでもかわいらしいものが多いが、「ドクターカカシよやすらかなのだ」は、目ン玉つながりのお巡りさんの息子が腹痛で医者に行き「言うとおりにしないと診療させない」とダダをこね、この少年のとおりに医者が身体の一部分をじょじょに切り落としていくという、個人的にトラウマになった作品。っていうか、今読んでもメチャクチャである(笑)。
アニメだと最初の「バカボン」は植木屋という地に足のついた職業だったりして赤塚不二夫は不満だったらしいが、わりと最初の方の人情モノ的部分をなぞってた気がするんだけど。で、「元祖天才バカボン」でやたらアナーキーになっちゃって驚いた記憶がある。
(01.1105)
・「コイズミ逆襲デスク」 滝季山影一(2001、滝季山影一)
「政権伝説シリーズ」の新作。一時期支持率90パーセントくらいまでいった某首相に材を取った作品と、最近「戦争論2」を上梓した小林よし某に材を取った作品がおさめられている。世の中、何かと胡散臭いと思っている人にオススメのギャグマンガ集です。
(01.1105)
・「parking?7 science? fiction」(2001、parking?)
SF的設定の作品を集めた作品集。執筆者に本田健、志賀彰、紅茶羊羹、山本昌幸、南研一。
毎度のことながらツブが揃っているんですが、「夜のフライト」南研一は80年代にマンガオタクだったある種の人には激しい共感を呼ぶ作品(だと思う)。90年に起きた「事件」(あのM君とか何とかいうアレ)をきっかけに、厳しいマンガ規制が行われ、マンガは地下に潜らざるを得なくなった近未来が舞台。ここでかがみあきら(実在のマンガ家)の幻の作品を探索する主人公。探索の対象になっているのがかがみあきら、というのが素晴らしい。どこがどう素晴らしいのか説明するのはむずかしいんだが。かがみあきらという作家が、可能性を秘めたまま急逝してしまったというのが理由のひとつなんだけど。
紅茶羊羹さんの作品もひさしぶりに堪能させてもらった。一見ベタギャグなんだけど、まったくそうかというとそうでもない感じなところがよい。コレがセンスというものか。
(01.1105)
「エイケン」松山せいじは、顧問の女教師のアパートに招待されたエイケン部一同。たまたま早めに来た伝助は先生と二人きりになって……。
ネットでいろいろ書かれてたが、私も最後まで読んで笑ってしまったよ。「今週のエイケンはエロい」って書いてあったけど、エロいも何も、そのまんまじゃないですか(笑)。手法としては「オヤマ! 菊之助」が毎週やってたことと同じなんだけど、洗練されてない度合いとしてはこっち(エイケン)の方が断然高い。菊之助も悪くないが、これはこれでいい。
「虹色ラーメン」馬場民雄は、思わずニヤリとする展開。「ラーメン界の覇王」、神宮寺雷蔵登場!! いい名前だ。あと、女の子たちがナニゲにカワイイのがいいね。乾竜美とその子分(?)、信乃も出てた。後は、一挙に超人化しない(あくまでもラーメン部の一員としての主人公を描いてきた)今までの展開がどうなって行くかだなぁ。
「夢空間へようこそ(後編)」七神銀次は、淫魔みたいな謎の美女に魅入られた女子高生が、恐怖を体験する話の後編。アクションホラーとでも言えばいいのか。思ったより面白かった。
(01.1102)
ザッショノ学園で恐れられている謎の部・エイケン部に入れられた伝助は、部員の美少女たちにヒドい目にあいながらも、美少女・東雲ちはると少しラブラブな感じになったりしてまんざらでもないのであった。
細かいことは1巻の感想で書いたが、2巻も基本的に同じ意見なのでイイや。まあ毎回、主人公の男の子が女の子と温泉に入ったりパンチラがあったり、間違えて胸をもんじゃったりするというマンガ。そのピントのずれ具合が話題になったが、まあ「ピントのずれたエッチなマンガ」ってのは昔からあった。本作がこれまでの作品と違うとすれば、それは「ワカッテない」ヒトではなく、明らかにオタク的ノリを受け継いだ作者が描いているにも関わらず、よくわからないテイストになっているからだろう。
あ、あとおまけページで「教師生活12年」の顧問の先生の年齢をきちんと決めていないことが判明。なぜ……。
(01.1102)
懐かしマンガの続編や復刻を中心にしたマンガ雑誌の、第3号。
以下、復刻コーナー。
「おそ松くん」赤塚不二夫はイヤミが丹下左膳になる時代劇風、手塚治虫の全集未収録SF短編はかつて漫画サンデーに載った大人向けの小品。解説では手塚は大人向けナンセンスマンガは得意じゃなかったんじゃないか、と書かれているけど、手塚治虫って基本的にセックス描くの大好き人間だからむしろ得意だったんじゃないかと思う。ナンセンスとは言い難いけど「人間ども集まれ!」とかを思い出す。
「岩風呂くん」山上たつひこは、不定期連載されたギャグマンガ。温泉を舞台にした作品。相当なアナーキーっぷりで、面白かった。個人的には、現在読むなら鴨川つばめよりはなじめるかも。
「ウルフガイ」平井和正、坂口尚は、71年頃、「ぼくらマガジン」に連載されていたもののラスト2週の復刻。コレにはグッと来た(以下、おれ語り)。
坂口尚版「ウルフガイ」は、本誌の解説にもあるとおり79年に奇想天外社から上下巻のハードカバーで復刻された。私はコレで初めて(原作より先に)「ウルフガイ」(少年の方)に遭遇した。小説「狼の紋章」をほぼ忠実になぞっている同作は、平井和正の「清浄なる怨念」ともいうべき思春期チックな怒りを、坂口尚のシャープな描線で描いた傑作であると思う。
青鹿先生がさらわれたことを犬神明がアパートで知るシーン。原作ではハンガーに吊された先生のカーディガンのにおいを犬神明が嗅ぐ場面は、はっきりとエロチックなものとして描かれていたけど、坂口版では確かセリフも独白も何もない。で、かえってその後疾走する犬神明の怒りと青鹿先生を思う気持ちが盛り上がったりしていた。
復刻版を読んでから何年か経って、かつて「ぼくらマガジン」で坂口版「狼の怨歌」が引き続いて連載されていたことを知ったが、平井和正の作風が変化するのと同時に興味を失い、そのままにしていた。
本誌の「怨歌」を読むと、アクションに徹した「紋章」とは違った躍動的なマンガであったように思う。西条(犬神明を執拗に追い続ける悪人)が、ものすごい極悪人ヅラに描かれていたりするのは原作ファンには面白くないかもしれないけど、いくつかマンガ化された「ウルフガイ」の中でもいちばんすばらしいのは坂口尚版だと個人的に思ってる。
新作、「ド根性ガエル2001」吉沢やすみは、前回よりはよかった。あと「新しまって行こうぜ!」吉森みきおは、むしろ「漫画サンデー」の方がふさわしいほど渋い話になっている。男に裏切られたヒロイン(三十過ぎてて独身の雑誌編集長)が、がむしゃらに仕事をがんばったあげく虚無感にとらわれるという内容。渋い。
(01.1101)
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